以下、図面を参照しながら、医用情報処理システム及び医用情報処理方法の実施形態について説明する。なお、本願に係る医用情報処理システム及び医用情報処理方法は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の実施形態では、本願に係る医用情報処理システムとしての電子カルテシステムを一例に挙げて説明する。また、以下では、診療情報提供書を紹介状と記載し、診療情報提供書の提供元の医療機関及び提供先の医療機関をそれぞれ紹介元の医療機関及び紹介先の医療機関と記載する場合がある。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子カルテシステムの構成の一例を示す図である。ここで、第1の実施形態に係る電子カルテシステムは、紹介元の医療機関における電子カルテシステムに本願に係る医用情報処理システムを適用させた場合について示す。例えば、図1に示すように、本実施形態に係る電子カルテシステム100は、ネットワーク300を介して、電子カルテシステム200と通信可能に接続される。
ここで、電子カルテシステム100は、紹介元の医療機関に設置され、ネットワーク300を介して、紹介先の医療機関に設置された電子カルテシステム200に対して紹介状を送信する。また、電子カルテシステム100は、紹介元の医療機関における院内LANなどの内部ネットワーク(不図示)に接続され、内部ネットワークに接続された種々の医用画像診断装置や、各種サーバ装置、ユーザ端末等と接続される。紹介元の医療機関は、例えば、診療所や病院などである。
また、電子カルテシステム200は、紹介先の医療機関における院内LANなどの内部ネットワーク(不図示)に接続され、内部ネットワークに接続された種々の医用画像診断装置や、各種サーバ装置、ユーザ端末等と接続される。紹介先の医療機関は、例えば、診療所や病院、検査センターなどである。
なお、図1においては、ネットワーク300に、1つの電子カルテシステム200のみが接続されているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数の電子カルテシステム200がネットワーク300に接続される場合であってもよい。すなわち、電子カルテシステム100は、複数の紹介先の医療機関に対して紹介状を送信するように構成されてもよい。ここで、ネットワーク300は、3省4ガイドラインを満たす高い通信セキュリティが確保されたものが用いられる。一例を挙げると、ネットワーク300は、電子カルテシステム間を接続する専用線、VPN(Virtual Private Network)等により構築される。
電子カルテシステム100は、図1に示すように、通信インターフェース110と、入力インターフェース120と、記憶回路130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。例えば、電子カルテシステム100は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。なお、図1においては、単一のコンピュータ機器によって電子カルテシステム100を実現する場合について示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数のコンピュータ機器によって電子カルテシステム100を実現する場合でもよい。かかる場合には、例えば、種々の診療データを保管する電子カルテ保管装置と、電子カルテ保管装置によって保管された診療データを用いて、後述する種々の処理を実行するワークステーションとによって実現される場合でもよい。
なお、電子カルテ保管装置は、例えば、DB(Database)サーバ等のコンピュータ機器によって実現され、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の記憶回路に診療データを記憶させる。
通信インターフェース110は、処理回路150に接続され、電子カルテシステム200との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信インターフェース110は、電子カルテシステム200から診療データを受信し、受信した診療データを処理回路150に出力する。また、例えば、通信インターフェース110は、処理回路150から紹介状を受信し、受信した紹介状を電子カルテシステム200に出力する。また、内部ネットワークに配置された各装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信インターフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
入力インターフェース120は、処理回路150に接続され、操作者(ユーザ)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。例えば、入力インターフェース120は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、入力インターフェース120は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、電子カルテシステム100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース120の例に含まれる。
記憶回路130は、処理回路150に接続され、各種診療データを記憶する。例えば、記憶回路130は、紹介元の医療機関における内部ネットワークに接続された種々の装置から取得した診療データを記憶する。一例を挙げると、記憶回路130は、被検体ごとに診療データをまとめた紹介元診療情報131を記憶する。また、例えば、記憶回路130は、紹介先の医療機関における診療データを電子カルテシステム200から取得して記憶する。一例を挙げると、記憶回路130は、紹介先の医療機関における被検体ごとの診療データをまとめた紹介先診療情報132を記憶する。なお、紹介元診療情報131及び紹介先診療情報132については、後に詳述する。例えば、記憶回路130は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
ディスプレイ140は、処理回路150に接続され、処理回路150から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ140は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
