本開示の実施形態に係る充電装置、点灯装置及び非常用照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
まず、実施形態に係る非常用照明器具X1について、図1-図2を参照して説明する。実施形態に係る非常用照明器具X1(以下、照明器具X1と略す。)は、例えば、建物の避難経路となる階段の踊り場の壁に設置される、いわゆる階段通路誘導灯である。ただし、照明器具X1は階段通路誘導灯に限定されない。以下の説明では、特に断りのない限り、図1に矢印で示す向きにおいて照明器具X1の前後、上下、左右の各方向を規定する。すなわち、鉛直方向を照明器具X1の上下方向とし、壁の法線方向を照明器具X1の前後方向とし、壁に正対したときの左右方向を照明器具X1の左右方向とする。
照明器具X1は、図1及び図2に示すように、器具本体1、カバー2、常用光源ユニット3、非常用光源ユニット4、センサ装置5、回路ブロック6、非常用電源7及びスイッチブロック8を備える。以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
常用光源ユニット3は、二つの第1LEDモジュール30、二つのレンズブロック31、取付板32、常用点灯装置及び二つの引掛金具を有する(図2参照)。二つの第1LEDモジュール30はそれぞれ、長尺の長方形状に形成されている基板と、基板の表面(前面)に実装されている複数のLED(Light Emitting Diode)とを有する。二つのレンズブロック31はそれぞれ、ベース部と、複数のレンズを有している。
取付板32は、二つの第1LEDモジュール30及び二つのレンズブロック31がそれぞれ取り付けられる取付部320と、カバー2が固定される一対の固定片321とを有する(図2参照)。取付部320は、長方形の平板状に形成されている。取付部320の長手方向の中央に、四角形状の窓孔322が設けられている。窓孔322は、取付部320を厚み方向(前後方向)に貫通している。一対の固定片321はそれぞれ、長方形の平板状に形成されている。各固定片321は、取付部320の上端縁と下端縁から一つずつ後方に向かって突出している。各固定片321の長手方向(左右方向)の中央及び両端のそれぞれにねじ孔323が一つずつ設けられている。なお、取付部320と一対の固定片321は、一枚の金属板が打ち抜き加工及び曲げ加工されることによって一体に形成されることが好ましい。
常用点灯装置は、系統電源などの常用電源PS(図3参照)から供給される交流電力を直流電力に電力変換し、当該直流電力を第1LEDモジュール30に供給して第1LEDモジュール30を点灯させるように構成される。常用点灯装置は、金属製のケースを有する。ケースにはプリント回路が収容されている。プリント回路は、電力変換を行う電力変換回路、第1LEDモジュール30に供給する直流電流を定電流化する定電流回路などを構成している。二つの引掛金具はそれぞれ、帯状の金属板が曲げ加工されることでJ字状に形成されている。
二つの第1LEDモジュール30及び二つのレンズブロック31はそれぞれ、取付板32の取付部320の前面に取り付けられる。レンズブロック31のベース部に設けられた複数の穴にそれぞれ固定ねじが挿通される。これら複数本の固定ねじのそれぞれが、ベース部に設けられている複数のねじ孔に一本ずつねじ込まれることにより、レンズブロック31が取付部320に固定される。一方、第1LEDモジュール30は、レンズブロック31が取付部320に固定される際、取付部320とレンズブロック31のベース部に挟まれることで取付部320に取り付けられる。
ここで、第1LEDモジュール30の複数のLEDの各々は、前方からみて、レンズブロック31の複数のレンズの各々と一つずつ重なっている。つまり、個々のLEDから放射される照明光の配光特性は、個々のレンズによって制御される。
常用点灯装置は、取付部320の後面にケースがねじ止めされることで取付板32に取り付けられる。二つの引掛金具はそれぞれ、取付部320の後面に取り付けられる。
また、取付板32にはカバー2が取り付けられる。カバー2は、カバー本体20と一対の突壁21を有する(図2参照)。カバー本体20は、後面が開口した長尺の箱状に形成されている。一対の突壁21はそれぞれ、四角形状に形成されている。一方の突壁21は、カバー本体20の左側壁203の後端から後方に突出している。他方の突壁21は、カバー本体20の右側壁204の後端から後方に突出している。カバー2が取付板32に取り付けられた状態では、カバー本体20の後面が取付板32で塞がれる。そして、二つの第1LEDモジュール30から放射される照明光は、カバー本体20を透過して空間(階段室の踊り場及び階段など)に照射される。
