JP7305737B1 - 摩擦式トルクリミッタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ばね部材6の弾性片14を折損させることなく且つ容易に複数のばね部材6と内輪4とを組み合わせることのできる、トルクリミッタの製造方法を提供すること。【解決手段】係止手段をばね部材6の基部12の外周面から径方向外側に突出する係止突部18及び外輪8の内周面から径方向内側に突出する被係止突部26から構成すると共に弾性片14の基端をばね部材6の基部12の内周面に接続し、ばね部材6を外輪8と組み合わせるより先に、基部12を軸方向に押圧して内輪4に圧入する。又は、複数のばね部材6を外輪8と組み合わせるより先に内輪4に一つずつ順次圧入する圧入工程にて、内輪4に対する複数のばね部材6の圧入量を夫々漸次低減せしめる。【選択図】図7

Description

本発明は、断面円形の内輪と、内輪の外周面を囲む環状のばね部材と、ばね部材に対して回転不能な外輪とを備え、内輪と外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときに、内輪と外輪とが相対回転するトルクリミッタの製造方法に関する。
トルクリミッタは、駆動源のモーター等に過負荷が掛かったときに負荷を切り離してモーターを保護する部品、つまり、伝達トルクを制限する部品として一般的に利用されている。さらに、トルクリミッタは、例えばノート型パソコンのディスプレイを本体に枢着する部分にも適用され、ディスプレイを任意の角度に固定すると同時に、手動で余分のトルクを付加したときはディスプレイと本体とが相対的に回転するようにして、いわゆるトルクヒンジの機能を行わせることもできる。
下記特許文献1には、本願の出願人によって本願に先立って出願して既に特許された環状のばね部材を用いた摩擦式のトルクリミッタの一例が示されている。このトルクリミッタは、共通の中心軸を有する、断面円形の内輪と、環状のばね部材と、外輪とを備え、ばね部材は内輪の外周面を囲み、ばね部材及び外輪は係止手段によって相対回転不能に組み合わされている。前記ばね部材は軸方向に直列に複数配置され、複数の前記ばね部材は夫々薄板環形状の基部と、径方向内側に向かって軸方向に傾斜して延びて且つ周方向に間隔をおいて複数設けられる弾性片とを含んでおり、弾性片の先端部は内輪の外周面に当接する当接内面を備えている。上記係止手段は、ばね部材の基部の内周面から径方向内側に突出する係止突部と、外輪と一体で且つ外輪の内周面から径方向内側に離隔した位置で軸方向に直線状に延びる柱状の被係止突部とから構成され、弾性片は係止突部の内周縁部に設けられている。そして、前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときに、前記内輪の外周面と前記ばね部材の当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転する。
特許第6655654号公報
上記特許文献1に示されたトルクリミッタの製造方法について、上記特許文献1では特に言及されていないが、内輪とばね部材とを組み合わせた後にこれらと外輪とを組み合わせる場合には、以下のとおりの問題が生じる。即ち、内輪にばね部材を圧入する際には、ばね部材の弾性片が折損することを防止する観点から弾性片の近傍つまり係止突部を局所的に押圧する必要があり、押圧箇所を係止突部に位置合わせしなければならず製造工程が煩雑となる。係止突部ではなく薄板円環形状の基部全体を押圧した場合には、基部と弾性片との間に存在する係止突部が基部を基端として軸方向に屈曲せしめられる虞があり好ましくない。一方、外輪と複数のばね部材とを組み合わせた後にこれらと内輪とを組み合わせる場合には、以下のとおりの問題が生じる。即ち、内輪を複数のばね部材に同時に圧入することに起因して、ばね部材に対して内輪を相当大きな力で押圧する必要があり、この場合もやはり、ばね部材の弾性片が折損する虞がある。また、内輪を押圧する装置も大型又は高出力のものが必要となるため製造コストが嵩む。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ばね部材の弾性片を折損させることなく且つ容易に複数のばね部材と内輪とを組み合わせることのできる、新規且つ改良されたトルクリミッタの製造方法を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、係止手段をばね部材の基部の外周面から径方向外側に突出する係止突部及び外輪の内周面から径方向内側に突出する被係止突部から構成すると共に弾性片の基端をばね部材の基部の内周面に接続し、ばね部材を外輪と組み合わせるより先に、基部を軸方向に押圧して内輪に圧入する、ことで上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記主たる技術的課題を解決するトルクリミッタの製造方法として、共通の中心軸を有する、断面円形の内輪と、環状のばね部材と、外輪とを備え、前記ばね部材は前記内輪の外周面を囲み、前記ばね部材及び前記外輪は係止手段によって相対回転不能に組み合わされており、