処理回路150は、入力インターフェース120を介してユーザから受け付けた入力操作に応じて、電子カルテシステム100の構成要素を制御する。例えば、処理回路150は、通信インターフェース110から入力される診療データなどを記憶回路130に記憶させる。また、例えば、処理回路150は、記憶回路130に記憶された診療データに基づいて、紹介状を作成するとともに、紹介状に含まれる診療データが紹介先の医療機関にとって充分であるか否かを判定し、判定結果をディスプレイ140に表示する。例えば、処理回路150は、プロセッサによって実現される。
以上、本実施形態に係る電子カルテシステム100の全体構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る電子カルテシステム100は、提供先にとって適切な診療情報を含む診療情報提供書を提供することを可能にする。具体的には、電子カルテシステム100は、紹介状に含まれる診療情報が、紹介先の医療機関において求められる診療情報を含んでいるか否かを判定し、判定結果を紹介元の医療機関において提示することで、紹介先の医療機関において求められる診療情報の先行取得を促すことで、適切な診療情報を含む診療情報提供書を提供することを可能にする。
上述したように、紹介状を用いた連携医療では、被検体の状態を客観的に判断するため、一から検査を行って診断を行う場合もあるが、紹介先での再検査の負担を軽減するために、紹介元の診療情報を使用する場合もある。かかる場合には、紹介先で求める診療情報を紹介元で先行して取得して、紹介状に含めることにより、紹介先での再検査の負担をより軽減することができる。以下、電子カルテシステム100の詳細について説明する。
電子カルテシステム100における処理回路150は、制御機能151と、紹介実施機能152と、関連データ抽出機能153と、類似患者抽出機能154と、使用データ抽出機能155と、充分性判定機能156とを有する。なお、制御機能151は、制御部の一例である。また、使用データ抽出機能155は、取得部の一例である。また、充分性判定機能156は、判定部の一例である。
制御機能151は、通信インターフェース110を介した他装置との通信に関する各種処理や、入力インターフェース120を介してユーザから受け付けた各種処理を制御する。例えば、制御機能151は、内部ネットワークに接続された他装置から紹介元の医療機関における診療データを取得する。また、例えば、制御機能151は、ネットワーク300に接続された電子カルテシステム200から、紹介先の医療機関における診療データを取得する。
そして、制御機能151は、他装置から取得した診療データの記憶回路130に対する格納処理を制御する。例えば、制御機能151は、内部ネットワークを介して取得した紹介元の医療機関における診療データから紹介元診療情報131を生成して、記憶回路130に格納する。図2A及び図2Bは、第1の実施形態に係る紹介元診療情報131の一例を示す図である。ここで、図2Aは、患者の基本情報を記録した患者基本情報テーブルを示す。また、図2Bは、患者に対して実施された検査や、治療、当該患者に対する診断結果などを記録した患者データテーブルを示す。なお、患者基本情報テーブルと患者データテーブルとは、患者を一意に特定するための識別子である患者IDによって紐づいている。
例えば、図2Aに示すように、患者基本情報テーブルは、患者ごとの「生年月日」、「年齢」、「性別」などの基本情報が、「患者ID」に対応付けて記憶される。例えば、制御機能151は、紹介元の医療機関を受診した患者の基本情報「生年月日:1973/7/31、年齢:45、性別:男」を、割り当てられた「患者ID:00001」に対応付けて患者基本情報テーブルに格納する。
また、例えば、図2Bに示すように、患者データテーブルは、「入力日」と、「項目名」と、「値」とが「患者ID」に対応付けて記憶される。ここで、「入力日」には、検査が実施された日付が設定される。また、「項目名」には、検査の項目が設定される。また、「値」には、検査結果の値が設定される。例えば、制御機能151は、2018年8月1日における「患者ID:00001」の患者の診療情報「主訴:咳、息苦しさ、胸の痛み」を取得する。そして、制御機能151は、「入力日:2018/8/1、項目名:主訴、値:咳、息苦しさ、胸の痛み」を「患者ID:00001」に対応付けて患者データテーブルに格納する。
同様に、制御機能151は、各患者について、基本情報を示す患者基本情報テーブルと、各患者に対して実施された検査や、治療、当該患者に対する診断結果などを記録した患者データテーブルとを、患者IDで紐づけて、記憶回路130に格納する。
また、例えば、制御機能151は、ネットワーク300を介して取得した紹介先の医療機関における診療データから紹介先診療情報132を生成して、記憶回路130に格納する。ここで、制御機能151は、紹介先診療情報132として、図2A及び図2Bに示すような、患者基本情報テーブルと患者データテーブルとを記憶回路130に格納することができる。すなわち、制御機能151は、電子カルテシステム200から取得した診療データを用いて、患者基本情報テーブルと患者データテーブルと生成することができる。なお、電子カルテシステム200において患者基本情報テーブルと患者データテーブルとが生成されている場合には、制御機能151は、生成済みの患者基本情報テーブル及び患者データテーブルを取得して、記憶回路130に格納することもできる。
ここで、紹介先診療情報132は、上記した患者基本情報テーブル及び患者データテーブルだけではなく、その他のデータでもよい。例えば、紹介先診療情報132は、紹介先の医療機関を実際に受診した患者の情報ではなく、紹介先の医療機関で推奨される検査を示す診療情報や、ガイドラインなどによって設定された検査を示す診療情報の場合でもよい。一例を挙げると、紹介先診療情報132は、「主訴:咳、息苦しさ」の患者に対して実施される検査として、紹介先の医療機関で推奨される検査、或いは、ガイドラインによって設定された検査などが対応付けられた情報でもよい。
また、制御機能151は、種々のGUIや、処理回路150による処理結果などをディスプレイ140に表示させるように制御する。例えば、制御機能151は、患者ごとの種々の診療データや、患者の診療データを1つにまとめた表示情報、電子カルテの編集を受け付けるGUIなどをディスプレイ140に表示させるように制御する。また、例えば、制御機能151は、充分性判定機能156による判定結果をディスプレイ140に表示させるように制御する。なお、判定結果の表示については、後に詳述する。
