[第1実施形態]
図1において、内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置13と、プロセッサ装置14と、第1ディスプレイ15と、第1UI(User InterFace、ユーザーインターフェース)16とを有する。内視鏡12は、光源装置13と光学的に接続され、且つ、プロセッサ装置14と電気的に接続される。内視鏡12は、観察対象の体内に挿入される挿入部12aと、挿入部12aの基端部分に設けられた操作部12bと、挿入部12aの先端側に設けられた湾曲部12c及び先端部12dとを有している。湾曲部12cは、操作部12bのアングルノブ12eを操作することにより湾曲動作する。先端部12dは、湾曲部12cの湾曲動作によって所望の方向に向けられる。
また、操作部12bには、アングルノブ12eの他、観察モードの切り替え操作に用いる観察モード切替スイッチ12fと、観察対象の静止画の取得指示に用いられる静止画像取得指示スイッチ12hと、ズームレンズ42の操作に用いられるズーム操作部12iとが設けられている。
内視鏡システム10は、観察モードとして、第1照明観察モード、第2照明観察モード及び強調観察モードの3つのモードを有しており、観察モード切替スイッチ12fを押すと、画像処理切替部54を介してモードが切り替わる。
第1照明観察モードでは、白色光等の通常光(第1照明光)を観察対象に照明して撮像することによって、自然な色合いの第1照明光画像を第1ディスプレイ15に表示する。第2照明観察モードでは、通常光と波長帯域が異なる特殊光(第2照明光)を観察対象に照明して撮像することによって、特定の構造を強調した第2照明光画像を第1ディスプレイ15に表示する。強調観察モードでは、発光スペクトルが異なる第1照明光と第2照明光とを切り替えて発光する。また、第2照明光に基づく画像に対して、AI(Artificial Intelligence)を介する処理の他、観察対象に関する特徴量等を得る処理等の解析処理を行う。なお、本明細書、特許請求の範囲、図面、要約書において、単に「検査画像」という言葉は、第1照明光画像、第2照明光画像、強調観察画像の少なくともいずれか1つ以上のことを指す。
観察モードの3態様において表示される画面は、第1ディスプレイ15に表示する。
観察モードにおいて、ユーザーが検査画像の静止画を取得したい場合は、静止画像取得指示スイッチ12hをユーザーが操作することにより、静止画像取得指示に関する信号が内視鏡12、光源装置13、及びプロセッサ装置14に送られる。観察モードにおいて静止画像取得指示スイッチ12hが押された場合、プロセッサ装置14では、第1照明期間もしくは第2照明期間、あるいはその両方において観察対象の静止画がメモリ(図示しない)に保存される。
プロセッサ装置14は、第1ディスプレイ15及び第1UI16と電気的に接続される。第1ディスプレイ15は、観察対象の画像や、観察対象の画像に付帯する情報等を出力表示する。第1UI16、さらに、後述する第2UI205及び第3UI301は、キーボード、マウス、タッチパッド、マイク等を有し、機能設定等の入力操作を受け付ける機能を有する。なお、プロセッサ装置14に外付けのメモリ(図示しない)を接続してもよい。
図2において、光源装置13は、光源部20と、光源部20を制御する光源用プロセッサ21とを備えている。光源部20は、例えば、複数の半導体光源を有し、これらをそれぞれ点灯又は消灯し、点灯する場合には各半導体光源の発光量を制御することにより、観察対象を照明する照明光を発する。光源部20は、V-LED(Violet Light Emitting Diode)20a、B-LED(Blue Light Emitting Diode)20b、G-LED(Green Light Emitting Diode)20c、及びR-LED(Red Light Emitting Diode)20dの4色のLEDを有する。
図3に示すように、V-LED20aは、中心波長405±10nm、波長範囲380~420nmの紫色光Vを発生する。B-LED20bは、中心波長450±10nm、波長範囲420~500nmの青色光Bを発生する。G-LED20cは、波長範囲が480~600nmに及ぶ緑色光Gを発生する。R-LED20dは、中心波長620~630nmで、波長範囲が600~650nmに及ぶ赤色光Rを発生する。
光源用プロセッサ21は、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dを制御する。光源用プロセッサ21は、各LED20a~20dをそれぞれ独立に制御することで、紫色光V、青色光B、緑色光G、又は赤色光Rをそれぞれ独立に光量を変えて発光可能である。また、光源用プロセッサ21は、第1照明観察モード時には、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光量比がVc:Bc:Gc:Rcとなる白色光を発光するように、各LED20a~20dを制御する。なお、Vc、Bc、Gc、Rc>0である。
また、光源用プロセッサ21は、第2照明観察モード時には、短波長の狭帯域光としての紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光Rとの光量比がVs:Bs:Gs:Rsとなる特殊光を発光するように、各LED20a~20dを制御する。光量比Vs:Bs:Gs:Rsは、第1照明観察モード時に使用する光量比Vc:Bc:Gc:Rcと異なっており、観察目的に応じて適宜定められる。
また、光源用プロセッサ21は、強調観察モード時に、第1照明光と第2照明光とを自動的に切り替えて発光する場合において、第1照明光を第1発光パターンで発光し、第2照明光を第2発光パターンで発光する。具体的には、第1発光パターンは、図4に示すように、第1照明期間のフレーム数が、それぞれの第1照明期間において同じである第1A発光パターンと、図5に示すように、第1照明期間のフレーム数が、それぞれの第1照明期間において異なっている第1B発光パターンとのうちのいずれかであることが好ましい。なお、図において、timeは時間経過の方向を表す。
