以下の説明および図では、本発明の特定の実施形態が説明されている。しかしながら、本発明は、記載されている実施形態に限定されるものではなく、いくつかの実施形態は、以下に記載されている特徴の全てを含まない場合があることが理解されよう。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更および変形を行うことができることは明らかであろう。
図1は、電子後方散乱回折(EBSD)システム100の例を概略的に示している。EBSDシステム100は、電子ビーム115を生成するための走査型電子顕微鏡(SEM)などのビーム発生器110および画像キャプチャアセンブリ130を備える。分析される試験サンプル120も示されている。試験サンプル120は、通常、示されていないサンプル保持手段によって所定の位置に保持されるであろう。
EBSDシステム100では、ビーム発生器110、試験サンプル120、および画像キャプチャアセンブリ130は、好ましくは、真空にされた分析チャンバ140内に収容される。EBSDシステム100は、試験サンプル120によって散乱されるビーム発生器110からの電子の少なくとも一部が、画像キャプチャアセンブリ130のシンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132に衝突するように構成される。電子後方散乱回折パターンは、シンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132上に形成されることができる。シンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132は、入射電子を可視光に変換するように配置され、それによって、画像キャプチャアセンブリ130によってキャプチャされることができるシンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132上に後方散乱回折パターンを形成することができる。議論を容易にするために、以下に説明するEBSDシステムは、シンチレーションスクリーン132上で生成される後方散乱回折パターンに関するものである。しかしながら、この説明は、後方散乱回折パターンの直接検出を実行するEBSDシステムにも同様に適用されることが理解される。そのようなシステムは、通常、シンチレーションスクリーン132の代わりに画像化センサ132を使用する。画像化センサ132(例えば、CCD型センサ、またはモノリシックCMOSセンサのいずれかとすることができる)は、後方散乱回折パターンを直接検出するように配置されている。モノリシックCMOSセンサの例は、MediPixファミリーのセンサとTimePixファミリーのセンサを含む。そのような直接検出は、当該技術分野において周知であり(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPTE Robertsら、「A CCD-based image recording system for the CTEM」、(1982)、Ultramicroscopy 8,385-396;または参照によりその全体が本明細書に組み込まれるG McMullanら、「Electron imaging with Medipix2 hybrid pixel detector」、(2007)、Ultramicroscopy 107(4-5):401-13;または米国特許出願第2016/0054240号明細書を参照)、したがって、本明細書ではこれ以上説明しない。
通常、画像キャプチャアセンブリ130は、シンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132上に形成されたパターンをEBSD画像150としてキャプチャするように構成される。通常、EBSD画像150は、適切なフォーマットのデジタル画像になる。そのようなEBSD画像150は、電子後方散乱回折パターン(EBSP)と呼ばれることがある。画像キャプチャアセンブリ130は、複数のEBSD画像をキャプチャするように構成されることができる。例えば、EBSDシステム100は、試験サンプル120を横切る所定の経路で電子ビーム115を走査(または移動)するように構成されることができる。ここで、画像キャプチャアセンブリは、スキャン中に事前定義された点(または間隔)でEBSD画像をキャプチャするように構成されることができる。したがって、試験サンプル120の表面上の異なる領域または点に対応する複数のEBSD画像が生成されることができる。画像キャプチャアセンブリ130は、本明細書においてすぐに以下に説明する分析などのさらなる処理のために、EBSD画像(または複数の画像)150を出力するように構成される。
図1には、EBSD画像150の例も示されている。EBSD画像150は、サンプルが電子ビームによって衝突されるサンプルの位置の画像である。この位置は、事実上、電子ビーム115および試験サンプル120の入射点117である。菊池バンド152として知られる多くの特徴が、EBSD画像150に見られる。菊池バンド152は、EBSD画像150において実質的に真っ直ぐな明るいバンドとして見られことができ、通常、菊池バンド152のエッジを示す2本の細い暗い線によって縁取られている。
当業者によって理解されるように、菊池バンド152は、通常、試験サンプル120から散乱され、シンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132に衝突する電子の強度の増加によって形成される。試験サンプル120による電子の散乱によって生成された菊池バンドエッジの幾何学的位置は、ブラッグ回折によって支配される。特定の菊池バンド152は、通常、電子ビーム115の入射点117において、試験サンプル120内の特定の結晶面から散乱された電子に対応する。回折は、2つの円錐形の電子を試験サンプル120(特に結晶面)から散乱させ、次にそれがシンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132に衝突して菊池バンド152を形成する。同心円錐の対の頂点は、入射点117を中心とし、円錐は、通常、ほぼ平坦であり、考慮される(hkl)面について90度からブラッグ角を引いたの半角を有する。
また、当業者によって理解されるように、EBSD画像150内の菊池バンド152は、電子ビーム115および試験サンプル120の入射点117を中心とする球160の表面にマッピングされることができる。そのような球の表面にマッピングされると、各菊池バンド152のエッジは、球160の2つの円を形成する。菊池バンドの中心線は、球160の大円を形成する。事実上、各菊池バンド152は、上記で議論された対応する散乱電子円錐と球160の表面との間の交点と考えることができる。そのような球160上の菊池バンド152の表現は、典型的には、菊池バンド152の「球面マップ」または「球面菊池マップ」として知られている。対応するEBSD画像150は、そのような球面マップの一部の心射図法又はノーモン投影であると見なすことができる。そのような投影は、平面シンチレーションスクリーンまたは画像化センサ132を効果的に形成している。特に、対応するEBSD画像150は、シンチレーションスクリーン132によって範囲が定められた球面マップの立体角のノーモン投影であると見なすことができる。
回折による菊池バンド152の生成は、当業者にとって周知である-例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Electron Backscatter Diffraction in Materials Science、2nd edition」(2009)、2~3ページ、ISBN 978-0-387-88135-5を参照のこと-したがって、本明細書ではこれ以上説明しない。同様に、菊池バンド152の球面マップの作成も当業者にとって周知である-例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Spherical EBSD」、Austin P Day、Journal of Microscopy、vol 230、issue 3、(2008)、472~486ページを参照のこと。
また、EBSD画像150には点155が示されている。点155(典型的には「パターン中心」として知られている)は、電子ビーム115および試験サンプル120の入射点117に最も近いシンチレーションスクリーン132上の点に対応する。パターン中心155は、シンチレーションスクリーン132によって定義される平面上の点を指定する2つの成分として表されることができる(またはそれを含むことができる)。例えば、パターンの中心155は、x座標PCxおよびy座標PCyを含むことができる。パターン中心155は、通常、シンチレーションスクリーン132と電子ビーム115の入射点117との間の距離(または分離)を含む(またはそれによって指定される)。したがって、パターン中心155は、3つの成分として表されることができる(または含むことができる)。典型的には、このようなパターンの中心152は、x座標PCx、y座標PCy、およびz座標PCzを含む。ここで、z座標PCzは、シンチレーションスクリーン132と電子ビーム115の入射点117との間の距離である。パターン中心155は、通常、EBSD画像150を生成する前に測定(または推定)される。
上で概説されたEBSDシステム100は、EBSD画像150がどのように生成されることができるかについての単なる例として役立つことが理解されよう。以下に提示される本発明の実施形態は、任意のEBSDシステム100によって生成された任意の適切なEBSD画像150を使用することができる。
図2は、コンピュータシステム200の例を概略的に示している。システム200は、コンピュータ202を備える。コンピュータ202は、記憶媒体204、メモリ206、プロセッサ208、インターフェース210、ユーザ出力インターフェース312、ユーザ入力インターフェース214、およびネットワークインターフェース216を備え、これらは、全て、1つ以上の通信バス218を介して互いにリンクされている。
記憶媒体204は、ハードディスクドライブ、磁気ディスク、光ディスク、ROMなどのうちの1つ以上などの任意の形態の不揮発性データ記憶装置とすることができる。記憶媒体204は、コンピュータ202が機能するために実行するプロセッサ308用のオペレーティングシステムを記憶することができる。記憶媒体204はまた、1つ以上のコンピュータプログラム(またはソフトウェアまたは命令またはコード)を記憶することができる。
メモリ206は、データおよび/またはコンピュータプログラム(またはソフトウェアまたは命令またはコード)を記憶するのに適した任意のランダムアクセスメモリ(記憶ユニットまたは揮発性記憶媒体)とすることができる。
プロセッサ208は、1つ以上のコンピュータプログラム(記憶媒体204および/またはメモリ206に記憶されたものなど)を実行するのに適した任意のデータ処理ユニットとすることができ、コンピュータプログラムのいくつかは、プロセッサ208によって実行されると、プロセッサ208に本発明の実施形態にかかる方法を実行させ、システム200を本発明の実施形態にかかるシステムとして構成するコンピュータプログラムとすることができる。プロセッサ208は、並列に、別々に、または互いに協調して動作する単一のデータ処理ユニットまたは複数のデータ処理ユニットを備えることができる。プロセッサ208は、本発明の実施形態のためのデータ処理動作を実行する際に、記憶媒体204および/またはメモリ206にデータを記憶し、および/または記憶媒体および/またはメモリからデータを読み取ることができる。
インターフェース210は、コンピュータ202の外部の、またはコンピュータから取り外し可能な装置222へのインターフェースを提供するための任意のユニットとすることができる。装置222は、データ記憶装置、例えば、光ディスク、磁気ディスク、ソリッドステート記憶装置などのうちの1つ以上とすることができる。装置222は、処理能力を有することができる-例えば、装置は、スマートカードとすることができる。したがって、インターフェース210は、プロセッサ208から受信する1つ以上のコマンドにしたがって、装置222からデータにアクセスするか、装置にデータを提供するか、または装置とインターフェースすることができる。
ユーザ入力インターフェース214は、システム200のユーザまたはオペレータからの入力を受信するように構成される。ユーザは、ユーザ入力インターフェース214に接続されているか、またはそれと通信している、マウス(または他のポインティングデバイス)226および/またはキーボード224などのシステム200の1つ以上の入力装置を介してこの入力を提供することができる。しかしながら、ユーザは、1つ以上の追加のまたは代替の入力装置(タッチスクリーンなど)を介してコンピュータ202に入力を提供することができることが理解されよう。コンピュータ202は、ユーザ入力インターフェース214を介して入力装置から受信した入力を、プロセッサ208が後でアクセスして処理するためにメモリ206に記憶することができるか、またはプロセッサ208がそれに応じてユーザ入力に応答することができるように、それをプロセッサ208に直接渡すことができる。
