JP7305304B2 - 排気タービン装置及び排気タービン装置を備えた過給機 - Google Patents
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Description
特許文献1では、ブローバイに対するオイル空間の密閉が、中間壁とコンプレッサ・ホイールとの間のラビリンスによって実現されている。
本発明の一態様に係る排気タービン装置は、内燃機関から排出された排ガスによって回転駆動されるタービン翼と、前記排ガス流れの上流側の一端面である前面及び該前面の反対側の他端面である背面を有し、外周部から前記タービン翼が半径方向外側に突出する円盤状のタービンディスクと、一端に前記タービンディスクが連結され、前記タービンディスクによって回転駆動されるタービン軸と、前記タービンディスクの前記背面側に配置され、前記タービン軸を回転可能に支持する軸受部と、前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、前記タービンディスクの前記前面が露出する空間と前記背面が露出する空間とを連通する連通部と、を備えている。
また、貫通孔の面積を変更するだけで調整することができるので、簡易に実現することができる。
静止部材によって形成されるガス流路の流路幅(タービンディスクと静止部材との距離)が狭い場合には、前面側空間又は背面側空間で発生する旋回流の速度が速くなるため、前面側空間又は背面側空間において、タービンディスクの端面の外周側と内周側との圧力差が大きくなる。すなわち、外周側では圧力がより高くなり、内周側では圧力がより低くなる。一方、静止部材によって形成されるガス流路の流路幅が広い場合には、前面側空間又は背面側空間内で発生する旋回流の速度が遅くなるため、前面側空間又は背面側空間内において、タービンディスクの端面の外周側と内周側との圧力差が小さくなる。すなわち、外周側での圧力の上昇が比較的小さくなり、内周側での圧力の低下も比較的小さくなる。
排気タービン装置の最適な貫通孔の面積は、前面側空間と背面側空間との圧力差によって異なる。上記構成では、静止部材によって、前面側空間及び/又は背面側空間の圧力を調整することができる。すなわち、前面側空間と背面側空間との圧力差を所望の圧力差とすることができる。これにより、タービンディスクに形成された貫通孔の面積のバリエーションを少なくしても、静止部材によって前面側空間と背面側空間内との圧力差を調整することで、何れの排気タービン装置であっても、貫通孔の面積を最適な面積とすることができ、タービン翼を通過せずに背面側空間に流入する排ガス量を最小限とすることができる。
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1には、本発明の排気タービン装置を過給機1に適用した実施形態が示されている。過給機1は、例えば、船舶の主機であるディーゼル機関(内燃機関)や、自動車等の車両のディーゼル機関(内燃機関)に用いられ、ディーゼル機関からの排ガスによって得られた駆動力で空気を圧縮してディーゼル機関の燃焼室に圧縮空気を供給するものである。本実施形態の過給機1は、ディーゼル機関からの排ガスの運動エネルギーを主に用いる動圧式とされる。
コンプレッサ部3は、外部から空気を取り入れる空気吸入口(図示省略)と、取り入れた空気を導入する空気導入路4と、空気導入路4から導かれた空気を圧縮するコンプレッサ羽根車5と、コンプレッサ羽根車5の下流側に配置された渦巻き室6と、コンプレッサ羽根車5を収容するとともに空気導入路4を形成する空気案内ケーシング7とを備えている。
コンプレッサ羽根車5は、遠心圧縮機の羽根車とされており、外周に複数のコンプレッサ動翼5aが取り付けられている。コンプレッサ羽根車5は、中心軸線L回りに回転する後述するタービン軸8の一端(図1において左端)に固定されている。
潤滑油タンク20は、軸受台15の内部に設けられ、タービン軸8の回転方向外側に配置されるとともに、コンプレッサ羽根車5の背面5b近傍に配置されている。
潤滑油供給流路21は、一端が潤滑油タンク20に接続され、他端が分岐してスラスト軸受16、第1ラジアル軸受17及び第2ラジアル軸受18に接続されている。潤滑油供給流路21によって供給された潤滑油は、スラスト軸受16、第1ラジアル軸受17及び第2ラジアル軸受18で保持され、スラスト軸受16、第1ラジアル軸受17及び第2ラジアル軸受18とタービン軸8との支持部分を潤滑する。
また、排ガス入口ケーシング11は、排ガス出口ケーシング14に対してボルト27等によって固定されている。
なお、貫通孔33の直径、貫通孔33の個数、及び、貫通孔33を設ける位置等は、タービン動翼32の上流側の圧力と下流側の圧力との比(すなわち、タービンディスク31の前面31aが露出する空間と、背面31bが露出する空間との圧力比)に基づいて設定される。ただし、貫通孔33の直径は、1mm以上が好適である。
ディーゼル機関から排出される排ガスは、排ガス入口ケーシング11に形成されたガス導入路Fを流通し、排気タービンノズル12を通過する。排気タービンノズル12を通過した排ガスは、タービン動翼32に導かれる。タービン動翼32は、排気ガスの流体エネルギーを得て排気タービン羽根車13を回転させる。タービン動翼32を通過した排気ガスは、排ガス出口ケーシング14を通り、過給機1の外部へと排出される。