第2発光パターンは、図4に示すように、第2照明期間のフレーム数が、それぞれの第2照明期間において同じであり、且つ、第2照明光の発光スペクトルが、それぞれの第2照明期間において同じである第2Aパターン、図6に示すように、第2照明期間のフレーム数が、それぞれの第2照明期間において同じであり、且つ、第2照明光の発光スペクトルが、それぞれの第2照明期間において異なっている第2Bパターン、図7に示すように、第2照明期間のフレーム数が、それぞれの第2照明期間において異なっており、且つ、第2照明光の発光スペクトルが、それぞれの第2照明期間において同じである第2Cパターン、図8に示すように、第2照明期間のフレーム数が、それぞれの第2照明期間において異なっており、且つ、第2照明光の発光スペクトルが、それぞれの第2照明期間において異なっている第2Dパターンのうちのいずれか1つであることが好ましい。なお、第1照明光の発光スペクトルは、それぞれの第1照明期間において同じであってもよく、異なってもよい。
ここで、第1照明期間は第2照明期間よりも長くすることが好ましく、第1照明期間は2フレーム以上とすることが好ましい。例えば、図4では、第1発光パターンを第1Aパターンとし、第2発光パターンを第2Aパターン(第2照明期間のフレーム数:同じ、第2照明光の発光スペクトル:同じ)とする場合において、第1照明期間を2フレームとし、第2照明期間を1フレームとしている。第1照明光は、第1ディスプレイ15に表示する表示用画像の生成に用いられることから、第1照明光を観察対象に照明することによって、明るい画像が得られることが好ましい。
第1照明光は、白色光であることが好ましい。一方、後述の通り、第2照明光は、解析処理に用いることから、第2照明光を観察対象に照明することによって、解析処理に適した画像が得られることが好ましい。
なお、第1照明期間と第2照明期間の切替パターンである第1、2発光パターンの詳細については、撮像用プロセッサ44による撮像センサ43の撮像制御に基づいて定められることから、後述する。また、フレームとは、撮像センサ43において特定タイミングから信号読み出し完了までの間の期間を少なくとも含む期間の単位のことをいう。
なお、本明細書において、光量比は、少なくとも1つの半導体光源の比率が0(ゼロ)の場合を含む。したがって、各半導体光源のいずれか1つ又は2つ以上が点灯しない場合を含む。例えば、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光量比が1:0:0:0の場合のように、半導体光源の1つのみを点灯し、他の3つは点灯しない場合も、光量比を有するものとする。
図2に示すように、各LED20a~20dが発する光は、ミラーやレンズ等で構成される光路結合部22を介して、ライトガイド23に入射される。ライトガイド23は、光路結合部22からの光を、内視鏡12の先端部12dまで伝搬する。
内視鏡12の先端部12dには、照明光学系30aと撮像光学系30bが設けられている。照明光学系30aは照明レンズ31を有しており、ライトガイド23によって伝搬した照明光は照明レンズ31を介して観察対象に照射される。撮像光学系30bは、対物レンズ41、撮像センサ43を有している。照明光を照射したことによる観察対象からの光は、対物レンズ41及びズームレンズ42を介して撮像センサ43に入射する。これにより、撮像センサ43に観察対象の像が結像される。ズームレンズ42は観察対象を拡大するためのレンズであり、ズーム操作部12iを操作することによって、テレ端とワイド端と間を移動する。
撮像センサ43は、原色系のカラーセンサであり、青色カラーフィルタを有するB画素(青色画素)、緑色カラーフィルタを有するG画素(緑色画素)、及び、赤色カラーフィルタを有するR画素(赤色画素)の3種類の画素を備える。図9に示すように、青色カラーフィルタBFは、主として青色帯域の光、具体的には波長帯域が380~560nmの波長帯域の光を透過する。青色カラーフィルタBFの透過率は、波長460~470nm付近においてピークになる。緑色カラーフィルタはGF、主として緑色帯域の光、具体的には、460~620nmの波長帯域の光を透過する。赤色カラーフィルタRFは、主として赤色帯域の光、具体的には、580~760nmの波長帯域の光を透過する。
また、撮像センサ43は、CCD(Charge-Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)であることが好ましい。撮像用プロセッサ44は、撮像センサ43を制御する。具体的には、撮像用プロセッサ44により撮像センサ43の信号読み出しを行うことによって、撮像センサ43から画像信号が出力される。第1照明観察モードでは、白色光が撮像センサ43に露光された状態で、撮像用プロセッサ44が信号読み出しを行うことにより、撮像センサ43のB画素からBc画像信号が出力され、G画素からGc画像信号が出力され、R画素からRc画像信号が出力される。第2照明観察モードでは、特殊光が撮像センサ43に露光された状態で、撮像用プロセッサ44が信号読み出しを行うことによって、撮像センサ43のB画素からBs画像信号が出力され、G画素からGs画像信号が出力され、R画素からRs画像信号が出力される。
強調観察モードでは、撮像用プロセッサ44は、図10に示すように、第1照明期間において第1照明光を撮像センサ43に露光させた状態で、信号読み出しを行うことにより、撮像センサ43から第1画像信号を出力させる。第1画像信号を出力する期間を第1撮像期間とする。第1画像信号には、B画素から出力されるB1画像信号、G画素から出力されるG1画像信号、及び、R画素から出力されるR1画像信号が含まれる。また、撮像用プロセッサ44は、第2照明期間において第2照明光を撮像センサ43に露光させた状態で、信号読み出しを行うことにより、撮像センサ43から第2画像信号を出力させる。第2画像信号を出力する期間を第2撮像期間とする。第2画像信号には、B画素から出力されるB2画像信号、G画素から出力されるG2画像信号、及び、R画素から出力されるR2画像信号が含まれる。
