JP7307940B2 - 高放熱・高柔軟・高靭性ナノコンポジットとその製造方法 - Google Patents

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本発明は、環動高分子を含むポリマーと無機フィラーからなる有機無機ナノコンポジットに関する。さらに詳しくは、無機フィラーとして高熱伝導性無機粒子を含有し、高い熱伝導性と機械的靭性、および柔軟性を有する有機無機ナノコンポジットに関する発明である。
フレキシブルエレクトロニクスの基板には、柔軟でかつ熱伝導性の高い材料が求められる。材料の放熱性は、その熱伝導度に加え、その形状や厚みで決定され、例えば材料を薄膜化することにより放熱性を高めることができるが、機械的強度の維持のため、薄膜化には限界があり、したがって、ある程度の強度をもち、柔軟でかつ熱伝導性の高い材料が必要となる。
このような柔軟でかつ熱伝導性の高い材料として、一般に、柔軟なポリマーと熱伝導性の高い無機フィラーからなる複合材料が用いられるが、放熱性を高めるためフィラー濃度を増加すると、ポリマーの柔軟性が失われる。これは、添加したフィラーのポリマー内での分散性の低下と、フィラーとポリマーの界面で生じるエネルギー損失に起因する(非特許文献1)。
フィラーの分散性を改善する方法として、化学修飾がよく用いられる。ナノ粒子の凝集を抑制し、分散性を向上する方法として、界面活性剤等を用いた化学修飾法は有効であるが、その一方で、ナノ粒子濃度の増加とともに化学修飾剤濃度も著しく増加するため、修飾の不均一化や、分散液の高粘性化などの問題が生じている。そのため、化学修飾フリー、もしくは限定使用によるナノ粒子分散技術の開発が求められている。
このような手法として、フィラーをプラズマ処理することにより、その表面を修飾する手法が挙げられる。例えば、特許文献1では、高熱伝導性窒化ホウ素粒子の表面をプラズマ処理によりアミノ基修飾し、ポリマーへの高分散化を行っている。
また、高濃度フィラーと複合化させても柔軟性を失いにくいポリマーとして、長鎖のポリマー分子に滑車分子を付与した環動高分子(ポリロタキサン)が知られている。環動高分子は、高濃度のアルミナや窒化ホウ素の粒子とのコンポジットであっても、機械特性が失われないことが報告されている(特許文献2)。
前述のポリロタキサン複合材料は、熱伝導性を高めるため、フィラーとして数10ミクロンの大粒子を用い、フィラー同士の接触確率を上昇させることにより熱伝導パスを形成させている。また、ポリマー架橋度を抑えている。そのため、機械的強度(破断応力)が小さく、基板として利用するのに十分な強度がない。機械的強度を高めるためには、ポリマーの架橋度を高め、かつ、無機フィラーを微粒子化することが必要である。
特許第5919314号(日本発酵株式会社) WO2012/165401A1(アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社)
J. Gu, X. Meng, Y. Tang, Y. Li, Q. Zhuang, and J. Kong, Hexagonal boron nitride/polymethyl-vinyl siloxane rubber dielectric thermally conductive composites with ideal thermal stabilities. Compos. Part A Appl. Sci. Manuf., 2017, 92, 27-32
本発明は、従来困難であった、高フィラー濃度であってもポリマーのもつ柔軟性、耐摩耗性などの機械特性と無機フィラーのもつ熱伝導性などの機能性を併せ持つ材料を提供することを、解決すべき課題とする。