排ガスがタービン動翼32を通過し、タービン動翼32を回転駆動させるため、タービンディスク31の背面31bが露出する空間(以下、「背面側空間」という。)の圧力は、低下する。また、背面側空間内のガスがタービンディスク31の回転に連れ回ることで、背面側空間内には旋回流が発生し、この旋回流の影響により、タービンディスク31の中心側(すなわちタービン軸8側)の圧力は特に低下する。
これにより、各軸受(スラスト軸受16、第1ラジアル軸受17及び第2ラジアル軸受18)に供給された潤滑油が、負圧によって背面側空間に流入することを抑制することができる。したがって、各軸受に潤滑油が保持され易くなり、各軸受における潤滑性能の低下を抑制することができる。
本実施形態では、貫通孔33の総面積を調整することで、前面側空間から流入する排ガスの量を調整することができる。したがって、貫通孔33の総面積を過給機1に応じた適切な面積とすることで、何れの過給機においても、背面側空間の圧力を適切に保ち、各軸受に供給された潤滑油が背面側空間に流入することを抑制するとともに、タービン動翼32を通過せずに背面側空間に流入する排ガス量を最小限にし、排気タービン部2における出力の低下を最小限とすることができる。
また、貫通孔33を嵌合溝31cの半径方向内側端部よりも内側に形成される。嵌合溝31cが形成される外周部は、嵌合溝31cが形成されていることから、比較的強度が低くなっている。一方、嵌合溝31cの半径方向内側端部よりも内側の中央領域は、略円盤形状であり強度が高い。したがって、貫通孔33を形成しても、タービンディスク31の強度の低下を抑制することができる。
ただし、隙間Gの形状を変更するためには、動翼基部32cの形状の変更が必要となる。動翼基部32cは、複雑な形状であるとともに、嵌合溝31cと嵌合させることを目的としたものであり、形成に際し高い精度が求められる。このため、動翼基部32cは、設計変更等を容易に行うことができない。したがって、このような構成では、隙間Gの面積を容易に変更することができず、隙間Gを排気タービン部2に応じた最適な面積とすることができない可能性がある。
一方、貫通孔33を連通部とする構成では、円盤状のタービンディスク31に貫通孔33を形成するという比較的単純な構成なので、形成する貫通孔33の数や大きさ等を変更させるだけで、貫通孔33の総面積を容易に所望の面積とすることができる。したがって、容易に排気タービン部2に応じた最適な面積とすることができる。
なお、貫通孔33を設けるとともに、隙間Gを大きく形成してもよい。すなわち、貫通孔33と隙間Gとによって、前面側空間のガスを背面側空間に流入させて、背面側空間の圧力の低下を抑制してもよい。
次に、本発明の第2実施形態について図3及び図4を用いて説明する。
本実施形態では、タービンディスク31の背面31bに突出部(第1突出部)37が設けられている点で、第1実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
タービンディスク31の回転に連れ回ることで、背面側空間内には旋回流が発生する。旋回流が発生すると、背面側空間内において、内周側(すなわちタービン軸8側)の圧力が特に低下する。背面側空間内において、タービン軸8側の圧力が低下すると、負圧によって、タービン軸8と各軸受(スラスト軸受16、第1ラジアル軸受17及び第2ラジアル軸受18)との間から潤滑油が背面側空間内に、より流入し易くなる。
本実施形態では、タービンディスク31の背面31bに設けられた突出部37が、旋回流の流れを阻害する。これにより、背面側空間内において旋回流の発生が抑制されるので、背面側空間の内周側の圧力の低下を抑制することができる。したがって、より各軸受に潤滑油が保持され易くなり、軸受部における潤滑性能の低下をより抑制することができる。
次に、本発明の第3実施形態について図5を用いて説明する。
本実施形態では、タービンディスク31の前面31aとの間にガス流路Aを形成する静止部材38が設けられている点で、第1実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、タービンディスク31の前面31aとの間にガス流路Aを形成する静止部材38が設けられている。
静止部材38によって形成されるガス流路Aの流路幅(タービンディスク31と静止部材38との距離)が狭い場合には、前面側空間又は背面側空間で発生する旋回流の速度が速くなる。このため、前面側空間又は背面側空間において、タービンディスク31の前面31aの外周側と内周側との圧力差が大きくなる。すなわち、外周側では圧力がより高くなり、内周側では圧力がより低くなる。一方、静止部材38によって形成されるガス流路Aの流路幅が広い場合には、前面側空間で発生する旋回流の速度が遅くなるため、前面側空間において、タービンディスク31の前面31aの外周側と内周側との圧力差が小さくなる。すなわち、外周側での圧力の上昇が比較的小さくなり、内周側での圧力の低下も比較的小さくなる。
