以下に、本発明の電源回路の制御装置及び制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態の理解の容易のため、先に比較例について説明する。
(比較例)
図1は、比較例の制御装置の制御対象である電源回路の回路構成を示す図である。電源回路1は、交流入力電圧の供給を電源2から受けて、直流の出力電圧を負荷3に出力する。電源2は、系統電源が例示されるが、本開示はこれに限定されない。負荷3は、リチウムイオン電池が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
電源回路1は、第1力率改善コンバータ6-1と、第2力率改善コンバータ6-2と、マルチセル型のDC/DCコンバータ7と、を含む。
第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2の各々が、本開示の「コンバータ」に相当する。
第1力率改善コンバータ6-1は、ダイオードD1及びD2と、トランジスタQ1及びQ2と、コンデンサC1と、を含む。ダイオードD1が、本開示の「第1整流素子」に相当する。トランジスタQ1が、本開示の「第1スイッチング素子」に相当する。ダイオードD1及びトランジスタQ1が、本開示の「第1直列回路」に相当する。ダイオードD2が、本開示の「第2整流素子」に相当する。トランジスタQ2が、本開示の「第2スイッチング素子」に相当する。ダイオードD2及びトランジスタQ2が、本開示の「第2直列回路」に相当する。
第2力率改善コンバータ6-2は、ダイオードD3及びD4と、トランジスタQ3及びQ4と、コンデンサC2と、を含む。ダイオードD3が、本開示の「第1整流素子」に相当する。トランジスタQ3が、本開示の「第1スイッチング素子」に相当する。ダイオードD3及びトランジスタQ3が、本開示の「第1直列回路」に相当する。ダイオードD4が、本開示の「第2整流素子」に相当する。トランジスタQ4が、本開示の「第2スイッチング素子」に相当する。ダイオードD4及びトランジスタQ4が、本開示の「第2直列回路」に相当する。
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。
第1力率改善コンバータ6-1において、ダイオードD1のアノードは、トランジスタQ1のドレインに電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードは、トランジスタQ2のドレインに電気的に接続されている。
ダイオードD1のカソード及びダイオードD2のカソードは、コンデンサC1の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタQ1のソース及びトランジスタQ2のソースは、コンデンサC1の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
ダイオードD1のアノードとトランジスタQ1のドレインとの接続点が、第1力率改善コンバータ6-1の一方の入力端子である。ダイオードD2のアノードとトランジスタQ2のドレインとの接続点が、第1力率改善コンバータ6-1の他方の入力端子である。コンデンサC1の両端が、第1力率改善コンバータ6-1の出力端子である。
第2力率改善コンバータ6-2において、ダイオードD3のアノードは、トランジスタQ3のドレインに電気的に接続されている。ダイオードD4のアノードは、トランジスタQ4のドレインに電気的に接続されている。
ダイオードD3のカソード及びダイオードD4のカソードは、コンデンサC2の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタQ3のソース及びトランジスタQ4のソースは、コンデンサC2の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
ダイオードD3のアノードとトランジスタQ3のドレインとの接続点が、第2力率改善コンバータ6-2の一方の入力端子である。ダイオードD4のアノードとトランジスタQ4のドレインとの接続点が、第2力率改善コンバータ6-2の他方の入力端子である。コンデンサC2の両端が、第2力率改善コンバータ6-2の出力端子である。
第1力率改善コンバータ6-1の一方の入力端子は、チョークコイル4を介して、電源2の一端に電気的に接続されている。第2力率改善コンバータ6-2の一方の入力端子は、チョークコイル5を介して、電源2の他端に電気的に接続されている。第1力率改善コンバータ6-1の他方の入力端子は、第2力率改善コンバータ6-2の他方の入力端子に電気的に接続されている。
つまり、第1力率改善コンバータ6-1と、第2力率改善コンバータ6-2とは、直列接続(カスケード接続)されている。
第1力率改善コンバータ6-1の一方の入力端子を、以降、「ノードA」と称する場合がある。第2力率改善コンバータ6-2の一方の入力端子を、以降、「ノードB」と称する場合がある。第1力率改善コンバータ6-1のコンデンサC1の電圧を、以降、「第1セル電圧」と称する場合がある。第2力率改善コンバータ6-2のコンデンサC1の電圧を、以降、「第2セル電圧」と称する場合がある。
ノードA及びノードBには、チョークコイル4及び5を介して、交流入力電圧が電源2から入力される。
DC/DCコンバータ7は、第1トランス駆動回路11-1と、第2トランス駆動回路11-2と、第1トランス13と、第2トランス14と、整流回路18と、コンデンサ19と、を含む。
DC/DCコンバータ7は、LLC共振を利用したLLCコンバータ(絶縁型共振コンバータ)とするが、本開示はこれに限定されない。
第1トランス駆動回路11-1及び第2トランス駆動回路11-2の各々は、トランジスタ11aから11dまでを含む。
第1トランス駆動回路11-1において、トランジスタ11aのソースは、トランジスタ11bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11cのソースは、トランジスタ11dのドレインに電気的に接続されている。
