以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
A.想定システム
図1には、本明細書で開示する技術が適用される通信システムの構成例を模式的に示している。通信システムは、1以上の端末と、1以上の基地局で構成される。ここで言う端末は、UE(User Equipment)の他、User Terminal、Mobile Terminal、User Station、Mobile Station、車両(Vehicle)、ドローン(Drone)、衛星地上局(EarthStation)などを含む。また、基地局は、BS(Base Station)の他、eNB(evolved NodeB:LTEの基地局)、gNB(5Gに対応した基地局)、Access Point、衛星宇宙局(Satellite Station、Space Backborne Platform)などを含む。
そして、本実施形態では、図1に示す通信システムにおいて、ある周波数チャネル(コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)、など)の中で、同一又は一部が重複する時間リソース(例:サブフレーム、スロット、シンボルなど)を下りリンク及び上りリンクに同時に割り当てること、すなわち帯域内全二重通信(In-BandFull Duplex)が可能であることを想定している。周波数チャネル(CC)については、TDDのようなUnpaired Spectrum(Unpaired Frequency Channel)、つまり、上りと下りで別のチャネルが用意されていないケースを想定している。
FD実施時には、ある基地局又は端末において、ある周波数チャネル(CC)内の時間リソース(無線フレーム(Radio Frame)、サブフレーム(Subframe)、スロット(Slot)、ミニスロット(Mini Slot)、シンボル(Symbol)など)で送信と受信が同時に実行される。なお、スロットは、LTEでは7シンボル、NRでは14シンボルで構成される。また、ミニスロットは、スロットよりも短い時間リソースで定義される。具体的には、ミニスロットは、14シンボルよりも少ないシンボル数で構成される。
また、基地局と端末の両方でFDを実施することを想定に含める。図2には、基地局と端末(UE)の両方でFD通信を実施している通信シーケンス例を示している。同図において、横軸は時間軸であり、各時間軸上に描かれた四角は時間軸に対応する通信装置からその時刻に送信される信号(パケット、フレーム、スロット、又はサブフレーム)であり、四角から伸びる矢印は信号が送信される方向を示している。また、基地局には2台の端末UE1及びUE2が接続しているものとする。
図2に示す通信シーケンスの前半では、BSがUE1への下りリンク(Downlink:DL)信号の送信を行うと同時に、UE2がBSへの上りリンク(Uplink:UL)信号の送信を行っている。ここで、下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSは、FDを実施し、UE1への下りリンク信号の送信とUE2からの上りリンク信号の受信を同時に行っている。
また、図2に示す通信シーケンスの後半では、BSがUE1への下りリンク(Downlink:DL)信号の送信を行うと同時に、UE1がBSへの上りリンク(Uplink:UL)信号の送信を行っている。ここで、下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSは、FDを実施し、UE1への下りリンク信号の送信とUE1からの上りリンク信号の受信を同時に行っている。また、UE1もFDを実施して、BSからの下りリンク信号の受信とBSへの上りリンク信号の送信を同時に行っている
FDを実施する通信装置(基地局、端末)は、FD実施時に発生する自己干渉(Self-Interference)を除去又は軽減するための自己干渉キャンセラを装備することが好ましい。なお、図2に示した通信シーケンスの前半部分のように、基地局のみがFDを実施する場合には、端末は必ずしも自己干渉キャンセラを持たなくてもよい。
また、FD非実施時には、基地局及び端末において、重複しない周波数・時間リソースで(例えば、従来通りのFDD(周波数分割多重)、又はTDD(時分割多重)方式で)、送信又は受信が実行される。
図1に示したような通信システム内には、FDを実施中の通信装置と、FDを実施していない通信装置が混在し得る。また、FDの実施は、通信装置毎に、時間の経過とともに変更され得る。
端末への周波数・時間無線リソースの割り当て、及びFDの実施有無は、基地局から設定される。図3には、FD通信を実施する通信シーケンス例を示している。但し、図3には、基地局が異なる端末をFDペアリングする通信シーケンス例を示している。
基地局は、自局に接続している各端末UE1、UE2に対して、端末で期待できるリンク通信品質又はリンク通信路品質や干渉状況の測定の設定・指示を通知する(SEQ301)。ここで言うリンク通信品質は、Channel StateInformation(CSI)、Channel Quality Indicator(CQI)、Precoding Matrix Indicator(PMI)、Rank Indicator(RI)、Reference Signal Received Power(RSRP)、Reference Signal Received Quality(RSRQ)、Receiced Signal Strength Indicator(RSSI)、Delay Spread、Angle Spreadなどで表される。また、干渉状況は、セル間干渉(Inter-Cell Interference)、セル内干渉(Intra-Cell Interference)、リンク間干渉(Cross-Link Interference)、さらにセル間リンク間干渉、セル内リンク間干渉に分けてもよい。
セル間干渉は、端末が接続しているセル以外のセルから発生する干渉のことであり、下りリンクの信号同士、上りリンクの信号同士、又はサイドリンクの信号同士が干渉する。また、セル内干渉は、端末が接続しているセル内で発生する干渉のことであり、下りリンクの信号同士、上りリンクの信号同士、又はサイドリンクの信号同士が干渉する。また、リンク間干渉は、上りリンク信号と下りリンク信号、上りリンク信号とサイドリンク信号、下りリンク信号とサイドリンク信号というように、送受信方向が異なる信号によって発生する干渉である。
各端末UE1、UE2は、基地局からの指示に従って、通信品質測定及び端末間干渉測定を実施する。端末間干渉測定時には、一方の端末から他方の端末へテスト信号が送信される(SEQ302)。図示の例では、UE2からUE1へテスト信号が送信される。そして、端末UE1は、受信したテスト信号に基づいて端末UE2との干渉を測定して(SEQ303)、その測定結果を基地局へ報告する(SEQ304)。なお、図示を省略したが、UE1からUE2へもテスト信号が送信され、端末UE2は、受信したテスト信号に基づく干渉の測定結果を同様に基地局へ報告する。
基地局は、各端末UE1、UE2からの測定結果の報告も考慮して、各端末UE1、UE2とのFDの実施有無を確認し、FDを実施する端末ペアを決定するとともに(SEQ305)、FDに利用する周波数リソース、時間リソース、変調方式、誤り訂正符号化率、MIMO(Multiple Input Multiple Output)パラメータを含むスケジューリングを行う(SEQ306)。図3に示す例では、基地局は、一方の端末UE1の下りリンクと他方の端末UE2の上りリンクをFDのペアリングとして、端末UE1への下りリンク信号の送信タイミングと他方の端末UE2からの上りリンク信号の送信タイミングを含むスケジューリングを行う。そして、基地局は、スケジューリング情報を、物理層信号処理を制御するための情報(Control Information)で無線リソースの割り当て毎に通知し、又は、システム情報(System Information)やRRCシグナリングでSemi-static(準静的)に通知する(SEQ307)。
その後、基地局及び各端末UE1、UE2は、通知した(若しくは通知された)スケジューリング情報に基づき、FD通信又はNon-FDの通信を実施する。具体的には、基地局は、一方の端末UE1への下りリンクと他方の端末UE2からの上りリンクをFDのペアリングとして、基地局のみがFDを実施する(SEQ308)。
また、図4には、FD通信を実施する他の通信シーケンス例を示している。但し、図4は、基地局が同一端末でFDを実施する例を示している。通信システムとして、FDに対応できる端末とFDに対応しない端末が混在してもよい。その場合、図4に示すように、端末のCapabilityを基地局に対して事前に通知しておくことが望ましい。この通知によって、基地局は、FDに対応しない端末については、当初からFDのペアリング・スケジューリングに含めないようにすることで、スケジューリングの複雑度を下げることが可能となる。ここで、「FDに対応しない」の例として、リンク間干渉の測定機能がないことや、自己干渉キャンセラがないことなどが挙げられる。
まず、端末UE1は、基地局に自局のCapabillityを通知する(SEQ401)。基地局は、受信したCapabilityに基づいて、端末UE1がFDに対応していることを把握する。
次いで、端末UE1は、基地局との下りリンク及び上りリンクのリンク品質を測定し(SEQ402)、その測定結果を基地局に通知する(SEQ403)。基地局は、通知されたリンク品質も考慮して、端末UE1への下りリンクと端末UE1からの上りリンクをFDのペアリングとする場合における、FDに利用する周波数リソース、時間リソース、変調方式、誤り訂正符号化率、MIMOパラメータを含むスケジューリングを行う(SEQ404)。そして、基地局は、スケジューリング情報を端末UE1に通知する(SEQ405)。基地局は、無線リソースの割り当て毎の制御情報、又はシステム情報やRRCシグナリングで、端末UE1にスケジューリング情報を通知することができる。
その後、基地局及び端末UE1は、通知した(若しくは通知された)スケジューリング情報に基づき、FD通信又はNon-FDの通信を実施する。具体的には、端末UE1への下りリンクと端末UE1からの上りリンクをFDのペアリングとして、基地局及び端末UE1がともにFDを実施する(SEQ406)。
また、図5には、FD通信を実施するさらに他の通信シーケンス例を示している。但し、図5は、図3と同様に、基地局が異なる端末をFDペアリングする例を示している。
まず、各端末UE1、UE2は、基地局に自局のCapabillityを通知する(SEQ501)。基地局は、受信したCapabilityに基づいて、各端末UE1、UE2がFDに対応しているかどうかを把握する。
次いで、基地局は、自局に接続している各端末UE1、UE2に対して、端末で期待できるリンク通信品質又はリンク通信路品質や干渉状況の測定の設定・指示を通知する(SEQ502)。
各端末UE1、UE2は、基地局からの指示に従って、通信品質測定及び端末間干渉測定を実施する。具体的には、端末UE1、UE2間で参照信号を送信し合って(SEQ503)、受信した参照信号に基づいて端末間干渉を測定する(SEQ504)。また、基地局は各端末UE1、UE2に対して参照信号を送信し(SEQ505)、各端末UE1、UE2は受信した参照信号に基づいて下りリンクの通信品質を測定する(SEQ506)。そして、各端末UE1、UE2は、干渉状況並びに下りリンク通信品質の測定結果を基地局へ報告する(SEQ509)。
また、各端末UE1、UE2は、基地局へ、参照信号をそれぞれ送信する(SEQ507)。そして、基地局は、受信した各参照信号に基づいて、各端末UE1、UE2の上りリンクの通信品質を測定する(SEQ508)。
基地局は、各端末UE1、UE2からのフィードバックと自らの測定結果に基づいて、FDの実施有無を確認し、FDを実施する端末ペアを決定するとともに(SEQ510)、FDに利用する周波数リソース、時間リソース、変調方式、誤り訂正符号化率、MIMOパラメータを含むスケジューリングを行う(SEQ511)。図5に示す例では、基地局は、一方の端末UE1の下りリンクと他方の端末UE2の上りリンクをFDのペアリングとして、端末UE1への下りリンク信号の送信タイミングと他方の端末UE2からの上りリンク信号の送信タイミングを含むスケジューリングを行う。そして、基地局は、スケジューリング情報を、物理層信号処理の制御情報で無線リソースの割り当て毎に各端末UE1、UE2に通知し、又は、システム情報やRRCシグナリングで準静的に通知する(SEQ512)。
その後、基地局及び各端末UE1、UE2は、通知した(若しくは通知された)スケジューリング情報に基づき、FD通信又はNon-FDの通信を実施する。具体的には、基地局は、一方の端末UE1への下りリンクと他方の端末UE2からの上りリンクをFDのペアリングとして、基地局のみがFDを実施する(SEQ513)。
B.通信装置構成
図6には、FDに対応する通信装置600の構成例を示している。図3~図5に示した通信シーケンスにおいて、FDを実施する基地局並びに端末は、図6に示す装置構成を装備しているものと理解されたい。図6中の上半分が物理層送信信号処理部に相当し、下半分が物理層受信信号処理部に相当する。
通信装置600の物理層送信信号処理部は、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号化部601と、FEC(Forward Error Correction)符号化部602と、符号化率調整部603と、スクランブラ/インタリーバ604と、変調部605と、直並列変換部606と、空間信号処理部607と、波形整形部608と、アナログRF(Radio Frequency)送信処理部609を備えている。物理層送信制御部611は、物理層又は上位層からの制御情報に従って、上記の各部601~609の動作をコントロールする。
物理層送信信号処理では、まず、上位レイヤから送信要求されるユーザデータ(データビット系列)は、CRC符号化部601によりCRC符号化された後、FEC符号化部602による誤り訂正(FEC)符号化、及び、符号化率調整部603による符号化率調整(Rate Matching)がなされる。符号化率は、スケジューリングの結果から求められる符号化率に適合するように調整される。スケジューリングの結果の例として、MCS(Modulation and Coding Scheme)が挙げられる。なお、データ送信を要求する上位レイヤは、L3(IP(Internet Protocol))、又はL2(SDAP(Service Data Adaptation Protocol)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol))、RLC(Radio Link Control)、MAC(Media Access Control)などである。
その後、スクランブラ/インタリーバ604によって送信ビット系列に対するスクランブル又はインタリーブが実施される。ここで、スクランブルパターン及びインタリーブパターンは、ユーザ固有(例えば、送信装置あるいは受信装置のユーザIDやRNTI(Radio Network Temporary Identifier)で決められる)、且つリンク種別固有(例えば上りリンク、下りリンク、サイドリンク、アクセスリンク、バックホールリンクなど)のパターンであることが望ましい。特にリンク種別固有のパターンは、FDを実施する際に、自己干渉キャンセラの効果を高めることに有効である。
スクランブル又はインタリーブされた後の送信ビット系列は、変調部605によって実数又は複素数のシンボル系列に変換される。具体的には、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)などの変調が施される。どの変調レベルが適用されるかは、スケジューリングの結果(例えばMCS)から決められる。
変調後のシンボル系列は、直並列変換部606によってMIMOのために直並列変換(Serial-to-Parallel Conversion)され、空間信号処理部607によって例えば、Spatial Precoding、Spatial Power Loadingなどの空間信号処理が実施される。直並列変換の並列数は、空間ストリーム(Spatial Stream)や空間レイヤ(Spatial Layer)に相当する。直並列変換の並列数及び空間信号処理の種類は、スケジューリングの結果(例えば、Rank Indicator、Precoding Matrix Indicator)から決められる。
その後、波形整形部608によって、各ストリームの波形(Waveform)整形処理を実施する。波形整形処理として、例えば、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、フーリエ変換、逆フーリエ変換などが挙げられる。波形整形処理は、リンク種別に応じて、又はスケジューリングの結果に応じて異なる種類の波形整形をしてもよい。例えば、下りリンクであればOFDMA、上りリンクであればOFDMA又はSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)(又はDFT-Spread OFDMA)、サイドリンクであればOFDMA又はSC-FDMA(又はDFT-Spread OFDMA)などとしてもよい。波形整形処理後は、アナログRF送信処理部609が、実際に信号を送信するキャリア周波数に応じて、アナログ信号処理及びRF信号処理を実施し、アンテナから送信する。通信装置600は、空間ストリーム数に応じた本数のアンテナを装備しているものとする。
また、通信装置600の物理層受信信号処理部は、アナログRF受信処理部621と、波形復調部622と、等化部623と、並直列変換部624と、復調部625と、デスクランブラ/デインタリーバ626と、復号率調整部627と、FEC復号部628と、CRC復号部629を備えている。物理層受信制御部631は、物理層又は上位層からの制御情報に従って、上記の各部621~629の動作をコントロールする。
FDの場合、受信側では、通信相手となる他の通信装置からの所望信号、周囲からの干渉信号、及び通信装置自身からの自己干渉信号が混在した信号をアンテナで受信することとなる。各アンテナの受信信号は、それぞれサーキュレータを介してアナログRF受信処理部621に入力される。物理層受信信号処理では、まず、アナログRF受信処理部621で、受信信号をアナログ信号処理並びにRF信号処理する際に、アナログ領域での自己干渉信号を除去あるいは軽減する。FD非実施時であれば、アナログRF受信処理部621での自己干渉信号除去はオフにしてもよい。FDのオン/オフについては、スケジューリングの結果によって決められることが望ましい。
その後、波形復調部622で、所望信号の波形に応じた受信側の波形復調処理を実施する。波形復調処理として、例えば、OFDM復調、フーリエ変換、逆フーリエ変換などが挙げられる。そして、等化部623では、所望信号が受けた電波伝搬の変動を補償するための等化処理(Equalization)を実施する。この等化処理は、伝搬伝搬の変動量を推定するためのチャネル推定(Channel Estimation)を実施する。また、FD時には、等化部623で、ディジタル領域での自己干渉信号の除去あるいは軽減するための処理を実施する。但し、自己干渉信号除去又は軽減は、後段のディジタル復調やFEC復号の結果をフィードバックさせて、ターボ等化(Turbo Equalizaition)や繰り返し等化(Iterative Equalization)としてもよい。また、FD非実施時は、ディジタル部の自己干渉信号除去あるいは軽減するための処理もオフにしてもよい。
等化処理後は、並直列変換部624で、空間ストリーム・空間レイヤを並直列変換(Parallel-to-Serial Conversion)した後、復調部625で、受信複素シンボル系列からソフトビット系列(LLR(Log Likelihood Ratio)、Soft Informationなど)へ変換する。この変換は、スケジューリングの結果(例えばMCS)によって決められることが望ましい。
その後、デスクランブラ/デインタリーバ626で、送信側で利用されたスクランブルパターン、インタリーブパターンに対応するデスクランブル又はデインターリーブを実施する。これらのパターンは、ユーザ固有(例えば、例えば送信装置あるいは受信装置のユーザIDやRNTIで決められる)且つリンク種別固有(例えば上りリンク、下りリンク、サイドリンク、アクセスリンク、バックホールリンク、など)のパターンであることが望ましい。
その後、復号率調整部627及びFEC復号部628によって、送信側で利用されたFEC符号化方法、FEC符号化率に対応する符号化率変換(Rate De-matching)やFEC復号(Decoding)が実施され、ソフトビット系列からユーザデータのビット系列が復号される。復号方法、符号化率などは、スケジューリングの結果(例えばMCS)から決められる。復号されたビット系列は、CRC復号部629によって、CRCによってビット誤りが発生しているか否かが判定される。復号されたユーザデータのビット系列及びCRCの判定結果は、上位レイヤ(前述)に転送され、その後の動作が決定する。CRCでビット誤りが検出されなければACKが通信相手に送信される。一方、ビット誤りが検出された場合には、NACKが通信相手に送信される。この場合には、その後で再送(例えばHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request))などの処理に入っていく。
送信側及び受信側の物理層信号処理を制御するための制御情報(Control Information)は、基地局のスケジューリングの結果が反映されている。この情報は、例えば、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)で送られる下りリンク制御情報(Downlink Control Information:DCI)や、物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH)や物理下りリンク共有チャネル(PhysicalDownlink Shared Channel:PDSCH)で送られるRRC(Radio Resource Control)シグナリングでやり取りされる。
C.FDの切り替え手段