図2に示すように、CDS/AGC(Correlated Double Sampling/Automatic Gain Control)回路45は、撮像センサ43から得られるアナログの画像信号に相関二重サンプリング(CDS)や自動利得制御(AGC)を行う。CDS/AGC回路45を経た画像信号は、A/D(Analog/Digital)コンバータ46により、デジタルの画像信号に変換される。A/D変換後のデジタル画像信号がプロセッサ装置14に入力される。
プロセッサ装置14においては、画像制御用プロセッサで構成される第1中央制御部55により、プログラム用メモリ内のプログラムが動作することで、画像取得部50と、DSP(Digital Signal Processor)52と、ノイズ低減部53と、画像処理切替部54と、検査画像取得部60と、認識部100と、計数部110と、修正部112と、送信部113と、第1表示制御部120との機能が実現される。なお、強調観察モードにおいては、画像制御用プロセッサは、後述の通り、第1画像信号及び第2画像信号に基づいて画像処理を行い、第1ディスプレイ15に対する制御を行う。
画像取得部50は、内視鏡12から入力されるカラー画像を取得する。カラー画像には、撮像センサ43のB画素、G画素、R画素から出力される青色信号(B画像信号)、緑色信号(G画像信号)、赤色信号(R画像信号)が含まれている。取得したカラー画像はDSP52に送信される。DSP52は、受信したカラー画像に対して、欠陥補正処理、オフセット処理、ゲイン補正処理、マトリクス処理、ガンマ変換処理、デモザイク処理、及びYC変換処理等の各種信号処理を行う。
ノイズ低減部53は、DSP52でデモザイク処理等を施したカラー画像に対して、例えば移動平均法やメディアンフィルタ法等によるノイズ低減処理を施す。ノイズを低減したカラー画像は、画像処理切替部54に入力される。
画像処理切替部54は、設定されているモードによって、ノイズ低減部53からの画像信号の送信先を、検査画像取得部60内の、第1照明光画像生成部70と、第2照明光画像生成部80と、強調画像生成部90のいずれか1つに切り替える。具体的には、第1照明観察モードにセットされている場合には、ノイズ低減部53からの画像信号第1照明光画像生成部70に入力する。第2照明観察モードにセットされている場合には、ノイズ低減部53からの画像信号を第2照明光画像生成部80に入力する。強調観察モードにセットされている場合には、ノイズ低減部53からの画像信号を強調画像生成部90に入力する。
以降、ノイズ低減部53から、画像処理切替部54を介して検査画像取得部60に送信された画像信号について行う、第1照明光画像用画像処理、第2照明光画像用画像処理、強調画像表示制御処理について説明する。
第1照明観察モードの場合、第1照明光画像生成部70は、入力された1フレーム分のRc画像信号、Gc画像信号、Bc画像信号に対して、第1照明光画像用画像処理を施す。第1照明光画像用画像処理には、3×3のマトリクス処理、階調変換処理、3次元LUT(Look Up Table)処理等の色変換処理、色彩強調処理、空間周波数強調等の構造強調処理が含まれる。第1照明光画像用画像処理が施されたRc画像信号、Gc画像信号、Bc画像信号は、第1照明光画像として、第1表示制御部120に入力される。第1照明観察モードにおいて、第1照明光画像は、直接、第1表示制御部120に入力される(図22参照)。第1表示制御部120は、第1照明光画像を第1ディスプレイ15に表示する。
第2照明観察モードの場合、第2照明光画像生成部80は、入力された1フレーム分のRs画像信号、Gs画像信号、Bs画像信号に対して、第2照明光画像用画像処理を施す。第2照明光画像用画像処理には、3×3のマトリクス処理、階調変換処理、3次元LUT(Look Up Table)処理等の色変換処理、色彩強調処理、空間周波数強調等の構造強調処理が含まれる。第2照明光画像用画像処理が施されたRs画像信号、Gs画像信号、Bs画像信号は、第2照明光画像として、第1表示制御部120に入力される。第2照明観察モードにおいて、第2照明光画像は、直接、第1表示制御部120に入力される(図22参照)。第1表示制御部120は、第1照明光画像を第1ディスプレイ15に表示する。
強調観察モードの場合、図11に示す強調画像生成部90において強調画像が生成される。強調画像生成部90は、表示用画像生成部91、第1解析用画像処理部92、第2解析用画像処理部93、第3解析用画像処理部94、第4解析用画像処理部95及び強調処理部96を備えている。表示用画像生成部91は、入力した1フレーム分のR1画像信号、G1画像信号、B1画像信号に対して、上述と同様の第1照明光画像用画像処理を施す。
第1照明光画像信号用画像処理が施されたR1画像信号、G1画像信号、B1画像信号は、表示用画像として使用される。第1解析用画像処理部92、第2解析用画像処理部93、第3解析用画像処理部94及び第4解析用画像処理部95は、後述の通り、入力された特定フレーム分のR2画像信号、G2画像信号、B2画像信号に対して、第1解析用画像、第2解析用画像、第3解析用画像又は第4解析用画像を生成するための解析用画像処理を行う。強調処理部96は、後述の通り、強調画像表示制御処理を行うことによって、強調画像を生成する。
以下、第1解析用画像処理部92、第2解析用画像処理部93、第3解析用画像処理部94、第4解析用画像処理部95における解析用画像処理の詳細について説明する。
第1解析用画像処理部92で行われる第1解析用画像処理は、第2照明光用第1発光スペクトルSPで第2照明光を発光して得られたB2画像信号、G2画像信号、R2画像信号に対して、施す処理である。第2照明光用第1発光スペクトルSPで発光する第2照明光は、図12に示すように、紫色光Vが他の色の青色光B、緑色光G、赤色光Rよりもピークの強度が大きい光であることが好ましい。第1解析用画像処理は、B2画像信号を表示用のBチャンネルとGチャンネルに割り当て、G2画像信号を表示用のRチャンネルに割り当てる疑似カラー処理である。この疑似カラー処理により、表層血管など特定深さの血管又は構造が強調された第1解析処理画像が得られる。