図1に戻って、紹介実施機能152は、電子カルテシステム200に紹介状を送付することで、紹介先の医療機関に対して紹介を実施する。具体的には、紹介実施機能152は、入力インターフェース120を介したユーザからの指示に基づいて、紹介状を生成する。そして、紹介実施機能152は、通信インターフェース110を介して、生成した紹介状を電子カルテシステム200に送付する。
図3は、第1の実施形態に係る紹介実施機能152による紹介状送付の一例を説明するための図である。例えば、図3に示すように、制御機能151が、ディスプレイ140に紹介を実施するためのGUIを表示させる。ここで、入力インターフェース120を介して紹介実施ボタンが押下されると、図3に示すように、紹介実施機能152が紹介状を生成して、制御機能151が生成された紹介状をディスプレイ140に表示させる。
そして、入力インターフェース120を介して紹介状発行ボタンが押下されると、紹介実施機能152は、通信インターフェース110を介して、紹介状(紹介状データ)を電子カルテシステム200に送信する。
ここで、紹介状に含まれる診療情報は、ユーザによって手動で入力される場合でもよく、或いは、自動で入力される場合でもよい。ユーザによって手動で入力される場合、例えば、制御機能151は、紹介状作成画面をディスプレイ140に表示させる。ユーザは、入力インターフェース120を介して、紹介状作成画面上で種々の情報を入力することで、紹介先の病院や、紹介の対象となる患者の診療情報を入力する。紹介実施機能152は、ユーザによって入力された情報に基づいて、紹介状を生成する。
また、紹介状に含まれる診療情報が自動で入力される場合、紹介実施機能152は、関連データ抽出機能153によって抽出された診療データに基づいて、紹介状を生成する。図4及び図5は、第1の実施形態に係る関連データ抽出機能153による処理の一例を説明するための図である。
例えば、ユーザによって「患者ID:00001」の紹介状作成が指示されると、関連データ抽出機能153は、図4に示す患者基本情報テーブルから「患者ID:00001」の基本情報「患者ID:00001、生年月日:1973/7/31、年齢:45、性別:男、・・・」を抽出する。
そして、関連データ抽出機能153は、「患者ID:00001」に紐付く診療情報を患者データテーブルから抽出する。例えば、関連データ抽出機能153は、図5に示すように、「患者ID:00001」に対応付けて記憶される診療情報「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:主訴、値:咳、息苦しさ、胸の痛み」、「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:画像、値:Xray001.dcm」、「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:画像所見、値:肺がんの疑い」を患者データテーブルから抽出する。
紹介実施機能152は、上述したように関連データ抽出機能153によって抽出された診療データに基づいて、紹介状を生成する。例えば、紹介実施機能152は、関連データ抽出機能153によって抽出された基本情報「患者ID:00001、生年月日:1973/7/31、年齢:45、性別:男、・・・」と、診療情報「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:主訴、値:咳、息苦しさ、胸の痛み」、「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:画像、値:Xray001.dcm」、「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:画像所見、値:肺がんの疑い」とを用いて、図3に示すような紹介状の各項目に情報を入力した紹介状を生成する。
図1に戻って、類似患者抽出機能154は、紹介状の対象となる患者の情報に基づいて、照会先の診療情報から類似した患者を抽出する。具体的には、類似患者抽出機能154は、関連データ抽出機能153によって抽出された診療データに基づいて、紹介する患者と類似した患者を紹介先診療情報132から抽出する。
図6A及び図6Bは、第1の実施形態に係る類似患者抽出機能154による処理の一例を説明するための図である。例えば、類似患者抽出機能154は、図6Aに示すように、関連データ抽出機能153によって抽出された「患者ID:00001」の基本情報「生年月日:1973/7/31、年齢:45、性別:男、・・・」と、診療情報「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:主訴、値:咳、息苦しさ、胸の痛み」、「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:画像、値:Xray001.dcm」及び「患者ID:00001、入力日:2018/8/1、項目名:画像所見、値:肺がんの疑い」とに基づいて、類似患者群「40代、男性、肺がんの疑い」や、類似患者群「40代、胸の痛み、レントゲン画像に異常」などを抽出する。
また、例えば、類似患者抽出機能154は、図6B示すように、関連データ抽出機能153によって抽出された「患者ID:00002」の基本情報「生年月日:1970/6/14、年齢:48、性別:女、・・・」と、診療情報「患者ID:00002、項目名:主訴、値:めまい、頭痛」、診療情報「患者ID:00002、項目名:血圧、値:90/152」、「患者ID:00002、項目名:画像、値:Image002.dcm」及び「患者ID:00002、項目名:画像所見、値:未破裂動脈瘤の疑い」とに基づいて、類似患者群「女性、高血圧」や、類似患者群「40代、未破裂動脈瘤の疑い」などを抽出する。
ここで、類似患者抽出機能154は、紹介先診療情報132から類似患者を抽出する際に、種々の条件で類似患者を抽出することができる。例えば、類似患者抽出機能154は、予め決められた条件でフィルタリングすることにより、類似患者を抽出する。一例を挙げると、類似患者抽出機能154は、年齢や性別、主訴、画像所見などの診療情報の一致度に基づいて、紹介先診療情報132に記憶された診療情報から、紹介状の対象となる患者と類似した患者を抽出する。すなわち、類似患者抽出機能154は、紹介先診療情報132に含まれる患者のうち、紹介状の対象となる患者の診療情報との一致度が高い診療情報を有する患者を抽出する。