本実施形態では、FDの実施の有無は、原則として基地局がスケジューリングの一環として決める。そのためには、どの端末のどのリンクが、別のどの端末のどのリンクとFDができるかを、基地局が評価しておくことが必要になる。
例えば、基地局がある端末へ下りリンク信号を送信しているときに、他の端末からの上りリンク信号を受信しても(言い換えれば、他の端末からの上りリンク信号の送信を開始しても)、リンク通信品質やデータレート(又は、周波数利用効率)に悪影響を及ぼさない(若しくは、影響が小さい)ときに、これらの端末をFDする端末としてペアリングすることができる。
図7には、基地局において、FD可能な(若しくは、FDに適する)ペアリングを評価するための処理手順をフローチャートの形式で示している。このペアリング評価は、基地局(あるいは基地局が制御するセル)と接続している端末及びリンク種別のすべての組み合わせに対して評価することが望ましい。
ペアリングの評価は、まず2つの端末(図7中の端末mと端末n)について、異なるリンク種別を想定する。同図中では、端末mの下りリンク(DL)と端末nの上りリンク(UL)をFDする場合について評価する(リンク種別は、端末mの上りリンクと端末nの下りリンクとしてもよい)(ステップS701)。そして、端末mと端末nの両方がFDに対応しているかどうかを判定する(ステップS702)。端末がFDに対応しているかの情報は、例えば、上述した図5に示したような基地局と端末間のプロトコル若しくは通信シーケンスの中で把握することができる。
ここで、端末mと端末nの両方がFDに対応していない場合には(ステップS702のNo)、その組み合わせはFDに適さないものとして判定する(ステップS707)。
また、端末mと端末nの両方がFDに対応する場合には(ステップS702のYes)、続いて、端末mの下りリンク(あるいは上りリンク)のリンク通信品質について、端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)とFDを実施しない場合と、端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)とFDを実施する場合とで比較をする(ステップS703)。例えば、FDを実施する場合と実施しない場合とで、達成可能と考えられるMCS又はCQIのレベルに基づいて、リンク通信品質を比較することができる(後述)。
そして、FDを実施する場合と実施しない場合のリンク品質の比較結果が所定の条件を満たす場合には(ステップS704のYes)、端末mの下りリンク(あるいは上りリンク)と端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)はFDのペアリングが可能であると判定する(ステップS705)。他方、FDを実施する場合と実施しない場合のリンク品質の比較結果が所定の条件を満たさない場合には(ステップS704のNo)、その組み合わせはFDに適さないものとして判定する(ステップS707)。
上記の判定フローについて、まだ評価していない端末の組み合わせ、及びリンク種別の組み合わせが残っている場合には(ステップS706のYes)、その残っている組み合わせについて評価を続ける(ステップS708)。基地局は、自局に接続している端末(若しくは、基地局が制御するセルに接続している端末)のすべてのペア(リンク方向を含む、総当たりで)に対して、FDのペアリングの適正を評価する。そして、すべての組み合わせについて評価を終えたら(ステップS706のNo)、本処理を終了とする。
上記の判定ステップS704において、端末mの下りリンク(あるいは上りリンク)のリンク通信品質について、端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)とFDを実施しない場合と、端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)とFDを実施する場合とで比較をする際の「所定の条件」として、以下の(a)、(b)のようなものが考えられる。
(a)非FD時(HD(Half Duplex)時)に相当するとき(又は、FD時に相当しないとき)に測定したリンク品質測定値と、FD時に相当するときに測定したリンク品質測定値の結果がほぼ変わらない。
(b)非FD時(HD時)に相当するとき(又は、FD時に相当しないとき)に達成可能と考えられるデータレート(又は周波数利用効率)と、FD時に相当するときに達成可能と考えられるデータレート(又は周波数利用効率)が、ほぼ変わらない。
上記において、「ほぼ変わらない」の意味として、リンク品質測定値、データレート、周波数利用効率について、アナログ値的にはFDを実施した方がFDを実施しない場合より劣化はするが、離散値化した場合にはFDを実施した方がFDを実施しない場合が同じ範囲に収まる、又は高々所定の離散値分(例えば1レベル分)しか劣化しないということを意味する。データレート、周波数利用効率を離散値化した例として、MCSやCQIを挙げることができる。FDを実施したときのMCSレベルやCQIレベルが、FDを実施しないときと変わらない、若しくは所定レベル未満の劣化に過ぎない場合には、リンク通信品質が「ほぼ変わらない」とみなすことができる。MCSの例を表1及び表2に、CQIの例を表3及び表4に、それぞれ示しておく。
上記の表1並びに表2は、離散値化されたMCSの例である。表1及び表2中の「MCS Index」が、リンク通信品質が離散値化された値を意味する。MCS Indexの値によって、PSK又はQAMの変調レベルとFEC符号化率が定まる。これらの表はQPSK/16QAM/64QAMをカバーする。なお、表1及び表2は、3GPP規格書TS36.213(V14.4.0)のSection7.1.7にも記載されている。
また、上記の表3並びに表4は、離散化されたCQIの例である。表3及び表4中の「CQI Index」が、リンク通信品質が離散化された値を意味する。CQI Indexの値によって、PSK又はQAMの変調レベルとFEC符号化率が定まる。これらの表はQPSK/16QAM/64QAM/256QAMをカバーする。なお、表3及び表4は、3GPP規格書TS36.213(V14.4.0)のSectoin 7.2.3にも記載されている。
上記のようなリンク品質の測定値、若しくは通信品質値の離散値を「ほぼ変わらない」ようにFDのペアリングを設定することによって、FDの切り替えが発生した場合においても、切り替え前後で同じ通信品質を維持することが可能である。また、MCSやCQIなどの制御情報(Control Information)をFDの切り替え前後で変える必要がないため、切り替えのためにやり取りすべき基地局と端末の間のControl Informationの量を減らすことができる。最良のケースでは、FD切り替え時のControl Informationのやり取りを無くすことも可能となる。例えば、MCSの通知には5ビットが使用され、CQIの通知には4ビットが使用される。FDの切り替え前後でMCSやCQIを変更しないことにより、Control Informationから、MCS又はCQIのビット数分だけデータ量を削減することができる。
基地局と端末の間で、上記の表1~表4のような内容を事前に把握していることが望ましい。例えば、ルックアップテーブルの形で、基地局及び各端末の装置内に事前に実装しておいてもよい。
また、図7に示したフローチャート中の判定ステップS704において、端末mの下りリンク(あるいは上りリンク)のリンク通信品質について、端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)とFDを実施しない場合と、端末nの上りリンク(あるいは下りリンク)とFDを実施する場合とで比較をする際の「所定の条件」を、以下のような考慮をしてもよい。
FDでペアリングされる上りリンクの端末と下りリンクの端末の相対的な関係を考慮してもよい(図20を参照のこと)。
例えば、FDのペアリングをする際に、ペアリングされる上りリンクの端末と基地局間の距離と、基地局と下りリンクの端末間の距離とを直接的に考慮してもよい。ここで言う距離は、2次元の距離、又は3次元の距離である。具体的には、ペアリングされる上りリンクの端末は、ペアリングされる下りリンクの端末に比べて、接続している基地局と比較的近いこと(セルの中心に比較的近いこと)が望ましい。例えば、上りリンクの端末の送信電力を抑制することで、基地局から下りリンクの端末に送信する下りリンク信号への干渉を抑制して、上りリンク信号及び下りリンク信号の通信品質を保つことができる。
また、FDのペアリングをする際に、ペアリングされる上りリンクの端末と基地局の間のパスロスと下りリンクの端末と基地局の間のパスロスを考慮してもよい。この場合、ペアリングされる上りリンク端末は、ペアリングされる下りリンク端末に比べて、パスロスが小さいことが望ましい。
また、FDのペアリングをする際に、上りリンクの端末のRSRP、RSRQ、又はRSSIと、下りリンクの端末のRSRP、RSRQ、又はRSSIを考慮してもよい。この場合には、ペアリングされる上りリンク端末は、ペアリングされる下りリンク端末に比べて、RSRP、RSRQ、又はRSSIが大きいことが望ましい。
また、FDのペアリングをする際に、上りリンク端末のCQI又はMCSと下りリンク端末のCQI又はMCSを考慮してもよい。この場合、ペアリングされる上りリンク端末は、ペアリングされる下りリンク端末に比べて、CQI又はMCSが大きいことが望ましい。
上記の説明では、ペアリングされる上りリンク端末と下りリンク端末の相対的な指標(距離、パスロス、RSRP、RSRQ、RSSI、CQI、MCSなど)でペアリングの適正を判定しているが、端末毎に個別に(独立して)、上りリンクの端末としてのペアリングの適正並びに下りリンクの端末としてのペアリングの適性の判定を実施するようにしてもよい。
例えば、上りリンクについて、距離、パスロス、RSRP、RSRQ、RSSI、CQI、MCSなどの指標に対して所定の閾値を設け、端末がその上りリンクの閾値を上回る(指標によってはその閾値を下回る)場合には、その端末を上りリンクの端末としてペアリングされる適性があると判定できる。同様に、下りリンクについて、距離、パスロス、RSRP、RSRQ、RSSI、CQI、MCSなどの指標に対して所定の閾値を設け、端末がその下りリンクの閾値を下回る(指標によってはその閾値を上回る)場合に、その端末を下りリンクの端末としてペアリングされる適性があると判定できる。
なお、各指標の上りリンクの閾値と下りリンクの閾値は、上りリンク、下りリンクそれぞれ個別の値でもよいし、同一(共通)の値となってもよい。ある指標については上りリンク閾値と下りリンク閾値が共通であるが、他の指標については上りリンク閾値と下りリンク閾値が個別の値であってもよい。
図21には、端末毎に個別に(独立して)、上りリンクの端末としてのペアリングの適正並びに下りリンクの端末としてのペアリングの適性を判定するための処理手順をフローチャートの形式で示している。図示の処理手順は、例えば基地局が配下の各端末に対して個別に実施するが、各端末が自ら実施して判定結果を接続先の基地局に通知するようにしてもよい。
まず、処理対象とする端末が、所定の指標について、上りリンクの閾値の条件を満たすかどうかをチェックする(ステップS2101)。
そして、所定の指標について上りリンクの閾値の条件を満たす場合には(ステップS2101のYes)、当該端末は上りリンクの端末としてペアリングされる適性があると判定する(ステップS2102)。また、同指標について上りリンクの閾値の条件を満たさない場合には(ステップS2101のNo)、当該端末は上りリンクの端末としてペアリングされる適性がないと判定する(ステップS2103)。
続いて、処理対象とする端末が、所定の指標について、下りリンクの閾値の条件を満たすかどうかをチェックする(ステップS2104)。
そして、所定の指標について下りリンクの閾値の条件を満たす場合には(ステップS2104のYes)、当該端末は下りリンクの端末としてペアリングされる適性があると判定する(ステップS2105)。また、同指標について下りリンクの閾値の条件を満たさない場合には(ステップS2104のNo)、当該端末は上りリンクの端末としてペアリングされる適性がないと判定する(ステップS2106)。
このように、上りリンクの端末としてペアリングされる適性の有無、及び下りリンクの端末としてペアリングされる適性の有無を、端末毎に個別に(独立して)判定した上で、それぞれ適性がある端末同士をFDペアリングすることが可能となる。なお、端末によっては、上りリンクの端末としての指標の条件と下りリンクの端末としての指標の条件を両方とも満たす場合もあり得る。
本明細書で言う「FDの切り替え」とは、ある通信装置(端末又は基地局)から見て、FDの有無(又はFDとHD(TDD又はFDD))の状況が変わること(FDからHDへの変化、又はHDからFDへの変化)を意味する。また、FD実施中の通信装置のペア(FDされている各リンクの通信装置のペア・組み合わせ)が変わることも「FDの切り替え」に相当する。
D.実施例1
ここでは、リソース割り当て単位内でFDを切り替える実施例について説明する。実施例1では、主に基地局がFDを実施するが、端末はFDを実施しない。具体的には、基地局は、ある端末へ下りリンクの送信と、別の端末からの上りリンクの受信を同時に行う実施例である。
端末が通信(下りリンクの受信、上りリンクの送信、サイドリンクの送信など)に使うための無線リソース(周波数リソース(リソースブロックなど)や、時間リソース(サブフレーム、スロット、ミニスロットなど))は、基地局からスケジューリングの結果によって端末毎に割り当てられる。従来のFDでは、無線リソースを割り当てる単位時間(例えば、サブフレーム、スロットなど)内でリンク種別(下りリンクから上りリンクへ、又は上りリンクから下りリンクへ)が切り替わることはなかった。これに対し、本実施形態では、ユーザに割り当てた時間リソース単位内でFDを切り替える。
ここで言う、割り当てられる「無線リソース」とは、具体的にはユーザデータに関連する情報を運ぶための無線リソース(例えば、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)、物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)、サイドリンク共有チャネル(Physical Sidelink Shared Channel:PSSCH)など)であることが望ましい。
図8には、1台の基地局(BS)と、この基地局に接続している2台の端末UE1及びUE2からなる通信システムにおいて、リソース割り当て単位内でのFDの切り替えを含む通信シーケンス例を示している。同図において、横軸は時間軸である。また、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味しているものと理解されたい。また、同図では、所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が2つの分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割され、分割された時間単位でFDの切り替えを実施する通信シーケンス例を示している。
無線リソースの先頭のControlは、制御チャネルである。BSは、この制御チャネルを使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを各端末UE1、UE2へ通知する。
1つ目のミニスロットでは、FDが実施されない(すなわち、HDのみが実施されている)。BSは、UE1へ下りリンク(DL)信号を送信している。また、UE1は、そのミニスロットの最後に、対象の下りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。
2つ目のミニスロットでは、BSによりFDが実施され、且つ、同ミニスロット内でFDを実施する端末ペアの切り替えが1回だけ発生している。このミニスロットの前半では、BSは、UE1への下りリンク信号を送信するのと同時に、UE2からの上りリンク信号を受信している。そして、2つ目のミニスロットの最後に、BSは、FDを実施する端末ペアを切り替えて、UE1からの下りリンク信号に対するACK/NACKを受信するのと同時に、UE2へ上りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。
図8の2つ目のミニスロットのような場合、前半の下りリンクと上りリンクの信号は、ユーザデータを運ぶ信号であることが望ましい。また、同ミニスロットの後半のFD切り替え後の下りリンクと上りリンクの信号は、少なくとも一方はACK/NACKについての信号であることが望ましい。また、ミニスロットの前半のユーザデータを運ぶ信号の時間的な長さ(例えばシンボル数、シンボル長とシンボル数の積など)は同一であることが望ましい。言い換えれば、下りリンク信号用に割り当てるリソースの個数と、上りリンク信号用に割り当てるリソースの個数は同数であることが望ましい。BSからUE1への下りリンクのユーザデータと、UE2からBSへの上りリンクのユーザデータの時間的な長さが同一(言い換えれば、両データフレームの終端位置が揃っている)であると、自己干渉キャンセラの制御が容易になるからである。同様の理由で、UE1からのACK/NACKの受信タイミングが、BSがUE2へACK/NACKを送信開始するタイミングと揃っていることが好ましい。
また、図8に示すように、1つの時間単位(ミニスロット)内でユーザデータとACK/NACKのFD切り替えを行う場合、割り当てられた時間リソース内でのFDの切り替えの回数は所定の回数(例えば1回)を上限とすることが望ましい。この所定の回数、並びに切り替えが発生するタイミング(例えばシンボル数で指定)は、Control Informationで基地局から端末へ通知されることが望ましい。
図9には、ミニスロット内で2回のFD切り替えがある場合の通信シーケンス例を示している。同図では、1台の基地局(BS)と、この基地局に接続している3台の端末UE1、UE2、UE3からなる通信システムを想定している。また、同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。そして、所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が2つの分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されている。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを各端末UE1、UE2、UE3へ通知する。
1つ目のミニスロットでは、FDが実施されない(すなわち、HDのみが実施されている)。BSは、UE1へ下りリンク(DL)信号を送信している。また、UE1は、そのミニスロットの最後に、対象の下りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。
2つ目のミニスロットでは、BSによりFDが実施され、且つ、同ミニスロット内でFDを実施する端末ペアの切り替えが2回発生している。このミニスロットの前半では、BSは、UE1への下りリンク信号を送信するのと同時に、上りリンクを受信している。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。
1回目のFDの切り替わりは、上りリンクの送信装置がUE2からUE3に切り替わるときとなる。このとき、先に説明したFDのペアリングの条件を採用している場合、UE1の下りリンクの通信品質はHDとFDを含めほぼ変わらないことから、継続して同じ送信パラメータ(Control Information、MCSなど)を利用した送信をしても、UE1は下りリンク信号を受信することが可能である。つまり、UE2が送信している期間とUE3が送信している期間の間で、下りリンク信号のMCSなどの送信パラメータを変えることを不要にすることができる。
2つ目のミニスロット内での2回目のFDの切り替えは、図8に示した例と同様に、ユーザデータ信号の送信からACK/NACK信号の送信に切り替わるところである。すなわち、2つ目のミニスロットの最後に、BSは、FDを実施する端末ペアを切り替えて、UE1からの下りリンク信号に対するACK/NACKを受信するのと同時に、UE2及びUE3へ上りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。
図9に示した通り、FDの切り替えによらずMCSなどの送信パラメータを変更せずに使うことが、シグナリングの簡素化や自己干渉キャンセラの制御の観点からは望まれる。但し、FDの切り替えに合わせてMCSなどの送信パラメータを切り替えることをしてもよい。
なお、BSからUE1への下りリンクのユーザデータの時間的長さ(例えばシンボル数、シンボル長とシンボル数の積など)と、UE2からBSへの上りリンクのユーザデータ及びUE3からBSへの上りリンクのユーザデータの合計の時間的な長さとが同一(言い換えれば、両データフレームの終端位置が揃っている)であることが望ましい。何故なら、自己干渉キャンセラの制御が容易になるからである。言い換えれば、下りリンク信号用に割り当てるリソースの個数と、上りリンク信号用に割り当てるリソースの個数は同数であることが望ましい。また、同様の理由で、UE1からのACK/NACKの受信タイミングが、BSがUE2及びUE3へACK/NACKを送信開始するタイミングと揃っていることが好ましい。
図9に示した通信シーケンス例では、ミニスロット内でのBSからUE1への下りリンクのユーザデータの送信中に、上りリンクのユーザデータの送信装置がUE2からUE3に切り替わる際に、シグナリングの簡素化などの観点から、MCSなどの送信パラメータを変更しないことを想定している。もちろん、上りリンクのユーザデータの送信装置が切り替わる際に、MCSなどの送信パラメータの切り替えを併せて行うようにしてもよい。