第2解析用画像処理部93で行われる第2解析用画像処理は、第2照明光用第2発光スペクトルSQで第2照明光を発光して得られたB2画像信号、G2画像信号、R2画像信号に対して施す処理である。第2照明光用第2発光スペクトルSQで発光する第2照明光は、図13に示すように、紫色光V(ピーク波長は例えば400~420nm)のみを発光する光であることが好ましい。第2解析用画像処理は、B2画像信号を表示用のBチャンネル、Gチャンネル、Rチャンネルに割り当てて、且つ、色調及び階調バランスの調整を行う処理である。第2解析用画像処理によって、表層血管よりも浅い極表層血管などが強調された第2解析処理画像が得られる。
第3解析用画像処理部94で行われる第3解析用画像処理は、第1照明光を発光して得られたB1画像信号、G1画像信号、R1画像信号に加えて、第2照明光用第3発光スペクトルSRで第2照明光を発光して得られたB2画像信号、G2画像信号、R2画像信号に対して、施す処理である。第2照明光用第3発光スペクトルSRは、図14に示すように、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に差がある波長域の光である青緑色光VB(ピーク波長は例えば470~480nm)であることが好ましい。
第3解析用画像処理は、図15に示すように、第3解析用信号比算出部94aと、酸素飽和度算出部94cと、酸素飽和度画像生成部94dが設けられている。第3解析用信号比算出部94aは、B2画像信号とG1画像信号との比を表す第1信号比(B2/G1)、及び、R1画像信号とG1画像信号との比を表す第2信号比(R1/G1)を算出する信号比算出処理を行う。酸素飽和度算出部94cは、第3解析用信号比算出部94aと、酸素飽和度算出用テーブル94bを参照して、第1信号比及び第2信号比に対応する酸素飽和度を算出する。酸素飽和度画像生成部94dは、酸素飽和度に基づいて酸素飽和度画像を生成する。酸素飽和度画像が、第3解析用画像処理により得られる第3解析処理画像となる。
なお、酸素飽和度算出用テーブル94bは、酸素飽和度と第1信号比及び第2信号比との相関関係が記憶されている。具体的には、酸素飽和度算出用テーブル94bは、図16に示すように、第1信号比(B2/G1)と第2信号比(R1/G1)を軸とする2次元空間に、酸素飽和度の等値線ELx、EL1、EL2、EL3、ELyなどを定義した2次元テーブルで構成される。例えば、等値線ELxは酸素飽和度が「0%」、等値線EL1は酸素飽和度が「30%」、等値線EL2は酸素飽和度が「50%」、等値線EL3は酸素飽和度が「80%」であることを表している。なお、第1信号比(B2/G1)と第2信号比(R1/G1)に対する等値線の位置及び形状は、光散乱の物理的なシミュレーションによって予め得られる。なお、第1信号比(B2/G1)と第2信号比(R1/G1)はlogスケールであることが好ましい。
第4解析用画像処理部95で行われる第4解析用画像処理は、第2照明光用第4発光スペクトルSSで第2照明光を発光して得られたB2画像信号、G2画像信号、R2画像信号に対して、施す処理である。第2照明光用第4発光スペクトルSSは、図17に示すように、紫色光V及び青色光Bのピーク強度が、緑色光G及び赤色光Rのピーク強度よりも大きい光であることが好ましい。また、第2照明光用第1発光スペクトルSPと比べると、赤色光Rの強度が大きいことが好ましい。
第4解析用画像処理は、図18に示すように、強調画像生成部90に設けられた第4解析用画像処理部95で行われる。第4解析用画像処理部95は、第4解析用信号比算出部95aと、色差拡張処理部95bと、色差拡張画像生成部95cが設けられている。第4解析用信号比算出部95aは、B2画像信号とG2画像信号との比を表す第1信号比(B2/G2)、及び、R2画像信号とG2画像信号との比を表す第2信号比(G2/R2)を算出する信号比算出処理を行う。色差拡張処理部95bは、第1信号比及び第2信号比に基づいて、複数の観察対象範囲の間の色差を拡張する色差拡張処理を行い、色差拡張処理後の第1信号比及び第2信号比に基づいて、色差拡張画像を生成する。色差拡張画像が、第4解析用画像処理により得られる第4析処理画像となる。
色差拡張処理については、図19に示すように、第1信号比(B2/G2)及び第2信号比(G2/R2)からなる二次元空間で複数の観察対象範囲の間の距離を拡張することが好ましい。具体的には、二次元空間において、複数の観察対象範囲のうち第1範囲(「1」と表記)の位置を色差拡張処理前後で維持した状態で、第1範囲と第2範囲(「2」と表記)との距離、第1範囲と第3範囲(「3」と表記)との距離、及び、第1範囲と第4範囲(「4」と表記)との距離を拡張することが好ましい。色差拡張処理は、第1信号比及び第2信号比を極座標変換した上で、動径と角度を調整する方法により行うことが好ましい。なお、第1範囲は病変などが存在しない正常部で、第2範囲、第3範囲、第4範囲は、病変等が存在する可能性がる異常部であることが好ましい。
表示用画像又は強調画像は、最終的に、第1表示制御部120に入力される。第1表示制御部120は、表示用画像又は強調画像を第1ディスプレイ15に表示する強調画像表示制御処理を行う。
強調処理部96が行う強調画像表示制御処理について、以下説明する。第1発光パターンを第1A発光パターンとし、第2発光パターンを第2Bパターン(第2照明期間のフレーム数:同じ、第2照明光の発光スペクトル:異なる)とする場合、図20に示すように、第1照明光を2フレーム分、第2照明光を、第1照明光の発光の間に、それぞれ1フレーム分だけ観察対象に照明する場合には、第1照明光の照明により得られる第1画像信号に対して第1照明光画像用画像処理を施すことによって、表示用画像を得る。
次に、第2画像信号(R2画像信号、G2画像信号、B2画像信号)に対して解析処理を行って、第1、第2、第3又は第4解析処理画像を得る。具体的には、強調観察モードであって、第2照明光用発光スペクトルが異なる、第2B発光パターン、及び第2D発光パターンの場合に、第2画像信号から、第1解析処理画像、第2解析処理画像、第3解析処理画像及び/又は第4解析処理画像を得る。