トランジスタ11aのドレイン及びトランジスタ11cのドレインは、コンデンサC1の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ11bのソース及びトランジスタ11dのソースは、コンデンサC1の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
トランジスタ11aのドレインとトランジスタ11cのドレインとの接続点が、第1トランス駆動回路11-1の一方の入力端子である。トランジスタ11bのソースとトランジスタ11dのソースとの接続点が、第1トランス駆動回路11-1の他方の入力端子である。
第1トランス駆動回路11-1の2つの入力端子には、第1セル電圧が入力される。
トランジスタ11cのソースとトランジスタ11dのドレインとの接続点が、第1トランス駆動回路11-1の一方の出力端子である。トランジスタ11aのソースとトランジスタ11bのドレインとの接続点が、第1トランス駆動回路11-1の他方の出力端子である。
第2トランス駆動回路11-2の回路構成は、第1トランス駆動回路11-1と同様であるので、説明を省略する。
トランジスタ11aのドレインとトランジスタ11cのドレインとの接続点が、第2トランス駆動回路11-2の一方の入力端子である。トランジスタ11bのソースとトランジスタ11dのソースとの接続点が、第2トランス駆動回路11-2の他方の入力端子である。
第2トランス駆動回路11-2の2つの入力端子には、第2セル電圧が入力される。
トランジスタ11cのソースとトランジスタ11dのドレインとの接続点が、第2トランス駆動回路11-2の一方の出力端子である。トランジスタ11aのソースとトランジスタ11bのドレインとの接続点が、第2トランス駆動回路11-2の他方の出力端子である。
第1トランス13は、1次巻線13aと、2次巻線13bと、コア13cと、を含む。1次巻線13a及び2次巻線13bは、コア13cに巻回されている。
1次巻線13aは、漏れインダクタンス13eと、励磁インダクタンス13fと、を含む。1次巻線13aの一端は、コンデンサC3を介して、第1トランス駆動回路11-1の一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線13aの他端は、第1トランス駆動回路11-1の他方の出力端子に電気的に接続されている。
第1トランス駆動回路11-1は、正方向の直流電圧(第1セル電圧)、負方向の直流電圧(第1セル電圧の逆方向の電圧)、又は、ゼロ電圧を第1トランス駆動回路11-1の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
例えば、第1トランス駆動回路11-1は、トランジスタ11b及び11cがオン状態、且つ、トランジスタ11a及び11dがオフ状態の場合、正方向の直流電圧を第1トランス駆動回路11-1の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
また例えば、第1トランス駆動回路11-1は、トランジスタ11b及び11cがオフ状態、且つ、トランジスタ11a及び11dがオン状態の場合、負方向の直流電圧を第1トランス駆動回路11-1の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
また例えば、第1トランス駆動回路11-1は、トランジスタ11aから11dまでがオフ状態の場合、ゼロ電圧を第1トランス駆動回路11-1の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
第2トランス14は、1次巻線14aと、2次巻線14bと、コア14cと、を含む。1次巻線14a、及び、2次巻線14bは、コア14cに巻回されている。
1次巻線14aは、漏れインダクタンス14eと、励磁インダクタンス14fと、を含む。1次巻線14aの一端は、コンデンサC4を介して、第2トランス駆動回路11-2の一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線14aの他端は、第2トランス駆動回路11-2の他方の出力端子に電気的に接続されている。
第2トランス駆動回路11-2は、正方向の直流電圧(第2セル電圧)、負方向の直流電圧(第1セル電圧の逆方向の電圧)、又は、ゼロ電圧を第2トランス駆動回路11-2の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
例えば、第2トランス駆動回路11-2は、トランジスタ11b及び11cがオン状態、且つ、トランジスタ11a及び11dがオフ状態の場合、正方向の直流電圧を第2トランス駆動回路11-2の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
また例えば、第2トランス駆動回路11-2は、トランジスタ11b及び11cがオフ状態、且つ、トランジスタ11a及び11dがオン状態の場合、負方向の直流電圧を第2トランス駆動回路11-2の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
また例えば、第2トランス駆動回路11-2は、トランジスタ11aから11dまでがオフ状態の場合、ゼロ電圧を第2トランス駆動回路11-2の一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
第1トランス13の2次巻線13bの一端は、第2トランス14の2次巻線14bの一端に電気的に接続されている。つまり、2次巻線13bと2次巻線14bとは、直列接続されている。従って、直列接続された2次巻線13b及び2次巻線14bの電圧は、2次巻線13bに励磁された電圧と、2次巻線14bに励磁された電圧と、の和になる。
整流回路18は、ブリッジダイオードとするが、本開示はこれに限定されない。
整流回路18は、ダイオード18aから18dまでを含む。ダイオード18aのアノードは、ダイオード18bのカソードに電気的に接続されている。ダイオード18cのアノードは、ダイオード18dのカソードに電気的に接続されている。