図10には、ミニスロット内でのFD切り替えがあり、且つ、FDの切り替えに合わせてMCSなどの送信パラメータを切り替える場合の通信シーケンス例を示している。同図では、図9と同様に、1台の基地局(BS)と、この基地局に接続している3台の端末UE1、UE2、UE3からなる通信システムを想定している。また、同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。そして、所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が2つの分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されている。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを各端末UE1、UE2、UE3へ通知する。
1つ目のミニスロットでは、FDが実施されない(すなわち、HDのみが実施されている)。BSは、UE1へ下りリンク(DL)信号を送信している。また、UE1は、そのミニスロットの最後に、対象の下りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。
2つ目のミニスロットでは、BSによりFDが実施され、且つ、同ミニスロット内でFDを実施する端末ペアの切り替えが2回発生している。このミニスロットの前半では、BSは、UE1への下りリンク信号を送信するのと同時に、上りリンクを受信している。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。
1回目のFDの切り替わりは、上りリンクの送信装置がUE2からUE3に切り替わるときとなる。このとき、MCSの切り替わるタイミング(例えば、シンボル数、シンボル長×シンボル数など)を、FDの切り替わりのタイミングで揃えていることが望ましい。すなわち、図10中のUE1への下りリンク信号のMCSが切り替わる境界と、UE2からの上りリンク信号とUE3からの上りリンク信号の境界が一致していることが望ましい。BSがUE2への下りリンク信号を送信するときのMCSをMCS1とし、UE3への下りリンク信号を送信するときのMCSをMCS2とする。
また、同一の端末への信号(図10中の場合UE1への下りリンク信号)を2以上の数に分ける場合、分け方として、トランスポートブロック(Transport Block、1以上のコードブロックで構成される)として分ける場合と、コードブロック(Code Block、又はCode Block Group)として分ける場合が考えられる。つまり、トランスポートブロック又はコードブロックの境界が、上述したMCS及びFDが切り替わる境界に相当するように分けることが考えられる。このように分けた場合、それぞれのトランスポートブロック又はコードブロックでMCSなど送信パラメータを変えてもよい(特に、トランスポートブロックの場合に送信パラメータを変えることが望ましい)。送信パラメータを変える場合は、Control Informationとして基地局から端末へ通知しておくことが望ましい。
2つ目のミニスロット内での2回目のFDの切り替えは、図9に示した例と同様に、ユーザデータ信号の送信からACK/NACK信号の送信に切り替わるところである。すなわち、2つ目のミニスロットの最後に、BSは、FDを実施する端末ペアを切り替えて、UE1からの下りリンク信号に対するACK/NACKを受信するのと同時に、UE2及びUE3へ上りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。
E.実施例2
ここでは、通信装置が、FDの切り替えにより、ユーザデータを送信(又は受信)しながら、ACK/NACKを受信(又は送信)する実施例について説明する。これにより、低遅延通信を実現するためのRound-trip Delayの削減に大きく貢献することが可能となる。
また、上記の実施例1では、主に基地局がFDを実施するのに対し、実施例2では基地局及び端末がともにFDを実施することとなる。具体的には、基地局は、ある端末への下りリンクの送信とその端末からの上りリンクの受信を同時に行うとともに、端末側では、基地局からの下りリンクの受信と基地局への上りリンクの送信を同時に行う実施例である。
図11には、1台の基地局(BS)と1台の端末UE1からなる通信システムにおいて、FDの切り替えにより、ユーザデータを送信(又は受信)しながら、ACK/NACKを受信(又は送信)する通信シーケンス例を示している。同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。そして、割り当てられた所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が複数(図示の例では4つ)の分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されている。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを端末UE1へ通知する。
BSは、UE1への下りリンク(DL)信号を送信している。これに対し、UE1は、割り当てられた所定の時間単位(例えばサブフレームやスロット)内での下りリンク信号を継続して受信したまま、受信した信号で運ばれるデータに対応するACK/NACKを上りリンク(UL)信号で送信する。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSは、FDを実施して、UE1への下りリンク信号の送信と、UE1からのACK/NACKの受信を同時に行っている。また、UE1も、FDを実施して、BSからの下りリンク信号の受信と、BSへのACK/NACK信号の送信を同時に行っている。
また、図11に示す通信シーケンス例では、UE1は、割り当てられた所定の時間単位内で、BSからの下りリンク信号に対応するACK/NACKを複数回にわたり送信している。例えば、UE1は、下りリンク信号のトランスポートブロック、コードブロック又はコードブロックグループに対応するACK/NACKを送信する。
割り当てられた所定の時間単位中にUE1がACK/NACKを送信するタイミング及び回数については、BSからUE1へ、下りリンク制御情報(Downlink Contcol Information)で無線リソースの割り当て毎に動的に指定されるか、システム情報(System Information)やRRCシグナリングで準静的に指定されることが望ましい(下りリンク制御情報(Downlink Contcol Information)は、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)を用いて送信される。他方、システム情報(System Information)やRRCシグナリングは、物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel)や物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel)を用いて送信される)。したがって、UE1への、BSからの下りリンク信号の受信用無線リソースの割り当ての通知と、UE1からの上りリンク信号の送信用無線リソースの割り当ての通知は、それぞれ異なるチャネルを通じて行われることになる。
FDは、BSとUE1の間でACK/NACKの送受信中に発生する。したがって、FDの切り替えタイミングをBSとUE1の間で事前に通知又は指定されていれば、自己干渉キャンセラをその期間(及び数シンボル分前後も含む期間)のみ動作させることが可能となり、受信時の信号処理負荷並びに消費電力を削減することに貢献する。
また、UE1に下りリンク信号の受信用無線リソースとして割り当てられた所定の時間単位の最後のパート(例えば、所定の時間単位における最後のミニスロット又はシンボル)については、UE1は受信した信号のACK/NACKを返す必要があるので、下りリンク信号は受信し終わっている必要がある。したがって、最後のACK/NACKのときのみ、それ以前に信号の受信が終わっているように信号(下りリンク信号、並びにACK/NACK)の配置を設定することが望ましい。言い換えれば、受信用無線リソースが2以上ある場合に、時間的に最後の受信用無線リソース(最後のミニスロット又はシンボル)と対になる送信用無線リソースは、時間的に重複しない。
図12には、通信装置(基地局又は端末)が、FDの切り替えに伴う自己干渉キャンセラの動作を制御するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
通信装置は、対象の無線リソースにおいて信号を送信し(ステップS1201のYes)、且つ、対象の無線リソースにおいて信号を受信する場合には(ステップS1202のYes)、自己干渉キャンセラを動作させる(ステップS1203)。
他方、通信装置は、対象の無線リソースにおいて信号を送信しない場合(ステップS1201のNo)、又は、対象の無線リソースにおいて信号を送信するが(ステップS1201のYes)、受信しない場合(ステップS1202のNo)、言い換えればFDを実施しない場合には、自己干渉キャンセラを動作させない(ステップS1205)。
そして、通信装置は、自己干渉キャンセラを動作させながら、若しくは自己干渉キャンセラを動作させずに、受信信号に対する復調及び復号処理を行った後(ステップS1204)、次の対象の無線リソースの処理に移行する(ステップS1206)。
図13には、1台の基地局(BS)と1台の端末UE1からなる通信システムにおいて、FDの切り替えにより、ユーザデータを送信(又は受信)すると同時にACK/NACKを受信(又は送信)する他の通信シーケンス例を示している。同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを端末UE1へ通知する。
BSは、UE1への下りリンク(DL)信号を送信している。これに対し、UE1は、割り当てられた所定の時間単位(例えばサブフレームやスロット)内での下りリンク信号を継続して受信したまま、受信した信号で運ばれるデータに対応するACK/NACKを上りリンク(UL)信号で送信する。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSは、FDを実施して、UE1への下りリンク信号の送信と、UE1からのACK/NACKの受信を同時に行っている。また、UE1も、FDを実施して、BSからの下りリンク信号の受信と、BSへのACK/NACK信号の送信を同時に行っている。
図13に示す例では、割り当てられた所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が複数(図示の例では4つ)の分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されているが、その分割と、データ(UE1への下りリンク信号で伝送されるユーザデータ)のトランスポートブロック(Transport Block:TB)、コードブロック(Code Block:CB)、コードブロックグループ(CB Group:CBG)の境界を関連付けることで、ACK/NACKの計算を簡単にすることができる。
分割された区間としては、ミニスロットなどを考えることができる。割り当て中にACK/NACKを送信するタイミング・回数については、BSからUE1へ、制御情報で割り当て毎に動的に指定されるか、又は、システム情報(System Information)やRRCシグナリングで準静的に指定されることが望ましい。指定の方法として、例えば、第a番目のミニスロットで受信したデータに対するACK/NACKを第(a+b)番目(図13中ではb=1に相当)で送信するというように指定してもよい。
ここで、第(a+b)番目のミニスロットがUE1に割り当てられていない場合(具体的には、第a番目のミニスロットが図13中の最後のミニスロットに相当)、UE1は第a番目のミニスロットでACK/NACKを送信するということにする。このような場合や、UE1に受信用無線リソースとして割り当てられた最後のパート(所定の時間単位における最後のミニスロット)については、受信した信号のACK/NACKを返す必要があるので、下りリンク信号は受信し終わっている必要がある。したがって、ACK/NACKのとき、それ以前に信号の受信が終わっているように信号(下りリンク信号、並びにACK/NACK)の配置を設定することが望ましい。
ユーザデータを載せた信号を送信する際の送信パラメータ(MCSなど)については、上述したFDペアリングを考慮したペアリングをした場合、ACK/NACKの送信にFDが実施されることの有無によらず、同一の送信パラメータを利用することが可能である。制御情報(Control Information)、システム情報(System Information)、RRCシグナリングの簡素化やオーバーヘッド削減の観点から、同一の送信パラメータを利用することが望ましい。
他方、同一の送信パラメータでなければならないという縛りはないので、ACK/NACK送信時のFDの実施の有無に応じて、送信パラメータを変更してもよい。この場合、MCSを考慮すると、ACK/NACK送信時にFD(及び一般にFD)が実施されているときの値は、ACK/NACK送信時のFD(及び一般にFD)が実施されていないときの値より、データレート(周波数利用効率)の点で同じかそれよりも小さい値を利用することが望ましい。例えば、上記の表1のMCS Indexについて、非FD時の場合のMCS Indexが20であった場合には、FD時のMCS Indexは20以下であることが望ましい。
図14には、1台の基地局(BS)と、この基地局に接続している2台の端末UE1及びUE2からなる通信システムにおいて、FDの切り替えにより、ユーザデータを送信(又は受信)すると同時にACK/NACKを受信(又は送信)するさらに他の通信シーケンス例を示している。同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。そして、所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が2つの分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されている。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを各端末UE1、UE2へ通知する。
1つ目のミニスロットはUE2の下りリンク信号の受信用に割り当てられ、2つ目のミニスロットはUE1の下りリンク信号の受信用に割り当てられているものとする。
1つ目のミニスロットでは、FDが実施されない(すなわち、HDのみが実施される)。すなわち、BSは、FDを実施せず(すなわち、HDのみを実施して)、UE2への下りリンク信号(DL)を送信している。ここで、BSは1つ目のミニスロットの終端に達するまで下りリンク信号を送信し続けているので、UE2は、自分の受信用に割り当てられたリソース(ミニスロット)でACK/NACKを送信することができない。
2つ目のミニスロットでは、BSは、UE1への下りリンク信号を送信している。ここで、2つ目のミニスロットはUE2には割り当てられていないが、ACK/NACKの送信が許容される。そこで、UE2は、1つ目のミニスロットで受信した下りリンク信号に対するACK/NACKを、BSに送信することができる。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSは、2つ目のミニスロットでは、FDを実施して、UE1への下りリンク信号を送信すると同時に、UE2からのACK/NACK信号を受信する。また、UE1は、2つ目のミニスロットの最後に、対象の下りリンク信号に対するACK/NACKを送っている。
要するに、図14に示す通信シーケンス例では、第a番目のミニスロットで受信した信号のデータに対するACK/NACKの送信が、第(a+b)番目のミニスロットの割り当てを問わず許容される。したがって、端末側では下りリンク信号の受信用に割り当てられた時間単位(ミニスロット、シンボルなど)でACK/NACKを送信できなくても、例えば他の端末の下りリンク信号の受信に割り当てられた時間単位を使って(すなわち、受信が完了した後に)、FDを実施することなくACK/NACKを送信することができる訳である。
図15には、図12~図14に示した通信シーケンスにおいて、端末として動作する通信装置がユーザデータの受信とACK/NACKの送信のタイミングを制御するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、端末は、接続先の基地局から、ACK/NACKの送信タイミングに関する制御情報、システム情報、RRC情報などを受信する(ステップS1501)。下りリンク制御情報(Downlink Contcol Information)は、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)を用いて送信される。他方、システム情報(System Information)やRRCシグナリングは、物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel)や物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel)を用いて送信される。
そして、端末は、第a番目の無線リソースが自分の信号受信のために割り当てられているかどうかをチェックする(ステップS1502)。但し、aの初期値は1とする。第a番目の無線リソースが信号受信のために割り当てられていない場合には(ステップS1502のNo)、aを1だけインクリメントして(ステップS1508)、次の無線リソースの処理に移行する。
一方、第a番目の無線リソースが信号受信のために割り当てられている場合には(ステップS1502のNo)、端末は、第a番目の無線リソースで送信される信号のデータを受信し、復号及び復調処理を行う(ステップS1503)。
次いで、端末は、第(a+b)番目の無線リソースが信号受信又は信号送信のために割り当てられているかどうかをチェックする(ステップS1504)。また、第(a+b)番目の無線リソースが信号受信又は信号送信のために割り当てられていない場合には(ステップS1504のNo)、端末は、割り当てられていない無線リソースでのACK/NACK送信が許容されているかどうかをさらにチェックする(ステップS1506)。
第(a+b)番目の無線リソースが信号受信又は信号送信のために割り当てられている場合(ステップS1504のYes)、又は、割り当てられていない無線リソースでのACK/NACK送信が許容されている場合には(ステップS1506のYes)、端末は、第(a+b)番目の無線リソースで、第a番目の無線リソースで受信したデータに対するACK/NACKを送信する(ステップS1505)。
また、割り当てられていない無線リソースでのACK/NACK送信が許容されていない場合には(ステップS1506のNo)、端末は、第a番目の無線リソースで、第a番目の無線リソースで受信したデータに対するACK/NACKを送信する(ステップS1507)。
その後、端末は、aを1だけインクリメントして(ステップS1508)、次の無線リソースの処理に移行する。
F.実施例3
ここでは、種類若しくは属性が異なる物理チャネルを用いてFDを実施する実施例について説明する。前述した実施例1及び2では、基本的には、同じ物理チャネル(例えば、共有チャネル(Shared Channel:SCH))でFDを実施する実施例と言える。
種類若しくは属性が異なる物理チャネルを用いたFDの1つとして、物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)と物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)のFDが挙げられる。
図16には、種類若しくは属性が異なる物理チャネルを用いてFDを実施する場合の通信シーケンス例を示している。同図では、1台の基地局(BS)と、この基地局に接続している4台の端末UE1、UE2、UE3、UE4からなる通信システムを想定している。また、同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。そして、所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が4つの分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されている。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを各端末UE1、UE2、UE3、UE4へ通知する。図示の例では、各端末UE1、UE2、UE3、UE4に対しこの無線リソースが物理ランダムアクセスチャネルPRACHに割り当てられることが通知されるとともに、端末UE4に対しては同じ無線リソースが物理下りリンク共有チャネルPDSCHに割り当てられていることが通知される。PRACHは、具体的には、端末が基地局に対する初期接続並びに再接続用に使用することが許容された物理チャネルである。
そして、無線リソース内では、BSからUE4へ下りリンク信号が送信されるのと同時に、各端末UE1、UE2、UE3、UE4は同じ無線リソースを上りリンクのランダムアクセスとして使用している。
BSは、端末UE4への下りリンク信号を送信するのと同時に、各端末UE1、UE2、UE3、UE4からの上りリンク信号のランダムアクセスを受信している。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSではFDの送受信が発生することとなる。一方、端末側では、必ずしも送受信が同時に発生する訳ではない。各端末UE1、UE2、UE3は上りリンク信号のランダムアクセスを行うのみで、FDを実施しない。但し、UE4は、下りリンク信号を受信しながら、自身がランダムアクセスをすることも許容されるので、FDの送受信が発生し得る。
なお、PDSCHとして割り当てられた所定の時間単位の最後のパート(例えば、所定の時間単位における最後のミニスロット又はシンボル)については、UE4は受信した信号のACK/NACKを返す必要があるので、下りリンク信号は受信し終わっている必要がある。したがって、最後のACK/NACKのときのみ、それ以前に信号の受信が終わっているように信号(下りリンク信号、並びにACK/NACK)の配置を設定することが望ましい。
