JP7306615B2 - 金属錯体 - Google Patents

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Description

本発明は、遷移金属錯体及び発光素子(例えば有機発光ダイオード(OLED))におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、中性電子供与体としての1つのカルベン配位子(L型配位子)と単座アニオン性配位子(X型配位子)とを含む二配位の銅錯体、銀錯体及び金錯体、及び回転アクセススピン状態反転(rotationally accessed spin-state
inversion;RASI)光電子放出を示す有機金属錯体、及び光電子放出材料としてのこれらの化合物の使用に関する。本発明は、かかる錯体を組み込んだ発光素子にも関する。
現在の技術開発は、フレキシブルかつ軽量であり、大面積を覆うことが可能な新たなディスプレー画面に向けられていることが多い。かかるディスプレー素子は、照明用途のための高輝度、並びに退色のない(bleach-resistant)色及び長い素子寿命をもたらす可能性を有する。特に、かかるディスプレー素子には低い生産コスト、また低い動作電圧のためにそれらの寿命中の低いエネルギー消費という利点がある。かかる素子の作製に必要とされる構成要素の多くが安価な化合物及びポリマーをベースとするため、生産コストを低くすることができる。したがって、OLEDはディスプレー技術の今後の進歩の要求を満たす極めて魅力的な候補である。
OLEDの機能は、多数記載されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、更には例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3を参照されたい)。単純な配位化合物であるトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウムをベースとした、良好な効率で緑色エレクトロルミネセンスを示す素子が1987年に報告されており(非特許文献5及び特許文献2)、3層構造により素子効率が改善されることが示されている。これらの刊行物の内容は引用することにより本明細書の一部をなす。
既知の通り、OLEDは概して、アノード、任意に正孔輸送帯域、発光することが可能な発光帯域、及びカソードを順に備える。この配置は基板上に適切に支持され得る。電子輸送帯域が発光帯域とカソードとの間に存在していてもよい。OLEDは通例、多層構造であり、各構成部分が層又は層の一部を形成する。素子のどちらの側面(単数又は複数)を発光させるかに応じて、透明、半透明又は不透明となるように、層を独立して選択することができる。
OLEDの一実施形態を添付の図面の図1に概略的に示し、典型的な層の配列を例示する。この実施形態では、ガラス基板が、アノードとして働く薄い光学的に透明な酸化インジウムスズ(ITO)の層で覆われる。仕事関数の低い金属又は金属合金がカソードとして働く。カソード及びアノードは、電荷を伝導し、正孔輸送帯域及び発光帯域を与えることが可能な異なる有機分子の幾つかの層によって隔てられる。正孔がアノードから有機層へと注入され、電子がカソードから注入される。正孔及び電子は有機分子の層内を反対方向へと移動し、結合して励起子を形成する。例示の実施形態では、アノードにより、例えばPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネートポリマー混合物)等の正孔輸送材料を含み得る正孔輸送層(正孔輸送帯域)に正孔が注入され、カソードにより、例えば金属酸化物、塩又は有機電子輸送化合物等の電子輸送材料を含み得る電子注入層に電子が注入される。正孔輸送層及び電子注入層はどちらも反対符号の電荷担体の流出を妨げるように働く。これらの層の間に、励起子がスピン0一重項状態及びスピン1三重項状態の混合として形成される有機化合物の層である発光層が存在する。
図1に例示されるような層状素子は、基板への層の連続堆積によって構成される。各層の堆積法は様々な利用可能な技法から選択される。例えば、カソードは通例、先に堆積させた層の上面において金属蒸気を蒸発させることによって生成する。
発光層の材料を形成する通常のアプローチは、エミッタ分子をより広いバンドギャップの有機マトリックスへと、通常は1重量パーセント~10重量パーセントのレベルで包埋することである。マトリックスの役割は、エミッタ分子への励起子及び電荷の移動を可能にすることである。素子の使用時に、これらのエミッタ分子が電荷又はエネルギーの移動により励起状態へと昇位し、緩和することで発光する。この光は様々な色であっても、白色光を含んでいてもよい。
エミッタ分子は様々なタイプ、例えば金属原子を含まない有機化合物、重遷移金属の有機金属錯体、及び金属配位錯体であり得る。錯体における重金属の主要な役割は、スピン-軌道結合を増進することで通常は暗い三重項励起子状態からのルミネセンスを可能とし、達成可能な光子量子収率を顕著に増大することである。素子効率は、エミッタが寿命の短い励起状態を有し、非放射減衰チャネルとの競合が低減することで改善される。
光エミッタとしての用途のための、多座配位子フレームワークをベースとしたこのような広範な金属錯体が、特許文献4(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。高価な貴金属の錯体、特に高酸化状態(oxidation states:酸化数)でのイリジウム、白金及び金の錯体がエミッタとして特に広く用いられており、これらは多座キレート芳香族及び複素芳香族配位子と組み合わせて使用される。これらの金属をベースとしたエミッタ化合物が広範に特許取得されており、例えば特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11及び特許文献12(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
多くの銅錯体が、UV光で励起した場合にルミネセンスとなることが知られている。これらの錯体は配位数3、又は最も一般的には配位数4のゆがんだ四面体ジオメトリで銅を含有し、Cu(ここで、Lは単座ホスフィン配位子又は多座ホスフィン配位子の一部を表す)の形態である。このタイプの銅錯体及び銀錯体は、例えば特許文献13に記載されており、二核ハロゲン化物架橋構造及び四配位金属中心をベースとする。ハロゲン化物配位子の代わりに二座窒素ドナー配位子に配位した二座ホスフィンの同様の銅錯体及び銀錯体が、特許文献14に記載されている。銅錯体の光物理的特徴が、近年多数の概説においてより詳細に記載されている(非特許文献6、非特許文献7;これらの刊行物の内容が引用することにより本明細書の一部をなす)。
安価な地球上に豊富な金属をベースとしたエミッタの必要性がよく知られている。地球上に豊富な金属をベースとした材料は、一方でコスト低減の利点をもたらし、他方で希少貴金属の使用につきものの起こり得る供給制限を軽減する。
イリジウム等の重金属エミッタを使用する目的は、配位子ベースの励起三重項状態を放射光の形態で得ることができるように、迅速な項間交差を可能とすることである。しかしながら、極めて接近した励起三重項状態は三重項-三重項消滅を被り、エレクトロルミネセンス収率が低減することが知られている。加えて、既存の多くの有機金属エミッタ材料は強い濃度消光を被る。したがって、効率的なルミネセンスを達成するためにホストマトリックス内での希釈が必要であり、段階的なエミッタ分子の移動及び凝集が素子故障につながる。したがって、固体状態で高量子効率のエミッタを開発し、凝集の影響を低減する必要がある。
高い、好ましくは15%を超える外部量子効率を有するエミッタ及びそれらを組み込ん
だ素子、例えばOLEDの必要性がよく知られている。
さらに、これらの錯体を安価な溶液処理法によって電子素子に組み込むことが可能となるように、通常の有機溶媒に容易に可溶である錯体を開発する必要がある。ここでの溶液処理は、化合物を液体媒体に溶解、分散又は懸濁し得ることを意味する。かかる溶液、分散液又は懸濁液は、OLED素子における層構造を液相からのコーティング又は印刷、例えばスピンコーティング、インクジェット印刷又は好適な代替技法によって作製するのに好適なものとする。
さらに、単純であり、安価に合成され、それらの意図した組成を溶液中で維持し、及び/又は処理時に配位子転位反応を受けないエミッタ材料が必要とされている。
エレクトロルミネセント素子の生産コストは、溶液処理と真空蒸着法との組合せを含む溶液ベースの処理法を用いて低減することができる。生産コストを低下させることで、エミッタ材料としての貴金属化合物の使用を経済的に魅力のあるものとすることができる。エミッタ材料として酸化状態+IIIの金化合物を組み込み、多座キレート芳香族配位子に結合したエレクトロルミネセント素子の作製が、例えば非特許文献8及び非特許文献9(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。しかしながら、これらの素子の外部量子効率は10%~15%未満であった。
酸化状態+Iの金錯体をベースとしたエレクトロルミネセント素子を溶液処理法によって製作する試みも報告されているが、低い量子収率を被ることが見出されている。これは非特許文献10(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に報告されている、キレートホスフィン配位子の二核金(I)錯体を組み込んだ素子において示され、この素子は0.1%~0.2%の量子収率しかもたらさなかった。四核金(I)トリホスフィン錯体の使用が非特許文献11(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に報告され、エミッタ材料としての組成{[Au(カルベン)][Au(CN)]}の金属-金属結合金塩のナノ結晶の使用が非特許文献12(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。これらの素子の外部量子効率は4%を超えなかった。
したがって、濃度消光を被らず、15%以上の最大外部量子効率で溶液処理可能なエレクトロルミネセント素子をもたらすことが可能なエミッタ材料が必要とされる。
驚くべきことに、下記に更に詳細に記載する、或る特定のタイプの酸化状態+Iの銅、銀及び金のカルベン錯体が強く光電子放出性であり、上記に概説したエミッタ材料の性能要件を満たし、及び/又は80%以上の固体状態量子収率を有することが今回見出された。以前に報告されている光電子放出銅錯体とは異なり、これらの化合物は線形の二配位ジオメトリを有する。この錯体は優れた熱安定性を示し、一般に使用される全ての有機溶媒に可溶である。これらの特徴から、これらの錯体は層状構造、例えばOLEDを形成する溶液処理及び液体堆積法への使用に好適である。それらの組成に応じて、これらの錯体は揮発性であり、したがってOLED等の素子の作製における気相又は蒸気相処理に好適である場合もある。
2016年4月12日に公開された非特許文献13(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)では、以下のスキーム:
Figure 0007306615000001
に従って、AdL-M-Xと規定され、1a、1b、1c、2a、2b及び2cと個別に指定される線形二配位銅及び金環式アルキルアミノカルベン(CAAC)ハロゲン化物錯体の群の或る特定の光物理的特性が記載されている(例えば表1及び表2、図1~図3を参照されたい)。
非特許文献13では、この銅化合物が最大96%の固体状態量子収率でフォトルミネセンスを示し、発光がT=4K~300Kの範囲にわたって温度とは独立していることが報告されている。フォトルミネセンスが遅延蛍光ではなく迅速蛍光によって非常に効率的に生じ、寿命がサブナノ秒範囲であることが報告されている。銅化合物の固体状態フォトルミネセンス量子収率は以下の通りである:化合物1a 0.96(96%);化合物1b
0.61(61%);化合物1c 0.28(28%)。金化合物の固体状態フォトルミネセンス量子収率は以下の通りである:化合物2a 0.09(9%);化合物2b 0.13(13%);化合物2c 0.18(18%)。
非特許文献13は、本発明の発明者の少なくとも1人及び/又は本発明の発明者の少なくとも1人から開示の主題を直接又は間接的に得た他者の少なくとも1人により、本特許出願及び本明細書に特許請求される発明の出願日及び第2の優先日の6ヶ月以内に行われた開示である。したがって、非特許文献13に具体化される発明は、特許又はかかる先行文献が新規性及び進歩性の分析について従来技術から除外される領域における同様の保護を目的として本特許出願に特許請求される。
米国特許第4,539,507号 米国特許第5,151,629号 国際公開第98/27136号 国際公開第2004/081017号 国際公開第2006/070896号 米国特許出願公開第2009/0278453号 国際公開第2014/023377号 国際公開第2013/097920号 国際公開第2014/094960号 国際公開第2014/094961号 国際公開第2014/094962号 米国特許出願公開第2011/0012093号 国際公開第2014/102079号 国際公開第2014/108430号
J. Shinar (ed.): Highly Efficient OLEDs with Phosphorescent Materials. Wiley-VCH, Weinheim 2008 Z. H. Kafafi: Organic Electroluminescence. Taylor & Francis, Boca Raton 2005 X. H. Yang, D. C. Mueller, D. Neher, K. Meerholz, Adv. Mater. 2006, 18, 948 H. Yersin, Top. Curr. Chem. 2004, 241, 1 C. W. Tang, S. A. van Slyke, Appl. Phys. Lett. 1987, 51, 913 N. Armaroli, G. Accorsi, F. Cardinali, A. Listorti: "Photochemistry and photophysics of coordination compounds: Copper", Topics in Current Chemistry 2007, 280, 69-115 M. Wallesch, D. Volz, D. M. Zink, U. Schepers, M. Nieger, T. Baumann, S. Braese: "Bright coppertunities: multinuclear complexes with N-P ligands and their applications", Chemistry - a European Journal 2014, 20, 6578-6590 Chemistry A European Journal 2014, vol. 20, p. 15233-15241, in Advanced Materials 2014, vol. 26, p. 2540-2546 Journal of the American Chemical Society 2014, vol. 136, p. 17861-17868 Chem. Commun., 2000, 53-54 Inorganic Chemistry 2014, vol. 53, p. 12720-12731 Chemical Science 2014, vol. 5, p. 1348-1353 Chem. Commun., 2016, 52, 6379-6382
第1の態様によると、本発明は、以下の式I:
(L)M(X) (I)
(式中、
A.
Mが銅及び銀から選択される金属原子であり、
Lが、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
Xがモノアニオン性配位子であるか、又は、
B.
Mが金原子であり、
Lが、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
Xが式:
R’-N-R’’
若しくは
Figure 0007306615000002
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000003
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子であるが、
化合物AdL-Au-NTf(ここで、AdLは、
Figure 0007306615000004
であり、TfはCF-SO-である)は除外される)の錯体を提供する。
錯体は配位数2を有する。錯体は好ましくは電気的に中性であり、すなわち金属Mが酸化状態(+I)で存在し、モノアニオン性配位子Xがその電荷の平衡をとる。カルベン配位子Lは好ましくは中性電荷を有するが、アニオン性(負に帯電した)置換基を任意に保有していてもよい。
配位子Lのカルベン部位は、金属原子Mに対する強い電子供与効果をもたらす。強い電子供与により、錯体における金属原子M上のd軌道のエネルギーが上昇する。何ら理論に束縛されることを望むものではないが、この金属のd電子のエネルギーの増大により励起過程が促進され、例えば励起過程中の金属から配位子への電荷移動が促進されると仮定される。カルベンC原子は空のp軌道を有し、電子受容体として働くことができる。銅錯体においては、励起S一重項及びT三重項状態はエネルギー的に近く、これら2つの状態の間で熱平衡が確立される可能性がある。S状態の集団により、電子スピンが変化することなく励起錯体がS基底状態へと戻ることが可能となる(量子論によって許容される)が、三重項状態からの緩和はスピン禁制であり得る。S状態からの放出経路を可能にすることによる100%に近い値までの銅錯体の量子収率の増大とは別に、この励起緩和機構は更に励起状態の寿命をおよそ20マイクロ秒以下の値まで低減し、これは効率的なOLED素子に不可欠である。以前より既知のエミッタ錯体では、励起S一重項状態のエネルギーは励起T三重項状態よりも高い。エレクトロルミネセント素子では、S状態及びT状態がエネルギー的に近くない限り三重項エネルギーが失われ、熱活性化遅延蛍光として知られるプロセスにより励起子エネルギーを得ることができ、これは当該技術分野で十分に立証されている。本発明の化合物が、励起T状態のエネルギーがS状態よりも高く、2つの状態が分子の部分の回転によって結び付けられることを示す特性を示し得ることが今回見出された。これらの化合物をエレクトロルミネセント素子においてエミッタ材料として使用する場合、この特性により全ての励起子エネルギーを得ることが可能となり、最大100%という高い内部量子収率がもたらされる。この特性の別の有益な態様は、励起状態の寿命が、およそナノ秒から数(low)マイクロ秒と非常に短く、高
輝度の発光素子(emissive devices)を構成することができるということである。三重項状態からの緩和は一方でリン光を特徴とし、励起状態寿命はおよそ10マイクロ秒~数百マイクロ秒、例えばおよそ100マイクロ秒以上である。
第2の態様によると、本発明は、
アノード、任意に正孔輸送帯域、カソードとアノードとの間に電流が流れる場合に発光することが可能な発光帯域、及びカソードを順に備え、該発光することが可能な発光帯域が、下記式Ia:
(L)M(X) (Ia)
(式中、Mは銅、銀及び金から選択される金属原子であり、
Lは、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
Xはモノアニオン性配位子である)の少なくとも1つの錯体を含む、発光素子を提供する。
本発明の第2の態様の発光素子の一例では、正孔輸送帯域が存在する。
本発明の第2の態様の発光素子の更なる例では、正孔輸送帯域及び電子輸送帯域(電子注入帯域としても知られる)が存在し、電子輸送帯域が発光帯域とカソードとの間に配置される。
第3の態様によると、本発明は、本発明の第1の態様による式Iの錯体、又は本発明の第2の態様による発光素子に使用される式Iaの錯体を作製する方法であって、
A.
式II:
M-X (II)
の化合物とCAAC化合物Lとを溶媒中で接触させると共に、式I若しくは式Iaの錯体を回収すること(ここでL、M及びXは、本発明の第1及び第2の態様において規定される通りである)、又は、
B.
Mが銅であり、Xが任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアリールオキシド若しくは任意に置換されたアリールアミドである場合に、
式Ib:
L-Cu-X’ (Ib)
(式中、Lは本発明の第1及び第2の態様において規定される通りであり、X’はCl、OH又はOBuである)のCAAC化合物と式V:
X-H (V)
(式中、Xは任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアリールオキシド又は任意に置換されたアリールアミドである)の化合物とを溶媒中で接触させると共に、式I若しくは式Iaの錯体を回収すること、又は、
C.
Mが金である場合に、
式Ic:
L-Au-X’ (Ic)
(式中、Lは本発明の第1及び第2の態様において規定される通りであり、X’はCl又はOH又はOBuである)のCAAC化合物と式Va:
X-H (Va)
(式中、Xは式:
R’-N-R’’
若しくは
Figure 0007306615000005
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよいが、但しR及びR’’の少なくとも一方がアリールであり、
Figure 0007306615000006
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表すが、但し環式有機基は式Vaの化合物が任意に置換されたアリールアミドであるようなものである)を有する任意に置換されたアリールアミドである)の化合物とを溶媒中で接触させると共に、式I若しくは式Iaの錯体を回収すること、
を含む、方法を提供する。
本発明の第3の態様による方法では、式IIの化合物中のM及びXは各々、式I又は式Iaの錯体について下記に記載したものと同じ例示及び選好を有する。したがって、Mが銅、金及び銀から選択される式IIの化合物中のXの選好の1つはハロゲン化物である。かかる式IIの化合物の好適な例は塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、塩化銀、臭化銀及びヨウ化銀である。式IIの化合物中のM及びXの選好及び例示の詳細については、調製された特定の錯体の下記実施例を含む下記の説明を参照されたい。
本発明者らは、本発明の第1の態様による式Iの錯体及び本発明の第2の態様に規定される式Iaの錯体の光電子放出特性を調査した。
或る特定の本発明の錯体が、以下の特徴の組合せが生じる場合に、驚くほど高い光電子放出、例えばエレクトロルミネセンス又はフォトルミネセンスの量子効率を示すことが見出された:
1. 錯体が(L)M(X)ジオメトリの全ての錯体のように線形かつ二配位である;
2. モノアニオン性配位子Xが、(L)M(X)ジオメトリによって規定される錯体の線形軸から変位した原子Aを含み、配位子Xの面P1がM、錯体の線形軸上のMにイオン結合したXの原子、及びAを含むと規定される;
3. 面P1が錯体の固体状態で、カルベン部位を含み、炭素原子及び1個の窒素原子からなるCAACの環の面P2に対して回転可能であり、錯体の線形軸の周りの配位子Xの回転の結果として、面P1と面P2との間の相対角度は二面角と称される;
4. 錯体の励起S一重項状態が、基底S一重項状態及び励起T三重項状態とは異なる二面角と関連する;
5. 錯体の励起T三重項状態がエネルギー的に励起S一重項状態よりも高い;並びに、
6. CAAC配位子の最高占有分子軌道(HOMO)と最低非占有分子軌道(LUMO)との間のエネルギーギャップEが、他のCAACを有する同じ金属MのCAAC錯体よりも小さい、例えば約5.0eV以下、より好ましくは約3.5eV以下、例えば約3.0eV以下である。
この特徴1~6の組合せを用いて、光電子放出材料及び素子、特にエレクトロルミネセント素子及びOLEDの約10%を超える、好ましくは15%、例えば20%を超える非常に高い外部量子効率を短い励起寿命で得ることができることが見出された。これにより迅速な光出力、ひいては高輝度のOLEDが可能となり、より高い励起密度のためにより低い効率がもたらされる飽和が回避されることから、短い励起寿命がOLEDに望ましい。これらの光電子放出材料の内部量子効率は100%に近いと考えられる。
理論に束縛されることを望むものではないが、非常に高い量子収率は「回転アクセススピン状態反転」又はRASI光電子放出と名付けた機構によって生じると考えられる。本発明者らは、RASI光電子放出が以下のように生じると現在考えている:
基底S状態では、CAAC及びX配位子がそれらの間に第1の二面角を有する;実施例29に提示したデータでは例えば、第1の二面角は約0度~20度である(ほぼ同一平面上にある);
励起T状態では、CAAC及びX配位子がそれらの間に第2の二面角を有し、これは第1の二面角と同じであっても又は異なっていてもよい;実施例29に提示したデータでは例えば、第2の二面角は約0度~20度であり(ほぼ同一平面上にある)、言い換えると第1の二面角とほぼ同じである;
励起S状態では、CAAC配位子及びX配位子はそれらの間に第3の二面角を有し、
これは第1及び/又は第2の二面角と同じであっても又は異なっていてもよい;実施例29に提示したデータでは例えば、第3の二面角はほぼ90度であり、言い換えると第1及び第3の二面角に対してほぼ直角である;
分子が固体状態(X配位子の連続回転が生じないよう、例えば結晶又は低温で凍結された状態)でエネルギー的に励起する場合、電子は、第1の二面角を有し、T及びSよりも高いエネルギーを有する振動励起S1*状態へと昇位する;
回転がない場合、振動励起分子は、直接基底S状態(蛍光)へと、又は初めにT状態、続いて基底S状態(リン光)へと緩和する選択肢を有する;しかしながら、S1*状態からT状態への緩和にはスピンの変化が必要であり、これは原則として量子力学的に禁制され、T状態から基底S状態への緩和には更なるスピン変化が必要であり、これは通例遅いプロセスである;
RASI光電子放出では、錯体の励起S一重項状態は第3の二面角への面P2の回転による分子の幾何構造緩和によってアクセスされる;これは回転なしに生じる先の段落の選択肢よりもエネルギー的に有利な経路であり得る;
蛍光による光電子放出は、その後のS状態から基底S状態への緩和によって生じる;
さらに、二面角が第1から第3へと変化し、分子のエネルギーレベルがS1*からSへと変化し、第1のエネルギーレベルが三重項状態Tよりも高く、第2のエネルギーレベルが三重項状態Tよりも低い場合に、結果として、プロセスの中間点で分子の励起一重項状態と励起三重項状態とのエネルギーレベルの間に非常に僅かな相違しか見られない;実施例29に提示したデータでは例えば、これは約30度の二面角で生じる;その時点で、項間交差(ISC)は非常に迅速であり、三重項T励起が一重項Sへと効率的に変換され(逆もまた同様)、エレクトロルミネセンスのほぼ100%の量子収率及び短い励起寿命がもたらされ得る。この通常は非発光性の三重項励起子から一重項状態へのISCは、励起状態波動関数によるCu又はAu部位の占有のために銅及び金錯体の場合にスピン-軌道結合によって支援され、異なるスピン状態が通常よりも効果的に混合すると考えられている。
実施例29により詳細に記載するように、この理論的説明は証拠により支持される。試験分子中のSのエネルギーがTよりも低い場合、本発明者が考えるように、温度が4K超に増大する場合にSの集団は増大する。これはTよりも長い波長の発光が増大することを意味する(赤方偏移又は下方変換)。このことが観察される。
光電子放出のRASI経路は概して、上記に1~6として論考した所要の特徴の組合せを有する有機金属錯体に当てはまり、本発明の更なる態様の基盤を構成する。
第4の態様によると、本発明は、導入されたエネルギーに応じて発光することが可能な発光帯域を備え、該発光することが可能な発光帯域がRASI光電子放出を示す少なくとも1つの有機金属錯体を含む、発光素子を提供する。
一実施の形態では、本発明の第4の態様による発光素子は、OLEDであり得る。RASI光電子放出を用いるOLEDをROLED又は分子回転型(molecular rotation-based)OLEDと称する。
第5の態様によると、本発明は、光を発生させる方法であって、
具体的な調査により少なくとも1つの有機金属錯体がRASI光電子放出を示すことを決定することと、
導入されたエネルギーに応じて発光することが可能な発光帯域を備え、該発光することが可能な発光帯域が、RASI光電子放出を示すことがそのように決定された少なくとも1つの有機金属錯体を含む、発光素子を準備することと、
エネルギーを発光素子に導入して光を発生させることと、
を含む、方法を提供する。
第6の態様によると、本発明は、光を発生する発光素子における、具体的な調査によりRASI光電子放出を示すことが決定された少なくとも1つの有機金属錯体の使用を提供する。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様の一実施の形態では、RASI光電子放出を示す有機金属錯体(複数の場合もある)は、少なくとも以下の特徴の組合せを有し得る:1. 錯体が線形かつ二配位であり、線形ジオメトリのカルベン配位子L’、該カルベン配位子L’がカルベン炭素原子を介して錯体形成する遷移金属原子M’、及びモノアニオン性配位子X’からなる;
2. モノアニオン性配位子X’は、線形(L’)M’(X’)ジオメトリによって規定される錯体の線形軸から変位した原子A1を含み、配位子X’の面P1はM’、錯体の線形軸上のM’にイオン結合したX’の原子、及びA1を含むと規定される;
3. カルベン配位子L’は、線形(L’)M’(X’)ジオメトリによって規定される錯体の線形軸から変位した原子A2を含み、カルベン配位子L’の面P2はM’、錯体の線形軸上のM’に配位したL’の原子、及びA2を含むと規定される;
4. 面P1は錯体の固体状態で面P2に対して回転可能であり、面P1と面P2との間の相対角度は二面角と称される;
5. 錯体の励起S一重項状態は具体的な調査により、基底S一重項状態及び励起T三重項状態とは異なる二面角と関連すると決定された;
6. 錯体の励起T三重項状態は具体的な調査により、励起S一重項状態よりもエネルギー的に高いと決定された;並びに、
7. カルベン配位子L’の最高占有分子軌道(HOMO)と最低非占有分子軌道(LUMO)との間のエネルギーギャップEが具体的な調査により、約5.0eV以下であると決定された。
より好ましくは、カルベン配位子L’のHOMOとLUMOとの間のエネルギーギャップEは約3.5eV以下、例えば約3.0eV以下である。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様に使用される有機金属錯体は、それがRASI光電子放出を示す限りにおいて任意の有機金属錯体であっても又はそれを含んでいてもよい。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様に使用される有機金属錯体では、カルベン配位子L’は所要のRASI光電子放出をもたらす任意のカルベン配位子であり得る。限定されるものではないが、カルベン配位子L’は本発明の式I又は式Iaの錯体に関するLについて規定される通りであり得る。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様に使用される有機金属錯体では、金属原子M’は所要のRASI光電子放出をもたらす任意の遷移金属原子であり得る。限定されるものではないが、金属原子M’は本発明の式I又は式Iaの錯体に関するMについて規定される通りであり得る。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様に使用される有機金属錯体では、モノアニオン性配位子X’は所要のRASI光電子放出をもたらす任意のモノアニオン性配位子であり得る。限定されるものではないが、モノアニオン性配位子X’は本発明の式I又は式Iaの錯体に関するXについて規定される通りであり得る。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様に使用される少なくとも1つの有機金属錯体は、本明細書に記載の式I又は式Iaによる少なくとも1つの錯体であっても又はそれを含んでいてもよい。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様の一実施の形態では、RASI光電子放出を示す有機金属錯体は具体的な調査により、分子が固体状態でエネルギー的に励起する場合に、電子がT及びSよりも高いエネルギーを有する振動励起S1*状態へと昇位する有機金属錯体であると決定された。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様の更なる実施の形態では、RASI光電子放出を示す有機金属錯体は具体的な調査により、錯体の励起S状態が第3の二面角への面P2の回転を介した分子の幾何構造緩和により振動励起S1*状態からアクセスされ、蛍光による光電子放出がその後のS状態から基底S状態への緩和によって生じる有機金属錯体であると決定された。
本発明の第4、第5及び/又は第6の態様のまた更なる実施の形態では、RASI光電子放出を示す有機金属錯体は具体的な調査により、二面角が面P2の回転により第3の二面角へと変化し、分子のエネルギーレベルがS1*からSへと変化し、第1のエネルギーレベルが三重項状態Tよりも高く、第2のエネルギーレベルが三重項状態Tよりも低い場合に、プロセスの中間点で分子の励起一重項状態と励起三重項状態とのエネルギーレベルが等しい有機金属錯体であると決定された。
本発明の第4の態様による発光素子において使用され、本発明の第5の態様による方法において提供され、又は本発明の第6の態様において使用されるRASI光電子放出を示す少なくとも1つの有機金属錯体は、適切に本発明の第1の態様による少なくとも1つの錯体であり得る。
本発明の第5の態様による方法において提供され、又は本発明の第6の態様において使用される本発明の第4の態様による発光素子は、フォトルミネセント素子又はエレクトロルミネセント素子、例えばROLEDであり得る。