前記ばね部材は薄板環形状の基部と、径方向内側に向かって軸方向に傾斜して延びて且つ周方向に間隔をおいて複数設けられる弾性片とを含み、前記弾性片の先端部は前記内輪の外周面に当接する当接内面を備えており、
前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときに、前記内輪の外周面と前記ばね部材の前記当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転するトルクリミッタの製造方法において、
前記係止手段は、前記ばね部材の前記基部の外周面から径方向外側に突出する係止突部及び前記外輪の内周面から径方向内側に突出する被係止突部から構成され、
前記弾性片の基端は前記基部の内周面に接続されており、
前記内輪に対して前記ばね部材の前記基部を環状の押圧具によって全体的に軸方向に押圧して前記ばね部材を前記内輪に圧入する圧入工程と、
前記圧入工程の後に、前記ばね部材が圧入された前記内輪と前記外輪とを組み合わせる組み合わせ工程とを含む、ことを特徴とするトルクリミッタの製造方法が提供される
本発明の第二の局面によれば、上記主たる技術的課題を解決するトルクリミッタの製造方法として、共通の中心軸を有する、断面円形の内輪と、環状のばね部材と、外輪とを備え、前記ばね部材は前記内輪の外周面を囲み、前記ばね部材及び前記外輪は係止手段によって相対回転不能に組み合わされており、
前記ばね部材は薄板環形状の基部と、径方向内側に向かって軸方向に傾斜して延びて且つ周方向に間隔をおいて複数設けられる弾性片とを含み、前記弾性片の先端部は前記内輪の外周面に当接する当接内面を備えており、
前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときに、前記内輪の外周面と前記ばね部材の前記当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転するトルクリミッタの製造方法において、
前記係止手段は、前記ばね部材の前記基部の外周面から径方向外側に突出する係止突部及び前記外輪の内周面から径方向内側に突出する被係止突部から構成され、
前記弾性片の基端は前記基部の内周面に接続されており、
前記係止突部の周方向両側にガイドが配置された状態で、前記内輪に対して前記ばね部材の前記基部を軸方向に押圧して前記ばね部材を前記内輪に圧入する圧入工程と、
前記圧入工程の後に、前記ばね部材が圧入された前記内輪と前記外輪とを組み合わせる組み合わせ工程とを含む、ことを特徴とするトルクリミッタの製造方法が提供される。
好ましくは、前記圧入工程にあっては、複数の前記ばね部材が前記内輪に順次圧入され、前記内輪に対する複数の前記ばね部材の圧入量は夫々漸次低減せしめられる。前記基部の外周縁部には、軸方向に起立した後に径方向に延出する筒状の補助壁が設けられているのが良い。前記ばね部材は金属製の薄板をプレスして形成されるのが好ましい。
本発明によれば、ばね部材における弾性片の基端は薄板環形状の基部の内周面に接続されており、ばね部材は外輪と組み合わされるより先に、基部が軸方向に押圧されて内輪に圧入せしめられる。つまり、弾性片は基部に直接的に接続されていて且つ基部は環形状であることから、ばね部材を軸方向に押圧する押圧箇所はばね部材の所定位置に限定されることなく基部全体の任意の位置であってよく、それ故に、弾性片を折損させることなく容易にばね部材を内輪に圧入することができる
本発明に従って構成されたトルクリミッタの好適実施形態の全体的な構成を示す図。 図1に示すトルクリミッタの分解斜視図。 図1に示す内輪を単体で示す図。 図1に示すばね部材を単体で示す図。 図1に示す外輪を単体で示す図。 図1に示すシールド板を単体で示す図。 図3に示す内輪に図4に示すばね部材を圧入する工程を模式的に示す図。
以下、本発明に従って構成されたトルクリミッタの好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示すトルクリミッタは、共通の中心軸oを有する、内輪4と、環状のばね部材6と、外輪8とを備えている。図示の実施形態においては、内輪4及びばね部材6は金属製であるが、外輪8は合成樹脂製である。