ダイオード18aのカソード及びダイオード18cのカソードは、コンデンサ19の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。ダイオード18bのアノード及びダイオード18dのアノードは、コンデンサ19の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
ダイオード18aのアノードとダイオード18bのカソードとの接続点が、整流回路18の一方の入力端子である。ダイオード18cのアノードとダイオード18dのカソードとの接続点が、整流回路18の他方の入力端子である。
整流回路18の一方の入力端子は、チョークコイル16を介して、第1トランス13の2次巻線13bの他端に電気的に接続されている。整流回路18の他方の入力端子は、チョークコイル17を介して、第2トランス14の2次巻線14bの他端に電気的に接続されている。
ダイオード18aのカソードとダイオード18cのカソードとの接続点が、整流回路18の一方の出力端子である。ダイオード18bのアノードとダイオード18dのアノードとの接続点が、整流回路18の他方の出力端子である。
整流回路18は、2次巻線13b及び2次巻線14bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ19に出力する。コンデンサ19は、整流回路18で全波整流された電圧を平滑化する。
コンデンサ19の一端(高電位側端)は、チョークコイル8を介して、負荷3の一端(例えば、リチウムイオン電池の正極)に電気的に接続されている。コンデンサ19の他端(低電位側端)は、負荷3の他端(例えば、リチウムイオン電池の負極)に電気的に接続されている。
負荷3には、コンデンサ19で平滑化された直流電圧が入力される。例えば、負荷3がリチウムイオン電池である場合には、リチウムイオン電池は、コンデンサ19で平滑化された直流電圧によって、充電される。
なお、本開示では、共振回路(LLC共振回路)が1次巻線13a及び1次巻線14aの側にあることとしたが、これに限定されない。共振回路は、2次巻線13b及び2次巻線14bの側にあっても良い。また、共振回路は、1次巻線13a及び1次巻線14aの側と、2次巻線13b及び2次巻線14bの側と、の両側にあっても良い。
回路要素の個体差に起因して、第1力率改善コンバータ6-1のコンデンサC1から第1トランス駆動回路11-1に流れる電流Iout1と、第2力率改善コンバータ6-2のコンデンサC1から第2トランス駆動回路11-2に流れる電流Iout2と、がアンバランスになる可能性がある。回路要素は、例えば、共振回路(図1では、LLC回路)を構成する素子(例えば、励磁インダクタンス13f及び14f)が例示される。従って、第1セル電圧と、第2セル電圧とが、アンバランスになる可能性がある。
図2は、比較例の制御装置のブロック図である。制御装置20は、上記した、第1セル電圧と第2セル電圧とがアンバランスになることを、抑制する。
制御装置20は、力率改善コンバータ制御部21と、トランス駆動回路制御部22と、を含む。
力率改善コンバータ制御部21は、予め定められた方のセル電圧(本比較例では、第2セル電圧)を参照して電圧制御補償を行い、力率改善に必要な電流制御補償を行い、その後で、両方のセル電圧を参照して第1セル電圧と第2セル電圧とのバランス制御補償を行う。バランス制御は、電流制御補償器で出力された値に応じて行う。
力率改善コンバータ制御部21は、目標電圧設定部21aと、第1セル電圧検出部21b-1と、第2セル電圧検出部21b-2と、電圧制御補償器21cと、交流入力電圧検出部21dと、乗算器21eと、交流入力電流検出部21fと、電流制御補償器21gと、バランス制御補償器21hと、駆動信号生成部21iと、を含む。
目標電圧設定部21aは、第1セル電圧及び第2セル電圧の目標値(一定値)を設定する。
第1セル電圧検出部21b-1は、例えば電圧センサを含んで構成され、第1セル電圧を検出して出力する。
第2セル電圧検出部21b-2は、例えば電圧センサを含んで構成され、第2セル電圧を検出して出力する。
電圧制御補償器21cは、セル電圧の目標値と、第2セル電圧検出部21b-2で検出される第2セル電圧と、に基づいて、電圧制御補償量を乗算器21eに出力する。電圧制御補償器21cは、例えば、セル電圧の目標値と第2セル電圧との差分(電圧偏差)に比例制御(P制御)、比例積分制御(PI制御)、比例積分微分制御(PID制御)等を行って、電圧制御補償量を出力することが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
交流入力電圧検出部21dは、例えば電圧センサを含んで構成され、電源2(図1参照)の電圧である交流入力電圧を検出して出力する。なお、交流入力電圧検出部21dは、電源2の電圧の瞬時値を検出することとするが、本開示はこれに限定されない。
乗算器21eは、電圧制御補償器21cから出力される電圧制御補償量と、交流入力電圧検出部21dから出力される交流入力電圧と、を乗算して出力する。
交流入力電流検出部21fは、例えば電流センサを含んで構成され、電源2から電源回路1に入力される交流入力電流を検出して出力する。
電流制御補償器21gは、乗算器21eの出力値と、交流入力電流検出部21fによって検出される交流入力電流と、に基づいて、電流制御補償量を駆動信号生成部21iに出力する。電流制御補償器21gは、例えば、乗算器21eの出力値と交流入力電流との差分(電流偏差)に比例制御(P制御)、比例積分制御(PI制御)、比例積分微分制御(PID制御)等を行って、電流制御補償量を出力することが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
バランス制御補償器21hは、第1セル電圧検出部21b-1で検出される第1セル電圧と、第2セル電圧検出部21b-2で検出される第2セル電圧と、に基づいて、バランス制御補償量を駆動信号生成部21iに出力する。バランス制御補償器21hは、例えば、第2セル電圧と第1セル電圧との差分(電圧偏差)に比例制御(P制御)、比例積分制御(PI制御)、比例積分微分制御(PID制御)等を行って、バランス制御補償量を出力することが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティからバランス制御補償量を減ずることにより、第1力率改善コンバータ6-1に出力するスイッチング駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティにバランス制御補償量を加えることにより、第2力率改善コンバータ6-2に出力するスイッチング駆動信号を生成する。