本発明の第5の態様による方法において提供され、又は本発明の第6の態様において使用される本発明の第4の態様による発光素子がエレクトロルミネセント素子である場合、これは順にアノード、任意に正孔輸送帯域、本発明の第4の態様に規定される発光帯域、及びカソードを適切に備え得る。この素子の一実施の形態では、電子輸送帯域が発光帯域とカソードとの間に設けられる。
さらに、本発明及び上記に引用される非特許文献13では、式Iの錯体が迅速なフォトルミネセンス(最大約0.3nsの寿命)を潜在的に高い量子収率で示すことが示された。この研究結果は驚くべきものであり、本発明の更なる態様を提供する。さらに、Xがハロゲン化物である、すなわち面P1を欠いている錯体でフォトルミネセンスが観察される。
第7の態様によると、本発明は、導入されたエネルギーに応じて発光することが可能な発光帯域を備え、該発光することが可能な発光帯域が、本発明の第1及び第2の態様に規定される式I又は式Iaの少なくとも1つの有機金属錯体を含む、発光素子を提供する。
第8の態様によると、本発明は、光を発生する発光素子における、本発明の第1及び第2の態様に規定される式I又は式Iaの少なくとも1つの有機金属錯体の使用を提供する。
本発明の第7の態様による又は本発明の第8の態様において使用される発光素子は、フォトルミネセント素子又はエレクトロルミネセント素子、例えばROLEDであり得る。
本発明の第7の態様による又は本発明の第8の態様において使用される発光素子がエレクトロルミネセント素子である場合、これは順にアノード、任意に正孔輸送帯域、本発明の第4の態様に規定される発光帯域、及びカソードを適切に備え得る。この素子の一実施の形態では、電子輸送帯域が発光帯域とカソードとの間に設けられる。
上記に引用される非特許文献13の従来技術の効果を除外する猶予期間を与えない領域の目的上、本発明の第7及び第8の態様に関連して言及される発光素子では、フォトルミネセンス、並びに素子内に存在する唯一の式I又は式Iaの光電子放出有機金属錯体が、以下のスキームによる式AdL-M-Xを有し、1a、1b、1c、2a、2b及び2cと個別に指定された錯体から選択される1つ以上の錯体である任意の他の素子が除外され得る:
Figure 0007306615000007
先の段落に記載のものと同じ領域的目的について、本発明の第7及び第8の態様に関連して言及される発光素子では、フォトルミネセンス、並びに素子内に存在する式I又は式Iaの任意の光電子放出有機金属錯体が、式AdL-M-Xを有し、1a、1b、1c、2a、2b及び2cと個別に指定された上記錯体から選択される1つ以上の錯体である任意の他の素子が除外され得る。
以下の本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲において、本発明の一態様に関して提示される全ての実施形態、例、選好及び詳細は、個別に及び2つ以上の任意の組合せで本発明の任意の他の態様又は任意の全ての他の態様に等しく当てはまり、それに関して記載されることが理解されるものとする。
添付の図面及び以下の実施例は、本発明の更なる例示を限定することなしに提示するものである。
OLED素子構造の概略図である。付加的な電子伝達層及び電子閉じ込め層を必要に応じて追加してもよい。 AdCAAC)CuCl/(AdCAAC)CuBrの独立分子の結晶構造を示す図である。楕円体は50%レベルで示す。明確にするために水素原子を省略している。選択した結合長(Å)及び角度(度):Cu1A-C1A 1.883(2)/1.893(4)、Cu1A-Hal1A 2.1099(5)/2.2176(6)、C1A-C2A 1.530(2)/1.523(5)、C1A-N1A 1.305(2)/1.301(5)、C1A-Cu1A-Hal1A 175.33(5)/177.59(11)。 (a)カルベン錯体(AdCAAC)CuX(X=Cl、Br、I)のテトラヒドロフラン(THF)溶液のUV-visスペクトル(左);(b)固体状態(λex=365nmで励起)での(AdCAAC)CuX(X=Cl、Br、I)の発光スペクトル(右)を示す図である。 固体状態(365nmで励起)での、並びにTHF、アセトニトリル及び1,4-ジオキサン溶液中の(AdCAAC)CuClの発光スペクトルの比較を示す図である。 固体状態(365nmで励起)での、並びにエタノール、ピリジン及びアセトン溶液中の(AdCAAC)CuClの発光スペクトルの比較を示す図である。 AdCAAC)CuNCSの結晶構造を示す図である。楕円体は50%レベルで示す。明確にするために水素原子を省略している。選択した結合長(Å)及び角度(度):Cu1-C1 1.8817(14)、Cu1-N2 1.8297(13)、C1-C2 1.5262(18)、C1-N1 1.3011(17)、N2-C28 1.161(2)、C28-S1 1.6195(15)、C1-Cu1-N2 174.96(6)、N2-C28-S1 178.96(14)、Cu1-N2-C28 171.50(13)。 左:(a)THF溶液中の(AdCAAC)CuNCSのUV-visスペクトル;右:(b)固体状態(λex=351nmで励起)での(AdCAAC)CuNCSの発光スペクトルを示す図である。 AdCAAC)CuCCPhの結晶構造を示す図である。楕円体は50%レベルで示す。明確にするために水素原子を省略している。選択した結合長(Å)及び角度(度):Cu1-C1 1.9005(16)、Cu1-C28 1.9044(17)、C1-C2 1.526(2)、C1-N1 1.308(2)、C28-C29 1.172(3)、C29-C30 1.144(3)、C1-Cu1-C28 175.44(7)、Cu1-C28-C29 172.75(17)。 AdCAAC)CuCCPhのTHF溶液のUV-visスペクトル(左);固体状態(λex=374nmで励起)での(AdCAAC)CuCCPhの発光スペクトル(右)を示す図である。 (a)(AdCAAC)CuOPhのTHF溶液のUV-visスペクトル;(b)固体状態(λex=352nmで励起)での(AdCAAC)CuOPhの発光スペクトルを示す図である。 左:(AdCAAC)CuO(2-Bu-5-MeC)のTHF溶液のUV-visスペクトル;右:固体状態(λex=381nmで励起)での(AdCAAC)CuO(2-Bu-5-MeC)の発光スペクトルを示す図である。 AdCAAC)CuCz(CMA2)のX線構造を示す図である。楕円体は50%レベルで示す。明確にするために水素原子を省略している。選択した結合長(Å)及び角度(度):Cu-C1 1.8846(15)、Cu-N2 1.8626(14)、C1-C2 1.527(2)、C1-N1 1.305(2)、C1-Cu-N2 174.34(6);最適平面C1-C2-C3-C4-N1及びC28-N2-C39-C33-C34の間の二面角=2.8度。 固体状態での幾つかの(AdCAAC)Cuアニリドの重畳発光スペクトルを示す図である。 AdCAAC)AuCz(CMA1)のX線構造を示す図である。楕円体は50%レベルで示す。明確にするために水素原子を省略している。選択した結合長(Å)及び角度(度):Au1-C1 1.991(3)、Au1-N2 2.026(2)、C1-C2 1.528(4)、C1-N1 1.299(4)、N2-C28 1.379(4)、N2-C39 1.381(4)、C1-Au1-N2 178.78(11);最適平面C1-C2-C3-C4-N1(CAAC)及びC28-N2-C39-C33-C34(カルバゾール)の間の二面角=16.5度。 左:THF溶液中の(AdCAAC)Au(NPh)(CMA3)のUV-visスペクトル;右:467nmで励起した固体状態での(AdCAAC)Au(NPh)の発光スペクトルを示す図である。 時間相関単一光子計数(TCSPC)により測定された(AdCAAC)Au(カルバゾレート)(CMA1)のフォトルミネセンス減衰データを示す図である。(a)室温でのフォトルミネセンス(PL)減衰速度論(差し込み図:0~5nsのデータ)。(b)3つの異なる温度でのPL減衰曲線(差し込み図:0~5nsのデータ)。低温での遅延発光の寄与が2.5MHz繰り返し数の励起パルスにより人為的に高められることに留意されたい。 電気ゲート増感型電荷結合素子(CCD)により測定された(AdCAAC)Au(カルバゾレート)(CMA1)の温度依存フォトルミネセンス減衰データを示す図である。 AdCAAC)金属アミド錯体を組み入れた実施例28に従って作製した多層OLEDの外部量子効率(EQE)を示す図である。差し込み図:(AdCAAC)M-アミドOLEDのエレクトロルミネセンススペクトル。◇(AdCAAC)Au(DTBCz)(CMA4);○(AdCAAC)AuCz(CMA1);□(AdCAAC)AuNPh(CMA3);Δ(AdCAAC)CuCz(CMA2)。 実施例29に関する機構、化学構造及び密度汎関数理論(DFT)計算を示す図である。a、電子供与部分と電子受容部分との間に回転自由度を有する分子を用いて説明される回転アクセススピン状態反転機構。ドナー及びアクセプタが同一平面上にある場合、通常の励起状態エネルギー配置であるE(S)≧E(T)となる。回転ジオメトリでは、E(S)を十分に低くすることができ、スピン状態エネルギーの反転(E(T)>E(S))を達成することができる。b、(AdCAAC)AuCz(CMA1)及びその類似体。c、その基底状態(S)、励起一重項(S)及び三重項(T)状態についてのCMA1の最適化分子ジオメトリ。d、DFT及び時間依存密度汎関数理論(TD-DFT)計算により得られるCMA1の最高占有分子軌道(HOMO)及び最低非占有分子軌道(LUMO)。 CMA2~4のDFT及びTD-DFT計算を示す図である。a、S、S及びTの最適化分子ジオメトリ。b、HOMO及びLUMO。 CMA1の光物理的特性化及び温度依存発光速度論を示す図である。a、300Kでの吸収。b、300Kでの経時的なPLスペクトルの展開。c、温度依存フォトルミネセンス(PL)速度論。d、時間依存性減衰の統合により算出された温度依存性の全PL強度及び遅延PL強度。e、300K及び4Kで記録された迅速(t<2ns)及び遅延(t=2μs)PLスペクトル。f、100K超で45meVの活性化エネルギーを示す温度依存減衰速度k CMA2~4の温度依存PL減衰速度論及び活性化エネルギーを示す図である。 素子性能及びエレクトロルミネセンス(EL)測定を示す図である。a、作業素子の構造及び写真。b、プロトタイプ素子の作製に使用した材料のエネルギーレベル。CMA1を一例として使用する。c、外部量子効率(EQE)曲線及びELスペクトル(差し込み図)。d、CMA4をベースとした135個の素子により測定された最大EQEのヒストグラム。e、迅速、遅延PL及び定常状態ELの比較(PVKホスト中20wt%のCMA1)。f、CMA1をベースとした素子を様々な定常状態電流密度で保持した後に測定された過渡EL曲線。 実施例29の付加的な素子性能データを示す図である。a、輝度対電圧。b、電流密度対電圧。c、赤線によりフィッティングしたランバート発光特徴と一致する代表的な素子の角度発光プロファイル。d、e、CMA1及びCMA4から製作したROLEDのEQEの関数としてのCIE座標。 a. (CAAC)AuNPh(CMA3)及びb. (CAAC)AuDTBCz(CMA4)の結晶構造を示す図である。楕円体は50%レベルで示す。明確にするために水素原子を省略している。選択した結合長(Å)及び角度(度):CMA3:Au1-C1 1.985(2)、Au1-N2 2.040(2)、C1-C2 1.532(3)、C1-N1 1.304(3)、N2-C28 1.393(3)、N2-C34 1.401(3)、C1-Au1-N2 177.27(9);最適平面C1-C2-C3-C4-N1(CAAC)及びC28-N2-C34の間の二面角=14.9度。CMA4:Au1-C1 1.997(3)、Au1-N2 2.020(2)、C1-C2 1.536(4)、C1-N1 1.307(4)、N2-C28 1.395(4)、N2-C39 1.384(4)、C1-Au1-N2 178.25(11);最適平面C1-C2-C3-C4-N1(CAAC)及びC28-N2-C39-C33-C34(カルバゾール)の間の二面角=14.7度。 サイクリックボルタモグラムを示す図である。a、CMA1。b、CMA2。データは、[n-BuN]PFを支持電解質として含むMeCN溶液中のガラス状炭素電極を用いて0.1V s-1の走査速度で記録した。 NPh及び環アミド配位子の代表的な金錯体のフォトルミネセンススペクトル(固体状態、298K)を示す図であり、これらの化合物によってもたらされる発光色の範囲を示す。
式I及び式Iaの錯体
金属(M)
式I及び式Iaの錯体では、金属原子Mは銅、銀及び金から選択され得る。
錯体におけるMの酸化状態は(+I)であり得る。錯体の配位数は2であり、すなわち金属及び配位子の線形配置である。
CAAC配位子(L)
配位子Lの定義において、「カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子」という表現は、飽和していない環式又は非環式構造がカルベン部位を含む環に接続し得る可能性を除外するものではない。かかる付加的な環式又は非環式構造は、例えば芳香環を含み得る。「カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる」という表現は、カルベン部位を含む環を実際に形成する原子を指し、炭素及び窒素以外の原子がこれらの環形成原子の1つ以上に、例えば置換基内で接続し得る可能性を除外するものではない。
CAAC配位子Lは、好ましくは、式III:
Figure 0007306615000008
(式中、Rは任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアルケニル基、任意に置換されたアリール基及び任意に置換されたヘテロアリール基から選択され、
D、E、F及びGは独立して、>CR’R’’(ここで、R’及びR’’は互いに独立して、また異なる基D、E、F及びGとしてのそれらの出現頻度について独立して、水素原子若しくは任意に置換されたアルキル基(例えば、1個~20個の炭素原子を有するアル
キル基)から選択されるか、又はR’及びR’’が連結して、2つ以上の環及び/又は1個以上のヘテロ原子を任意に含有し得る任意に置換された飽和環式ヒドロカルビル基を形成する)から選択され、
d、e、f及びgは互いに独立して0、1、2、3、4、5及び6から選択されるが、但し式IIIの化合物は環式である)の化合物である。
R’及びR’’が連結して、2つ以上の環及び/又は1個以上のヘテロ原子を任意に含有し得る任意に置換された飽和環式ヒドロカルビル基を形成する場合、スピロ化合物Lが生じる。
が任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール基である場合、これは例えば任意に置換されたフェニル、カルバゾール、インドール、ベンズインドール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アザカルバゾール、アザベンゾフラン又はアザジベンゾチオフェン基であり得る。置換される場合、アリール又はヘテロアリール基は例えば、互いに独立して任意に置換されたアルキル、例えば非置換アルキル;任意に置換されたアルケニル、例えば非置換アルケニル;任意に置換されたアルキニル、例えば非置換アルキニル;任意に置換されたアルコキシ、例えば非置換アルコキシ;任意に置換されたアミノ、例えば非置換アミノ;任意に置換されたアリール、例えば非置換、一置換又は二置換アリール;又は任意に置換されたヘテロアリール、例えば非置換又はN-置換ヘテロアリールから選ばれ得る1つ~5つの置換基を保有し得る。2位及び6位に2つの置換基を保有する二置換フェニル基の例が具体的に言及される。この例では、2つの置換基は同じであってもよい。2つの置換基は適切に、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル及びtert-ブチルから選択されるアルキルとすることができ、この2つのアルキル基は互いに同じであることが適切である。Rが置換フェニル基である場合、これは2位及び6位で2つのイソプロピル基により適切に置換され得る。ヘテロアリール基が窒素原子を含有する場合、窒素はアルキル基により適切に置換され得る。N原子にアルキル置換基を保有する置換カルバゾール基(N-アルキルカルバゾール)の例が具体的に言及される。
部分>CR’R’’において、記号>は炭素原子Cの2つの単結合、環系の2つの隣接原子の各々に対する1つの単結合を表す。
R’及びR’’が接続して、1個以上のヘテロ原子を任意に含有し得る任意に置換された飽和環式ヒドロカルビル基を形成する場合、環式ヒドロカルビル基は例えば、3員~10員の1つ以上の環、最も好ましくは6員の環を含み得るが、ここで「員」という表現は環骨格の炭素原子及び存在する任意のヘテロ原子を指す。任意に置換された飽和環式ヒドロカルビル基は例えば、任意に置換されたC3~8シクロアルキル基であり得る。例えば、>CR’R’’は、別名スピロシクロヘキサン環として知られるシクロヘキシリデン部分を表し得る。2つ以上の環が部分>CR’R’’に存在する場合、これらは所望に応じてケージ構造を与えることができる縮合環であってもよい。例えば、>CR’R’’は、別名スピロアダマンタン環系として知られるアダマンチリデン部分を表し得る。
式IIIの一実施形態では、D、E、G、d、e、g及びfは上記に規定される通りであり、Fは>CRffであり、ここでR及びRffは同じであっても又は異なっていてもよく、1個~10個のC原子を有する任意に置換されたアルキル基から選択されるか、又はR、Rff及びそれらが接続する炭素原子Cが、1個以上のヘテロ原子を環中に任意に含有する任意に置換された環式ヒドロカルビル基を形成する。任意に置換された飽和環式ヒドロカルビル基は例えば、任意に置換されたC3~8シクロアルキル基であり得る(例えば、>CRffはシクロヘキシリデン部分又はスピロシクロヘキサン環を表し得る)。
別の実施形態では、D、E、G、d、e、g及びfは上記に規定される通りであり、Fは>CMeである。
別の実施形態では、D、E、G、d、e、g及びfは上記に規定される通りであり、Fは>CRffであり、ここでR及びRff及びそれらが接続した炭素原子Cは、1個以上のヘテロ原子を環の少なくとも1つに任意に含有する任意に置換された縮合二環式、三環式又は多環式ヒドロカルビル基、例えばケージ構造を形成する。この例の1つでは、Fは任意に置換されたシクロアルキリデン基(スピロシクロアルカン環)、好ましくは非置換アダマンチリデン基(スピロアダマンタン環系)である。
式IIIの好ましい実施形態では、d=e=f=1かつg=0である。
d=e=f=1かつg=0である式IIIの一実施形態では、Dは>CR(ここで、Rは1個~10個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチルである)であり、Eは>CHであり、Fは上記に規定される>CR’R’’又は>CRffである。
言及され得る式IIIの特定の実施形態は、以下のようなものである:
が任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアルケニル基、任意に置換されたアリール基及び任意に置換されたヘテロアリール基(例えば、任意に置換されたフェニル基;例えば2つのアルキル置換基を2位及び6位に保有する二置換フェニル基、より好ましくは2つの置換基が同じもの、より好ましくはフェニル基の2位及び6位の2つの置換基がどちらもイソプロピルであるもの)から選択され、
d=e=f=1かつg=0であり、
Dが>CR(ここで、Rは1個~10個のC原子を有するアルキル(例えばメチル)である)であり、
Eが>CHであり、
Fが>CRff(ここで、
及びRffは同じであっても又は異なっていてもよく、1個~10個のC原子を有する任意に置換されたアルキル基(例えば非置換メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル及びtert-ブチル;より好ましくはR及びRffが同じである)から選択されるか、又は、
、Rff及びそれらが接続した炭素原子Cが、任意に1個以上のヘテロ原子を環中に含有する任意に置換された環式ヒドロカルビル基(例えば(i)置換又は非置換の6員環、例えば置換又は非置換のシクロヘキシリデン基(スピロシクロヘキサン環)、より好ましくは非置換シクロヘキシリデン基;又は(ii)任意に1個以上のヘテロ原子を環の少なくとも1つに含有する任意に置換された縮合二環式、三環式又は多環式ヒドロカルビル基、例えばケージ構造、より好ましくは任意に置換されたアダマンチリデン基(スピロアダマンタン環系)、例えば非置換アダマンチリデン基)を形成する)である。
CAAC配位子Lは例えば、式IIIa:
Figure 0007306615000009
(式中、R、R、R及びRはCH基であり、Arは置換フェニル基、例えば1つ以上の置換基が独立して、下記の「任意に置換された」という用語の論考において提示
される選択肢から選択される置換フェニル基(より好ましくは2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基)を表す)の化合物であり得る。
別の実施形態では、CAAC配位子Lは、式IIIb:
Figure 0007306615000010
(式中、R及びRはCH基であり、Arは置換フェニル基、例えば1つ以上の置換基が独立して、下記の「任意に置換された」という用語の論考において提示される選択肢から選択される置換フェニル基(より好ましくは2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基)を表す)のスピロアダマンタン化合物であり得る。
更なる実施形態では、CAAC配位子Lは以下の化合物の群:
Figure 0007306615000011
(ここで、Rは1~4の可変数nの置換基を表し、各々が独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、アリール及びヘテロアリールを含む群から選択される)から選択され得る。好ましくはn=2であり、N-結合アリール環の2位及び6位が置換基Rによって占有され、この置換基Rは好ましくは同じである。より好ましくは、2位及び6位の置換基はイソプロピル基である。
CAAC配位子LであるAdCAACに言及する下記実施例において、これは、
Figure 0007306615000012
である。
「任意に置換された」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルコキシ」及び「ヒドロカルビル」という表現のより詳細な論考については下記を参照されたい。
カルベン配位子Lが1つ以上のキラル炭素原子を含む場合、キラル形態の全ての個々の立体異性体及び立体異性体混合物、例えば鏡像異性体及びラセミ混合物が本発明の範囲内である。配位子Lの互変異性体も本明細書の定義の範囲に包含される。
モノアニオン性配位子(X)
本発明の式Iの定義のパートAの錯体及び式Iaの定義において、Xはモノアニオン性配位子である。所要の式Iの二配位錯体が得られる限りにおいて、任意の無機又は有機モノアニオンを使用することができる。
配位子Xは例えば、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物、任意に置換されたアルコキシド(例えば非置換アルコキシド)、任意に置換されたアリールオキシド(例えば非置換アリールオキシド)、任意に置換されたアリールアセチリド(例えば非置換フェニルアセチリド)、任意に置換されたアミド(例えば非置換アミド)、任意に置換されたカルボキシレート(例えば非置換カルボキシレート)、任意に置換されたアニリド(例えば非置換アニリド)、任意に置換されたカルバゾール誘導体、任意に置換されたジヒドロアクリジン、任意に置換されたアゼピン、任意に置換されたジベンザゼピン、任意に置換された10,11-ジヒドロジベンザゼピン、任意に置換されたフェナジン、任意に置換されたオキサジン、任意に置換されたアクリドン、任意に置換されたフェノキサジン、任意に置換されたフェノチアジン、任意に置換されたフェノチアジン5,5-ジオキシド、任意に置換されたジヒドロフェナジン、任意に置換されたチオレート(例えば非置換チオレート)、任意に置換されたチオフェノレート(例えば非置換チオフェノレート)、任意に置換されたチオカルボキシレート(例えば非置換チオカルボキシレート)、任意に置換されたホスフィンイミネート(例えば非置換ホスフィンイミネート)、任意に置換されたケチミネート(例えば非置換ケチミネート)、任意に置換されたグアニジネート(例えば非置換グアニジネート)、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール(例えばピロレート(pyrrolate)、イミダゾレート、インドレート等)及び任意に置換されたアルキニルから選択され得る。
配位子Xは、式IV:
[E-Ar] (IV)
(式中、Arは任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール基であり、
E-はC(R)(R)-、O-、S-、Se-、Te-、N(R)-、P(R)-、As(R)-及びSb(R)-から選択され、
ここでR、R及びRは独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選ばれ、R、R及びR基は存在する場合、任意に1つ以上のリンカー種によって、またC、N、P、As又はSb原子を介してAr部分に直接接続してもよい)の化合物であり得る。上記リンカー種は、任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン)、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-)、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から適切に選択され得る。
ハロゲン化物は塩化物、臭化物及びヨウ化物から適切に選択され得る。
擬ハロゲン化物の例はシアン化物、チオシアネート(SCN)、シアネート(OCN)、イソシアネート(NCO)及びイソチオシアネート(NCS)、イソセレノシアネート(NCSe)である。
[N(R)-Ar]配位子Xの例としては、NHPh及びNPh(ここで、Phはフェニル、NH(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)及びカルバゾレートである)が挙げられる。[O-Ar]配位子Xの例としては、OPh(ここで、Phはフェニル、O-(2,6-ジフルオロフェニル)、O-(2-tertブチル-5-メチルフェニル)及びO-(3,5-ジ-tertブチルフェニル)である)が挙げられる。好適な[S-Ar]配位子Xの一例は、SPh(ここで、Phはフェニルである)である。
下記実施例において、Czはカルバゾレートを指し、DTBCzは3,6-ジ-ブチルカルバゾレートを指す。
配位子Xとして使用されるアルコキシドの例としては、1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
配位子Xとして使用されるアリールオキシドの例としては、フェノレート、2-メチルフェノレート、2-tertブチル-5-メチルフェノレート、2,6-ジメチルフェノレート、3,5-ジメチルフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノレート、2-クロロフェノレート、2,6-ジクロロフェノレート、2,6-ジフルオロフェノレート、2,6-ジブロモフェノレート、2,6-ジヨードフェノレート、4-フルオロフェノレート、4-トリフルオロメチルフェノレート、1-ナフトレート、2-ナフトレート等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、アリールオキシド配位子はカルバゾリル、(N-アルキル)カルバゾリル又は(N-アリール)カルバゾリル置換基の1つ以上によって置換されていてもよく、各カルバゾリル部分はprim-、sec-若しくはtert-アルキル置換基の1つ以上、又はそれらの任意の組合せを保有し得る。
配位子Xとして使用されるチオレートの例としては、1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖チオレートが挙げられるが、これらに限定されない。
配位子Xとして使用されるチオフェノレートの例としては、チオフェノレート、2-メチルチオフェノレート、2-tertブチル-5-メチルチオフェノレート、2,6-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルチオフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)チオフェノレート、2-クロロチオフェノレート、2,6-ジクロロチオフェノレート、2,6-ジフルオロチオフェノレート、2,6-ジブロモチオフェノレート、2,6-ジヨードチオフェノレート、4-フルオロチオフェノレート、4-トリフルオロメチルチオフェノレート、1-チオナフトレート、2-チオナフトレート等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、チオフェノレート配位子はカルバゾリル、(N-アルキル)カルバゾリル又は(N-アリール)カルバゾリル置換基の1つ以上によって置換されていてもよく、各カルバゾリル部分は1つ以上のprim-、sec-若しくはtert-アルキル置換基、又はそれらの任意の組合せを保有し得る。
XがRCOOによって表されるカルボキシレート基又はRCSOによって表されるチオカルボキシレート基である場合、これらの表現における基Rは例えばアルキル、アル
ケニル、アリール及びヘテロアリールから選ばれ得る。
XがR1’2’3’PNによって表されるホスフィンイミネートである場合、この表現におけるR1’、R2’及びR3’は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール置換基から選ばれ得る。例えばR1’、R2’、R3’=1個~20個のC原子を有するアルキル又は分岐アルキルであり、好ましくはR1’=R2’=R3’=tert-ブチルである。
本発明の別の実施形態では、XはR1’’2’’CN(ここで、R1’’及びR2’’は独立して1つ以上のアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれ得る)によって表されるケチミネートであり得る。
別の実施形態では、Xは[(R1’’’2’’’N)C(NR3’’’)(NR4’’’)](ここで、R1’’’、R2’’’、R3’’’及びR4’’’は独立して1つ以上のアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる)によって表されるグアニジネートであり得る。
本発明の別の好ましい実施形態では、配位子Xは、窒素原子Nがアミドアニオン性窒素である以下の一般式を有する任意に置換されたアミド基である:
Figure 0007306615000013
Figure 0007306615000014
又は
Figure 0007306615000015
(式中、
Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよく、
Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である)。
かかる任意に置換されたアミド基の実施形態では、配位子Xはジアリールアミド又はカルバゾレートアニオンであり得る。ジアリールアミドアニオン中のアリール基又はカルバゾレートアニオン中の芳香環は各々任意に置換されていてもよい。ジアリールアミドアニオンは例えば、フェニル基が1つ以上の置換基によって各々任意に置換されたジフェニルアミドアニオン(NPh )であり得るが、その存在、数、位置及び/又は同一性は2つのフェニル基で同じであっても又は異なっていてもよい。置換基(複数の場合もある)は存在する場合、下記の「任意に置換された」という表現の論考において提示される基から適切に選択される。好ましいジアリールアミド配位子Xの一例は、ジフェニルアミドア
ニオンである。カルバゾレートアニオンは例えば、芳香環が1つ以上の置換基によって各々任意に置換されたカルバゾレートアニオンであり得るが、その存在、数、位置及び/又は同一性は2つの芳香環で同じであっても又は異なっていてもよい。置換基(複数の場合もある)は存在する場合、下記の「任意に置換された」という表現の論考において提示される基から適切に選択される。好ましいカルバゾレート配位子Xの例は、カルバゾレートアニオン及び3,6-ジ-tブチル-カルバゾレートアニオンである。
Rn、Rm及びRkの定義における置換基、並びに上記に言及されるジアリールアミド及びカルバゾレートアニオンの置換基は例えば、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル(各々が任意に置換され得る(例えば、ハロアルキル(例えば、1個以上のフッ素原子を含有するフルオロアルキル、例えばペルフルオロアルキル)、ハロアルケニル(例えば、1個以上のフッ素原子を含有するフルオロアルケニル、例えばペルフルオロアルケニル)、ハロアリール(例えば、1個以上のフッ素原子を含有するフルオロアリール、例えばペルフルオロアリール)を含む置換形態))、NMe、NO、SOH及びCOOHの群から選択され得る。
上述の好ましい実施形態による配位子Xの特定の一例は、以下の一般式:
Figure 0007306615000016
(式中、n及びmは独立して1~4の数であり、例えばn=mであり、Rn及びRmは独立してフルオロアルキル、フルオロアルケニル及びフルオロアリールから選択され、例えばRnはRmと同じである)を有する置換アミド基である。一例では、Rn及びRmは互いに同じであり、ペルフルオロアルキルである。
本発明の式Iの定義のパートBの錯体において、Xは、式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000017
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000018
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子である。
上記に本発明の式Iの定義のパートAに関して記載されるモノアニオン性有機アミド配位子等のような、この定義による任意のモノアニオン性有機アミド配位子Xが存在していてもよい。