図1及び図2と共に図3を参照して説明すると、内輪4は円筒形状、従って断面円形であり、軸方向に貫通している。内輪4の内周面には内径が局所的に増大せしめられて軸方向に延在する嵌合溝10が直径方向の両側に一つずつ設けられている。嵌合溝10の軸方向の一方は開放されているが他方は閉鎖されており、嵌合溝10を介して図示しない一方の外部部材が内輪4に連結される。
図1及び図2と共に図4を参照して説明すると、ばね部材6は内輪4の外周面を囲んで軸方向に対して垂直に配置されている。ばね部材6は軸方向に直列に複数、図示の実施形態においては3つ配置されており、図1及び図2では図中の右から左に順にa乃至cを付して示す。ばね部材6は、薄板環形状の基部12と、径方向内側に向かって軸方向に傾斜して延びる弾性片14とを含んでおり、金属製の薄板をプレスして形成される。図示の実施形態においては、基部12は薄板円環形状であって、その外周縁部には、軸方向に起立した後に径方向に僅かに延出する筒状の補助壁16が設けられており、補助壁16の断面形状はL字形状である。補助壁16の外周縁には、径方向外方に突出する略矩形形状の係止突部18が周方向に等角度間隔をおいて8個形成されている。8個の係止突部18のうちの1つの外周面には径方向内側に凹んだノッチ19が形成されている。弾性片14の基端は基部12の内周面に接続されており、弾性片14は周方向に間隔をおいて複数(図示の実施形態においては、周方向に等角度間隔をおいて4つ)設けられている。弾性片14の先端部は内輪4の外周面と当接する当接内面20を備えている。
図1及び図2と共に図5を参照して説明すると、外輪8は円筒形状の外輪主部22と、外輪主部22の内周面の軸方向片側端部から径方向内側に延出する円環形状の端板24とを含んでおり、外輪主部22の内側には内輪4及びばね部材6が収容されている。外輪主部22の内周面には、ばね部材6に形成された係止突部18と協働して係止手段を構成する被係止突部26が形成されている。被係止突部26は外輪主部22の内周面から径方向内側に突出して断面は略台形形状であり、係止突部18と対応して、つまり周方向に等角度間隔をおいて8個形成されている。図示の実施形態においては、被係止突部26は端板24の軸方向他側端面に一体的に接続されており、被係止突部26は端板24の軸方向他側端面から外輪主部22の軸方向他側端部まで軸方向に直線状に延びている。外輪主部22の内周面の軸方向他側端部には径方向内側に向かって突出する係止突起28が周方向に等角度間隔をおいて4つ形成されている。外輪主部22の内周面の軸方向他側端部には更に、径方向内側に向かって突出する弧状突部30が3つ形成されている。弧状突部30は係止突起28とは周方向の異なる位置に形成されている。端板24の軸方向他側面の内周縁部は軸方向片側に幾分変位されており、これにより端板24の軸方向他側面には断面円形の凹部32が形成されている。端板24の軸方向片側面には軸方向片側に向かって突出する連結部34が形成されている。連結部34を軸方向に見ると、円形の直径方向両側を平行に直線状に切り欠いた形状であり、中央には軸方向に貫通する円形の貫通穴36が、径方向中間部には軸方向に延びる有底の略円弧形状の2つの穴38が夫々形成されている。2つの穴38は貫通穴36を挟んで直径方向の両側に夫々位置している。連結部34の内周面の軸方向片側端部には、径方向内側に向かって突出する環状突条40も形成されている。連結部34の外周面又は2つの穴38或いはその全てに図示しない他方の外部部材が嵌め合わされて、外輪8は他方の連結部材に連結される。
図1に示すとおり、外輪主部22の軸方向他側端は合成樹脂製のシールド板42によって閉鎖される。図1と共に図2及び図6を参照して説明すると、シールド板42は軸方向に対して垂直に配置される円環形状の中間部44と、中間部44の軸方向片側面から軸方向片側に隆起する片側隆起部46と、中間部44の軸方向他側面から軸方向他側に隆起する他側隆起部48とを備えている。中間部44の外周面には切り欠き50が周方向に間隔をおいて3つ形成されている。切り欠き50の周方向位置は外輪8の弧状突部30の周方向位置と対応する。片側隆起部46は中間部44の軸方向片側面の内周縁部に沿って周方向に連続する円環形状部46aと円環形状部46aの外周面から径方向外方に突出する突出部46bとから構成され、突出部46bは外輪8の被係止突部26の数と対応して、つまり周方向に等角度間隔をおいて8個形成されている。軸方向に見ると、突出部46bは略矩形形状であって、その外周縁は中間部44の外周縁に沿って延在し、全ての突出部46bの外周縁を通過する仮想円の直径は中間部44の外径と等しく、外周縁部はテーパー形状となっている。そして、周方向に隣接する2つの突出部46bの間の空間部は外輪8の被係止突部26の軸方向端部を受容可能な略台形形状となっている。他側隆起部48は円環形状であって中間部44と同一の中心軸を有するが、外径及び内径は共に中間部44のものよりも小さい。他側隆起部48の内径が中間部44の内径よりも小さいことに起因して、シールド板42の軸方向片側面には断面円形の凹部52が形成される。