ユーザ出力インターフェース212は、システム200のユーザまたはオペレータにグラフィカル/視覚的出力を提供するように構成される。したがって、プロセッサ208は、ユーザ出力インターフェース212に、所望のグラフィック出力を表す画像/ビデオ信号を形成し、この信号をユーザ出力インターフェース212に接続されているシステム200のモニタ(または画面または表示ユニット)220に提供するように指示するように構成されることができる。
最後に、ネットワークインターフェース216は、コンピュータ202が1つ以上のデータ通信ネットワークからデータをダウンロードおよび/またはデータ通信ネットワークにデータをアップロードするための機能を提供する。
図2に示され、上で説明されたシステム200のアーキテクチャは、単なる例示であり、異なるアーキテクチャを有する(例えば、図2に示されるよりも少ないコンポーネントを有するか、または図2に示されるよりも追加および/または代替のコンポーネントを有する)他のコンピュータシステム200が本発明の実施形態において使用されることができることが理解されよう。例として、コンピュータシステム200は、以下のうちの1つ以上を備えることができる:パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ラップトップ、フィールドプログラマブルゲートアレイなど。
図3aは、例示的なEBSD画像分析システム300を概略的に示している。この図は、試験サンプル120を特性判定するために、入力として、試験サンプル120から生成されたEBSD画像150を受信するシステム300を示している。EBSD画像150は、前述のとおりである。
EBSD画像分析システム300は、識別モジュール320、投影モジュール330、およびマッチングモジュール340を備える。EBSD画像分析システム300は、図2を参照して説明されるように、コンピュータシステム200などの1つ以上のコンピュータシステム上に実装されることができる。EBSD画像分析システム300は、EBSDシステム100に通信可能に結合されることができる。例えば、EBSD画像分析システム300は、ネットワークインターフェース216を介してEBSDシステム100に通信可能に結合されることができる。EBSD画像分析システム300は、EBSD画像150を受信するように構成されている。例えば、EBSD画像分析システム300は、以下のいずれかを介してEBSD画像150を受信するように構成されることができる:ネットワークインターフェース216、入力インターフェース210、ユーザ入力インターフェース214など。EBSD画像分析システム300は、EBSD画像150をそれに記憶するように構成されることができる。例えば、EBSD画像150は、記憶装置204に記憶されることができる。
識別モジュール320は、EBSD画像150に存在する複数の菊池バンド152を識別(または検出)するように構成され、複数の識別された菊池バンド354を形成する。通常、複数の菊池バンド152は、画像内の直線特徴を検出することによって識別される。これは、当該技術分野の通常の技術を使用して自動的に行うことができる。例えば、エッジ検出アルゴリズムが画像に適用されることができる。あるいは、ハフ(またはラドン)変換が画像に適用されることもできる。ここでは、画像は、極座標平面上に表されており、高強度の直線は、高強度の点として表されている。このようにして、所定の強度を超えるハフ空間内のEBSD画像150のピクセルは、菊池バンド152として識別されることができる。
追加的にまたは代替的に、識別モジュール320は、例えば、ユーザ入力インターフェース214を介して、ユーザ相互作用に基づいて、複数の菊池バンド152のうちの1つ以上を識別するように構成されることができる。識別モジュール320は、ユーザによって視覚的に識別された菊池バンド152の経路をたどるEBSD画像150のディスプレイ上にユーザが直線を配置することができるように構成されることができる。
識別モジュール320は、識別された菊池バンド354のうちの1つ以上のバンド幅を識別するように構成されることができる。バンド幅は、菊池バンド152自体を識別するために使用されたのと同じ技術を使用して識別されることができる。例えば、エッジ検出技術は、菊池バンド152の2つの外側エッジを識別することができる。菊池バンド152のバンド幅は、分離に基づいて計算されることができる。同様に、菊池バンド152のバンド幅は、ハフ空間における菊池バンド152に対応する点(またはサイズ)に基づいて計算されることができる。追加的にまたは代替的に、ユーザは、例えば、ユーザ入力インターフェース214を介して、菊池バンド152のバンド幅を指定することができる。
通常、識別された菊池バンド152は、識別モジュール320によって直線として表される(そして必要に応じて記憶される)。より典型的には、識別された菊池バンド152は、識別モジュール320によって、菊池バンド152を中心とする直線として表される(そして必要に応じて記憶される)。同様に、菊池バンド152の幅を表す、識別された菊池バンド152についても線幅が記憶されることができる。追加的にまたは代替的に、識別された菊池バンド152は、識別モジュール320によって2本の直線として表され(そして必要に応じて記憶され)、各線は、菊池バンド152のそれぞれのエッジに沿って位置する。例えば、菊池バンドの強度または強さ、菊池バンドの非対称性、菊池バンドエッジの勾配など、他のパラメータも計算されて記憶されることができる。
投影モジュール330は、それぞれが識別された菊池バンド152を表す複数の点356を生成するように構成されている。識別された菊池バンド354を表す複数の点356は、共通の基準、典型的には電子ビーム115および試験サンプル120の入射点117に対して相対的である(または有する)。入射点117とパターン中心155との関係に関する上記の議論を考慮して、入射点117の代わりにパターン中心115が使用されることができることが理解されよう。各点は、それぞれの菊池バンド152のベクトル表現と円筒対称面との間の交点として判定することができる。円筒対称面は、入射点117とパターン中心155とを結ぶ線に実質的に平行に整列している。
理解を容易にするために、本発明の実施形態は、入射点117とパターン中心155とを結ぶ線と実質的に平行な円筒面の例を使用して以下に説明される。しかしながら、円筒対称面は、入射点117とパターン中心155とを結ぶ線に実質的に平行な(または一致する)軸の周りの任意の適切な回転面とすることができることが理解されよう。したがって、投影モジュール330は、通常、入射点117に対して(または少なくとも部分的に基づいて)それぞれの菊池バンド152を表すベクトルを判定するように構成されている。事実上、投影モジュール330は、通常、各菊池バンド152をそれぞれのベクトルにマッピングするように構成されている。上記の図1で説明したように球160の円である菊池バンド152が平面を定義することが理解されよう。菊池バンド152を表すベクトルは、通常、菊池バンド152によって定義される平面から判定される。特に、平面の(または平面への)法線ベクトルが使用されることができる。例えば、それぞれの菊池バンド152のベクトル表現は、菊池バンド152によって定義される平面に垂直な、入射点117を通過するベクトルとすることができる(またはそれに基づいて判定されることができる)。
投影モジュール330は、強度(または強さ)を複数の点356の各点に(またはその一部として)関連付けるように構成されることができる。強度は、通常、検出された菊池の強さを表す。追加的にまたは代替的に、強度は、対応する菊池バンド152の幅、または強さと幅の加重された組み合わせを表す(または含む)ことができる。同様に、強度は、他の測定された特性(菊池バンドの非対称性など)を表す(または含む)ことができる。
それぞれの菊池バンド152のベクトル表現を判定するためのプロセスに対するいくつかの変形が可能であることが理解されよう。例えば、ベクトル表現の上記の判定において、回転、所定のベクトルとのベクトル外積、平行移動など、任意の1つ以上の所定の単射変換を含めることができる。
円筒面はまた、入射点117に対して相対的に(または少なくとも部分的に基づいて)判定される。円筒面の向きは、識別された菊池バンド354を表す複数の点356の円筒面の軸方向への広がりを最小化(または低減)することを目的として選択されることができる。上記の例では、円筒面は、シンチレーションスクリーン132に垂直とすることができる。換言すれば、円筒面は、PCz(またはパターン中心および入射点117を通過するベクトル)の方向に沿って整列させることができる。通常、円筒面の半径は、シンチレーションスクリーン132と入射点117との間の分離、PCzである(またはそれに基づく)。
図1に示されるようなEBSD装置を使用して形成されたEBSD画像150について理解されるように、パターン中心155、ひいては入射点117は、測定(または推定)点である。したがって、上記のように投影モジュール330によって使用されるパターン中心155(または入射点117)は、測定および/または推定の誤差の影響を受ける。
マッチングモジュール340は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356に基づいて、試験サンプル120の構成360を判定するように構成されている。このようにして、マッチングモジュール340は、生成された構成360によって試験サンプル120を特性判定するように構成されていると言うことができる。特に、マッチングモジュール340は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356を、期待される点358のいくつかのセットと照合又はマッチングすることに基づいて、構成360を判定するように構成される。典型的には、期待される点358の各セットは、既知のサンプルのEBSD画像150に対応する。期待される点の各セットのEBSD画像150は、識別モジュール320および投影モジュール330に関して上記のように処理されている。このようにして、期待される点358の各セットは、対応する既知の構成を有する既知のサンプルについて識別された菊池バンド354を表す複数の点である(またはそれを含む)。
所与の期待される点358のセットに対するEBSD画像150は、実験画像とすることができる、すなわち、図1において論じられるようなEBSDシステム100を使用して形成されることができることが理解されるであろう。あるいは、EBSD画像150は、理論上の画像とすることができる。特に、EBSD画像150は、運動モデルおよび/または動的シミュレーションなどのシミュレーションによって生成されることができ、既知の構成を有する既知のサンプルからの電子回折が、計算モデルおよび生成される予測EBSD画像150にしたがって判定される。例えば、「Many-beam dynamical simulation of electron backscatter diffraction patterns」、Aimo Winkelmann、Carol Trager-Cowan、Francis Sweeney、Austin P.Day、Peter Parbrook、Ultramicroscopy 107、414(2007)を参照のこと。EBSD画像150のそのようなシミュレーションは周知であり、したがって、本明細書ではこれ以上説明しない。
通常、マッチングモジュール340は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356を期待される点358のセットと比較して、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点358のセットとの間に一致又はマッチングがあるかどうかを判定するように構成される。例えば、識別された菊池バンド354を表す複数の点356における点は、2つの点が互いに所定の距離内にある場合、期待される点のセット内の点と一致する(または対応する)と言うことができる。識別された菊池バンド354を表す複数の点356は、そのような一致した点の数が所定の数(または閾値)を超える場合、期待される点のセットに一致する(または対応する)と言うことができる。
