JP7311242B2 - 散気装置、散気方法、及び水処理装置 - Google Patents

散気装置、散気方法、及び水処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、散気装置、散気方法、及び水処理装置に関する。
近年、精密濾過膜や限外濾過膜等の分離膜を配設した膜モジュールユニットを用いて、活性汚泥の固液分離を行う方法が種々検討されている。例えば、膜モジュールユニットを備えた水処理装置として活性汚泥処理装置を形成し、この活性汚泥処理装置を用いて前記分離膜により活性汚泥を含む被処理水の濾過処理を行うと、水質の高い処理水を得ることができる。
ところが、前記分離膜を用いて被処理水の固液分離を行うと、濾過処理を続けるに従って懸濁物質(固形分)による分離膜表面の目詰まりが進行し、濾過流量の低下や、膜間差圧の上昇が起こる。
そこで、従来では分離膜表面の目詰まりを防ぐため、膜モジュールユニットの下方に散気管を配設し、散気管の散気孔から空気を散気することによって気泡を生じさせ、該気泡の上昇によって形成される気泡と被処理水との気液混合流を膜モジュールユニットに当てることにより、洗浄を行っている。すなわち、気液混合流によって膜モジュールの表面に付着した汚泥等の懸濁物質を剥離し、膜モジュールから除去するようにしている。
しかし、このような洗浄のための運転を長期間続けると、散気孔が目詰まりしたり散気管内に汚泥が堆積したりすることにより、膜モジュールに対して気泡(気液混合流)を均一に当てることが困難になる。その結果、膜モジュールの表面に洗浄が不十分な部分が残り、固液分離処理(濾過処理)を安定して行うことが難しくなる。散気管を定期的に清掃すれば固液分離処理が不安定になることを抑制できる。しかし、散気孔や散気管の内表面に付着して乾燥した汚泥は剥がれにくく、清掃作業は長時間を要するため大きな負担になる。
特許文献1には、水平に配される主配管と、前記主配管と接続され、少なくとも一部が水平に延びる枝配管とを備え、前記枝配管の水平部分の上部に複数の散気孔が形成され、前記枝配管の前記主配管と接続された側と反対側の端部が開口した状態で鉛直方向下方に向けられている散気装置が提案されている。該散気装置では、散気を停止すると被処理水が先端開口部から枝配管内に流入する。これにより、散気孔や枝配管の内表面に付着した乾燥した汚泥が被処理水により湿潤して剥がれやすくなるため、再び散気を開始した際に枝配管から容易に排出される。
国際公開第2014/061737号
しかし、特許文献1の散気装置においても、枝配管内に汚泥の塊が入り込んだり、枝配管内で汚泥の塊が形成されたりした場合に、該塊によって散気孔が目詰まりしたり枝配管が閉塞したりすることがある。
本発明は、散気孔の目詰まりや枝配管の閉塞をより安定して抑制できる散気装置、該散気装置を用いた散気方法、及び水処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]気体供給装置から気体の供給を受ける筒状の主配管と、前記主配管に接続された枝配管とを備える散気装置であって、
前記主配管が水平に配された状態で、
前記枝配管は、その一端が前記主配管に直接的又は間接的に接続され、他端が開口し、
前記枝配管の少なくとも一部が水平に配され、前記他端が鉛直方向下方に向けられ、
前記枝配管の水平部分の下部に1以上の散気孔が形成されている、散気装置。
[2]前記枝配管の内径が、20.5mm以上40mm以下である、[1]に記載の散気装置。
[3]被処理水が蓄えられるとともに膜モジュールユニットが配置された処理槽内に、[1]又は[2]に記載の散気装置を配設し、前記主配管を介して前記枝配管に所定の時間気体を連続的に供給する散気工程と、一定時間気体の供給を停止する停止工程を繰り返し行う、散気方法。
[4]水槽と、前記水槽内に配置された膜モジュールユニットと、前記膜モジュールユニットの下方に配置された[1]又は[2]に記載の散気装置と、を備えた、水処理装置。
本発明によれば、散気孔の目詰まりや枝配管の閉塞をより安定して抑制することができる。