図17には、種類若しくは属性が異なる物理チャネルを用いてFDを実施する場合の他の通信シーケンス例を示している。同図でも、1台の基地局(BS)と、この基地局に接続している4台の端末UE1、UE2、UE3、UE4からなる通信システムを想定している。また、同図の横軸は時間軸であり、通信装置毎の時間軸の上側が送信処理を意味し、下側が受信処理を意味している。そして、所定の時間単位(例えばサブフレーム、スロット)が4つの分割された時間単位(例えばミニスロット、シンボル)に分割されている。図17に示す通信シーケンスは、各端末UE1、UE2、UE3、UE4からの上りリンク信号のランダムアクセスのタイミングを所定の範囲に制限している点で、図16に示した通信シーケンス例とは相違する。
BSは、無線リソースの先頭の制御チャネル(Control)を使って、無線リソース毎のスケジューリング情報などを含む制御情報(Control Information)などを各端末UE1、UE2、UE3、UE4へ通知する。図示の例では、各端末UE1、UE2、UE3、UE4に対しこの無線リソースが物理ランダムアクセスチャネルPRACHに割り当てられることが通知されるとともに、端末UE4に対しては同じ無線リソースが物理下りリンク共有チャネルPDSCHに割り当てられていることが通知される。
無線リソース内では、BSからUE4へ下りリンク信号が送信されるのと同時に、各端末UE1、UE2、UE3、UE4は同じ無線リソースを上りリンクのランダムアクセスとして使用する。
BSは、端末UE4への下りリンク信号を送信するのと同時に、各端末UE1、UE2、UE3、UE4からの上りリンク信号のランダムアクセスを受信する。下りリンク信号と上りリンク信号は、同一又は重複する周波数リソース、且つ同一又は重複する時間リソースを使用することを想定している。したがって、BSではFDの送受信が発生することとなる。一方、端末側では、必ずしも送受信が同時に発生する訳ではない。
ここで、各端末UE1、UE2、UE3、UE4がランダムアクセスのタイミングを所定の範囲に制限されている。図17に示す例では、所定の時間単位(サブフレーム、スロットなど)が分割されたミニスロットの境界付近にランダムアクセスのタイミングが制限されている。したがって、BSのようにFDを実施する通信装置は、自己干渉キャンセラの動作期間をミニスロットの境界付近で短縮することができる。これは、受信機の負荷や消費電力の観点で有効である。他方、ランダムアクセスのタイミングを制限しない場合には、BSは対象とする無線リソース(サブフレーム、スロット)の期間中、常に自己干渉キャンセラを動作させてランダムアクセスを待ち受ける必要がある。
図18には、通信装置が、ランダムアクセスまで考慮した場合の、FD切り替えに伴う自己干渉キャンセラの動作を制御するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
通信装置は、対象の無線リソースにおいて信号を送信し(ステップS1801のYes)、且つ、対象の無線リソースにおいて信号を受信する場合には(ステップS1802のYes)、対象の無線リソースにおいてランダムアクセス(RA)信号を受信するか(ステップS1803)、及び、ランダムアクセス信号の送信タイミングが所定の範囲に制限されているかどうか(ステップS1804)、をさらにチェックする。
ステップS1801~1804の判別結果がすべて肯定的、すなわち、対象の無線リソースにおいて送受信を同時に行い、且つ所定の範囲でランダムアクセス信号を待ち受ける場合には(ステップS1804のYes)、通信装置は、対象の無線リソースにおいて、ランダムアクセス信号の送信タイミングが制限されている範囲及びその前後のタイミングで、自己干渉キャンセラを動作させる(ステップS1805)。
また、対象の無線リソースにおいて送受信を同時に行い、且つ、送信タイミングが制限されないランダムアクセス信号を受信する場合には(ステップS1804のNo)、通信装置は、対象の無線リソース全体にわたって自己干渉キャンセラを動作させる(ステップS1807)。
また、対象の無線リソースにおいて送受信を同時に行うが、ランダムアクセス信号を受信しない場合には(ステップS1803のNo)、通信装置は、対象の無線リソースにおいて、特に受信用に割り当てられたタイミング及びその前後の時間で自己干渉キャンセラを動作させる(ステップS1808)。
また、対象の無線リソースにおいて信号を送信しない場合(ステップS1801のNo)、又は、対象の無線リソースにおいて信号を送信するが(ステップS1801のYes)、受信しない場合には(ステップS1802のNo)、言い換えれば対象の無線リソースにおいてFDを実施しない場合には、通信装置は、自己干渉キャンセラを動作させない(ステップS1809)。
そして、通信装置は、自己干渉キャンセラを動作させながら、若しくは自己干渉キャンセラを動作させずに、受信信号に対する復調及び復号処理を行った後(ステップS1806)、次の対象の無線リソースの処理に移行する(ステップS1810)。
上記では、種類若しくは属性が異なる物理チャネルを用いたFDの一例として、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)と物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)のFDを挙げた。この場合、基地局がFDを実施する際に上りリンクで送信される信号は、図16、図17、及び図18でも示したように、ランダムアクセス信号となる。
種類若しくは属性が異なる物理チャネルを用いたFDの他の例として、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)とGrant-free(又は、Grant-less)上りリンクチャネルのFDも挙げられる。
ここで、Grant-free(又は、Grant-less)上りリンクチャネルとは、基地局から端末に対して、具体的な無線リソース(周波数軸上のリソースブロック、時間軸上のサブフレーム、スロット、ミニスロットなど)の割り当てや指定がなくても、端末が上りリンクの信号を送信してよいチャネルを指す(先述の上りリンク共有チャネルは、基地局からの無線リソースの割り当てが必要である)。
Grant-free(又は、Grant-less)上りリンクチャネルで送信するデータは、上位レイヤユーザデータであることが望ましい。上りリンクでもユーザデータの信号を送信するというFDを実施可能とすることで、上りリンクの低遅延通信が可能になる。
Grant-free(又は、Grant-less)は、動作としてはランダムアクセスに似ている。したがって、図16や図17に示したものと同様の通信シーケンスに従って、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)とGrant-free(又は、Grant-less)上りリンクチャネルのFDを実施することができる。また、FDを実施する基地局などの通信装置は、図18に示したものと同様の処理手順に従って、FD切り替えに伴う自己干渉キャンセラの動作を制御することができる。
下りリンク共有チャネルと、ランダムアクセスチャネルあるいはGrant-less(Grant-free)チャネルを用いてFDを実施する場合、ランダムアクセスチャネル、Grant-less(Grant-free)チャネルで送信することができる端末に制限を加えることで、安定したFDを実現することが可能である。既に説明したとおり、FDを実施することができる端末のペアには、リンク品質特性の観点で向き不向きが存在する。そのため、ランダムアクセス、Grant-less又はGrant-freeアクセスをFDで実施する場合にも、どの端末を許容するかということを選択することが望ましい。そこで、本実施例では、FDでランダムアクセス、Grant-less又はGrant-freeを許容する端末のグループを設定することとする。
図19には、FDのための端末のグループ設定を含む、基地局と端末間の通信シーケンス例を示している。端末グルーピングを決める役割は、基地局が果たすことが望ましい。
まず基地局は、自局に接続している各端末UE1、UE2、UE3に対して、端末で期待できる端末間干渉状況の測定の設定・指示を通知する(SEQ1901)。
各端末UE1、UE2、UE3は、基地局からの指示に従って、端末間干渉測定を実施する(SEQ1902)。この端末間干渉測定フェーズでは、端末間でテスト信号や参照信号を送信し合い、各端末は、他の端末から受信したテスト信号や参照信号に基づいて端末間干渉を測定する。そして、各端末UE1、UE2、UE3は、端末間干渉の測定結果を、基地局へ報告する(SEQ1903)。
基地局は、各端末UE1、UE2、UE3からのフィードバックと自らの測定結果に基づいて、FDの実施有無を確認し、FDを実施する端末ペアを決定するとともに(SEQ1904)、FDでランダムアクセス、Grant-less又はGrant-freeを許容する端末のグループを設定する(SEQ1905)。そして、基地局は、FDの端末ペアリング並びにランダムアクセスを許容する端末グルーピングの結果を各端末UE1、UE2、UE3に設定する(SEQ1906)。
その後、基地局は、FD並びにランダムアクセスに利用する周波数リソース、時間リソース、変調方式、誤り訂正符号化率、MIMOパラメータを含むスケジューリングを行う(SEQ1907)。そして、基地局は、スケジューリング情報を、物理層信号処理の制御情報で無線リソースの割り当て毎に各端末UE1、UE2、UE3に通知し、又は、システム情報やRRCシグナリングで準静的に通知する(SEQ1908)。
そして、当該通信システム内では、基地局によるスケジューリング結果に従って、FDを含む通信が実施される(SEQ1909)。
本実施例(若しくは、図19に示した通信シーケンス)において、端末グルーピングとして、「ある端末が下りリンク信号を受信する際に、同時に上りリンクランダムアクセス、Grant-less、Grant-freeアクセスをしてもよい端末のグループ」を決めることができる。例えば、FDを実施する適切な端末ペアをグループとして拡張することができる。以下の表5には、端末グループの構成例を示している。
上記の表5では、UE1が下りリンク信号を受信するときに上りリンクランダムアクセスやGrant-lessアクセスなどをしてもよいグループには、UE1とUE2が含まれる。同様に、UE2が下りリンク信号を受信するときに上りリンクランダムアクセスやGrant-lessアクセスなどをしてもよいグループにはUE1が含まれ、UE3が下りリンク信号を受信するときに上りリンクランダムアクセスやGrant-lessアクセスなどをしてもよいグループにはUE1、UE2、UE3が含まれる。
ここで、UE1に対するグループにUE1自身が含まれるようなことがあってもよい。これは、UE1自身がFDの同時送受信に対応しているような場合に、自身が下りリンク信号を受信しながら、同時にランダムアクセスやGrant-lessアクセスなどをしてもよいことを意味する(図17中のUE4のような状況に相当する)。
上述した実施例1~3によれば、同一周波数チャネル(コンポーネントキャリアなど)内の同一又は一部が重複する時間無線リソース(無線リソース、サブフレーム、スロット、ミニスロット、シンボルなど)で送信と受信を同時に行うFull Duplex(In-band Full Duplex、Single Channel Full Duplex、全二重複信通信、FD)において、FDの実施/不実施の動的切り替えを実現し、その中でFull Duplexの柔軟性並びに利用機会を高め、システムの観点での周波数利用効率や低遅延通信の性能向上を達成することができる。
G.本実施形態における無線アクセス技術
この項では、本明細書で開示する実施形態に適用される無線アクセス技術について説明しておく。
本実施形態において、基地局装置1及び端末装置2は、それぞれ1つ以上の無線アクセス技術(RAT)をサポートする。例えば、RATは、LTE(Long Term Evolution)及びNR(New Radio)を含む。1つのRATは、1つのセル(コンポーネントキャリア)に対応する。すなわち、複数のRATがサポートされる場合、それらのRATは、それぞれ異なるセルに対応する。本実施形態において、セルは、下りリンクリソース、上りリンクリソース、及び/又は、サイドリンクの組み合わせである。また、以下の説明において、LTEに対応するセルはLTEセルと呼称され、NRに対応するセルはNRセルと呼称される。
下りリンクの通信は、基地局装置1から端末装置2に対する通信である。上りリンクの通信は、端末装置2から基地局装置1に対する通信である。サイドリンクの通信は、端末装置2から別の端末装置2に対する通信である。
サイドリンクの通信は、端末装置間の近接直接検出及び近接直接通信のために定義される。サイドリンクの通信には、上りリンク及び下りリンクと同様なフレーム構成を用いることができる。また、サイドリンクの通信は、上りリンクリソース及び/又は下りリンクリソースの一部(サブセット)に制限され得る。
基地局装置1及び端末装置2は、下りリンク、上りリンク及び/又はサイドリンクにおいて、1つ以上のセルの集合を用いる通信をサポートできる。複数のセルの集合は、キャリアアグリゲーション又はデュアルコネクティビティとも呼称される。キャリアアグリゲーションとデュアルコネクティビティの詳細は後述される。また、それぞれのセルは、所定の周波数帯域幅を用いる。所定の周波数帯域幅における最大値、最小値及び設定可能な値は、あらかじめ規定できる。
G-1.本実施形態における無線フレーム構成
本実施形態において、10ms(ミリ秒)で構成される無線フレーム(radio frame)が規定される。無線フレームのそれぞれは2つのハーフフレームから構成される。ハーフフレームの時間間隔は、5msである。ハーフフレームのそれぞれは、5つのサブフレームから構成される。サブフレームの時間間隔は、1msであり、2つの連続するスロットによって定義される。スロットの時間間隔は、0.5msである。無線フレーム内のi番目のサブフレームは、(2×i)番目のスロットと(2×i+1)番目のスロットとから構成される。つまり、無線フレームのそれぞれにおいて、10個のサブフレームが規定される。
サブフレームは、下りリンクサブフレーム、上りリンクサブフレーム、スペシャルサブフレーム及びサイドリンクサブフレームなどを含む。
下りリンクサブフレームは、下りリンク送信のために予約されるサブフレームである。上りリンクサブフレームは、上りリンク送信のために予約されるサブフレームである。スペシャルサブフレームは、3つのフィールドから構成される。3つのフィールドは、DwPTS(Downlink Pilot Time Slot)、GP(Guard Period)、及びUpPTS(Uplink Pilot Time Slot)を含む。DwPTS、GP、及びUpPTSの合計の長さは1msである。DwPTSは下りリンク送信のために予約されるフィールドである。UpPTSは上りリンク送信のために予約されるフィールドである。GPは下りリンク送信及び上りリンク送信が行われないフィールドである。なお、スペシャルサブフレームは、DwPTS及びGPのみによって構成されてもよいし、GP及びUpPTSのみによって構成されてもよい。スペシャルサブフレームは、TDDにおいて下りリンクサブフレームと上りリンクサブフレームとの間に配置され、下りリンクサブフレームから上りリンクサブフレームに切り替えるために用いられる。サイドリンクサブフレームは、サイドリンク通信のために予約又は設定されるサブフレームである。サイドリンクは、端末装置間の近接直接通信及び近接直接検出のために用いられる。
単一の無線フレームは、下りリンクサブフレーム、上りリンクサブフレーム、スペシャルサブフレーム及び/又はサイドリンクサブフレームから構成される。また、単一の無線フレームは、下りリンクサブフレーム、上りリンクサブフレーム、スペシャルサブフレーム又はサイドリンクサブフレームのみで構成されてもよい。
複数の無線フレーム構成がサポートされる。無線フレーム構成は、フレーム構成タイプで規定される。フレーム構成タイプ1は、FDDのみに適用できる。フレーム構成タイプ2は、TDDのみに適用できる。フレーム構成タイプ3は、LAA(Licensed Assisted Access)セカンダリーセルの運用のみに適用できる。
フレーム構成タイプ2において、複数の上りリンク-下りリンク構成が規定される。上りリンク-下りリンク構成において、1つの無線フレームにおける10のサブフレームのそれぞれは、下りリンクサブフレーム、上りリンクサブフレーム、及びスペシャルサブフレームのいずれかに対応する。サブフレーム0、サブフレーム5及びDwPTSは常に下りリンク送信のために予約される。UpPTS及びそのスペシャルサブフレームの直後のサブフレームは常に上りリンク送信のために予約される。
フレーム構成タイプ3において、1つの無線フレーム内の10のサブフレームが下りリンク送信のために予約される。端末装置2は、PDSCH又は検出信号が送信されないサブフレームを空のサブフレームとして扱うことができる。端末装置2は、所定の信号、チャネル及び/又は下りリンク送信があるサブフレームで検出されない限り、そのサブフレームにいかなる信号及び/又はチャネルも存在しないと想定する。下りリンク送信は、1つ又は複数の連続したサブフレームで専有される。その下りリンク送信の最初のサブフレームは、そのサブフレーム内のどこからでも開始されてもよい。その下りリンク送信の最後のサブフレームは、完全に専有されるか、DwPTSで規定される時間間隔で専有されるか、のいずれかであってもよい。
なお、フレーム構成タイプ3において、1つの無線フレーム内の10のサブフレームが上りリンク送信のために予約されてもよい。また、1つの無線フレーム内の10のサブフレームのそれぞれが、下りリンクサブフレーム、上りリンクサブフレーム、スペシャルサブフレーム及びサイドリンクサブフレームのいずれかに対応するようにしてもよい。
基地局装置1は、スペシャルサブフレームのDwPTSにおいて、物理下りリンクチャネル及び物理下りリンク信号を送信してもよい。基地局装置1は、スペシャルサブフレームのDwPTSにおいて、PBCHの送信を制限できる。端末装置2は、スペシャルサブフレームのUpPTSにおいて、物理上りリンクチャネル及び物理上りリンク信号を送信してもよい。端末装置2は、スペシャルサブフレームのUpPTSにおいて、一部の物理上りリンクチャネル及び物理上りリンク信号の送信を制限できる。
G-2.本実施形態におけるLTEのフレーム構成
図22には、本実施形態におけるLTEの下りリンクサブフレームの一例を示している。同図は、LTEの下りリンクリソースグリッドとも呼称される。基地局装置1は、端末装置2への下りリンクサブフレームにおいて、LTEの物理下りリンクチャネル及び/又はLTEの物理下りリンク信号を送信できる。端末装置2は、基地局装置1からの下りリンクサブフレームにおいて、LTEの物理下りリンクチャネル及び/又はLTEの物理下りリンク信号を受信できる。
また、図23には、本実施形態におけるLTEの上りリンクサブフレームの一例を示している。同図は、LTEの上りリンクリソースグリッドとも呼称される。端末装置2は、基地局装置1への上りリンクサブフレームにおいて、LTEの物理上りリンクチャネル及び/又はLTEの物理上りリンク信号を送信できる。基地局装置1は、端末装置2からの上りリンクサブフレームにおいて、LTEの物理上りリンクチャネル及び/又はLTEの物理上りリンク信号を受信できる。
本実施形態において、LTEの物理リソースは以下のように定義され得る。1つのスロットは複数のシンボルによって定義される。スロットのそれぞれにおいて送信される物理信号又は物理チャネルは、リソースグリッドによって表現される。下りリンクにおいて、リソースグリッドは、周波数方向に対する複数のサブキャリアと、時間方向に対する複数のOFDMシンボルによって定義される。上りリンクにおいて、リソースグリッドは、周波数方向に対する複数のサブキャリアと、時間方向に対する複数のSC-FDMAシンボルによって定義される。サブキャリア又はリソースブロックの数は、セルの帯域幅に依存して決まるようにしてもよい。1つのスロットにおけるシンボルの数は、CP(Cyclic Prefix)のタイプによって決まる。CPのタイプは、ノーマルCP又は拡張CPである。ノーマルCPにおいて、1つのスロットを構成するOFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルの数は7である。拡張CPにおいて、1つのスロットを構成するOFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルの数は6である。リソースグリッド内のエレメントのそれぞれはリソースエレメントと称される。リソースエレメントは、サブキャリアのインデックス(番号)とシンボルのインデックス(番号)とを用いて識別される。なお、本実施形態の説明において、OFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルは単にシンボルとも呼称される。
リソースブロックは、ある物理チャネル(PDSCH又はPUSCHなど)をリソースエレメントにマッピングするために用いられる。リソースブロックは、仮想リソースブロックと物理リソースブロックを含む。ある物理チャネルは、仮想リソースブロックにマッピングされる。仮想リソースブロックは、物理リソースブロックにマッピングされる。1つの物理リソースブロックは、時間領域において所定数の連続するシンボルで定義される。1つの物理リソースブロックは、周波数領域において所定数の連続するサブキャリアとから定義される。1つの物理リソースブロックにおけるシンボル数及びサブキャリア数は、そのセルにおけるCPのタイプ、サブキャリア間隔及び/又は上位層によって設定されるパラメータなどに基づいて決まる。例えば、CPのタイプがノーマルCPであり、サブキャリア間隔が15kHzである場合、1つの物理リソースブロックにおけるシンボル数は7であり、サブキャリア数は12である。その場合、1つの物理リソースブロックは(7×12)個のリソースエレメントから構成される。物理リソースブロックは周波数領域において0から番号が付けられる。また、同一の物理リソースブロック番号が対応する、1つのサブフレーム内の2つのリソースブロックは、物理リソースブロックペア(PRBペア、RBペア)として定義される。
LTEセルのそれぞれにおいて、あるサブフレームでは、1つの所定のパラメータが用いられる。例えば、その所定のパラメータは、送信信号に関するパラメータ(物理パラメータ)である。送信信号に関するパラメータは、CP長、サブキャリア間隔、1つのサブフレーム(所定の時間長)におけるシンボル数、1つのリソースブロック(所定の周波数帯域)のおけるサブキャリア数、多元接続方式、及び信号波形などを含む。