トランス駆動回路制御部22による第1トランス駆動回路11-1及び第2トランス駆動回路11-2の制御は、周知であるので、説明を省略する。
[比較例の課題]
図3は、比較例の各部の電圧、電流、制御補償量及び内部信号を示す図である。詳しくは、図3は、起動時の、第1セル電圧、第2セル電圧、DC/DCコンバータ7の出力電流、電圧制御補償器21cが出力する電圧制御補償量、バランス制御補償器21hが出力するバランス制御補償量、第1力率改善コンバータ6-1、第2力率改善コンバータ6-2、及び、DC/DCコンバータ7の動作状態を示す図である。
波形121は、第1セル電圧の波形である。波形122は、第2セル電圧の波形である。波形123は、出力電流の波形である。波形124は、電圧制御補償量の波形である。波形125は、バランス制御補償量の波形である。波形126は、第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2の動作状態を示す波形である。波形127は、DC/DCコンバータ7の動作状態を示す波形である。波形128は、目標電圧設定部21aで設定される目標電圧の波形である。
タイミングt0において、制御装置20が起動し、第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2(波形126参照)、並びに、DC/DCコンバータ7(波形127参照)が動作を開始する。なお、タイミングt0において、第1セル電圧(波形121参照)は、目標電圧(波形128参照)より低く、第2セル電圧(波形122参照)は、目標電圧(波形128参照)より高い。
このような事は、例えば、入力過電流発生により、トランス駆動回路制御部22がDC/DCコンバータ7を停止させるよりも前に、力率改善コンバータ制御部21が第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2を停止させた場合に起こり得る。電源2からコンデンサC1及びC2への入力電流が絶たれた後も、DC/DCコンバータ7が停止するまでの間は、電流Iout1及びIout2が継続する。そして、Iout1>Iout2であると、第2セル電圧>第1セル電圧となる。
電圧制御補償器21cは、第2セル電圧(波形122参照)が目標電圧(波形128参照)よりも高いので、電圧制御補償量(波形124参照)をゼロにする。一方、バランス制御補償器21hは、バランス制御補償量(波形125参照)が取り得る範囲(矢印129参照)の最大値を出力する。
また、DC/DCコンバータ7が動作を開始した結果、出力電流(波形123参照)が一定に増加して行く。
電圧制御操作量がゼロとなり、目標電圧に制御することができなくなると、バランス制御補償量が最大値となってしまい、第1セル電圧が低下して行き、入力電圧のピーク値が第1セル電圧と第2セル電圧の合算値でしか動作できなくなるため、第2セル電圧が上昇して行く。
タイミングt1において、第2セル電圧(波形122参照)と第1セル電圧(波形121参照)との間の差が制御可能な範囲を超えると、安全を確保するために、制御装置20は、第1力率改善コンバータ6-1、第2力率改善コンバータ6-2、及び、DC/DCコンバータ7を停止させる。
図4は、比較例の各部の電圧及び電流を示す図である。詳しくは、図4は、起動時の、第1セル電圧、第2セル電圧、出力電流、及び、交流入力電流の実測波形を示す図である。
波形131は、第1セル電圧の波形である。波形132は、第2セル電圧の波形である。波形133は、出力電流の波形である。波形134は、交流入力電流の波形である。
このように、制御装置20は、予め定められた方のセル電圧(比較例では、第2セル電圧)が他方のセル電圧(比較例では、第1セル電圧)より低いと、電源回路1を動作させることが出来ない。
本開示の第1の実施の形態は、電源回路1を動作させることが出来なくなることを抑制することを可能とする。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の制御装置の制御対象である電源回路は、図1で示した電源回路1と同じであるので、図示及び説明を省略する。また、第1の実施の形態の制御装置の構成要素のうち、比較例と同一の構成要素については、説明を省略する。
図5は、第1の実施の形態の制御装置のブロック図である。制御装置30は、制御装置20(図2参照)と比較して、力率改善コンバータ制御部21に代えて、力率改善コンバータ制御部21Aを含む。
力率改善コンバータ制御部21Aは、力率改善コンバータ制御部21(図2参照)と比較して、起動前第1セル電圧検出部21j-1と、起動前第2セル電圧検出部21j-2と、制御選択フラグ設定部21kと、を更に含む。
起動前第1セル電圧検出部21j-1は、例えば電圧センサを含んで構成され、第1力率改善コンバータ6-1が起動する前の起動前第1セル電圧を検出して出力する。
起動前第2セル電圧検出部21j-2は、例えば電圧センサを含んで構成され、第2力率改善コンバータ6-2が起動する前の起動前第2セル電圧を検出して出力する。
制御選択フラグ設定部21kは、起動前第1セル電圧と起動前第2セル電圧とを比較し、起動前第1セル電圧が起動前第2セル電圧以上である場合、制御選択フラグFLGを「ON」(例えば「0x01」)に設定する。制御選択フラグ設定部21kは、起動前第1セル電圧が起動前第2セル電圧より低い場合、制御選択フラグFLGを「OFF」(例えば「0x00」)に設定する。
電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「ON」である場合、目標電圧設定部21aから出力される目標電圧と、第2セル電圧検出部21b-2から出力される第2セル電圧と、に基づいて、電圧制御補償量を乗算器21eに出力する。