本発明者らは、長鎖のポリマー分子に滑車分子を付与した環動高分子(ポリロタキサン)または環動高分子を含むポリマーブレンドに、ファイバーなどの一次元構造を有する、プラズマ処理を施した化学修飾フリーな無機フィラーを分散させることで、ポリマー分子に付与された滑車分子に選択的にフィラー粒子を結合させ、フィラー・ポリマー界面で発生する応力を緩和することにより、破断強度や破断伸びなどの機械的強度を改善するとともに、高度に分散化された一次元フィラーを放熱方向に配向させることにより、高い熱伝導性を具備するコンポジット材料を作製することができること、また、一次元フィラーとして、異なるサイズのファイバー材料を組み合わせて用い、配向させると、図1に示すように、大きな一次元ファイバーの間を小径のファイバーがつなぐことによって、さらに高い熱伝導性を得ることができることを見出した。
フィラーの配向は、架橋前のコンポジット材料に電界を加えることで行うことができる。
上述の異なるサイズのファイバー材料を組み合わせて電界配向させたコンポジットにおいては、大径ファイバーならびに小径ファイバーが電界方向に配向したゲルを作製する際の架橋反応の進行、ならびに溶媒の揮発によってコンポジットが収縮する際に、その粒子サイズから小径ファイバーのみが方向がランダムになることにより、大径ファイバーの間を小径ファイバーがつなぐ、図1に示すような構造が形成され、これによりポリマー・ファイバー間の界面熱抵抗が減少することによって、コンポジット材料に、より高い熱伝導性を付与することができるものと考えられる。
本発明は、本発明者らによる上記知見に基づいて、なされたものである。
具体的には、本出願は、以下の発明を提供するものである。
〈1〉1種類以上のポリロタキサンまたは1種類以上のポリロタキサンを含むポリマーブレンドに、 サブミクロン以下の無機フィラー粒子を、50%以上の重量分率、1.1以上の配向度で含むことを特徴とする、有機無機ナノコンポジット。
〈2〉無機フィラーが一次元材料であることを特徴とする、〈1〉に記載のナノコンポジット。
〈3〉無機フィラーが異なるサイズの2種の無機ファイバーであることを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載のナノコンポジット。
〈4〉ポリロタキサンの滑車分子が化学修飾されていることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれかに記載のナノコンポジット。
〈5〉無機フィラーがアクアプラズマ処理を施されていることを特徴とする、〈1〉~〈4〉のいずれかに記載のナノコンポジット。
〈6〉熱伝導度が2~14W/mKであり、靱性が1MJ/m以上であり、ヤング率が200MPa以下であることを特徴とする、〈1〉~〈5〉のいずれかに記載のナノコンポジット。
〈7〉1種類以上のポリロタキサンまたは1種類以上のポリロタキサンを含むポリマーブレンド、架橋剤、架橋反応用触媒を溶媒に溶解し、サブミクロン以下の無機フィラー粒子を重量分率50%以上分散させた溶液を、高電界の印可の下で架橋反応をさせた後、溶媒を除去することを特徴とする、〈1〉に記載のナノコンポジットを製造する方法。
本発明によれば、環動高分子または環動高分子を含むポリマーブレンドと無機フィラーを配合した有機無機ナノコンポジットにおいて、無機フィラーを1.1以上の配向度で配向させることにより、配向方向に平行な方向の熱伝導度を高めることができる。当該熱伝導度は、無機フィラーとしてプラズマ処理された無機フィラーを用いることにより、また、無機フィラーとして異なるサイズのファイバー材料を組み合わせて用いることにより、さらに高めることができる。
また、本発明によれば、無機フィラーとしてプラズマ処理された無機フィラーを用い、これを配向させることにより、あるいは、無機フィラーとして異なるサイズのファイバー材料を組み合わせて用い、これらを配向させることにより、50重量%という高い重量分率で無機フィラーを配合させても、配向方向のみならず、配向方向とは異なる方向の応力に対しても、靱性を高めることができる。
また、本発明によれば、無機フィラーを50重量%という高い重量分率で配合させても、後述の実施例においてはヤング率の上昇は最大で100MPa程度にとどまり、高い柔軟性を保持することができる。