本発明の第2の態様において使用される式Iaの錯体の例としては、Xが式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000019
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000020
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子であるもの、より好ましくはMが銅又は金であり、Xが式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000021
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000022
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子であるようなものが挙げられる。
本明細書で使用される「有機基」という表現は、少なくとも他の原子に共有結合した炭素を含有する基を指す。式I又は式Iaの錯体中のXが式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000023
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000024
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子である場合、有機基は好ましくは少なくとも炭素及び水素を含有する有機基であり得る。かかる有機基は、例えばB、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子、及び/又は例えばCl、F及びIから選択される1つ以上のハロゲン原子を任意に含有し得る。
本発明の第2の態様において使用される式Iaの錯体の一実施形態では、
Mは銅であり、
Lは、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
Xは、式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000025
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000026
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子である。
本発明の第2の態様において使用される式Iaの錯体の別の実施形態では、
Mは金であり、
Lは、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
Xは、式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000027
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000028
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子である。
「任意に置換された」、「アルコキシド」、「アリールオキシド」、「アミド」、「チオレート」、「ホスフィンイミネート」、「ケチミネート」、「グアニジネート」、「アルキル」、「アルケニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」及び「アルキニル」という表現のより詳細な論考については下記を参照されたい。
アルキル
「アルキル」は脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は直鎖状又は分岐状であり得る。「分岐状」は、少なくとも1つの炭素分岐点が基に存在することを意味する。
アルキル基は1個~20個の炭素原子、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個の炭素原子を適切に含有し得る。
例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、2-メチル-ブタ-1-イル、2-メチル-ブタ-3-イル、2-メチル-ペンタ-1-イル、2-メチルペンタ-3-イルが挙げられる。
アルキル基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
「アルコキシ」、「アルコキシド」及び「アルキリデン」等の派生語は、相応に理解されるものとする。
シクロアルキル
「シクロアルキル」は環式非芳香族炭化水素基を意味する。シクロアルキル基は非芳香族不飽和を含み得る。シクロアルキル基は単環式であっても又は多環式であってもよく、多環式シクロアルキル基は縮合環、スピロ、ケージ又はそれらの組合せであり得る。
シクロアルキル基は3個~20個の炭素原子、例えば3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個の炭素原子を有するのが好ましい。
例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ノルボルニル、アダマンチルが挙げられる。
シクロアルキル基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
「シクロアルキリデン」等の派生語は相応に理解されるものとする。
アルケニル
「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有する不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルケニル基は直鎖状であっても又は分岐状であってもよい。「分岐状」は、少なくとも1つの炭素分岐点が基に存在することを意味する。
任意の二重結合は、基の任意の他の二重結合とは独立して、(E)配置であっても又は(Z)配置であってもよい。
アルケニル基は、2個~20個の炭素原子、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルケニル基であるのが好ましい。
例示的なアルケニル基としては、エテニル、n-プロペニル、i-プロペニル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-3-エン-1-イル、ペンタ-1-エン-1-イル、ペンタ-2-エン-1-イル、ペンタ-3-エン-1-イル、ペンタ-4-エン-1-イル、ペンタ-1-エン-2-イル、ペンタ-2-エン-2-イル、ペンタ-3-エン-2-イル、ペンタ-4-エン-2-イル、ペンタ-1-エン-3-イル、ペンタ-2-エン-3-イル、ペンタジエン-1-イル、ペンタジエン-2-イル、ペンタジエン-3-イルが挙げられる。代替的な(E)形態及び(Z)形態が可能な場合、各々が個別に特定されるとみなされる。
アルケニル基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
アルキニル
「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有する不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキニル基は直鎖状であっても又は分岐状であってもよい。「分岐状」は、少なくとも1つの炭素分岐点が基に存在することを意味する。
アルキニル基は、2個~20個の炭素原子、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキニル基であるのが好ましい。
例示的なアルキニル基としては、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルが挙げられる。
アルキニル基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
アリール
「アリール」は、好ましくは最大約20個の炭素原子、例えば6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個の炭素原子を有する任意の芳香族基を意味する。アリール基は1つ、2つ又はそれ以上の環を含み得る。2つ以上の環が存在する場合、それらは所望に応じて縮合していてもよい。
アリール基は1つ以上のフェニル環を含むのが好ましい。
例示的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニルが挙げられる。
アリール基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
ヘテロアリール
「ヘテロアリール」は炭素原子、並びに好ましくは独立して窒素、酸素、リン、ケイ素及び硫黄からなる群から選択される1個以上の環ヘテロ原子、例えば1個、2個、3個、4個、5個又は6個のヘテロ原子を含む任意の芳香族単環式、二環式又は三環式環を意味する。ヘテロアリール基は5個~20個の環原子、例えば5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個の環原子を含有する環系を有するのが好ましい。2つ以上の環が存在する場合、それらは所望に応じて縮合していてもよい。
例示的なヘテロアリール基としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、インドール、プリン、カルバゾール、ベンズインドール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アザカルバゾール、アザベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンが挙げられる。
ヘテロアリール基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
ヒドロカルビル基
「ヒドロカルビル基」は、炭素原子及び水素原子のみからなる任意の基を意味するが、
但し、そのように指定される場合、下記で論考するように1個以上のヘテロ原子を任意に含有していても及び/又は任意に置換されていてもよい。ヒドロカルビル基は環式、直鎖状又は分岐状であり、飽和、不飽和又は芳香族であり得る。環式ヒドロカルビル基は単環式であっても又は多環式であってもよく、多環式ヒドロカルビル基は縮合環、スピロ、ケージ又はそれらの組合せを含み得る。
ヒドロカルビル基は、独立して窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子、例えば1個、2個、3個、4個、5個又は6個のヘテロ原子を任意に含有し得る。
ヒドロカルビル基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
アリールオキシド
「アリールオキシド」という用語は、O結合型アリール基又は対応するアリール-OH化合物のアニオン形態を意味する。
アリールオキシド化合物の例としては、フェノレート、2-メチルフェノレート、2-t-ブチル-5-メチルフェノレート、2,6-ジメチルフェノレート、3,5-ジメチルフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノレート、2-クロロフェノレート、2,6-ジクロロフェノレート、2,6-ジフルオロフェノレート、2,6-ジブロモフェノレート、2,6-ジヨードフェノレート、4-フルオロフェノレート、4-トリフルオロメチルフェノレート、1-ナフトレート、2-ナフトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
アミド
「アミド」という用語は、例えば[NRR’]アニオン(ここで、R及びR’は独立して上記の水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル又はヘテロシクロアルキル基であり得る)を指す。基R及びR’は例えば、互いに連結していてもよい。
アミド基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
「アミド」という用語としては例えば、窒素原子Nがアミドアニオン性窒素である以下の一般式:
Figure 0007306615000029
Figure 0007306615000030
又は
Figure 0007306615000031
(式中、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよく、
Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である)を有する任意に置換されたアミド基が挙げられる。
かかる任意に置換されたアミド基の実施形態では、配位子Xはジアリールアミド又はカルバゾレートアニオンであり得る。ジアリールアミドアニオン中のアリール基又はカルバゾレートアニオン中の芳香環は各々任意に置換されていてもよい。ジアリールアミドアニオンは例えば、フェニル基が1つ以上の置換基によって各々任意に置換されたジフェニルアミドアニオン(NPh )であり得るが、その存在、数、位置及び/又は同一性は2つのフェニル基で同じであっても又は異なっていてもよい。置換基(複数の場合もある)は存在する場合、下記の「任意に置換された」という表現の論考において提示される基から適切に選択される。好ましいジアリールアミド配位子Xの一例は、ジフェニルアミドアニオンである。カルバゾレートアニオンは例えば、芳香環が1つ以上の置換基によって各々任意に置換されたカルバゾレートアニオンであり得るが、その存在、数、位置及び/又は同一性は2つの芳香環で同じであっても又は異なっていてもよい。置換基(複数の場合もある)は存在する場合、下記の「任意に置換された」という表現の論考において提示される基から適切に選択される。好ましいカルバゾレート配位子Xの例は、カルバゾレートアニオン及び3,6-ジ-tブチル-カルバゾレートアニオンである。
Rn、Rm及びRkの定義における置換基、並びに上記に言及されるジアリールアミド及びカルバゾレートアニオンの置換基は例えば、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル(各々が任意に置換され得る(例えば、ハロアルキル(例えば、1個以上のフッ素原子を含有するフルオロアルキル、例えばペルフルオロアルキル)、ハロアルケニル(例えば、1個以上のフッ素原子を含有するフルオロアルケニル、例えばペルフルオロアルケニル)、ハロアリール(例えば、1個以上のフッ素原子を含有するフルオロアリール、例えばペルフルオロアリール)を含む置換形態))、NMe、NO、SOH及びCOOHの群から選択され得る。
上述のアミド基の特定の一例は、以下の一般式:
Figure 0007306615000032
(式中、n及びmは独立して1~4の数であり、例えばn=mであり、Rn及びRmは独立してフルオロアルキル、フルオロアルケニル及びフルオロアリールから選択され、例えばRnはRmと同じである)を有する置換アミド基である。一例では、Rn及びRmは互いに同じであり、ペルフルオロアルキルである。
チオフェニレート
「チオフェニレート」という用語はアリールチオレートを指す。
チオフェニレート基のアリール部分は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
チオフェニレート化合物の例としては、チオフェノレート、2-メチルチオフェノレート、2-t-ブチル-5-メチルチオフェノレート、2,6-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルチオフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)チオフェノレート、2-クロロチオフェノレート、2,6-ジクロロチオフェノレート、2,6-ジフルオロチオフェノレート、2,6-ジブロモチオフェノレート、2,6-ジヨードチオフェノレート、4-フルオロチオフェノレート、4-トリフルオロメチルチオフェノレート、1-チオナフトレート、2-チオナフトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
ホスフィンイミネート
「ホスフィンイミネート」という用語は、[RPN]部分(ここでR、R及びRは独立して、好ましくはSi、P、O、S又はNから選択されるヘテロ原子を任意に含有する有機基から選ばれる)を含有する化合物のアニオン形態を指す。有機基はアルキル、アルケニル、アリール又はヘテロアリール基から適切に選択され得る。
ホスフィンイミネート基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
ケチミネート
「ケチミネート」という用語は、[RC=N]部分(ここでR及びRは独立して、好ましくはSi、P、O、S又はNから選択されるヘテロ原子を任意に含有する有機基から選ばれる)を含有する化合物のアニオン形態を指す。有機基はアルキル、アルケニル、アリール又はヘテロアリール基から適切に選択され得る。
ケチミネート基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
グアニジネート
「グアニジネート」という用語は、式(RN)C(NR)(NR)、すなわち[(RN)C(NR)(NR)](ここでR、R、R及びRは独立して、好ましくはSi、P、O、S又はNから選択されるヘテロ原子を任意に含有する有機基から選ばれる)の化合物のアニオン形態を指す。有機基はアルキル、アルケニル、アリール又はヘテロアリール基から適切に選択され得る。
グアニジネート基は、例えば下記に例示するように任意に置換されていてもよい。
任意に置換された
任意の基に適用される「任意に置換された」は、該基が所望に応じて、同じであっても又は異なっていてもよい1つ以上の置換基、好ましくは置換される親基に対して小さなサイズ(例えば、最大分子寸法の約20%未満)を個別に有する1つ以上の置換基で置換されていてもよいことを意味する。
基は、その化合物の定義の範囲外となるその種の基がそれにより形成される場合に、それ自体の種の置換基とすることはできない(例えば、アルキル基は、過度に多くの炭素原子を有するアルキル基が生じるように、別のアルキル基の置換基とすることはできない)。好適な置換基の例としては、ハロ(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C2~20シクロアルキル、ヒドロキシ、チオール、C1~20アルコキシ、C2~20アルケニルオキシ、C2~20アルキニルオキシ、アミノ、ニトロ、C1~20アルキルアミノ、C2~20アルケニルアミノ、ジ-C1~20アルキルアミノ、C1~20アシルアミノ、ジ-C1~20アシルアミノ、C6~20アリール、C6~20ヘテロアリール、C6~20アリールアミノ、ジ-C6~20アリールアミノ、C6~20アロイルアミノ、ジ-C6~20アロイルアミノ、C6~20アリールアミド、カルボキシ、C1~20アルコキシカルボニル若しくは(C6~20ar)(C1~20アルコキシ)カルボニル、カルバモイル、スルホキシ(例えばスルホキシド、スルホン、スルホニル、スルホ)、又はヒドロカルビル部分自体がハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルバモイル若しくはカルボキシによって置換された上記のもののいずれかが挙げられる。好適な置換基の例としては、ハロ(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C2~20シクロアルキル、ヒドロキシ、チオール、C1~20アルコキシ、C2~20アルケニルオキシ、C2~20アルキニルオキシ、アミノ、ニトロ、C1~20アルキルアミノ、C2~20アルケニルアミノ、ジ-C1~20アルキルアミノ、C1~20アシルアミノ、ジ-C1~20アシルアミノ、C6~20アリール、C6~20ヘテロアリール、C6~20アリールアミノ、ジ-C6~20アリールアミノ、C6~20アロイルアミノ、ジ-C6~20アロイルアミノ、C6~20アリールアミド、カルボキシ、C1~20アルコキシカルボニル若しくは(C6~20ar)(C1~20アルコキシ)カルボニル、カルバモイル、又はヒドロカルビル部分自体がハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルバモイル若しくはカルボキシによって置換された上記のもののいずれかが挙げられる。
「アシル」はH-CO-又はC1~20アルキル-CO-基を意味し、ここでアルキル基は下記に規定する通りである。好ましいアシルはアルキルを含有する。例示的なアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2-メチルプロパノイル及びブタノイルが挙げられる。
例示的な置換アルキル基としては、フェニルメチル、ナフチルメチル、ジフェニルメチル、フェニルエチル、ナフチルエチル、ジフェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルプロピル、ジフェニルプロピル等のモノ又はポリアリール置換アルキル基が挙げられる。
例示的な置換シクロアルキル基としては、1-メチルシクロプロピル、1-メチルシクロブチル、1-メチルシクロペンチル、1-メチルシクロヘキシル、2-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロブチル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロヘキシル等のモノ又はポリアルキル置換シクロアルキル基が挙げられる。
例示的な置換アリール基としては、任意の置換位置又は位置の組合せで、C1~20アルコキシフェニル、例えばメトキシフェニル、ヒドロキシフェニル、(C1~20アルコキシ)(ヒドロキシ)フェニル、例えばメトキシ-ヒドロキシフェニル、C1~20アルキルフェニル、例えばメチルフェニル、(C1~20アルキル)(ヒドロキシ)フェニル、例えばメチル-ヒドロキシフェニル、モノハロフェニル、例えばモノフルオロフェニル又はモノクロロフェニル、ジハロフェニル、例えばジクロロフェニル又はクロロフルオロフェニル、カルボキシフェニル、C1~20アルコキシカルボニルフェニル、例えばメトキシカルボニルフェニルが挙げられる。
式Iaの錯体
式の定義における差異の範囲内で、式Iaの錯体は式Iの錯体と同じ例、実施形態及び選好を有するが、但し、AdLが、
Figure 0007306615000033
であり、TfがCF-SO-である化合物AdL-Au-NTfは式Iaの錯体から除外される。
錯体の例
式の定義における差異の範囲内で、本発明の式Iの定義のパートAの錯体についてのCAAC及びモノアニオン性有機アミド配位子Xに関して本明細書で述べられる例及び選好
は、他に具体的な記述がない限り、本発明の式Iの定義のパートBの錯体に等しく当てはまる。
本発明による式I又は式Iaの錯体の例は、下記である:
Figure 0007306615000034
Figure 0007306615000035
Figure 0007306615000036
Figure 0007306615000037
(M=Au又はCu)
錯体8A、8B、8C及び8Dにおいて、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよく、Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である。
言及され得る錯体8A、8B及び8Cの特定の例としては、下記が挙げられる:
錯体8A(a)、EがN-CHであり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
錯体8A(b)(=6Me(M=Au))、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
錯体8A(c)、Eが-CH-CH-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
錯体8A(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
錯体8A(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NOである錯体8Aの実施形態;
錯体8B(a)、EがN-CHであり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
錯体8B(b)(=6Et(M=Au))、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
錯体8B(c)、Eが-CH-CH-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
錯体8B(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
錯体8B(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NOである錯体8Bの実施形態;
錯体8C(a)、EがN-CHであり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
錯体8C(b)(=6Ad(M=Au))、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
錯体8C(c)、Eが-CH-CH-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
錯体8C(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
錯体8C(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NOである錯体8Cの実施形態。
本発明による式I及び式Iaの錯体の更なる例としては、下記が挙げられる:
錯体S1=錯体2Ad、ヨウ化物類似体(すなわち、X=I);
錯体S2=錯体2Ad、チオシアネート類似体(すなわち、X=SCN);
錯体S3=錯体2Ad、シアノ類似体(すなわち、X=CN);
錯体S4=錯体2Ad、フェニルアセチリド類似体(すなわち、X=フェニルアセチレン);
錯体S5=錯体3Ad、チオフェノール類似体(すなわち、X=SPh);
錯体S6=錯体4Ad、2,6-ジフルオロフェノール類似体(すなわち、X=O-(2,6-ジフルオロフェニル));
錯体S7=錯体4Ad、2-tertブチル-5-メチルフェノール類似体(すなわち、X=O-(2-tertブチル-5-メチルフェニル));
錯体S8=錯体4Ad、3,5-ジ(tertブチル)フェノール類似体(すなわち、X=O-(3,5-ジ(tertブチル)フェニル));
錯体S9=錯体5Ad、カルバゾレート類似体(すなわち、X=カルバゾール);
錯体S10=錯体5Ad、アニリン類似体(すなわち、X=NHPh);
錯体S11=錯体5Ad、3,5-ビス(トリフルオロメチル)アニリン類似体(すなわち、X=NH{3,5-(CFPh});
錯体S12=錯体6Me、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S13=錯体6Et、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S14=錯体6Ad、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S15=錯体7Me、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S16=錯体7Et、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S17=錯体7Ad、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S18=錯体8A、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S19=錯体8B、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S20=錯体8C、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S21=錯体8D、銅類似体(すなわち、M=Cu);
錯体S22~S36=それぞれ、錯体8A(a)~8C(e)の各々の銅類似体;
錯体S37=錯体1Me、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S38=錯体1Et、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S39=錯体1Ad、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S40=錯体2Me、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S41=錯体2Et、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S42=錯体2Ad、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S43=錯体3Me、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S44=錯体3Et、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S45=錯体3Ad、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S46=錯体4Me、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S47=錯体4Et、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S48=錯体4Ad、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S49=錯体5Me、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S50=錯体5Et、金類似体(すなわち、M=Au);
錯体S51=錯体5Ad、金類似体(すなわち、M=Au)。
式I及び式Iaの錯体の例は、
Mが銅、銀及び金、より好ましくは銅及び金から選択され、
Lが式IIIa:
Figure 0007306615000038
(式中、R、R、R及びRがCH基であり、Arが置換フェニル基、例えば2,6-ジアルキル置換フェニル基、例えば2,6-ジイソプロピルフェニル基を表すか、又は、
及びRがメチル基であり、R及びRがエチル基であり、Arが置換フェニル基、例えば2,6-ジアルキル置換フェニル基、例えば2,6-ジイソプロピルフェニル基を表すか、又は、
及びRがメチル基であり、R及びRが共に任意に置換されたシクロアルキリデン(スピロシクロアルキル)基、例えばシクロヘキシリデン(スピロ-シクロヘキシル)を形成し、Arが置換フェニル基、例えば2,6-ジアルキル置換フェニル基、例えば2,6-ジイソプロピルフェニル基を表す)の化合物から選択されるか、又は、
Lが式IIIb:
Figure 0007306615000039
(式中、R及びRはCH基であり、Arは置換フェニル基、例えば2,6-ジアルキル置換フェニル基、例えば2,6-ジイソプロピルフェニル基を表す)のスピロアダマンタン化合物であり、
Xが式:
R’-N-R’’
若しくは
Figure 0007306615000040
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよく、
Figure 0007306615000041
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表す)を有するモノアニオン性有機アミド配位子であり、
好ましくは窒素原子Nがアミドアニオン性窒素である以下の一般式:
Figure 0007306615000042
Figure 0007306615000043
又は
Figure 0007306615000044
(式中、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよい)を有し、
Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、
任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基であり、
好ましくは、Xはジアリールアミドアニオン中のアリール基又はカルバゾレートアニオン中の芳香環が各々任意に置換されていてもよいジアリールアミド又はカルバゾレートアニオン、例えば非置換ジフェニルアミドアニオン(NPh )、又はフェニル基が各々1つ以上の置換基によって置換されたジフェニルアミドアニオン;例えば非置換ジフェニルアミドアニオン;又は非置換カルバゾレートアニオン、又は芳香環が各々1つ以上の置換基によって置換されたカルバゾレート、例えば非置換カルバゾレートアニオン又は3,6-ジ-tブチル-カルバゾレートアニオンであるものである。
発光素子
本発明は、アノード、任意に正孔輸送帯域、カソードとアノードとの間に電流が流れる場合に発光することが可能な発光帯域、及びカソードを順に備える発光素子を提供する。該発光することが可能な発光帯域は、式I又は式Iaの少なくとも1つの錯体を含む。
発光素子は、当該技術分野で既知の技法に従って多層として構成されるのが好ましい。上述の基本的な層配置は当該技術分野で既知の様々な方法、例えば1つ以上の付加的な層又は副層を組み込むこと、また素子を所望の位置及び配向に収容及び支持する導電体及び手段を設けることによって変更され得る。
本発明は、導入されたエネルギーに応じて発光することが可能な発光帯域を備え、該発光することが可能な発光帯域が、RASI光電子放出を示す少なくとも1つの有機金属錯体を含む、発光素子も提供する。
したがって、別の態様では、本発明は、本発明による発光素子に使用される構成要素を作製する方法であって、基板上に有機発光帯域構成要素の層を溶媒中のその溶液から堆積させ、該堆積の前に、それと同時に及び/又はその後に1つ以上の付加的な層、構成要素又はそれらの組合せを基板上に任意に設けることと、任意の溶媒を任意の所望の時点で除去して、発光素子に使用される構成要素を得ることとを含む、方法を提供する。
