JP7309405B2 - 鋳型用砂型資材及び鋳型用の中子及び砂型材の製造方法 - Google Patents
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Description
即ち中子を一例とする砂型の一連の処理作業を見ると、鋳型用砂型素材の準備と、中子成型型を用いた中子の成型と、その後の鋳造製品からの中子を形成していた砂型資材の除去の工程とを必要としている。
現状多く採られている手法は、中子の保形のために作用する水ガラス等の硬化剤を除去する苛性ソーダを用いて少しずつ崩壊させている。
元よりこの工程以外にも要求される技術的課題も多く、当然ながら中子の成型性も行い易いものとしなければならない。
更に中子を崩壊させる際に生ずる廃液には、水溶性の無機成分が含まれてしまうため、この廃液の処分に更なるコストを要している。
そしてこれら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
以下、本発明の「鋳型用砂型資材」について具体的に説明するものであり、このものは、「親水基」を具えた「水溶性樹脂」に対し「粒状主骨材」を混合して成る形態が挙げられ、例えば粉末状の 「水溶性樹脂」と「粒状主骨材」との混合物あるいは「粒状主骨材」を「水溶性樹脂」によってコーティングしたものとして提供されるものであり、これを第一の形態とする。
なお上記本発明の「鋳型用砂型資材」に関連し、「水」が含有された「鋳型用砂型資材」を参考形態として示すものである。
まず第一の参考形態の「鋳型用砂型資材」としては、「親水基」を具えた「水溶性樹脂」に対し「水」を混合して成る形態が挙げられ、例えば「水溶性樹脂」の水溶液として提供される。
更に第二の参考形態の「鋳型用砂型資材」としては、「親水基」を具えた「水溶性樹脂」に対し「粒状主骨材」及び「水」を混合して成る形態が挙げられ、例えば「水溶性樹脂」の水溶液と「粒状主骨材」との混合物として提供される。
また前記「親水基」としては、カルボキシル基、1,2-ジヒドロキシエチル基(1,2-エタンジオール構造)が採用され、少なくとも一方、または2種類が「親水基」として「水溶性樹脂」に導入されている構造を採用できる。特に上記2種類の「親水基」を備える「水溶性樹脂」は「水」との親水性に優れ、「親水基」の水素結合作用により得られる「鋳型用の中子」(以下「中子」と略記する)は乾燥後に強固となり易く、乾燥性の面で有利である。
また前記「粒状主骨材」に対する「水溶性樹脂」の割合は、「粒状主骨材」100重量部に対し、1.0~3.0重量部、好ましくは1.2~2.4重量部、更に好ましくは1.2~2.0重量部とされる。
また前記第一の形態の「鋳型用砂型資材」を用いる場合、粉末状の「水溶性樹脂」と「粒状主骨材」とをよく混合した後、そこに「水」を加えて攪拌・混合される。また「粒状主骨材」を「水溶性樹脂」によってコーティングしたものを用いる場合、このものと「水」とが攪拌・混合される。なおこの場合、他の二形態と比べて「水」の量が少なくて済むため、乾燥時間短縮を図ることができることが確認されている。
また前記第二の参考形態の「鋳型用砂型資材」を用いる場合、このものは既に「砂型材」の状態とされているが、流通段階において軽量化が図られて「水」の量が削減されているような場合には適宜「水」を加えて攪拌・混合される。
そして「中子成型型」の周囲に砂 (鋳物砂) が詰められた状態で成型が行われるものであり、前記「砂型材」を適宜攪拌した後、「中子成型型」に流し込む。
更に「中子」の製造方法の好ましい形態として、「中子成型型」を「中子」から外した後、得られた「中子」の周囲に被覆層を設けるようにしてもよい。この被覆層の材料としては、PVA樹脂等の水溶性樹脂などが挙げられ、塗布方法としては、「中子」に対して、被覆層の材料を少量ずつスプレー等で塗布する手法などを採用でき、塗布後に乾燥させることにより、被覆層が表面に形成された「中子」が得られる。
なお本発明の「中子」は、「主型」への注湯物が金属などの高融点物でなく、より低温の樹脂である場合に好適に使用される。この樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂または硬化性樹脂が挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、加熱溶融させる樹脂として、融点が概して80℃~220℃であるものが使用可能であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。また前記硬化性樹脂としては、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン等の触媒による反応を利用した樹脂;ポリウレタン、エポキシ樹脂等の硬化剤との反応を利用した樹脂が挙げられる。
実施形態2では、水を使用せずに「中子」を成型する技術について説明する。本実施形態おいては、実施形態1と異なる点のみ記載し、他の事項については実施形態1を援用できる。「中子」の製造工程において水を使用せずに製造する場合、「粒状主骨材」(砂)に対する「水溶性樹脂」の割合は、「粒状主骨材」100重量部に対し、1~10重量部、好ましくは2~8重量部、さらに好ましくは4~8重量部であることが好ましい。
また、「水溶性樹脂」の数平均粒子径(直径)は、「粒状主骨材」と混合し易い観点から、1~50μmであることが好ましく、5~20μmであることがさらに好ましい。
