JP7303703B2 - 光電変換膜積層型固体撮像素子とその駆動方法 - Google Patents
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Description
このようなイメージセンサーとしては、従来より基板材料にSiを用いた固体撮像素子が多く利用されてきているが、光の利用効率の向上を図る、すなわち感度を向上させる、という観点から、光電変換を行う材料としてのSiフォトダイオードの限界が近付いているといえる。
また、結晶セレンを用いた光電変換膜では、膜内に高い電界を印加することで、光入射により発生した電荷をアバランシェ増倍現象を用いて増加させることができる(下記特許文献2を参照)。
通常、この電位差は透明電極に与える電圧で調整され、これによって電荷増倍率を一定の値に保つようにしている。
電荷増倍型光電変換膜は、通常スパッタや蒸着膜で作られるため、真空中を飛散する材料の基板への入射角が、基板位置に応じて変化してしまい、基板全面に亘って均一な膜厚を形成しようとすると、装置の複雑化、および製造コストの上昇を招来する。また、結晶セレンを用いた場合には、結晶セレンが多結晶体であると、結晶粒の大きさが不ぞろいな場合に、画素毎に膜厚が変化してしまう。
これにより、電荷増倍率が画素毎に変化してしまうことも起こり得、電荷増倍率を素子全面に亘って一定値に制御することが難しかった。
すなわち、本発明に係る光電変換膜積層型固体撮像素子は、
信号読出し回路上に電荷増倍型光電変換膜を積層してなる光電変換膜積層型固体撮像素子において、
前記電荷増倍型光電変換膜で発生した電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積手段と、
該電荷蓄積手段を所定のリセット電圧値でリセット処理する蓄積電荷リセット手段と、
該蓄積電荷リセット手段によりリセット処理がなされた際の蓄積電荷量であるリセットレベルと、このリセット処理がなされた後の所定期間経過後の蓄積電荷量である信号レベルとを、前記画素毎に前記電荷蓄積手段から読み出す電荷読出手段と、
該電荷読出手段により読み出された、前記画素毎の、前記リセットレベルと前記信号レベルとの差分処理を行って、画素信号として出力する差分処理手段と、
前記画素各々へ入射する入射光の光量が等しいときに、前記画素各々から出力される電荷量が互いに等しくなる、当該画素毎の前記リセット電圧値を導出し得るように、前記画素各々と当該画素のリセット電圧値との関係を記憶した画素-リセット電圧値関係記憶手段と、
前記蓄積電荷リセット手段に対し、該画素-リセット電圧値関係記憶手段に記憶された関係に基づき、指定された前記画素各々に応じた前記リセット電圧値を、前記所定のリセット電圧値として設定されるように指示する電圧印加指示手段と、を備えたことを特徴とするものである。
なお、上述した、電荷蓄積手段、蓄積電荷リセット手段、電荷読出手段、差分処理手段画素-リセット電圧値関係記憶手段および電圧印加指示手段は、一般に、プログラムからなるソフト的手段とCPUやメモリ等のハード的手段との組合せにより構成される。
また、上記「所定期間経過後」とは例えば、1フレーム経過後の期間とされる。
また、前記画素-リセット電圧値関係記憶手段に記憶された前記関係が、テーブル形式で表されていることが好ましい。
信号読出し回路上に電荷増倍型光電変換膜を積層してなる光電変換膜積層型固体撮像素子の駆動方法において、
画素各々へ入射する光量が等しいときに、前記画素各々からの電荷量が互いに等しくなる、当該画素毎のリセット電圧値を導出し得るように、前記画素各々と、当該画素各々に対する前記リセット電圧値との関係を記憶しておき、
この記憶された関係に基づき、当該画素各々に対する前記リセット電圧値を所定の電圧値として設定し、
前記電荷増倍型光電変換膜に蓄積された電荷を、前記画素毎に前記所定のリセット電圧値でリセット処理を行い、
前記リセット処理がなされた直後の蓄積電荷量であるリセットレベルと、このリセット処理がなされた後の所定期間経過後の蓄積電荷量である信号レベルを、各々前記画素毎に読み出し、
前記画素毎に、前記信号レベルと前記リセットレベルとの差分処理を行って、画素信号として出力する、ことを特徴とするものである。
このように、光電変換膜中の電荷をリセットする電圧を調整することによって感度を調整することができ、各画素間で光電変換膜の厚みが異なることによって生じる、画素毎の光電変換膜の電荷増倍率のばらつきを抑制することができる。
