JP3858436B2 - 多段圧縮機構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段圧縮機構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のガスタービン用の多段圧縮機Aは、図4に示すように、ケーシング1の前方(図4の左端)の内部に、該ケーシング1内面と所要の環状間隔8を保持するように固定部材2をストラット3により固定し、また、ケーシング1の後方(図4の右端)の内部に、固定部材4をストラット5により固定し、前記固定部材2の内部と固定部材4との間に、前記ケーシング1と同心の圧縮機主軸6(出力軸)を軸受7により回転可能に設けている。
【0003】
また、該圧縮機主軸6には、前記固定部材2から後方に向って前記環状間隔8が狭くなるように形成した動翼取付胴9が固定されている。
【0004】
前記ケーシング1の内面には、前記環状間隔8内を動翼取付胴9の外面に接近して延びる静翼10が、前方から後方に亘って所要の間隔で複数段設けられており、更に、前記各静翼10の後側に位置し前記ケーシング1の内面に接近して延びる動翼11が前記動翼取付胴9に固定され、これによって軸流段12が構成されている。前記静翼10及び動翼11は、夫々前方から後方に向って徐々に長さが短くなっている。
【0005】
前記軸流段12の後方には、所要の間隔を有して設けられた静翼13,14によってケーシング1に固定された内側部材15が設けられており、該内側部材15とケーシング1との間には、燃焼器16が設けられている。
【0006】
更に、前記燃焼器16の後方の静翼14と前記ストラット5との間には、タービン動翼固定部材17を介して圧縮機主軸6にタービン動翼18が固定されてタービン19が構成されている。
【0007】
図4の多段圧縮機Aでは、前方から取り入れた空気は、圧縮機主軸6の回転によって回転する動翼11と静翼10とによる軸流段12によって多段に圧縮されることにより順次圧力が高められ、圧力が高められた圧縮空気は、燃焼器16に導かれて燃料の燃焼により高温高圧流体となってタービン19に導かれることによりタービン動翼18を回転させ、これにより圧縮機主軸6を回転駆動するようになる。
【0008】
図4の多段圧縮機Aにおいて、高圧力比化を達成するためには、前記静翼10と動翼11の段数を増加した軸流段12とすることが行われる。
【0009】
また、従来の高圧力比化を図るようにした多段圧縮機Aとしては、図5に示すような構造のものも採用されている。
【0010】
即ち、図5の多段圧縮機Aは、図4と同様の軸流段12の後方に、インペラ29の入口の口径を小さくしたスワンネックの形状を有して圧縮空気の流れを周方向外方に向わせるようにした遠心圧縮機20を設け、ディフューザ30及び出口案内翼31を経た圧縮空気が横方向に延設された燃焼器16に導かれるようになっている。図5中図4と同一のものには同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0011】
図5の多段圧縮機Aでは、前方から取り入れた空気は、圧縮機主軸6の回転によって回転する動翼11と静翼10とによる軸流段12によって多段に圧縮されることにより順次圧力が高められ、高圧となった圧縮空気は、遠心圧縮機20によって更に圧力が高められ、その後燃焼器16に導かれて燃料の燃焼により高温高圧流体となってタービン19に導かれるようになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記図4に示した従来の多段圧縮機Aにおいては、高圧力比化を図るために軸流段12の段数を増やすと、部品点数が増大し、一方1段当りの圧力比も高くとれず、翼高さが小さくなることによってクリアランス洩れによる損失が増加し、よって、ある段数以上では効率レベルを低下させることなく高圧力比化は望めないという問題を有していた。
【0013】
また、図5に示した多段圧縮機Aにおいては、高温度のため遠心圧縮機20のインペラ29の外径が大きくとれない。また、軸流段12ですでに圧縮されて体積の小さくなった流体が流入してくるためインペラ29の翼高さが小さくなりクリアランス洩れによる損失が増えると共に、流路高さが小さくなることにより摩擦損失が増え、やはり効率レベルを低下させることなく大きな高圧力比化は望めないという問題がある。
【0014】
更に、上記したように軸流段12と同軸上に遠心圧縮機20を追加することでは設計の自由度が拘束されることになり、遠心圧縮機20を最適なパラメータ領域で設計することが困難であるという問題を有していた。
【0015】