本発明に係る散気装置の一実施形態の平面図である。 図1に示した散気装置の側面図である。 図1に示した散気装置の正面図である。 枝配管を示す斜視図である。 膜モジュールユニットの側面図である。 膜モジュールユニットの正面図である。 散気処理中の枝配管内の様子を示した断面図であって、図7(A)は図1の散気装置を示した図であり、図7(B)は従来の散気装置を示した図である。 本発明に係る水処理装置の一実施形態の概略構成を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[散気装置]
図1は、本発明に係る散気装置の一実施形態を示す平面図、図2は、図1に示した散気装置の側面図、図3は、図1に示した散気装置の正面図である。
本実施形態の散気装置1は、図示しない空気供給装置から気体の供給を受ける円筒状の主配管2と、主配管2に接続された複数の枝配管3とを備えている。
主配管2は、図2に示すように、その一端がエルボ管4を介してフランジ配管5に接続されている。後述するように、フランジ配管5に別のフランジ配管が接続されることにより、空気供給装置(気体供給装置)が接続されるようになっている。
主配管2の材質は、特に限定されず、SUS304等の金属、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂等が挙げられ、金属が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。
主配管2のフランジ配管5と反対側の他端は、開口することなく、蓋2aが被着されることで気密に閉塞されている。主配管2の中心軸が水平方向に配置された状態、すなわち主配管2が水平に配された状態で、エルボ管4の主配管2に接続する側とフランジ配管5は鉛直方向上方に向けられている。
主配管2には、水平に配された状態で、その下部から下方に向かって延びる複数の鉛直管部6が設けられている。複数の鉛直管部6は、主配管2の長さ方向において互いに間隔を開けて等間隔に設けられている。鉛直管部6の数は特に限定されず、例えば5~10程度とすることができる。主配管2と各鉛直管部6とは内部が連通している。
本実施形態では、鉛直管部6の下端部の外周(又は内周)にねじ部が形成されており、このねじ部を利用して各鉛直管部6の下端側にそれぞれ固定部材7が着脱可能に接続されている。固定部材7は、図3に示すように、T字状に形成された三方管(T字形三方管)であり、中央の管部7aがユニオン接続やねじ込み接続による固定機構によって鉛直管部6に接続されている。すなわち、鉛直管部6のねじ部に、固定部材7の中央の管部7aに形成されたねじ部がユニオン接続され、あるいはねじ込み接続されることにより、固定部材7は鉛直管部6に着脱可能に接続されている。固定部材7が鉛直管部6に着脱可能に接続されることで、枝配管3の位置合わせが容易になるとともに、枝配管3の交換やメンテナンスが容易になる。
なお、固定部材7の接続については、ユニオン接続やねじ込み接続には限定されず、例えば、嵌め合わせ固定を採用することができる。固定部材7に接続される枝配管3の脱落防止をより確実にするためには、ユニオン接続やねじ込み接続により、固定部材7を鉛直管部6に接続することが好ましい。
固定部材7には、中央の管部7aが鉛直管部6に接続された状態で、平面視で管部7aの下部から両側に延びる管部からなる連通部材7bが水平に設けられている。管部7aの両側の2つの連通部材7bは、平面視で主配管2の中心軸と直交する方向に延びている。
各固定部材7の両側の連通部材7bには、それぞれ枝配管3が接続されている。すなわち、1つの固定部材7に対して2つの枝配管3が接続されている。このように、それぞれの枝配管3は、その一端が鉛直管部6及び固定部材7を介して間接的に主配管2と接続されている。主配管2、鉛直管部6、固定部材7及び枝配管3はそれぞれ内部が連通しており、主配管2に供給された気体は枝配管3に到達するようになっている。
なお、主配管2と枝配管3とは直接的に接続されていてもよい。