上記方法の一実施形態では、発光素子に使用される構成要素は、少なくとも発光素子の正孔輸送帯域及び発光帯域を備える。好ましくは、発光素子に使用される構成要素は、アノード、正孔輸送帯域、発光帯域及びカソード、任意に更には電子注入層の層又は部分を含み得る。
好ましい実施形態では、堆積は同時であるか、順次であるか、又は一部の層を同時に堆積させ、一部を順次に堆積させる。
本発明による素子の層は、任意の好適な方法によって堆積させることができる。有機層については、好ましい方法としては、熱蒸発、インクジェット堆積(例えば、米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載される)、有機気相堆積(OVPD)(例えば、米国特許第6,337,102号(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載される)、又は有機蒸気ジェット印刷(OVJP)による堆積が挙げられる。他の好適な堆積法としては、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスが挙げられる。溶液ベースのプロセスは、窒素又は不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。他の層については、好ましい方法としては、熱蒸発が挙げられる。好ましいパターニング方法としては、マスクを介した堆積、米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されるような冷間圧接、並びにインクジェット及びOVJD等の一部の堆積法と関連したパターニングが挙げられる。他の方法を用いてもよい。
堆積させる材料は、特定の堆積法に適合するように選択することができる。例えば、分岐状又は非分岐状の、好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基を、溶液処理を受けるそれらの能力を高めるために小分子中に使用してもよい。20個以上の炭素原子を有する置換基を使用してもよく、3個~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は、非対称材料の再結晶化の傾向がより低い場合があるため、対称構造を有するものよりも良好な溶液処理性を有し得る。溶液処理を受ける小分子の能力を高めるために、デンドリマー置換基を使用してもよい。
発光素子の製造における堆積のために本発明の錯体を溶解又は懸濁することができる溶媒の例としては、ハロゲン化アルカン(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はトリクロロエタン);芳香族溶媒(例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン又はジクロロベンゼン);エーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はメチル化テトラヒドロフラン);ケトン(例えば、アセトン又はメチルエチルケトン);アルコール(例えば、メタノール又は高級アルコール);アセトニトリル;ニトロメタン;ニトロベンゼン;エステル(例えば、酢酸エチル);又はそれらの1つ以上の任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明による発光素子の例としては、有機発光ダイオード(OLED)、有機フォトトランジスタ、有機光電池及び有機光検出器が挙げられる。OLEDは、例えばフラットパネルディスプレー、照明及びバックライトについて関心が持たれている。OLEDの配置及び構成の例は米国特許第5,844,363号、同第6,303,238号及び同第5,707,745号(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に挙げられている。
本発明による発光素子はフラットパネルディスプレー、コンピュータ用モニター、テレビ、ビルボード、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号の光源、ヘッドアップディスプレー、完全透明ディスプレー、フレキシブルディスプレー、レーザープリンター、電話、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレー、車両、大面積壁面、映画館若しくはスタジアム用のスクリーン、又は標識を含むが、これらに限定されない広範な消費者製品に組み込むことができる。画素制御システム及び技術を、ビューアーに提示される画像を制御するために本発明の素子と共に既知の方法で用いることができる。かかる画素制御システムとしては、パッシブマトリックス及びアクティブマトリックス技術が挙げられるが、これらに限定されない。
錯体の調製
本発明の錯体は、例えば溶液処理によって作製することができる。
本発明は、錯体を作製する方法であって、式II:
M-X (II)
の化合物とCAAC化合物Lとを溶媒中で接触させると共に、式I又は式Iaの錯体を回収することを含む、方法を提供する。
式IIの化合物中のM及びXは各々、式I又は式Iaの錯体について本明細書に記載されるものと同じ例示及び選好を有する。したがって、式IIの化合物中のXの選好の1つはハロゲン化物である。式IIの化合物の好適な例は塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ
化銅(I)、塩化銀、臭化銀及びヨウ化銀である。式IIの化合物中のM及びXの選好及び例示の詳細については、調製された特定の錯体の下記実施例を含む上記及び下記の説明を参照されたい。
試薬の接触は無水条件中、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)下で適切に行われる。錯化溶媒は、ハロゲン化アルカン(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はトリクロロエタン);芳香族溶媒(例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン又はジクロロベンゼン);エーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はメチル化テトラヒドロフラン);ケトン(例えば、アセトン又はメチルエチルケトン);アルコール(例えば、メタノール又は高級アルコール);アセトニトリル;ニトロメタン;ニトロベンゼン;エステル(例えば、酢酸エチル);及びそれらの1つ以上の任意の組合せから適切に選択することができる。
溶媒からの錯体の回収は溶媒の蒸発、又は適切な逆溶媒(countersolvent)、例えばアルカン(例えば、ヘキサン又は石油エーテル(light petroleum ether))の使用によっ
て適切に達成することができる。回収された錯体を適切に真空下で乾燥させ、乾燥材料を回収することができる。
CAAC出発物質Lは、当該技術分野で既知の方法によって容易に調製することができる。例えば、以下の一般的合成経路及びその変法が国際公開第2006/138166号(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている:
Figure 0007306615000045
(Ar=アリール;LDA=リチウムジ-イソプロピルアミド;TfOTf=トリフルオロメタンスルホン酸無水物)。
代替的な合成経路が、米国特許出願公開第2010/0113791号(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に公開されている。本発明に使用される配位子Lは、この代替的な経路によりアミンR-NH(ここで、RはLについて規定される通りである)から出発して調製することができる。
CAAC調製法に関する更なる情報は、M. Soleilhavoup and G. Bertrand: "Cyclic (Alkyl)(Amino)Carbenes (CAACs): Stable Carbenes on the Rise", Accounts of Chemical Research 2015, 48, 256-266、及びO. Back, M. Henry-Ellinger, C. D. Martin, D. Martin, and G. Bertrand: "31P NMR Chemical Shifts of Carbene-Phosphinidene Adducts as an Indicator of the π-Accepting Properties of Carbenes", Angew. Chem. Int.
Ed. 2013, 52, 2939-2943に見ることができる。これらの刊行物の内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
本発明に使用されるCAACを得るための公開されている経路の適用は、十分読者の技能の範囲内である。カルベンの更なる構造及び特性は例えば、D. J. Nelson and S. P. Nolan in Chemical Society Reviews 2013, vol. 42, p. 6723-6753(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
Mが銅であり、Xが任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアリールオキシド又は任意に置換されたアリールアミドである場合、式I又は式Iaの化合物は、式Ib:
L-Cu-X’ (Ib)
(式中、Lは式Iについて規定される通りであり、X’はCl、OH又はOBuである)のCAAC化合物と式V:
X-H (V)
(式中、Xは任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアリールオキシド又は任意に置換されたアリールアミドである)の化合物とを溶媒中で接触させると共に、式I又は式Iaの錯体を回収することを含む方法によって調製することができる。
Mが金である場合、本発明は、錯体を作製する更なる方法であって、式Ic:
L-Au-X’ (Ic)
(式中、Lは式I又は式Iaについて規定される通りであり、X’はCl又はOH又はOBuである)のCAAC化合物と式Va:
X-H (Va)
(式中、Xは式:
R’-N-R’’
又は
Figure 0007306615000046
(式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよいが、但しR及びR’’の少なくとも一方がアリールであり、
Figure 0007306615000047
は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表すが、但し環式有機基は式Vaの化合物が任意に置換されたアリールアミドであるようなものである)を有する任意に置換されたアリールアミドである)の化合物とを溶媒中で接触させると共に、式I又は式Iaの錯体を回収することを含む、方法を提供する。
式Ib又は式Icの化合物と式V又は式Vaの化合物とを接触させる方法は例えば、任意にナトリウムtert-ブトキシドを含有する乾燥テトラヒドロフラン中において不活性雰囲気、例えばアルゴン雰囲気下で行うことができる。混合物を例えば遠心分離し、生成物を含有する溶液を分離することができる。
論考
既知のNHCとの対比
比較のみを目的として、下記式VIは、不飽和環系中に2個の窒素原子を含有するイミダゾール又はイミダゾリジン環をベースとする、最も一般的なタイプの従来技術のN-複素環式カルベン(NHC)化合物を示す:
Figure 0007306615000048
(式中、R、R、R及びRはこれらの分子における従来技術により既知の可変基である)。
上述の式VIのような既知のNHCは、金属錯体に対する配位子の大きな重要な種類を形成する。一般に強く電子供与性とみなされるが、異なるタイプのカルベン配位子はそれらの電子的特性が大きく異なる。カルベンの構造、電子的特性及び立体的特性、並びに金属中心へのそれらの配位が幾つかの文献概説に要約されている。例えば、F. E. Hahn, M.
C. Jahnke: "Heterocyclic Carbenes - Synthesis and Coordination Chemistry", Angewandte Chemie International Edition 2008, 47, 3122-3172、M. N. Hopkinson, C. Richter, M. Schedler, F. Glorius: "An Overview of N-Heterocyclic Carbenes", Nature 2014, 510, 485-496、G. Ciancaleoni et al.: "When the Tolman Electronic Parameter fails: a comparative DFT charge displacement study of [(L)Ni(CO)3]0/-and [(L)Au(CO)3]0/-", Inorganic Chemistry 2014, 53, 9907-9916、及びD. J. Nelson, S. P. Nolan: "Quantifying and understanding the electronic properties of N-heterocyclic carbenes", Chemical Society Reviews 2013, 42, 6723-6753を参照されたい。これらの刊行物の内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
更なる例として、金属中心を極めて接近して保持する2つの連結したイミダゾール型NHC配位子に各金属中心が配位したジカチオン性二核銅錯体が、中程度の量子収率でフォトルミネセンス挙動を示すことが報告されている(K. Matsumoto et al., Dalton Transactions 2009, 6795-6801;引用することにより本明細書の一部をなす)。しかしながら、OLEDを構築する目的では荷電錯体は望ましくなく、接続したビス(カルベン)配位子は望ましくないレベルの合成の複雑さを伴う。金属中心1つ当たりに1つのNHC配位子を含む三配位銅錯体も光電子放出性であることが既知であり、例えば米国特許出願公開第2014/125221号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に詳細に記載されている。
本発明における錯体は、配位数2を有し、カルベン種が1つの環窒素原子のみを含有し、1つのカルベン種のみが存在するという点で、これらの従来の既知のNHC-銅錯体とは異なる。
さらに、上記に論考されるように、本発明の錯体はRASI光電子放出により発光する能力を有し、高量子効率の発光素子の可能性をもたらす。
本発明の錯体
式I及び式Iaの錯体は或る特定の予期せぬ特性をもたらす。
式VIのカルベンのタイプのハロゲン化銅錯体は、式VIのカルベン配位子が生成するイミダゾリウム塩自体が発光性であるか、又はルミネセンス置換基を保有しない限り、フォトルミネセンス挙動を示さない。対照的に、式IIIa及び式IIIbのカルベンのイミニウム塩前駆体は発光性でない。式IIIa及び式IIIbのカルベンは強い電子供与を特徴とする(これらのカルベン配位子の結合特徴の論考については、M. Soleilhavoup and G. Bertrand: "Cyclic (Alkyl)(Amino)Carbenes (CAACs): Stable Carbenes on the Rise", Accounts of Chemical Research 2015, 48, 256-266、及びO. Back, M. Henry-Ellinger, C. D. Martin, D. Martin, and G. Bertrand: "31P NMR Chemical Shifts of Carbene-Phosphinidene Adducts as an Indicator of the π-Accepting Properties of Carbenes", Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 2939-2943を参照されたい)。同じことがより大きな環を有する式IIIのカルベンにも当てはまる。
加えて、カルベン中心(例えば、gを1と仮定して、式III中の炭素中心G)に隣接するCAAC環炭素原子上の置換基は立体障害をもたらす。立体障害は、嵩高いN-置換基Rを使用することで更に増大する。これは特に式IIIbのカルベン及びその同族体に当てはまる。本明細書に記載されるように、立体効果を更に顕著とするために更なる置換基を所望に応じて導入することができる。
強い電子供与により金属原子M、例えば銅上のd軌道のエネルギーが上昇する。何ら理論に束縛されることを望むものではないが、この金属のd電子のエネルギーの増大により、励起過程中の金属から配位子への電荷移動が促進されると仮定される。カルベンC原子は空のp軌道を有し、電子受容体として働くことができる。例えば特許文献14(その内容が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されるように、銅錯体においては、励起S一重項及びT三重項状態はエネルギー的に近く、これら2つの状態の間で熱平衡が確立される可能性がある。S状態の集団により、電子スピンが変化することなく励起錯体がS基底状態へと戻ることが可能となる(量子論によって許容される)が、三重項状態からの緩和はスピン禁制であり得る。S状態からの放出経路を可能にすることによる100%に近い値までの銅錯体の量子収率の増大とは別に、この励起緩和機構は更に励起状態の寿命をおよそ20マイクロ秒以下の値まで低減し、これは効率的なOLED素子に不可欠である。三重項状態からの相対緩和は一方でリン光を特徴とし、励起状態寿命はおよそ100マイクロ秒以上である。
又はT状態からの放出経路は、例えば本明細書に記載のRASI光電子放出経路を含み得る。
従来技術のCu(I)ホスフィンハロゲン化物とは異なり、本発明の錯体では二量体又はオリゴマー集合を形成するハロゲン化物架橋は見られない。この理由から、本発明による錯体は有機溶媒中で良好な溶解性をもたらす。有機溶媒は印刷OLED素子の構築中に使用され、例えば発光性錯体の適切な溶解性がそれらの組込みに重要である。
本発明の錯体により、例えば約75%以上、例えば約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上又は約98%以上の非常に高い内部量子効率を潜在的に有する材料が可能となる。
実施例1. (AdCAAC)CuClの合成
シュレンクフラスコ内のAdCAAC(1.58g、4.2mmol)に、乾燥窒素雰囲気下で0.42g(4.2mmol)のCuClを添加した。混合物を20mLの乾燥THFに溶解し、一晩撹拌した。溶媒を除去し、残渣をCHClに溶解し、短シリカパッド(1cm)を通して濾過した。濾液を濃縮し、ヘキサンを添加して銅錯体を沈殿させた。溶媒をデカントし、残渣を真空中で乾燥させた。収量:1.86g(3.9mmol、93%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.46(t,J=7.2Hz,1H,芳香CH)、7.30(d,J=7.2Hz,2H,芳香CH)3.52(d,J=11.4Hz,2H,CH)2.81(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH
)2.23-1.78(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.33(s,6H,C(C )、1.30(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )1.29(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl):δ253.0(Cカルベン)、145.4(o-C)、135.8(イプソ-C)、129.9(p-CH)、125.1(m-CH)、78.9(C)、64.9(C)、48.1(CH)、38.9(CH)、37.5(CH)、36.2(CH)、34.5(CH)、29.54(CH)、29.40、28.4、27.6、27.0、22.6(CH)。算出値C2739NCuCl(476.60):C,68.04;H,8.25;N,2.94。実測値:C,67.91;H,8.35;N,3.07。
実施例2. (AdCAAC)CuBrの合成
実施例1に記載のように217mg(0.58mmol)のAdCAAC及び82.5mg(0.58mmol)のCuBrから白色の固体として調製した。収量:0.193g(0.37mmol、64%)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.40(t,J=7.2Hz,1H,芳香CH)、7.25(d,J=7.2Hz,2H,芳香CH)、3.57(d,J=12.6Hz,2H,CH)、2.79(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH)、2.22-1.77(m,14H,アダマンチルCH,CH)、1.34(s,6H,CH(C )、1.32(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )、1.29(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl):δ253.3(Cカルベン)、144.9(o-C)、135.2(イプソ-C)、129.8(p-CH)、124.9(m-CH)、78.5(C)、64.8(C)、48.1(CH)、38.7(CH)、37.3(CH)、36.0(CH)、34.4(CH)、29.5(CH)、29.2、27.8、27.23、27.20、22.7(CH)。算出値C2739NCuBr(521.05):C,62.24;H,7.54;N,2.69。実測値:C,62.15;H,7.68;N,2.75。
実施例3. (AdCAAC)CuIの合成
実施例1に記載のように199mg(0.53mmol)のAdCAAC及び100mg(0.53mmol)のCuIから白色の固体として調製した。収量:0.170g(0.30mmol、56%)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.41(t,J=7.5Hz,1H,芳香CH)、7.26(d,J=7.5Hz,2H,芳香CH)、3.59(d,J=12.6Hz,2H,CH)、2.79(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH)、2.23-1.79(m,14H,アダマンチルCH,CH)、1.36(s,6H,C(C )、1.35(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )、1.29(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl):δ254.1(Cカルベン)、145.0(o-C)、135.2(イプソ-C)、129.8(p-CH)、124.9(m-CH)、78.6(C)、65.0(C)、48.2(CH)、38.8(CH)、37.4(CH)、36.0(CH)、34.4(CH)、29.5(CH)、29.2、27.9、27.4、27.2、22.9(CH)。算出値C2739NCuI(568.05):C,57.09;H,6.92;N,2.47。実測値:C,57.50;H,7.09;N,2.68。
実施例1~3の生成物に関する更なるデータ
AdCAAC)CuCl及び(AdCAAC)CuBrの結晶構造を図2に示す。
図3に、固体状態での(AdCAAC)CuX(X=Cl、Br、I)のUV/vis及び発光スペクトルを示す。
図4及び図5に、異なる溶媒(テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、エタノール、ピリジン及びアセトン)中での(AdCAAC)CuClの発光スペクトルを示す。
実施例4. (AdCAAC)CuCNの合成
錯体を、実施例1について記載のようにAdCAAC(0.32g、0.86mmol)及びCuCN(77mg、0.86mmol)から白色の粉末として調製した。収量:0.34g(0.73mmol、86%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.48(t,J=7.5Hz,1H,芳香CH)、7.31(d,J=7.5Hz,2H,芳香CH)、3.24(d,J=12.9Hz,2H,CH)、2.77(sept,J=6.8Hz,2H,C(CH)、2.22-1.79(m,14H,アダマンチルCH,CH)、1.34(s,6H,C(C )、1.31(d,J=6.8Hz,6H,CH(C )、1.26(d,J=6.8Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl)δ254.1(Cカルベン)、145.3(o-C)、135.4(イプソ-C)、130.2(p-CH)、125.2(m-CH)、79.6(C)、65.4(C)、48.1(CH)、38.9(CH)、37.6(CH)、36.6(CH)、34.4(CH)、29.5、29.4、28.5、27.5、27.0、22.6(CH)。IR(ATR,cm-1):2969、2901、2129(C≡N)、1519、1449、1372、1097、934、807、778、730、432。算出値C2839Cu(467.17):C,71.99;H,8.41;N,6.00。実測値:C,69.22;H,9.19;N,5.99。
実施例5. (AdCAAC)CuNCSの合成
錯体を、実施例1について記載のようにAdCAAC(0.30g、0.80mmol)及びCuSCN(96mg、0.80mmol)から白色の粉末として調製した。収量0.34g(0.68mmol、86%)。結晶構造を図6に示す。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.48(t,J=7.5Hz,1H,芳香CH)、7.32(d,J=7.5,2H,芳香CH)、3.29(d,J=13.2Hz,2H,CH)、2.76(sept,J=6.9Hz,2H,C(CH)、2.23-1.79(m,14H,アダマンチルCH,CH,)、1.33(s,6H,C(C )、1.31(d,J=6.9Hz,6H,CH(C )、1.26(d,J=6.9Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl)δ252.4(Cカルベン)、145.2(o-C)、135.7(C,N=C=S)、135.5(イプソ-C)、130.3(p-CH)、125.2(m-CH)、79.4(C)、65.0(C)、48.1(CH)、38.9(CH)、37.5(CH)、36.5(CH)、34.4(CH)、29.5、29.4、28.4、27.5、26.9、22.6(CH)。IR(ATR,cm-1):2973、2891、2081(Cu-N=C)、1524、1458、1367、1095、937、820(S=C)、807、777、432。算出値C2839CuS(499.23):C,67.36;H,7.87;N,5.61。実測値:C,67.22;H,7.99;N,5.70。(AdCAAC)CuNCSのUV/vis及び発光スペクトルを図7に示す。
実施例6. (AdCAAC)Cu(フェニルアセチリド)の合成
(a)(AdCAAC)CuOH
シュレンクフラスコ内のAdCAACCuCl(0.3g、0.63mmol)に、アルゴン下で過剰なKOH(0.35g、6.3mmol)、続いて15mLの乾燥THF及び3滴のBuOHを添加した。混合物を36時間撹拌し、セライトを通してアルゴン雰囲気下で濾過した。セライトパッドを8mLのTHFで洗浄した後、濾液を真空中で濃縮し、蒸留水(10mL)を添加して黄色の沈殿物を得た。全ての揮発性物質を真空中で除去した。生成物を乾燥トルエンに溶解し、セライトを通して濾過し、濃縮し、石油エーテルで沈殿させて黄色の粉末を得た。収量:0.25g(0.55mmol、88%)。
H NMR(300MHz,CBr):δ7.55(t,J=8.1Hz,2H,芳香CH)、7.43(d,J=8.1Hz,2H,芳香CH)、4.21(d,J=12.2Hz,2H,CH)、3.07(sept,J=6.0Hz,2H,C(CH)、2.17-1.89(m,14HアダマンチルCH及びCH)1.71(d,J=6.0Hz,6H,CH(C )、1.51(d,J=6.0Hz,6H,CH(C )、1.35(s,6H,C(CH)、0.15(s,1H,OH)。13C NMR(75MHz,CBr)δ254.4(Cカルベン)、145.0(o-C)、135.8(イプソ-C)、129.6(p-C、残留溶媒シグナルと重複)、124.7(m-C)、77.3(C)、64.3(C)、48.0(CH)、39.0(CH)、37.2(CH)、35.5(CH)、34.4(CH)、29.1、29.0、28.0、27.5、27.0、22.8(CH)。算出値C2840NCuO:(470.17):C,71.53;H,8.57;N,2.98。実測値:C,71.43;H,8.72;N,2.96。
(b)(AdCAAC)Cu(C≡CPh)
乾燥THF中のAdCAACCuOH(60mg、0.13mmol)にフェニルアセチレン(20μL、0.18mmol)を添加した。混合物を一晩撹拌し、蒸発させて淡黄色の固体を得て、これを石油エーテルで洗浄し、真空中で乾燥させた。収量60mg(0.11mmol、85%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.48(t,J=7.2Hz,1H芳香CH)、7.33(d,J=7.2Hz,2H芳香CH)、7.20(brd,J=7.4Hz,2H,芳香o-CH,C)、7.12(brt,J=7.4Hz,2H,芳香m-CH,C)、7.12(brt,J=7.4Hz,1H,芳香p-CH,C)、3.57(d,J=12.6Hz,2H,CH)、2.83(sept,J=6.6Hz,2HC(CH)、2.21-1.79(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.36(d,J=6.6Hz,6HCH(C )、1.32(s,6H,C(CH)、1.31(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl):δ256.0(Cカルベン)、145.4(o-C)、135.5(イプソ-C)、131.7(o-C,C)、129.7(p-CH)、128.0(m-C,C)、127.9(Cu-C,アセチリド)、125.5(p-CH,C)、124.9(m-CH)、121.7(イプソ-C,C)、107.3(C,アセチリド)、78.9(C)、65.6(C)、48.1(CH)、39.0(CH)、37.6(CH)、36.4(CH)、34.5(CH)、29.47(CH)、29.42、28.6、27.6、27.1、22.5(CH)。IR(ATR,cm-1):2970、2897、2087(C≡C)、1595、1505、1463、1365、1096、808、755、692、528。算出値C3544NCu(542.28):C,72.52;H,8.18;N,2.58。実測値:C,72.56;H,8.33;N,2.68。
図8に錯体の結晶構造を示す。
図9に、(AdCAAC)Cu(CCPh)のUV/vis及び発光スペクトルを示す。
実施例7. (AdCAAC)CuOPhの合成
AdCAACCuCl(0.20g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及びフェノール(39mg、0.42mmol)の混合物を、アルゴン下のシュレンクフラスコに入れた。乾燥THF(10mL)を添加し、混合物を一晩撹拌した。全ての揮発性物質を真空中で除去した。残渣を乾燥トルエンに溶解し、遠心分離し、デカントした。僅かに黄色の溶液を蒸発させて白色の固体を得た。収量0.20g(0.38mmol、91%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.54(t,J=7.8Hz,1H,CH芳香)、7.37(d,J=7.8Hz,2H,CH芳香)、6.76(brt,J=6.0Hz,2H,m-C)、6.30(t,J=6.0Hz,1H,p-C)、5.79(d,J=6.0Hz,2H,o-C)、3.57(d,J=12.3Hz,2H,CH)、2.87(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH)、2.27-1.80(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.37(s,6H,C(C )、1.32(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )、1.26(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl):δ253.5(カルベンC)、167.8(イプソ-Cフェノール)、145.7(o-C)、136.4(イプソ-C)、129.9(パラ-CH)、128.9(メタ-CHフェノール)、125.4(m-CH)、119.6(オルソ-Cフェノール)、113.8(パラ-Cフェノール)、78.7(C)、64.8(C)、48.4(CH)、39.0(CH)、37.6(CH)、36.3(CH)、34.6(CH)、29.6(CH)、29.5、28.4、27.6、26.6、22.8(CH)。算出値C3344NCuO(534.25):C,74.19;H,8.30;N,2.62。実測値:C,74.33;H,8.41;N,2.57。
図10に、(AdCAAC)CuOPhのUV/vis及び発光スペクトルを示す。
実施例8. (AdCAAC)Cu-2-tert-ブチル-5-メチルフェノレートの合成