また、このようにして得られたリセットレベルに基づいて、正味の信号レベルを算出するようにしているので、高精度の画素信号を得ることができる。
なお、ここでは、光電変換膜で発生する信号電荷は電子として説明するが、信号電荷を正孔とすることも可能である。
また、光電変換膜は横方向の抵抗値が非常に高く、画素間で信号電荷が混合される心配がないため、画素毎に区切りを設ける必要がなく、2次元に配列された画素全面に積層されているものとする。
撮像素子1は、画素アレイ部2、垂直走査回路3、プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)12、AD変換回路(ADC)4、およびリセット電圧選択回路5をチップ6内に有し、画素リセット値メモリ7、アナログデジタル変換がなされた電圧レベル値を格納するリセットレベルメモリ8と信号レベルメモリ9、これら2つのメモリ8、9の出力値の差分を演算する減算回路10、およびこれら各部における信号処理のタイミングを指示するコントローラ11をチップ6外に有する構成とされている。なお、本実施形態においては、上述したチップ6の内外の各部材を含めた集合体を撮像素子1と称する。
縦横2次元方向に配置された各画素2Aには、垂直走査回路3から、リセット信号RTおよび選択信号SLが駆動配線を介して供給される。各画素2Aは、フォトダイオードなどの光電変換膜の光電変換により生成した画素信号を、各行毎に同時にデジタルアナログ変換回路(ADC)4に出力する。
また、各画素毎に、信号レベルメモリ9に記憶された信号レベルから、リセットレベルメモリ8に記憶されたリセットレベルが減算器10にて減算されることにより各画素毎に蓄積された正味の信号電荷量を高精度に検出することができる。
このテーブルの対応関係を設定するためのデータは、種々の手法によって取得することが可能であるが、例えば、以下のような手法によって取得する。
すなわち、撮像素子1の受光部全面に均一な光を入射させて、各画素2Aからの出力値の標準偏差が極小となるように、各画素のリセット電圧値を決定する処理を行い、この処理により得られた値を、各画素リセット値メモリ7の対応する画素アドレスに各々格納する。
しかしながら、この電位差を各画素間で一定となるようにしても、各画素間で膜厚が異なっていた場合には、各画素間で光電変換膜内に印加される電界の大きさが変化してしまい、各画素間で電荷増倍率が異なってしまう虞があった。
そこで、本実施形態では、このような不都合を解消するため、各画素A、B、Cの受光量が同じである場合において、各画素A、B、Cの出力電荷量が同じになるように、各画素A、B、Cのリセット電圧値を、図2(B)に示すように互いに異なるVRST1、VRST2、VRST3に調整し、各画素A、B、Cにおける光電変換膜20の電位差を各々互いに異なる電位差Vt1(=VITO-VRST1)、Vt2(=VITO-VRST2)、Vt3(=VITO-VRST3)とすることにより、すなわち、各画素A、B、Cにおける光電変換膜の感度を調整することにより、各画素A、B、Cが同じ受光量の場合には、出力電荷量が互いに等しくなるように設定している。なお、VITOは共通電極の印加電圧である。
すなわち、図3は、光電変換膜積層型の3トランジスタ型の単位画素2Aの等価回路図を示す。各画素2A内には、光電変換膜(増倍膜)に接続するための画素電極、浮遊拡散容量FD、蓄積された電荷をリセットするリセットトランジスタMR、増幅トランジスタMA、および選択トランジスタMSが配置される。
また、この負荷トランジスタMLと並列にプログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)12(可変ゲイン・アンプ(VGA)とすることも可能)およびAD変換回路(ADC)4が接続されており、選択トランジスタMSの出力は、列毎の画素2Aが共有するPGAを介してADC4に接続される、いわゆる列並列型読出し方式となっている。
AD変換回路(ADC)4から出力されたデジタルのリセットレベルは、チップ6外部のフレームメモリであるリセットレベルメモリ8に記憶される。この時点から光電変換膜(増倍膜)による信号蓄積が開始される。
このような一連の処理が行われることで、各画素A~Dから出力されたデジタルのリセットレベルが、リセットレベルメモリ8にそれぞれ記憶されることになる。
このため、上述した画素A、Bについての場合と同様に、減算器10において、前のフレーム(第(N-1)フレーム)で記憶されたそれぞれの画素2Aのリセットレベルとの減算を行い、最終的な出力とする。