複数の枝配管3は、それら全てが互いに平行に配置されている。また、固定部材7の両側の連通部材7bにそれぞれ接続された2本の枝配管3は、平面視で主配管2に対して左右対称になっている。枝配管3が、主配管2を中心として左右対称に配置されることで、主配管2から枝配管3の先端までの距離を短くでき、枝配管3内の汚泥を排出しやすくすることができる。
枝配管3における固定部材7と接続された一端と反対側の他端には開口3bが形成されている。開口3bの直径は、枝配管3の内径と同じにすることが好ましい。
枝配管3は、主配管2が水平に配された状態で固定部材7から水平方向に延び、固定部材7と接続された一端と反対側の他端の近傍に屈曲部3aが形成されて、他端の開口3bが鉛直方向下方に向けられている。枝配管3の他端の開口3bが鉛直方向下方に向けられた形態であることで、膜モジュールの洗浄を効果的に行うとともに、装置の大型化を抑制して設置スペースを削減できる。屈曲部3aを形成する方法は、特に限定されず、曲げ加工により屈曲させてもよく、エルボ等の部品を組み付けて形成してもよい。
枝配管3の材質は、特に限定されず、SUS304等の金属、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂等が挙げられ、金属が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。
図4に示すように、枝配管3における固定部材7との接続位置と屈曲部3aとの間の水平部分の下部には複数の散気孔8が形成されている。すなわち、枝配管3の水平部分には、鉛直方向下方に向いた散気孔8が形成されている。本実施形態では、50mm~120mm程度の間隔(等間隔)で5個の散気孔8が形成されている。枝配管3は、このように散気孔8が形成されていることで、散気管として機能する。
散気孔8の数は、5個には限定されず、枝配管3の長さ等に応じて適宜に設定でき、2~15個が好ましく、3~6個がより好ましい。散気孔8の数が前記範囲内であれば、1個の散気孔8に付着する汚泥量を低減でき、また仮に一部の散気孔8が閉塞しても、残りの散気孔8によって散気処理を継続できる。
本発明では、複数の散気孔の全てが枝配管の水平部分の下部に形成されている態様には限定されない。複数の散気孔の一部が枝配管の水平部分の下部に形成されていれば、残りの散気孔が枝配管の側部又は上部に形成されていてもよい。すなわち、複数の散気孔の少なくとも一部が鉛直方向下方に向いていれば、残りの散気孔が水平方向又は鉛直方向上方に向いていてもよい。
本発明では、全ての散気孔から均一に気泡を生じさせやすい点から、全ての散気孔が枝配管の水平部分の下部に形成されて鉛直方向下方に向いていることが好ましい。
散気孔8の形状は、特に限定されず、円形が好ましい。
散気孔8の直径は、4.5mm以上7.0mm以下が好ましい。散気孔8の直径が前記範囲の下限値以上であれば、散気孔8が閉塞しにくい。散気孔8の直径が前記範囲の上限値以下であれば、散気孔8を通過する空気の流速が低くなりにくく、充分な散気効果が得られやすい。
枝配管3における屈曲部3aから他端側の鉛直方向下方に向けられた管部の長さ△h(図3)は、特に限定されず、枝配管3に供給する気体の流量が大きい場合には比較的長く、例えば50mm~300mmとすることが好ましい。△hが前記範囲内であれば、空気流量を大きくした場合でも、枝配管3の他端の開口3bから空気が多く噴出することを抑制でき、各散気孔8から均一に気体を噴出させることが容易になる。
枝配管3の平面視での長さは、各散気孔から均一に散気しやすい点から、500mm以下が好ましく、400mm以下がより好ましい。枝配管3の平面視での長さは、200mm以上が好ましく、250mm以上がより好ましい。
枝配管3の内径は、20.5mm以上40mm以下が好ましく、22mm以上31mm以下がより好ましい。枝配管3の内径が前記範囲の下限値以上であれば、汚泥の塊が枝配管3内に入り込んだり枝配管3内で汚泥の塊が形成されたりしても、枝配管3内が閉塞されにくく、気体の流路が確保されやすいため、散気処理による膜モジュールの洗浄効果が安定して得られやすい。また枝配管3内から汚泥の塊が排出されやすく、枝配管3の洗浄も容易になる。枝配管3の内径が前記範囲の上限値以下であれば、低風量でも各散気孔8から均一に気体を噴出させることが容易になる。