実施例7に記載の手順に従って、化合物を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及び2-tert-ブチル-5-メチルフェノール(71μL、69mg、0.42mmol)から白色の粉末として作製した。収量:0.25g(0.41mmol、96%)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.47(t,1H,J=7.2Hz,芳香CH)、7.32(d,J=7.2Hz,2H,芳香CH)、6.78(s,1H,メタ-CHフェノール)、6.07(s,1H,パラ-CHフェノール)、5.61(s,1H,オルソ-CHフェノール)、3.70(d,J=11.4Hz,2H,CH)、2.86(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH)、2.26-1.80(m,17H,アダマンチルCH及びCH、CHフェノールと重複)、1.36(s,6H,C(C )、1.31(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )、1.29(d,J=6.6Hz,6H,CH(C )、1.20(s,9H,Buフェノール)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ253.9(Cカルベン)、166.6(イプソ-OCフェノール)、145.5(o-C)、136.3(イプソ-C)、135.9(イプソ-Cフェノール)、135.0(イプソ-Cフェノール)、129.8(パラ-CH)、125.3(メタ-CHフェノール)、125.1(メタ-CH)、122.8(オルソ-CHフェノール)、113.9(パラ-CHフェノール)、78.4(C)、64.6(C)、48.3(CH)、39.0(CH)、37.6(CH)、35.9(CH)、34.63(CH)、34.60( Bu)、29.57、29.52、29.46、28.5、27.6、26.7、22.8(CH)、20.9(CH)。算出値C3854NCuO(604.39):C,75.52;H,9.01;N,2.32。実測値:C,75.38;H,8.86;N,2.21。
図11に、この錯体のUV/vis及び発光スペクトルを示す。
実施例9. (AdCAAC)CuNHPhの合成
乾燥THF中の(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及びアニリン(38μL、39mg、0.42mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。全ての揮発性物質を蒸発させた。残渣をトルエンに溶解し、アルゴン下で遠心分離した。上清をデカントし、真空中で蒸発させて明るいライム色の固体を得た。収量:0.21g(0.40mmol、94%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.53(t,J=7.8Hz,1H,芳香CH)、7.35(d,J=7.8Hz,2H,芳香CH)、6.57(t,J=8.1Hz,2H,メタ-CHアニリン)、5.96(t,J=8.1Hz,1H,パラ-CHアニリン)、5.54(d,J=8.1Hz,2H,オルソ-CHアニリン)、3.61(d,J=12.1Hz,2H,CH)、3.20(s,1H,NH)、2.87(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH))、2.25-1.80(m,14H,アダマンチル)、1.37(s,6HC(C ))、1.32(d,J=6.6Hz,6H,CH(C ))、1.28(d,J=6.6Hz,6H,CH(C ))。13C NMR(75MHz,CDCl)δ254.6(カルベンC)、159.9(イプソ-Cアニリン)、145.9(o-C)、136.4(イプソ-C)、129.5(p-CH)、128.6(メタ-Cアニリン)、125.2(m-CH)、115.8(オルソ-Cアニリン)、109.9(パラ-Cアニリン)、78.2(C)、64.9(C)、48.4(CH)、39.0(CH)、37.5(CH)、36.3(CH)、34.5(CH)、29.5、29.4、28.5、27.7、26.3、22.9(CH)。算出値C3345Cu(533.27)C,74.33;H,8.51;N,5.25。実測値:C,74.20;H,8.61;N,5.11。
実施例10. (AdCAAC)CuNPhの合成
実施例9に記載の手順に従って、錯体を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及びジフェニルアミン(71mg、0.42mmol)からライム色の粉末として作製した。収量:0.25g(0.41mmol、98%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.59(t,J=7.8Hz,1H,芳香CH)、7.39(d,J=7.8Hz,2H,芳香CH)、6.83(t,J=8.1Hz,4H,メタ-CHアニリン)、6.42(t,J=8.1Hz,2H,パラ-CHアニリン)、6.26(d,J=8.1Hz,4H,オルソ-CHアニリン)、3.38(d,J=12.3Hz,2H,CH)、2.87(sept,J=6.9H
z,2H,C(CH))、2.22-1.68(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.35(s,6HC(C ))、1.32(d,J=6.9Hz,6H,CH(C ))、1.26(d,J=6.9Hz,6HCH(C ))。13C NMR(75MHz,CDCl)δ253.9(カルベンC)、156.5(イプソ-Cアニリン)、145.7(o-C)、136.3(イプソ-C)、129.8(p-CH)、128.8(メタ-Cアニリン)、125.5(m-CH)、121.4(オルソ-Cアニリン)、116.1(パラ-Cアニリン)、78.4(C)、65.1(C)、48.4(CH)、38.9(CH)、37.5(CH)、35.8(CH)、34.5(CH)、29.59、29.53、28.2、27.5、26.2、22.9(CH)。算出値C3949Cu(609.3)C,76.87;H,8.10;N,4.60。実測値:C,76.77;H,8.23;N,4.59。
実施例11. (AdCAAC)Cu(カルバゾレート)(CMA2)の合成
実施例9に記載の手順に従って、錯体を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及びカルバゾール(70mg、0.42mmol)から黄色の粉末として作製した。収量:0.22g(0.36mmol、86%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.90(d,J=7.4Hz,2H,カルバゾールCH)、7.72(t,J=7.8Hz,1H,芳香CH)、7.49(d,J=7.8Hz,2H,芳香CH)、7.04(t,J=7.4Hz,2H,カルバゾールCH)、6.89(t,J=7.4Hz,2H,カルバゾールCH)、6.33(d,J=7.4Hz,2H,カルバゾールCH)、3.89(d,J=12.3Hz,2H,CH)、2.97(sept,J=6.6Hz,2H,C(CH))、2.33-1.88(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.42(s,6H,C(C ))、1.35(d,J=6.6Hz,6H,CH(C ))、1.18(d,J=6.6Hz,6H,CH(C ))。13C NMR(75MHz,CDCl)δ254.1(Cカルベン)、150.3(イプソ-CNカルバゾール)、146.1(o-C)、136.4(イプソ-C)、129.9(p-CH)、125.6(m-CH)、124.4(イプソ-Cカルバゾール)、123.4(カルバゾールCH)、119.2(カルバゾールCH)、115.5(カルバゾールCH)、114.8(カルバゾールCH)、79.1(C)、65.4(C)、48.4(CH)、38.9(CH)、37.7(CH)、36.5(CH)、34.5(CH)、29.64、29.62、28.7、27.5、26.5、22.7(CH)。算出値C3947Cu(607.35):C,77.13;H,7.80;N,4.61。実測値:C,77.07;H,7.89;N,4.70。
図12にこの錯体のX線構造を示す(データは上記図12の概要に示す)。
実施例12. (AdCAAC)CuNH{3,5-(CF}の合成
実施例9に記載の手順に従って、錯体を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及び3,5-ビス(トリフルオロメチル)アニリン(96mg、0.42mmol)から黄緑色の粉末として作製した。収量:0.25g(0.37mmol、90%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.49(t,J=7.8Hz,1H,芳香CH)、7.32(d,J=7.8,2H,芳香CH)、6.41(brs,1H,p-CHアニリン)、6.18(brs,2H,o-CH)、3.63(s,1H,NH)、3.53(d,J=12.3Hz,2H,CH)、2.85(sept,J=6.9Hz,2H,C(CH))、2.25-1.80(m,14H,アダマンチル
CH及びCH)、1.35(s,6H,C(C ))、1.31(d,J=6.9Hz,6H,CH(C ))、1.27(d,J=6.9Hz,6H,CH(C ))。13C NMR(75MHz,CDCl):δ254.1(カルベンC)、160.6(イプソ-Cアニリン)、145.4(イプソ-C)、135.8(パラ-C)、131.5(quart,CF=29.2Hz,メタ-Cアニリン)、130.2(メタ-C)、125.1(オルソ-C)、124.7(quart,CF=270Hz,CF3アニリン)、114.8(オルソ-Cアニリン)、102.2(パラ-Cアニリン)、78.60(C)、65.0(C)、48.3(CH)、38.9(CH)、37.5(CH)、36.3(CH-2)、34.5(CH)、29.5、29.4、28.4、27.6、26.5、22.7(CH)。19FNMR(282MHz,CDCl)δ-63.19。算出値C3543CuF(669.26):C,62.81;H,6.48;N,4.19。実測値:C,62.98;H,6.53;N,4.31。
図13に、アニリド錯体(AdCAAC)CuX(ここで、X=NHPh、NPh、カルバゾレート及びNH(3,5-(CF)である)の発光スペクトルの比較を示す。
実施例13. 錯体に関する光物理的データ
本発明による錯体は、ナノ秒~数十マイクロ秒の範囲の短い励起寿命等のOLED素子に用いられる幾つかの利点をもたらす。代表的な例の光物理的特性を決定し、下記表1に示す。量子収率の一部は空気中で測定したものであり、場合によっては驚くほど低い収率を説明するものであることに留意されたい。
Figure 0007306615000049
実施例14. (AdCAAC)Au(カルバゾレート)(CMA1)の合成
乾燥THF(20mL)中の(CAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.34mmol)及びカルバゾール(57mg、0.33mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で6時間撹拌した。混合物を遠心分離し、生成物の溶液をデカントした。全ての揮発性物質を真空中で蒸発させてオフホワイト色の粉末を得た。収量:0.23g(0.31mmol、94%)。生成物は通常、THFを溶媒和物として含有するため、真空下、80℃で2時間維持して溶媒和物分子を除去した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.92(d,J=7.8Hz,2H,カルバゾールCH)、7.69(t,J=7.8Hz,1H,アリール)、7.46(d,J=7.8Hz,2H,アリール)、7.08(t,J=7.8Hz,2H,カルバゾールCH)、6.90(t,J=7.8Hz,2H,カルバゾールCH)、6.65(d,J=7.8Hz,2H,カルバゾールCH)、4.34(d,J=13.5Hz,2H,CH)、2.92(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.44-1.82(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.44(s,6H,C(C ))、1.34(d,J=6.6Hz,12H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ244.6(Cカルベン)、150.0(イプソ-CNカルバゾール)、146.2(o-C)、136.7(イプソ-C)、129.9(p-CH)、125.7(m-CH)、124.4(イプソ-Cカルバゾール)、123.7(カルバゾールCH)、119.4(カルバゾールCH)、116.2(カルバゾールCH)、114.2(カルバゾールCH)、77.4(C)、64.5(C)、49.2(CH)、39.4(CH)、37.7(CH)、35.8(CH)、34.8(CH)、29.5、28.6、27.8、26.5、23.4(CH)。算出値C3947Au(740.76):C,63.23;H,6.39;N,3.78。実測値:C,63.34;H,6.43;N,3.71。
図14にこの錯体のX線構造を示す(データは上記図14の概要に示す)。
実施例15. (AdCAAC)Au(3,6-ジ-t-ブチルカルバゾレート)(CMA4)の合成
実施例14に記載の手順に従って、錯体を(CAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.34mmol)及び3,6-ジ-Bu-カルバゾール(92mg、0.33mmol)から黄色の粉末として作製した。収量:0.255g(0.33mmol、91%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.93(d,J=2.1Hz,2H,カルバゾールCH)、7.69(t,J=8.0Hz,1H,芳香CH)、7.46(d,J=8.0Hz,2H,アリール)、7.15(dd,J=8.8及び2.1Hz,2H,カルバゾールCH)、6.58(d,J=8.8Hz,2H,カルバゾールCH)、4.34(d,J=11.8Hz,2H,CH)、2.90(sept,J=7.2Hz,2H,CHMe)、2.34-1.87(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.42(s,6H,CMe)、1.39(s,18H,Bu)、1.35(d,J=7.2Hz,6H,CHMe)、1.34(d,J=7.2Hz,6H,CHMe)と重複。13C NMR(75MHz,CDCl)δ244.6(Cカルベン)、148.4(イプソ-CNカルバゾール)、146.1(o-C)、146.0(イプソ-C)、138.7(イプソ-CカルバゾールBu)、136.6(イプソ-C)、129.8(p-CH)、125.5(m-CH)、124.0(イプソ-Cカルバゾール)、121.4(カルバゾールCH)、115.3(カルバゾールCH)、113.3(カルバゾールCH)、77.2(C)、64.4(C)、49.1(CH)、39.3(CH)、37.5(CH)、35.7(CH)、34.7(C,Bu)、34.6(CH)、29.49、28.5、27.7、26.4、23.3(CH)。算出値C4763Au(852.98):C,66.18;H,7.44;N,3.28。実測値:C,66.27;H,7.56;N,3.22。
図25bにこの錯体のX線構造を示す(データは上記図25bの概要に示す)。
実施例16. (AdCAAC)AuNPh(CMA3)の合成
実施例14に記載の手順に従って、錯体を(CAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及びジフェニルアミン(56mg、0.33mmol)から黄色の粉末として作製した。収量:0.24g(0.32
mmol、98%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.58(t,J=7.8Hz,1H,アリール)、7.34(d,J=7.8Hz,2H,アリール)、6.87(t,J=7.2Hz,4H,m-CHアニリン)、6.60(d,J=7.2Hz,4H,o-CHアニリン)、6.46(t,J=8.1Hz,2H,p-CHアニリン)、4.05(d,J=13.8Hz,2H,CH)、2.81(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.35-1.74(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.36(s,6HCMe)、1.31(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.30(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ242.6(カルベンC)、155.5(i-Cアミド)、145.7(o-C)、136.5(i-C)、129.7(p-CH)、128.6(m-Cアミド)、125.5(m-CH)、120.9(o-Cアミド)、116.9(p-Cアミド)、76.8(C)、64.3(C)、49.2(CH)、39.4(CH)、37.4(CH)、35.2(CH)、34.8(CH)、29.4、28.3、27.7、26.2、23.4(CH)。算出値C3949Au(742.78)C,63.06;H,6.65;N,3.77。実測値:C,63.19;H,6.71;N,3.72。
図15にこの錯体のUV/vis及び発光スペクトルを示し、図25aにこの錯体のX線構造を示す(データは上記図25aの概要に示す)。
実施例17. (AdCAAC)AuNHPhの合成
乾燥THF中の(AdCAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及びアニリン(30μL、31mg、0.33mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。全ての揮発性物質を蒸発させた。残渣をトルエンに溶解し、アルゴン下で遠心分離した。上清をデカントし、真空中で蒸発させて黄色の固体を得た。H NMRによると、錯体はトルエン溶媒和物C3345Au・0.5CCHとして得られた。トルエンを除去するために、固体を2mLの乾燥CHClに溶解し、8mLのペンタンで沈殿させた。溶媒混合物を真空中で除去して純粋な黄色の錯体を得た。収量:0.21g(0.31mmol、94%)。油性生成物が形成される場合、ペンタン(4mL)を添加する必要がある。次いで、懸濁液を超音波処理し、揮発性物質を真空中で除去する。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.53(t,J=7.8Hz,1H,アリール)、7.33(d,J=7.8Hz,2H,アリール)、6.65(t,J=8.4Hz,2H,m-CHアニリン)、6.06(t,J=8.4Hz,1H,p-CHアニリン)、5.80(d,J=8.4Hz,2H,o-CHアニリン)、4.04(d,J=11.1Hz,2H,CH)、3.63(s,1H,NH)、2.84(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.35-1.80(m,14H,アダマンチル)、1.39(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.35(s,6HCMe)、1.31(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ244.8(カルベンC)、159.0(i-Cアニリン)、146.0(o-C)、136.4(i-C)、129.4(p-CH)、128.4(m-Cアニリン)、125.3(m-CH)、115.4(o-Cアニリン)、111.4(p-Cアニリン)、76.5(C)、64.3(C)、49.1(CH)、39.3(CH)、37.3(CH)、35.5(CH)、34.7(CH)、29.38、29.35、28.3、27.7、26.2、23.3(CH)。算出値C3345Au(666.68)C,59.45;H,6.80;N,4.20。実測値:C,59.63;H,6.91;N,4.16。
実施例18. (AdCAAC)Au-2,6-ジメチルフェノレートの合成
実施例14に記載の手順に従って、化合物をAdCAACAuCl(0.182g、0.30mmol)、NaOBu(31mg、0.32mmol)及び2,6-ジメチルフェノール(37mg、0.3mmol)から白色の粉末として作製した。収量:0.195g(0.28mmol、93%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.47(t,J=7.8Hz,1H,CH芳香)、7.27(d,J=7.8Hz,2H,CH芳香)、6.72(d,J=7.2Hz,2H,m-CHフェノール)、6.30(t,1H,p-CHフェノール)、4.01(d,J=12.6Hz,2H,CH)、2.74(sept,J=6.8Hz,2H,C(CH)、2.33-1.72(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.94(s,6H,CHフェノール)と重複、1.32(s,6H,C(C )、1.30(d,J=6.8Hz,6H,CH(C )、1.28(d,J=6.8Hz,6H,CH(C )。13C NMR(75MHz,CDCl):δ235.3(カルベンC)、165.5(イプソ-OCフェノール)、145.4(o-C)、136.4(イプソ-C)、129.9(パラ-CH)、127.7(o-Cフェノール)、127.5(m-CHフェノール)、125.4(m-CH)、115.6(p-CHフェノール)、76.7(C)、63.9(C)、48.9(CH)、39.4(CH)、37.4(CH)、35.3(CH)、34.9(CH)、29.4(CH)、29.4、28.3、27.7、26.5、23.2(CH)、17.3(CHフェノール)。算出値C3548NAuO(695.72):C,60.42;H,6.95;N,2.01。実測値:C,60.59;H,7.03;N,2.08。
実施例19. (AdCAAC)Au(3,7-ジニトロフェノチアジン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及び10-H-3,7-ジニトロフェノチアジン(95.2mg、0.33mmol)から暗赤色の粉末として作製した。収量:0.275g(0.32mmol、97%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.67(t,J=7.9Hz,1H,アリール)、7.47(d,J=2.1Hz,2H,フェノチアジンCH)、7.43(dd,J=9.0及び2.1Hz,2H,フェノチアジンCH)、7.40(d,J=7.9Hz,2H,アリール)と重複、6.15(d,J=9.0Hz,2H,フェノチアジンCH)、3.85(d,J=12.8Hz,2H,CH)、2.82(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.42-1.81(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.41(s,6H,C(C ))、1.33(d,J=6.6Hz,12H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ240.1(Cカルベン)、156.6(イプソ-CNフェノチアジン)、145.7(o-C)、141.6(イプソ-C-NOフェノチアジン)、136.1(イプソ-C)、130.3(p-CH)、125.9(m-CH)、124.1(フェノチアジンCH)、121.9(フェノチアジンCH)、120.7(イプソ-CSフェノチアジン)、118.8(フェノチアジンCH)、78.0(C)、64.4(C)、48.7(CH)、39.1(CH)、37.4(CH)、35.3(CH)、34.6(CH)、29.5、29.4、28.1、27.4、26.4、23.3(CH)。算出値C3945AuSO(862.82):C,54.29;H,5.26;N,6.49。実測値:C,54.43;H,5.34;N,6.52。
実施例20. (AdCAAC)Au(N-メチルフェナジン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及び10-H-N-メチルフェナジン(65mg、0.33mmol)から暗紫色の粉末として作製した。収量:0.222g(0.29mmol、87%)。
H NMR(300MHz,THF-d):δ7.52(t,J=7.6Hz,1H,アリール)、7.35(d,J=7.6Hz,2H,アリール)、6.01-5.90(m,フェナジンCH及びCH)、5.77(dd,J=7.3及び1.4Hz,2H,フェナジンCH)、5.58(dd,J=7.3及び1.4Hz,2H,フェナジンCH)、4.09(d,J=12.3Hz,2H,CH)、2.88(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.60(s,3H,NMe)、2.44-1.79(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.38(s,6H,C(C ))、1.36(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.30(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,THF-d)δ242.9(Cカルベン)、147.5(イプソ-CNフェナジン)、146.0(o-C)、140.0(イプソ-CNMeフェナジン)、136.6(イプソ-C)、130.0(p-CH)、125.8(m-CH)、120.6(フェナジンCH)、117.9(フェナジンCH)、114.9(フェナジンCH)、109.5(フェナジンCH)、77.2(C)、64.6(C)、49.0(CH)、39.8(CH)、37.8(CH)、35.4(CH)、35.1(CH)、31.3(NMe)、29.7、29.1、28.7、28.3、26.3、23.4(CH)。算出値C4050Au(769.81):C,62.41;H,6.55;N,5.46。実測値:C,62.61;H,6.70;N,5.56。
実施例21. (AdCAAC)Au(オキサジン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及びオキサジン(61.5mg、0.33mmol)から赤色の粉末として作製した。収量:0.229g(0.30mmol、91%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.55(t,J=7.9Hz,1H,アリール)、7.34(d,J=7.9Hz,2H,アリール)、6.24(t,J=7.6Hz,2H,オキサジンCH)、6.19-6.11(m,4H,オキサジンCH及びCH)、5.71(d,J=7.6Hz,2H,オキサジンCH)、4.01(d,J=12.8Hz,2H,CH)、2.82(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.37-1.81(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.36(s,6H,C(C ))、1.35(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)と重複、1.31(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ242.3(Cカルベン)、146.1(イプソ-CNオキサジン)、145.7(o-C)、142.8(イプソ-COオキサジン)、136.1(イプソ-C)、129.7(p-CH)、125.5(m-CH)、122.9(オキサジンCH)、117.4(オキサジンCH)、116.6(オキサジンCH)、114.0(オキサジンCH)、77.2(C)、64.4(C)、49.0(CH)、39.3(CH)、37.5(CH)、35.2(CH)、34.7(CH)、29.46、29.43、28.2、27.6、26.3、23.3(CH)。算出値C3947AuO(756.76):C,61.90;H,6.26;N,3.70。実測値:C,62.08;H,6.35;N,3.76。
実施例22. (AdCAAC)Cu(オキサジン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及びジフェニルアミン(77mg、0.42mmol)からオレンジ色の粉末として作製した。収量:0.248g(0.40mmol、95%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.54(t,J=7.9Hz,1H,アリール)、7.35(d,J=7.9Hz,2H,アリール)、6.20(t,J=7.6Hz,2H,オキサジンCH)、6.15-6.06(m,4H,オキサジンCH及びCH)、5.23(d,J=7.6Hz,2H,オキサジンCH)、3.46(d,J=12.8Hz,2H,CH)、2.86(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.26-1.80(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.35(s,6H,C(C ))、1.31(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.22(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ252.8(Cカルベン)、146.1(イプソ-CNオキサジン)、145.2(o-C)、143.8(イプソ-COオキサジン)、135.6(イプソ-C)、129.6(p-CH)、125.1(m-CH)、123.0(オキサジンCH)、117.0(オキサジンCH)、116.3(オキサジンCH)、113.4(オキサジンCH)、78.4(C)、65.0(C)、48.0(CH)、38.5(CH)、37.2(CH)、35.5(CH)、34.1(CH)、29.1、27.9、27.1、26.1、22.4(CH)。算出値C3947CuO(623.34):C,75.15;H,7.60;N,4.49。実測値:C,75.23;H,7.65;N,4.45。
実施例23. (AdCAAC)Au(アクリドン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及びアクリドン(64.3mg、0.33mmol)から黄色の粉末として作製した。収量:0.235g(0.31mmol、94%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.33(d,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、7.72(t,J=7.7Hz,1H,アリール)、7.46(d,J=7.7Hz,2H,アリール)、7.27(t,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、7.15(d,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、7.00(t,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、4.19(d,J=12.2Hz,2H,CH)、2.87(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.13-1.86(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.42(s,6H,C(C ))、1.33(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.29(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ241.2(Cカルベン)、177.6(C=O)、150.5(イプソ-CNアクリドン)、145.7(o-C)、135.9(イプソ-C)、131.0(アクリドンCH)、130.3(p-CH)、126.3(アクリドンCH)、125.8(m-CH)、123.5(アクリドンCH)、123.3(アクリドンイプソ-C)、119.2(アクリドンCH)、77.9(C)、64.7(C)、48.9(CH)、39.3(CH)、37.5(CH)、35.1(CH)、34.7(CH)、29.55、29.50、28.3、27.5、26.3、23.3(CH)。算出値C4047AuO(768.77):C,62.49;H,6.16;N,3.64。実測値:C,62.58;H,6.23;N,3.69。
実施例24. (AdCAAC)Cu(アクリドン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及びアクリドン(82mg、0.42mmol)から黄色の粉末として作製した。収量:0.248g(0.39mmol、93%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.30(d,J=8.5Hz,2H,アクリドンCH)、7.69(t,J=7.7Hz,1H,アリール)、7.47(d,J=7.7Hz,2H,アリール)、7.21(t,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、6.96(d,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、6.68(t,J=7.3Hz,2H,アクリドンCH)、3.61(d,J=12.2Hz,2H,CH)、2.94(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.23-1.81(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.41(s,6H,C(C ))、1.34(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.16(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ252.5(Cカルベン)、177.6(C=O)、151.0(イプソ-CNアクリドン)、145.6(o-C)、135.9(イプソ-C)、131.1(アクリドンCH)、130.7(p-CH)、126.4(アクリドンCH)、125.8(m-CH)、124.4(アクリドンCH)、123.0(アクリドンイプソ-C)、118.9(アクリドンCH)、79.6(C)、65.9(C)、48.3(CH)、39.8(CH)、37.6(CH)、36.0(CH)、34.5(CH)、29.6、29.5、28.3、27.3、26.6、22.8(CH)。算出値C4047CuO(635.35):C,75.62;H,7.46;N,4.41。実測値:C,75.79;H,7.54;N,4.48。