異なる第2画像信号に対して得られた、第1解析処理画像、第2解析処理画像、第3解析処理画像及び/又は第4解析処理画像は、表示用画像に重畳され強調画像として表示される。
上記の表示用画像、第1解析処理画像、第2解析処理画像、第3解析処理画像、第4解析処理画像及び/又は強調画像は、第1表示制御部120に入力される。第1表示制御部120は、表示用画像又は強調画像を第1ディスプレイ15に表示する。
また、第1解析処理画像、第2解析処理画像、第3解析処理画像及び第4解析処理画像を得る過程の解析処理で、第2照明光画像に係る特徴量の算出、注目領域の設定、診断結果の対応付け等を行う。
解析処理は、ノイズ低減部53から画像処理切替部54を介して強調画像生成部90に送信された画像信号を、強調画像生成部90に搭載する機械学習の学習モデルに入力した結果として出力されたものであることが好ましい。学習とは、教師あり学習、教師なし学習、強化学習、深層強化学習、ニューラルネットワークを用いた学習、深層学習等を含む。
また、検査画像に係る特徴量は、観察対象が表層、中層、深層の少なくともいずれか1つに位置することによって分類されることが好ましい。特徴量とは、観察対象の形状、色又はそれら形状や色等から得られる値であることが好ましい。特徴量の項目としては、例えば、血管密度、血管形状、血管の分岐数、血管の太さ、血管の長さ、血管の蛇行度、血管の深達度、腺管形状、腺管開口部形状、腺管の長さ、腺管の蛇行度、色情報である。特徴量はこれらの少なくともいずれか1つ、もしくは、これらの2以上を組み合わせた値であることが好ましい。なお、特徴量の項目については、この限りではなく、使用状況に応じて適宜追加されてもよい。
検査画像において、所定の範囲内の特徴量を有する部位を注目領域とする。
注目領域に対しては、診断結果が対応付けられる。診断結果は、病変部又は正常部であること、活動期又は寛解期であること、国際疾病分類、UICC TNM(Union for International Cancer Control Tumor Lymph Nodes Metastasis)分類、TNM(Tumor Lymph Nodes Metastasis)分類、Dukes分類、その他の分類、診断基準、ガイドライン、教科書及びアトラスに基づく診断名、種類、タイプ(type)、進展度及びステージの内、いずれか1つ以上を含むことが好ましい。
なお、画像とともに表示する診断結果の第1ディスプレイ15への表示又は非表示については、第1UI16によって適宜設定できるようにすることが好ましい。
以下、検査画像中における処置具の認識について説明する。図21及び図22に示すように、検査画像取得部60で取得された第1照明光に基づく画像(第1照明光画像又は表示用画像)は、認識部100に送信される。第1照明光に基づく画像は、内視鏡検査や内視鏡手術中に撮像された、一連の動画像である。なお、第1照明光に基づく画像を認識部100に送信する場合、検査画像取得部60から、第2照明光画像を第1表示制御部120へ直接送信してもよい。これは、処置具の認識にとってより好ましい第1照明光に基づく画像を認識処理させることで、プロセッサ装置14への負担を軽減するためでもある。なお、第2照明光画像を認識部100に送信してもよい。
認識部100に送信された第1照明光に基づく画像の画像信号は、図21及び図22に示すように、認識モデル100Mへ入力される。認識モデル100Mは、認識部100に搭載される機械学習における学習モデルである。認識モデル100Mは、入力された第1照明光に基づく画像毎に、使用処置具認識結果を出力する。
具体的には、図21に示すように、第1照明光に基づく画像A100a-1を認識モデル100Mに入力すると、使用処置具認識結果A100a-2が出力される。一方、図22に示すように、第1照明光に基づく画像A100a-1とは異なる第1照明光に基づく画像B100b-1を認識モデル100Mに入力すると、使用処置具認識結果B100b-2が出力される。認識モデル100Mによって出力された使用処置具認識結果は、計数部110へ送信される。上記構成により、内視鏡が取得した画像から、使用した処置具を認識することができる。
なお、処置具の認識は、鉗子口等に付属させたタグ等を用いてもよい。
使用処置具認識結果には、検査画像中における処置具の有無と、検査画像中に処置具がある(含まれる)場合は、その処置具の名称が含まれる。これ以降、検査画像中に処置具が含まれる場合において、その処置具を「使用処置具」、使用処置具を含む画像を「使用処置具画像」と呼ぶ。なお、後述する具体例では、使用処置具の名称を一般名としているが、商品名や、任意の番号や文字列にしてもよい。
計数部110には、認識モデル100Mから出力された、処置具の有無が決定された画像と、使用処置具認識結果が送信される。計数部110は、図23に示すように、手術経過時間対応付け部110a及び使用数計数部110bを含む。
手術経過時間対応付け部110aは、手術経過時間を計測し、処置具の有無が決定された画像(動画像)と対応付ける。したがって、ここで、処置具の有無が決定された画像(動画像)のうち、使用処置具を含む時間と使用処置具を含まない時間が分類できる。
使用数計数部110bは、手術経過時間が対応付けられた画像のうち、使用処置具を含む画像が存在した後、使用処置具を含まない時間が一定の長さになった場合、その時間までの使用処置具を含む時間で、使用処置具を1回使用したとみなし、使用数を計数する。
使用数計数部110bにおける使用数の計数の具体例を図24に示す。使用処置具を含む検査画像(動画像)を動画A、使用処置具を含まない検査画像(動画像)を動画Bとする。検査開始から検査終了までの時間経過のポイントについて、時系列順に説明すると、T0(手術開始)からT1は、動画Bが撮像された時間である。T1からT2は、動画Aが撮像された時間である。T2からT3は、動画Bが撮像された時間である。ここで、T2からT3へと時間が経過する間に、T2からは一定時間Tsを超えている。ここで、T1からT2の動画Aに含まれる使用処置具の使用数を1回計数する。