ここで、一致度は、完全一致、部分一致、範囲の一致などが用いられてもよい。例えば、性別特有の疾患の疑いがある場合、性別が完全に一致する患者のみを抽出するように、条件が設定される。また、例えば、主訴については、複数の値(例えば、咳、息苦しさ、胸の痛み)のうち、部分的に一部でも一致する患者を抽出するように、条件が設定される。また、例えば、年齢については、紹介状の患者が属する年代や、患者の年齢の前後5歳の範囲内にある患者を抽出するように、条件が設定される。また、例えば、所見に疾患名が含まれる場合には、当該疾患名が対応付けられた患者をすべて抽出するように、条件が設定されてもよい。
上述したように、類似患者抽出機能154は、患者の診療情報の一致度に基づいて類似患者を抽出するが、診療情報の一致度にスコアを設け、一定のスコア以上或いは、スコア上位から何名分かの類似患者を抽出することもできる。かかる場合には、例えば、比較する診療情報ごとにスコアが設定され、設定されたスコアに基づいて抽出する場合でもよい。一例を挙げると、完全一致が条件となっている診療情報に対して高いスコアが設定され、範囲の一致に対して低いスコアが設定される。また、例えば、部分一致が条件となっている診療情報に対しては、一致する情報それぞれが同一のスコアが設定され、一致する情報の数が多ければ多いほど高いスコアがつくように設定されてもよい。
また、例えば、類似患者抽出機能154は機械学習アルゴリズムによって類似患者を抽出することもできる。かかる場合には、例えば、紹介状の対象となる患者の診療情報と、当該患者情報に対してユーザ(医師)が類似すると指定した診療情報とを学習データとして学習済みモデルが生成され、記憶回路130に記憶される。類似患者抽出機能154は、紹介状の対象となる患者の診療情報を学習済みモデルに入力させることで、診療情報を出力させる。そして、類似患者抽出機能154は、出力された診療情報が対応付けられた患者を、紹介先診療情報132から抽出する。
図1に戻って、使用データ抽出機能155は、紹介状に含まれる診療情報に関連する診療情報を取得する。具体的には、使用データ抽出機能155は、紹介状に含まれる診療情報に関連し、患者を紹介するに当たり、紹介先の医療機関にて求められる診療情報を取得する。より具体的には、使用データ抽出機能155は、紹介先診療情報から紹介状の対象の患者の状態と類似する状態を示す患者の診療情報を取得する。例えば、使用データ抽出機能155は、類似患者抽出機能154によって抽出された類似患者に対応付けられた診療情報から、紹介先の医療機関が診断や検査方針決定で使用したデータ(すなわち、紹介先が使用したいデータ)を抽出する。
図7は、第1の実施形態に係る使用データ抽出機能155による処理の一例を説明するための図である。ここで、図7においては、「患者ID:00001」の患者を紹介する際に、類似患者抽出機能154によって抽出された類似患者群「40代、男性、肺がんの疑い」に相当する患者の診療情報からデータを抽出する場合について示す。例えば、図7に示すように、使用データ抽出機能155は、まず、類似患者群「40代、男性、肺がんの疑い」に相当する患者の診療情報を抽出する。
例えば、使用データ抽出機能155は、類似患者群「40代、男性、肺がんの疑い」に相当する「患者ID:00103」に対応付けられた診療情報「患者ID:00103、入力日:2014/6/12、項目名:主訴、値:咳、息苦しさ」、「患者ID:00103、入力日:2014/6/12、項目名:画像、値:Xray121.dcm」、「患者ID:00103、入力日:2014/6/12、項目名:画像所見、値:肺がんの疑い」、「患者ID:00103、入力日:2014/6/12、項目名:スパイロメトリー(肺機能検査)、値:1秒率:73%、肺活量:82%」を抽出する。同様に、使用データ抽出機能155は、類似患者群「40代、男性、肺がんの疑い」に相当する「患者ID:00145」に対応付けられた診療情報を抽出する。すなわち、使用データ抽出機能155は、類似患者群「40代、男性、肺がんの疑い」に相当する患者の診療情報をすべて抽出する。
そして、使用データ抽出機能155は、抽出した診療情報から紹介先の医療機関が診断や検査方針決定で使用したデータを抽出する。ここで、使用データ抽出機能155は、データの種類及びデータの質について抽出する。例えば、使用データ抽出機能155は、図7に示すように、データの種類として、「主訴」、「X線画像」、「スパイロメトリー」を抽出する。また、例えば、使用データ抽出機能155は、図7に示すように、データの質として、「画像:デジタルコピーであること(フィルムでないこと)」、「画像:非可逆のJPEG圧縮方式でないこと」、「画像:64列以上のマルチスライス型CTで取得していること」を抽出する。
なお、上述したデータの種類及び質はあくまでも一例であり、その他の情報が抽出される場合でもよい。例えば、抽出されるデータの種類「画像」の場合に、「モダリティ種別」、「画像の形式」、「撮影条件」、「解像度」などの画像の付帯情報から抽出できる情報や、「生データ」、「画素値」などの解析結果(腫瘍の位置、血管の狭窄率など)から得られる情報が抽出される場合でもよい。
また、データの質としては、「データ取得頻度」、「データ取得日」、「データ取得期間」、「データの取得方法(自動或いは手動)」が考慮されてもよい。例えば、血圧などのバイタルデータが抽出される場合のデータの質として、「データ取得頻度が一定の頻度(例えば、1日3回)以上であること」、「データ取得日が所定の期間以内(例えば、1年以内)であること」、「データ取得期間が所定の期間以上あること」、「取得方法が自動であること」などが抽出されてもよい。
上述したように、使用データ抽出機能155は、類似患者抽出機能154によって抽出された類似患者群の診療情報から、紹介先の医療機関が診断や検査方針決定で使用したデータを抽出する。
図1に戻って、充分性判定機能156は、使用データ抽出機能155によって抽出されたデータに基づいて、紹介状に含まれる診療情報が、提供先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。具体的には、充分性判定機能156は、使用データ抽出機能155によって抽出されたデータが、紹介状に含まれるか否かを判定する。すなわち、充分性判定機能156は、紹介状の対象となる患者の状態と類似する状態を示す患者に対応付けられたデータが、紹介状に含まれるか否かを判定する。