続いて、上述した各構成部品を組みあわせてトルクリミッタ2を製造する工程について説明する。かかる工程では、ばね部材6を外輪8と組み合わせるよりも先に内輪4に圧入することが重要である。従って、上記工程は、内輪4にばね部材6を圧入する圧入工程と、圧入工程の後に、ばね部材6が圧入された内輪4を外輪8に組み合わせる組み合わせ工程とを含む。
図7を参照して説明すると、本発明によれば、ばね部材6における弾性片14の基端は薄板環形状の基部12の内周面に接続されており、ばね部材6は外輪8と組み合わされるより先に、基部12が軸方向に押圧されて内輪4に圧入せしめられる。ばね部材6が内輪4に圧入される方向を図中の矢印で示す。弾性片14は基部12に直接的に接続されていて且つ基部12は環形状であることから、ばね部材6を軸方向に押圧する押圧箇所はばね部材6の所定位置に限定されることなく基部12全体の任意の位置であってよく、それ故に、弾性片14を折損させることなく容易にばね部材6を内輪4に圧入することができる。つまり上記圧入工程を円滑に遂行することができる。図示の実施形態においては、図7左図に示すとおり、係止突部18の周方向両側にガイド54(二点鎖線)が配置された状態で、基部12が図示しない円環形状の押圧具によって内輪に対して押圧せしめられる。ガイド54は軸方向に直線状に起立する棒状であって、これが係止突部18の周方向両側に配置されることで、内輪4に対するばね部材6の姿勢が維持されるため、押圧具は良好な精度でばね部材6を内輪4に圧入することができる。図示の実施形態においては、ガイド54は周方向に隣接する2つの係止突部18の間の全てに配置されているが、内輪4に対するばね部材6の姿勢を維持することができれば、ガイド54の数及び配置は適宜に調整することができる。上記圧入工程では更に、内輪4に複数(図示の実施形態においては3つ)のばね部材6が順次圧入される。その際には、内輪4に対する複数のばね部材6の圧入量を夫々漸次低減し、一のばね部材6が他のばね部材6と軸方向に当接することまでは許容するがこれを軸方向に押圧しないようにする。図7では圧入された複数のばね部材6夫々の軸方向位置を一点鎖線で示している。複数のばね部材6が内輪4に圧入された後にあっては、複数のばね部材6は夫々離隔していてよく、図示の実施形態では、図1中のA-A断面の部分拡大図に示すとおり、3個のばね部材6は夫々僅かに離隔して配置されている。こうすることで、小さく且つ一定の力でばね部材6を押圧することができ、従って、弾性片14に過剰な負荷をかけることなく内輪4に複数のばね部材6を圧入することができ、それ故に、弾性片14を折損させることなく且つ容易に複数のばね部材6と内輪4とを組み合わせることができる。なお、圧入工程では、ガイド54の存在によって複数のばね部材6の係止突部18の周方向位置は全て整合せしめられる。
圧入工程では複数のばね部材6の係止突部18の周方向位置が全て整合せしめられることから、組み合わせ工程では、ばね部材6の係止突部18と外輪主部22の内周面に形成された被係止突部26とが周方向に係止するようにして、ばね部材6が圧入された内輪4を外輪主部22の内側に挿入し、内輪4の軸方向片側端部を凹部32にて外輪8に回転可能に軸支させる。その後に、シールド板42を外輪主部22の軸方向他側端にて、周方向に隣接する2つの突出部46bの間に外輪8の被係止突部26が位置するよう整合せしめ、外輪主部22に向かって軸方向に強制する。そうすると、中間部44が外輪主部22の内周面に形成された係止突起28を弾性的に乗り越えると共に周方向に隣接する2つの突出部46bの間に外輪8の被係止突部26の軸方向端部が挿入されることでシールド板42と外輪8とが一体的に組み合わされ、内輪4の軸方向他側端部は凹部52にてシールド板42に回転可能に軸支される。かくして、トルクリミッタ2は製造される。
上述したとおりにして製造されたトルクリミッタ2の作動は一般的なトルクリミッタの作動と同一であり、図示しない2つの外部部材が夫々内輪4及び外輪8に連結される。そして、内輪4と外輪8との間に付加される回転トルクが所定値よりも小さいときには、内輪4の外周面とばね部材6の当接内面20との間の摩擦力によって内輪4及び外輪8は一体的に回転してトルクを伝達するが、内輪4と外輪8との間に付加される回転トルクが所定値以上になると、内輪4の外周面とばね部材6の当接内面20との間の摩擦力に抗して、内輪4と外輪8とが相対的に回転してトルクの伝達は遮断される。