また、T3からT4は、動画Aが撮像された時間である。T4からT5は、動画Bが撮像された時間である。T5からT6は、動画Aが撮像された時間である。T6からT7は、動画Bが撮像された時間である。ここで、T4からT5へと時間が経過する間に、T4から一定時間Tsを超えていない。一方、T6からT7へと時間が経過する間に、T6から一定時間Tsを超えている。この場合、T3からT6の動画に含まれる使用処置具の使用数を1回計数する。
図24に示す具体例において、使用処置具が使用処置具aのみであった場合、使用処置具の使用数は2回となる。一方、使用処置具が、互いに異なる使用処置具aと使用処置具bであった場合、使用処置具aの使用数は1回、使用処置具bの使用数は1回、と計数される。なお、動画に処置具が複数含まれる場合においても、それぞれの処置具が出現した時間から起算し、使用処置具を含まない時間が一定の長さを超えると、使用数を1回計数する。なお、一定の長さTsは、ユーザーが設定でき、また、処置具の種類ごとに設定できる。AIが自動的に設定してもよい。上記構成により、検査画像から処置具の使用数を計数することができる。また、一連の検査画像から極めて短時間の間、処置具が見えなくなった場合に、余計に使用数を計数することを防ぐ。
なお、後述する、検査等の終了指示がなされた場合、一定の長さTsを超えていなくても、検査終了時間直前の検査画像に含まれる使用処置具の使用数を計数するように設定されてもよい。検査の終了間際まで処置具が使用されている場合が存在するからである。
検査等の間は、図25に示すような検査画面121が表示されている。検査画面には、例えば、検査番号151、現在の検査画像122、検査終了ボタン123が表示されている。検査等が終了し、ユーザーが第1UI16を介して検査終了ボタン123を選択すると、計数部110に終了指示が送信される。終了指示が送信された時点で、手術経過時間対応付け部110aによる検査画像と手術経過時間の対応付けが終了し、使用数計数部110bが最終的な使用数を算出する。なお、終了指示は、操作部12bに終了ボタン(図示しない)を設け、終了ボタンが押されたことで送信されてもよい。
終了指示がなされると、計数部110は、検査等の間に用いられたそれぞれの使用処置具に対応する最終的な使用数を第1表示制御部120に送信する。第1表示制御部120は、使用処置具と使用数が正しいかをユーザーが確認し、承認又は修正を行うための使用処置具確認画面130を構成し、第1ディスプレイ15に表示する。使用処置具確認画面130には、使用処置具認識結果に係る少なくとも1以上の使用処置具の名称と、使用処置具画像と、使用処置具に対応する使用数とが表示されることが好ましい。また、第1表示制御部120は、使用数をそれぞれ計数した使用処置具画像(動画像)の中で、使用処置具が明瞭であるフレームの画像をサムネイルとして選出し、使用処置具画像サムネイルとして第1ディスプレイ15に表示することが好ましい。
図26に、使用処置具確認画面130の具体例を示す。使用処置具確認画面130には、処置具使用時間131、使用処置具画像サムネイル132、使用処置具番号133、使用処置具の名称134、処置具の見本画像135、使用数136、承認ボタン137、修正ボタン138、スクロールバー150、検査番号151が表示されている。
処置具使用時間131は、検査画像のうち、使用数を計数した動画時間を表示している。図26の具体例の場合、処置具使用時間131は、手術開始からの時間を表示しているが、実際の時間を表示してもよい。
使用処置具番号133は、第1表示制御部120が、計数部110から最終的な使用数が送信された際、使用処置具が何種類あるかを認識し、それぞれの使用処置具に付する。使用処置具番号133の付し方は、使用処置具に対応付けされた手術経過時間が早い順や、使用数が多い順等、適宜設定できる。使用処置具確認画面130では、使用処置具番号133が小さい順から、画面の上部に表示されることが好ましい。
使用処置具画像サムネイル132は、図26の具体例の場合、均等な大きさで配置されているが、画像の大きさや配置の方法はこれに限られない。
図26の具体例では、1種類の使用処置具に対して、使用処置具の名称134、処置具の見本画像135、使用数136、承認ボタン137及び修正ボタン138がセットになるように画面に配置されているが、配置の方法はこれに限られない。処置具の見本画像135は、処置具の名称と対応付けられ、外付けのメモリ(図示しない)や、後述する、処置具管理システム300内のサーバー320に保存されており、これらの保存領域から読みだされることが好ましい。
使用処置具確認画面130に対する承認指示について説明する。使用処置具画像サムネイル132と、使用処置具の名称134と、使用数136とが一致しているとユーザーが判断した場合、第1UI16を介して承認ボタン137が選択されることによって、プロセッサ装置14に承認指示がなされる。承認指示がなされた場合、使用処置具の名称及び使用数が計数部110から送信部113へ送信される。
使用処置具確認画面130に対する修正指示について説明する。使用処置具画像サムネイル132と、使用処置具の名称134と、使用数136とが一致しないとユーザーが判断した場合、第1UI16を介して修正ボタン138選択されることによって、プロセッサ装置14に修正指示がなされる。修正指示がなされた場合、使用処置具の名称134と、使用数136とが、計数部110から修正部112へ送信される。
また、修正ボタン138が選択されると、図27に示すように、処置具名称入力フォーム139及び使用数入力フォーム140が表示され、第1UI16を介して正しい処置具の名称や使用数を入力することができる。正しい処置具の名称や使用数が入力され、確認ボタン141が選択されると、修正後の使用処置具の名称及び使用数が、修正部112から送信部113へ送信される。なお、修正後の使用処置具の名称及び使用数の情報は、学習のため、認識モデル100Mに送信してもよい。
送信部113では、計数部110又は修正部112から送信された使用処置具の名称及び使用数が使用数計数信号として応付けられる。使用数計数信号は、レポート作成支援システム200及び/又は第2実施形態に記載の処置具管理システム300に送信される。上記構成により、内視鏡検査又は手術等で用いた処置具を内視鏡画像を用いて認識し、その使用数を計数することができる。