散気装置1には、例えばフランジ配管5に、空気供給装置(気体供給装置)とは別に、吸引ポンプ等からなる減圧手段が接続されている。これにより、後述するように空気供給装置によって空気を供給する散気運転を停止した際、減圧手段を作動させて主配管2内及び枝配管3内を減圧し、被処理水を引き込むことができるようになっている。
散気装置1は、図5及び図6に示すように膜モジュールユニット10の下方に配置されて用いられる。膜モジュールユニット10は、複数の膜モジュール11を備えている。膜モジュール11は、中空糸膜等の膜エレメントを備えている。
図5及び図6に示した例では、散気装置1は図6に示すように隣り合って2基配設され、それぞれのフランジ配管5に、1つの連結配管(フランジ配管)20を介して空気供給管21が接続されている。空気供給管21には、ブロワ等の空気供給装置が接続されている。空気供給管21には、空気供給装置とは別に、吸引ポンプ等からなる減圧ユニットも接続されている。これら空気供給装置と減圧ユニットとは、切換弁等によって空気供給管21との間の連通が切り換えられるようになっている。これにより、空気供給装置によって空気を供給する散気運転と、減圧ユニットによって減圧処理する減圧運転とを、切換弁によって切り換えられるようになっている。
散気装置1により散気を行う際には、膜モジュールユニット10及び散気装置1を被処理水中に浸漬する。膜モジュールユニット10を利用して被処理水の濾過処理を行いつつ、空気供給装置から空気供給管21を通じて散気装置1の主配管2に気体を供給することで、該気体が枝配管3に到達し、各散気孔8から噴出される。散気孔8から噴出された気泡は被処理水を伴って気液混合流を形成し、膜モジュールユニット10の膜モジュール11に当たる。これにより、膜モジュール11の膜表面に付着した汚泥等を除去できるため、安定して濾過処理を行うことができる。
図7(B)に示すように、主配管と固定部材107を介して接続された枝配管103の水平部分の上部に散気孔108が形成された従来の散気装置では、散気処理中に、枝配管103内において各散気孔108が露出した状態となるように、枝配管103内の各散気孔108が形成された水平部分まで被処理水31が流入した状態となる。そのため、散気処理中に枝配管103内の水平部分まで汚泥の塊が入り込んだり、該水平部分で汚泥が塊になったりして、枝配管103が閉塞することがある。
これに対して、散気装置1では、枝配管3における水平部分の下部に散気孔8が形成されているため、図7(A)に示すように、散気処理中には、枝配管3の水平部分は気体が充満して被処理水31が入り込んでいない状態になる。そのため、散気処理中に枝配管3内の水平部分まで汚泥の塊が入り込んだり、該水平部分で汚泥が塊になったりすることが抑制されることから、枝配管3が閉塞しにくい。
また、通常は空気供給装置のブロワ近傍は気密な接続となっていないため、散気処理を停止すると、配管内の気体の一部がブロワ近傍から外部に流出し、主配管2や枝配管3内に残る空気が逆流して、枝配管3の他端の開口3bから水平部分まで被処理水31が流入する。これにより、散気処理中に散気孔8や枝配管3の内表面に汚泥が付着して乾燥していても、該汚泥は被処理水31によって湿潤化し、再び散気処理を開始した際に散気孔8や開口3bから容易に排出される。
散気処理を停止した後、切換弁によって減圧ユニットによって減圧処理に切り換えれば、より容易に主配管2内や枝配管3内に被処理水31を流入させることができる。なお、本発明の散気装置においては、主配管に通じる空気供給管に減圧ユニットが接続されていなくてもよい。
以上説明したように、本発明の散気装置においては、枝配管の水平部分の下部に鉛直方向下方に向く散気孔が形成されている。そのため、散気処理中に枝配管内の水平部分まで汚泥の塊が入り込んだり、該水平部分で汚泥が塊になったりしにくく、散気孔の目詰まりや枝配管の閉塞をより安定して抑制することができる。