これらの特徴により、本発明によれば、熱伝導度が2~14W/mK、靱性が1MJ/m以上という、従来の金属材料に匹敵する高い熱伝導度および靱性を有するとともに、ヤング率が200MPa以下という良好な柔軟性を保持する、新規な材料を提供することができる。
本発明による有機無機ナノコンポジットの構造を示す模式図。 無機ファイバーのプラズマ処理に用いる流通式水中プラズマ改質装置の模式図。 有機無機ナノコンポジット作製のフローシート。 電界フィラー配向装置の模式図。 フィラーとしてカーボンナノファイバー(CNF)もしくはCNF及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む各種有機無機ナノコンポジットの機械特性を対比するグラフ。(a)は、フィラーとしてプラズマ処理をしたCNFもしくは未処理のCNFを50wt%配合したコンポジットについて、電界配向の際に加えた電界と平行な方向、及び、垂直な方向の応力伸長比曲線、及び、電界配向を行わなかった場合の応力伸長比曲線をそれぞれ示し、(b)は、フィラーとして、50wt%のCNFに替えて、45wt%のCNFと5wt%のCNTを用いた以外は(a)と同様の各コンポジットについて、同様の応力伸長比曲線を示す。 フィラーとして、プラズマ処理をしたまたはしないCNF、もしくは、プラズマ処理をしたまたはしないCNF及びCNTを含む各種有機無機ナノコンポジットの熱伝導度を対比するグラフ。コンポジット作成時の電界配向の際に加えた電界と平行な方向、及び、垂直な方向の熱伝導度、及び、電界配向を行わなかった場合の熱伝導度をそれぞれ示す。 電界配向を行う場合のCNFとCNTの配合比率が、得られるコンポジットの熱伝導度に与える影響を示すグラフ。 フィラーとしてプラズマ処理をしたCNF及びCNT、もしくは、未処理のCNF及びCNTをポリロタキサンに配合し、電界を付与し、もしくは、付与しないで調製した各コンポジット(フィラー濃度50wt%)の断面SEM画像。 図8の各SEM画像を2次元フーリエ変換することで得られるフーリエ画像の角度方向のピクセル強度をプロットした、各コンポジットのパワースペクトル。
[ポリマーと環動高分子]
本発明のコンポジットを構成するポリマーは、ポリロタキサン、またはポリロタキサンと一種またはそれ以上の汎用ポリマーとの混合ポリマー(ポリロタキサンブレンドポリマーと呼ぶ)である。
ポリロタキサンブレンドポリマーにおけるポリロタキサン濃度は0.1~100%である。
ポリロタキサンは、その滑車分子を化学修飾することにより、溶媒に対する可溶性などの特性を調節することができる。
[無機フィラー]
熱伝導性を付与する無機フィラーとしては、電気絶縁体では、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどが、また、電気導電性体では、銅、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)などが適する。
無機フィラーの形状は、ファイバー状、ロッド状、チューブ状などの、一次元状のものが好適である。平板状の場合は、アスペクト比が高いものが好適である。
無機フィラーのサイズは、代表長さがサブミクロンメーター以下のものが好適である。それぞれの形状の粒子の代表長さは、平板状においては厚み長さ、ファイバー状、ロッド状、チューブ状においては、線幅とする。
無機フィラーの表面状態は、ポリロタキサンポリマー中の環状分子との化学結合を促進させるため、適宜親水化処理を施したのち、官能基(水酸基・カルボキシル基・アミン基)修飾した粒子を用いてもよい。
無機フィラーの性状は、分散液、スラリー、および乾粉のいずれでもよい。溶媒除去のプロセスが不要な乾粉が好適である。
[プラズマ処理]
本発明においては、無機フィラーは、ポリロタキサンまたはポリロタキサンを含むポリマーブレンドと配合する以前に、プラズマ処理をすることが望ましい。
プラズマ処理は、無機フィラーを分散させた水溶液に対して行う、アクアプラズマ処理が好適である。