追加的にまたは代替的に、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点のセットとの間の一致又はマッチングを判定(または識別)するときに、様々な他の基準が使用されることができる。例えば、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点のセットについて、全体的な一致又はマッチングスコア(または適合度)が形成されることができる。識別された菊池バンドを表す点と期待される点との間の各一致は、2つの点間の距離にしたがって重み付けされる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられる)ことができる。例えば、互いに接近している点間の一致は、分離が大きい点間の一致よりも大きな重みを得ることができる。追加的にまたは代替的に、識別された菊池バンドを表す点と期待される点との間の各一致は、一方または双方の点の強度にしたがって重み付けされる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられる)ことができる。例えば、高強度の点間の一致は、低強度の点間の一致よりも大きな重みを得ることができる。全体的な一致スコアは、これらの重み付けの合計(または累積)を含むことができる。このようにして、全体の一致スコアが所定の閾値を満たす場合、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点のセットとの間に一致が存在すると判定されることができる。EBSD画像150および使用される方法の精度を考慮に入れるために、様々な閾値が調整されることができる(または事前に判定されることができる)ことが理解されよう。全体的な一致スコアを計算するために、例えば、算術平均または幾何平均、あるいはそれらの組み合わせなど、異なるスキームおよび重み付けが使用されることができることも理解されよう。
EBSD画像150の識別された菊池バンド354および既知のサンプルの菊池バンド152を上記の方法で点として表すことにより、照合又はマッチングプロセス中に、従来技術のインデックス付け技術を使用するよりも多くの菊池バンド152を考慮することができることが理解されよう。特に、識別された菊池バンド354の全てが、試験サンプル120の照合および分析において考慮される完全な照合又はマッチングが実行されることができる。これは、(以下に簡単に説明するように)試験サンプル120の判定された構成(または個々の特性)の精度を高めることができる。また、2つの異なる既知のサンプルまたは構成の菊池バンド152が、より多くの菊池バンド152を考慮して実質的に類似している状況では、既知の構成間のより良い識別を可能にすることができる。
識別された菊池バンド354を表す複数の点356に一致又はマッチングすると識別された1つ以上の期待される点のセットに基づいて、試験サンプル120の構成360は、マッチングモジュール340によって判定されることができる。特に、試験サンプル120について判定された構成360は、期待される点358の一致するセットに対応する既知のサンプルに基づいて判定されることができる。典型的には、試験サンプル120について判定された構成360は、期待される点358の一致するセットに対応する既知のサンプルの1つ以上の特性を含む。判定された構成360は、以下を含む任意の1つ以上のサンプル特性を含むことができる:結晶面、結晶のユニットセルの寸法、結晶に存在する元素、結晶方位、結晶欠陥、存在する1つ以上の不純物、期待される反射体(菊池バンド)のリストとそれらの幅および/またはおおよその強度など。いくつかの例では、識別された期待される点358の複数のセットが、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と一致するものとして識別されることができることが理解されよう。そのような場合、試験サンプル120の複数の構成360が判定されることができる。例えば、別個の構成360は、試験サンプル120に対して判定されることができ、各構成は、期待される点358の異なる一致したセットから判定される。これは、入射点117またはその周辺で試験サンプル120に複数の結晶格子が存在する状況に対応することができる。追加的にまたは代替的に、1つの構成360は、期待される点358の複数の一致したセットに基づいて判定されることができる。この場合、通常、構成360は、期待される点358の複数の一致したセットに対応する既知のサンプルに共通の1つ以上の特性を含む。これは、少数の特性が異なる結晶が同じまたは類似の菊池バンド152を生成する状況に対応することができる。この例は、ニッケル、鉄、およびアルミニウムの面心立方(fcc)結晶である。マッチングモジュール340はまた、判定された構成360の信頼度の尺度を提供(または計算)するように構成されることができる。特に、信頼度の尺度は、期待される点358の対応する一致セット(または複数のセット)の全体的な一致スコア(または複数のスコア)を含む(またはそれに基づく)ことができる。さらに、代替の重み付けスキームを適用して、例えば、測定された菊池バンド幅に基づいて、解を優先的に分離することができる。
上記の分析において、期待される点358のセットは、例えば、識別モジュール320および投影モジュール330を使用して、必要に応じて判定されることができることが理解されよう。追加的にまたは代替的に、期待される点358のセットは、事前に計算され、記憶媒体204などの記憶装置、および/または装置222に記憶されることができる。事前に計算された期待される点358のセットは、サーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォーム390などで、システム300から離れて記憶されることができることが理解されよう。したがって、マッチングモジュール340は、適切なデータ接続395を介して、サーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォームから期待される点358のセットを検索するように構成されることができる。適切なデータ接続の例は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、直接データ接続(USB接続、Thunderbolt(登録商標)接続、Firewire(登録商標)接続、直接イーサネット(登録商標)接続など)、インターネットなどを介するものを含む。
以下に示すように、識別された菊池バンド354を表す点356と期待される点358の双方が、それぞれのパターン中心155の3つの成分、PCx、PCy、およびPCzの変化に関して予測可能な方法で変化する。換言すれば、パターン中心155の3つの成分のそれぞれの変化と、対応する菊池バンド152の点への結果として生じる変化との間の数学的関係は、以下にすぐに示すように導出されることができる。
上記のシステム300のいくつかの変形例では、マッチングモジュール340は、期待される点358の一致したセットに関して、EBSD画像150に対応する推定パターン中心155(または入射点117)を最適化(または調整)するように構成されることができる。特に、推定されたパターン中心155を最適化することは、目的関数に基づいて(またはそれに依存して)パターン中心155の少なくとも1つの成分を変化させることを含むことができる。例えば、パターン中心155の少なくとも1つの成分は、目的関数の値を改善する目的で(目的関数の極値を取得するなど)変更されることができる。必要に応じて、パターン中心155の全ての成分は、最適化ステップの一部として変更されることができるか、またはサブセットは、最適化ステップの一部として最適化されることができる。パターン中心の変化によって引き起こされる、識別された菊池バンド354を表す点356の結果として生じる変化は、最適化中に上記の数学的関係を使用して直接計算されることができることが理解されよう。結果として、パターン中心155の変化によって引き起こされる目的関数の値への変化は、そのような最適化を可能にするように直接計算されることができる。目的関数は、前述の全体的な一致スコアを含むことができる。マッチングモジュールは、期待される点358の一致したセットについて、それぞれの最適化されたパターン中心155に対応する更新された適合度を計算するように構成されることができる。
最適化は、当該技術分野において多くの例が知られている数値最適化手法を使用して実行されることができることが理解されよう。例えば、最適化は、全体的または部分的に、以下のいずれかを使用して実装されることができる:ニュートン法などの有限差分法、準ニュートン法、共役勾配法、最急降下法、近位最小化、下り坂シンプレックス/アメーバ、特定の粒度までのパラメータ空間の全数検索など。
そのような最適化は、識別された菊池バンド354を表す点356と一致又はマッチングすると識別された期待される点の各セットに関して別々に実行されることができる。このようにして、マッチングモジュール340は、更新された適合度に基づいて(最も可能性の高いまたは最良のマッチングを識別するなどの)期待される点358の照合又はマッチングされたセットを区別するように構成されることができるため、照合プロセスは、さらに改善されることができることが理解される。追加的にまたは代替的に、マッチングモジュール340は、それぞれの最適化されたパターン中心155に基づいて、点358の一致したセットのうちの1つ以上の信頼度を判定するように構成されることができる。例えば、一致の信頼度は、最適化されたパターン中心155と元の推定されたパターン中心155との間の差に反比例することができる。
信頼度はまた、例えば、菊池バンド強度、菊池バンド幅、菊池バンド対称性、(疑似対称効果を最小限に抑えるのに有利とすることができる)主要な菊池バンドの存在および/または不在の測定値および予測値の任意の組み合わせを使用して重み付けされることができる。
図3bおよび図3cは、EBSD画像150(上記のシンチレータスクリーン132に投影されたものなど)、例示的な菊池バンド152、パターン中心PCの間の幾何学的関係を概略的に示している。図1に関して上述したEBSD画像150の議論は、ここでも等しく適用される。
図3bおよび図3cには、デカルト座標系(x、y、およびzとマークされている)の軸のセットが示されている。ここで、xy平面は、EBSD画像平面と一致している。z軸は、EBSD画像平面に垂直である。デカルト座標系の原点Oは、電子ビーム115および試験サンプル120の入射点117と一致する。このデカルト座標系では、パターン中心PCは、x、y、z座標(PCx、PCy、-PCz)にある。
図3bには、EBSD画像平面上の点Aおよび点Bの双方を結ぶ線として菊池バンド152の例も示されている。点Aは、x、y、z座標(ax、ay、-PCz)にある。点Bは、x、y、z座標(bx、by、-PCz)にある。また、図3b(および図3c)に示されているのは、点A、B、および原点Oを通る平面の法線ベクトルであるベクトルnABである。したがって、ベクトルnABは、前述のように菊池バンド法線の一例であることは理解されよう。
図3cには、円筒対称面399(上記でより詳細に説明される)の例が示されており、これは、この例では、パターン中心PCと原点Oを結ぶ線に沿って整列された円筒である。αは、ベクトルnABと円筒面399との交点の方位角である。βは、ベクトルnABと円筒面399との交点のz座標である。
図3dは、上述したEBSD画像150分析システム300の変形を概略的に示している。図3aを参照するEBSD画像150分析システム300の上記の議論は、以下の変更を加えて、ここでも等しく適用される。
投影モジュール330は、入射点117に対して(または少なくとも部分的に基づいて)それぞれの菊池バンド152を表すベクトルを判定するように構成されている。事実上、投影モジュール330は、各菊池バンド152をそれぞれのベクトルにマッピングするように構成され、識別された菊池バンドのセットのための複数のベクトルを形成する。上記の図1で説明したように球160の円である菊池バンド152が平面を定義することが理解されよう。菊池バンド152を表すベクトルは、通常、菊池バンド152によって定義される平面から判定される。特に、平面の(または平面への)法線ベクトルが使用されることができる。例えば、それぞれの菊池バンド152のベクトル表現は、菊池バンド152によって定義される平面に垂直な、入射点117を通過するベクトルとすることができる(またはそれに基づいて判定されることができる)。
それぞれの菊池バンド152のベクトル表現を判定するためのプロセスに対するいくつかの変形が可能であることが理解されよう。例えば、ベクトル表現の上記の判定において、回転、所定のベクトルとのベクトル外積、平行移動など、任意の1つ以上の所定の単射変換を含めることができる。