電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「OFF」である場合、目標電圧設定部21aから出力される目標電圧と、第1セル電圧検出部21b-1から出力される第1セル電圧と、に基づいて、電圧制御補償量を乗算器21eに出力する。
つまり、電圧制御補償器21cは、第1セル電圧と第2セル電圧との内の低い方のセル電圧を参照して、電圧制御補償量を算出する。
バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「ON」である場合、第2セル電圧と第1セル電圧との差分(電圧偏差)に基づいて、バランス制御補償量を駆動信号生成部21iに出力する。
バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「OFF」である場合、第1セル電圧と第2セル電圧との差分(電圧偏差)に基づいて、バランス制御補償量を駆動信号生成部21iに出力する。
駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「ON」である場合、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティからバランス制御補償量を減ずることにより、トランジスタQ1及びQ2に出力するスイッチング駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティにバランス制御補償量を加えることにより、トランジスタQ4及びQ3に出力するスイッチング駆動信号を生成する。
駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「OFF」である場合、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティにバランス制御補償量を加えることにより、トランジスタQ1及びQ2に出力するスイッチング駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティからバランス制御補償量を減ずることにより、トランジスタQ4及びQ3に出力するスイッチング駆動信号を生成する。
図6から図9は、第1の実施の形態の制御装置のフローチャートである。制御装置30は、起動時に、図6のフローチャートに示す処理を実施する。また、制御装置30は、制御タイミング毎に、図7から図9のフローチャートに示す処理を実施する。
図6を参照すると、制御選択フラグ設定部21kは、ステップS100において、起動前第1セル電圧が起動前第2セル電圧以上であるか否かを判定する。
制御選択フラグ設定部21kは、起動前第1セル電圧が起動前第2セル電圧以上であると判定したら(ステップS100でYes)、処理をステップS102に進める。制御選択フラグ設定部21kは、起動前第1セル電圧が起動前第2セル電圧以上ではないと判定したら(ステップS100でNo)、処理をステップS104に進める。
制御選択フラグ設定部21kは、ステップS102において、制御選択フラグFLGを「ON」(例えば、「0x01」)に設定し、処理を終了する。
一方、制御選択フラグ設定部21kは、ステップS104において、制御選択フラグFLGを「OFF」(例えば、「0x00」)に設定し、処理を終了する。
図7を参照すると、電圧制御補償器21cは、ステップS110において、制御選択フラグFLGが「ON」であるか否かを判定する。
電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「ON」であると判定したら(ステップS110でYes)、処理をステップS112に進める。電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「ON」ではないと判定したら(ステップS110でNo)、処理をステップS114に進める。
電圧制御補償器21cは、ステップS112において、目標電圧から第2セル電圧を減ずることにより、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する。更に、電圧制御補償器21cは、今回の電圧制御補償量Uvo(n)を、次の式(1)で算出し、処理を終了する。
Uvo(n)
=Evo(n)・Kvo0+Evo(n-1)・Kvo1+Uvo(n-1)
・・・(1)
式(1)において、Kvo0及びKvo1は、予め定められた定数である。Evo(n-1)は、前回の電圧制御電圧偏差である。Uvo(n-1)は、前回の電圧制御補償量である。つまり、電圧制御補償器21cは、PI制御(比例積分制御)を行う。
一方、電圧制御補償器21cは、ステップS114において、目標電圧から第1セル電圧を減ずることにより、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する。更に、電圧制御補償器21cは、今回の電圧制御補償量Uvo(n)を、上記の式(1)で算出し、処理を終了する。
図8を参照すると、バランス制御補償器21hは、ステップS120において、制御選択フラグが「ON」であるか否かを判定する。
バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「ON」であると判定したら(ステップS120でYes)、処理をステップS122に進める。バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「ON」ではないと判定したら(ステップS120でNo)、処理をステップS124に進める。
バランス制御補償器21hは、ステップS122において、第2セル電圧から第1セル電圧を減ずることにより、今回のバランス制御電圧偏差Evc(n)を算出する。更に、バランス制御補償器21hは、今回のバランス制御補償量Uvc(n)を、次の式(2)で算出し、処理を終了する。
Uvc(n)
=Evc(n)・Kvc0+Evc(n-1)・Kvc1+Uvc(n-1)
・・・(2)
式(2)において、Kvc0及びKvc1は、予め定められた定数である。Evc(n-1)は、前回のバランス制御電圧偏差である。Uvc(n-1)は、前回のバランス制御補償量である。つまり、バランス制御補償器21hは、PI制御(比例積分制御)を行う。
