JP7310155B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極合剤ペーストおよびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
[正極活物質の形態]
まず、本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」ともいう。)について、図1(A)及び図1(B)を参照して説明する。図1(A)は、本実施形態に係る正極活物質の一例を模式的に示す図であり、図1(B)は、本実施形態に係るリチウム及びニオブを含む化合物の形成過程の一例を模式的に示す図である。
正極活物質20は、正極活物質20を水に分散させたときに溶出する水酸化リチウム(LiOH)量(「溶出する水酸化リチウム量」と略す場合もある。)が、正極活物質20全体に対して、0.15質量%以下、好ましくは0.003質量%以上0.15質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.13質量%以下である。溶出する水酸化リチウム量(余剰水酸化リチウム量)が上記範囲である場合、正極合剤ペーストのゲル化が非常に抑制され、電池特性に優れた二次電池を得ることができる。なお、溶出する水酸化リチウム量は、中和滴定により測定され、得られる正極活物質20を水に分散させたときに、正極活物質20から溶出するリチウム化合物(ただし、炭酸塩に由来するリチウム化合物を除く)のうち、中和滴定により、第一中和点までに用いた酸の量から算出されるLi量をいう。
本実施形態のリチウム金属複合酸化物10は、一次粒子1表面上にLiNb化合物3が形成させている。LiNb化合物3は、Li原子及びNb原子を含有する化合物であり、少なくともニオブ酸リチウムを含むことが好ましい。ニオブ酸リチウムとしては、例えば、Li3NbO4、LiNbO3、LiNb3O8及びLi8Nb2O9のうちの少なくとも一つを含むのが好ましい。また、LiNb化合物3は、非晶質(アモルファス)であってもよいし、結晶構造を有してもよい。LiNb化合物3が非晶質である場合、リチウムイオン伝導性が向上し、二次電池における正極抵抗を低減することができる。
また、リチウム金属複合酸化物10は、層状構造の結晶構造を有し、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)と、任意にコバルト(Co)、マンガン(Mn)及び元素Mと、を含む。また、正極活物質全体における、ニオブ以外の各元素の物質量の比(モル比)が、Li:Ni:Co:Mn:M=s:(1-x-y-z):x:y:z(ただし、0≦x≦0.35、0≦y≦0.35、0≦z≦0.10、0.95<s<1.30、Mは、V、Mg、Mo、Nb、Ti、W、ZrおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される。リチウム金属複合酸化物10中のNi、Co、MnおよびMの組成は、上記範囲内で、公知のリチウム金属複合酸化物の組成を用いることができ、二次電池に要求される特性に応じて適宜、組成を選択することができる。
また、LiNb化合物3に含まれるニオブの量は、リチウム金属複合酸化物10中のNi、Co、MnおよびMの合計に対して0.5mol%以上2.0mol%以下であることが好ましい。また、LiNb化合物3に含まれるニオブの量は、電池特性をより向上させ、かつ、ゲル化を抑制するという観点から、0.6mol%以上1.8mol%以下であることがより好ましい。
正極活物質20の体積平均粒径Mvは、例えば、5μm以上30μm以下であり、好ましくは5μm以上20μm以下である。体積平均粒径Mvが5μm未満である場合、正極活物質20の比表面積が増加することで二次電池にした際に高い出力は得られるが、正極の充填密度が低下して容積あたりの充放電容量が低下するとともに、電極ペーストを調製する際に導電剤と正極活物質の分散性が悪化することがある。また、電極内で個々の正極活物質粒子に印加される電圧が不均一となることで、高電圧が加えられた粒子は充放電を繰り返すと劣化していき、二次電池の充放電容量が低下する。逆に、体積平均粒径Mvが30μmを超える場合、正極活物質の比表面積が低下して、電解液との界面が減少することによりリチウムイオンが出入りする経路が少なくなるため、正極の抵抗が上昇して電池の出力特性が低下することがある。なお、体積平均粒径Mvは、レーザー回折散乱法により測定される値である。
粒度分布の広がりを示す指標である[(d90-d10)/体積平均粒径Mv]は、特に限定されないが、高い充填性を有するという観点から、0.70以上であることが好ましく、0.70以上1.2以下であることがより好ましい。後述する正極活物質20の製造方法を用いることにより、正極活物質20の粒度分布の広がりが比較的大きい場合においても、LiNb化合物3を一次粒子1の表面に均一に被覆することができる。
一次粒子1の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、0.2μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上0.7μm以下であることがより好ましい。これにより、二次電池の正極に用いた際のより高い出力特性と電池容量、さらに高いサイクル特性を得ることができる。一次粒子1の平均粒径が0.2μm未満である場合、焼成が不十分である場合があり、十分な電池性能が得られないことがある。また、一次粒子1の平均粒径が0.7μmを超える場合、高い出力特性や高いサイクル特性が得られないことがある。
次に、図2(A)を参照して、本実施形態に係る正極活物質の製造方法について説明する。図2(A)は、本実施形態に係る正極活物質の製造方法の一例を示した図である。前述した正極活物質20は、図2(A)に示すような正極活物質の製造方法により、工業的規模で、容易に生産性高く製造することができる。