マッチングモジュール340は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトルに基づいて、試験サンプル120の構成360を判定するように構成されている。このようにして、マッチングモジュール340は、生成された構成360によって試験サンプル120を特性判定するように構成されていると言うことができる。特に、マッチングモジュール340は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396を、期待されるベクトル398のいくつかのセットと照合又はマッチングすることに基づいて、構成360を判定するように構成される。典型的には、期待されるベクトル398の各セットは、既知のサンプルのEBSD画像150に対応する。期待されるベクトルの各セットのEBSD画像150は、識別モジュール320および投影モジュール330に関して上記のように処理されている。このようにして、期待されるベクトル398の各セットは、対応する既知の構成を有する既知のサンプルについて識別された菊池バンド354を表す複数のベクトルである(またはそれを含む)。
所与の期待されるベクトル358のセットに対するEBSD画像150は、実験画像とすることができる、すなわち、図1において論じられるようなEBSDシステム100を使用して形成されることができることが理解されるであろう。あるいは、EBSD画像150は、前述のように理論上の画像とすることができる。
マッチングモジュール340は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396を期待されるベクトル398のセットと比較して、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396と期待されるベクトル358のセットとの間に一致があるかどうかを判定するように構成される。例えば、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396内のベクトルは、2つのベクトルの算術差の大きさが所定の閾値よりも小さい場合、期待されるベクトルのセット内のベクトルと一致する(または対応する)と言うことができる。識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396は、そのような一致したベクトルの数が所定の数(または閾値)を超える場合、期待されるベクトルのセットに一致する(または対応する)と言うことができる。
追加的にまたは代替的に、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396と期待されるベクトルのセットとの間の一致を判定(または識別)するときに、様々な他の基準が使用されることができる。例えば、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396および期待されるベクトルのセットに対して、全体的な一致又はマッチングスコア(または適合度)が形成されることができる。識別された菊池バンドを表す点と期待される点との間の各一致は、一方または双方のベクトルの強度にしたがって重み付けされる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられる)ことができる。例えば、高強度のベクトル間の一致は、低強度のベクトル間の一致よりも大きな重みを得ることができる。全体的な一致スコアは、これらの重み付けの合計(または累積)を含むことができる。このようにして、全体の一致スコアが所定の閾値を満たす場合、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396と期待されるベクトルのセットとの間に一致が存在すると判定されることができる。EBSD画像150および使用される方法の精度を考慮に入れるために、様々な閾値が調整されることができる(または事前に判定されることができる)ことが理解されよう。全体的な一致スコアを計算するために、例えば、算術平均または幾何平均、あるいはそれらの組み合わせなど、異なるスキームおよび重み付けが使用されることができることも理解されよう。
識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル356に一致又はマッチングすると識別された1つ以上の期待されるベクトルのセットに基づいて、試験サンプル120の構成360は、マッチングモジュール340によって判定されることができる。特に、試験サンプル120について判定された構成360は、期待されるベクトル398の一致するセットに対応する既知のサンプルに基づいて判定されることができる。典型的には、試験サンプル120について判定された構成360は、期待されるベクトル398の一致するセットに対応する既知のサンプルの1つ以上の特性を含む。判定された構成360は、以下を含む任意の1つ以上のサンプル特性を含むことができる:結晶面、結晶のユニットセルの寸法、結晶に存在する元素、結晶方位、結晶欠陥、存在する1つ以上の不純物、期待される反射体(菊池バンド)のリストとそれらの幅および/またはおおよその強度など。いくつかの例では、識別された期待されるベクトル398の複数のセットが、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396と一致するものとして識別されることができることが理解されよう。そのような場合、試験サンプル120の複数の構成360が判定されることができる。例えば、別個の構成360は、試験サンプル120に対して判定されることができ、各構成は、期待されるベクトル398の異なる一致したセットから判定される。これは、入射点117またはその周辺で試験サンプル120に複数の結晶格子が存在する状況に対応することができる。追加的にまたは代替的に、1つの構成360は、期待されるベクトル398の複数の一致したセットに基づいて判定されることができる。この場合、通常、構成360は、期待される点398の複数の一致したセットに対応する既知のサンプルに共通の1つ以上の特性を含む。これは、少数の特性が異なる結晶が同じまたは類似の菊池バンド152を生成する状況に対応することができる。この例は、ニッケル、鉄、およびアルミニウムの面心立方(fcc)結晶である。マッチングモジュール340はまた、判定された構成360の信頼度の尺度を提供(または計算)するように構成されることができる。特に、信頼度の尺度は、期待されるベクトル358の対応する一致セット(または複数のセット)の全体的な一致スコア(または複数のスコア)を含む(またはそれに基づく)ことができる。さらに、代替の重み付けスキームを適用して、例えば、測定された菊池バンド幅に基づいて、解を優先的に分離することができる。
上記の分析において、期待されるベクトル398のセットは、例えば、識別モジュール320および投影モジュール330を使用して、必要に応じて判定されることができることが理解されよう。追加的にまたは代替的に、期待されるベクトル398のセットは、事前に計算され、記憶媒体204などの記憶装置、および/または装置222に記憶されることができる。事前に計算された期待されるベクトル398のセットは、サーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォーム390などで、システム300から離れて記憶されることができることが理解されよう。したがって、マッチングモジュール340は、適切なデータ接続395を介して、サーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォームから期待されるベクトル358のセットを検索するように構成されることができる。適切なデータ接続の例は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、直接データ接続(USB接続、Thunderbolt(登録商標)接続、Firewire(登録商標)接続、直接イーサネット(登録商標)接続など)、インターネットなどを介するものを含む。
さらなる変形例では、マッチングモジュールは、回転内で複数のベクトルを1つ以上の期待されるベクトルのセットと照合又はマッチングするように構成されている。特に、マッチングモジュールは、複数のベクトル(または期待されるベクトルのセット)に適用されると、2つのベクトルのセット間の差を最小化する(または最小化することを目的とする)回転変換を取得するように構成されることができる。このアプローチは、ベクトルがそれぞれの菊池バンドによって定義されるそれぞれの平面に、所定の関係(ベクトルが前記平面に垂直である場合など)によって関連している場合に特に有利とすることができる。この場合、シンチレーションスクリーン132の位置決めに関してのみ異なる同じサンプルのEBSD画像は、回転によって異なるそれぞれの複数のベクトルを生成すると期待される。
これは、EBSD画像化実験の第1の配置1310、およびシンチレーションスクリーン132が第1の配置に対して移動された同じEBSD画像化実験の第2の配置1320を示す図3eに概略的に示されている。
わかるように、第1の配置のための複数のベクトル1315および第2の配置のための複数のベクトル1325は、原点の周りの回転によってのみ異なる。これは、入射点を中心とする概念球上に大円を形成する菊池バンドが、シンチレータスクリーン132の動きの影響を受けないためである。図3eでは、ベクトルは、円で終わる破線によって示され、座標軸は、矢印で終わる実線によって示されている。
このように、マッチングモジュールが、回転内で複数のベクトルを1つ以上の期待されるベクトルのセットと照合又はマッチングするように構成されるさらなる変形を使用することによって、より少ない期待されるベクトルのセットを考慮する必要がある。
回転変換を得るための任意の適切な既知の方法が使用されることができることが理解されよう。そのような適切な方法の1つは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、C.F.F.Kerney(2007)による「Quaternions in molecular modeling」、Journal of Molecular Graphics&Modelling、vol.25、595~604ページ、doi:10.1016/j.jmgm.2006.04.002に記載されるような四元数の使用である。例えば、複数のベクトル{n
l}、期待されるベクトルのセット{n’
l}、一般的な回転R
q(x)を取ると、R
q(x)は、以下の式を最小化することによって求められることができる:
ここで、四元数環q=q
01+q
1i+q
2j+q
3kおよび
(i
2=j
2=k
2=-1であるように単位元として1の表記を想定)では、各菊池バンドの重みw
lは、上記のように、前記菊池バンドの強度または菊池バンドの重要性の他の何らかの尺度に基づくことができる。あるいは、それらは、単に1などの定数値に設定されることもできる。Wは、重みの正規化係数である。
これは、以下の固有値問題につながる:
E=q
T・B・q
ここで、
は、実固有値λ
0、λ
1、λ
2、λ
3を有する4×4対称行列であり、0≦λ
0≦λ
1≦λ
2≦λ
3である。ここで、完全を期すために、A
lは4×4スキュー行列A
l=A(n
’
l+n
l、n
’
l-n
l)であることに留意する。ここで、
である。
固有値問題の解決は、Eについての最小値が与えられ、したがって初期式である固有値λ0に対応する固有ベクトルとしての従来の方法と設定qによって行うことができ、必要な回転Rqを提供する。
回転を取得する方法に関する上記の議論は単なる例示であり、当業者は、2つのベクトルのセット間の回転を取得することができる他の方法を知っているであろうことが理解されよう。
上記の例では、複数のベクトルと期待されるベクトルのセットのベクトルとの間の対応が、共通のインデックスlを使用することによって想定されることにも留意されたい。これは、全ての可能な対応に対して上記の最小化を実行し、最小固有値を生成するものを選択することによって行うことができる。以下にさらにすぐに説明するように、場合によっては、期待されるベクトルの候補セットが選択され、その間にベクトル間の対応が推測または判定されることができる。
図4aは、図3aのEBSD画像150分析システム300などのEBSD画像150分析システムによって実行される方法400を概略的に示している。
ステップ420において、EBSD画像150に存在する複数の菊池バンド152が識別される。ステップ420は、EBSD画像150内の直線特徴を検出して、それにより、EBSD画像150内の1つ以上の菊池バンド152を識別することを備えることができる。ステップ420は、ハフ(またはラドン)変換(必要に応じて、フィルタリングおよび/またはピーク検出をともなう)をEBSD画像150に適用して、それにより、EBSD画像150内の1つ以上の菊池バンド152を識別することを備えることができる。追加的にまたは代替的に、ステップ420の一部として、1つ以上の菊池バンド152は、ユーザの相互作用に少なくとも部分的に基づいて識別されることができる。ステップ420は、前述のように、識別された菊池バンド354のうちの1つ以上のバンド幅を識別することをさらに備えることができる。