本発明は、かかる従来の問題点を解決すべくなしたもので、簡略な構成により高圧力比化を得ることができ、多段圧縮機Aの設計自由度を大きく拡大できる多段圧縮機構造を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、静翼と動翼とが多段に配置された軸流段を備え、動翼を圧縮機主軸にて回転させることにより前方から取り入れた空気を後方に向けて加圧するようにしている多段圧縮機の前記軸流段の後部に、圧縮機主軸に傘歯車を介して回転駆動されるように接続した遠心圧縮機を周方向に等間隔を有して複数個設け、前記軸流段からの圧縮空気を前記各遠心圧縮機の吸気スクロールに分配供給する分配ダクトを設けたことを特徴とする多段圧縮機構造、に係るものである。
【0017】
本発明では、軸流段の後部に、圧縮機主軸の回転を傘歯車を介してインペラに伝えるようにした複数の遠心圧縮機を設け、軸流段からの圧縮空気を各遠心圧縮機の吸気スクロールに分配供給する分配ダクトを設けたので、傘歯車のギア比を選択することによってインペラの回転数を任意に高めることができ、更に遠心圧縮機の設置個数を選ぶことにより容量を任意に変更することができ、よって簡略な構成にて高圧力比化を得ることができ、しかも空力設計上の自由度を大幅に改善することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の多段圧縮機構造の一例を示したもので、静翼10と動翼11とが多段に配置された軸流段12を備え、動翼11を圧縮機主軸6によって回転させている多段圧縮機の前記軸流段12の後部に、圧縮機主軸6に傘歯車21を介して回転駆動されるように接続した遠心圧縮機22を設ける。21aは圧縮機主軸6に設けて前記傘歯車21が噛合する歯車である。
【0020】
遠心圧縮機22は、圧縮機主軸6の周方向に等間隔を有して複数個設けるようにしている。図1では一個の遠心圧縮機22が示されている。
【0021】
更に、前記軸流段12の後端には、該軸流段12からの圧縮空気を前記各遠心圧縮機22の吸気スクロール23に分配供給するようにした分配ダクト24を設けている。
【0022】
遠心圧縮機22は、図2、図3に示すように、ターボチャージャー用遠心圧縮機ロータに類似した構成を有しており、軸流段12からの圧縮空気を吸気スクロール23により軸方向から内部に取入れ、傘歯車21の軸25と一体に設けたインペラ26により圧縮して周方向のスクロール27から排出部28に排出するようになっており、該遠心圧縮機22からの圧縮空気は前記図4或いは図5の燃焼器16に供給されるようになっている。
【0023】
以下に図1〜図3に示した多段圧縮機Aの作用を説明する。
【0024】
軸流段12によって圧縮された圧縮空気は、分配ダクト24により複数備えられた遠心圧縮機22の吸気スクロール23に分配供給される。
【0025】
各々の遠心圧縮機22は、圧縮機主軸6の回転により歯車21a及び傘歯車21を介して回転するインペラ26により圧縮され、スクロール27を経て排出部から燃焼器16に供給される。
【0026】
この時、軸流段12の後部に、圧縮機主軸6の回転を傘歯車21を介してインペラ26に伝えるようにした複数の遠心圧縮機22を備えたので、歯車21aと傘歯車21とのギア比を選択することによってインペラ26の回転数を任意に高めることができ、更に遠心圧縮機22の設置個数を選ぶことにより容量を任意に変更することができ、よって簡略な構成にて高圧力比化を得ることができ、しかも空力設計上の自由度を大幅に改善することができる。
【0027】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、軸流段の後部に、圧縮機主軸の回転を傘歯車を介してインペラに伝えるようにした複数の遠心圧縮機を設け、軸流段からの圧縮空気を各遠心圧縮機の吸気スクロールに分配供給する分配ダクトを設けたので、傘歯車のギア比を選択することによってインペラの回転数を任意に高めることができ、更に遠心圧縮機の設置個数を選ぶことにより容量を任意に変更することができ、よって簡略な構成にて高圧力比化を得ることができ、しかも空力設計上の自由度を大幅に改善することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多段圧縮機構造の一例を示す部分切断側面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1の遠心圧縮機の外観側面図である。
【図4】従来の多段圧縮機構造の一例を示す部分切断側面図である。
【図5】従来の多段圧縮機構造の他の例を示す部分切断側面図である。
【符号の説明】
10 静翼
11 動翼
12 軸流段
21 傘歯車
22 遠心圧縮機
23 吸気スクロール
24 分配ダクト

Claims (1)

  1. 静翼と動翼とが多段に配置された軸流段を備え、動翼を圧縮機主軸にて回転させることにより前方から取り入れた空気を後方に向けて加圧するようにしている多段圧縮機の前記軸流段の後部に、圧縮機主軸に傘歯車を介して回転駆動されるように接続した遠心圧縮機を周方向に等間隔を有して複数個設け、前記軸流段からの圧縮空気を前記各遠心圧縮機の吸気スクロールに分配供給する分配ダクトを設けたことを特徴とする多段圧縮機構造。
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