図28に示すように、内視鏡システム10は、レポート作成支援システム200を備えることができる。レポート作成支援システム200は、内視鏡システム10と有線又は無線のネットワークによって接続することが好ましい。また、レポート作成支援システム200は、第2ディスプレイ204と、第2UI205と、有線又は無線よって接続されている。
レポート作成支援システム200は、図28に示すように、第1受信部201及びレポート作成部202を備える。第1受信部201は、送信部113から送信された使用数計数信号を受信する。レポート作成部202は、使用数計数信号や第2UI205からの入力情報等を基にレポート作成画面210を構成し、第2ディスプレイ204にレポート作成画面210を表示する。
レポート作成画面210の具体例を図29に示す。レポート作成画面210は、例えば、患者情報や検査の情報等を入力する基本情報入力欄211と、医師の所見を入力する所見入力欄212と、を有する。レポート作成部202は、第1受信部201が受信した使用数計数信号に含まれる使用処置具の名称及び使用数を、基本情報入力欄211に反映させてもよい。ここで、使用処置具の名称及び使用数に合わせた保険点数等を基本情報入力欄211に反映させてもよい。また、レポート作成画面210において、第2UI205を介して基本情報入力欄211や所見入力欄212を編集してもよい。
なお、内視鏡システム10の検査画像取得部60から、第1照明光画像、第2照明光画像及び/又は強調画像を受信し、画像表示欄213に示してもよい。また、レポート作成部202は、内視鏡システム10において医師等が承認した診断結果を、基本情報入力欄211及び/又は所見入力欄212に自動的に挿入してもよい。上記構成により、内視鏡検査又は手術等で用いた処置具及び使用数を反映させたレポートを簡便に作成することができる。
なお、第2ディスプレイ204は、内視鏡システム10の第1ディスプレイ15がその機能を代替してもよい。その場合、レポート作成部202が作成した情報を、内視鏡システム10の第1表示制御部120が受信し、第1ディスプレイ15に表示する。
本実施形態における、使用処置具の認識からレポート作成までの一連の流れについて、図30に示すフローチャートに沿って説明を行う。まず、検査画像を認識モデル100Mに入力する(ステップS101)。すると、使用処置具認識結果が出力される(ステップS102)。次に、使用処置具認識結果を基に、計数部110で使用処置具の使用数が計数される(ステップS103)。検査等が終了し、終了指示がなされると(ステップS104)、使用数を使用処置具確認画面130に表示する(ステップS105)。ここで、終了指示がない場合は、ステップS101からステップS103を繰り返す。終了指示がなされ、使用処置具と使用数とについて承認すると(ステップS106)、送信部113からレポート作成支援システム200に使用数計数信号が送信される(ステップS107)。承認しない場合、修正部112において、使用処置具及び/又は使用数が修正され(ステップS108)、送信部113から修正後の使用処置具と使用数に係る使用数計数信号がレポート作成支援システム200に送信される(ステップS109)。最終的に、使用数計数信号に係る情報は、レポート作成支援システム200でレポート作成のために使用される(ステップS110)。
[第2実施形態]
第1実施形態においては、内視鏡システム10は、処置具管理システム300を具備せず、使用数計数信号はレポート作成支援システム200に送信され、レポート作成のために用いられる。一方、第2実施形態においては、内視鏡システム10が処置具管理システム300を具備することにより、使用数計数信号に係る情報が使用処置具の在庫管理に用いられる。第2実施形態において、内視鏡システム10の機能は第1実施形態と共通である。
図31に示すように、第2実施形態において、内視鏡システム10は、処置具管理システム300を備える。処置具管理システム300は、内視鏡システム10と有線又は無線のネットワークによって接続することが好ましい。また、処置具管理システム300は、第3UI301と、第3ディスプレイ302と、有線又は無線よって接続されている。
処置具管理システム300は、図31に示すように、第2受信部310、分類部311、サーバー320、発注部314、第2表示制御部315を備える。第2実施形態において、内視鏡システム10の送信部113から送信された使用数計数信号は、第2受信部310が受信する。
処置具管理システム300に搭載される在庫管理用プロセッサ303においては、第2中央制御部316により、処置具管理システム300に設けられたプログラム用メモリ内のプログラムが動作することで、第2受信部310と、分類部311と、サーバー320と、発注部314と、第2表示制御部315との機能が実現される。
第2受信部310は、使用数計数信号に含まれる使用処置具の名称及び使用数を、分類部311に送信する。分類部311は、使用処置具の名称に応じて、使用処置具をディスポーザブル型処置具又はリユーザブル型処置具に分類した上で、使用処置具の名称及び使用数をサーバー320に送信する。
サーバー320には、予め、第3UI301を介して使用処置具の在庫数及び/又は耐用回数が入力されている。ディスポーザブル型処置具又はリユーザブル型処置具に分類された使用処置具の名称及び使用数を受信すると、予めサーバー320に入力された在庫数及び/又は耐用回数が、使用数に応じて減算される。
使用処置具がディスポーザブル型処置具である場合、サーバー320がディスポーザブル型処置具である使用処置具の名称及び使用数を受信すると、ディスポーザブル型処置具の名称欄321に対応するディスポーザブル型処置具の在庫数欄322に入力されている在庫数が、使用数に応じて減算される。
使用処置具がディスポーザブル型処置具である場合の具体例を図32に示す。予めサーバー320に入力された処置具Aの在庫数が30、処置具Bの在庫数が25であって、使用数計数信号の内容が、処置具Aの使用数が1回、処置具Bの使用数が1回である場合、処置具Aの在庫数は29、処置具Bの在庫数は24に変更される。