器具本体1は、背板10、上側板11及び下側板12を有して角とい状に形成されている。背板10、上側板11及び下側板12はそれぞれ、互いに長さの等しい長尺の長方形状に形成されている。上側板11は、背板10の長手方向に沿った一方の端(上端)から前方へ突出し、下側板12は、背板10の長手方向に沿った他方の端(下端)から前方へ突出している。ただし、背板10、上側板11及び下側板12は、一枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されることが好ましい。
背板10の前面に二つの受け金具13が設けられている(図2参照)。二つの受け金具13はそれぞれ、四角形状の枠部130と、枠部130の上端及び下端のそれぞれから後方に突き出た一対の脚部131とを有している。なお、枠部130と一対の脚部131は、一枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。受け金具13は、一対の脚部131の後端が背板10の前面に接合されることにより、枠部130が背板10から離れた状態で背板10に固定されている。
下側板12の長手方向の中央に第1窓121が設けられ、下側板12の左端に第2窓122が設けられている。第1窓121及び第2窓122はそれぞれ、長手方向を下側板12の長手方向(左右方向)に一致させた長尺の角穴状に形成されている。
背板10の前面における中央付近に複数の端子台14、15が取り付けられている。右側の端子台14の一次側の端子に、常用電源PSから給電するための電源線が電気的に接続される。左側の端子台15の一次側の端子は、端子台14の一次側の端子から送り配線されることで電源線と電気的に接続される。右側の端子台14の二次側の端子は、常用点灯装置の入力端子と電気的に接続される。左側の端子台15の二次側の端子は、回路ブロック6の入力端子と電気的に接続される。
非常用光源ユニット4は、図2に示すように、二つの第2LEDモジュール、二つのLEDホルダ、導光体43、二つの放熱板44、反射体45及びパネル46を有する。
二つの第2LEDモジュールはそれぞれ、チップ・オン・ボード(Chip on Board)型の照明用白色LEDである。二つの第2LEDモジュールはそれぞれ、LEDホルダに保持されて放熱板44に取り付けられる。二つの放熱板44のそれぞれに、LEDホルダに保持された第2LEDモジュールが一つずつ取り付けられる。放熱板44はそれぞれ、アルミ板のような熱の良導体で形成され、第2LEDモジュールが発する熱を効率的に放熱する。
導光体43は、例えば、石英ガラス又はケイ酸塩ガラスなどの無機ガラスによって角柱状に形成されている。あるいは、導光体43は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料で形成されても構わない。
反射体45は、三つの反射板を有して角とい状に形成されている。反射体45は、三つの反射板に囲まれた空間に導光体43を収容する。
パネル46は、透光性を有する不燃材料、例えば、石英ガラス又はケイ酸塩ガラスなどの無機ガラスによって長方形の平板状に形成されている。パネル46は、第1窓121を覆うように下側板12の上面における長手方向(左右方向)の中央に配置される。
非常用光源ユニット4は、パネル46を介して第1窓121に導光体43を対向させるようにして器具本体1の長手方向の中央に収容される。非常用光源ユニット4は、二つの第2LEDモジュールから放射される照明光を導光体43の二つの底面から導光体43に入射させる。導光体43に入射した照明光は、導光体43内を進行しつつ導光体43の側面から出射する。導光体43から出射する照明光の一部は、反射体45で反射せずにパネル46及び第1窓121を通して器具本体1の下方に照射される。また、導光体43から出射する照明光の残りは、反射体45で反射して器具本体1の下方に照射される。
センサ装置5は、ドップラー効果を利用した電波式センサである。センサ装置5は、送信アンテナからマイクロ波帯(24GHz帯)の無変調連続波の電波(送信波)を送信し、物体に反射した電波(反射波)を受信アンテナで受信する。送信波が移動体で反射した場合、ドップラー効果によって送信波と反射波の間に移動体の移動速度に応じた周波数差が生じる。センサ装置5は、前記周波数差に基づいて移動体(主に階段を昇降する人であるが、人によって開閉される階段室の扉も含まれる。)の存在を検出する。センサ装置5は、移動体の存在を検出しているときに制御装置に検出信号を出力する。