一方、バランス制御補償器21hは、ステップS124において、第1セル電圧から第2セル電圧を減ずることにより、今回のバランス制御電圧偏差Evc(n)を算出する。更に、バランス制御補償器21hは、今回のバランス制御補償量Uvc(n)を、上記の式(2)で算出し、処理を終了する。
図9を参照すると、駆動信号生成部21iは、ステップS130において、制御選択フラグFLGが「ON」であるか否かを判定する。
駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「ON」であると判定したら(ステップS130でYes)、処理をステップS132に進める。駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「ON」ではないと判定したら(ステップS130でNo)、処理をステップS134に進める。
駆動信号生成部21iは、ステップS132において、スイッチング駆動信号のデューティを算出し、スイッチング駆動信号を生成する。詳しくは、駆動信号生成部21iは、トランジスタQ1のゲートへ入力されるスイッチング駆動信号DRV1のデューティを、次の式(3)で算出する。
DRV1=Duty-Uvc(n) ・・・(3)
式(3)において、Dutyは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティである。トランジスタQ2のゲートへ入力されるスイッチング駆動信号DRV2も、式(3)で算出される。
また、駆動信号生成部21iは、トランジスタQ4のゲートへ入力されるスイッチング駆動信号DRV4のデューティを、次の式(4)で算出する。トランジスタQ3のゲートへ入力されるスイッチング駆動信号DRV3も、式(4)で算出される。
DRV4=Duty+Uvc(n) ・・・(4)
一方、駆動信号生成部21iは、ステップS134において、スイッチング駆動信号のデューティを算出し、スイッチング駆動信号を生成する。詳しくは、駆動信号生成部21iは、スイッチング駆動信号DRV1のデューティを、次の式(5)で算出する。トランジスタQ2のゲートへ入力されるスイッチング駆動信号DRV2も、式(5)で算出される。
DRV1=Duty+Uvc(n) ・・・(5)
また、駆動信号生成部21iは、スイッチング駆動信号DRV4のデューティを、上記の式(6)で算出する。トランジスタQ3のゲートへ入力されるスイッチング駆動信号DRV3も、式(6)で算出される。
DRV4=Duty-Uvc(n) ・・・(6)
図10は、第1の実施の形態の各部の電圧、電流、制御補償量及び内部信号を示す図である。詳しくは、図10は、起動時の、第1セル電圧、第2セル電圧、DC/DCコンバータ7の出力電流、電圧制御補償器21cが出力する電圧制御補償量、バランス制御補償器21hが出力するバランス制御補償量、第1力率改善コンバータ6-1、第2力率改善コンバータ6-2、及び、DC/DCコンバータ7の動作状態を示す図である。
波形141は、第1セル電圧の波形である。波形142は、第2セル電圧の波形である。波形143は、出力電流の波形である。波形144は、電圧制御補償量の波形である。波形145は、バランス制御補償量の波形である。波形146は、第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2の動作状態を示す波形である。波形147は、DC/DCコンバータ7の動作状態を示す波形である。波形148は、目標電圧設定部21aで設定される目標電圧の波形である。
タイミングt10において、制御装置30が起動し、第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2(波形146参照)、並びに、DC/DCコンバータ7(波形147参照)が動作を開始する。起動前第1セル電圧(波形141参照)は、目標電圧(波形148参照)より低く、起動前第2セル電圧(波形142参照)は、目標電圧(波形148参照)より高い。
制御選択フラグ設定部21kは、起動前第1セル電圧が起動前第2セル電圧以上ではないので(図6のステップS100参照)、制御選択フラグを「OFF」(例えば「0x00」)に設定する(図6のステップS104参照)。
電圧制御補償器21cは、目標電圧から第1セル電圧を減ずることにより、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する(図7のステップS114参照)。第1セル電圧が目標電圧より低いので、タイミングt10での電圧制御電圧偏差Evo(n)は、プラスの値になる(波形144参照)。更に、電圧制御補償器21cは、タイミングt10での電圧制御補償量Uvo(n)を、上記した式(1)で算出する(図7のステップS114参照)。
バランス制御補償器21hは、第1セル電圧から第2セル電圧を減ずることにより、今回のバランス制御電圧偏差Evc(n)を算出する。第1セル電圧が第2セル電圧より低いので、タイミングt10でのバランス制御電圧偏差Evc(n)は、マイナスの値になる。更に、バランス制御補償器21hは、今回のバランス制御補償量Uvc(n)を、上記の式(2)で算出する(図8のステップS124参照)。タイミングt10でのバランス制御電圧偏差Evc(n)がマイナスの値であるので、タイミングt10でのバランス制御補償量Uvc(n)は、マイナスの値になる(波形145参照)。
駆動信号生成部21iは、スイッチング駆動信号DRV1のデューティを、上記の式(5)で算出する(図9のステップS134参照)。タイミングt10でのバランス制御補償量Uvc(n)がマイナスの値であるので、スイッチング駆動信号DRV1のデューティは、短くなるように調整される。また、スイッチング駆動信号DRV4のデューティは、長くなるように調整される。従って、第1セル電圧と第2セル電圧との電圧差を小さくし、第1セル電圧と第2セル電圧とをバランスさせることが出来る。