使用処置具がリユーザブル型処置具である場合、サーバー320は、リユーザブル型処置具である使用処置具の名称及び使用数を受信すると、リユーザブル型処置具の名称欄323に対応するリユーザブル型処置具の耐用回数欄324に入力されている耐用回数を、使用数に応じて減算する。なお、耐用回数が0になった場合は、リユーザブル型処置具の在庫数欄325に入力されている在庫数が、1つ減算される。
使用処置具がリユーザブル型処置具である場合の具体例を図33に示す。予めサーバー320に入力された処置具Cの耐用回数が15、在庫数が10、処置具Dの耐用回数が3、在庫数が29であって、使用数計数信号の内容が、処置具Cの使用数が3回、処置具Dの使用数が4回である場合、処置具Cの耐用回数は12に変更され、在庫数は変更されない。一方、処置具Dの使用数が残り耐用回数を超えているため、在庫数が19に変更され、耐用回数は、処置具Cの最大耐用回数(ここでは、処置具Cの最大耐用回数を10とする)から使用数の残りの分、変更され、9となる。上記構成により、内視鏡検査又は手術等で用いた処置具を内視鏡画像を用いて認識し、処置具の在庫数を自動的に管理することができる。
ディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具の在庫数が特定の条件を満たす場合、発注部314に発注信号が送信される。さらに、後述する在庫管理画面330において、警告表示を行う。発注信号が受信されると、発注部314は、特定の条件を満たすディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具の自動発注を行う。なお、特定の条件はユーザーが設定できる。また、自動発注を行わない設定もできる。上記構成により、内視鏡検査又は手術等で用いた処置具を内視鏡画像を用いて認識し、処置具の在庫数を自動的に維持することができる。
サーバー320においてディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具の在庫数及び/又は耐用回数が変更されると、第2表示制御部315は、その変更を反映させたディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具の在庫数及び/又は耐用回数の一覧を、在庫管理画面330として構成する。構成した在庫管理画面330は、第3ディスプレイ302に表示する。
図34に、在庫管理画面330の具体例を示す。在庫管理画面330には、処置具の名称欄331に対応する処置具の耐用回数欄332及び処置具の在庫数欄333が一覧表示される。在庫管理画面330はスクロールバー150によってスクロールできる。
ディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具の在庫数が特定の条件を満たす場合、当該のディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具に対応する在庫数を赤文字で示すこと等によって、警告表示を行うことが好ましい。なお、警告表示の色は赤に限られない。また、点滅表示やアイコンによる警告表示を行ってもよい。図35に示すように、在庫管理画面330に、警告表示欄340を示してもよい。
また、ディスポーザブル型処置具及び/又はリユーザブル型処置具の在庫数が特定の条件を満たす場合、自動発注を行ったことを在庫管理画面330に示してもよい。図35に示す具体例では、ポップアップ表示350によって自動発注を行ったことを表示しているが、表示方法はこれに限らない。また、発注停止ボタン351によって発注を停止することもできる。
本実施形態における、処置具管理システム300の機能の一連の流れについて、図36に示すフローチャートに沿って説明を行う。まず、内視鏡システム10の送信部113から、使用処置具と使用数に係る使用数計数信号が処置具管理システム300に送信される(ステップS201)。次に、分類部311が、使用処置具をディスポーザブル型処置具かリユーザブル型処置具に分類する(ステップS202)。次に、使用処置具がディスポーザブル型処置具である場合、使用数を、サーバー320に予め入力されたディスポーザブル型処置具の在庫数に反映させる。使用処置具がリユーザブル型処置具であった場合、使用数を、サーバー320に予め入力されたリユーザブル型処置具の耐用回数及び在庫数に反映させる(ステップS203)。次に、在庫数が特定の条件を満たさない場合は、第3ディスプレイ302に、在庫管理画面330を表示する(ステップS204、S205)。在庫数が特定の条件を満たす場合は、当該使用処置具の自動発注を行い(ステップS206)、在庫管理画面330に警告表示を行う(ステップS207)。
なお、上記実施形態では、医用画像として、内視鏡画像を取得する内視鏡システムに対して、本発明の医療用画像処理装置を適用しているが、カプセル内視鏡等、さまざまな内視鏡システムに対して、適用可能であることはいうまでもなく、その他の医用画像として、X線画像、CT画像、MRI画像、超音波画像、病理画像、PET(Positron Emission Tomography)画像等を取得する各種医用画像装置に対しても、本発明の医療用画像処理装置の適用は可能である。
上記実施形態において、光源用プロセッサ21、撮像用プロセッサ44、画像取得部50、DSP52、ノイズ低減部53、画像処理切替部54、解析処理部55e、第1中央制御部55、在庫管理用プロセッサ303、第2中央制御部316といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array) 等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよく、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。また、記憶部のハードウェア的な構造はHDD(hard disc drive)やSSD(solid state drive)等の記憶装置である。