図8は、第1の実施形態に係る充分性判定機能156による処理の一例を説明するための図である。例えば、充分性判定機能156は、図8に示すように、関連データ抽出機能153によって抽出された診療情報「患者ID:00001、項目名:主訴、値:咳、息苦しさ、胸の痛み」、「患者ID:00001、項目名:画像、値:Image001.dcm」、「患者ID:00001、項目名:画像所見、値:肺がんの疑い」と、使用データ抽出機能155によって抽出されたデータの種類「主訴」、「X線画像」、「スパイロメトリー」及びデータの質「画像:デジタルコピーであること(フィルムでないこと)」、「画像:非可逆のJPEG圧縮方式でないこと」、「画像:64列以上のマルチスライス型CTで取得していること」とを比較して、紹介状に含まれる診療情報が、提供先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。
すなわち、充分性判定機能156は、紹介先の医療機関が診断や検査方針決定で使用するデータが、紹介状に含まれているか否かを判定する。ここで、充分性判定機能156は、例えば、図8に示すように、関連データ抽出機能153の抽出結果と使用データ抽出機能155の抽出結果との比較から、「スパイロメトリーのデータが不足」していると判定する。また、充分性判定機能156は、例えば、図8に示すように、関連データ抽出機能153の抽出結果と使用データ抽出機能155の抽出結果との比較から、「画像が64列以上のマルチスライス型CTで取得していない」と判定する。
そして、充分性判定機能156は、判定結果を制御機能151に送信する。例えば、充分性判定機能156は、紹介先の医療機関に送る紹介状に「スパイロメトリーのデータが不足」していること、及び、紹介状に含まれる画像が「64列以上のマルチスライス型CTで取得していない」ことを制御機能151に送信する。これにより、制御機能151は、紹介元の医療機関に対して不足するデータの情報を提供することができる。
ここで、充分性判定機能156は、紹介元の医療機関において取得可能か否かに基づいて、データ充分性を判定することもできる。具体的には、充分性判定機能156は、紹介先の医療機関にて求められる診療情報が紹介元の医療機関において取得可能か否かをさらに判定し、判定結果に基づいて、紹介状に含まれる診療情報が、紹介先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。
例えば、充分性判定機能156は、図8に示すように、「スパイロメトリーのデータが不足」しているという判定結果と、「画像が64列以上のマルチスライス型CTで取得していない」という判定結果とについて、それぞれ紹介元の医療機関で取得可能であるか否かを判定する。ここで、例えば、「スパイロメトリー:取得可能」、「64列以上のマルチスライス型CT:取得不可能」である場合、充分性判定機能156は、図8に示すように、「スパイロメトリーのデータが不足」しているという判定結果のみを制御機能151に送信する。なお、紹介元において取得可能か否かを判定する場合には、判定するための参照情報が記憶回路130に記憶される。すなわち、充分性判定機能156は、参照情報を参照して、紹介元において取得可能か否かを判定する。
また、例えば、充分性判定機能156は、紹介先において取得されることが推奨されているか否かを判定することもできる。かかる場合には、例えば、記憶回路130が、紹介先での取得が推奨されているデータの情報を含む参照情報を記憶する。充分性判定機能156は、参照情報を参照して、使用データ抽出機能155によって抽出されたデータが、紹介先での取得が推奨されているデータか否かを判定して、紹介先での取得が推奨されているデータの場合に、その旨を示す情報を制御機能151に送信する。
一例を挙げると、充分性判定機能156は、画像が不足していると判定した場合に、不足していると判定した画像について、紹介先において取得されることが推奨されているか否かを判定する。ここで、紹介先において取得されることが推奨されていると判定した場合、充分性判定機能156は、画像が不足しているという判定結果とともに、紹介先において取得されることが推奨されているという判定結果も制御機能151に送信する。なお、充分性判定機能156は、不足していないデータについても、紹介先において取得されることが推奨されているか否かを判定し、判定結果を制御機能151に送信することもできる。
また、充分性判定機能156は、紹介元の医療機関において取得可能か否かを判定したデータについても、さらに紹介先において取得されることが推奨されているか否かを判定することもできる。すなわち、充分性判定機能156は、紹介元の医療機関において取得可能であると判定したデータ、及び、紹介元の医療機関において取得不可能であると判定したデータについて、それぞれ紹介先において取得されることが推奨されているか否かを判定することができる。かかる場合には、充分性判定機能156は、全ての判定結果について、制御機能151に送信する。
制御機能151は、充分性判定機能156による判定結果に基づく情報を紹介元の医療機関に提示するように制御する。具体的には、制御機能151は、判定結果に基づく情報を、紹介状の作成画面及び当該紹介状の対象となる患者の患者情報画面のうち少なくとも一方に提示するように制御する。ここで、制御機能151は、例えば、紹介先の医療機関において求められる診療情報のうち、紹介状に含まれていない診療情報を紹介元の医療機関に提示するように制御する。
図9は、第1の実施形態に係る制御機能151による処理の一例を示す図である。なお、図9においては、紹介状の作成画面に判定結果を表示させる場合を示す。例えば、制御機能151は、図9に示すように、紹介状の作成画面において、「スパイロメトリーに関する情報が不足しています」を表示させる。これにより、紹介元のユーザは、紹介状において不足しているデータが何であるかを一目で確認することができる。その結果、紹介元のユーザは、紹介状を送付する前に、「スパイロメトリーに関する情報」を取得することができる。