プラズマ処理溶液濃度は、無機フィラーが10wt%以下であり、1~5wt%であることが好適である。
プラズマ処理時間は0.5~3hであり、長時間処理の時間効果は見られない。1hが好適である。
プラズマ処理のパルス周波数は、10~100kHzであり、80kHzが好適である。
プラズマ処理の印加電圧は、1~10kVであり、1.5kVが好適である。
プラズマ処理のパルス幅は、0.1~4μsであり、0.75μsが好適である。
プラズマ処理液は電解質を加えた蒸留水が有効である。電解質は塩化ナトリウムや塩化カリウムが用いられ、塩化ナトリウムが好適である。電解質濃度は0.01~10wt%であり、0.01wt%が好適である。
プラズマ処理水にカテキン類を添加し、表面を親水化して分散性を高めることが好適である。
[混錬方法]
ポリロタキサン、ブレンドポリマーおよびフィラーの混合は、ポリマー、架橋剤、および架橋反応用触媒が溶解分散可能な極性有機溶媒を用いることが好適である。
混錬方法は、自転公転混練法によって行える。気泡の生成を抑制するために、真空遠心法が好適である。
フィラー濃度は必要な機能性に合わせて3wt%から90wt%が適する。
[電界の印可]
電圧印加は、上記混錬後の溶液に対し、コンポジット架橋時に直流・交流電界を印加することにより行うことができる。その電界強度は10kHz以上、1kV/cm以上での交流電界が好適である。
[溶媒除去・乾燥]
溶媒中で混錬し、電界の印可、および架橋が終了したコンポジットは、ディップやコートしたのちに、溶媒を除去し、エラストマーを得ることができる。溶媒除去の温度は、室温~105 ℃程度であり、105 ℃が好適である。真空乾燥も有効である。ホットプレス法による乾燥も有効である。
[フィラーの均質性および分散性の評価]
フィラーの均質性は、重量燃焼法で評価できる。フィルム状に成型した本発明エラストマーの任意の複数個所の切片、およそ10mg程度を切り取り、熱天秤を用いて、ポリマー部分を燃焼させて、残った無機重量を測定し、その偏差を評価することで均質度を評価できる。
フィラーの配向度は試料断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察、ならびにSEM画像から取得した二次元フーリエ画像を角度方向のピクセル強度を算出し、配向方向と配向方向に垂直な方向との強度の比をとることで算出可能である。本発明においては、上記強度比を配向度と定義する。
以下に実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[フィラーのプラズマ処理]
添加剤(溶液導電性付与剤や表面改質剤)を溶解させた水溶液に無機フィラーを分散させ、一定時間プラズマ処理を行う。図2にプラズマ処理に用いた、流通式水中プラズマ改質装置の模式図を示す。
フィラーを分散させた水溶液をプラズマリアクター部に輸送して、流水中でプラズマ処理を行う。プラズマ処理した無機フィラーは、ろ過や遠心分離により回収し、真空乾燥する。
表1にプラズマ処理条件を示す。
Figure 0007307940000001
[コンポジットの調製]
図3にコンポジット作製のフローシートを示す。適当な溶媒(トルエンやアセトン)に環動高分子(ポリロタキサンなど)、架橋剤、触媒を溶解させ、プラズマ処理した無機フィラーを分散させて、ミキサーなどでよく混合したのちに、図4に示すような装置で高電界下、20分、架橋反応させ、ゲルを得る。得られたゲルをドラフター内で8時間反応させる。105 ℃の真空オープンで溶媒を除し、コンポジット材料を得る。
[コンポジットの機械特性、及び、熱特性評価方法]
機械特性測定方法
エラストマーおよびコンポジットの応力伸長比曲線は、一軸引張試験により、室温で0.03/sの一定の歪速度で測定した。
応力―伸長比曲線およびその曲線の初期の傾きであるヤング率を算出するために、型抜き刃によって長方形の試験片(幅3mm、長さ40mm)を打ち抜き、その試料を測定した。