実施例25. (AdCAAC)Au(10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]アゼピン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)AuCl(0.2g、0.33mmol)、NaOBu(33mg、0.33mmol)及び10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン(64.3mg、0.33mmol)からオレンジ色の粉末として作製した。収量:0.230g(0.30mmol、91%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.53(t,J=7.6Hz,1H,アリール)、7.30(d,J=7.6Hz,2H,アリール)、6.75(d,J=7.4Hz,2H,アゼピンCH)、6.69(d,J=7.4Hz,2H,アゼピンCH)、6.62(t,J=7.4Hz,2H,アゼピンCH)、6.43(t,J=7.4Hz,2H,アゼピンCH)、3.95(d,J=13.2Hz,2H,CH)、2.89(s,4H,CHアゼピン)、2.83(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.14-1.69(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.36(s,6H,C(C ))、1.34(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)、1.30(d,J=6.6Hz,6H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ242.3(Cカルベン)、153.9(イプソ-CNアゼピン)、145.4(o-C)、136.4(イプソ-C)、129.8(p-CH)、129.5(アゼピンCH)、127.0(アゼピンイプソ-C)、125.7(アゼピンCH)、125.4(m-CH)、124.5(アゼピンCH)、116.7(アゼピンCH)、76.6(C)、64.1(C)、48.8(CH)、39.3(CH)、37.2(CH)、36.4(CH)、35.0(CH)、34.8(アゼピンCH)、29.3、28.0、27.6、26.0、23.4(CH)。算出値C4151Au(768.82):C,64.05;H,6.69;N,3.64。実測値:C,64.27;H,6.83;N,3.51。
実施例26. (AdCAAC)Cu(10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]アゼピン)の合成
AdCAAC)Au(カルバゾレート)について記載した手順(実施例14)に従い、錯体を(AdCAAC)CuCl(0.2g、0.42mmol)、NaOBu(40mg、0.42mmol)及び10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン(82mg、0.42mmol)からオレンジ色の粉末として作製した。収量:0.240g(0.38mmol、90%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.45(t,J=7.6Hz,1H,アリール)、7.29(d,J=7.6Hz,2H,アリール)、7.07-7.01(m,4H,アゼピン)、6.77-6.72(m,4H,アゼピン)、3.57(d,J=13.2Hz,2H,CH)、3.05(s,4H,CHアゼピン)、2.80(sept,J=6.6Hz,2H,CHMe)、2.22-1.77(m,14H,アダマンチルCH及びCH)、1.32(s,6H,C(C ))、1.29(d,J=6.6Hz,12H,CHMe)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ252.9(Cカルベン)、145.0(o-C)、142.5(イプソ-CNアゼピン)、135.4(イプソ-C)、130.5(アゼピンCH)、129.4(p-CH)、128.6(アゼピンイプソ-C)、126.7(m-CH)、124.7(アゼピンCH)、119.2(アゼピンCH)、117.8(アゼピンCH)、78.4(C)、64.5(C)、47.8(CH)、38.6(CH)、37.1(CH)、35.7(CH)、34.9(CH)、34.1(アゼピンCH)、29.1、29.0、28.0、27.2、26.6、22.2(CH)。算出値C4151Cu(635.40):C,77.50;H,8.09;N,4.41。実測値:C,77.62;H,8.16;N,4.50。
実施例27. フォトルミネセンススペクトル
実施例19、20、21、23及び25の化合物のフォトルミネセンススペクトルを測定し(固体状態、298K)、これらの化合物によってもたらされる発光色の範囲を図27に示す。
実施例28. OLEDの性能及び関連光物理的データ
CMA1~4をベースとしたOLED素子の性能を図18、図23及び図24に示す。本実施例では、ガラス/ITO/PEDOT:PSS/TFB/PVK:CMA/BPhen/LiF/Alの多層素子構造を使用する。層の機能は図1に示すOLED構造に関して説明することができる。PVK及びCMAブレンドが発光帯域を形成する。PEDOT:PSS及びTFB層が正孔輸送層を形成する。電子注入層はBPhen及びLiFから構成される。Alがカソード材料である。
ITO=酸化インジウムスズ
PEDTO:PSS=ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート(Clevios P VP AI 4083)
TFB=ポリ(9,9-ジオクチル-フルオレン-コ-N-4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(Cambridge Display Technology)
PVK=ポリ(9-N-ビニルカルバゾール)(PVK)(Sigma-Aldrich)
「CMA」=CAAC金属アミド(構造を図19bに示すCMA1、CMA2、CMA3及びCMA4と指定したCMAを使用した)
BPhen=バソフェナントロリン(97%、Sigma-Aldrich)
LiF=フッ化リチウム(99.99%、Sigma-Aldrich)
Al=アルミニウム
図16に、時間相関単一光子計数(TCSPC)により測定された(AdCAAC)Au(カルバゾレート)(CMA1)のフォトルミネセンス(PL)減衰データを示す。(a)室温でのフォトルミネセンス(PL)減衰速度論(差し込み図:0~5nsのデータ)。(b)3つの異なる温度でのPL減衰曲線(差し込み図:0~5nsのデータ)。低温での遅延発光の寄与が2.5MHz繰り返し数の励起パルスにより人為的に高められることに留意されたい。
図17に、電気ゲート増感型電荷結合素子(CCD)により測定された(AdCAAC)Au(カルバゾレート)(CMA1)の温度依存フォトルミネセンス減衰データを示す。
図18aに、(AdCAAC)金属カルバゾレートCMA錯体を組み入れたOLEDにおける外部量子効率を電流密度の関数として示す。
実施例29. 更なる研究
本実施例において言及される8~25及びS1~S14と指定された文献参照については、実施例の最後に列挙する。
OLEDの開発に関する背景情報については、例えば参照文献1~7を参照されたい。分子回転は生物学的ナノマシン及び分子ナノマシンにおけるその用途について大きな関心を集めており、化学、熱10、11、光10、12及び電気12エネルギーを導入することによって制御することができる。本実施例では、各スピン状態を異なる交換相互作用を有する異なる回転ジオメトリへと緩和することによって、OLEDにおける一重項及び三重項励起の幾何学的同一性を破るために回転柔軟性を用いることもできることが示される。ほぼ全ての有機物質が荷電励起及び中性励起の両方に応じて幾らかの幾何学的再構成を受け、よく知られたポーラロン電荷担体の挙動及び発光の大きなストークスシフトにつながる。回転柔軟錯体ではこの緩和は極度であり、幾何学的に緩和された一重項のエネルギーを緩和三重項よりも低くすることが可能となり得る。この通常のスピン状態エネルギーの秩序の反転は、三重項励起子からより低位の一重項への効率的な下方変換につながり、これが続いて発光することができる。このプロセスを「回転アクセススピン状態反転」(RASI)と称する。図19aにRASIプロセスの概略を示す。
CAAC-M-アミド(CMA)(ここで、MはCu又はAuである)をベースとした二配位環式(アルキル)(アミノ)-カルベン(CAAC)化合物を設計し、合成した。(CAAC)AuCz(CMA1)、並びにその構造的に同様の類似体である(CAAC)CuCz(CMA2)、(CAAC)AuNPh(CMA3)及び(CAAC)AuDTBCz(CMA4)を図19bに示す(Cz=カルバゾールアニオン、DTBCz=3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾールアニオン)。合成手順は実施例11、14、15及び16に記載した。CMA1及びCMA2のサイクリックボルタモグラムを図26に示す。錯体CMA1~CMA4は様々な有機溶媒に可溶性であり、溶液中で配位子転位反応を受けず、表2に示されるように270℃超まで熱的に安定している。
Figure 0007306615000050
CMA1~4の励起状態エネルギーを、密度汎関数理論(DFT)及び時間依存密度汎関数理論(TD-DFT)を用いて分子ジオメトリの最適化により計算した。CMA1については(図19c及び図19d)、基底状態S及び緩和三重項状態Tはカルベン及びカルバゾール配位子が同一平面上にあるジオメトリに相当し、緩和一重項状態Sはカルバゾール配位子が90度回転したジオメトリに相当する。緩和T状態(2.44eV)のエネルギーは緩和S状態(2.11eV)よりも高く、ΔEST=-0.33eVのS-Tエネルギーギャップがもたらされる。励起一重項状態は同一平面ジオメトリに制約され(S と称する)、2.63eVに位置し、フントの規則により予期され得るように通常の励起スピン状態エネルギー配置に従う。CMA2~4についての同様の計算を表3及び図20に示す。これは、回転自由がスピン状態反転をもたらさない三配位Cu(I)化合物とは対照的である13。算出されたCMA1におけるS→S 遷移についての振動子強度は、完全に緩和されたジオメトリでのS→S遷移よりも3桁高い。したがって、最も弱い光吸収は主にSからS へのものであり、発光はS 及びSの両方により生じ得る。
Figure 0007306615000051
CMA1~4の固体膜は、カルベン金属ハロゲン化物化合物において観察されているようにフォトルミネセントである14。CMA1のスピンコート膜の吸収スペクトルはおよそ450nmで発現し(図21a)、DFT計算に良好に一致する。この化合物群の発光機構を理解するために、スピンコート薄膜のPLスペクトル及び速度論をパルスレーザー励起下で調査する。全ての化合物が、下記に更に論考するように、PL減衰に対する寿命がおよそ1nsの迅速成分(図16を参照されたい)及び寿命が温度に強く依存する遅延成分を示す。
300Kでのns-μs時間スケールのCMA1の時間分解PLスペクトル(図21b)は、初期のおよそ500nm(0~2ns)から2μsでのおよそ540nmへのPLピーク位置の赤方偏移を示す。したがって、熱活性化遅延蛍光(TADF)化合物の挙動とは対照的に、初期の発光性種は後期の発光性種とはスペクトル的に異なる
赤方偏移した遅延成分の寿命は4Kでのおよそ5μsから300Kでのおよそ350nsまで減少し(図21c)、一方でその強度は増大して、全PL強度が温度と共に増大する(図21d)。これは、PL強度が温度の影響を受けず、迅速発光が観察されないIr(ppy)等のリン光性化合物とは対照的である15
平面ジオメトリでのカシャの法則に従って、迅速発光をS からSへの遷移に割り当てる。励起により、その後のより低いエネルギージオメトリを調査することができる。遅延発光をSからSへの遷移に割り当てる。4Kでの迅速発光エネルギー(およそ2.6eV)と300Kでの遅延発光エネルギー(およそ2.3eV)との比較(図21e
)により、S -Sオフセットの下限は約0.3eVと推定され、これはTD-DFTにより予測された値(0.5eV)と合理的に一致する。
金属-アミド結合の回転による励起子エネルギーの低下は、分子の回転剛性により対抗される。これは、CMA1ではS基底状態でのDFTを用いてカルバゾール基の完全回転について143meVと算出され、自由に回転可能な炭素間単結合と同等である16。図21cに提示するPLデータから、固体膜での遅延発光の活性化エネルギー(E)は、はるかに低いと算出される。図21fに、室温でアクセス可能な45meVのEをもたらすCMA1のアレニウスプロットを示す。CMA2~4について算出される活性化エネルギーは非常によく似ており、図22に示す。
これらの材料において強いリン光が見られないことに留意する。これは最低三重項状態が回転ジオメトリの一重項エネルギーより上に位置するために生じると考えられる。CMA1については、三重項は、PL測定により推定されるように2.6eVの平面ジオメトリ一重項と2.3eVの回転ジオメトリとの間の2.44eVに位置すると算出される。非常に低い温度では遅延発光寿命が飽和し、そのピーク波長は室温での迅速スペクトルと遅延スペクトルとの間に位置するため(図21e)、この発光を残留弱リン光と割り当てる。
分子回転型OLED(ROLED)の性能を図23aに示す。使用した材料のエネルギーレベルを図23bに示す。CMA1~4のHOMO/LUMOエネルギーは表4に示す。
Figure 0007306615000052
実施例28に記載のように、TFB17をPEDOT:PSS上に堆積させて正孔輸送層を形成し、広バンドギャップポリマーホストPVK4、18中に分散させたCMA1~4を発光層として、続いてBPhen/LiF電子注入層を使用した。
最良のROLEDのエレクトロルミネセンス(EL)スペクトル及び外部量子効率(EQE)を図18、図23c、図24a及び図24b、並びに表5に示す。
Figure 0007306615000053
素子の角度発光プロファイルは、マイクロキャビティアウトカップリングを有しないOLEDに典型的であるように19、ランバート発光を示し(図24c)、軸上放射照度からのEQEの正確な推定が可能となった。これと一致して、素子の国際照明委員会(CIE)色座標はEQEに伴う観察可能な変化を示さなかった(図24d及び図24e)。図23dに、最も効率的な素子をもたらしたCMA4を用いた135個のROLEDの最大EQEヒストグラムを示す。性能の測定基準は上記表2に要約している。実用輝度(100cd m-2及び1000cd m-2)での最良の素子のEQEは25%を超え、光学的アウトカップリングを高めることなしに最良の溶液処理LEDよりも高く7、20、本発明者らの最良の素子のピークEQEは27.5%に達した。
これらのLEDは、アウトカップリング効率を平面OLEDについて予期される20%~30%の範囲を超えて高める特徴を有さず5、7、19、最良のROLED(CMA1及び4をベースとする)の1に近い(80%~100%)内部量子効率をもたらす。時間分解EL測定により、100%の発光がμs以下の遅延発光チャネルによって生じることが確認される(図23e及び図23f)。通常は対となる一重項と三重項とで区別される迅速(ns)成分は見られない21、22。ELスペクトルは通常、再結合が優先的にこれらの部位で生じることから最低のエネルギー励起状態に相当する。定常状態ELスペクトルは最低エネルギーPLと非常に良好に一致する(図23e)。まとめると、これにより全ての励起子が初期スピンに関わらず、これらの材料における発光に寄与し、発光が主に最低エネルギー回転一重項状態(300K)によって生じることが示唆され、このジオメトリにおけるTのエネルギーをより高いものとする計算と一致する。エレクトロルミネセンスの寿命は電流密度の増大と共に減少し、好ましくない二分子間相互作用であり得る23。高電流での比較的遅い効率の減衰を考えると、これは発光速度を増大するジュール加熱の影響でもあり得る。現在、これらの影響を区別することは困難であるが、高電流密度での性能改善の余地があることは明らかである。
この効率的な素子性能に必要とされる迅速項間交差(ISC)が、交換エネルギーがゼロに近い回転配置で達成されると考える。これにより、励起状態波動関数がCu又はAu部位を占有し、2つのスピン状態を効果的に混合する、これらの系について比較的強いスピン-軌道結合が可能となる。このように、測定される活性化エネルギーは、スピン状態間の迅速遷移を可能にするのに十分な分子の部分回転に相当すると考えられる。しかしな
がら、励起子移動による寄与を除外することはできない。
結論として、通常は非発光性である三重項励起子のエネルギーを得るために新たな種類の材料を利用する高性能OLEDが実証される。分子回転により可能となる通常の励起一重項及び三重項状態の秩序の反転により、効率的に発光し得る最低エネルギー一重項への励起を駆動する機構がもたらされる。スピン-状態反転は、有機オプトエレクトロニクスの設計について新たな道を開く。例えば、三重項から一重項への自発的な下方変換が、電気ポンピング式有機レーザーの実現に極めて望ましい。熱エネルギー及び電磁エネルギーを用いて発光性分子の回転運動を変調する可能性により、本発明をオプトエレクトロニクスナノマシンの開発に使用することが可能となり得る。
実施例29に用いられる方法:
時間相関単一光子計数(TCSPC)測定
TCSPC研究のための固体状態サンプルを、無水テトラヒドロフラン溶液(10mg/mL)から予め清浄にした石英基板上にスピンコートした。サンプルを高真空下に15分間置き、溶媒を除去した。サンプルを、パルス幅が200ps未満の407nmパルスレーザーを用いて2.5MHzの繰り返し数で光励起した。フォトルミネセンスをSiベースの単一光子アバランシェフォトダイオードにより検出した。装置応答関数は約200psの寿命を有する。420nmロングパスフィルターを使用して、光路中の全ての散乱レーザーシグナルを排除した。
低温時間分解フォトルミネセンス測定
固体状態サンプルの調製はTCSPC測定と同じとした。時間分解PLスペクトルを、較正回折格子型分光計(AndorのSR303i)に接続した電気ゲート増感型CCD(I
CCD)カメラ(AndorのiStar DH740 CCI-010)を用いて記録した
。光励起は、Ti:サファイアレーザーシステム(Spectra PhysicsのSolstice
)の基本出力(パルスエネルギー=1.55eV、パルス幅=80fs)からのBBO結晶における第二次高調波発生(SHG)により生成したフェムト秒レーザーパルスによってもたらされた。レーザーパルスからの光子は400nmの波長を有していた。420nmロングパスフィルターを用いて、散乱レーザーシグナルがカメラに入るのを防いだ。PL発光の時間的展開を、励起パルスに対するICCDゲート遅延のステッピングにより得た。ICCDの最小ゲート幅はおよそ2.5nsであった。液体ヘリウムによりサンプルを冷却し、温度制御クライオスタットを用いてサンプルの温度を調節した。
活性化エネルギーを算出するために、遅延PLプロセスが、
slow=k+k
(ここで、kは温度非依存速度定数であり、kは温度依存速度であり、
Figure 0007306615000054
(ここで、Eは熱活性化エネルギーであり、kはボルツマン定数であり、Tは温度(ケルビン)であり、βは定数である)により与えられる)の形の一般減衰速度を有すると仮定する。この結果、
Figure 0007306615000055
(ここで、PLslow及びPLslow0は、遅延PL成分の強度及び初期(t=0)
強度である)となる。したがって、
Figure 0007306615000056
(ここで、Cは定数である)が得られる。下記にkの物理モデルの概要を示す(活性化エネルギーの説明のための速度方程式)。
OLED性能特性化
素子のELスペクトルを、PL測定に使用した較正ICCD-分光計セットアップを用いて記録した。スペクトルデータの精度を、LabsphereのCDS-610分光計及びMinoltaのCS-1000輝度計に対してクロスチェックした。電流密度-電圧-輝度(J-V-L)特徴を、MinoltaのCS-200輝度計及びKeithleyの2400ソースメーターを用いて測定した。素子のEQEを、測定されたランバート発光プロファイルに基づいて算出した。加えて、素子サブセットについてのEQE測定の精度を、既知のスペクトル応答関数を有する較正ケイ素フォトダイオード、MinoltaのCS-1000輝度計、及び積分球を用いてチェックした。
過渡エレクトロルミネセンス測定
素子を、オンサイクル(順バイアス)についてはパルス幅0.5msの1kHz矩形波電圧(電流)パルスを用いるファンクションジェネレータを使用して電気的に励起した。素子操作のオフサイクルは、電荷蓄積効果を失わせる-4Vの逆バイアスによってもたらされた。ファンクションジェネレータの装置応答時間はおよそ10nsとした。サンプルの過渡ELを、PL測定に使用した同じICCD分光計によって記録した。
カルベン金属アミドの合成及び特性化
特に明記しない限り全ての反応を空気中で行った。必要に応じて溶媒を蒸留し、乾燥させた。ナトリウムtert-ブトキシド、HNPh、カルバゾール及び3,6-ジ-BuカルバゾールはSigma-Aldrichから購入し、そのまま使用した。錯体(CAAC)M
Cl(M=Cu及びAu)は記載のように得た24、S1H、13C{H}のスペクトルをBrukerのAvance DPX-300 MHz NMR分光計を用いて記録した。H NMR(300.13MHz)及び13C{H}(75.47MHz)ではδ5.32(13C、δ53.84)でのCDClを参照し、UV-可視吸収スペクトルをPerkin-ElmerのLambda 35 UV-vis分光計を用いて1cm石英キュベットで記録した。フォトルミネセンス測定は、適切な場合に固体マウントアタッチメントを備えるPerkin ElmerのLS55蛍光分光計で記録した。全ての電気化学的実験を、AutolabのPGSTAT 302Nコンピュータ制御ポテンシオスタットを用いて行った。サイクリックボルタンメトリー(CV)は、Pt線対電極(99.99%;GoodFellow,Cambridge,UK)及びAg線擬参照電極(99.99%;GoodFellow,Cambridge,UK)と組み合わせたガラス状炭素マクロディスク(macrodisk)作用電極(GCE)(直径3mm;BASi,Indiana,USA)のいずれかからなる三電極配置を用いて行った。GCEは実験間にアルミナスラリー(0.3μm)を用いて研磨し、蒸留水ですすぎ、短時間の超音波処理に供して、付着した全てのアルミナ微小粒子を除去した。次いで、金属電極を100℃の炉内で乾燥させて微量の残留水を全て除去し、GCEを風乾し、微量の残留水を真空下で除去した。IUPACの推奨に従って、Ag線擬参照電極を、各回の最後にMeCN中のフェロセン/フェロセニウム対に対して較正し、電位の任意のドリフトを考慮に入れたS2。全ての電気化学的測定を、研究対象の錯体(0.14mM)及び支持電解質[n-BuN][PF](0.13mM)を含有するMeCN中において常温、不活性Ar雰囲気下で行った。データはAutolabのNOVAソフトウェア(v.1.11)により記録した。元素分析はロンドンメトロポリタン大学により行われた。
X線結晶構造解析
CMA2及びCMA4のX線研究に好適な結晶を、CHCl溶液をヘキサンにより-20℃で層化することによって得た。金錯体(CMA1及びCMA3)を、ベンゼン溶液をゆっくりと蒸発させることにより結晶化した。結晶を油中でガラス繊維上にマウントし、冷窒素流中で回折計に固定した。X線回折実験は、グラファイトモノクロメーターのMo Kα放射(λ=0.71073Å)を用いるOxford DiffractionのXcalibur-3/Sapphire3-CCD回折計により140Kで行った。データはCrystAlisPro-CCD及び-REDソフトウェアを用いて処理したS3
主要結晶学的データ CMA1:C3947AuN、斜方晶、空間群P2、a=9.4256(1)Å、b=15.6507(2)Å、c=21.8140(2)Å、V=3217.94(6)Å、Z=4、dcalc=1.529g cm-3、μ=4.601mm-1、黄色の/プリズム、結晶サイズ0.45×0.42×0.31mm、F(000)=1496、Tmin/Tmax 0.3296/0.2313、R=0.0156(I>2σ(I)の独立反射数6203による)及びwR=0.0379(独立反射数6307の全てによる)、GOF=1.046、Δρmin/Δρmax=0.706/-0.310。CMA2:C3947AuN・CHCl、単斜晶、空間群P2/n、a=10.8520(2)Å、b=18.8311(3)Å、c=18.3279(4)Å、β=106.337(2)度、V=3594.17(12)Å、Z=4、dcalc=1.279g cm-3、μ=0.786mm-1、無色/プリズム、結晶サイズ0.49×0.41×0.23mm、F(000)=1464、Tmin/Tmax 0.8398/0.6993、R=0.0361(I>2σ(I)の独立反射数7150による)及びwR=0.0989(独立反射数8668の全てによる)、GOF=1.063、Δρmin/Δρmax=0.738/-0.697。CMA3:C3949AuN・C、単斜晶、空間群P2/c、a=12.3977(2)、b=20.1046(3)Å、c=15.7158(2)Å、β=107.794(2)度、V=3729.78(9)Å、Z=4、dcalc=1.462g cm-3、μ=3.978mm-1、黄色/プレート、結晶サイズ0.26×0.23×0.15mm、F(000)=1672、Tmin/Tmax0.5868/0.4244、R=0.0226(I>2σ(I)の独立反射数7931による)及びwR=0.0529(独立反射数9002の全てによる)、GOF=1.045、Δρmin/Δρmax=1.357/-0.998。CMA4:C4763AuN・2CHCl、単斜晶、空間群P2/c、a=12.7613(4)Å、b=15.3884(3)Å、c=24.1466(5)Å、β=95.427(2)度、V=4720.6(2)Å、Z=4、dcalc=1.439g cm-3、μ=3.377mm-1、無色/プレート、結晶サイズ0.26×0.17×0.09mm、F(000)=2088、Tmin/Tmax 0.7509/0.4738、R=0.0360(I>2σ(I)の独立反射数11579による)及びwR=0.0798(独立反射数14388の全てによる)、GOF=1.077、Δρmin/Δρmax=1.836/-1.205。アラートBは、最終精密化工程に対するSHEL命令によって課せられるデータの分解範囲の制限による。Bu-基の1つを、等しいCMA4の占有率を有する2つの位置にディスオーダーした。DFIX命令を用いて、ディスオーダーした原子群について四面体ジオメトリを採用した。構造を直接法により解明し、異方性(非水素原子に対する)近似におけるFに対する完全行列最小二乗法により精密化した。全ての水素原子位置を、1.2Ueq(C)に等しく、メチル基については1.5Ueq(Cii)に等しいUiso(H)パラメーターを用いる「騎乗」モデルの等方性近似において精密化した(ここで、U(C)及びU(Cii)は、それぞれ対応するH原子が結合する炭素原子の等価熱パラメーターである)。全ての計算を、SHELXTLソフトウェアを用いて行った
S4
DFT及び時間依存性DFT計算
基底状態を、Ahlrichs及び共同研究者らのdef2-TZVP基底系S7、S8と組合せたハイブリッド密度汎関数PBE0法S5、S6により完全に最適化した。60電子の相対論的有効内核ポテンシャルを用いて、Auの内殻電子を説明したS9、S10。励起状態を、緩和及び基底状態ジオメトリの両方についてTD-DFTを用いて算出したS11。この方法及び基底系は、以前にルミネセンスCu-及びAu-錯体の研究において首尾よく用いられているS12、S13。全ての計算をGaussian 09により行ったS14
活性化エネルギーの解釈のための速度方程式
一重項状態と三重項状態との間に項間交差を有する一般的有機エミッタの励起状態速度論について考察する。およそnsの迅速発光の動力学が、本発明者らが十分に解明されたスペクトル情報を未だ有していない幾何学的スピン及び放射緩和過程の競合により決定されるため、遅延(温度活性化)発光に着目する。ISCが超高速であり得る三配位Cu及びAu錯体との比較により、このモデルにおいてはS の初期迅速減衰後に励起状態集団が主にT状態の三重項を含むと仮定する。したがって、遅延PL成分の速度論は主に三重項集団の時間的展開に支配され、S は完全に減少する。
一重項減衰プロセスは、
Figure 0007306615000057
(一重項の放射減衰)及び、
Figure 0007306615000058
(一重項の非放射減衰)によって特徴付けられる。同様に、このモデルでは、
Figure 0007306615000059
(三重項の放射減衰)及び、
Figure 0007306615000060
(三重項の非放射減衰)を三重項減衰チャネルにおいて可能であると仮定する。
一重項から三重項への変換は項間交差(ISC)速度kISCによって特徴付けられ、逆の過程(RISC)はkRISCで与えられる。一重項集団及び三重項集団の速度論は以下の方程式:
Figure 0007306615000061
(式中、[S]及び[T]はそれぞれ一重項集団及び三重項集団である)によって説明することができる。遅延PLプロセス(t>>1ns)においては、一重項集団は小さく、
Figure 0007306615000062
よりもはるかにゆっくりと変動する。したがって、関係式:
Figure 0007306615000063
を仮定することができる。方程式S1をゼロに設定すると、
Figure 0007306615000064
が得られ、これを、
Figure 0007306615000065
に再整理することができる。方程式S4を方程式S2に代入し、
Figure 0007306615000066
を得る。
したがって、これらの仮定の下で、遅延発光kslowの減衰速度定数は、
Figure 0007306615000067
によって与えられる。
原則として、kISC及びkRISCの両方を、例えば分子回転の促進により熱的に活性化することができる。下記でどちらが支配的であるかを検討する。単純化のために、他の減衰過程の速度が一定のままであると仮定する。
方程式S6は、
Figure 0007306615000068
と書き換えることができる。
方程式S7によると、kISCが支配的な活性化過程である場合、温度の増大はkslowの低下をもたらし、これはより長い遅延PLの寿命に相当する。対照的に、kRISCが支配的な活性化過程である場合、方程式S6により温度の増大と共にkslowが高くなると予測される。後者が実験と一致するため(図2c)、kRISCが支配的な活性化過程であると結論付けられる。
温度非依存三重項減衰速度定数:
Figure 0007306615000069
及び温度非依存係数:
Figure 0007306615000070
を規定する。
方程式S9を検証することにより、αが0~1の定数であることが明らかである。
次いで、方程式S6の温度依存部分を、
Figure 0007306615000071
と書き表すことができ、これは本文に記載の温度依存発光速度に相当する。
次いで、方程式S6を、
Figure 0007306615000072
と単純化することができる。
したがって、遅延PLプロセスを説明する関数は、
Figure 0007306615000073
(ここで、PLslow及びPLslow0は、それぞれ遅延PL成分の強度及び初期(t=0)強度である)と書き表すことができる。
温度依存速度定数が、
Figure 0007306615000074
(ここで、Eは熱活性化エネルギーであり、kはボルツマン定数であり、Tは温度(ケルビン)であり、βは定数である)の形をとると仮定する。
したがって、
Figure 0007306615000075
が得られる。
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J., Brothers, E., Kudin, K. N., Staroverov, V. N., Keith, T., Kobayashi, R., Normand, J., Raghavachari, K., Rendell, A., Burant, J. C., Iyengar, S. S., Tomasi,
J., Cossi, M., Rega, N., Millam, J. M., Klene, M., Knox, J. E., Cross, J. B., Bakken, V., Adamo, C., Jaramillo, J., Gomperts, R., Stratmann, R. E., Yazyev, O.,
Austin, A. J., Cammi, R., Pomelli, C., Ochterski, J. W., Martin, R. L., Morokuma, K., Zakrzewski, V. G., Voth, G. A., Salvador, P., Dannenberg, J. J., Dapprich, S., Daniels, A. D., Farkas, O., Foresman, J. B., Ortiz, J. V., Cioslowski, J. & Fox, D. J. Gaussian 09, Revision C.01, Gaussian, Inc., Wallingford, CT, 2010.
上記に本発明を限定することなく広く説明している。当業者に容易に明らかな変更及び修正が、本特許出願及びそれに付与される任意の特許の範囲に含まれることが意図される。

