JP7302268B2 - 視覚再生補助装置 - Google Patents

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本開示は、患者の視覚を再生する視覚再生補助装置に関するものである。
従来から失明治療技術の1つとして、電極等を有する眼内埋植装置(体内装置)を眼内に設置し、電極から電気刺激パルス信号(電荷)を出力して、網膜を構成する細胞を電気刺激することにより、視覚の再生を試みる視覚再生補助装置が知られている。この種の視覚再生補助装置は、例えば、体外にて撮像された映像を光信号や電磁気信号に変換した後、眼内に設置された体内装置に送信し、体内装置に設けられた複数の電極から電気刺激パルス信号(刺激電流)を発して網膜を構成する細胞を刺激することにより、視覚の再生を促している(特許文献1参照)。
この視覚再生補助装置では、電極ユニットに設けられた数十個の電極から刺激電流を出力するが、1個の電極を刺激するために必要な刺激パルス信号のパルス幅が1ms程度であるため、電極1個ずつ順次刺激動作をさせても、すべての電極を刺激動作するための十分なフレームレート(例えば20Hz程度)が確保されている。そして、同時に刺激出力するのは1つの電極なので、電極ユニットにはデマルチプレクサのみが設置され、刺激電流源が給電ユニットに設置され、電極ユニットへの給電は間欠的に刺激動作していない期間に行われている。
特開2016-193068号公報
ここで、患者が認識できる外界像の解像度を高めるためには、網膜により多くの電極(例えば、百以上の電極)を配置し、それら多数の電極から網膜を刺激する必要がある。ところが、電極数が百以上であると、1つのデマルチプレクサから接続可能な電極数が限られるため、電極を選択するためのデマルチプレクサが複数必要になる。そして、複数のデマルチプレクサを給電ユニットに接続するための配線は、配線構造を簡略化するためにバス接続される。これらバス接続された複数のデマルチプレクサを給電ユニットが制御するためには、各電極へ制御信号を送出するとともに、各電極からの確認信号を受信する必要があり、送受信の信号量が飛躍的に増加する。ここで、配線は寄生容量を持っているため、電圧によって信号を送受信すると、配線で充放電が生じる。そして、電極数を百以上に増やし信号の送受信を高速化すると、寄生容量の充放電に必要な電力が増加するので、信号の送受信に必要となる電力量が増加してしまい、給電ユニットが発熱して、生体に悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本開示は、上記した問題点を解決するために、百以上の電極を設けても、給電ユニットでの発熱を抑制することができる視覚再生補助装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、
患者の視覚を再生する視覚再生補助装置において、
刺激パルス信号を出力する複数の電極を備える刺激ユニットと、
前記刺激ユニットが複数設けられて百以上の電極を備える電極ユニットと、
前記電極ユニットとの間で、前記電極を駆動するための制御信号の送信と前記刺激ユニットからの確認信号の受信とを行う給電ユニットと、
前記給電ユニットと前記電極ユニットとを電気的に接続し、前記制御信号及び前記確認信号を伝送するケーブルと、を有し、
前記給電ユニットと前記電極ユニットは、前記ケーブルを介して、電流によって前記制御信号及び前記確認信号を送受信することを特徴とする。
本開示の視覚再生補助装置によれば、百以上の電極を設けても、給電ユニットでの発熱を抑制することができる。
本実施形態の視覚再生補助装置における体外装置を示す図である。 本実施形態の視覚再生補助装置における体内装置を示す図である。 刺激ユニットを示す図であり、(a)は底面側から見た正面図、(b)は側面から見た断面図である。 眼球に対する電極ユニットの設置位置を示す図である。 体内装置の回路構成を示す図である。 制御信号の一例を示す図である。 制御信号の別例を示す図である。
以下、本開示における典型的な実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態の視覚再生補助装置は、患者の失われた視覚機能を再生又は代替する。より詳細には、体外で撮像された外界像に基づいて、機能が失われた視覚神経系に対して電気刺激を行うことで、疑似光覚(フォスフェン)による像を、患者に視覚させる。本実施形態では、網膜刺激型の視覚再生補助装置に本開示を適用した場合を例示して説明する。
本実施形態における視覚再生補助装置は、外界像を得るための撮像部が体外に設けられた体外撮像型の装置である。このような視覚再生補助装置は、体外装置20(図1参照)と、体内装置10(図2参照)と、に大別される。図面に示す視覚再生補助装置は、脈絡膜上-経網膜刺激型(STS:Suprachoroidal Transretinal Stimulation)に適合した装置である。この場合、眼球強膜に切り込みを入れて形成した切開創(フラップ)から電極105(刺激ユニット100)が挿入され、電極105が脈絡膜に位置される。その結果、網膜に電極105を直接接触させずに電気刺激が可能となる。