センサ装置5は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路を含むセンサ回路と、センサ回路を収容する外郭50とを有する。センサ回路は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路が1枚のプリント配線板に実装されたプリント回路で構成される。外郭50は、例えばポリスチレン(polystyrene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の合成樹脂材料によって直方体状に形成されている。センサ回路は、送信アンテナ及び受信アンテナを外郭50の前面に対向させるように外郭50内に収容されている。つまり、送信アンテナから送信される電波は、外郭50の前面を通して放射される。同様に、物体に反射した電波(反射波)は、外郭50の前面を通して受信アンテナに受信される。
センサ装置5は、器具本体1の長手方向(左右方向)の中央に収容される。そして、センサ装置5の前端部分が常用光源ユニット3の取付板32の窓孔322を通して取付部320の前方へ突出する。つまり、センサ装置5は、金属製の取付板32に遮られることなく、カバー2を通して電波を送受信することができる。
非常用電源7は、例えば、複数本の蓄電池71と、これら複数本の蓄電池71を収容した電池ケース70を有する(図2及び図3参照)。複数本の蓄電池はそれぞれ、例えば、乾電池型のニッケル水素蓄電池である。電池ケース70は、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料で筒状に形成されている。非常用電源7は、例えば、器具本体1の左端に収容される(図2参照)。
スイッチブロック8は、合成樹脂製のハウジング80内に回路基板を収容して構成されている(図2参照)。当該回路基板には、二つの押しボタンスイッチ、モニタランプ、赤外線受光素子などが実装されている。モニタランプは、例えば、緑色光を放射するLEDチップを有している。赤外線受光素子は、赤外線を通信媒体とする制御信号を受信(受光)し、受信した制御信号から送信フレームを復調するように構成されている。この制御信号は、定期点検の作業を行う作業者に操作されるリモートコントローラから送信される。
ハウジング80は、合成樹脂材料によって箱状に形成されている。ハウジング80の下面に四つの孔が開口している。これら四つの孔のうちの二つの孔に操作部材81が一つずつはめ込まれている。これら二つの操作部材81は、ハウジング80の下面に対して押し込み可能となるようにハウジング80に支持されている。したがって、一方の操作部材81が押し込まれると一方の押しボタンスイッチがオンされ、他方の操作部材81が押し込まれると他方の押しボタンスイッチがオンされる。また、残り二つの孔に、モニタランプと赤外線受光素子がそれぞれ一対一で対向している。つまり、モニタランプから放射される緑色光が一方の孔を通してハウジング80の外に出射される。また、リモートコントローラから送信される制御信号が他方の孔を通して赤外線受光素子で受信(受光)される。
スイッチブロック8は、器具本体1内において非常用電源7の右隣に収容される。ただし、スイッチブロック8は、下側板12の第2窓122からハウジング80の下面(二つの操作部材81及び二つの孔)を器具本体1の外に露出させる(図1及び図2参照)。
回路ブロック6は、図3に示すように、本開示の実施形態に係る点灯装置である非常用点灯装置62、及び制御装置60を備える。また、非常用点灯装置62は、本開示の実施形態に係る充電装置61を備えている。
充電装置61は、常用電源PSから供給される常用電力(交流電力)を直流電力に電力変換し、電力変換した直流電力で非常用電源7を充電する。非常用点灯装置62は、制御装置60からの指示に従い、充電装置61を介して非常用電源7から供給される非常用電力(直流電力)で非常用光源ユニット4を点灯させる。
制御装置60は、例えば、マイクロコントローラを有している。制御装置60は、常用点灯装置33に入力する電圧を検出することによって常用電源PSが停電しているか否かを判断する。制御装置60は、常用電源PSが停電していないと判断すれば、充電装置61に非常用電源7を充電させ、かつ、常用点灯装置33に常用光源ユニット3の二つの第1LEDモジュール30を点灯させる。また、制御装置60は、充電装置61に非常用電源7を充電させている間、スイッチブロック8のモニタランプを点灯させる。一方、制御装置60は、常用電源PSが停電していると判断すれば、充電装置61に非常用電源7の充電を中止させ、かつ、非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4を点灯させる。