Claims (27)

  1. 中性の全体的電荷を有する、以下の式I:
    (L)M(X) (I)
    (式(I)中、
    A.
    Mが銅原子であり、
    Lが、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
    前記CAAC配位子Lが、
    A. 式IIIa:
    Figure 0007306615000076
    (式中、R、R、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、
    B. 式IIIb:
    Figure 0007306615000077
    (式中、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、及び、
    C. 以下の化合物の群:
    Figure 0007306615000078

    (ここで、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)から選択され、
    かつ、
    Xがモノアニオン性配位子であり、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物、任意に置換されたアルコキシド、任意に置換されたアリールオキシド、任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルボキシレート、任意に置換されたアニリド、任意に置換されたカルバゾール誘導体、任意に置換されたジヒドロアクリジン、任意に置換されたアゼピン、任意に置換されたジベンザゼピン、任意に置換された10,11-ジヒドロジベンザゼピン、任意に置換されたフェナジン、任意に置換されたオキサジン、任意に置換されたアクリドン、任意に置換されたフェノキサジン、任意に置換されたフェノチアジン、任意に置換されたフェノチアジン5,5-ジオキシド、任意に置換されたジヒドロフェナジン、任意に置換されたチオレート、任意に置換されたチオフェノレート、任意に置換されたチオカルボキシレート、任意に置換されたホスフィンイミネート、任意に置換されたケチミネート、任意に置換されたグアニジネート、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール及び任意に置換されたアルキニルから選択される、