図10は、第1の実施形態に係る制御機能151による表示の一例を示す図である。例えば、図9に示す表示に基づいて、ユーザが、該当患者のスパイロメトリーに関する情報を取得する。そして、ユーザが紹介状の作成を再度実行すると、関連データ抽出機能153が、これまで取得済みであった診療情報に加えて、スパイロメトリーに関する情報を抽出する。そして、紹介実施機能152が、関連データ抽出機能153によって抽出された診療情報を用いて紹介状を生成する。制御機能151は、図10に示すように、紹介実施機能152によって生成された紹介状をディスプレイ140に表示させる。これにより、紹介実施機能152は、スパイロメトリーに関する情報を含む紹介状を紹介先に送付することができる。
例えば、制御機能151は、入力インターフェース120を介して紹介実施ボタンが押下された際に紹介状の作成画面を表示させ、紹介先が使用したいデータを強調して表示させるとともに、充分性判定機能156によって不足していると判定されたデータについてはより強調して表示させることも可能である。
また、制御機能151は、紹介先において取得されることが推奨されているか否かの判定結果に基づく情報を表示させることもできる。例えば、制御機能151は、充分性判定機能156によって不足していると判定されたデータに対応付けて、紹介先において取得されることが推奨されていることを示す情報を表示させる。なお、紹介先において取得されることが推奨されていることを示す情報については、該当する全てのデータに対して対応付けて表示させる場合でもよい。
また、制御機能151は、複数の検査結果を含む単一の検査に関する診療情報において、紹介先の医療機関において求められる検査結果のみを紹介元の医療機関に提示するように制御することもできる。図11は、第1の実施形態に係る使用データ抽出機能155による処理の一例を説明するための図である。例えば、図11に示すように、複数の検査値を含む血液検査において、紹介先の医療機関で求められる検査値が限られている場合に、使用データ抽出機能155は、複数の検査値を含む血液検査から紹介先の医療機関で求められる検査値のみを抽出する。
一例を挙げると、紹介状の診療情報に「心臓疾患の疑い」などが含まれている場合、使用データ抽出機能155は、図11に示すように、血液検査の中から血液脂質に関する検査値のみを抽出する。これにより、充分性判定機能156は、血液検査に含まれる種々の検査値のうち、血液脂質に関する検査値のみを対象として判定を行うこととなる。なお、抽出する検査値の種類については、疑われる疾患ごとに抽出対象となる検査値の種類が対応付けられた情報が記憶回路130に格納される。使用データ抽出機能155は、記憶回路130に格納された情報に基づいて、複数の検査値のなかから使用する検査値を抽出する。
なお、疑われる疾患ごとに抽出対象となる検査値の種類が対応付けられた情報は、紹介先の医療機関ごとに生成される場合でもよく、或いは、ガイドラインなどの情報に基づいて、紹介先の医療機関全てに対して共通に生成される場合でもよい。
上述した実施形態では、紹介状の作成画面に充分性判定の結果を表示させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、患者情報画面に表示させる場合でもよい。図12は、第1の実施形態に係る制御機能151による処理の一例を示す図である。例えば、制御機能151は、図12に示すように、患者のスケジュール(クリニカルパスなど)を示す領域と、レポートを示す領域と、処方されている薬剤の情報を示す領域と、検体検査に関する情報を示す領域と、カルテの記載を示す領域とを含む患者情報画面内に、他病院へ紹介する際に紹介実施機能152を機能させるための他病院へ紹介ボタンを表示させる。
そして、ユーザによって他病院へ紹介ボタンが押下されると、紹介実施機能152、関連データ抽出機能153、類似患者抽出機能154、使用データ抽出機能155及び充分性判定機能156が、上述した各処理を実行する。制御機能151は、充分性判定機能156による判定結果に基づいて、例えば、図12に示すように、患者情報画面内にメッセージ「最新のスパイロメトリー情報がありません」を表示させる。
以上、処理回路150が有する各処理機能について説明した。上述した各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路130に記憶される。処理回路150は、各プログラムを記憶回路130から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1に示した各処理機能を有することとなる。
次に、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100による処理の手順を説明する。図13は、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100による処理の手順を示すフローチャートである。
ここで、図13におけるステップS101は、処理回路150が、記憶回路130から紹介実施機能152に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS102は、処理回路150が、記憶回路130から関連データ抽出機能153に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS103は、処理回路150が、記憶回路130から類似患者抽出機能154に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS104は、処理回路150が、記憶回路130から使用データ抽出機能155に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS105は、処理回路150が、記憶回路130から充分性判定機能156に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS106は、処理回路150が、記憶回路130から制御機能151に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。
図13に示すように、ステップS101では、処理回路150が、ユーザから紹介状作成の操作を受け付けたか否かを判定する。ここで、紹介状作成の操作を受け付けると(ステップS101肯定)、処理回路150は、紹介先におけるデータを抽出する(ステップS102)。なお、紹介状作成の操作を受け付けるまで、処理回路150は待機状態である(ステップS101否定)。
そして、処理回路150は、紹介先で類似する被検体を抽出して(ステップS103)、類似する被検体の過去データを抽出する(ステップS104)。その後、処理回路150は、紹介先に送るデータの充分性を判定し(ステップS105)、判定結果をディスプレイ140に表示させる(ステップS106)。