ステップ430において、それぞれが複数の識別された菊池バンド354のそれぞれの識別された菊池バンドを表す複数の点が生成される。通常、各点は、それぞれの菊池バンド152のベクトル表現(例えば、菊池バンド平面法線)と、円筒面または円筒対称面(前述のように)との間の交点として判定される。ステップ430は、入射点117に対して(または少なくとも部分的に基づいて)それぞれの菊池バンド152を表すベクトルを判定することを備えることができる。それぞれの菊池バンド152を表すベクトルは、前述のように判定されることができる。ステップ430において、菊池バンド152を表すベクトルは、通常、菊池バンド152によって定義される平面から判定される。例えば、ステップ430において、それぞれの菊池バンド152のベクトル表現は、菊池バンド152によって定義される平面に垂直な入射点117を通過するベクトルに基づいて判定されることができる。ステップ430はまた、強度(または強さ)を各点に(またはその一部として)関連付けることを備えることができる。強度は、通常、対応する菊池バンド152の幅を表す。
ステップ440において、構成360は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356に基づいて、試験サンプル120について判定される。ステップ440は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356に一致又はマッチングする期待される点358の1つ以上のセットを識別することを備える。通常、ステップ440は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356を期待される点358のセットと比較して、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点358のセットとの間に一致があるかどうかを判定するように構成される。そのような比較は、点毎に行われることができることが理解されよう。あるいは、比較は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356および期待される点358のセット内の複数の点にわたって同時に行われることができる。ステップ440における構成360の判定は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と一致すると識別された1つ以上の期待される点のセットに基づく。典型的には、一致した(または識別された)セットまたは期待される点358のセットに対応する1つ以上の特性を含む構成360がステップ440において判定される。
ステップ440の一部として判定された構成360は、出力されるか、さもなければユーザに提供されることができることが理解されよう。追加的にまたは代替的に、構成360は、さらなる処理または分析のために、記憶され、および/またはさらなる分析ツールに利用可能にされることができる。
例えば、図4bは、図3dの変形EBSD画像150分析システム300などの変形EBSD画像150分析システムによって実行される方法409を概略的に示している。方法409は、上述した方法400の変形である。図4aを参照する方法400の上記の議論は、以下の変更を加えて、ここでも同様に適用される。
ステップ430において、それぞれが複数の識別された菊池バンド354のそれぞれの識別された菊池バンドを表す複数のベクトルが生成される。ステップ430は、入射点117に対して(または少なくとも部分的に基づいて)それぞれの菊池バンド152を表すベクトルを判定することを備えることができる。それぞれの菊池バンド152を表すベクトルは、前述のように判定されることができる。ステップ430において、菊池バンド152を表すベクトルは、通常、菊池バンド152によって定義される平面から判定される。例えば、ステップ430において、それぞれの菊池バンド152のベクトル表現は、菊池バンド152によって定義される平面に垂直な入射点117を通過するベクトルに基づいて判定されることができる。法線ベクトルが本明細書の例として使用されているが、ベクトルは、平面に対する任意の事前定義された関係にしたがって生成されることができることが理解されよう。ステップ430はまた、強度(または強さ)を各ベクトルに(またはその一部として)関連付けることを備えることができる。強度は、通常、対応する菊池バンド152の幅を表す。
ステップ440において、構成360は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル356に基づいて、試験サンプル120について判定される。ステップ440は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396に一致又はマッチングする期待されるベクトル398の1つ以上のセットを識別することを備える。通常、ステップ440は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396を期待されるベクトル398のセットと比較して、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル356と期待されるベクトル398のセットとの間に一致があるかどうかを判定するように構成される。そのような比較は、ベクトル毎に行うことができることが理解されよう。あるいは、比較は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396および期待されるベクトル398のセット内の複数のベクトルにわたって同時に行われることができる。ステップ440における構成360の判定は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396に一致すると識別された1つ以上の期待されるベクトルのセットに基づく。典型的には、一致した(または識別された)セットまたは期待されるベクトル398のセットに対応する1つ以上の特性を含む構成360がステップ440において判定される。
図5aは、EBSD画像150分析システム500の変形を概略的に示している。EBSD画像150分析システム500の変形は、上述したEBSD画像150分析システム300の変形である。図3aおよび図4aを参照するEBSD画像150分析システム300の上記の議論は、以下の変更を加えて、ここでも等しく適用される。
マッチングモジュール340は、候補選択モジュール545をさらに備える。候補選択モジュール545は、いくつかの期待される点のセットから期待される点の1つ以上の候補セットを識別する(または判定する)ように構成されている。特に、候補セクションモジュール545は、セット358内の点の方位角を、識別された菊池バンド354を表す点の方位角と照合又はマッチングすることに基づいて、期待される点358のセットが期待される点558の候補セットであるかどうかを判定するように構成される。理解されるように、点の方位角は、前述の円筒面上のその点の方位角位置に基づく。
上記の図3aに関して説明した点照合と同様に、識別された菊池バンド354を表す複数の点における点は、双方の点の方位角の差が所定の閾値を下回る場合、期待される点358のセット内の点と一致する(または対応する)と言うことができる。期待される点358のセットと、識別された菊池バンド354を表す複数の点との間において、一致する点の数が所定の数(または閾値)を超える場合、期待される点358のセットは、候補セット558として識別されることができる。
また、上記の図3aに関して説明した点照合又は点一致と同様に、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点358のセットとの間の一致を判定(または識別)するときに、様々な他の基準が使用されることができる。例えば、候補一致又はマッチングスコア(または適合度)は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356および期待される点358のセットに対して形成されることができる。識別された菊池バンド152を表す点と期待される点との間の各一致は、双方の点の方位角の差にしたがって重み付けされる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられる)ことができる。追加的にまたは代替的に、識別された菊池バンド152を表す点と期待される点との間の各一致は、一方または双方の点の強度にしたがって重み付けされる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられる)ことができる。候補一致スコアは、これらの重み付けの合計(または累積)を含むことができる。このようにして、候補一致スコアが所定の閾値を満たしている場合、期待される点358のセットは、候補セット558として識別されることができる。
マッチングモジュール340は、候補選択モジュール545によって識別された期待される点558の候補セットのみが考慮される変更をともない、図3に関して上述したように、識別された菊池バンド354を表す複数の点356を、期待される点の複数のセットと照合又はマッチングすることに基づいて構成を判定するように構成される。このようにして、候補選択モジュール545は、期待される点のセット、ひいては可能な構成の事前フィルタリングを可能にするものと考えることができる。そのような候補セット558を識別することは、不正確な方位角を有するために一致しない期待される点358のセットが早期に排除され且つ完全な点毎の照合の対象にはならないことができるため、試験サンプル120の構成を判定するプロセスの全体的な効率を有利に高めることができることが理解されよう。
点558の候補セットの判定は、期待される点558の候補セットが点の方位角に基づいて識別されるため、さらに有利とすることができる。識別された菊池バンド354を表す点および期待される点の方位角は、上記のように、パターン中心の3つの成分、PC
x、PC
y、およびPC
zの変化に関して不変である。したがって、パターン中心(または入射点117)の測定(または推定)におけるエラーは、識別された候補セットに影響を与えるべきではない。これは、図3bおよび図3cを参照して以下のように示される。ベクトルn
ABは、原点と点Aとを結ぶベクトルと、原点と点Bとを結ぶベクトルの外積によって与えられる。
方位角αが以下の関係によって与えられるように、方位角αの接線は、ベクトルn
ABのy成分とx成分との比率によって与えられる:
わかるように、これは、PC
Zの変化に対して不変である。
面外(または仰角)角度βの式もまた導出されることができる:
点AおよびBは、画像150の平面内にあるため、βの範囲は制約される。通常、実際には、βが60°を超えることはめったにない。例えば以下のように、他のマッピング関数もβについて使用されることができることが理解されよう:
または
ここで、c
0は、角スケーリングファクタとすることができる。他のマッピング機能は当業者に知られており、本発明は必ずしも以下に限定されるものではないことが理解されよう。
方位角αはまた、PCXおよびPCYの変化に対して不変である。例えば、パターン中心が[Δx,Δy,Δz]によってシフトされる場合、これは、シフトされたパターン中心(x軸およびy軸の原点として使用される)を基準にした点AおよびBの座標を効果的に変化させる。それぞれA’およびB’としてラベル付けされた、シフトされた点AおよびBは、以下によって与えられる:
A’=[(ax-Δx),(ay-Δy)-(PC2+Δz)]
B’=[(bx-Δx),(by-Δy)-(PC2+Δz)]
したがって、ベクトルn
ABは、以下によって与えられる:
わかるように、αは、以下によってさらに与えられる:
しかしながら、βは、以下によって与えられるとき、パターン中心の変化に依存する:
菊池バンド平面の法線フィッティングアルゴリズムは、2つの部分-(パターン中心の位置に影響されない)αを使用した第1のもの、αおよびβの双方を使用した第2のものに分割されることができることが理解されよう。これは、パターン中心エラーに関するフィッティングアルゴリズムの全体的な感度を低下させる。さらに、すぐ下に説明する図8bに示すように、パターン中心155の周りのEBSD画像150の任意の回転は、上記のシステム300およびシステム500を使用して計算されるように、EBSD画像150における菊池バンド152を表す全ての点に一定の方位角シフトを単にもたらすべきである。菊池バンド法線は、いずれの方向にも向けることができることが理解されよう。場合によっては、方位角のラップアラウンド(例えば、角度を0から180度の範囲に強制するため)は、βの符号の反転によって対応されることができる。