また、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されていない場合、常用点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値の約半分とする。一方、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されている場合、常用点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値とする。なお、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されなくなった時点から所定時間が経過するまでは常用点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値に維持することが好ましい。
さらに、制御装置60は、スイッチブロック8の二つの押しボタンスイッチのいずれかがオンしたとき、充電装置61に非常用電源7の充電を中止させ、かつ、非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4を点灯させる。ただし、制御装置60は、一方の押しボタンスイッチがオンしている間だけ非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4を点灯させる。制御装置60は、他方の押しボタンスイッチがオンされると自己点検を開始し、所定時間(30分又は60分)が経過するまで非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4を点灯させる。なお、制御装置60は、スイッチブロック8の赤外線受光素子が制御信号を受信した場合も前記自己点検を開始する。
回路ブロック6は、金属製のケース63を有する(図2参照)。ケース63内にプリント回路板が収容されている。プリント回路板は、制御装置60及び非常用点灯装置62を構成している。回路ブロック6は、器具本体1内における非常用光源ユニット4の左隣に収容される(図2参照)。
非常用点灯装置62は、整流回路620、DC/DCコンバータ621、コンバータ制御回路622、非常用点灯回路623及び充電装置61を備える(図3参照)。整流回路620は、常用電源PSから供給される交流電圧を全波整流する。なお、整流回路620の出力端にはコンデンサC1が電気的に接続されている。
DC/DCコンバータ621は、コンデンサC1の両端電圧(第1直流電圧V1)を降圧する。DC/DCコンバータ621は、例えば、フライバックコンバータである。ただし、DC/DCコンバータ621は、降圧チョッパ回路などであっても構わない。DC/DCコンバータ621の出力端に平滑用のコンデンサC2が電気的に接続されている。DC/DCコンバータ621から出力されてコンデンサC2で平滑された直流電圧(第2直流電圧V2)が充電装置61と制御装置60の双方に供給される。つまり、第2直流電圧V2は、制御装置60のマイクロコントローラ等を動作させるための制御電圧である。ただし、第2直流電圧V2は、センサ装置5及びスイッチブロック8に対しても制御電圧として供給されることが好ましい。
コンバータ制御回路622は、第2直流電圧V2を目標電圧に一致させるようにDC/DCコンバータ621を制御する。
充電装置61は、充電回路610、充電制御回路611、検出回路612、制御回路613、一対の入力端子T11、T12及び一対の出力端子T21、T22を備える(図3参照)。入力端子T11にコンデンサC2の高電位側の端子が電気的に接続され、入力端子T12にコンデンサC2の低電位側の端子が電気的に接続されている。
充電回路610は、二つのバイポーラトランジスタ(第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2)を有する(図4参照)。第1トランジスタQ1のコレクタと第2トランジスタQ2のコレクタが電気的に接続され、第1トランジスタQ1のベースと第2トランジスタQ2のエミッタが電気的に接続されている。つまり、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がダーリントン接続されて、いわゆるダーリントントランジスタを構成している。充電回路610は、コンデンサC11、抵抗器R11及び抵抗器R12を更に有している。コンデンサC11と抵抗器R11は、第1トランジスタQ1のエミッタと第2トランジスタQ2のベースに互いに電気的に並列接続されている。抵抗器R12の第1端が、第2トランジスタQ2のベースに電気的に接続されている。なお、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のコレクタは、高電位側の入力端子T11と電気的に接続されている。