タイミングt10以降、電圧制御補償量(波形144参照)は、一定に増加して行く。タイミングt10からタイミングt11までの間は、バランス制御補償量(波形145参照)は、制御演算の応答などにより、アンダーシュート及びオーバーシュートした後、一定値に収束する。第2セル電圧(波形142参照)も、アンダーシュート及びオーバーシュートした後、目標電圧に収束する。
タイミングt12において、出力電流(波形143参照)が目標値に達すると、電圧制御補償量(波形144参照)は、一定値に収束する。これにより、電源回路1は、定常状態になる。
図11は、第1の実施の形態の各部の電圧及び電流を示す図である。詳しくは、図11は、起動時の、第1セル電圧、第2セル電圧、出力電流、及び、交流入力電流の実測波形を示す図である。
波形151は、第1セル電圧の波形である。波形152は、第2セル電圧の波形である。波形153は、出力電流の波形である。波形154は、交流入力電流の波形である。
以上説明したように、制御装置30は、起動前第1セル電圧及び起動前第2セル電圧の内の低い方のセル電圧を参照して電圧制御補償を行い、両方のセル電圧を参照してバランス制御補償を行う。これにより、制御装置30は、電源回路1を動作させることが出来なくなることを抑制できる。
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態及び比較例と同一の構成要素については、説明を省略する。
図12は、第2の実施の形態の制御装置の制御対象である電源回路を示す図である。電源回路1Bは、電源回路1(図1参照)と比較して、第3力率改善コンバータ6-3を更に含む。また、電源回路1Bは、電源回路1と比較して、DC/DCコンバータ7に代えて、DC/DCコンバータ7Bを含む。
第3力率改善コンバータ6-3の回路構成は、第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2と同様であるので、説明を省略する。
第1力率改善コンバータ6-1と、第2力率改善コンバータ6-2と、第3力率改善コンバータ6-3とは、直列接続(カスケード接続)されている。
DC/DCコンバータ7Bは、DC/DCコンバータ7(図1参照)と比較して、第3トランス駆動回路11-3と、第3トランス15と、を更に含む。
第3トランス駆動回路11-3の回路構成は、第1トランス駆動回路11-1及び第2トランス駆動回路11-2と同様であるので、説明を省略する。
第3トランス駆動回路11-3の2つの入力端子には、第3力率改善コンバータ6-3のコンデンサの電圧が入力される。第3力率改善コンバータ6-3のコンデンサの電圧を、以降、「第3セル電圧」と称する場合がある。
第1トランス13の2次巻線と第2トランス14の2次巻線と第3トランス15の2次巻線とは、直列接続されている。従って、直列接続された2次巻線の電圧は、第1トランス13の2次巻線に励磁された電圧と、第2トランス14の2次巻線に励磁された電圧と、第3トランス15の2次巻線に励磁された電圧と、の和になる。
整流回路18は、直列接続された2次巻線に励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ19に出力する。
図13は、第2の実施の形態の制御装置のブロック図である。制御装置30Bは、制御装置30(図5参照)と比較して、力率改善コンバータ制御部21Aに代えて、力率改善コンバータ制御部21Bを含む。力率改善コンバータ制御部21Bは、力率改善コンバータ制御部21Aと比較して、第3セル電圧検出部21b-3と、起動前第3セル電圧検出部21j-3と、を更に含む。
第3セル電圧検出部21b-3は、例えば電圧センサを含んで構成され、第3セル電圧を検出して出力する。
起動前第3セル電圧検出部21j-3は、例えば電圧センサを含んで構成され、第3力率改善コンバータ6-3が起動する前の起動前第3セル電圧を検出して出力する。
制御選択フラグ設定部21kは、起動前第1セル電圧、起動前第2セル電圧及び起動前第3セル電圧を比較し、起動前第1セル電圧が最も低い場合、制御選択フラグFLGを例えば「0x01」に設定する。制御選択フラグ設定部21kは、起動前第2セル電圧が最も低い場合、制御選択フラグFLGを例えば「0x02」に設定する。制御選択フラグ設定部21kは、起動前第3セル電圧が最も低い場合、制御選択フラグFLGを例えば「0x03」に設定する。
電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「0x01」である場合、目標電圧から第1セル電圧を減ずることにより、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する。
電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「0x02」である場合、目標電圧から第2セル電圧を減ずることにより、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する。
電圧制御補償器21cは、制御選択フラグFLGが「0x03」である場合、目標電圧から第3セル電圧を減ずることにより、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する。
つまり、電圧制御補償器21cは、第1セル電圧、第2セル電圧及び第3セル電圧の内の最も低いセル電圧を参照して、今回の電圧制御電圧偏差Evo(n)を算出する。
バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「0x01」である場合、((第1セル電圧-第2セル電圧)+(第1セル電圧-第3セル電圧))/2で、今回のバランス制御電圧偏差Evc(n)を算出する。
バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「0x02」である場合、((第2セル電圧-第1セル電圧)+(第2セル電圧-第3セル電圧))/2で、今回のバランス制御電圧偏差Evc(n)を算出する。
バランス制御補償器21hは、制御選択フラグFLGが「0x03」である場合、((第3セル電圧-第1セル電圧)+(第3セル電圧-第2セル電圧))/2で、今回のバランス制御電圧偏差Evc(n)を算出する。
駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「0x01」である場合、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティにバランス制御補償量を加えることにより、第1力率改善コンバータ6-1に出力するスイッチング駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティからバランス制御補償量を減ずることにより、第2力率改善コンバータ6-2及び第3力率改善コンバータ6-3に出力するスイッチング駆動信号を生成する。
駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「0x02」である場合、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティにバランス制御補償量を加えることにより、第2力率改善コンバータ6-2に出力するスイッチング駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティからバランス制御補償量を減ずることにより、第1力率改善コンバータ6-1及び第3力率改善コンバータ6-3に出力するスイッチング駆動信号を生成する。
駆動信号生成部21iは、制御選択フラグFLGが「0x03」である場合、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティにバランス制御補償量を加えることにより、第3力率改善コンバータ6-3に出力するスイッチング駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部21iは、電流制御補償器21gから出力される電流制御補償量に基づくデューティからバランス制御補償量を減ずることにより、第1力率改善コンバータ6-1及び第2力率改善コンバータ6-2に出力するスイッチング駆動信号を生成する。
このように、制御装置30Bは、起動前第1セル電圧、起動前第2セル電圧及び起動前第3セル電圧の内の最も低いセル電圧を参照して電圧制御補償を行い、全部のセル電圧を参照してバランス制御補償を行う。これにより、制御装置30Bは、電源回路1Bを動作させることが出来なくなることを抑制できる。
なお、第1の実施の形態でセルの数が2個の場合を説明し、第2の実施の形態でセルの数が3個の場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。セルの数は、4個以上であっても良い。
<力率改善コンバータの第1の変形例>
第1力率改善コンバータ6-1、第2力率改善コンバータ6-2及び第3力率改善コンバータ6-3は、上記した構成に限定されない。
図14は、力率改善コンバータの第1の変形例の構成を示す図である。力率改善コンバータ6Aは、トランジスタQ11からQ14までと、コンデンサC11と、を含む。
トランジスタQ11のソースは、トランジスタQ12のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ13のソースは、トランジスタQ14のドレインに電気的に接続されている。
トランジスタQ11が、本開示の「第1スイッチング素子」に相当する。トランジスタQ12が、本開示の「第2スイッチング素子」に相当する。トランジスタQ13が、本開示の「第3スイッチング素子」に相当する。トランジスタQ14が、本開示の「第4スイッチング素子」に相当する。トランジスタQ11及びトランジスタQ12が、本開示の「第1直列回路」に相当する。トランジスタQ13及びトランジスタQ14が、本開示の「第2直列回路」に相当する。
トランジスタQ11のドレイン及びトランジスタQ13のドレインは、コンデンサC11の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタQ12のソース及びトランジスタQ14のソースは、コンデンサC11の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
トランジスタQ11のソースとトランジスタQ12のドレインとの接続点が、力率改善コンバータ6Aの一方の入力端子である。トランジスタQ13のソースとトランジスタQ14のドレインとの接続点が、力率改善コンバータ6Aの他方の入力端子である。コンデンサC11の両端が、力率改善コンバータ6Aの出力端子である。
<力率改善コンバータの第2の変形例>
図15は、力率改善コンバータの第2の変形例の構成を示す図である。力率改善コンバータ6Bは、ダイオードD21及びD22と、トランジスタQ21及びQ22と、コンデンサC21と、を含む。
ダイオードD21のアノードは、ダイオードD22のカソードに電気的に接続されている。トランジスタQ21のソースは、トランジスタQ22のドレインに電気的に接続されている。
ダイオードD21が、本開示の「第1整流素子」に相当する。ダイオードD22が、本開示の「第2整流素子」に相当する。トランジスタQ21が、本開示の「第1スイッチング素子」に相当する。トランジスタQ22が、本開示の「第2スイッチング素子」に相当する。ダイオードD21及びダイオードD22が、本開示の「第1直列回路」に相当する。トランジスタQ21及びトランジスタQ22が、本開示の「第2直列回路」に相当する。
ダイオードD21のカソード及びトランジスタQ21のドレインは、コンデンサC21の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。ダイオードD22のアノード及びトランジスタQ22のソースは、コンデンサC21の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
ダイオードD21のアノードとダイオードD22のカソードとの接続点が、力率改善コンバータ6Bの一方の入力端子である。トランジスタQ21のソースとトランジスタQ22のドレインとの接続点が、力率改善コンバータ6Bの他方の入力端子である。コンデンサC21の両端が、力率改善コンバータ6Bの出力端子である。
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。