まず、リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)と、リチウムを含まず、リチウムと反応可能なニオブ化合物と、を混合して混合物を得る(ステップS10)。
また、図2(B)に示すように、上記の混合物を得た後、後述する熱処理(ステップS20)をする前に、ニオブ化合物を溶解可能な溶媒を、リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に対して1質量%以上40質量%以下の範囲で、混合物に混合すること(ステップS11)、を備えてもよい。ステップS11を備える場合、リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)の表面により均一にニオブ化合物を分散させることができる。
次いで、混合して得られた混合物を熱処理(乾燥)する(ステップS20)。このステップは、ニオブ化合物とリチウム金属複合酸化物の粉末とを混合した混合物を乾燥させ、この混合物中の水に溶解している余剰リチウムおよびリチウム金属複合酸化物の粒子中の過剰なリチウムと、ニオブ化合物とを反応させて、一次粒子1の表面にLiNb化合物3を形成させる工程である。
第1の熱処理工程(ステップS21)は、混合物を乾燥させて、混合物中の水分の少なくとも一部を除去する工程である。混合物に水分が多く含まれる状態で、高温で熱処理した場合、リチウム金属複合酸化物(母材)の凝集や分解が生じやすくなる。そこで、段階的に温度を上げて、水分の大部分を除去した後、より高い温度で熱処理することにより、リチウム金属複合酸化物(母材)の表面にLiNb化合物3を確実に形成することができる。
第2の熱処理工程(ステップS22)は、混合物を、第1の熱処理工程(ステップS21)よりも高い温度で熱処理する工程である。ステップS22を備える場合、リチウム金属複合酸化物(母材)の表面での(Li)とニオブ(Nb)の反応を促進して、高いリチウムイオン伝導度を有するLiNb化合物3を形成することができる。
第3の熱処理工程(ステップS23)は、混合物を、第2の熱処理工程(ステップS22)よりも高い温度で熱処理する工程である。ステップS23を備える場合、リチウム金属複合酸化物(母材)の表面での(Li)とニオブ(Nb)の反応をより促進して、高いリチウムイオン伝導度を有するLiNb化合物3をより確実に形成することができる。
次に、本発明に係る非水系二次電池用正極合剤ペースト(以下、「正極合剤ペースト」ともいう。)の製造方法について説明する。本実施形態の正極合剤ペースト中では、正極活物質からのリチウムの溶出が低減され、ペーストのゲル化が抑制される。したって、長期間の保存でもペーストの粘度変化が少なく、高い安定性を有するペーストとなっている。このようなペーストを用いて正極を製造することで、正極も安定して優れた特性を有するものとなり、最終的に得られる電池の特性を安定して高いものとすることができる。
導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、「二次電池」ともいう。)は、上述した正極活物質20を含む正極と、負極と、電解質とを備える。リチウムイオン二次電池は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様の構成要素により構成されることができ、例えば、正極、負極、及び、非水系電解液を備えた非水電解液二次電池であってもよい。また、二次電池は、例えば、正極、負極、及び、固体電解質を備えた全固体二次電池であってもよい。以下、各構成要素について、説明する。
正極活物質20を含む正極合剤ペーストを用いて、例えば、以下のようにして、リチウムイオン二次電池の正極を作製してもよい。
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合剤を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解質としては、非水系電解液、固体電解質などが用いられる。
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解質で構成される本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、リチウムイオン二次電池を完成させる。
本実施形態に係る二次電池は、上記の正極活物質を用いて製造され、高い電池容量を有することができる。好ましい実施形態で得られた正極活物質を用いた二次電池は、例えば、図3に示されるような、2032型のコイン型電池CBAの正極に用いた場合、190mAh/g以上の高い初期放電容量が得られる。また、このコイン型電池CBAは、初期充放電効率を90%以上とすることができる。
得られた正極活物質2gを125mlの純水と混合し1分間撹拌して分散させた後、10質量%塩化バリウム溶液を5ml加え、1.0mol/リットルの塩酸を用いて中和滴定を行い、第一中和点までの塩酸量から純水に溶出した水酸化リチウム量を算出した。
気化温度300℃の条件においてカールフィッシャー水分計で測定した。
正極活物質25.0gと、導電剤のカーボン粉1.5gと、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)2.9gとを遊星運動混練機により混合し正極合剤ペーストを得た。得られたペーストを大気雰囲気中で76時間保管して、保管前後の粘度比(76時間保管後のペースト粘度/作製直後のペースト粘度)を評価した。粘度は、振動式粘度計(セコニック社製VM10A)にて測定した。