充電制御回路611は、カレントミラー回路CM、二つのオペアンプOP1、OP2、バイポーラトランジスタQ3、三つの抵抗器R21、R22、R23を有する。
カレントミラー回路CMは、二つの電流経路(入力側の電流経路と出力側の電流経路)を有し、それぞれの電流経路に等しい電流を流すように構成されている。入力側の電流経路とグランド(低電位側の入力端子T12)の間にNPN型のバイポーラトランジスタQ3と抵抗器R21が電気的に直列接続されている。バイポーラトランジスタQ3のコレクタは、カレントミラー回路CMの入力側の電流経路と電気的に接続されている。バイポーラトランジスタQ3のエミッタは、抵抗器R21の第1端及びオペアンプOP1の反転入力端子(マイナス端子)とそれぞれ電気的に接続されている。なお、オペアンプOP1の非反転入力端子(プラス端子)は、制御回路613と電気的に接続されている。
カレントミラー回路CMの出力側の電流経路は、オペアンプOP2の非反転入力端子と抵抗器R22の第1端に電気的に接続されている。オペアンプOP2の出力端子は、充電回路610の抵抗器R12を介してトランジスタQ2のベースと電気的に接続されている。また、オペアンプOP2の反転入力端子は、抵抗器R23の第1端と電気的に接続されている。抵抗器R23の第2端は、高電位側の出力端子T21及び抵抗器R22の第2端と電気的に接続されている。なお、抵抗器R23の第1端は、充電回路610のトランジスタQ2のエミッタと電気的に接続されている。
オペアンプOP1は、抵抗器R21における電圧降下を、オペアンプOPの非反転入力端子に入力する電圧に等しくするにようにバイポーラトランジスタQ3のコレクタ電流(カレントミラー回路CMの入力側の電流経路に流れる電流)を調整する。
オペアンプOP2は、カレントミラー回路CMの出力側の電流経路に流れる電流(バイポーラトランジスタQ3のコレクタ電流と等しい電流)と抵抗器R23に流れる電流(充電電流Ic)の差分に応じた電圧を出力する。
充電回路610の第2トランジスタQ2のベース電流は、抵抗器R21に印加されるオペアンプOP2の出力電圧によって調整される。つまり、充電制御回路611は、制御回路613からオペアンプOP1の非反転入力端子に入力する電圧に対応した目標値に充電電流Icを一致させるように充電回路610を制御する。
検出回路612は、一対の出力端子T21、T22と蓄電池71が電気的に接続されているか否かを検出する。検出回路612は、四つの抵抗器R31、R32、R33及びR34とコンパレータCPを有している。コンパレータCPの非反転入力端子(プラス端子)は、抵抗器R31の第2端及び抵抗器R32の第1端と電気的に接続されている。抵抗器R31の第1端は、定電圧源と電気的に接続されている。抵抗器R32の第2端は、グランドと電気的に接続されている。つまり、二つの抵抗器R31、R32は、定電圧源から印加される定電圧Vk(例えば、2.5Vの直流電圧)を分圧した基準電圧VrをコンパレータCPの非反転入力端子に入力する。
コンパレータCPの反転入力端子(マイナス端子)は、抵抗器R33の第2端及び抵抗器R34の第1端と電気的に接続されている。抵抗器R33の第1端は、高電位側の出力端子T21と電気的に接続されている。抵抗器R34の第2端は、グランド(低電位側の出力端子T22)と電気的に接続されている。つまり、二つの抵抗器R33、R34は、一対の出力端子T21、T22間に印加される電圧(例えば、蓄電池71の電池電圧)をコンパレータCPの反転入力端子に入力する。
しかして、一対の出力端子T21、T22に蓄電池71が電気的に接続されていない場合、出力端子T21の電位は、高電位側の入力端子T11の電位に等しくなる。入力端子T11、T12には第2直流電圧V2が印加されているので、コンパレータCPの反転入力端子に入力される電圧は、第2直流電圧V2を二つの抵抗器R33、R34で分圧した電圧となる。一方、一対の出力端子T21、T22に蓄電池71が電気的に接続されている場合、出力端子T21の電位は、蓄電池71の電池電圧に等しくなる。ゆえに、コンパレータCPの反転入力端子に入力される電圧は、蓄電池71の電池電圧を二つの抵抗器R33、R34で分圧した電圧となる。ここで、基準電圧Vrは、満充電状態の蓄電池71の電池電圧を分圧した電圧よりも高く、かつ、第2直流電圧V2を分圧した電圧よりも低い電圧に設定されている。
したがって、検出回路612の出力電圧(検出電圧Vx)は、一対の出力端子T21、T22に蓄電池71が電気的に接続されていないときにローレベルとなり、一対の出力端子T21、T22に蓄電池71が電気的に接続されているときにハイレベルとなる。