砂型材を得るに当たっては、まず、「粒状主骨材」と「水溶性樹脂」とを混合した後、混合物を加熱し、「水溶性樹脂」を溶融させる。溶融の程度は、「水溶性樹脂」が粘性を有し、「鋳型用砂型資材」を「中子成型型」に流し込められれば特に限定されない。溶融条件は一例として、180~220℃、0.5~5.0時間に設定できるが、加熱装置、「水溶性樹脂」の重量などによって適宜変更すればよい。また、「中子成型型」に流し込まれた「鋳型用砂型資材」の乾燥条件は例えば180~220℃、0.5~2.0時間である。乾燥後、「中子成型型」が外されて、成型された「中子」が取り出される。
このように水を使用せずに「中子」を成型する場合、より短時間での乾燥が可能となり、製造のタクトタイムを短縮できる点は非常に有効である。
粒状主骨材:セラビーズ8号(伊藤忠セラテック社製)
PVA水溶液:固形分20%
配合:粒状主骨材100重量部に対して、PVA水溶液8重量部
上記PVAは、親水基を2つ有し、それぞれカルボキシル基および1,2-ジヒドロキシエチル基である。
上記配合で「砂型材」を調製し、適宜攪拌・混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を1時間、90℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が充分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
そしてこれら一連の作業において、「中子成型型」へ「砂型材」を流し込む際の作業性及び乾燥性を評価する。
更に成型された「中子」を用いて樹脂を成型して「最終製品」を成型し、この「最終製品」からの「中子」の除去性を評価する。なお「中子」の除去は、「最終製品」を浸水させることにより、「中子」を崩壊させて行うものとした。
結果は表1に示すように、作業性、乾燥性、除去性全てにおいて、容易であること「◎」が確認された。
粒状主骨材:セラビーズ8号(伊藤忠セラテック社製)
PVA水溶液:固形分30%
配合:粒状主骨材100重量部に対して、PVA水溶液8重量部
上記PVAは、親水基を2つ有し、それぞれカルボキシル基および1,2-ジヒドロキシエチル基である。
上記配合で「砂型材」を調製し、適宜攪拌・混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を1時間、90℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が充分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
そしてこれら一連の作業において、「中子成型型」へ「砂型材」を流し込む際の作業性及び乾燥性を評価する。
更に成型された「中子」を用いて樹脂を成型して「最終製品」を成型し、この「最終製品」からの「中子」の除去性を評価する。なお「中子」の除去は、「最終製品」を浸水させることにより、「中子」を崩壊させて行うものとした。
結果は表1に示すように、作業性、乾燥状況において、容易であること「◎」が確認された。また除去性については、除去可能であること「○」が確認された。
粒状主骨材:セラビーズ8号(伊藤忠セラテック社製)
PVA水溶液:固形分20%
配合:粒状主骨材100重量部に対して、PVA水溶液6重量部
上記PVAは、親水基を2つ有し、それぞれカルボキシル基および1,2-ジヒドロキシエチル基である。
上記配合で「砂型材」を調製し、適宜攪拌・混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を1時間、90℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が充分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
そしてこれら一連の作業において、「中子成型型」へ「砂型材」を流し込む際の作業性及び乾燥性を評価する。
更に成型された「中子」を用いて樹脂を成型して「最終製品」を成型し、この「最終製品」からの「鋳型用砂型」(中子)の除去性を評価する。なお「中子」の除去は、「最終製品」を浸水させることにより、「中子」崩壊させて行うものとした。
結果は表1に示すように、乾燥性、除去性において、容易であること「◎」が確認された。また作業性については、薬さじ等の道具を使用せずに流し込みが可能であること「○」が確認された。
粒状主骨材:セラビーズ8号(伊藤忠セラテック社製)
PVA水溶液:固形分20%
配合:粒状主骨材100重量部に対して、PVA水溶液10重量部
上記PVAは、親水基を2つ有し、それぞれカルボキシル基および1,2-ジヒドロキシエチル基である。
上記配合で「砂型材」を調製し、適宜攪拌・混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を1時間、90℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が充分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
そしてこれら一連の作業において、「中子成型型」へ「砂型材」を流し込む際の作業性及び性を評価する。
更に成型された「中子」を用いて樹脂を成型して「最終製品」を成型し、この「最終製品」からの「中子」の除去性を評価する。なお「中子」の除去は、「最終製品」を浸水させることにより、「中子」を崩壊させて行うものとした。