上述のように、排気タービン部2における最適な貫通孔33の面積は、前面側空間と背面側空間との圧力差によって異なる。本実施形態では、静止部材38によって、前面側空間の圧力を調整することができる。すなわち、前面側空間と背面側空間との圧力比を調整することができる。これにより、タービンディスク31に形成された貫通孔33の面積のバリエーションを少なくしても、静止部材38によって前面側空間の圧力を調整することで、何れの過給機であっても、タービン動翼32を通過せずに背面側空間に流入する排ガス量を最小限とすることができる。また、タービンディスク31に形成された貫通孔33の面積のバリエーションを少なくした場合には、過給機に応じてタービンディスク31を形成する場合と比較して、タービンディスク31を容易かつ安価に製造することができる。
また、タービンディスク31の前面31a及び背面31bの両方との間にガス流路を形成するように静止部材を複数設けてもよい。このような構成とすることで、前面側空間と背面側空間との圧力比をより細かく調整することができる。
また、図7で示す構成では、タービンディスク31の前面31a側に突出部42を設けるとともに、タービンディスク31の前面31aとの間にガス流路を形成する静止部材43を設けてもよい。静止部材43の対向面は、突出部42と干渉しないように、突出部42に沿うように形成されている。
このように、突出部及び静止部材の両方を設けることで、前面側空間または背面側空間の圧力を、より精密に調整することができる。
図8に示す構成では、タービンディスク31の背面31bとの間にガス流路を形成する静止部材44を設けている。また、当該静止部材44の対向面には、ガス流路に突出するように突出部45を設けられている。
また、図9に示す構成では、タービンディスク31の前面31aとの間にガス流路を形成する静止部材46を設けている。また、当該静止部材46の対向面には、ガス流路に突出するように突出部47を設けられている。
静止部材に設けられる突出部も、タービンディスクに設けられる突出部と同様に、複数設けられてもよく、複数設けられる場合には、同心円上に等間隔に配置されてもよい。
静止部材は、回転しないため、このように突出部を静止部材に設けることで、より旋回流の流れを阻害することができる。
2 排気タービン部(排気タービン装置)
3 コンプレッサ部(圧縮部)
4 空気導入路
5 コンプレッサ羽根車
6 渦巻き室
7 空気案内ケーシング
8 タービン軸
9 シール部
11 排ガス入口ケーシング
12 排気タービンノズル
13 排気タービン羽根車
14 排ガス出口ケーシング
15 軸受台
16 スラスト軸受
17 第1ラジアル軸受(軸受部)
18 第2ラジアル軸受(軸受部)
19 潤滑油供給装置(潤滑油供給手段)
20 潤滑油タンク
21 潤滑油供給流路
31 タービンディスク
31a 前面
31b 背面
31c 嵌合溝
32 タービン動翼(タービン翼)
32a 翼体
32b プラットフォーム
32c 動翼基部
33 貫通孔
37 突出部(第1突出部)
38 静止部材
42 突出部(第3突出部)
45 突出部(第2突出部)
47 突出部(第2突出部)
Claims (7)
- 内燃機関から排出された排ガスによって回転駆動されるタービン翼と、
前記排ガス流れの上流側の一端面である前面及び該前面の反対側の他端面である背面を有し、外周部から前記タービン翼が半径方向外側に突出する円盤状のタービンディスクと、
一端に前記タービンディスクが連結され、前記タービンディスクによって回転駆動されるタービン軸と、
前記タービンディスクの前記背面側に配置され、前記タービン軸を回転可能に支持する軸受部と、
前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
前記タービンディスクの前記前面が露出する空間と前記背面が露出する空間とを連通する連通部と、を備え、
前記タービンディスクは、前記外周部に前記タービン翼が嵌合する嵌合溝が形成されていて、
前記連通部は、前記前面から前記背面に貫通するように前記タービンディスクに形成された貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記嵌合溝の半径方向内側端部よりも内側に形成されていて、
前記タービンディスクの前記背面には、該背面から突出する第1突出部が設けられていて、
前記第1突出部は、板状部材であって、板面が前記タービンディスクの回転方向と交差するように配置されている排気タービン装置。 - 前記連通部は、前記タービン翼と前記タービンディスクとの間に形成された隙間を有している請求項1に記載の排気タービン装置。
- 前記貫通孔は、複数形成されていて、
複数の前記貫通孔は、前記タービン軸を中心とした同心円上に等間隔に配置されている請求項1に記載の排気タービン装置。 - 前記タービンディスクの前記前面及び/又は前記背面との間にガス流路を形成する静止部材が設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の排気タービン装置。
- 前記静止部材から前記ガス流路に突出する第2突出部が設けられている請求項4に記載の排気タービン装置。
- 前記タービンディスクの前記前面には、該前面から突出する第3突出部が設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の排気タービン装置。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載された排気タービン装置と、
前記タービン軸の他端に設けられた圧縮部と、を備えた過給機。
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