したがって、パターン中心の周りのそれぞれのEBSD画像150の回転によってのみ異なる(したがって、点の方位角の一定のシフト内と同一である)期待される点358のセットは、期待される点358の単一のセットに減らすことができることが理解されよう。このようにして、上記のシステム300および/またはシステム500のいくつかの変形例では、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と、期待される点358のセットが、それぞれの点の相対方位角に基づいて一致(マッチング)または比較されることができることが理解されよう。
同様に、上記のシステム500のいくつかの変形例では、候補セクションモジュールは、セット内の点の相対方位角を識別された菊池バンド354を表す点の相対方位角と照合又はマッチングすることに基づいて、期待される点のセットが期待される点の候補セットであるかどうかを判定するように構成されることができる。
上記の議論は、ベクトル(nABなど)が直接照合されるかどうかにかかわらず、上述した変形と同様に適用されることが理解されよう。わかるように、これらは、常に、1つの成分(方位角よりも上の例)がパターン中心の周りの回転に関して不変であり、1つの成分(仰角よりも上の例)がPCXおよびPCYの変化に対して不変である座標系で表すことができる。
図5bは、上記の図3dに関連して論じられたEBSD画像150分析システム300の変形を概略的に示している。図5aを参照するEBSD画像150分析システム500に関する上記の議論は、以下の変更を加えて、ここでも同様に適用される。
マッチングモジュール340は、候補選択モジュール545をさらに備える。候補選択モジュール545は、いくつかの期待されるベクトルのセットから期待されるベクトルの1つ以上の候補セットを識別する(または判定する)ように構成される。特に、候補セクションモジュール545は、セット398内のベクトルの仰角を、識別された菊池バンド354を表すベクトルの仰角と照合又はマッチングすることに基づいて、期待ベクトル398のセットが期待ベクトル598の候補セットであるかどうかを判定するように構成される。ここで、ベクトルの仰角は、第1の所定の座標軸に対するベクトルの角度である。ここで説明する例では、この軸は、画像に垂直にとられ、入射点を通過する。追加的にまたは代替的に、候補選択モジュールは、セット398内のベクトルの方位角を、識別された菊池バンド354を表すベクトルの方位角と照合又はマッチングすることに基づいて、期待ベクトル398のセットが期待ベクトル5958の候補セットであるかどうかを判定することができる。ここで、方位角は、所定の座標軸の周りの角度と見なすことができる。これは、上記の他の変形において説明した点の方位角を照合することと同等であると見なすことができる。図5aに関連して上述したような所定の閾値および点の方位角の照合に基づいて、そのような角度の照合が実行されることができることが理解されよう。
上記の図5aに関して説明された点照合又は点一致と同様の方法で、期待されるベクトルのセット398は、期待されるベクトル398のセットと識別された菊池バンド354を表す複数のベクトルとの間に所定の数(または閾値)を超える一致したベクトルが存在する場合、候補セット598として識別されることができる。
また、上記の図3dに関して説明したベクトル照合と同様に、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396と期待されるベクトル398のセットとの間の一致を判定(または識別)するときに、様々な他の基準が使用されることができる。例えば、候補一致又はマッチングスコア(または適合度)は、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396および期待されるベクトル398のセットに対して形成されることができる。識別された菊池バンド152を表すベクトルと期待されるベクトルとの間の各一致は、双方のベクトルの角度の差にしたがって重み付けされる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられる)ことができる。追加的にまたは代替的に、識別された菊池バンド152を表すベクトルと期待されるベクトルとの間の各一致は、一方または双方のベクトルのそれぞれの菊池バンドの強度にしたがって重み付けされることができる(またはそれに基づいてスコアが割り当てられることができる)。候補一致スコアは、これらの重み付けの合計(または累積)を含むことができる。このようにして、候補一致スコアが所定の閾値を満たす場合、期待されるベクトルのセット398は、候補セット598として識別されることができる。上記の照合又はマッチングはまた、複数のベクトルのそれぞれのベクトルと、ベクトルの各候補セット内のそれぞれのベクトルとの間の対応(またはマッピング)を提供することが理解されよう。そのような対応は、図3dに関連して上述したように、複数のベクトルを所与の候補のベクトルのセットとリンクする回転を判定する際にさらに使用されることができる。
マッチングモジュール340は、図3dに関して上述したように、候補選択モジュール545によって識別された期待されるベクトル558の候補セットのみが考慮される変更をともない、識別された菊池バンド354を表す複数のベクトル396を、期待されるベクトルの複数のセットと照合又はマッチングすることに基づいて構成を判定するように構成される。このようにして、候補選択モジュール545は、期待されるベクトルのセット、ひいては可能な構成の事前フィルタリングを可能にするものと考えることができる。
期待されるベクトルのセットは、期待されるベクトルの既存のセットに回転を適用することによって生成されることができることが理解されよう。所与のEBSD実験(実際のまたはシミュレートされた)の図3eに関連して上述したように、スクリーン132の位置を変更すると、菊池バンドを表すベクトルが回転する。したがって、期待されるベクトルのセットから、スクリーン132のそれぞれの位置にそれぞれ関連する期待されるベクトルのさらなるセットが、適切なそれぞれの回転を適用することによって生成されることができる。
そのためのさらなる変形例では、期待されるベクトルのセットは、それぞれがそれぞれの方向のそれぞれのサンプルに対応する期待されるベクトルの1つ以上のマスターセットを含むことができ、期待されるベクトルの各マスターセットについて、期待されるベクトルの複数の回転されたセットを含むことができる。期待されるベクトルの各回転セットは、それぞれの回転が適用された期待されるベクトルのマスターセットに対応する。
ベクトルのセットの任意の一般的な回転は、座標軸の周りの3つの連続した回転と同等とすることができることが理解されよう。特に、ベクトルvの一般的な回転は、v’=Rz(φ1)Rx(Φ)Rz(φ2)vとして記載されることができ、Rz(φ2)は、第1の軸(この例ではZ)の周りの角度φ2の回転であり、Rx(Φ)は、第2の軸の周りの角度Φの回転であり、Rz(φ1)は、第1の軸の周りの角度φ1のさらなる回転である。したがって、ベクトルの座標の1つがベクトルと第1の軸との間の角度である座標系では、この座標の値は、第1の軸の周りの最終的な回転Rz(φ1)に対して不変になる。したがって、期待されるベクトルのセットがマスターベクトルの複数の回転セットの数を含む場合、この照合又はマッチングが一般的な回転の自由度の1つに対して不変であるとき、上記の仰角を照合することによって期待されるベクトルの候補セットを判定することが有利とすることができることが理解されよう。
したがって、さらなる変形において、期待されるベクトルの各回転セットは、所定の座標軸の周りの回転を適用し、続いてさらなる座標軸の周りの回転を適用することと同等のそれぞれの回転を適用することによって、それぞれのマスターセットから生成されることができる。回転セットの数および回転の大きさは、照合又はマッチングの精度および/または回転空間の所望のサンプリングにしたがって変化することができる。上記の仰角に基づいて候補セットが判定されると、所定の軸の周りの回転によってのみ識別された候補セットとは異なるさらなる候補セットが、後続の照合に含まれることができる。
理解を助けるために、以下のステップにおいて埋め込みの例が提供される。
・与えられた菊池バンドパターンについて、菊池バンドによって定義された平面に垂直なベクトルのセットn
*
iを構築する。各ベクトルは、それぞれの菊池バンドに対応し、仰角βおよび方位角αの観点で表されることができる。
・複数の潜在的なサンプルについて、例えば運動学的シミュレーションを使用して、最も重要な結晶学的反射を計算する。シミュレートされた菊池バンドに基づいて、各サンプルについて、期待されるベクトルのセットn
iを生成し、各ベクトルは、それぞれの菊池バンドによって定義された平面に垂直である。
・回転角の選択された値の数に続く(Φ,φ
2)による各回転について、期待されるベクトルの各セットに対して回転された期待されるベクトルのセットを構築する
回転セットの各ベクトル
は、方位角および仰角の対
で表されることができる。
・検出されたβ
*
i角度と最適に一致する
空間を探索する。これは、候補セット
のリストを与える。
・回転角のための選択された値によって再び第3の回転R
z(φ
1)により、既存の候補セットに関連する任意のセットを候補セットに追加する:
・前のステップからの候補のみを使用して検出されたα
*
i角度と最適に一致する
空間を探索する。
・必要な精度のために、前のステップからの複数の候補が(φ
1,Φ,φ
2)角度を最適化する場合の解を検証する。
理解を助けるために、さらに詳細な実例が以下に提供される。この実例で与えられた値は、限定することを意図するものではなく、代わりに単に例示であることが理解されよう。
・例えば、それぞれが特定の結晶の個々の反射面に対応する、事前に計算された40個の期待されるベクトルの初期セットn
iが考えられる。
・仰角
から始め、Φ,φ
2の回転空間は、例えば、32,400点を得るためにサンプリングされることができる。
の値は、通常+-60°にしか及ばないため、1°ステップで120ビンに量子化されることができる。次に、120×32,400点のヌルビット配列が作成される。
・事前に計算された40個の期待されるベクトルn
iベクトルは、次いで、(Φ,φ
2)値の全ての32,400点に対して回転される。したがって、そのような回転毎に、40個のβ
j,k角度が計算され、ビットフィールドがそれに応じてインクリメントされる、すなわち、ビット値(典型的には1)は、βおよび(Φ,φ
2)値によって定義された位置に記憶される。
・8個の測定された菊池バンドがあると仮定すると、8個のn
*
lベクトルは、次いで、各々が対応するβ
*
l角度を有して取得されることができる。ここで、8個の32,400ビット長のベクトルが、β
*
l値に依存して選択されることができる。これらのベクトルは、測定された方向に対応することができる(Φ,φ
2)値について1sで予め充填される。
・8個の全ての32,400ビット長のベクトルを加算し、(所与の回転において一致したベクトルの数を示す)所定の閾値よりも大きい値を有する点を識別することによって、いくつかの候補(Φ,φ
2)値が識別されることができる。
・プロセスは、次いで、β
*
lがそのような回転の下で不変であるため、角度α
*
lのみを考慮してφ
1回転空間のサンプリングを繰り返すことができる。さらに、前のステップからの候補(Φ,φ
2)値のみが考慮される必要がある。このようにして、(φ
1,Φ,φ
2)についての最終候補(または候補)が識別されることができる。
図6は、図5の変形EBSD画像150分析システム500などの変形EBSD画像150分析システムによって実行される方法600を概略的に示している。方法600は、上述した方法400の変形である。図4aを参照する方法400の上記の議論は、以下の変更を加えて、ここでも同様に適用される。
ステップ440は、ステップ642を備える。ステップ642において、いくつかの期待される点のセットから、期待される点の1つ以上の候補セットが識別される。ステップ642は、セット358における点の方位角を、識別された菊池バンド354を表す点の方位角と照合又はマッチングすることに基づいて、期待される点358のセットが期待される点558の候補セットであるかどうかを判定することを備える。ステップ642は、双方の点の方位角の差が所定の閾値を下回る場合、識別された菊池バンド354を表す複数の点における点が、期待される点358のセットにおける点と一致する(または対応する)ことを判定することを備えることができる。ステップ642は、期待される点358のセットと、識別された菊池バンド354を表す複数の点との間に、所定の数(または閾値)を超える一致点がある場合、期待される点358のセットが候補セット558として識別されることを判定することを備えることができる。図5aに関連して上述したように、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と期待される点358のセットとの間の一致を判定(または識別)するときに、他の様々な基準が使用されることができることが理解されよう。