    又は、
    B.
    Mが金原子であり、
    Lが、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
    前記CAAC配位子Lが、
    A. 式IIIa:
    Figure 0007306615000079
    (式中、R、R、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、
    B. 式IIIb:
    Figure 0007306615000080

    (式中、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、及び、
    C. 以下の化合物の群:
    Figure 0007306615000081

    (ここで、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)から選択され、

    かつ、
    Xが式:
    Figure 0007306615000082

    Figure 0007306615000083

    又は
    Figure 0007306615000084

    (式中、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよい)を有し、
    Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である。)の錯体であって、
    ただし、
    化合物
    Figure 0007306615000085

    (ここで、Dippは、2,6-ジイソプロピルフェニルである)は除外され、かつ、
    化合物
    Figure 0007306615000086

    (ここで、Rはイソプロピルを、Arは2,6-ジイソプロピルフェニルを表す)は除外され、かつ、
    化合物
    Figure 0007306615000087

    は除外される、錯体。
  2. 請求項1のAによる錯体である、請求項1に記載の錯体。
  3. 請求項1のBによる錯体である、請求項1に記載の錯体。
  4. 導入されたエネルギーに応じて発光することが可能な発光帯域を備え、該発光することが可能な発光帯域が、式Iaの少なくとも1つの有機金属錯体を含む、発光素子であって、
    (L)M(X) (Ia)
    前記錯体は、中性の全体的電荷を有する、
    (式(Ia)中、
    A.
    Mが銅原子であり、
    Lが、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
    前記CAAC配位子Lが、
    A. 式IIIa:
    Figure 0007306615000088

    (式中、R、R、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、
    B. 式IIIb:
    Figure 0007306615000089

    (式中、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、及び、
    C. 以下の化合物の群:
    Figure 0007306615000090

    (ここで、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)から選択され、
    かつ、
    Xがモノアニオン性配位子であり、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物、任意に置換されたアルコキシド、任意に置換されたアリールオキシド、任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルボキシレート、任意に置換されたアニリド、任意に置換されたカルバゾール誘導体、任意に置換されたジヒドロアクリジン、任意に置換されたアゼピン、任意に置換されたジベンザゼピン、任意に置換された10,11-ジヒドロジベンザゼピン、任意に置換されたフェナジン、任意に置換されたオキサジン、任意に置換されたアクリドン、任意に置換されたフェノキサジン、任意に置換されたフェノチアジン、任意に置換されたフェノチアジン5,5-ジオキシド、任意に置換されたジヒドロフェナジン、任意に置換されたチオレート、任意に置換されたチオフェノレート、任意に置換されたチオカルボキシレート、任意に置換されたホスフィンイミネート、任意に置換されたケチミネート、任意に置換されたグアニジネート、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール及び任意に置換されたアルキニルから選択される、

    又は、
    B.
    Mが金原子であり、
    Lが、カルベン部位を含む環の原子が炭素原子及び1個の窒素原子からなる飽和環式構造を有する環式アルキルアミノカルベン(CAAC)配位子であり、
    前記CAAC配位子Lが、
    A. 式IIIa:
    Figure 0007306615000091

    (式中、R、R、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、
    B. 式IIIb:
    Figure 0007306615000092
    (式中、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)の化合物、及び、
    C. 以下の化合物の群:
    Figure 0007306615000093

    (ここで、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基を表す)から選択され、
    かつ、
    Xが式:
    Figure 0007306615000094

    Figure 0007306615000095

    又は
    Figure 0007306615000096
    (式中、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよい)を有し、
    Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である、錯体であって、
    ただし、
    化合物
    Figure 0007306615000097

    (ここで、Dippは、2,6-ジイソプロピルフェニルである)は除外され、かつ、
    化合物
    Figure 0007306615000098

    (ここで、Rはイソプロピルを、Arは2,6-ジイソプロピルフェニルを表す)は除外され、かつ、
    化合物
    Figure 0007306615000099

    は除外される錯体である。)発光素子。
  5. 前記配位子Xが式IV:
    [E-Ar] (IV)
    (式中、Arは任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール基であり、
    E-はC(R)(R)-、O-、S-、Se-、Te-、N(R)-、P(R)-、As(R)-及びSb(R)-から選択され、
    ここでR、R及びRは独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選ばれ、R、R及びR基は存在する場合、任意に1つ以上のリンカー種によって、またC、N、P、As又はSb原子を介してAr部分に直接接続してもよい)の化合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の錯体。
  6. 前記配位子Xが、塩化物、臭化物及びヨウ化物;シアン化物、チオシアネート(SCN)、シアネート(OCN)、イソシアネート(NCO)及びイソチオシアネート(NCS)、イソセレノシアネート(NCSe);アリールアミド、例えばNHPh及びNH(3
    ,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)、並びにジアリールアミド、例えばNPh(ここで、Phはフェニルである);カルバゾレート;ジ-tert-ブチルカルバゾレート、例えば3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾレート;OPh(ここで、Phはフェニルである);O-(2,6-ジフルオロフェニル);O-(2-tertブチル-5-メチルフェニル);O-(3,5-ジ-tertブチルフェニル);SPh(ここで、Phはフェニルである);1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシド;フェノレート、2-メチルフェノレート、2-tertブチル-5-メチルフェノレート、2,6-ジメチルフェノレート、3,5-ジメチルフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノレート、2-クロロフェノレート、2,6-ジクロロフェノレート、2,6-ジフルオロフェノレート、2,6-ジブロモフェノレート、2,6-ジヨードフェノレート、4-フルオロフェノレート、4-トリフルオロメチルフェノレート、1-ナフトレート及び2-ナフトレート(各々がカルバゾリル、(N-アルキル)カルバゾリル又は(N-アリール)カルバゾリル置換基の1つ以上によって任意に置換されていてもよく、ここで各カルバゾリル部分はprim-、sec-若しくはtert-アルキル置換基、又はそれらの任意の組合せの1つ以上を任意に保有し得る);1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖チオレート;チオフェノレート、2-メチルチオフェノレート、2-tertブチル-5-メチルチオフェノレート、2,6-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルチオフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)チオフェノレート、2-クロロチオフェノレート、2,6-ジクロロチオフェノレート、2,6-ジフルオロチオフェノレート、2,6-ジブロモチオフェノレート、2,6-ジヨードチオフェノレート、4-フルオロチオフェノレート、4-トリフルオロメチルチオフェノレート、1-チオナフトレート及び2-チオナフトレート(各々がカルバゾリル、(N-アルキル)カルバゾリル又は(N-アリール)カルバゾリル置換基の1つ以上によって任意に置換されていてもよく、ここで各カルバゾリル部分はprim-、sec-若しくはtert-アルキル置換基、又はそれらの任意の組合せの1つ以上を任意に保有し得る);カルボキシレートRCOO(ここで、Rはアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリールから選ばれる);チオカルボキシレートRCSO(ここで、Rはアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリールから選ばれる);フェナジン;N-メチルフェナジン;フェノチアジン;3,7-ジニトロフェノチアジン;オキサジン;アクリドン;ジベンザゼピン;10,11-ジヒドロジベンザゼピン;ホスフィンイミネートR1’2’3’PN(ここでR1’、R2’及びR3’は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる);ケチミネートR1’’2’’CN(ここで、R1’’及びR2’’は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる);並びにグアニジネート[(R1’’’2’’’N)C(NR3’’’)(NR4’’’)](ここでR1’’’、R2’’’、R3’’’及びR4’’’は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる)から選択される、請求項1~3又は5のいずれか一項に記載の錯体。
  7. 前記錯体が、
    Figure 0007306615000100

    Figure 0007306615000101

    Figure 0007306615000102

    (M=Au又はCu)
    (ここで、錯体8A、8B、8C及び8Dにおいて、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよく、Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である)から選択される錯体である、請求項1~3、5、6のいずれか一項に記載の錯体。
  8. Mが銅及び金から選択され、
    Lが式IIIa:
    Figure 0007306615000103

    (式中、R、R、R及びRがCH基であり、Arが2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表すか、又は、R及びRがメチル基であり、R及びRがエチル基であり、Arが2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表すか、又は、
    及びRがメチル基であり、R及びRが共に任意に置換されたシクロアルキリデン(スピロシクロアルキル)基、好ましくはシクロヘキシリデン(スピロ-シクロヘキシル)を形成し、Arが2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表す)の化合物から選択されるか、又は、
    Lが式IIIb:
    Figure 0007306615000104

    (式中、R及びRはCH基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表す)のスピロアダマンタン化合物であり、
    かつ、
    Xが、
    窒素原子Nがアミドアニオン性窒素である以下の一般式:
    Figure 0007306615000105

    Figure 0007306615000106

    Figure 0007306615000107

    (式中、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは
    0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよい)を有し、
    Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH-CH-エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C-、例えば非置換-C-))、O、S、NR’、SO、SO及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基であ、請求項1~3、5~7のいずれか一項に記載の錯体。
  9. 前記Xが、ジアリールアミドアニオン中のアリール基又はカルバゾレートアニオン中の芳香環が各々任意に置換されていてもよいジアリールアミド又はカルバゾレートアニオンである、請求項8に記載の錯体。
  10. 前記Xが、非置換ジフェニルアミドアニオン(NPh )、又はフェニル基が各々1つ以上の置換基によって置換されたジフェニルアミドアニオン;例えば非置換ジフェニルアミドアニオン;又は非置換カルバゾレートアニオン、又は芳香環が各々1つ以上の置換基によって置換されたカルバゾレート、例えば非置換カルバゾレートアニオン又は3,6-ジ-tブチル-カルバゾレートアニオンである、請求項9に記載の錯体。
  11. 前記錯体が、
    錯体8A(a)、EがN-CHであり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(b)、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(c)、Eが-CH-CH-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NOである錯体8Aの実施形態;
    錯体8B(a)、EがN-CHであり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(b)、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(c)、Eが-CH-CH-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NOである錯体8Bの実施形態;
    錯体8C(a)、EがN-CHであり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(b)、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(c)、Eが-CH-CH-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形
    態;
    錯体8C(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NOである錯体8Cの実施形態
    体S12=錯体6Me、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S13=錯体6Et、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S14=錯体6Ad、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S15=錯体7Me、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S16=錯体7Et、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S17=錯体7Ad、銅類似体(すなわち、M=Cu)
    ある、請求項7に記載の錯体。
  12. 前記錯体が、
    Figure 0007306615000108

    Figure 0007306615000109

    Figure 0007306615000110

    Figure 0007306615000111

    (ここで、錯体S18、S19、S20及びS21において、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香
    環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同一であっても又は異なってもよく、この場合、前記置換基の存在は、前記置換基が前記芳香環部分で同一であることを示しており、Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH 、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH -CH -エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C -、例えば非置換-C -))、O、S、NR’、SO、SO 及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である。)
    である、請求項1に記載の錯体。
  13. 前記配位子Xが式IV:
    [E-Ar] (IV)
    式中、Arは任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール基であり、
    E-はC(R )(R )-、O-、S-、Se-、Te-、N(R)-、P(R)-、As(R)-及びSb(R)-から選択され、
    ここでR、R 及びR は独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選ばれ、R、R 及びR 基は存在する場合、任意に1つ以上のリンカー種によって、またC、N、P、As又はSb原子を介してAr部分に直接接続してもよい)の化合物である、請求項4に記載の発光素子。
  14. 前記配位子Xが、塩化物、臭化物及びヨウ化物;シアン化物、チオシアネート(SCN)、シアネート(OCN)、イソシアネート(NCO)及びイソチオシアネート(NCS)、イソセレノシアネート(NCSe);アリールアミド、例えばNHPh及びNH(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)、並びにジアリールアミド、例えばNPh (ここで、Phはフェニルである);カルバゾレート;ジ-tert-ブチルカルバゾレート、例えば3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾレート;OPh(ここで、Phはフェニルである);O-(2,6-ジフルオロフェニル);O-(2-tertブチル-5-メチルフェニル);O-(3,5-ジ-tertブチルフェニル);SPh(ここで、Phはフェニルである);1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシド;フェノレート、2-メチルフェノレート、2-tertブチル-5-メチルフェノレート、2,6-ジメチルフェノレート、3,5-ジメチルフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノレート、2-クロロフェノレート、2,6-ジクロロフェノレート、2,6-ジフルオロフェノレート、2,6-ジブロモフェノレート、2,6-ジヨードフェノレート、4-フルオロフェノレート、4-トリフルオロメチルフェノレート、1-ナフトレート及び2-ナフトレート(各々がカルバゾリル、(N-アルキル)カルバゾリル又は(N-アリール)カルバゾリル置換基の1つ以上によって任意に置換されていてもよく、ここで各カルバゾリル部分はprim-、sec-若しくはtert-アルキル置換基、又はそれらの任意の組合せの1つ以上を任意に保有し得る);1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖チオレート;チオフェノレート、2-メチルチオフェノレート、2-tertブチル-5-メチルチオフェノレート、2,6-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジメチルチオフェノレート、3,5-ジ-t-ブチルチオフェノレート、3,5-ビス(トリフルオロメチル)チオフェノレート、2-クロロチオフェノレート、2,6-ジクロロチオフェノレート、2,6-ジフルオロチオフェノレート、2,6-ジブロモチオフェノレート、2,6-ジヨードチオフェノレート、4-フルオロチオフェノレート、4-トリフルオロメチルチオフェノレート、1-チオナフトレート及び2-チオナフトレート(各々がカルバゾリル、(N-アルキル)カルバゾリル又は(N-アリール)カルバゾリル置換基の1つ以上によって
    任意に置換されていてもよく、ここで各カルバゾリル部分はprim-、sec-若しくはtert-アルキル置換基、又はそれらの任意の組合せの1つ以上を任意に保有し得る);カルボキシレートRCOO (ここで、Rはアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリールから選ばれる);チオカルボキシレートRCSO (ここで、Rはアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリールから選ばれる);フェナジン;N-メチルフェナジン;フェノチアジン;3,7-ジニトロフェノチアジン;オキサジン;アクリドン;ジベンザゼピン;10,11-ジヒドロジベンザゼピン;ホスフィンイミネートR 1’ 2’ 3’ PN (ここでR 1’ 、R 2’ 及びR 3’ は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる);ケチミネートR 1’’ 2’’ CN (ここで、R 1’’ 及びR 2’’ は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる);並びにグアニジネート[(R 1’’’ 2’’’ N)C(NR 3’’’ )(NR 4’’’ )] (ここでR 1’’’ 、R 2’’’ 、R 3’’’ 及びR 4’’’ は独立してアルキル、アルケニル、アリール及びヘテロアリール基から選ばれる)から選択される、請求項4又は13に記載の発光素子。
  15. 前記錯体が、
    Figure 0007306615000112

    Figure 0007306615000113

    Figure 0007306615000114

    (M=Au又はCu)
    (ここで、錯体8A、8B、8C及び8Dにおいて、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよく、Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH2、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH -CH -エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C -、例えば非置換-C -))、O、S、NR’、SO、SO 及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である)から選択される錯体である、請求項4、13~14のいずれか一項に記載の発光素子。
  16. Mが銅及び金から選択され、
    Lが式IIIa:
    Figure 0007306615000115

    (式中、R 、R 、R 及びR がCH 基であり、Arが2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表すか、又は、R 及びR がメチル基であり、R 及びR がエチル基であり、Arが2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表すか、又は、
    及びR がメチル基であり、R 及びR が共に任意に置換されたシクロアルキリデン(スピロシクロアルキル)基、好ましくはシクロヘキシリデン(スピロ-シクロヘキシル)を形成し、Arが2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表す)の化合物から選択されるか、又は、
    Lが式IIIb:
    Figure 0007306615000116

    (式中、R 及びR はCH 基であり、Arは2,6-ジアルキル置換フェニル基、最も好ましくは2,6-ジイソプロピルフェニル基を表す)のスピロアダマンタン化合物であり、
    かつ、
    Xが、
    窒素原子Nがアミドアニオン性窒素である以下の一般式:
    Figure 0007306615000117

    Figure 0007306615000118

    Figure 0007306615000119

    (式中、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同じであっても又は異なっていてもよい)を有し、
    Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH 、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH -CH -エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C -、例えば非置換-C -))、O、S、NR’、SO、SO 及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である、請求項4、13~15のいずれか一項に記載の発光素子。
  17. 前記Xが、ジアリールアミドアニオン中のアリール基又はカルバゾレートアニオン中の芳香環が各々任意に置換されていてもよいジアリールアミド又はカルバゾレートアニオンである、請求項16に記載の発光素子。
  18. 前記錯体が、
    錯体8A(a)、EがN-CH であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(b)、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(c)、Eが-CH -CH -であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Aの実施形態;
    錯体8A(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NO である錯体8Aの実施形態;
    錯体8B(a)、EがN-CH であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(b)、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(c)、Eが-CH -CH -であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Bの実施形態;
    錯体8B(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NO である錯体8Bの実施形態;
    錯体8C(a)、EがN-CH であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(b)、Eが結合であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(c)、Eが-CH -CH -であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(d)、Eが-O-であり、RnがHであり、RmがHである錯体8Cの実施形態;
    錯体8C(e)、Eが-S-であり、Rn及びRmがフェノチアジン部分の3位及び7位の各々で-NO である錯体8Cの実施形態;
    錯体S12=錯体6Me、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S13=錯体6Et、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S14=錯体6Ad、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S15=錯体7Me、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S16=錯体7Et、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    錯体S17=錯体7Ad、銅類似体(すなわち、M=Cu);
    である、請求項15に記載の発光素子。
  19. 前記錯体が、
    Figure 0007306615000120

    Figure 0007306615000121

    Figure 0007306615000122

    Figure 0007306615000123

    (ここで、錯体S18、S19、S20及びS21において、Rn、Rm及びRkはそれぞれの芳香環の任意の置換基を表し、n、m及びkは0から利用可能な最大値までの数であり、いずれの場合にも該置換基の存在、数、位置及び/又は同一性は異なる芳香環部分で同じであっても又は異なっていてもよく、n、m又はkが1を超える場合、特定の芳香
    環部分の置換基の各R基の同一性は互いに同一であっても又は異なってもよく、この場合、前記置換基の存在は、前記置換基が前記芳香環部分で同一であることを示しており、Eは結合であるか、又は任意に置換されたヒドロカルビル(例えば、任意に置換された>CH 、任意に置換された-CH=CH-、任意に置換された-CH -CH -エチレン、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換された-C -、例えば非置換-C -))、O、S、NR’、SO、SO 及びAsR’(ここで、R’は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)から選択される基である。)
    である、請求項4に記載の発光素子。
  20. 請求項4のAによる発光素子である、請求項4に記載の発光素子。
  21. 請求項4のBによる発光素子である、請求項4に記載の発光素子。
  22. 光を発生する発光素子における、請求項1~3、5~12のいずれか一項に規定される式Iaの少なくとも1つの有機金属錯体の使用。
  23. 請求項4、20及び21のいずれか一項に記載の発光素子を備える、フラットパネルディスプレー、コンピュータ用モニター、テレビ、ビルボード、屋内又は屋外照明及び/又は信号の光源、ヘッドアップディスプレー、完全透明ディスプレー、フレキシブルディスプレー、レーザープリンター、電話、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレー、車両、大面積壁面、映画館又はスタジアム用のスクリーン、並びに標識から選択される装置。
  24. 請求項1~3、5~12のいずれか一項に規定される式I若しくは式Iaの錯体を作製する方法であって、
    A.
    式II:
    M-X (II)
    の化合物とCAAC化合物Lとを溶媒中で接触させると共に、式I若しくは式Iaの錯体を回収すること(ここでL、M及びXは、請求項1~3、5~12のいずれか一項において式I又は式Iaについて規定される通りである)、又は、
    B.
    Mが銅であり、Xが任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアリールオキシド若しくは任意に置換されたアリールアミドである場合に、
    式Ib:
    L-Cu-X’ (Ib)
    (式中、Lは請求項1~3、5~12のいずれか一項において式I又は式Iaについて規定される通りであり、X’はCl、OH又はOBuである)のCAAC化合物と式V:
    X-H (V)
    (式中、Xは任意に置換されたアリールアセチリド、任意に置換されたアリールオキシド又は任意に置換されたアリールアミドである)の化合物とを溶媒中で接触させると共に、式I若しくは式Iaの錯体を回収すること、又は、
    C.
    Mが金である場合に、
    式Ic:
    L-Au-X’ (Ic)
    (式中、Lは請求項1~3、5~12のいずれか一項において式I又は式Iaについて規
    定される通りであり、X’はCl又はOH又はOBuである)のCAAC化合物と式Va:
    X-H (Va)
    (式中、Xは式:
    R’-N-R’’
    若しくは
    Figure 0007306615000124
    (式中、R’及びR’’は水素及び有機基から選択され、どちらも有機基である場合に同じであっても又は異なっていてもよいが、但しR及びR’’の少なくとも一方がアリールであり、
    Figure 0007306615000125

    は1つ以上の環を含有し得る環式有機基を表すが、但し環式有機基は式Vaの化合物が任意に置換されたアリールアミドであるようなものである)を有する任意に置換されたアリールアミドである)の化合物とを溶媒中で接触させると共に、式I若しくは式Iaの錯体を回収すること、
    を含む、方法。
  25. 請求項4、20及び21のいずれか一項に記載の発光素子に使用される構成要素を作製する方法であって、
    基板上に有機発光帯域構成要素の層を溶媒中のその溶液から又は熱蒸発により堆積させ、該堆積の前に、それと同時に及び/又はその後に1つ以上の付加的な層、構成要素又はそれらの組合せを基板上に任意に設けることと、
    任意の溶媒を任意の所望の時点で除去して、発光素子に使用される構成要素を得ることと、
    を含む、方法。
  26. 前記発光素子に使用される構成要素が、少なくとも発光素子の正孔輸送帯域及び発光帯域を含み、前記方法が、前記帯域の各々を形成する有機物質の層を溶媒中のその溶液から又は熱蒸発により堆積させることを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記堆積が同時であるか、順次であるか、又は一部の層を同時に堆積させ、一部を順次に堆積させる、請求項26に記載の方法。
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