制御回路613は、二つの抵抗器R41、R42とコンデンサC41を有している。抵抗器R41の第2端と抵抗器R42の第1端は、充電制御回路611のオペアンプOP1の非反転入力端子及び検出回路612のコンパレータCPの出力端子と電気的に接続されている。抵抗器R42の第2端は、コンデンサC41の第1端と電気的に接続されている。コンデンサC41の第2端は、グランドと電気的に接続されている。そして、抵抗器R41の第1端とグランドの間に定電圧Vm(例えば、5Vの直流電圧)が印加されている。
すなわち、制御回路613は、検出回路612から充電制御回路611に出力される検出電圧Vxがローレベルからハイレベルに変化する際、検出電圧Vxをローレベルからハイレベルに漸増させている。ここで、検出回路612の検出電圧Vxが制御回路613を介さずに充電制御回路611に直接入力された場合、充電電流Icが急激に増加することによって、DC/DCコンバータ621の出力電圧(第2直流電圧V2)が急激に低下する可能性がある。第2直流電圧V2が急激に低下した場合、制御装置60及びセンサ装置5に供給される制御電圧(第2直流電圧V2)も急激に低下するため、制御装置60及びセンサ装置5が停止してしまう可能性がある。これに対して、制御回路613が検出電圧Vx(充電電流Icの目標値)を緩やかに立上げることにより、蓄電池71の接続時における制御電圧(第2直流電圧V2)の変動を抑制することができる。言い換えると、抑制回路に相当する制御回路613が、検出回路612が接続の有ることを検出したときから所定の待機期間が経過するまでの間、制御電圧(第2直流電圧V2)の変動を抑制している。なお、所定の待機時間は、制御回路613を構成する抵抗器R41、R42及びコンデンサC41の時定数によって決まる。
次に、本開示の実施形態に係る充電装置61の変形例について、図5を参照して詳細に説明する。ただし、変形例の充電装置61の基本的な回路構成は、実施形態に係る充電装置61の回路構成と共通している。したがって、変形例の充電装置61の回路構成において、実施形態に係る充電装置61の回路構成と共通する部分については、同一の符号を付して適宜図示及び説明を省略する。
変形例の充電装置61は、実施形態に係る充電装置61の制御回路613に代えて抑制回路614を備えている。また、変形例の充電装置61は、DC/DCコンバータ621とコンバータ制御回路622を構成要素としている。
DC/DCコンバータ621は、トランスT1、スイッチング素子Q7、抵抗器R71、R72、コンデンサC71~C73、ダイオードD71などを有する。スイッチング素子Q7は、例えば、IPD(Intelligent Power Device)が好ましい。
トランスT1の1次巻線N1の第1端がコンデンサC1の第1端(高電位側の入力端子T11)と電気的に接続されている。トランスT1の1次巻線N1の第2端とグランド(低電位側の入力端子T12)の間にスイッチング素子Q7が電気的に接続されている。トランスT1の2次巻線N2の第1端にダイオードD71のアノードが電気的に接続されている。トランスT1の2次巻線N2の第2端にコンデンサC2の第2端が電気的に接続されている。ダイオードD71のカソードとコンデンサC2の第1端が電気的に接続されている。すなわち、DC/DCコンバータ621は、絶縁型のフライバックコンバータとして構成されている。スイッチング素子Q7がオンしているときにトランスT1の1次巻線N1に電流が流れてトランスT1にエネルギーが蓄積される。そして、トランスT1に蓄積されたエネルギーは、スイッチング素子Q7がオフしたときに2次巻線N2からダイオードD71を介してコンデンサC2(出力端子T21、T22)に出力される。
なお、トランスT1の補助巻線N3、ダイオードD72、抵抗器R72及びコンデンサC73によって、スイッチング素子Q7を動作させるための直流電源が作成されている。
スイッチング素子Q7のフィードバック端子とグランドの間に、コンデンサC71が電気的に接続されている。また、抵抗器R71の第1端がスイッチング素子Q7のフィードバック端子と電気的に接続され、抵抗器R71の第2端がコンデンサC72の第1端と電気的に接続されている。コンデンサC72の第2端は、グランドと電気的に接続されている。
スイッチング素子Q7のフィードバック端子は、フォトトランジスタ626のエミッタと電気的に接続されている。フォトトランジスタ626のコレクタは、コンデンサC73の第1端と電気的に接続されている。