上述したように、第1の実施形態によれば、使用データ抽出機能155は、紹介状に含まれる診療情報に関連する参照情報を取得する。充分性判定機能156は、参照情報に基づいて、紹介状に含まれる診療情報が、提供先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。制御機能151は、充分性判定機能156による判定結果に基づく情報を紹介元の医療機関に提示するように制御する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介先の医療機関が診断や検査方針決定に用いるデータを診療情報から判定して、判定結果を紹介元に提示することで、紹介先が求めるデータを紹介元にて事前に取得することができ、紹介先にとって適切な診療情報を含む紹介状を提供することを可能にする。
この結果、紹介元の医療機関において、紹介先の医師が行う診断や、検査方針の決定に必要なデータを事前に揃えることができ、紹介先での患者の状態把握をスムーズに行うことを可能にするとともに、患者の冗長検査の負荷を低減することができる。本実施形態に係る電子カルテシステム100では、紹介元で疾患名が決まっていない場合にも、紹介先にとって適切な診療情報を含む紹介状を提供することができ、検査の負荷分散が可能になり、紹介先での負担を低減することもできる。
また、第1の実施形態によれば、使用データ抽出機能155は、紹介状に含まれる診療情報に関連し、紹介先の医療機関にて求められる診療情報を示す参照情報を取得する。充分性判定機能156は、参照情報に含まれる診療情報が、紹介状に含まれるか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介先にて求められるデータの取得を精度よく行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、使用データ抽出機能155は、紹介先の医療機関における診療情報から、紹介状の対象となる被検体の状態と類似する状態を示す被検体の診療情報を示す参照情報を取得する。充分性判定機能156は、紹介状の対象となる被検体の状態と類似する状態を示す被検体に対応付けられた診療情報が、紹介状に含まれるか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介先の医療機関ごとに求められるデータが異なる場合でも、求められるデータを精度よく取得することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、充分性判定機能156は、紹介先の医療機関にて求められる診療情報が紹介元の医療機関において取得可能か否かをさらに判定し、判定結果に基づいて、紹介状に含まれる診療情報が、紹介先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介元の状況に応じた情報を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、使用データ抽出機能155は、データの種類及びデータの質を含む参照情報を取得する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介先の医療機関が求めるデータを精度よく取得することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能151は、判定結果に基づく情報を、紹介状の作成画面及び当該紹介状の対象となる被検体の被検体情報画面のうち少なくとも一方に提示するように制御する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介先の適切なタイミングで情報を表示することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能151は、紹介先の医療機関において求められる診療情報のうち、紹介状に含まれていない診療情報を紹介元の医療機関に提示するように制御する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、不足したデータの情報を明確に表示することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能151は、複数の検査結果を含む単一の検査に関する診療情報において、紹介先の医療機関において求められる検査結果のみを紹介元の医療機関に提示するように制御する。従って、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100は、紹介先で求められる検査値の情報を明確に表示することを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、紹介先診療情報に基づいて、紹介先で使用されると思われるデータを抽出し、抽出したデータに基づいて、充分性を判定する場合について説明した。第2の実施形態では、紹介先で実際に使用されたか否かの情報をさらに用いて充分性を判定する場合について説明する。図14は、第2の実施形態に係る電子カルテシステム100の構成の一例を示す図である。なお、第2の実施形態に係る電子カルテシステム100は、第1の実施形態に係る電子カルテシステム100と比較して、記憶回路130に使用データ133を記憶する点と、使用データ抽出機能155及び充分性判定機能156による処理内容とが異なる。以下、これらの点を中心に説明する。
使用データ133は、紹介状を送付して連携医療が実施された際に、紹介状に含まれる診療情報のうち実際に使用されたデータを示す情報である。例えば、使用データ133は、紹介状に含まれる各診療情報に対して実際に使用されたか否かを示す情報が対応付けられた情報である。なお、使用データ133は、紹介状を送付するごとに返信される結果の情報に基づいて生成される場合でもよい。
第2の実施形態に係る使用データ抽出機能155は、紹介状を提供した提供先の医療機関において、当該紹介状に含まれる診療情報のうち実際に使用された診療情報に関する使用履歴情報を取得する。具体的には、使用データ抽出機能155は、現時点で紹介の対象となっている患者と類似した患者の情報を使用データ133から取得する。例えば、使用データ抽出機能155は、類似患者抽出機能154と同様に処理により、使用データ133から現時点で紹介の対象となっている患者と類似した患者を抽出し、抽出した患者に対応付けられた診療情報ごとの使用履歴の情報を取得する。