すなわち、LTEセルでは、下りリンク信号及び上りリンク信号は、それぞれ所定の時間長(例えば、サブフレーム)において、1つの所定のパラメータを用いて生成される。換言すると、端末装置2は、基地局装置1から送信される下りリンク信号、及び、基地局装置1に送信する上りリンク信号が、それぞれ所定の時間長において、1つの所定のパラメータで生成される、と想定する。また、基地局装置1は、端末装置2に送信する下りリンク信号、及び、端末装置2から送信される上りリンク信号が、それぞれ所定の時間長において、1つの所定のパラメータで生成されるように設定する。
G-3.本実施形態におけるNRのフレーム構成
NRセルのそれぞれにおいて、ある所定の時間長(例えば、サブフレーム)では、1つ以上の所定のパラメータが用いられる。すなわち、NRセルでは、下りリンク信号及び上りリンク信号は、それぞれ所定の時間長において、1つ以上の所定のパラメータを用いて生成される。換言すると、端末装置2は、基地局装置1から送信される下りリンク信号、及び、基地局装置1に送信する上りリンク信号が、それぞれ所定の時間長において、1つ以上の所定のパラメータで生成される、と想定する。また、基地局装置1は、端末装置2に送信する下りリンク信号、及び、端末装置2から送信される上りリンク信号が、それぞれ所定の時間長において、1つ以上の所定のパラメータで生成されるように設定できる。複数の所定のパラメータが用いられる場合、それらの所定のパラメータが用いられて生成される信号は、所定の方法により多重される。例えば、所定の方法は、FDM(Frequency Division Multiplexing)、TDM(Time DIVISION Multiplexing)、CDM(Code Division Multiplexing)及び/又はSDM(Spatial Division Multiplexing)などを含む。
NRセルに設定される所定のパラメータの組み合わせは、パラメータセットとして、複数種類をあらかじめ規定できる。
以下の表6には、NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットの一例を示している。同表に示す例では、パラメータセットに含まれる送信信号に関するパラメータは、サブフレーム間隔、NRセルにおけるリソースブロックあたりのサブキャリア数、サブフレームあたりのシンボル数、及び、CP長タイプである。CP長タイプは、NRセルで用いられるCP長のタイプである。例えば、CP長タイプ1はLTEにおけるノーマルCPに相当し、CP長タイプ2はLTEにおける拡張CPに相当する。
NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットは、下りリンク及び上りリンクでそれぞれ個別に規定することができる。また、NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットは、下りリンク及び上りリンクでそれぞれ独立に設定できる。
図24には、本実施形態におけるNRの下りリンクサブフレームの一例を示している。同図に示す例では、パラメータセット1、パラメータセット0及びパラメータセット2を用いて生成される信号が、セル(システム帯域幅)において、FDMにより多重される。同図は、NRの下りリンクリソースグリッドとも呼称される。基地局装置1は、端末装置2への下りリンクサブフレームにおいて、NRの物理下りリンクチャネル及び/又はNRの物理下りリンク信号を送信できる。端末装置2は、基地局装置1からの下りリンクサブフレームにおいて、NRの物理下りリンクチャネル及び/又はNRの物理下りリンク信号を受信できる。
図25には、本実施形態におけるNRの上りリンクサブフレームの一例を示している。図25に示す例では、パラメータセット1、パラメータセット0及びパラメータセット2を用いて生成される信号が、セル(システム帯域幅)において、FDMにより多重される。同図は、NRの上りリンクリソースグリッドとも呼称される。端末装置2は、基地局装置1への上りリンクサブフレームにおいて、NRの物理上りリンクチャネル及び/又はNRの物理上りリンク信号を送信できる。基地局装置1は、端末装置2からの上りリンクサブフレームにおいて、NRの物理上りリンクチャネル及び/又はNRの物理上りリンク信号を受信できる。
G-4.本実施形態における物理チャネル及び物理信号
本実施形態では、物理チャネル及び物理信号が用いられる。物理チャネルは、物理下りリンクチャネル、物理上りリンクチャネル及び物理サイドリンクチャネルを含む。物理信号は、物理下りリンク信号、物理上りリンク信号及びサイドリンク物理信号を含む。
LTEにおける物理チャネル及び物理信号は、それぞれLTE物理チャネル及びLTE物理信号とも呼称される。NRにおける物理チャネル及び物理信号は、それぞれNR物理チャネル及びNR物理信号とも呼称される。LTE物理チャネル及びNR物理チャネルは、それぞれ異なる物理チャネルとして定義できる。LTE物理信号及びNR物理信号は、それぞれ異なる物理信号として定義できる。本実施形態の説明において、LTE物理チャネル及びNR物理チャネルは単に物理チャネルとも呼称され、LTE物理信号及びNR物理信号は単に物理信号とも呼称される。すなわち、物理チャネルに対する説明は、LTE物理チャネル及びNR物理チャネルのいずれに対しても適用できる。物理信号に対する説明は、LTE物理信号及びNR物理信号のいずれに対しても適用できる。
物理下りリンクチャネルは、物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid automatic repeat request Indicator Channel)、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、拡張物理下りリンク制御チャネル(EPDCCH:Enhanced PDCCH)、MTC(Machine Type Communication)物理下りリンク制御チャネル(MPDCCH:MTC PDCCH)、リレー物理下りリンク制御チャネル(R-PDCCH:Relay PDCCH)、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、及び、PMCH(Physical Multicast Channel)などを含む。
物理下りリンク信号は、同期信号(SS:Synchronization signal)、下りリンク参照信号(DL-RS:Downlink Reference Signal)及び検出信号(DS:Discovery signal)などを含む。
同期信号は、プライマリー同期信号(PSS:Primary synchronization signal)及びセカンダリー同期信号(SSS:Secondary synchronization signal)などを含む。
下りリンクにおける参照信号は、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific reference signal)、PDSCHに関連付けられる端末装置固有参照信号(PDSCH-DMRS:UE-specific reference signal associated with PDSCH)、EPDCCHに関連付けられる復調参照信号(EPDCCH-DMRS:Demodulation reference signal associated with EPDCCH)、PRS(Positioning Reference Signal)、CSI参照信号(CSI-RS:Channel State Information-reference signal)、及びトラッキング参照信号(TRS:Tracking reference signal)などを含む。PDSCH-DMRSは、PDSCHに関連するURS又は単にURS(UE-specific reference signal)とも呼称される。EPDCCH-DMRSは、EPDCCHに関連するDMRS又は単にDMRSとも呼称される。PDSCH-DMRS及びEPDCCH-DMRSは、単にDL-DMRS又は下りリンク復調参照信号とも呼称される。CSI-RSは、NZP CSI-RS(Non-Zero Power CSI-RS)を含む。また、下りリンクのリソースは、ZP CSI-RS(Zero Power CSI-RS)、CSI-IM(Channel State Information-Interference Measurement)などを含む。
物理上りリンクチャネルは、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、及び物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)などを含む。
物理上りリンク信号は、上りリンク参照信号(UL-RS:Uplink Reference Signal)を含む。
上りリンク参照信号は、上りリンク復調信号(UL-DMRS:Uplink demodulation signal)及びサウンディング参照信号(SRS:Sounding reference signal)などを含む。UL-DMRSは、PUSCH又はPUCCHの送信に関連付けられる。SRSは、PUSCH又はPUCCHの送信に関連付けられない。
物理サイドリンクチャネルは、物理サイドリンク報知チャネル(PSBCH:Physical Sidelink Broadcast Channel)、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical Sidelink Control Channel)、物理サイドリンク検出チャネル(PSDCH:Physical Sidelink Discovery Channel)、及び物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical Sidelink Shared Channel)などを含む。
物理チャネル及び物理信号は、単にチャネル及び信号とも呼称される。すなわち、物理下りリンクチャネル、物理上りリンクチャネル、及び物理サイドリンクチャネルは、それぞれ下りリンクチャネル、上りリンクチャネル、及びサイドリンクチャネルとも呼称される。物理下りリンク信号、物理上りリンク信号、及び物理サイドリンク信号は、それぞれ下りリンク信号、上りリンク信号、及びサイドリンク信号とも呼称される。
BCH、MCH、UL-SCH、DL-SCH、SL-DCH、SL-BCH及びSL-SCHは、トランスポートチャネルである。媒体アクセス制御(Medium Access Control:MAC)層で用いられるチャネルをトランスポートチャネルと称する。MAC層で用いられるトランスポートチャネルの単位を、トランスポートブロック(Transport Block:TB)又はMAC PDU(Protocol Data Unit)とも称する。MAC層においてトランスポートブロック毎にHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の制御が行われる。トランスポートブロックは、MAC層が物理層に渡す(deliver)データの単位である。物理層において、トランスポートブロックはコードワードにマップされ、コードワード毎に符号化処理が行われる。
なお、下りリンク参照信号及び上りリンク参照信号は、単に参照信号(RS)とも呼称される。
G-5.本実施形態におけるLTE物理チャネル及びLTE物理信号
既に説明したように、物理チャネル及び物理信号に対する説明は、それぞれLTE物理チャネル及びLTE物理信号に対しても適用できる。LTE物理チャネル及びLTE物理信号は、以下のように呼称される。
LTE物理下りリンクチャネルは、LTE-PBCH、LTE-PCFICH、LTE-PHICH、LTE-PDCCH、LTE-EPDCCH、LTE-MPDCCH、LTE-R-PDCCH、LTE-PDSCH、及び、LTE-PMCHなどを含む。
LTE物理下りリンク信号は、LTE-SS、LTE-DL-RS及びLTE-DSなどを含む。LTE-SSは、LTE-PSS及びLTE-SSSなどを含む。LTE-RSは、LTE-CRS、LTE-PDSCH-DMRS、LTE-EPDCCH-DMRS、LTE-PRS、LTE-CSI-RS、及びLTE-TRSなどを含む。
LTE物理上りリンクチャネルは、LTE-PUSCH、LTE-PUCCH、及びLTE-PRACHなどを含む。
LTE物理上りリンク信号は、LTE-UL-RSを含む。LTE-UL-RSは、LTE-UL-DMRS及びLTE-SRSなどを含む。
LTE物理サイドリンクチャネルは、LTE-PSBCH、LTE-PSCCH、LTE-PSDCH、及びLTE-PSSCHなどを含む。
LTE物理サイドリンク信号は、LTE-SL-SS、LTE-SL-DS及びLTE-SL-RSなどを含む。LTE-SL-SSは、LTE-SL-PSS及びLTE-SL-SSSなどを含む。LTE-SL-RSは、LTE-SL-DMRS、LTE-SL-SRS、LTE-SL-CSI-RSなどを含む。
G-6.本実施形態におけるNR物理チャネル及びNR物理信号
既に説明したように、物理チャネル及び物理信号に対する説明は、それぞれNR物理チャネル及びNR物理信号に対しても適用できる。NR物理チャネル及びNR物理信号は、以下のように呼称される。
NR物理下りリンクチャネルは、NR-PBCH、NR-PCFICH、NR-PHICH、NR-PDCCH、NR-EPDCCH、NR-MPDCCH、NR-R-PDCCH、NR-PDSCH、及び、NR-PMCHなどを含む。
NR物理下りリンク信号は、NR-SS、NR-DL-RS及びNR-DSなどを含む。NR-SSは、NR-PSS及びNR-SSSなどを含む。NR-RSは、NR-CRS、NR-PDSCH-DMRS、NR-EPDCCH-DMRS、NR-PRS、NR-CSI-RS、及びNR-TRSなどを含む。
NR物理上りリンクチャネルは、NR-PUSCH、NR-PUCCH、及びNR-PRACHなどを含む。
NR物理上りリンク信号は、NR-UL-RSを含む。NR-UL-RSは、NR-UL-DMRS及びNR-SRSなどを含む。
NR物理サイドリンクチャネルは、NR-PSBCH、NR-PSCCH、NR-PSDCH、及びNR-PSSCHなどを含む。
NR物理サイドリンク信号は、NR-SL-SS、NR-SL-DS及びNR-SL-RSなどを含む。NR-SL-SSは、NR-SL-PSS及びNR-SL-SSSなどを含む。NR-SL-RSは、NR-SL-DMRS、NR-SL-SRS、NR-SL-CSI-RSなどを含む。
G-7.本実施形態における物理下りリンクチャネル
PBCHは、基地局装置1のサービングセルに固有の報知情報であるMIB(Master Information Block)を報知するために用いられる。PBCHは無線フレーム内のサブフレーム0のみで送信される。MIBは、40ms間隔で更新できる。PBCHは10ms周期で繰り返し送信される。具体的には、SFN(System Frame Number)を4で割った余りが0である条件を満たす無線フレームにおけるサブフレーム0においてMIBの初期送信が行われ、他のすべての無線フレームにおけるサブフレーム0においてMIBの再送信(repetition)が行われる。SFNは無線フレームの番号(システムフレーム番号)である。MIBはシステム情報である。例えば、MIBは、SFNを示す情報を含む。
PCFICHは、PDCCHの送信に用いられるOFDMシンボルの数に関する情報を送信するために用いられる。PCFICHで示される領域は、PDCCH領域とも呼称される。PCFICHで送信される情報は、CFI(Control Format Indicator)とも呼称される。
PHICHは、基地局装置1が受信した上りリンクデータ(Uplink Shared Channel:UL-SCH)に対するACK(ACKnowledgement)又はNACK(Negative ACKnowledgement)を示すHARQ-ACK(HARQインディケータ、HARQフィードバック、応答情報)を送信するために用いられる。例えば、端末装置2がACKを示すHARQ-ACKを受信した場合は、対応する上りリンクデータを再送しない。例えば、端末装置2がNACKを示すHARQ-ACKを受信した場合は、端末装置2は対応する上りリンクデータを所定の上りリンクサブフレームで再送する。あるPHICHは、ある上りリンクデータに対するHARQ-ACKを送信する。基地局装置1は、同一のPUSCHに含まれる複数の上りリンクデータに対するHARQ-ACKのそれぞれを複数のPHICHを用いて送信する。
PDCCH及びEPDCCHは、下りリンク制御情報(DCI)を送信するために用いられる。下りリンク制御情報の情報ビットのマッピングが、DCIフォーマットとして定義される。下りリンク制御情報は、下りリンクグラント(downlink grant)及び上りリンクグラント(uplink grant)を含む。下りリンクグラントは、下りリンクアサインメント(Downlink assignment)又は下りリンク割り当て(downlink allocation)とも称する。
PDCCHは、連続する1つ又は複数のCCE(Control Channel Element)の集合によって送信される。CCEは、9つのREG(Resource Element Group)で構成される。REGは、4つのリソースエレメントで構成される。PDCCHがn個の連続するCCEで構成される場合、そのPDCCHは、CCEのインデックス(番号)であるiをnで割った余りが0である条件を満たすCCEから始まる。
EPDCCHは、連続する1つ又は複数のECCE(Enhanced Control Channel Element)の集合によって送信される。ECCEは、複数のEREG(Enhanced Resource Element Group)で構成される。
下りリンクグラントは、あるセル内のPDSCHのスケジューリングに用いられる。下りリンクグラントは、その下りリンクグラントが送信されたサブフレームと同じサブフレーム内のPDSCHのスケジューリングに用いられる。上りリンクグラントは、あるセル内のPUSCHのスケジューリングに用いられる。上りリンクグラントは、その上りリンクグラントが送信されたサブフレームより4つ以上後のサブフレーム内の単一のPUSCHのスケジューリングに用いられる。
DCIには、CRC(Cyclic Redundancy Check)パリティビットが付加される。CRCパリティビットは、RNTI(Radio Network Temporary Identifier)でスクランブルされる。RNTIは、DCIの目的などに応じて、規定又は設定できる識別子である。RNTIは、仕様であらかじめ規定される識別子、セルに固有の情報として設定される識別子、端末装置2に固有の情報として設定される識別子、又は、端末装置2に属するグループに固有の情報として設定される識別子である。例えば、端末装置2は、PDCCH又はEPDCCHのモニタリングにおいて、DCIに付加されたCRCパリティビットに所定のRNTIでデスクランブルし、CRCが正しいかどうかを識別する。CRCが正しい場合、そのDCIは端末装置2のためのDCIであることが分かる。
PDSCHは、下りリンクデータ(downlink Shared Channel:DL-SCH)を送信するために用いられる。また、PDSCHは、上位層の制御情報を送信するためにも用いられる。
PMCHは、マルチキャストデータ(Multicast Channel:MCH)を送信するために用いられる。
PDCCH領域において、複数のPDCCHが周波数、時間、及び/又は、空間多重されてもよい。EPDCCH領域において、複数のEPDCCHが周波数、時間、及び/又は、空間多重されてもよい。PDSCH領域において、複数のPDSCHが周波数、時間、及び/又は、空間多重されてもよい。PDCCH、PDSCH及び/又はEPDCCHは周波数、時間、及び/又は、空間多重されてもよい。
G-8.本実施形態における物理下りリンク信号
同期信号は、端末装置2が下りリンクの周波数領域及び/又は時間領域の同期をとるために用いられる。同期信号は、PSS(Primary Synchronization Signal)及びSSS(SecondarySynchronization Signal)を含む。同期信号は無線フレーム内の所定のサブフレームに配置される。例えば、TDD方式において、同期信号は無線フレーム内のサブフレーム0、1、5、及び6に配置される。FDD方式において、同期信号は無線フレーム内のサブフレーム0及び5に配置される。
PSSは、粗いフレーム/シンボルタイミング同期(時間領域の同期)やセルグループの同定に用いられてもよい。SSSは、より正確なフレームタイミング同期やセルの同定に用いられてもよい。つまり、PSSとSSSを用いることによって、フレームタイミング同期とセル識別を行うことができる。
下りリンク参照信号は、端末装置2が物理下りリンクチャネルの伝搬路推定、伝搬路補正、下りリンクのCSI(Channel State Information、チャネル状態情報)の算出、及び/又は、端末装置2のポジショニングの測定を行うために用いられる。
CRSは、サブフレームの全帯域で送信される。CRSは、PBCH、PDCCH、PHICH、PCFICH、及びPDSCHの受信(復調)を行うために用いられる。CRSは、端末装置2が下りリンクのチャネル状態情報を算出するために用いられてもよい。PBCH、PDCCH、PHICH、及びPCFICHは、CRSの送信に用いられるアンテナポートで送信される。CRSは、1、2又は4のアンテナポートの構成をサポートする。CRSは、アンテナポート0~3の1つ又は複数で送信される。
PDSCHに関連するURSは、URSが関連するPDSCHの送信に用いられるサブフレーム及び帯域で送信される。URSは、URSが関連するPDSCHの復調を行うために用いられる。PDSCHに関連するURSは、アンテナポート5、7~14の1つ又は複数で送信される。
PDSCHは、送信モード及びDCIフォーマットに基づいて、CRS又はURSの送信に用いられるアンテナポートで送信される。DCIフォーマット1Aは、CRSの送信に用いられるアンテナポートで送信されるPDSCHのスケジューリングに用いられる。DCIフォーマット2Dは、URSの送信に用いられるアンテナポートで送信されるPDSCHのスケジューリングに用いられる。