以上、本発明に従って構成されたトルクリミッタの製造方法について添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。上記特許文献1に開示されたトルクリミッタと同様に、係止手段が、ばね部材の基部の内周面から径方向内側に突出する係止突部と、外輪と一体で且つ外輪の内周面から径方向内側に離隔した位置で軸方向に直線状に延びる被係止突条とから構成され、弾性片は係止突部の内周縁部に設けられている場合であっても、内輪に複数のばね部材を一つずつ順次圧入することで、やはり、小さく且つ一定の力でばね部材を押圧することができ、従って、弾性片に過剰な負荷をかけることなく内輪に複数のばね部材を圧入することができ、それ故に、弾性片を折損させることなく且つ容易に複数のばね部材と内輪とを組み合わせることができる。図示の実施形態においては、外輪8及びシールド板42を弾性的な係合により組み合わせるために両部材を合成樹脂製としたが、両部材を弾性的な係合によらず溶接等で組み合わせるのであれば、両部材を金属製としてもよい。また、内輪4及びばね部材6も摩擦力の大きさ等によっては金属製でなく合成樹脂製とすることもできる。
2:トルクリミッタ
4:内輪
6:ばね部材
8:外輪
12:基部
14:弾性片
20:当接内面
18:係止突部(係止手段)
26:被係止突部(係止手段)

Claims (5)

  1. 共通の中心軸を有する、断面円形の内輪と、環状のばね部材と、外輪とを備え、前記ばね部材は前記内輪の外周面を囲み、前記ばね部材及び前記外輪は係止手段によって相対回転不能に組み合わされており、
    前記ばね部材は薄板環形状の基部と、径方向内側に向かって軸方向に傾斜して延びて且つ周方向に間隔をおいて複数設けられる弾性片とを含み、前記弾性片の先端部は前記内輪の外周面に当接する当接内面を備えており、
    前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときに、前記内輪の外周面と前記ばね部材の前記当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転するトルクリミッタの製造方法において、
    前記係止手段は、前記ばね部材の前記基部の外周面から径方向外側に突出する係止突部及び前記外輪の内周面から径方向内側に突出する被係止突部から構成され、
    前記弾性片の基端は前記基部の内周面に接続されており、
    前記内輪に対して前記ばね部材の前記基部を環状の押圧具によって全体的に軸方向に押圧して前記ばね部材を前記内輪に圧入する圧入工程と、
    前記圧入工程の後に、前記ばね部材が圧入された前記内輪と前記外輪とを組み合わせる組み合わせ工程とを含む、ことを特徴とするトルクリミッタの製造方法。
  2. 共通の中心軸を有する、断面円形の内輪と、環状のばね部材と、外輪とを備え、前記ばね部材は前記内輪の外周面を囲み、前記ばね部材及び前記外輪は係止手段によって相対回転不能に組み合わされており、
    前記ばね部材は薄板環形状の基部と、径方向内側に向かって軸方向に傾斜して延びて且つ周方向に間隔をおいて複数設けられる弾性片とを含み、前記弾性片の先端部は前記内輪の外周面に当接する当接内面を備えており、
    前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときに、前記内輪の外周面と前記ばね部材の前記当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転するトルクリミッタの製造方法において、
    前記係止手段は、前記ばね部材の前記基部の外周面から径方向外側に突出する係止突部及び前記外輪の内周面から径方向内側に突出する被係止突部から構成され、
    前記弾性片の基端は前記基部の内周面に接続されており、
    前記係止突部の周方向両側にガイドが配置された状態で、前記内輪に対して前記ばね部材の前記基部を軸方向に押圧して前記ばね部材を前記内輪に圧入する圧入工程と、
    前記圧入工程の後に、前記ばね部材が圧入された前記内輪と前記外輪とを組み合わせる組み合わせ工程とを含む、ことを特徴とするトルクリミッタの製造方法。
  3. 前記圧入工程にあっては、複数の前記ばね部材が前記内輪に順次圧入され、前記内輪に対する複数の前記ばね部材の圧入量は夫々漸次低減せしめられる、請求項1又は2に記載のトルクリミッタの製造方法。
  4. 前記基部の外周縁部には、軸方向に起立した後に径方向に延出する筒状の補助壁が設けられている、請求項1乃至のいずれかに記載のトルクリミッタの製造方法。
  5. 前記ばね部材は金属製の薄板をプレスして形成される、請求項1乃至のいずれかに記載のトルクリミッタの製造方法。
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