また、引張試験機のグリップ部付近の破損を防止するため、ダンベル形状の試験片(幅2mm、長さ35mm、JIS K6251-7)を用いて引張強度と破断伸長比、および靭性を算出した。引張強度とは、応力伸長比曲線での試料が示す最大の応力であり、破断伸長比とは試料が破断した際での伸長比である。また、靭性とは試料を破壊するまでに吸収できるエネルギー量を示し、試料の応力伸長比曲線と伸長比を示す軸線により形成される図形の面積が当該エネルギー量に該当し、その単位は[MJ/m]となる。
熱伝導度測定方法
試料を10mmΦの円形に切り抜き、室温で周期加熱法にて熱拡散率を導出し(ai-Phase Mobile M3 type1)、数mg程度の試料片を用いてDSC装置(Hitachi, DSC7000X)を用いて25℃の比熱を測定することで熱伝導度を算出した。
[CNFもしくはCNF及びCNTを配合したナノコンポジットの作製、並びに、それらの機械特性及び熱伝導度の評価]
トルエン溶媒20mL中にポリカプロラクトン修飾されたポリロタキサン(SH2400P, Advanced soft material)0.5gを溶解させ、表1の手法でプラズマ処理をしたCNFもしくは未処理のCNF(Sigma-aldrich、平均直径0.2μm、長さ~10μm)、あるいはこれに更に表1の手法でプラズマ処理をしたCNTもしくは未処理のCNT(Sigma-aldrich、直径20~30nm、長さ0.5~2μm)を加えたものを、溶媒を除いた試料全体量に対して合計量50wt%添加し、架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネート,和光純薬工業082-02822)を0.1gおよび架橋反応用触媒(ジラウリン酸ジブチルすず(IV), 和光純薬工業, 040-17172 )を14μL添加して、10分間室温中で混練を行った。
混練した試料をPTFEモールド中に注ぎ、室温で13kVp-p/4cm、26kHzの交流電圧下で20分架橋反応を進行させ、フィラーが電界方向に配向したゲルを得た。得られたゲルをさらに室温で約8時間架橋反応をさせ、その後真空乾燥(105℃)を行い、コンポジットを得た。
得られたコンポジットを測定試料として、その機械的強度および熱伝導度を評価した。
図5に、得られたコンポジットの機械特性の測定結果を示す。
図5(a)は、フィラーとしてプラズマ処理をしたCNFもしくは未処理のCNFを50wt%配合したコンポジットについて、電界配向の際に加えた電界と平行な方向、及び、垂直な方向の応力伸長比曲線、及び、電界配向を行わなかった場合の応力伸長比曲線をそれぞれ示したものであり、図5(b)は、フィラーとして、50wt%のCNFに替えて、45wt%のCNFと5wt%のCNTを用いた以外は図5(a)と同様の各コンポジットについて、同様の応力伸長比曲線を示したものである。
図5(a)、(b)に示した応力伸長比曲線から読み取り、または算出した、各コンポジットの機械特性を表2にまとめる。
Figure 0007307940000002

プラズマ処理を行うことで、破断応力および靭性がそれぞれ上昇していること、また、これに伴いヤング率も上昇するものの、最大で100MPaにとどまることがわかる。
図6に、得られたコンポジットの熱伝導度の測定結果を示す。
図6は、図5(a)及び(b)において応力伸長比曲線を示したすべてのコンポジットについて、電界配向の際に加えた電界と平行な方向、及び、垂直な方向の熱伝導度、及び、電界配向を行わなかった場合の熱伝導度をそれぞれ示したものである。
CNFを50wt%配合したコンポジットについては、最大の熱伝導度はプラズマ処理有りの場合8.5W/mK程度、プラズマ処理なしの場合4W/mK程度となり、プラズマ処理によって熱伝導度が上昇する。さらに、50wt%のCNFに替えて、45wt%のCNFと5wt%のCNTを配合したコンポジットにおいては、最大の熱伝導度はプラズマ処理有りの場合14W/mK程度、プラズマ処理なしの場合5W/mK程度となり、CNFの一部をCNTに替えることにより、熱伝導率が向上することがわかる。