得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質の評価は、以下のように図3に示す2032型のコイン型電池CBAを作製し、充放電容量を測定することで行なった。リチウムイオン二次電池用正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して正極PE(評価用電極)を作製した。その作製した正極PEを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。そして、この正極PEを用いてコイン型電池CBAを、露点が-80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
初期放電容量は、コイン型電池CBAを製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。
初期充放電効率は、前項記載の方法で初期充放電容量を測定し、初期放電容量/初期充電容量×100として算出した。
また、正極抵抗は、コイン型電池CBAを充電電位4.1Vで充電して、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用して交流インピーダンス法により測定すると、図4に示すナイキストプロットが得られる。このナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、および、正極抵抗とその容量を示す特性曲線の和として表しているため、このナイキストプロットに基づき等価回路を用いてフィッティング計算を行い、正極抵抗の値を算出した。
(正極活物質の製造)
Niを主成分とする水酸化物の粉末と水酸化リチウムとを混合した後、焼成してリチウム金属複合酸化物の粉末を得た。得られたリチウム金属複合酸化物は、Li1.025Ni0.82Co0.15Al0.03O2で表され、体積平均粒径Mvが6.2μm、〔(d90-d10)/体積平均粒径Mv〕が0.74であった。得られたリチウム金属複合酸化物を母材として用いた。
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルをニオブ量で1.0mol%混合した以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルをニオブ量で1.5mol%混合した以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルをニオブ量で1.5mol%混合し、第2の熱処理工程後に、300℃で5時間、熱処理(第3の熱処理)した以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルをニオブ量で2.0mol%混合した以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)として、Niを主成分とする水酸化物の粉末と水酸化リチウムとを混合した後焼成して得た、組成がLi1.025Ni0.82Mn0.15Al0.03O2で表され、体積平均粒径Mvが6.5μm、〔(d90-d10)/体積平均粒径Mv〕が0.75であったリチウム金属複合酸化物を用いた以外は実施例2と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
第3の熱処理を、100℃で5時間熱処理とした以外は、実施例4と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
第3の熱処理を、500℃で5時間熱処理とした以外は、実施例4と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルを混合しなかった以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルをニオブ量で0.3mol%混合とした以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、市販の酸化ニオブ(V)粉末(フジフィルム和光純薬社製)をボールミルで平均粒径1.0μmに粉砕したものを、ニオブ量で1.0mol%混合した以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、別途調製したLi-Nb化合物を、ニオブ量で1.0mol%混合した以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。Li-Nb化合物は、水酸化リチウム(フジフィルム和光純薬社製)5.0gと酸化ニオブ(V)粉末(同上)27.75gを混合し酸素雰囲気の電気炉中1000℃で10時間焼成した後、ボールミルで平均粒径1μmに粉砕したものを用いた。
[比較例5]
リチウム金属複合酸化物の粉末(母材)に、酸化ニオブゾルを混合した後、水を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
実施例の正極活物質を用いた二次電池は、初期放電容量、正極抵抗のいずれも良好な結果が得られた。また、正極合剤ペーストの粘度比は、2以下であり、正極合剤ペーストの粘度が安定していることが確認された。また、実施例の二次電池は、初期充放電効率が高いことが確認された。さらに、第3の熱処理工程を行って得られた実施例4、8の正極活物質では、これを用いた二次電池は、第3の熱処理工程を行わなかった以外は、同様の条件で得られた実施例3の正極活物質と比較して、初期放電容量がより高く、正極抵抗が低減した。これは、第3の熱処理により、母材の表面に形成されたLiNb化合物のリチウムイオン伝導度が向上したためと考えられる。また、第2の熱処理の温度よりも高い温度で第3の熱処理をした実施例4、8の正極活物質では、第2の熱処理の温度よりも低い温度で熱処理をした実施例7の正極活物質よりも、初期放電容量が高かった。
2…二次粒子
3…LiNb化合物
10…リチウム金属複合酸化物
20…正極活物質