[水処理装置]
本発明の水処理装置は、水槽と、前記水槽内に配置された膜モジュールユニットと、膜モジュールユニットの下方に配置された本発明の散気装置と、を備えている。本発明の水処理装置は、本発明の散気装置を備える以外は公知の態様を採用できる。以下、本発明の水処理装置の一例として、前記した散気装置1を備える水処理装置30を示して説明する。
水処理装置30は、図8に示すように、活性汚泥等の被処理水31が投入される水槽32と、膜モジュールユニット10と、膜モジュールユニット10の下方に配置された散気装置1と、空気供給装置40と、減圧手段43と、を備えた浸漬型の膜分離装置である。
この例の水槽32は、直方体状である。水槽32の大きさは特に限定されず、深さは、被処理水31の水深が1m以上となるように、1mを充分に超えていることが好ましい。
膜モジュールユニット10は、複数の膜モジュール11を備えている。膜モジュール11は、中空糸膜等の膜エレメント(図示せず)を備えている。膜モジュールユニット10の膜モジュール11には、吸引配管47を介して吸引ポンプ(図示せず)が接続され、膜モジュールユニット10による吸引濾過が可能になっている。
この例では、3基の膜モジュールユニット10が配置され、各膜モジュールユニット10のそれぞれの下方に3基の散気装置1が配置されている。水処理装置30においては、散気装置1の主配管2は水平に配され、枝配管3の散気孔8が形成された部分が水平に配される。
なお、膜モジュールユニット10や散気装置1の数については特に限定されず、任意に設定できる。
各散気装置1のフランジ配管5には、1つの連結配管(フランジ配管)20を介して空気供給管21が接続されている。空気供給管21には、空気供給装置40が接続されている。また、空気供給管21には、空気供給装置40とは別に、減圧手段43も接続されている。空気供給装置40と減圧手段43とは、三方弁からなる切換弁46によって空気供給管21との間の連通が切り換えられるようになっている。
空気供給装置40は、ブロワ41と、ブロワ41と空気供給管21とを接続する接続配管42と、を備えている。減圧手段43は、吸引ポンプ44と、この吸引ポンプ44と前記空気供給管21とを接続する接続配管45と、を備えている。切換弁46は、接続配管42と接続配管45と空気供給管21との間に設けられている。切換弁46を切り換えることにより、空気供給装置40のブロワ41と空気供給管21とを連通させるか、減圧手段43の吸引ポンプ44と空気供給管21とを連通させることができるようになっている。すなわち、空気供給装置40によって空気を供給する散気運転と、減圧手段43によって減圧処理する減圧運転とを、切換弁46によって切り換えることができるようになっている。
[散気方法]
本発明の散気方法は、被処理水が蓄えられるとともに膜モジュールユニットが配置された処理槽内に、本発明の散気装置を配設し、主配管を介して枝配管に所定の時間気体を連続的に供給する散気工程と、一定時間気体の供給を停止する停止工程を繰り返し行う方法である。以下、本発明の散気方法の一例として、水処理装置30を用いる場合を例に説明する。
(散気工程)
図8に示すように、水槽32内に、膜モジュールユニット10、散気装置1等を配置するとともに、被処理水31を所定の水位(水深)となるように蓄える。そして、この状態で膜モジュールユニット10側の吸引ポンプを作動させることにより、膜モジュールユニット10による吸引濾過を行う。
吸引濾過と並行して、所定の時間、空気供給装置40のブロワ41から散気装置1に向けて空気を連続的に供給する。空気の供給量としては、散気装置1の寸法等によっても異なるものの、例えば各枝配管3毎に75L/分程度となるようにする。このように空気を供給することで、空気供給管21を介して散気装置1に供給された空気は、主配管2を通ってほとんどが枝配管3の散気孔8から噴出する。すなわち、散気孔8では枝配管3の他端の開口3bより水圧が低くなっていることにより、特に高風量で空気を供給しなければ、散気装置1に供給された空気はそのほとんどが散気孔8から噴出する。