EPDCCHに関連するDMRSは、DMRSが関連するEPDCCHの送信に用いられるサブフレーム及び帯域で送信される。DMRSは、DMRSが関連するEPDCCHの復調を行うために用いられる。EPDCCHは、DMRSの送信に用いられるアンテナポートで送信される。EPDCCHに関連するDMRSは、アンテナポート107~114の1つ又は複数で送信される。
CSI-RSは、設定されたサブフレームで送信される。CSI-RSが送信されるリソースは、基地局装置1によって設定される。CSI-RSは、端末装置2が下りリンクのチャネル状態情報を算出するために用いられる。端末装置2は、CSI-RSを用いて信号測定(チャネル測定)を行う。CSI-RSは、1、2、4、8、12、16、24及び32の一部又は全部のアンテナポートの設定をサポートする。CSI-RSは、アンテナポート15~46の1つ又は複数で送信される。なお、サポートされるアンテナポートは、端末装置2の端末装置ケイパビリティ、RRCパラメータの設定、及び/又は設定される送信モードなどに基づいて決定されてもよい。
ZP CSI-RSのリソースは、上位層によって設定される。ZP CSI-RSのリソースはゼロ出力の電力で送信される。すなわち、ZP CSI-RSのリソースは何も送信しない。ZP CSI-RSの設定したリソースにおいて、PDSCH及びEPDCCHは送信されない。例えば、ZP CSI-RSのリソースは隣接セルがNZP CSI-RSの送信を行うために用いられる。また、例えば、ZP CSI-RSのリソースはCSI-IMを測定するために用いられる。また、例えば、ZP CSI-RSのリソースはPDSCHなどの所定のチャネルが送信されないリソースである。換言すると、所定のチャネルは、ZP CSI-RSのリソースを除いて(レートマッチングして、パンクチャして)マッピングされる。
CSI-IMのリソースは、基地局装置1によって設定される。CSI-IMのリソースは、CSI測定において、干渉を測定するために用いられるリソースである。CSI-IMのリソースは、ZP CSI-RSのリソースの一部と重複(オーバーラップ)して設定できる。例えば、CSI-IMのリソースがZP CSI-RSのリソースの一部と重複して設定される場合、そのリソースではCSI測定を行うセルからの信号は送信されない。換言すると、基地局装置1は、CSI-IMの設定したリソースにおいて、PDSCH又はEPDCCHなどを送信しない。そのため、端末装置2は、効率的にCSI測定を行うことができる。
MBSFN RSは、PMCHの送信に用いられるサブフレームの全帯域で送信される。MBSFN RSは、PMCHの復調を行うために用いられる。PMCHは、MBSFN RSの送信用いられるアンテナポートで送信される。MBSFN RSは、アンテナポート4で送信される。
PRSは、端末装置2が、端末装置2のポジショニングを測定するために用いられる。PRSは、アンテナポート6で送信される。
TRSは、所定のサブフレームのみにマッピングできる。例えば、TRSは、サブフレーム0及び5にマッピングされる。また、TRSは、CRSの一部又は全部と同様の構成を用いることができる。例えば、リソースブロックのそれぞれにおいて、TRSがマッピングされるリソースエレメントの位置は、アンテナポート0のCRSがマッピングされるリソースエレメントの位置と同じにすることができる。また、TRSに用いられる系列(値)は、PBCH、PDCCH、EPDCCH又はPDSCH(RRCシグナリング)を通じて設定された情報に基づいて決定できる。TRSに用いられる系列(値)は、セルID(例えば、物理レイヤセル識別子)、スロット番号などのパラメータに基づいて決定できる。TRSに用いられる系列(値)は、アンテナポート0のCRSに用いられる系列(値)とは異なる方法(式)によって決定できる。
G-9.本実施形態における物理上りリンクチャネル
PUCCHは、上りリンク制御情報(Uplink Control Information:UCI)を送信するために用いられる物理チャネルである。上りリンク制御情報は、下りリンクのチャネル状態情報(CSI)、PUSCHリソースの要求を示すスケジューリング要求(Scheduling Request:SR)、下りリンクデータ(TB、DL-SCH)に対するHARQ-ACKを含む。HARQ-ACKは、ACK/NACK、HARQフィードバック、又は、応答情報とも称される。また、下りリンクデータに対するHARQ-ACKは、ACK、NACK、又はDTXを示す。
PUSCHは、上りリンクデータ(UL-SCH)を送信するために用いられる物理チャネルである。また、PUSCHは、上りリンクデータとともにHARQ-ACK及び/又はチャネル状態情報を送信するために用いられてもよい。また、PUSCHは、チャネル状態情報のみ、又は、HARQ-ACK及びチャネル状態情報のみを送信するために用いられてもよい。
PRACHは、ランダムアクセスプリアンブルを送信するために用いられる物理チャネルである。PRACHは、端末装置2が基地局装置1と時間領域の同期をとるために用いられることができる。また、PRACHは、初期コネクション構築(initial connection establishment)手続き(処理)、ハンドオーバ手続き、コネクション再構築(connection re-establishment)手続き、上りリンク送信に対する同期(タイミング調整)、及び/又は、PUSCHリソースの要求を示すためにも用いられる。
PUCCH領域において、複数のPUCCHが周波数、時間、空間及び/又はコード多重される。PUSCH領域において、複数のPUSCHが周波数、時間、空間及び/又はコード多重されてもよい。PUCCH及びPUSCHは周波数、時間、空間及び/又はコード多重されてもよい。PRACHは単一のサブフレーム又は2つのサブフレームにわたって配置されてもよい。複数のPRACHが符号多重されてもよい。
G-10.本実施形態における物理上りリンク信号
上りリンクDMRSは、PUSCH又はPUCCHの送信に関連する。DMRSは、PUSCH又はPUCCHと時間多重される。基地局装置1は、PUSCH又はPUCCHの伝搬路補正を行うためにDMRSを用いてもよい。本実施形態の説明において、PUSCHの送信は、PUSCHとDMRSを多重して送信することも含む。本実施形態の説明において、PUCCHの送信は、PUCCHとDMRSを多重して送信することも含む。なお、上りリンクDMRSは、UL-DMRSとも呼称される。SRSは、PUSCH又はPUCCHの送信に関連しない。基地局装置1は、上りリンクのチャネル状態を測定するためにSRSを用いてもよい。
SRSは上りリンクサブフレーム内の最後のSC-FDMAシンボルを用いて送信される。つまり、SRSは上りリンクサブフレーム内の最後のSC-FDMAシンボルに配置される。端末装置2は、あるセルのあるSC-FDMAシンボルにおいて、SRSと、PUCCH、PUSCH及び/又はPRACHとの同時送信を制限できる。端末装置2は、あるセルのある上りリンクサブフレームにおいて、その上りリンクサブフレーム内の最後のSC-FDMAシンボルを除くSC-FDMAシンボルを用いてPUSCH及び/又はPUCCHを送信し、その上りリンクサブフレーム内の最後のSC-FDMAシンボルを用いてSRSを送信することができる。つまり、あるセルのある上りリンクサブフレームにおいて、端末装置2は、SRSと、PUSCH及びPUCCHと、を送信することができる。
SRSにおいて、トリガータイプの異なるSRSとして、トリガータイプ0SRS及びトリガータイプ1SRSが定義される。トリガータイプ0SRSは、上位層シグナリングによって、トリガータイプ0SRSに関するパラメータが設定される場合に送信される。トリガータイプ1SRSは、上位層シグナリングによって、トリガータイプ1SRSに関するパラメータが設定され、DCIフォーマット0、1A、2B、2C、2D、又は4に含まれるSRSリクエストによって送信が要求された場合に送信される。なお、SRSリクエストは、DCIフォーマット0、1A、又は4についてはFDDとTDDの両方に含まれ、DCIフォーマット2B、2C、又は2DについてはTDDにのみ含まれる。同じサービングセルの同じサブフレームでトリガータイプ0SRSの送信とトリガータイプ1SRSの送信が生じる場合、トリガータイプ1SRSの送信が優先される。
G-11.本実施形態における制御チャネルのための物理リソース
リソースエレメントグループ(REG:Resource Element Group)は、リソースエレメントと制御チャネルのマッピングを定義するために用いられる。例えば、REGは、PDCCH、PHICH、又はPCFICHのマッピングに用いられる。REGは、同一のOFDMシンボル内であり、同一のリソースブロック内において、CRSのために用いられない4つの連続したリソースエレメントで構成される。また、REGは、あるサブフレーム内の1番目のスロットにおける1番目のOFDMシンボルから4番目のOFDMシンボルの中で構成される。
拡張リソースエレメントグループ(EREG:Enhanced Resource Element Group)は、リソースエレメントと拡張制御チャネルのマッピングを定義するために用いられる。例えば、EREGは、EPDCCHのマッピングに用いられる。1つのリソースブロックペアは16のEREGで構成される。それぞれのEREGはリソースブロックペア毎に0から15の番号が付される。それぞれのEREGは、1つのリソースブロックペアにおいて、EPDCCHに関連付けられたDM-RSのために用いられるリソースエレメントを除いた9つのリソースエレメントで構成される。
G-12.本実施形態における基地局装置1の構成例
図26には、本実施形態の基地局装置1の構成を概略的に示している。図示の基地局装置1は、上位層処理部101と、制御部103と、受信部105と、送信部107と、送受信アンテナ109を含んで構成される。また、受信部105は、復号化部1051と、復調部1053と、多重分離部1055と、無線受信部1057と、チャネル測定部1059を含んで構成される。また、送信部107は、符号化部1071と、変調部1073と、多重部1075と、無線送信部1077と、下りリンク参照信号生成部1079を含んで構成される。
既に説明したように、基地局装置1は、1つ以上のRATをサポートできる。図26に示す基地局装置1に含まれる各部の一部又は全部は、RATに応じて個別に構成され得る。例えば、受信部105及び送信部107は、LTEとNRとで個別に構成される。また、NRセルにおいて、図26に示す基地局装置1に含まれる各部の一部又は全部は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成され得る。例えば、あるNRセルにおいて、無線受信部1057及び無線送信部1077は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成され得る。
上位層処理部101は、媒体アクセス制御(MAC)層、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol:PDCP)層、無線リンク制御(Radio Link Control:RLC)層、無線リソース制御(RRC)層の処理を行う。また、上位層処理部101は、受信部105及び送信部107の制御を行うために制御情報を生成し、制御部103に出力する。
制御部103は、上位層処理部101からの制御情報に基づいて、受信部105及び送信部107の制御を行う。制御部103は、上位層処理部101への制御情報を生成し、上位層処理部101に出力する。制御部103は、復号化部1051からの復号化された信号及びチャネル測定部1059からのチャネル推定結果を入力する。制御部103は、符号化する信号を符号化部1071へ出力する。また、制御部103は、基地局装置1の全体又は一部を制御するために用いられる。
上位層処理部101は、RAT制御、無線リソース制御、サブフレーム設定、スケジューリング制御、及び/又は、CSI報告制御に関する処理及び管理を行う。上位層処理部101における処理及び管理は、端末装置毎、又は基地局装置に接続している端末装置共通に行われる。上位層処理部101における処理及び管理は、上位層処理部101のみで行われてもよいし、上位ノード又は他の基地局装置から取得してもよい。また、上位層処理部101における処理及び管理は、RATに応じて個別に行われてもよい。例えば、上位層処理部101は、LTEにおける処理及び管理と、NRにおける処理及び管理とを個別に行う。
上位層処理部101におけるRAT制御では、RATに関する管理が行われる。例えば、RAT制御では、LTEに関する管理及び/又はNRに関する管理が行われる。NRに関する管理は、NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットの設定及び処理を含む。
上位層処理部101における無線リソース制御では、下りリンクデータ(トランスポートブロック)、システムインフォメーション、RRCメッセージ(RRCパラメータ)、及び/又は、MAC制御エレメント(CE:Control Element)の生成及び/又は管理が行われる。
上位層処理部101におけるサブフレーム設定では、サブフレーム設定、サブフレームパターン設定、上りリンク-下りリンク設定、上りリンク参照UL-DL設定、及び/又は、下りリンク参照UL-DL設定の管理が行われる。なお、上位層処理部101におけるサブフレーム設定は、基地局サブフレーム設定とも呼称される。また、上位層処理部101におけるサブフレーム設定は、上りリンクのトラフィック量及び下りリンクのトラフィック量に基づいて決定できる。また、上位層処理部101におけるサブフレーム設定は、上位層処理部101におけるスケジューリング制御のスケジューリング結果に基づいて決定できる。
上位層処理部101におけるスケジューリング制御では、受信したチャネル状態情報及びチャネル測定部1059から入力された伝搬路の推定値やチャネルの品質などに基づいて、物理チャネルを割り当てる周波数及びサブフレーム、物理チャネルの符号化率及び変調方式及び送信電力などが決定される。例えば、制御部103は、上位層処理部101におけるスケジューリング制御のスケジューリング結果に基づいて、制御情報(DCIフォーマット)を生成する。
上位層処理部101におけるCSI報告制御では、端末装置2のCSI報告が制御される。例えば、端末装置2においてCSIを算出するために想定するためのCSI参照リソースに関する設定が制御される。
受信部105は、制御部103からの制御に従って、送受信アンテナ109を介して端末装置2から送信された信号を受信し、さらに分離、復調、復号などの受信処理を行い、受信処理された情報を制御部103に出力する。なお、受信部105における受信処理は、あらかじめ規定された設定、又は基地局装置1が端末装置2に通知した設定に基づいて行われる。
無線受信部1057は、送受信アンテナ109を介して受信された上りリンクの信号に対して、中間周波数への変換(ダウンコンバート)、不要な周波数成分の除去、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルの制御、受信された信号の同相成分及び直交成分に基づく直交復調、アナログ信号からディジタル信号への変換、ガードインターバル(Guard Interval:GI)の除去、及び/又は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)による周波数領域信号の抽出を行う。
多重分離部1055は、無線受信部1057から入力された信号から、PUCCH又はPUSCHなどの上りリンクチャネル及び/又は上りリンク参照信号を分離する。多重分離部1055は、上りリンク参照信号をチャネル測定部1059に出力する。多重分離部1055は、チャネル測定部1059から入力された伝搬路の推定値から、上りリンクチャネルに対する伝搬路の補償を行う。
復調部1053は、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(quadrature Phase shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、256QAMなどの変調方式を用いて受信信号の復調を行う。復調部1053は、MIMO多重された上りリンクチャネルの分離及び復調も行う。
復号化部1051は、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び/又は上りリンク制御情報は制御部103へ出力される。復号化部1051は、PUSCHに対しては、トランスポートブロック毎に復号処理を行う。
チャネル測定部1059は、多重分離部1055から入力された上りリンク参照信号から伝搬路の推定値及び/又はチャネルの品質などを測定し、多重分離部1055及び/又は制御部103に出力する。例えば、UL-DMRSはPUCCH又はPUSCHに対する伝搬路補償を行うための伝搬路の推定値を測定し、SRSは上りリンクにおけるチャネルの品質を測定する。
送信部107は、制御部103からの制御に従って、上位層処理部101から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータに対して、符号化、変調及び多重などの送信処理を行う。例えば、送信部107は、PHICH、PDCCH、EPDCCH、PDSCH、及び下りリンク参照信号を生成及び多重し、送信信号を生成する。なお、送信部107における送信処理は、あらかじめ規定された設定、基地局装置1が端末装置2に通知した設定、又は、同一のサブフレームで送信されるPDCCH又はEPDCCHを通じて通知される設定に基づいて行われる。
符号化部1071は、制御部103から入力されたHARQインディケータ(HARQ-ACK)、下りリンク制御情報、及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化などの所定の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部1073は、符号化部1071から入力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMなどの所定の変調方式で変調する。下りリンク参照信号生成部1079は、物理セル識別子(PCI:Physical cell identification)、端末装置2に設定されたRRCパラメータなどに基づいて、下りリンク参照信号を生成する。多重部1075は、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号を多重し、所定のリソースエレメントに配置する。
無線送信部1077は、多重部1075からの信号に対して、逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)による時間領域の信号への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのディジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、中間周波数の信号から高周波数の信号への変換(アップコンバート)、余分な周波数成分の除去、電力の増幅などの処理を行い、送信信号を生成する。無線送信部1077が出力した送信信号は、送受信アンテナ109から送信される。
G-13.本実施形態における端末装置2の構成例
図27には、本実施形態の端末装置2に構成を概略的に示している。図示の端末装置2は、上位層処理部201と、制御部203と、受信部205と、送信部207と、送受信アンテナ209を含んで構成される。また、受信部205は、復号化部2051と、復調部2053と、多重分離部2055と、無線受信部2057と、チャネル測定部2059を含んで構成される。また、送信部207は、符号化部2071と、変調部2073と、多重部2075と、無線送信部2077と、上りリンク参照信号生成部2079を含んで構成される。
既に説明したように、端末装置2は、1つ以上のRATをサポートできる。図27に示す端末装置2に含まれる各部の一部又は全部は、RATに応じて個別に構成されうる。例えば、受信部205及び送信部207は、LTEとNRとで個別に構成される。また、NRセルにおいて、図27に示す端末装置2に含まれる各部の一部又は全部は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成されうる。例えば、あるNRセルにおいて、無線受信部2057及び無線送信部2077は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成されうる。
上位層処理部201は、上りリンクデータ(トランスポートブロック)を、制御部203に出力する。上位層処理部201は、媒体アクセス制御(MAC)層、パケットデータ統合プロトコル(PDCP)層、無線リンク制御(RLC)層、無線リソース制御(RRC)層の処理を行う。また、上位層処理部201は、受信部205、及び送信部207の制御を行うために制御情報を生成し、制御部203に出力する。
制御部203は、上位層処理部201からの制御情報に基づいて、受信部205及び送信部207の制御を行う。制御部203は、上位層処理部201への制御情報を生成し、上位層処理部201に出力する。制御部203は、復号化部2051からの復号化された信号及びチャネル測定部2059からのチャネル推定結果を入力する。制御部203は、符号化する信号を符号化部2071へ出力する。また、制御部203は、端末装置2の全体又は一部を制御するために用いられてもよい。
上位層処理部201は、RAT制御、無線リソース制御、サブフレーム設定、スケジューリング制御、及び/又は、CSI報告制御に関する処理及び管理を行う。上位層処理部201における処理及び管理は、あらかじめ規定される設定、及び/又は、基地局装置1から設定又は通知される制御情報に基づく設定に基づいて行われる。例えば、基地局装置1からの制御情報は、RRCパラメータ、MAC制御エレメント又はDCIを含む。また、上位層処理部201における処理及び管理は、RATに応じて個別に行われてもよい。例えば、上位層処理部201は、LTEにおける処理及び管理と、NRにおける処理及び管理とを個別に行う。
上位層処理部201におけるRAT制御では、RATに関する管理が行われる。例えば、RAT制御では、LTEに関する管理及び/又はNRに関する管理が行われる。NRに関する管理は、NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットの設定及び処理を含む。