第2の実施形態に係る充分性判定機能156は、参照情報及び使用履歴情報に基づいて、新たな紹介状に含まれる診療情報が、紹介先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。具体的には、充分性判定機能156は、関連データ抽出機能153による抽出結果と、使用データ抽出機能155による抽出結果に加えて、使用データ133をさらに用いて充分性を判定する。一例を挙げると、充分性判定機能156は、使用データ133において、紹介状には含まれていたが実際には使用されなかったデータの情報を取得する。そして、例えば、同様の患者について紹介状を送付する際に生成された紹介状に、以前使用されなかったデータが含まれている場合、充分性判定機能156は、当該データが使用されなかったデータであることを示す判定結果を制御機能151に送信する。
また、例えば、同様の患者について紹介状を送付する際に生成された紹介状において、不足しているデータがあり、かつ、当該データが以前使用されなかったデータであると判定した場合、充分性判定機能156は、データの不足がないものと判定する。すなわち、充分性判定機能156は、使用データ133において使用されなかったデータとして記憶されているデータについては、不要なデータとして判定する。
第2の実施形態に係る制御機能151は、充分性判定機能156による判定結果に基づいて、紹介元に情報を提示する。例えば、紹介状に含まれるデータに対して、使用されなかったデータであることを示す判定結果が送信された場合、制御機能151は、当該データに対して使用されなかったデータであることを示す情報を付加して表示させる。また、例えば、充分性判定機能156によってデータの不足がないものと判定された場合には、データの不足を示す情報を表示させない。
上述したように、第2の実施形態によれば、使用データ抽出機能155は、紹介状を提供した提供先の医療機関において、当該紹介状に含まれる診療情報のうち実際に使用された診療情報に関する使用履歴情報を取得する。充分性判定機能156は、参照情報及び使用履歴情報に基づいて、新たな紹介状に含まれる診療情報が、紹介先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定する。従って、第2の実施形態に係る電子カルテシステム1は、より適切な診療情報を含む紹介状を提供することを可能にする。
(その他の実施形態)
さて、これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、紹介元の医療機関における電子カルテシステム100が各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、紹介先の医療機関における電子カルテシステム200が各処理を実行する場合でもよい。かかる場合には、電子カルテシステム200における処理回路が、上述した制御機能151と、類似患者抽出機能154と、使用データ抽出機能155と、充分性判定機能156とを実行する。すなわち、電子カルテシステム200における処理回路が、電子カルテシステム100から紹介状を受信すると、紹介状に含まれる診療情報が紹介先の医療機関において充分な情報であるか否かを判定し、判定結果を紹介元の医療機関に送信して、表示させる。
また、上述した実施形態では、紹介元の医療機関から紹介先の医療機関に対して送付する紹介状に含まれる診療情報を対象とする場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、紹介元の医療機関と紹介先の医療機関とが逆になるパターンにも適用することができる。一例を挙げると、まず、電子カルテシステム100が配置された医療機関から電子カルテシステム200が配置された医療機関に紹介状が送付され、その際の紹介状に含まれる診療情報について、上述した各処理が実行されて、充分性が判定される。
そして、その後、当該患者について、電子カルテシステム200が配置された医療機関から電子カルテシステム100が配置された医療機関に逆紹介される際に、その紹介状に含まれる診療情報について、上述した各処理が実行されて、充分性が判定される。例えば、最初の紹介によって、電子カルテシステム200が配置された医療機関に患者が入院し、退院時の逆紹介の際に、上述した処理が実行される。すなわち、電子カルテシステム200から送信される逆紹介の紹介状に含まれる診療情報が、電子カルテシステム100が配置された医療機関にとって充分な情報であるか否かを判定する。
また、図1、図14では、上述した各処理機能が単一の処理回路150によって実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路150は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路150が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路130に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路130にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意された医用情報処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路130等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、後述する各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
このように、本願に係るプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供させることができる。ここで、予めいくつかの紹介先の情報(紹介先診療情報など)を記憶媒体に記憶させておくことで、紹介先が決まっていない場合でも対応することが可能となる。
例えば、上述した実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、適切な診療情報を含む診療情報提供書を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。