図7に、電界配向を行う場合のCNFとCNTの配合比率が、得られるコンポジットの熱伝導度に与える影響を示す。電界配向の際に加えた電界と平行な方向、及び、垂直な方向のいずれについても、45wt%のCNFと5wt%のCNTの配合比率において、最大の熱伝導度が得られている。
[電界配向へのプラズマの効果]
フィラーのポリマーへの分散性の程度、非凝集分散度は、X線CTや断面SEM像から観察および評価することができる。
一例として、図8に、プラズマ処理をしたCNF及びCNT、もしくは、未処理のCNF及びCNTをポリロタキサンに配合し、電界を付与し、もしくは、付与しないで調製した各コンポジット(フィラー濃度50wt%)の断面SEM画像を示す。
さらに、図8で得られたSEM画像、ならびに同一試料のその他の領域を撮影した同倍率のSEM画像の計5画像を2次元フーリエ変換し、各フーリエ画像の角度方向のピクセル強度をプロットしたパワースペクトルを図9に示す。本解析においては繊維の配向している角度においてピクセル強度が強くなる。本2次元フーリエ変換によるパワースペクトルによる配向評価は、複合材料中での繊維状物質の配向方向を算出する一般的な手法である(参考:C. E. Ayres, B. S. Jha, H. Meredith, J. R. Bowman, G. L. Bowlin, S. C. Henderson, D. G. Simpson, Journal of Biomaterials Science, Polymer Edition. 2008, 19(5), 603-621.)
図9に示したパワースペクトルから、図9(a)における、プラズマ処理をしたコンポジットの配向度(電界方向のピクセル強度/電界方向と垂直な方向のピクセル強度)が平均約2.2、一方、図9(b)における、プラズマ処理を行わなかったコンポジットの配向度が平均約1.1であることから、プラズマ処理によって電界配向が起きやすくなっていることがわかる。
本発明の有機無機ナノコンポジットは、高い熱伝導性と高い機械特性および柔軟性を併せ持つことが求められる各種の用途における構造材料、例えば、電子部品の基板材料などとして、使用することができる。

Claims (4)

  1. 1種類以上のポリロタキサンまたは1種類以上のポリロタキサンを含むポリマーブレンドに、
    一次元材料であり、アクアプラズマ処理が施されており、かつ、代表長さがサブミクロン以下の無機フィラー粒子を、50%以上の重量分率、1.1以上の配向度で含み、
    前記無機フィラー粒子は異なるサイズの2種の無機ファイバーである大径ファイバーおよび小径ファイバーを含み、
    前記大径ファイバーが付加された電界方向に配向し、前記小径ファイバーが前記電界方向に対してランダムに配向し、前記配向した大径ファイバーの間をランダムに配向した小径ファイバーがつなぐ構造を有することを特徴とする、有機無機ナノコンポジット。
  2. ポリロタキサンの滑車分子が化学修飾されていることを特徴とする、請求項1に記載のナノコンポジット。
  3. 熱伝導度が2~14W/mKであり、靱性が1MJ/m3以上であり、ヤング率が200MPa以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノコンポジット。
  4. 1種類以上のポリロタキサンまたは1種類以上のポリロタキサンを含むポリマーブレンド、架橋剤、架橋反応用触媒を溶媒に溶解し、一次元材料であり、アクアプラズマ処理が施されており、かつ、代表長さがサブミクロン以下の無機フィラー粒子を重量分率50%以上分散させた溶液を、高電界の印可の下で架橋反応をさせた後、溶媒を除去する工程を含み、
    前記無機フィラー粒子は異なるサイズの2種の無機ファイバーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のナノコンポジットを製造する方法。
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