さらに、ステップ642は、上述したように、識別された菊池バンド354を表す複数の点356および期待される点358のセットの候補一致又はマッチングスコア(または適合度)を形成(または計算)することを備えることができる。
ステップ440は、ステップ644を備える。図4aに関連する上記のステップ440の議論は、候補選択モジュール545によって識別された期待される点558の候補セットのみが考慮されるという修正を加えて、ステップ644にも同様に適用される。したがって、ステップ644は、識別された菊池バンド354を表す複数の点356に一致する期待される点558の1つ以上の候補セットを識別することを備える。ステップ644はまた、前記照合又はマッチングに基づいて構成を判定することを備える。
このようにして、ステップ642は、期待される点のセット、ひいては可能な構成を事前にフィルタリングすることを考えることができる。
図7aは、図3aまたは図5のEBSD画像150分析システムによって実行されることができるような、菊池バンド152のマップを使用して菊池バンド152を表す点を照合又はマッチングする方法700を概略的に示している。特に、方法700は、図4aに記載された方法400のステップ440において、期待される点358のセットが、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と一致又はマッチングするかどうかを識別するために使用されることができる。同様に、方法700は、図6に記載された方法600のステップ644において、期待される点558の候補セットが、識別された菊池バンド354を表す複数の点356と一致するかどうかを識別するために使用されることができる。
ステップ720において、第1の画像(またはマップ)が、複数の識別された菊池バンド152の複数の点についてプロットされる。複数の識別された菊池バンド152の複数の点の各点について、その点を中心とする分布を第1の画像にプロットする(または含む)ことができる。このようにして、第1の画像は、通常、ビットマップ画像(またはラスタ画像、または配列)などのピクセルの配列を含み、変化するピクセル値(または強度)として分布をプロットすることを可能にすることが理解されよう。もちろん、任意の適切な画像または配列表現が使用されることができることが理解されよう。与えられた点について、分布は、点の位置で期待されるエラーまたは信頼区間に基づく(または表す、またはそれに応じて計算される)ことができる。例えば、分布の特徴的な幅は、点の1つ以上の標準誤差とすることができる(または比例することができる)。追加的にまたは代替的に、分布は、点に対応する識別された菊池バンド152の強度および/またはバンド幅に基づく(またはそれを表すか、またはそれに依存して計算される)ことができる。例えば、分布の特徴的な幅は、点に対応する識別された菊池バンド152のバンド幅とすることができる(またはそれに比例することができる)。分布の最大値(または高さ)は、その点に対応する識別された菊池バンド152の強度とすることができる(またはそれに比例することができる)。追加的にまたは代替的に、存在するとは期待されない菊池バンドに負の強度値を与える(または割り当てる)ことができる。これは、例えば三方晶クォーツパターンにおける疑似対称の誤ったインデックス付けの問題を解決するのに有利とすることができる。
ステップ730において、第2の画像(またはマップ)が、所与の期待される点のセットに対して取得される。第1の画像と同様に、期待される点の特定のセットの各点について、その点を中心とする分布を第2の画像にプロットする(または含める)ことができる。このようにして、第2の画像は、通常、ビットマップ(またはラスタ)画像などのピクセルの配列を含み、分布を変化するピクセル値(または強度)としてプロットすることを可能にすることが理解されよう。もちろん、任意の適切な画像または配列表現が使用されることができること、またはデータが離散点として保持されることができることが理解されよう。与えられた点について、分布は、点の位置で期待されるエラーまたは信頼区間に基づく(または表す、またはそれに応じて計算される)ことができる。例えば、分布の特徴的な幅は、点の1つ以上の標準誤差とすることができる(または比例することができる)。追加的にまたは代替的に、分布は、点に対応する菊池バンド152の強度および/またはバンド幅に基づく(またはそれを表すか、またはそれに依存して計算される)ことができる。例えば、分布の特徴的な幅は、点に対応する識別された菊池バンド152のバンド幅とすることができる(またはそれに比例することができる)。分布の最大値(または高さ)は、その点に対応する識別された菊池バンド152の強度とすることができる(またはそれに比例することができる)。
上記のステップ730において、第2の画像は、方法700の一部として、マッチングモジュール340によって直接プロットされることができることが理解されるであろう。同様に、第2の画像は、前述の期待される点のセットの事前計算と同様の方法で、別個のシステムによって事前にプロット(または事前計算)されることができることが理解されよう。例えば、期待される点のセットについて、対応する第2の画像は、事前に計算され、記憶媒体204などの記憶装置、および/または装置222に記憶されることができる。第2の画像は、サーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォーム390などで、システム300から離れて記憶されることができることが理解されよう。したがって、ステップ730は、適切なデータ接続395を介してサーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォームから第2の画像を検索するマッチングモジュール340を備えることができる。適切なデータ接続の例は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、直接データ接続(USB接続、Thunderbolt(登録商標)接続、Firewire(登録商標)接続、直接イーサネット(登録商標)接続など)、インターネットなどを介するものを含む。
ステップ740において、複数の識別された菊池バンド152の複数の点と、所与の期待される点のセットが一致するかどうかが判定される。ステップ740において、期待される点の特定のセットと、識別された菊池バンド354の複数の点との間の一致が、第1および第2の画像の交点(または重複)に基づいて判定される。第1の画像と第2の画像との交点は、第1の画像のピクセルまたは要素を第2の画像の対応するピクセルまたは要素と組み合わせることによって計算(または判定または形成)されることができる。このようにして、第1の画像の分布と第2の画像の分布との間の重複を含むさらなる画像が形成されることができる。乗算演算子および/またはバイナリAND演算子を使用して、第1の画像と第2の画像の要素とを組み合わせることができる。追加的にまたは代替的に、適切な閾値を使用することによって1つ以上の画像が二値化されることができ、第1および第2の画像要素は、これらの閾値領域に対してのみ組み合わされる。これらの照合プロセスは、画像処理において周知であり、本明細書ではこれ以上説明しない。ステップ740は、複数の識別された菊池バンド152の複数の点および所与の期待される点のセットについて、(前述のように)全体的な一致スコアを計算することを備えることができる。全体的な一致スコアは、通常、第1の画像および第2の画像の共通部分の要素の組み合わせ(合計など)を含む(またはそれに基づく)。このようにして、全体的な一致スコアは、前述のように、それぞれの点を中心とする分布の重複を合計することによって得られるスコアと同等である可能性があることが理解されよう。通常、複数の識別された菊池バンド152の複数の点と、所与の期待される点のセットとの間の一致は、全体のスコアが所定の閾値に到達した場合に識別(または判定)される。あるいは、複数の識別された菊池バンド152の複数の点と所与の期待される点のセットとの間の一致は、全体的なスコアが最も高い期待される点のセットについてのみ識別されることができる。
上記のステップ740では、第1の画像と第2の画像との間の交点を計算し、交点に基づいて全体的な一致スコアを計算することは、別個のサブステップとして説明される。しかしながら、全体的な一致スコアの計算が第1の画像と第2の画像との間の交点の計算と並行して実行されるように、これらのサブステップを組み合わせることができることが理解されよう。そのため、いくつかの例では、第1の画像と第2の画像との間の完全な交差は、どの時点でも明示的に生成されない場合がある。
ステップ730において期待される点のセット358のプロットで使用される分布とは異なる分布を使用して、ステップ720で複数の識別された菊池バンド152の複数の点をプロットすることができることが理解されよう。場合によっては、複数の識別された菊池バンド152の複数の点または期待される点のセット358は、単純な点(ディラックのデルタ分布によって生成されるものなど)としてプロットされることができる。
図7bは、図7aの方法700によって生成されることができるものなどの例示的な画像(またはマップ)を示している。図7bには、例示的な第1の画像760(ステップ720に関連する上記の第1の画像に対応する)、例示的な第2の画像770(ステップ730に関連する上記の第1の画像に対応する)、および例示的な第1の画像760と例示的な第2の画像770の交点780のプロット(上記のステップ740において生成されることができるものなど)が示されている。
例示的な第1の画像760は、シリコンのEBSD画像150から複数の識別された菊池バンド152の点を示している。わかるように、第1の画像760の軸は、点の判定に使用される円筒面の円筒座標に対応する。参照を提供するための円筒面799も示されている。第1の画像760内の点は、グレースケールビットマップ内のガウス関数としてプロットされている。
例示的な第2の画像770は、シリコンに対応する期待される点のセットの点を示している。第1の画像760と同様に、第2の画像770の軸は、複数の識別された菊池バンド152の点の判定に使用される円筒面の円筒座標に対応する。第2の画像770内の点は、グレースケールビットマップ内のガウス関数としてプロットされている。
使用されるガウス分布は、水平方向および/または垂直方向に非対称とすることができる。この特定の例では、2度のガウススプレッドが双方の軸に使用された。
交点780のプロットは、例示的な第1の画像760と例示的な第2の画像770との間の交点を示している。わかるように、例示的な第2の画像770からのいくつかの点が第1の画像760から欠落していたため、それらは、交点780内の暗い領域として現れる。重複する2つの例示的な画像760、770の点について、重複の程度を示す明るい領域が存在する。
図8aは、上記のEBSD画像150の例800と、パターン中心155の変化が前述の菊池バンド152のベクトル表現に及ぼす影響を示している。EBSD画像800が示されている。上記の例示的なEBSD画像150の説明は、このEBSD画像800にも同様に適用される。画像800に存在する菊池バンド152は、前述の識別モジュール320を使用することなどによって識別されている。識別された菊池バンド354は、オーバーレイされた実線としてEBSD画像800に示されている。対応する菊池バンド152のバンド幅を示す対応する点線も示されている。これらの帯域幅は、前述の識別モジュール320を使用するなどによって識別されている。EBSD画像800に示されているのは、EBSD画像800についての4つの推定されたパターン中心802、804、806、808である。パターン中心802は、画像の真のパターン中心を表す。他のパターン中心804、806、808は、不正確なパターン中心である。第4のパターン中心808は、これらの2つのパターン中心が成分PCzにおいてのみ異なるため、第3のパターン中心806と重ねて示されている。これらの他のパターン中心804、806、808は、パターン中心のエラーの影響を明確に示すために、実際のパターン中心とは大きく異なるように意図的に選択されている。通常、パターン中心の推定または測定のエラーは、図8に示されているエラーよりも小さく、一般には数パーセント程度である。その後のインデックス付けは、通常のPCzよりもPCxおよびPCyのエラーに敏感であることが観察されている。