スイッチング素子Q7は、フィードバック端子に入力する電圧(フィードバック電圧)がしきい値を超えるとオフし、フィードバック電圧がしきい値を下回るとオンする。なお、スイッチング素子Q7の1回当たりのオン期間は、コンデンサC72の充電速度(フォトトランジスタ626を通して流れるコンデンサC72の充電電流の大きさ)によって決まる。つまり、コンデンサC72の充電電流が小さくなるほど、スイッチング素子Q7のオン期間が長くなり、スイッチング素子Q7のオン期間が長くなるにつれて、DC/DCコンバータ621の出力電圧(第2直流電圧V2)が上昇する。
コンバータ制御回路622は、LED625とフォトトランジスタ626からなるフォトカプラと、フォトカプラを駆動するための駆動回路とを有している。駆動回路は、シャントレギュレータ624と、五つの抵抗器R61~R65と、一つのコンデンサC61とを有している。シャントレギュレータ624のアノードがグランド(低電位側の出力端子T22)と電気的に接続されている。シャントレギュレータ624のカソードは、抵抗器R62の第2端とLED625のカソードと電気的に接続されている。シャントレギュレータ624のリファレンス端子は、抵抗器R64の第2端と抵抗器R65の第1端に電気的に接続されている。抵抗器R64の第1端は高電位側の出力端子T21と電気的に接続されている。抵抗器R65の第2端は、シャントレギュレータ624のアノードと電気的に接続されている。LED625のアノードと抵抗器R62の第1端は抵抗器R61を介してコンデンサC2の高電位側の一端(高電位側の出力端子T21)と電気的に接続されている。抵抗器R63の第1端が抵抗器R64の第2端及び抵抗器R65の第1端と電気的に接続されている。抵抗器R63の第2端は、コンデンサC61を介してシャントレギュレータ624のカソードと電気的に接続されている。
駆動回路は、二つの抵抗器R64、R65で分圧されてシャントレギュレータ624のリファレンス端子に入力する電圧が、シャントレギュレータ624の基準電圧を超えたときにLED625に電流を流すように構成されている。駆動回路がフォトカプラのLED625を駆動することにより、フォトトランジスタ626が導通してスイッチング素子Q7がオフする。
抑制回路614は、NPN型のバイポーラトランジスタからなるスイッチング素子Q4と、二つの抵抗器R51、R52と、コンデンサC51とを有している。スイッチング素子Q4のコレクタは、コンバータ制御回路622におけるLED625のアノードと電気的に接続されている。スイッチング素子Q4のエミッタは、グランド(低電位側の出力端子T22)及び抵抗器R52の第2端と電気的に接続されている。スイッチング素子Q4のベースは、抵抗器R51の第2端及び抵抗器R52の第1端と電気的に接続されている。抵抗器R51の第1端は、コンデンサC51の第1端と電気的に接続されている。コンデンサC51の第2端は、検出回路612の出力端子(コンパレータCPの出力端子)と電気的に接続されている。なお、検出回路612におけるコンパレータCPの出力端子は、抵抗器R35を介して定電圧Vmにプルアップされている。
しかして、検出回路612の検出電圧Vxがローレベルのとき、抑制回路614のコンデンサC51、抵抗器R51、R52に電流が流れないので、スイッチング素子Q4はオフしている。スイッチング素子Q4がオフしている場合、抑制回路614は、コンバータ制御回路622に影響を及ぼさない。
一方、検出回路612の検出電圧Vxがハイレベルになると、抑制回路614のコンデンサC51、抵抗器R51、R52に電流が流れるので、スイッチング素子Q4がオンする。スイッチング素子Q4がオンすると、コンバータ制御回路622のLED625に流れる電流が減少するため、DC/DCコンバータ621のスイッチング素子Q7のオン期間が長くなる。そして、DC/DCコンバータ621の出力電圧(第2直流電圧V2)は、スイッチング素子Q7のオン期間が長くなることによって上昇する。その結果、一対の出力端子T21、T22に蓄電池71が電気的に接続されることで第2直流電圧V2が低下しようとしても、DC/DCコンバータ621の出力電圧を上昇させることで第2直流電圧V2の低下(変動)を抑制することができる。
また、抑制回路614では、検出電圧Vxがローレベルからハイレベルに変化した時点から、コンデンサC51の静電容量と抵抗器R51、R52の抵抗値で決まる時定数に応じた待機期間が経過すると、スイッチング素子Q4がオフする。つまり、抑制回路614は、待機期間が経過した後はコンバータ制御回路622に影響を及ぼさない。
上述のように変形例の充電装置61は、実施形態に係る充電装置61と同様に、一対の出力端子T21、T22に蓄電池71が電気的に接続されたとき、制御電圧(第2直流電圧V2)の変動を抑制することができる。