上位層処理部201における無線リソース制御では、自装置における設定情報の管理が行われる。上位層処理部201における無線リソース制御では、上りリンクデータ(トランスポートブロック)、システムインフォメーション、RRCメッセージ(RRCパラメータ)、及び/又は、MAC制御エレメント(CE)の生成及び/又は管理が行われる。
上位層処理部201におけるサブフレーム設定では、基地局装置1及び/又は基地局装置1とは異なる基地局装置におけるサブフレーム設定が管理される。サブフレーム設定は、サブフレームに対する上りリンク又は下りリンクの設定、サブフレームパターン設定、上りリンク-下りリンク設定、上りリンク参照UL-DL設定、及び/又は、下りリンク参照UL-DL設定を含む。なお、上位層処理部201におけるサブフレーム設定は、端末サブフレーム設定とも呼称される。
上位層処理部201におけるスケジューリング制御では、基地局装置1からのDCI(スケジューリング情報)に基づいて、受信部205及び送信部207に対するスケジューリングに関する制御を行うための制御情報が生成される。
上位層処理部201におけるCSI報告制御では、基地局装置1に対するCSIの報告に関する制御が行われる。例えば、CSI報告制御では、チャネル測定部2059でCSIを算出するために想定するためのCSI参照リソースに関する設定が制御される。CSI報告制御では、DCI及び/又はRRCパラメータに基づいて、CSIを報告するために用いられるリソース(タイミング)を制御する。
受信部205は、制御部203からの制御に従って、送受信アンテナ209を介して基地局装置1から送信された信号を受信し、さらに分離、復調、復号などの受信処理を行い、受信処理された情報を制御部203に出力する。なお、受信部205における受信処理は、あらかじめ規定された設定、又は基地局装置1からの通知又は設定に基づいて行われる。
無線受信部2057は、送受信アンテナ209を介して受信された上りリンクの信号に対して、中間周波数への変換(ダウンコンバート)、不要な周波数成分の除去、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルの制御、受信された信号の同相成分及び直交成分に基づく直交復調、アナログ信号からディジタル信号への変換、ガードインターバル(GI)の除去、及び/又は、高速フーリエ変換(FFT)による周波数領域の信号の抽出を行う。
多重分離部2055は、無線受信部2057から入力された信号から、PHICH、PDCCH、EPDCCH又はPDSCHなどの下りリンクチャネル、下りリンク同期信号及び/又は下りリンク参照信号を分離する。多重分離部2055は、下りリンク参照信号をチャネル測定部2059に出力する。多重分離部2055は、チャネル測定部2059から入力された伝搬路の推定値から、下りリンクチャネルに対する伝搬路の補償を行う。
復調部2053は、下りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMなどの変調方式を用いて受信信号の復調を行う。復調部2053は、MIMO多重された下りリンクチャネルの分離及び復調を行う。
復号化部2051は、復調された下りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された下りリンクデータ及び/又は下りリンク制御情報は制御部203へ出力される。復号化部2051は、PDSCHに対しては、トランスポートブロック毎に復号処理を行う。
チャネル測定部2059は、多重分離部2055から入力された下りリンク参照信号から伝搬路の推定値及び/又はチャネルの品質などを測定し、多重分離部2055及び/又は制御部203に出力する。チャネル測定部2059が測定に用いる下りリンク参照信号は、少なくともRRCパラメータによって設定される送信モード及び/又は他のRRCパラメータに基づいて決定されてもよい。例えば、DL-DMRSはPDSCH又はEPDCCHに対する伝搬路補償を行うための伝搬路の推定値を測定する。CRSはPDCCH又はPDSCHに対する伝搬路補償を行うための伝搬路の推定値、及び/又は、CSIを報告するための下りリンクにおけるチャネルを測定する。CSI-RSは、CSIを報告するための下りリンクにおけるチャネルを測定する。チャネル測定部2059は、CRS、CSI-RS又は検出信号に基づいて、RSRP及び/又はRSRQを算出し、上位層処理部201へ出力する。
送信部207は、制御部203からの制御に従って、上位層処理部201から入力された上りリンク制御情報及び上りリンクデータに対して、符号化、変調及び多重などの送信処理を行う。例えば、送信部207は、PUSCH又はPUCCHなどの上りリンクチャネル及び/又は上りリンク参照信号を生成及び多重し、送信信号を生成する。なお、送信部207における送信処理は、あらかじめ規定された設定、又は、基地局装置1から設定又は通知に基づいて行われる。
符号化部2071は、制御部203から入力されたHARQインディケータ(HARQ-ACK)、上りリンク制御情報、及び上りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化などの所定の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部2073は、符号化部2071から入力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMなどの所定の変調方式で変調する。上りリンク参照信号生成部2079は、端末装置2に設定されたRRCパラメータなどに基づいて、上りリンク参照信号を生成する。多重部2075は、各チャネルの変調シンボルと上りリンク参照信号を多重し、所定のリソースエレメントに配置する。
無線送信部2077は、多重部2075からの信号に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)による時間領域の信号への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのディジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、中間周波数の信号から高周波数の信号への変換(アップコンバート)、余分な周波数成分の除去、電力の増幅などの処理を行い、送信信号を生成する。無線送信部2077が出力した送信信号は、送受信アンテナ209から送信される。
G-14.本実施形態における制御情報のシグナリング
基地局装置1及び端末装置2は、それぞれ制御情報のシグナリング(通知、報知、設定)のために、さまざまな方法を用いることができる。制御情報のシグナリングは、様々な層(レイヤー)で行うことができる。制御情報のシグナリングは、物理層を通じたシグナリングである物理層シグナリング、RRC層を通じたシグナリングであるRRCシグナリング、及び、MAC層を通じたシグナリングであるMACシグナリングなどを含む。RRCシグナリングは、端末装置2に固有の制御情報を通知する専用のRRCシグナリング(Dedicated RRC signaling)、又は、基地局装置1に固有の制御情報を通知する共通のRRCシグナリング(Common RRC signaling)である。RRCシグナリングやMACシグナリングなど、物理層から見て上位の層が用いるシグナリングは上位層シグナリングとも呼称される。
RRCシグナリングは、RRCパラメータをシグナリングすることにより実現される。MACシグナリングは、MAC制御エレメントをシグナリングすることにより実現される。物理層シグナリングは、下りリンク制御情報(DCI)又は上りリンクリンク制御情報(UCI)をシグナリングすることにより実現される。RRCパラメータ及びMAC制御エレメントは、PDSCH又はPUSCHを用いて送信される。DCIは、PDCCH又はEPDCCHを用いて送信される。UCIは、PUCCH又はPUSCHを用いて送信される。RRCシグナリング及びMACシグナリングは、準静的な制御情報をシグナリングするために用いられ、準静的シグナリングとも呼称される。物理層シグナリングは、動的(dynamic)な制御情報をシグナリングするために用いられ、動的シグナリングとも呼称される。DCIは、PDSCHのスケジューリング又はPUSCHのスケジューリングなどのために用いられる。UCIは、CSI報告、HARQ-ACK報告、及び/又はスケジューリング要求(SR)などのために用いられる。
G-15.本実施形態における下りリンク制御情報の詳細
DCIはあらかじめ規定されるフィールドを有するDCIフォーマットを用いて通知される。DCIフォーマットに規定されるフィールドは、所定の情報ビットがマッピングされる。DCIは、下りリンクスケジューリング情報、上りリンクスケジューリング情報、サイドリンクスケジューリング情報、非周期的CSI報告の要求、又は、上りリンク送信電力コマンドを通知する。
端末装置2がモニタするDCIフォーマットは、サービングセル毎に設定された送信モードによって決まる。すなわち、端末装置2がモニタするDCIフォーマットの一部は、送信モードによって異なることができる。例えば、下りリンク送信モード1が設定された端末装置2は、DCIフォーマット1AとDCIフォーマット1をモニタする。例えば、下りリンク送信モード4が設定された端末装置2は、DCIフォーマット1AとDCIフォーマット2をモニタする。例えば、上りリンク送信モード1が設定された端末装置2は、DCIフォーマット0をモニタする。例えば、上りリンク送信モード2が設定された端末装置2は、DCIフォーマット0とDCIフォーマット4をモニタする。
端末装置2に対するDCIを通知するPDCCHが配置される制御領域は通知されず、端末装置2は端末装置2に対するDCIをブラインドデコーディング(ブラインド検出)により検出する。具体的には、端末装置2は、サービングセルにおいて、PDCCH候補のセットをモニタする。モニタリングは、そのセットの中のPDCCHのそれぞれに対して、すべてのモニタされるDCIフォーマットによって復号を試みることを意味する。例えば、端末装置2は、端末装置2宛に送信される可能性があるすべてのアグリゲーションレベル、PDCCH候補、及び、DCIフォーマットについてデコードを試みる。端末装置2は、デコード(検出)が成功したDCI(PDCCH)を端末装置2に対するDCI(PDCCH)として認識する。
DCIに対して、巡回冗長検査(CRC)が付加される。CRCは、DCIのエラー検出及びDCIのブラインド検出のために用いられる。CRC(CRCパリティビット)は、RNTIによってスクランブルされる。端末装置2は、RNTIに基づいて、端末装置2に対するDCIかどうかを検出する。具体的には、端末装置2は、CRCに対応するビットに対して、所定のRNTIでデスクランブルを行い、CRCを抽出し、対応するDCIが正しいかどうかを検出する。
RNTIは、DCIの目的や用途に応じて規定又は設定される。RNTIは、C-RNTI(Cell-RNTI)、SPS C-RNTI(Semi Persistent Scheduling C-RNTI)、SI-RNTI(System Information-RNTI)、P-RNTI(Paging-RNTI)、RA-RNTI(Random Access-RNTI)、TPC-PUCCH-RNTI(Transmit Power Control-PUCCH-RNTI)、TPC-PUSCH-RNTI(Transmit Power Control-PUSCH-RNTI)、一時的C-RNTI、M-RNTI(MBMS (Multimedia Broadcast Muticast Services)-RNTI)、及び、eIMTA-RNTIを含む。
C-RNTI及びSPS C-RNTIは、基地局装置1(セル)内において端末装置2に固有のRNTIであり、端末装置2を識別するための識別子である。C-RNTIは、あるサブフレームにおけるPDSCH又はPUSCHをスケジューリングするために用いられる。SPS C-RNTIは、PDSCH又はPUSCHのためのリソースの周期的なスケジューリングをアクティベーション又はリリースするために用いられる。SI-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、SIB(System Information Block)をスケジューリングするために用いられる。P-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、ページングを制御するために用いられる。RA-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、RACHに対するレスポンスをスケジューリングするために用いられる。TPC-PUCCH-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、PUCCHの電力制御を行うために用いられる。TPC-PUSCH-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、PUSCHの電力制御を行うために用いられる。TemporaryC-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、C-RNTIが設定又は認識されていない移動局装置によって用いられる。M-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、MBMSをスケジューリングするために用いられる。eIMTA-RNTIでスクランブルされたCRCを有する制御チャネルは、動的TDD(eIMTA)において、TDDサービングセルのTDD UL/DL設定に関する情報を通知するために用いられる。なお、上記のRNTIに限らず、新たなRNTIによってDCIフォーマットがスクランブルされてもよい。
スケジューリング情報(下りリンクスケジューリング情報、上りリンクスケジューリング情報、サイドリンクスケジューリング情報)は、周波数領域のスケジューリングとして、リソースブロック又はリソースブロックグループを単位にスケジューリングを行うための情報を含む。リソースブロックグループは、連続するリソースブロックのセットであり、スケジューリングされる端末装置に対する割り当てられるリソースを示す。リソースブロックグループのサイズは、システム帯域幅に応じて決まる。
G-16.本実施形態における下りリング制御チャネルの詳細
DCIはPDCCH又はEPDCCHなどの制御チャネルを用いて送信される。端末装置2は、RRCシグナリングによって設定された1つ又は複数のアクティベートされたサービングセルのPDCCH候補のセット及び/又はEPDCCH候補のセットをモニタする。ここで、モニタリングとは、すべてのモニタされるDCIフォーマットに対応するセット内のPDCCH及び/又はEPDCCHのデコードを試みることである。
PDCCH候補のセット又はEPDCCH候補のセットは、サーチスペースとも呼称される。サーチスペースには、共有サーチスペース(CSS)と端末固有サーチスペース(USS)が定義される。CSSは、PDCCHに関するサーチスペースのみに対して定義されてもよい。
CSS(Common Search Space)は、基地局装置1に固有のパラメータ及び/又はあらかじめ規定されたパラメータに基づいて設定されるサーチスペースである。例えば、CSSは、複数の端末装置で共通に用いられるサーチスペースである。そのため、基地局装置1が複数の端末装置で共通の制御チャネルをCSSにマッピングすることにより、制御チャネルを送信するためのリソースが低減される。
USS(UE-specific Search Space)は、少なくとも端末装置2に固有のパラメータを用いて設定されるサーチスペースである。そのため、USSは、端末装置2に固有のサーチスペースであり、端末装置2に固有の制御チャネルを個別に送信することができる。そのため、基地局装置1は複数の端末装置に固有の制御チャネルを効率的にマッピングできる。
USSは、複数の端末装置に共通に用いられるように設定されてもよい。複数の端末装置に対して共通のUSSが設定されるために、端末装置2に固有のパラメータは、複数の端末装置の間で同じ値になるように設定される。例えば、複数の端末装置の間で同じパラメータに設定される単位は、セル、送信点、又は所定の端末装置のグループなどである。
アグリゲーションレベル毎のサーチスペースはPDCCH候補のセットによって定義される。PDCCHのそれぞれは、1つ以上のCCEの集合を用いて送信される。1つのPDCCHに用いられるCCEの数は、アグリゲーションレベルとも呼称される。例えば、1つのPDCCHに用いられるCCEの数は、1、2、4又は8である。
アグリゲーションレベル毎のサーチスペースはEPDCCH候補のセットによって定義される。EPDCCHのそれぞれは、1つ以上のECCEの集合を用いて送信される。1つのEPDCCHに用いられるECCEの数は、アグリゲーションレベルとも呼称される。例えば、1つのEPDCCHに用いられるECCEの数は、1、2、4、8、16又は32である。
PDCCH候補の数又はEPDCCH候補の数は、少なくともサーチスペース及びアグリゲーションレベルに基づいて決まる。例えば、CSSにおいて、アグリゲーションレベル4及び8におけるPDCCH候補の数はそれぞれ4及び2である。例えば、USSにおいて、アグリゲーション1、2、4及び8におけるPDCCH候補の数はそれぞれ6、6、2及び2である。
それぞれのECCEは、複数のEREGで構成される。EREGは、EPDCCHのリソースエレメントに対するマッピングを定義するために用いられる。各RBペアにおいて、0から15に番号付けされる、16個のEREGが定義される。すなわち、各RBペアにおいて、EREG0~EREG15が定義される。各RBペアにおいて、EREG0~EREG15は、所定の信号及び/又はチャネルがマッピングされるリソースエレメント以外のリソースエレメントに対して、周波数方向を優先して、周期的に定義される。例えば、アンテナポート107~110で送信されるEPDCCHに関連付けられる復調用参照信号がマッピングされるリソースエレメントは、EREGを定義しない。
1つのEPDCCHに用いられるECCEの数は、EPDCCHフォーマットに依存し、他のパラメータに基づいて決定される。1つのEPDCCHに用いられるECCEの数は、アグリゲーションレベルとも呼称される。例えば、1つのEPDCCHに用いられるECCEの数は、1つのRBペアにおけるEPDCCH送信に用いることができるリソースエレメントの数、EPDCCHの送信方法などに基づいて、決定される。例えば、1つのEPDCCHに用いられるECCEの数は、1、2、4、8、16又は32である。また、1つのECCEに用いられるEREGの数は、サブフレームの種類及びサイクリックプレフィックスの種類に基づいて決定され、4又は8である。EPDCCHの送信方法として、分散送信(Distributed transmission)及び局所送信(Localized transmission)がサポートされる。
EPDCCHは、分散送信又は局所送信を用いることができる。分散送信及び局所送信は、EREG及びRBペアに対するECCEのマッピングが異なる。例えば、分散送信において、1つのECCEは、複数のRBペアのEREGを用いて構成される。局所送信において、1つのECCEは、1つのRBペアのEREGを用いて構成される。
基地局装置1は、端末装置2に対して、EPDCCHに関する設定を行う。端末装置2は、基地局装置1からの設定に基づいて、複数のEPDCCHをモニタリングする。端末装置2がEPDCCHをモニタリングするRBペアのセットが、設定されうる。そのRBペアのセットは、EPDCCHセット又はEPDCCH-PRBセットとも呼称される。1つの端末装置2に対して、1つ以上のEPDCCHセットが設定できる。各EPDCCHセットは、1つ以上のRBペアで構成される。また、EPDCCHに関する設定は、EPDCCHセット毎に個別に行うことができる。
基地局装置1は、端末装置2に対して、所定数のEPDCCHセットを設定できる。例えば、2つまでのEPDCCHセットが、EPDCCHセット0及び/又はEPDCCHセット1として、設定できる。EPDCCHセットのそれぞれは、所定数のRBペアで構成できる。各EPDCCHセットは、複数のECCEの1つのセットを構成する。1つのEPDCCHセットに構成されるECCEの数は、そのEPDCCHセットとして設定されるRBペアの数、及び、1つのECCEに用いられるEREGの数に基づいて、決定される。1つのEPDCCHセットに構成されるECCEの数がNである場合、各EPDCCHセットは、0~N-1で番号付けされたECCEを構成する。例えば、1つのECCEに用いられるEREGの数が4である場合、4つのRBペアで構成されるEPDCCHセットは16個のECCEを構成する。
G-17.本実施形態におけるチャネル状態情報の詳細
端末装置2は基地局装置1にCSIを報告(レポート)する。CSIを報告するために用いられる時間及び周波数のリソースは、基地局装置1によって制御される。端末装置2は、基地局装置1からRRCシグナリングによってCSIに関する設定が行われる。端末装置2は、所定の送信モードにおいて、1つ以上のCSIプロセスが設定される。端末装置2によって報告されるCSIは、CSIプロセスに対応する。例えば、CSIプロセスは、CSIに関する制御又は設定の単位である。CSIプロセスのそれぞれは、CSI-RSリソース、CSI-IMリソース、周期的CSI報告に関する設定(例えば、報告の周期とオフセット)、及び/又は、非周期的CSI報告に関する設定を独立に設定できる。
CSIは、CQI、PMI、PTI(Precoding type indicator)、RI、及び/又はCRI(CSI-RS resource indicator)で構成される。RIは、送信レイヤの数(ランク数)を示す。PMIは、あらかじめ規定されたプレコーディング行列を示す情報である。PMIは、1つの情報又は2つの情報により、1つのプレコーディング行列を示す。2つの情報を用いる場合のPMIは、第1のPMIと第2のPMIとも呼称される。CQIは、あらかじめ規定された変調方式と符号化率との組み合わせを示す情報である。CRIは、1つのCSIプロセスにおいてCSI-RSリソースが2つ以上設定された場合に、それらのCSI-RSリソースから選択される1つのCSI-RSリソースを示す情報(シングルインスタンス)である。端末装置2は、基地局装置1に推奨するCSIを報告する。端末装置2は、トランスポートブロック(コードワード)毎に、所定の受信品質を満たすCQIを報告する。