結果は表1に示すように、作業性、除去性において、容易であること「◎」が確認された。また乾燥性については、乾燥可能であること「○」が確認された。
粒状主骨材:セラビーズ8号(伊藤忠セラテック社製)
PVA水溶液:固形分20%
配合:粒状主骨材100重量部に対して、PVA水溶液8重量部
上記PVAは、親水基を2つ有し、それぞれカルボキシル基および1,2-ジヒドロキシエチル基である。
上記配合(参考例1と同様)で「砂型材」を調製し、適宜攪拌・混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を1時間、90℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が充分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
更に「中子」の表面に高濃度(固形分50wt%)のセラビーズ8号の水溶液を塗布して被覆層を形成した。
そして得られた「中子」を用いて樹脂を成型して「最終製品」を成型し、この「最終製品」を浸水させて「中子」を崩壊・除去した後、成型面の状態を観察した。
結果はバリがほとんど生じておらず、非常に良好な樹脂成型ができることが確認された。
PVA粒子:平均粒子径10μm
配合:粒状主骨材100重量部に対して、PVA粒子6重量部
上記PVAは、親水基を2つ有し、それぞれカルボキシル基および1,2-ジヒドロキシエチル基である。
上記配合で「砂型材」を調製し「粒子状主骨材」と「PVA粒子」とを混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を0.5時間、200℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が十分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
参考例1と同様に作業性、除去性の評価結果は◎であり、乾燥性については水分を使用していないことから、「中子」が30分で崩れない状態となり、非常に良好な結果が得られた。
参考例1と同様に作業性、除去性の評価結果は◎であり、乾燥性については水を使用していないことから、「中子」の乾燥状態は非常に良好であり、「中子」が30分で崩れない状態という非常に良好な結果が得られた。
粒状主骨材:セラビーズ8号(伊藤忠セラテック社製)
硬化剤:水ガラス
配合:粒状主骨材100重量部に対して、水ガラス1.6重量部
上記配合で「砂型材」を調製し、適宜攪拌・混合した後「中子成型型」に流し込み、次いで「中子成型型」を1時間、90℃の条件下で加熱して乾燥を行い、乾燥が充分に進んだ後、成型された「中子」が離型される。
そしてこれら一連の作業において、「中子成型型」へ「鋳型用砂型資材」を流し込む際の作業性及び乾燥性を評価する。
更に成型された「中子」を用いて樹脂を成型して「最終製品」を成型し、この「最終製品」からの「中子」の除去性を評価する。
結果は表1に示すように、作業性、乾燥性において、容易であること「◎」が確認された。また除去性ついては、「最終製品」を5時間浸水させても除去できないこと「×」が確認された。なお高圧洗浄機を用いることにより、「中子」を除去することは可能であった。
Claims (4)
- 鋳型用砂型資材であって、
このものは、親水基を具えた水溶性樹脂と、粒状主骨材とを含有する一方、水および硬化剤は含まれておらず、
前記水溶性樹脂はポリビニルアルコールであり、且つ、数平均粒子径(直径)は1~50μmであり、
また前記親水基は、カルボキシル基、および1,2-ジヒドロキシエチル基(1,2-エタンジオール構造)の2種類であり、
鋳型用の中子の成型に用いられるものであり、且つ樹脂成型に用いられるものであり、加熱し、前記水溶性樹脂を溶融させて中子成型型に流し込むことができることを特徴とする鋳型用砂型資材。
- 前記粒状主骨材に対するポリビニルアルコールの混合割合は、粒状主骨材100重量部に対し、水溶性樹脂1.0~10.0重量部であることを特徴とする請求項1記載の鋳型用砂型資材。
- 前記請求項1または2に記載の鋳型用砂型資材を加熱し、前記水溶性樹脂を溶融させて得た砂型材を中子成型型に流し込み、
乾燥させて成ることを特徴とする鋳型用の中子。
- 粒状主骨材と、親水基を具えた水溶性樹脂とを、水および硬化剤を使用することなく混合する、砂型材の製造方法において、
前記砂型材は、鋳型用の中子の成型に用いられるものであり、且つ樹脂成型に用いられるものであり、
前記水溶性樹脂はポリビニルアルコールであり、且つ、数平均粒子径(直径)は1~50μmであり、
また前記親水基は、カルボキシル基、および1,2-ジヒドロキシエチル基(1,2-エタンジオール構造)の2種類であり、
粒状主骨材と水溶性樹脂との混合物を加熱し、水溶性樹脂を溶融させることを特徴とする砂型材の製造方法。
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WO2005080023A1 (ja) | 2004-02-25 | 2005-09-01 | Sintokogio, Ltd. | 鋳物の製造方法 |
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WO2005080023A1 (ja) | 2004-02-25 | 2005-09-01 | Sintokogio, Ltd. | 鋳物の製造方法 |
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