しかも、実施形態及び変形例の充電装置61は、制御電圧の変動を抑制したことにより、制御電圧を安定化するための回路(3端子レギュレーターなど)を必要としない。その結果、実施形態及び変形例の充電装置61は、制御電圧を安定化する回路を備える場合に比べて、回路構成の簡素化による製造コストの削減等を図ることができる。
ところで、制御電圧(第2直流電圧V2)は、一対の出力端子T21、T22と蓄電池71の電気的な接続が解除された場合にも急激に変動(減少)する可能性がある。そこで、蓄電池71が取り外された場合の制御電圧の変動を抑制するため、例えば、検出回路612の検出電圧Vxがハイレベルからローレベルに切り替わってから所定時間が経過するまで、ダミーの負荷に充電電流Icを流すことが好ましい。あるいは、検出回路612の検出電圧Vxがハイレベルからローレベルに切り替わってから所定時間が経過するまで、DC/DCコンバータ621の出力電圧を減少させることが好ましい。
上述のように第1の態様に係る充電装置(61)は、制御電圧(第2直流電圧V2)が入力される一対の入力端子(T11、T12)と、蓄電池(71)が電気的かつ着脱可能に接続される一対の出力端子(T21、T22)とを備える。第1の態様に係る充電装置(61)は、一対の出力端子(T21、T22)に対する蓄電池(71)の接続の有無を検出する検出回路(612)を備える。第1の態様に係る充電装置(61)は、検出回路(612)が接続の有ることを検出したときから所定の待機期間が経過するまでの間、制御電圧(第2直流電圧V2)の変動を抑制する抑制回路(制御回路613;抑制回路614)を備える。
第1の態様に係る充電装置(61)は、抑制回路により、蓄電池の接続時における制御電圧の変動を抑制することができる。
第2の態様に係る充電装置(61)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る充電装置(61)は、一対の出力端子(T21、T22)から蓄電池(71)に供給する充電電流(Ic)を調整して充電電流(Ic)を目標値に一致させる調整回路(充電制御回路611)を備えることが好ましい。抑制回路は、待機期間において、調整回路の目標値を漸増させることが好ましい。
第2の態様に係る充電装置(61)は、例えば、遅延回路(積分回路)のような簡単な回路で抑制回路を構成することができる。
第3の態様に係る充電装置(61)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る充電装置(61)において、検出回路(612)は、蓄電池(71)の接続の有ることを検出しているときに第1検出電圧(ハイレベルの検出電圧Vx)を出力するように構成されることが好ましい。検出回路(612は、蓄電池(71)の接続のないことを検出しているときに第2検出電圧(ローレベルの検出電圧Vx)を出力するように構成されることが好ましい。調整回路は、第1検出電圧に対応した目標値に充電電流(Ic)を一致させるように構成されることが好ましい。抑制回路は、検出回路(612)が出力する電圧が第2検出電圧から第1検出電圧に変化した場合、調整回路に対する第1検出電圧の入力を遅延させることが好ましい。
第3の態様に係る充電装置(61)は、抑制回路の回路構成を更に簡素化することができる。
第4の態様に係る充電装置(61)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る充電装置(61)は、制御電圧を生成する電源回路(DC/DCコンバータ621)を更に備えることが好ましい。抑制回路(614)は、待機期間において、制御電圧を高くするように電源回路を制御することが好ましい。
第4の態様に係る充電装置(61)は、蓄電池(71)の接続時における制御電圧の変動を抑制することができる。
第5の態様に係る点灯装置(非常用点灯装置62)は、第1~第4のいずれかの態様に係る充電装置(61)と、充電装置(61)によって充電される蓄電池(71)とを有する。第5の態様に係る点灯装置は、蓄電池(71)から放電される電流によって光源(非常用光源ユニット4)を点灯させる点灯回路(非常用点灯回路623)を有する。
第5の態様に係る点灯装置は、蓄電池の接続時における制御電圧の変動を抑制することができる。
第6の態様に係る非常用照明器具(X1)は、第5の態様に係る点灯装置(非常用点灯装置62)と、点灯装置によって点灯させられる光源(非常用光源ユニット4)と、点灯装置及び光源を保持する器具本体(1)とを備える。
第6の態様に係る非常用照明器具(X1)は、蓄電池の接続時における制御電圧の変動を抑制することができる。