CRIの報告において、設定されるCSI-RSリソースから1つのCSI-RSリソースが選択される。CRIが報告された場合、報告されるPMI、CQI及びRIは、その報告されたCRIに基づいて算出(選択)される。例えば、設定されるCSI-RSリソースがそれぞれプレコーディングされる場合、端末装置2がCRIを報告することにより、端末装置2に好適なプレコーディング(ビーム)が報告される。
周期的CSI報告が可能なサブフレーム(reporting instances)は、上位層のパラメータ(CQIPMIインデックス、RIインデックス、CRIインデックス)により設定される、報告の周期及びサブフレームオフセットによって決定される。なお、上位層のパラメータは、CSIを測定するために設定されるサブフレームセットに独立に設定できる。複数のサブフレームセットに対して1つの情報しか設定されない場合、その情報は、サブフレームセット間で共通とすることができる。それぞれのサービングセルにおいて、1つ以上の周期的CSI報告は、上位層のシグナリングによって設定される。
CSI報告タイプは、PUCCH CSI報告モードをサポートしている。CSI報告タイプは、PUCCH報告タイプとも呼称される。タイプ1報告は、端末選択サブバンドに対するCQIのフィードバックをサポートしている。タイプ1a報告は、サブバンドCQIと第2のPMIのフィードバンクをサポートしている。タイプ2、タイプ2b、タイプ2c報告は、ワイドバンドCQIとPMIのフィードバックをサポートしている。タイプ2a報告は、ワイドバンドPMIのフィードバンクをサポートしている。タイプ3報告は、RIのフィードバックをサポートしている。タイプ4報告は、ワイドバンドCQIのフィードバックをサポートしている。タイプ5報告は、RIとワイドバンドPMIのフィードバックをサポートしている。タイプ6報告は、RIとPTIのフィードバックをサポートしている。タイプ7報告は、CRIとRIのフィードバックをサポートしている。タイプ8報告は、CRIとRIとワイドバンドPMIのフィードバックをサポートしている。タイプ9報告は、CRIとRIとPTIのフィードバックをサポートしている。タイプ10報告は、CRIのフィードバックをサポートしている。
端末装置2は、基地局装置1からCSI測定及びCSI報告に関する情報が設定される。CSI測定は、参照信号及び/又は参照リソース(例えば、CRS、CSI-RS、CSI-IMリソース、及び/又はDRS)に基づいて行われる。CSI測定に用いられる参照信号は、送信モードの設定などに基づいて決まる。CSI測定は、チャネル測定と干渉測定とに基づいて行われる。例えば、チャネル測定は、所望のセルの電力を測定する。干渉測定は、所望のセル以外の電力と雑音電力とを測定する。
例えば、CSI測定において、端末装置2は、CRSに基づいてチャネル測定と干渉測定とを行う。例えば、CSI測定において、端末装置2は、CSI-RSに基づいてチャネル測定を行い、CRSに基づいて干渉測定を行う。例えば、CSI測定において、端末装置2は、CSI-RSに基づいてチャネル測定を行い、CSI-IMリソースに基づいて干渉測定を行う。
CSIプロセスは、上位層のシグナリングによって端末装置2に固有の情報として設定される。端末装置2は、1つ以上のCSIプロセスが設定され、そのCSIプロセスの設定に基づいてCSI測定及びCSI報告を行う。例えば、端末装置2は、複数のCSIプロセスが設定された場合、それらのCSIプロセスに基づく複数のCSIを独立に報告する。それぞれのCSIプロセスは、セル状態情報のための設定、CSIプロセスの識別子、CSI-RSに関する設定情報、CSI-IMに関する設定情報、CSI報告のために設定されるサブフレームパターン、周期的なCSI報告に関する設定情報、及び/又は、非周期的なCSI報告に関する設定情報を含む。なお、セル状態情報のための設定は、複数のCSIプロセスに対して共通であってもよい。
端末装置2は、CSI測定を行うためにCSI参照リソースを用いる。例えば、端末装置2は、CSI参照リソースで示される下りリンク物理リソースブロックのグループを用いて、PDSCHが送信される場合のCSIを測定する。CSIサブフレームセットが上位層のシグナリングによって設定された場合、それぞれのCSI参照リソースは、CSIサブフレームセットのいずれかに属し、CSIサブフレームセットの両方に属しない。
周波数方向において、CSI参照リソースは、測定されるCQIの値に関連するバンドに対応する下りリンク物理リソースブロックのグループによって定義される。
レイヤ方向(空間方向)において、CSI参照リソースは、測定されるCQIが条件をつけるRI及びPMIによって定義される。すなわち、レイヤ方向(空間方向)において、CSI参照リソースは、CQIを測定する時に想定又は生成されたRI及びPMIによって定義される。
時間方向において、CSI参照リソースは、所定の1つ以上の下りリンクサブフレームによって定義される。具体的には、CSI参照リソースは、CSI報告するサブフレームより所定数前の有効なサブフレームによって定義される。CSI参照リソースを定義する所定のサブフレーム数は、送信モード、フレーム構成タイプ、設定されるCSIプロセスの数、及び/又は、CSI報告モードなどに基づいて決まる。例えば、端末装置2に対して、1つのCSIプロセスと周期的なCSI報告のモードが設定される場合、CSI参照リソースを定義する所定のサブフレーム数は、有効な下りリンクサブフレームのうち、4以上の最小値である。
有効なサブフレームは、所定の条件を満たすサブフレームである。あるサービングセルにおける下りリンクサブフレームは、以下の条件の一部又は全部が当てはまる場合、有効であると考えられる。
(1)有効な下りリンクサブフレームは、ON状態及びOFF状態に関するRRCパラメータに基づいて決まる。端末装置2において、有効な下りリンクサブフレームは、ON状態のサブフレームである。
(2)有効な下りリンクサブフレームは、端末装置2において下りリンクサブフレームとして設定される。
(3)有効な下りリンクサブフレームは、所定の送信モードにおいて、MBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)サブフレームではない。
(4)有効な下りリンクサブフレームは、端末装置2に設定された測定間隔(measurement gap)の範囲に含まれない。
(5)有効な下りリンクサブフレームは、周期的なCSI報告において、端末装置2にCSIサブフレームセットが設定される時、周期的なCSI報告にリンクされるCSIサブフレームセットの要素又は一部である。
(6)有効な下りリンクサブフレームは、CSIプロセスに対する非周期的CSI報告において、上りリンクのDCIフォーマット内の対応するCSIリクエストを伴う下りリンクサブフレームにリンクされるCSIサブフレームセットの要素又は一部である。その条件において、端末装置2に所定の送信モードと、複数のCSIプロセスと、CSIプロセスに対するCSIサブフレームセットとが設定される。
G-18.本実施形態におけるマルチキャリア送信の詳細
端末装置2は複数のセルが設定され、マルチキャリア送信を行うことができる。端末装置2が複数のセルを用いる通信は、CA(キャリアアグリゲーション)又はDC(デュアルコネクティビティ)と称される。本実施形態に記載の内容は、端末装置2に対して設定される複数のセルのそれぞれ又は一部に適用できる。端末装置2に設定されるセルを、サービングセルとも称する。
CAおいて、設定される複数のサービングセルは、1つのプライマリーセル(PCell:Primary Cell)と1つ以上のセカンダリーセル(SCell:Secondary Cell)とを含む。CAをサポートしている端末装置2に対して、1つのプライマリーセルと1つ以上のセカンダリーセルが設定され得る。
プライマリーセルは、初期コネクション構築(initial connection establishment)手続きが行われたサービングセル、コネクション再構築(connection re-establishment)手続きを開始したサービングセル、又は、ハンドオーバ手続きにおいてプライマリーセルと指示されたセルである。プライマリーセルは、プライマリー周波数でオペレーションする。セカンダリーセルは、コネクションの構築又は再構築以降に設定されうる。セカンダリーセルは、セカンダリー周波数でオペレーションする。なお、コネクションは、RRCコネクションとも称される。
DCは、少なくとも2つの異なるネットワークポイントから提供される無線リソースを所定の端末装置2が消費するオペレーションである。ネットワークポイントは、マスター基地局装置(MeNB:Master eNB)とセカンダリー基地局装置(SeNB:Secondary eNB)である。デュアルコネクティビティは、端末装置2が、少なくとも2つのネットワークポイントでRRC接続を行うことである。デュアルコネクティビティにおいて、2つのネットワークポイントは、非理想的バックホール(non-ideal backhaul)によって接続されてもよい。
DCにおいて、少なくともS1-MME(Mobility Management Entity)に接続され、コアネットワークのモビリティアンカーの役割を果たす基地局装置1をマスター基地局装置と称される。また、端末装置2に対して追加の無線リソースを提供するマスター基地局装置ではない基地局装置1をセカンダリー基地局装置と称される。マスター基地局装置に関連されるサービングセルのグループは、マスターセルグループ(MCG:Master Cell Group)とも呼称される。セカンダリー基地局装置に関連されるサービングセルのグループは、セカンダリーセルグループ(SCG:Secondary Cell Group)とも呼称される。
DCにおいて、プライマリーセルは、MCGに属する。また、SCGにおいて、プライマリーセルに相当するセカンダリーセルをプライマリーセカンダリーセル(PSCell:Primary Secondary Cell)と称する。PSCell(PSCellを構成する基地局装置)には、PCell(PCellを構成する基地局装置)と同等の機能(能力、性能)がサポートされてもよい。また、PSCellには、PCellの一部の機能だけがサポートされてもよい。例えば、PSCellには、CSS又はUSSとは異なるサーチスペースを用いて、PDCCH送信を行う機能がサポートされてもよい。また、PSCellは、常にアクティベーションの状態であってもよい。また、PSCellは、PUCCHを受信できるセルである。
DCにおいて、無線ベアラ(データ無線ベアラ(DRB:Date Radio Bearer)及び/又はシグナリング無線ベアラ(SRB:Signaling Radio Bearer))は、MeNBとSeNBで個別に割り当てられてもよい。MCG(PCell)とSCG(PSCell)に対して、それぞれ個別にデュプレックスモードが設定されてもよい。MCG(PCell)とSCG(PSCell)は、互いに同期されなくてもよい。MCG(PCell)とSCG(PSCell)に対して、複数のタイミング調整のためのパラメータ(TAG:Timing Advance Group)が独立に設定されてもよい。デュアルコネクティビティにおいて、端末装置2は、MCG内のセルに対応するUCIをMeNB(PCell)のみで送信し、SCG内のセルに対応するUCIをSeNB(pSCell)のみで送信する。それぞれのUCIの送信において、PUCCH及び/又はPUSCHを用いた送信方法はそれぞれのセルグループで適用される。
PUCCH及びPBCH(MIB)は、PCell又はPSCellのみで送信される。また、PRACHは、CG内のセル間で複数のTAGが設定されない限り、PCell又はPSCellのみで送信される。
PCell又はPSCellでは、SPS(Semi-Persistent Scheduling)やDRX(Discontinuous Transmission)を行ってもよい。セカンダリーセルでは、同じセルグループのPCell又はPSCellと同じDRXを行ってもよい。
セカンダリーセルにおいて、MACの設定に関する情報/パラメータは、基本的に、同じセルグループのPCell又はPSCellと共有している。一部のパラメータは、セカンダリーセル毎に設定されてもよい。一部のタイマーやカウンタが、PCell又はPSCellのみに対して適用されてもよい。
CAにおいて、TDD方式が適用されるセルとFDD方式が適用されるセルが集約されてもよい。TDDが適用されるセルとFDDが適用されるセルとが集約される場合に、TDDが適用されるセル及びFDDが適用されるセルのいずれか一方に対して本明細書で開示する技術を適用することができる。
端末装置2は、端末装置2によってCAがサポートされているバンドの組合せを示す情報を、基地局装置1に送信する。端末装置2は、バンドの組合せのそれぞれに対して、異なる複数のバンドにおける前記複数のサービングセルにおける同時送信及び受信をサポートしているかどうかを指示する情報を、基地局装置1に送信する。
G-19.本実施形態におけるリソース割り当ての詳細
基地局装置1は、端末装置2にPDSCH及び/又はPUSCHのリソース割り当ての方法として、複数の方法を用いることができる。リソース割り当ての方法は、動的スケジューリング、セミパーシステントスケジューリング、マルチサブフレームスケジューリング、及びクロスサブフレームスケジューリングを含む。
動的スケジューリングにおいて、1つのDCIは1つのサブフレームにおけるリソース割り当てを行う。具体的には、あるサブフレームにおけるPDCCH又はEPDCCHは、そのサブフレームにおけるPDSCHに対するスケジューリングを行う。あるサブフレームにおけるPDCCH又はEPDCCHは、そのサブフレームより後の所定のサブフレームにおけるPUSCHに対するスケジューリングを行う。
マルチサブフレームスケジューリングにおいて、1つのDCIは1つ以上のサブフレームにおけるリソース割り当てを行う。具体的には、あるサブフレームにおけるPDCCH又はEPDCCHは、そのサブフレームより所定数後の1つ以上のサブフレームにおけるPDSCHに対するスケジューリングを行う。あるサブフレームにおけるPDCCH又はEPDCCHは、そのサブフレームより所定数後の1つ以上のサブフレームにおけるPUSCHに対するスケジューリングを行う。その所定数はゼロ以上の整数にすることができる。その所定数は、あらかじめ規定されてもよいし、物理層シグナリング及び/又はRRCシグナリングに基づいて決められてもよい。マルチサブフレームスケジューリングにおいて、連続したサブフレームがスケジューリングされてもよいし、所定の周期を有するサブフレームがスケジューリングされてもよい。スケジューリングされるサブフレームの数は、あらかじめ規定されてもよいし、物理層シグナリング及び/又はRRCシグナリングに基づいて決められてもよい。
クロスサブフレームスケジューリングにおいて、1つのDCIは1つのサブフレームにおけるリソース割り当てを行う。具体的には、あるサブフレームにおけるPDCCH又はEPDCCHは、そのサブフレームより所定数後の1つのサブフレームにおけるPDSCHに対するスケジューリングを行う。あるサブフレームにおけるPDCCH又はEPDCCHは、そのサブフレームより所定数後の1つのサブフレームにおけるPUSCHに対するスケジューリングを行う。その所定数はゼロ以上の整数にすることができる。その所定数は、あらかじめ規定されてもよいし、物理層シグナリング及び/又はRRCシグナリングに基づいて決められてもよい。クロスサブフレームスケジューリングにおいて、連続したサブフレームがスケジューリングされてもよいし、所定の周期を有するサブフレームがスケジューリングされてもよい。
セミパーシステントスケジューリング(SPS)において、1つのDCIは1つ以上のサブフレームにおけるリソース割り当てを行う。端末装置2は、RRCシグナリングによってSPSに関する情報が設定され、SPSを有効にするためのPDCCH又はEPDCCHを検出した場合、SPSに関する処理を有効にし、SPSに関する設定に基づいて所定のPDSCH及び/又はPUSCHを受信する。端末装置2は、SPSが有効である時にSPSをリリースするためのPDCCH又はEPDCCHを検出した場合、SPSをリリース(無効に)し、所定のPDSCH及び/又はPUSCHの受信を止める。SPSのリリースは、所定の条件を満たした場合に基づいて行ってもよい。例えば、所定数の空送信のデータを受信した場合に、SPSはリリースされる。SPSをリリースするためのデータの空送信は、ゼロMAC SDU(Service Data Unit)を含むMAC PDUに対応する。
RRCシグナリングによるSPSに関する情報は、SPSのRNTIであるSPS C-RNTI、PDSCHのスケジューリングされる周期(インターバル)に関する情報、PUSCHのスケジューリングされる周期(インターバル)に関する情報、SPSをリリースするための設定に関する情報、及び/又は、SPSにおけるHARQプロセスの番号を含む。SPSは、プライマリーセル及び/又はプライマリーセカンダリーセルのみにサポートされる。
G-20.本実施形態におけるHARQ
本実施形態において、HARQはさまざまな特徴を有する。HARQはトランスポートブロックを送信及び再送する。HARQにおいて、所定数のプロセス(HARQプロセス)が用いられ(設定され)、プロセスのそれぞれはストップアンドウェイト方式で独立に動作する。
下りリンクにおいて、HARQは非同期であり、適応的に動作する。すなわち、下りリンクにおいて、再送は常にPDCCHを通じてスケジューリングされる。下りリンク送信に対応する上りリンクHARQ-ACK(応答情報)はPUCCH又はPUSCHで送信される。下りリンクにおいて、PDCCHは、そのHARQプロセスを示すHARQプロセス番号、及び、その送信が初送か再送かを示す情報を通知する。
上りリンクにおいて、HARQは同期又は非同期に動作する。上りリンク送信に対応する下りリンクHARQ-ACK(応答情報)はPHICHで送信される。上りリンクHARQにおいて、端末装置の動作は、その端末装置によって受信されるHARQフィードバック及び/又はその端末装置によって受信されるPDCCHに基づいて決まる。例えば、PDCCHは受信されず、HARQフィードバックがACKである場合、端末装置は送信(再送)を行わず、HARQバッファ内のデータを保持する。その場合、PDCCHが再送を再開するために送信されるかもしれない。また、例えば、PDCCHは受信されず、HARQフィードバックがNACKである場合、端末装置は所定の上りリンクサブフレームで非適応的に再送を行う。また、例えば、PDCCHが受信された場合、HARQフィードバックの内容に関わらず、端末装置はそのPDCCHで通知される内容に基づいて、送信又は再送を行う。
なお、上りリンクにおいて、所定の条件(設定)を満たした場合、HARQは非同期のみで動作するようにしてもよい。すなわち、下りリンクHARQ-ACKは送信されず、上りリンクにおける再送は常にPDCCHを通じてスケジューリングされてもよい。
HARQ-ACK報告において、HARQ-ACKは、ACK、NACK、又はDTXを示す。HARQ-ACKがACKである場合、そのHARQ-ACKに対応するトランスポートブロック(コードワード、チャネル)は正しく受信(デコード)できたことを示す。HARQ-ACKがNACKである場合、そのHARQ-ACKに対応するトランスポートブロック(コードワード、チャネル)は正しく受信(デコード)できなかったことを示す。HARQ-ACKがDTXである場合、そのHARQ-ACKに対応するトランスポートブロック(コードワード、チャネル)は存在しない(送信されていない)ことを示す。
下りリンク及び上りリンクのそれぞれにおいて、所定数のHARQプロセスが設定(規定)される。例えば、FDDにおいて、サービングセル毎に最大8つのHARQプロセスが用いられる。また、例えば、TDDにおいて、HARQプロセスの最大数は、上りリンク/下りリンク設定によって決定される。HARQプロセスの最大数は、RTT(Round Trip Time)に基づいて決定されてもよい。例えば、RTTが8TTI(Transmission Time Interval)である場合、HARQプロセスの最大数は8にすることができる。
本実施形態において、HARQ情報は、少なくともNDI(New Data Indicator)及びTBS(トランスポートブロックサイズ)で構成される。NDIは、そのHARQ情報に対応するトランスポートブロックが初送か再送かを示す情報である。TBSはトランスポートブロックのサイズである。トランスポートブロックは、トランスポートチャネル(トランスポートレイヤー)におけるデータのブロックであり、HARQを行う単位とすることができる。DL-SCH送信において、HARQ情報は、さらにHARQプロセスID(HARQプロセス番号)を含む。UL-SCH送信において、HARQ情報は、さらにトランスポートブロックに対する符号化後の情報ビットとパリティビットを指定するための情報であるRV(Redundancy Version)を含む。DL-SCHにおいて空間多重の場合、そのHARQ情報は、それぞれのトランスポートブロックに対してNDI及びTBSのセットを含む。
H.まとめ
本明細書で開示する技術によれば、FDの実施と不実施が混在する通信システムにおいて、細かい粒度で柔軟なFDの切り替えを実現することができる。また、さまざまな状況において適切なFDを実施することができ、通信システム全体として周波数利用効率や低遅延通信の性能(遅延削減効果)が向上する。
より具体的には、通信装置は、ACK/NACKの送受信を少ない無線リソースで即時的に実施することができるため、FDを実施することによる低遅延化を達成することが可能となる。また、割り当てられた無線リソースを、TB、CB、CBGなどと紐付けて分割することで、通信装置は、FDの実施時にACK/NACKを送受信し易くすることができ、さらに、FD受信時の自己干渉キャンセラの動作制御を柔軟に行うことも可能となる。
また、本明細書で開示する技術によれば、共有チャネルとランダムアクセスチャネルのように、種別の異なるチャネルを用いてFDを実施することも可能であり、従来に比べて、システム視点での無線リソースの利用効率を高めることが可能となる。