図8aは、それぞれがそれぞれのパターン中心802、804、806、808に対応する4つの球形ボリューム812、814、816、818を示している。各球形ボリュームは、平面図および側面図によって示されている。
第1の球形ボリュームは、真のパターン中心802に対応する。第1の球形ボリュームは、真のパターン中心802に基づいて、投影モジュール340に関連して前述したように計算された、識別された菊池バンド354のベクトル表現を示す。特に、この例では、各ベクトル表現は、それぞれの菊池バンド152によって定義される平面に垂直であり、推定入射点117(パターン中心802によって定義される)を通過するベクトルである。第2の球形ボリューム814は、第1の球形ボリューム812と同じであるが、真のパターン中心の代わりに第2のパターン中心804が使用される点が異なる。第3の球形ボリューム816は、第1の球形ボリューム812と同じであるが、真のパターン中心の代わりに第3のパターン中心806が使用される点が異なる。同様に、第4の球形ボリューム818は、第1の球形ボリューム812と同じであるが、真のパターン中心の代わりに第4のパターン中心808が使用される点が異なる。4つの球形のボリューム812、814、816、818にわたって見られるように、パターン中心の推定におけるエラーは、識別された菊池バンド354のベクトル表現に変化をもたらすように思われる。
図8aには、それぞれがそれぞれのパターン中心802、804、806、808に対応する4つのプロット822、824、826、828も示されている。第1のプロットは、真のパターン中心802に対応する。第1のプロットは、それぞれが識別された菊池バンド152を表すいくつかの点を示している。特に、第1のプロットの各点は、投影モジュール340に関連して前述したように、円筒面とそれぞれの菊池バンド152のベクトル表現との間の交点である。事実上、第1のプロットは、ラップされていないかまたは平坦にされた円筒面と考えることができる。したがって、第1のプロットの横軸は、円筒面の方位角に対応する。第2のプロット824は、第1のプロット822と同じであるが、真のパターン中心の代わりに第2のパターン中心804が使用される点が異なる。第3のプロット816は、第1のプロット812と同じであるが、真のパターン中心の代わりに第3のパターン中心806が使用される点が異なる。同様に、第4のプロット818は、第1のプロット812と同じであるが、真のパターン中心の代わりに第4のパターン中心808が使用される点が異なる。4つのプロット822、824、826、828に見られるように、パターン中心の推定におけるエラーがプロット822、824、826、828内の点の相対的な垂直位置を変化させるとき、点の方位角(または水平位置)は変更されないままである。これは、同じく示されている4つのストリップ832、834、836、838において見ることができる。各ストリップは、それぞれのプロット822、824、826、838に対応する。ストリップ832、834、836、838は、その点の方位角において、対応するプロット822、824、826、828の各点の線を示している。わかるように、ストリップ832、834、836、838は同一である。
図8bは、上述したEBSD画像150の例800と、パターン中心802を中心とした画像150の回転が、前述の菊池バンド152のベクトル表現に及ぼす影響を示している。図8bは、図8aに関連して上述したように、EBSD画像800、パターン中心802、対応するプロット822、および対応するストリップ832を示している。
図8bはまた、パターン中心802を中心に回転された画像800に対応する回転された画像800’を示している。プロット800は、点線の長方形によって回転された画像800’に対して示されている。回転された画像800’に対応し、それぞれがそれぞれの識別された菊池バンド152を表すいくつかの点を示すプロット822’も存在する。この場合も、画像800に対応するプロット822は、点線の長方形によってプロット822’に対して示されている。わかるように、画像800に対応するプロット822の2つの右端の点は、回転された画像800’に対応するプロット822’の左側にラップされている。回転された画像800’に対応するストリップ832’も示されており、それ自体が同じラップアラウンドを示している。
図8bからわかるように、プロット822およびプロット822’の点の相対位置は変更されておらず、回転の効果は、点に一定の方位角シフトを適用することである。
変更
説明された方法は、特定の順序で実行される個々のステップとして示されていることが理解されよう。しかしながら、当業者は、これらのステップが、依然として所望の結果を達成しながら、異なる順序で組み合わされるかまたは実行されることができることを理解するであろう。
上記の議論を理解しやすくするために、ベクトルのセットを直接照合することによって照合又はマッチングが行われるシステムおよび方法は、投影された点が照合又はマッチングされる照合又はマッチングとは別に説明されている。しかしながら、点のセットに関して記述された照合は、個々の点のセットと個々のベクトルのセットとの間の対応を考慮して、ベクトルのセット間の照合も達成することが理解されよう。
本発明の実施形態は、様々な異なる情報処理システムを使用して実施されることができることが理解されるであろう。特に、図およびその説明は、例示的なコンピューティングシステムおよび方法を提供するが、これらは、本発明の様々な態様を説明する際の有用な参照を提供するためにのみ提示されている。本発明の実施形態は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯情報端末、携帯電話、セットトップボックス、テレビ、サーバコンピュータなどの任意の適切なデータ処理装置上で実行されることができる。もちろん、システムおよび方法の説明は、議論の目的で簡略化されており、それらは、本発明の実施形態に使用されることができる多くの異なるタイプのシステムおよび方法のうちの1つにすぎない。論理ブロック間の境界は単なる例示であり、代替の実施形態は、論理ブロックまたは要素をマージするか、または様々な論理ブロックまたは要素に機能の代替分解を課すことができることが理解されよう。
上記の機能は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして1つ以上の対応するモジュールとして実装されることができることが理解されよう。例えば、上記の機能は、システムのプロセッサによって実行されるための1つ以上のソフトウェアコンポーネントとして実装されることができる。あるいは、上記の機能は、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および/または他のハードウェア構成などのハードウェアとして実装されることができる。本明細書に含まれる、または上記のように、フローチャートに実装される方法ステップは、それぞれ、対応するそれぞれのモジュールによって実装されることができ、本明細書に含まれる、または上記のように、フローチャートに実装された複数の方法ステップは、単一のモジュールによってともに実装されることができる。
本発明の実施形態がコンピュータプログラムによって実装される限り、記憶媒体およびコンピュータプログラムを搬送する伝送媒体が本発明の態様を形成することが理解されよう。コンピュータプログラムは、1つ以上のプログラム命令、またはプログラムコードを有することができ、これらは、コンピュータによって実行されると、本発明の実施形態を実行する。本明細書で使用される「プログラム」という用語は、コンピュータシステム上で実行するために設計された一連の命令とすることができ、サブルーチン、関数、プロシージャ、モジュール、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ、動的リンクライブラリ、および/またはコンピュータシステムで実行するために設計されたその他の一連の命令を含むことができる。記憶媒体は、磁気ディスク(ハードドライブまたはフロッピーディスクなど)、ソリッドステートドライブ、光ディスク(CD-ROM、DVD-ROM、またはブルーレイディスクなど)、またはメモリ(ROM、RAM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリまたはポータブル/リムーバブルメモリデバイスなど)とすることができる。伝送媒体は、通信信号、データブロードキャスト、2台以上のコンピュータ間の通信リンクなどとすることができる。
方法およびシステムの例は、以下の段落に記載されている(NP):
NP1.電子後方散乱回折によって画像化されたサンプルを分析する方法であって、
サンプル上の位置の電子後方散乱回折画像における複数の菊池バンドを識別することと、
識別された菊池バンド毎に、前記菊池バンドのベクトル表現と円筒対称面との間の交点に対応するそれぞれの点を形成することであって、前記菊池バンドのベクトル表現と面の円筒軸が双方ともサンプル上の位置の推定に少なくとも部分的に基づいて決定されることと、
複数の識別された菊池バンドの点と一致するものとして、複数の期待される点のセットから特定の期待される点のセットを識別することによって、サンプルの構成を判定すること、とを備える方法。
NP2.さらに、
複数の期待される点のセットを取得することであって、期待される点の各セットが、それぞれの既知のサンプルに対応し、各既知のサンプルについて、期待される点が、前記既知のサンプルの菊池バンドのベクトル表現と円筒対称面との間の交点に対応する、複数の期待される点のセットを取得することを備え、
判定された構成が、複数の識別された菊池バンドの点と一致する期待される点の特定のセットに対応する特定の既知のサンプルの1つ以上の特性に基づいている、NP1に記載の方法。
NP3.1つ以上の既知のサンプルの菊池バンドが、シミュレートされたEBSD画像から識別される、NP2に記載の方法。
NP4.1つ以上の既知のサンプルの菊池バンドが実験的EBSD画像から識別される、NP2又は3に記載の方法。
NP5.各菊池バンドについて、それぞれの菊池バンドのベクトル表現が、菊池バンドによって定義される平面に基づいて決定される、任意の先行するNPに記載の方法。
NP6.各菊池バンドについて、それぞれの菊池バンドのベクトル表現が、菊池バンドによって定義される平面の法線ベクトルに基づいている、NP5に記載の方法。
NP7.構成を判定することが、さらに、
点の相対方位角を期待される点の相対方位角と照合又はマッチングすることにより、複数の期待される点のセットから、期待される点のいくつかの候補セットを取得することを備え、
複数の識別された菊池バンドの点と一致する特定の期待される点のセットが、期待される点のいくつかの候補セットから識別される、先行するNPに記載の方法。
NP8.構成を判定することが、さらに、
複数の期待される点のセットからの2つ以上の期待される点のセットのそれぞれについて、前記期待される点のセットに基づいてサンプル上の位置の推定を最適化することと、
サンプル上の位置の最適化された推定に少なくとも部分的に基づいて、2つ以上の期待される点のセットの1つを特定の期待される点のセットとして識別することと、を備える、先行するNPに記載の方法。
NP9.点を中心とする分布と期待される点を中心とする分布との間で計算された重複が所定の閾値を超えたときに、点が期待される点と一致する、先行するNPに記載の方法。
NP10.複数の識別された菊池バンドの点と一致するものとして、複数の期待される点のセットから特定の期待される点のセットを識別することが、
第1の画像において、複数の識別された菊池バンドの点の各点を中心とする分布をプロットすることと、
期待される点の特定のセットの各点について、前記点を中心とする分布を含む第2の画像を取得することと、を備え、
複数の期待される点のセットからの特定の期待される点のセットが、第1及び第2の画像の交点に基づいて、複数の識別された菊池バンドの点と一致するものとして識別される、NP1~8のいずれか一項に記載の方法。
NP11.分布の特徴的な幅が対応する点の強度に基づく、NP9又は10に記載の方法。
NP12.分布の少なくとも1つがガウス分布である、NP9~11のいずれか一項に記載の方法。
NP13.判定された構成が、
サンプル内の結晶相、
サンプル内の結晶のユニットセル寸法、
サンプル内の結晶のセル内の原子、
サンプルの格子配向、
サンプルに存在する局所的な格子変形、ひずみ状態、のいずれか1つ以上を含む、先行するNPに記載の方法。
NP14.NP1~13のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された装置。
NP15.プロセッサによって実行されると、プロセッサにNP1から13のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体。