光入射により電荷が蓄積される正味の信号値は、初期状態であるリセットレベルに対し、積算された差分値に相当するので、各画素のリセットノイズが互いに異なっていても、上記減算を行うことにより、入射光による正味の信号を得ることができる。この点についても、上述した画素A、Bの場合と同様の処理が行われる。
また、前述した、各画素と、当該画素に対するリセット電圧との対応関係を設定するためのデータは、例えば、全画素のリセット電圧値を同一の所定値に設定し、膜印加電圧(VITO)を走査して、各画素における、図2に示すV-I特性曲線を数式化したものを取得し、これをルックアップテーブルに設定し、それにより得られた各画素におけるリセット電圧値を、各画素リセット値メモリの所定アドレスに各々格納することにより設定することも可能である。
2 画素アレイ部
2A 画素
3 垂直走査回路
4 アナログデジタル回路(ADC)
5、105 リセット電圧選択回路
6 チップ
7 各画素リセット値メモリ
8 リセットレベルメモリ
9 信号レベルメモリ
10 減算器
11 コントローラ
12 プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)
20 光電変換膜
21 共通電極
22A、B、C 画素電極
MR リセットトランジスタ
MA 増幅トランジスタ
MS 選択トランジスタ
ML 負荷トランジスタ
FD 電荷検出部
RT リセットクロック
SL 選択クロック
VRST リセット電圧
VDD 電源電圧
Claims (4)
- 信号読出し回路上に電荷増倍型光電変換膜を積層してなる光電変換膜積層型固体撮像素子において、
前記電荷増倍型光電変換膜で発生した電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積手段と、
該電荷蓄積手段を所定のリセット電圧値でリセット処理する蓄積電荷リセット手段と、
該蓄積電荷リセット手段によりリセット処理がなされた際の蓄積電荷量であるリセットレベルと、このリセット処理がなされた後の所定期間経過後の蓄積電荷量である信号レベルとを、前記画素毎に前記電荷蓄積手段から読み出す電荷読出手段と、
該電荷読出手段により読み出された、前記画素毎の、前記リセットレベルと前記信号レベルとの差分処理を行って、画素信号として出力する差分処理手段と、
前記画素各々へ入射する入射光の光量が等しいときに、前記画素各々から出力される電荷量が互いに等しくなる、当該画素毎の前記リセット電圧値を導出し得るように、前記画素各々と当該画素のリセット電圧値との関係を記憶した画素-リセット電圧値関係記憶手段と、
前記蓄積電荷リセット手段に対し、該画素-リセット電圧値関係記憶手段に記憶された関係に基づき、指定された前記画素各々に応じた前記リセット電圧値を、前記所定のリセット電圧値として設定されるように指示する電圧印加指示手段と、を備えたことを特徴とする光電変換膜積層型固体撮像素子。 - 前記光電変換膜積層型固体撮像素子の前記画素が、3トランジスタ構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
- 前記画素-リセット電圧値関係記憶手段に記憶された前記関係が、テーブル形式で表されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
- 信号読出し回路上に電荷増倍型光電変換膜を積層してなる光電変換膜積層型固体撮像素子の駆動方法において、
画素各々へ入射する光量が等しいときに、前記画素各々からの電荷量が互いに等しくなる、当該画素毎のリセット電圧値を導出し得るように、前記画素各々と、当該画素各々に対する前記リセット電圧値との関係を記憶しておき、
この記憶された関係に基づき、当該画素各々に対する前記リセット電圧値を所定の電圧値として設定し、
前記電荷増倍型光電変換膜に蓄積された電荷を、前記画素毎に前記所定のリセット電圧値でリセット処理を行い、
前記リセット処理がなされた直後の蓄積電荷量であるリセットレベルと、このリセット処理がなされた後の所定期間経過後の蓄積電荷量である信号レベルを、各々前記画素毎に読み出し、
前記画素毎に、前記信号レベルと前記リセットレベルとの差分処理を行って、画素信号として出力する、ことを特徴とする光電変換膜積層型固体撮像素子の駆動方法。
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