このようにして散気孔8から空気を噴出すると、噴出した空気は気泡となり、被処理水31中を上昇する。上昇した気泡は、被処理水31を伴うことで気液混合流を形成し、膜モジュールユニット10の膜モジュール11に当たることによって各膜エレメント(図示せず)を洗浄する。すなわち、気液混合流は各膜エレメントの表面に付着した汚泥等の懸濁物質を剥離し、膜モジュールユニット10から除去する。
散気工程中においては、枝配管3における水平部分の下部に散気孔8が形成されているため、枝配管3の水平部分には空気が充満して被処理水31が入り込んでいない状態になる。そのため、散気処理中に枝配管3内の水平部分まで汚泥の塊が入り込んだり、該水平部分で汚泥が塊になったりすることが抑制されることから、枝配管3が閉塞しにくい。
(停止工程)
このような散気運転を所定の時間行ったら、一定時間ブロワ41を停止し、散気装置1への空気の供給を停止する。すると、通常、ブロワ41と接続配管42との接続部分等は気密になっていないことから、配管内の空気の一部がその部分から排出され、主配管2や枝配管3内に残る空気が逆流して、枝配管3の他端の開口3bから枝配管3内や主配管2内に被処理水31が流入する。これにより、散気処理中に散気孔8や枝配管3の内表面に汚泥が付着して乾燥していても、該汚泥は被処理水31によって湿潤化する。そのため、該汚泥は再び散気処理を開始した際に散気孔8や開口3bから容易に排出される。
このように、散気工程と停止工程を繰り返すことで、主配管2内や枝配管3内、及び散気孔8を容易に洗浄することができる。
また、本実施形態では、散気装置1に減圧手段43が接続されているため、一定時間ブロワ41を停止している間に、切換弁46を切り換え、減圧手段43の吸引ポンプ44によって主配管2内や枝配管3内を減圧することができる。このように減圧処理することにより、枝配管3内や主配管2内に被処理水31をより高速でより多く流入させることができ、洗浄効果を高めることができる。
以上説明したように、本発明によれば、散気孔が下向きに形成されていることで、散気処理中に枝配管内の水平部分まで被処理水が入り込まず、枝配管内の散気孔が形成されている水平部分で汚泥が乾燥しにくい。そのため、汚泥の塊が成長して枝配管が閉塞することが抑制されることから、散気孔の目詰まりや枝配管内の汚泥堆積が安定して抑制される。その結果、散気処理による膜モジュールの洗浄効果を安定して得ることができる。
なお、本発明の散気装置及び水処理装置は、前記実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、前記実施形態では、主配管2の一端側にエルボ管4、フランジ配管5を介して空気供給装置を接続し、他端側は蓋2aによって閉塞されているが、散気装置1の寸法によっては、主配管2の両端を開放してそれぞれに空気供給装置を接続し、主配管2の両側から空気を供給するようにしてもよい。また、前記した実施形態では、散気装置に対して空気供給装置から空気を供給し、散気孔から空気を噴出させるようにしたが、必要に応じて、例えば窒素等の空気以外の気体を供給してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
図1~3に例示した散気装置1としてSUS304製のものを用意し、図6に示すように膜モジュールユニット10の下方に散気装置1を2基配置し、これらを1つの空気供給管21に接続した。枝配管3の内径は22mmとし、散気孔8は全て水平部分の下部に形成し、鉛直方向下方に向くようにした。散気孔8の直径は5.5mmとし、同じ枝配管3にて隣り合う散気孔8,8の間隔は100mmとした。各散気装置1の主配管2と枝配管3とを接続する固定部材7の固定にはユニオン接続を用いた。