CBA…コイン型電池
PE…正極(評価用電極)
NE…負極
SE…セパレータ
GA…ガスケット
WW…ウェーブワッシャー
PC…正極缶
NC…負極缶
Claims (15)
- リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)と、任意にコバルト(Co)、マンガン(Mn)及び元素Mと、を含むリチウム金属複合酸化物と、リチウム及びニオブ(Nb)を含む化合物と、を含有するリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、
前記正極活物質に含まれるニオブ以外の各元素の物質量の比(モル比)が、Li:Ni:Co:Mn:M=s:(1-x-y-z):x:y:z(ただし、0≦x≦0.35、0≦y≦0.35、0≦z≦0.10、0.95<s<1.30、Mは、V、Mg、Mo、Nb、Ti、W、ZrおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表され、
前記リチウム金属複合酸化物は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子を含み、前記一次粒子の表面の少なくとも一部が前記リチウム及びニオブを含む化合物で被覆され、
中和滴定法によって測定される、前記正極活物質を水に分散させたときに溶出する水酸化リチウム量が、前記正極活物質全体に対して、0.003質量%以上0.15質量%以下であり、
前記リチウム及びニオブを含む化合物に含まれるニオブの量は、正極活物質中のNi、Co、MnおよびMの合計に対して0.5mol%以上2mol%以下である、
リチウムイオン二次電池用正極活物質。 - 前記リチウム及びニオブを含む化合物は、少なくともニオブ酸リチウムを含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 前記ニオブ酸リチウムは、Li3NbO4、LiNbO3、LiNb3O8及びLi8Nb2O9のうちの少なくとも一つを含む、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 前記リチウム及びニオブを含む化合物は、非晶質である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)と、任意にコバルト(Co)、マンガン(Mn)及び元素Mと、を含むリチウム金属複合酸化物の粉末と、リチウムを含まず、リチウムと反応可能なニオブ化合物と、を混合して混合物を得ることと、
前記混合物を熱処理することを備え、
前記リチウム金属複合酸化物の粉末は、各元素の物質量の比(モル比)が、Li:Ni:Co:Mn:M=s:(1-x-y-z):x:y:z(ただし、0≦x≦0.35、0≦y≦0.35、0≦z≦0.10、0.95<s<1.30、Mは、V、Mg、Mo、Nb、Ti、W、ZrおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される層状の結晶構造を有し、かつ、一次粒子および一次粒子が凝集して形成された二次粒子を含み、
前記ニオブ化合物の混合量は、中和滴定法によって測定される、前記正極活物質を水に分散させたときに溶出する水酸化リチウム量が、正極活物質全体に対して、0.003質量%以上0.15質量%以下となる量とし、
前記ニオブ化合物に含まれるニオブの量は、前記リチウム金属複合酸化物の粉末中のNi、Co、MnおよびMの合計量に対して0.5mol%以上2.0mol%以下である、
リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記混合物を得た後、前記熱処理をする前に、前記ニオブ化合物を溶解可能な溶媒を、前記リチウム金属複合酸化物の粉末に対して1質量%以上40質量%以下の範囲で混合すること、を備える、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理は、熱処理温度が80℃以上450℃以下である、請求項5または請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理は、熱処理温度が80℃以上300℃以下である第1の熱処理と、前記第1の熱処理の温度よりも高い温度で熱処理する第2の熱処理とを含む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理は、前記第2の熱処理の温度よりも高い温度で熱処理する第3の熱処理を含む、請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理における最高温度が300℃以上450℃以下である、請求項5~請求項9のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記正極活物質は、前記一次粒子の表面が、リチウム及びニオブを含む化合物で被覆される、請求項5~請求項10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニオブ化合物は、酸化ニオブの粉末、及び、酸化ニオブを含むゾルのうち少なくとも一方を含む、請求項5~請求項11のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニオブ化合物は、二次粒子径が20nm以下である、請求項5~請求項12のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含む、リチウムイオン二次電池用正極合剤ペースト。
- 請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含む正極を有するリチウムイオン二次電池。
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