これら膜モジュールユニット10及び散気装置1を、図8のように、水槽中に蓄えた、塊となった汚泥が多く含まれる被処理水中に沈め、固液分離処理を行うとともに、散気装置1による散気処理(洗浄処理)を行った。被処理水の水質は、MLSS8,000とした。空気供給装置からの空気供給量は、枝配管3の空気噴出量が1本あたり75L/分となるようにした。
60日間の運転後、散気装置1を確認したところ、枝配管3と散気孔8の閉塞は認められなかった。また、膜モジュールユニット10を確認したところ、膜表面の目詰まりも認められず、固液分離処理を安定して行うことができた。
[比較例1]
枝配管3の内径を13mmに変更し、また全ての散気孔8を枝配管3の水平部分の上部に形成する態様に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜分離による固液分離処理を行うとともに、散気装置1による散気処理(洗浄処理)を行った。
15日間の運転後、散気装置1を確認したところ、枝配管3内の汚泥堆積と散気孔8の閉塞が確認された。また、膜モジュールユニット10を確認したところ、膜表面の目詰まりが確認された。
[比較例2]
全ての散気孔8を枝配管3の水平部分の上部に形成する態様に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜分離による固液分離処理を行うとともに、散気装置1による散気処理(洗浄処理)を行った。
60日間の運転後、膜モジュールユニット10を確認したところ、膜表面の目詰まりは確認されなかった。しかし、散気装置1を確認したところ、枝配管3内の一部に汚泥堆積が確認された。
1…散気装置、2…主配管、2a…蓋、3…枝配管、3a…屈曲部、3b…開口、6…鉛直管部、7…固定部材、7b…連通部材、8…散気孔、10…膜モジュールユニット、11…膜モジュール、21…空気供給管、30…水処理装置、31…被処理水、32…水槽、40…空気供給装置、41…ブロワ、43…減圧手段、44…吸引ポンプ、46…切換弁。

Claims (4)

  1. ブロワと、前記ブロワと空気供給管とを接続する接続配管とを備えている気体供給装置と、
    前記気体供給装置から前記空気供給管を通じて気体の供給を受ける筒状の主配管と、前記主配管に接続された枝配管とを備える散気装置であって、
    前記主配管が水平に配された状態で、
    前記枝配管は、その一端が前記主配管に直接的又は間接的に接続され、他端が開口し、
    前記枝配管の少なくとも一部が水平に配され、前記他端が鉛直方向下方に向けられ、
    前記枝配管の水平部分の下部に1以上の散気孔が形成され、
    前記散気孔の全てが前記枝配管の水平部分の下部に形成され、
    前記枝配管の内径が、20.5mm以上40mm以下であり、
    前記ブロワと前記接続配管との接続部分は気密になっていないことを特徴とする、散気装置。
  2. 気体供給装置から気体の供給を受ける筒状の主配管と、前記主配管に接続された枝配管とを備え、かつ、減圧手段に接続されている散気装置であって、
    前記主配管が水平に配された状態で、
    前記枝配管は、その一端が前記主配管に直接的又は間接的に接続され、他端が開口し、
    前記枝配管の少なくとも一部が水平に配され、前記他端が鉛直方向下方に向けられ、
    前記枝配管の水平部分の下部に1以上の散気孔が形成され、
    前記散気孔の全てが前記枝配管の水平部分の下部に形成され、
    前記枝配管の内径が、20.5mm以上40mm以下である、散気装置。
  3. 被処理水が蓄えられるとともに膜モジュールユニットが配置された処理槽内に、請求項1又は2に記載の散気装置を配設し、前記主配管を介して前記枝配管に所定の時間気体を連続的に供給する散気工程と、一定時間気体の供給を停止する停止工程を繰り返し行う、散気方法。
  4. 水槽と、前記水槽内に配置された膜モジュールユニットと、請求項1又は2に記載の散気装置と、を備え、前記主配管及び前記枝配管が前記膜モジュールユニットの下方に配置された、水処理装置。
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