<体外装置の概略構成>
図1に示すように、体外装置20は、眼鏡タイプのウェアラブルデバイスであり、本実施形態では顔に装着される。また、本実施形態の体外装置20は、カメラ204、処理装置202、及び送信部206を有する。
カメラ204(主には、ビデオカメラ)は、患者の前方の外界像を取得するために利用される。例えば、CCDカメラ等が利用されてもよい。カメラ204は、例えば、患者の頭の向きに応じた外界像が撮影されるように、患者の頭部に取り付けられることが好ましい。
処理装置202は、演算処理・制御処理を行う、プロセッサを有する。処理装置202は、カメラ204で取得される外界像(画像)を処理して、体内装置10に送信する制御信号を生成する。生成された制御信号は、送信部206へ出力される。制御信号には、体内装置10の動作を制御するための制御情報が少なくとも含まれている。この制御情報は、本実施形態において体内装置10によって出力される刺激電流の制御に利用される。
送信部206は、処理装置202で生成される信号を、体内装置10(より詳細には給電ユニット150:図2参照)に送信するために利用される。送信部206は、電磁波として、信号に含まれる情報を体内装置10に伝送する。例えば、波長、周期、振幅、位相などの少なくとも何れかが信号に応じて変調された電磁波が、体内装置10へ非接触(例えば、コイルリンク)で送信される。送信部206は、体内に埋植された受信部151(本実施形態では給電ユニット150:図2参照)の位置付近に固定される。
本実施形態では、視覚再生補助装置の電源として、バッテリー203が体外装置20に設けられている。各部への電力は、バッテリー203から供給される。電力は、送信部206から体内装置10へ非接触で送信される。本実施形態では、体外装置20から体内装置10への電力伝送は、継続的に実行される。
<体内装置の概略構成>
図2に示すように、体内装置10には、少なくとも、電極ユニット50、給電ユニット150、および、ケーブル170が含まれる。電極ユニット50は、複数の刺激ユニット100を備えている。体内装置10は、更に、帰還電極(不図示)を有しており、帰還電極は刺激ユニット100と電気的に接続される。
電極ユニット50を構成する各刺激ユニット100は、眼組織に埋植される複数の電極105を備える。本実施形態において、刺激ユニット100は、網膜(視覚神経系の一例)の近傍に設置(埋植)され、各々の電極105から網膜に対して刺激電流を出力する(換言すれば、電気刺激を行う)。刺激電流は、帰還電極へ導かれる。このため、刺激する部位(組織)を挟むようにして、刺激ユニット100と帰還電極とは設置される。
刺激ユニット100で消費される電力及び各電極105を駆動するための制御信号は、給電ユニット150と電極ユニット50(刺激ユニット100)とを電気的に接続するケーブル170を介して、給電ユニット150から伝送される。ケーブル170は、絶縁性および生体適合性を持つ外装でカバーされる。
本実施形態では、図2に示すように、1つの給電ユニット150に対し、1つの電極ユニット50、すなわち複数の刺激ユニット100が設けられている。図2に示す例では、刺激ユニット100の数に応じて、刺激ユニット100と給電ユニット150を接続する配線の数を抑制するために、複数の刺激ユニット100の少なくとも一部の間で、配線が共有化されている。
電極ユニット50に備わる各々の刺激ユニット100には、給電ユニット150からケーブル170を介して給電される。また、本実施形態では、図3(a)に示すように、各刺激ユニット100の一面に、複数の電極105が設置される。電極数を増やすうえでボトルネックとなり得る回路(例えば、デマルチプレクサ)が、各刺激ユニット100へそれぞれ設けられることで、結果として、電極配置密度を増大でき、患者に視覚させる像を高解像度化させやすくなる。
電極ユニット50には複数の刺激ユニット100が設けられており、更に、各々の刺激ユニット100に複数の電極105が配置された装置構成では、各々の刺激ユニット100に、整流回路やデマルチプレクサ等を持つ刺激回路などを実装する必要がある。そこで、図3(b)に示すように、刺激ユニット100と同程度のサイズを持つワンチップのIC(ICチップ101)が、各刺激ユニット100に設けられている。ICチップ101には、整流回路や刺激回路等が実装されている。刺激ユニット100において、ICチップ101は、電極105の接地面と反対の面に設置される。また、ICチップ101は、ケース107によって気密封止される。
<体内装置の設置位置>
上記の体内装置10の設置位置について、図4を参照しながら説明する。電極ユニット50は、図4に示すように、網膜中心窩付近に配置される。具体的には、眼球強膜に切り込みを入れて形成した切開創(フラップ)からフレキシブル基板51が挿入され、電極105が脈絡膜に設置される。その結果、網膜に電極を直接接触させずに電気刺激が可能となる。
一方、給電ユニット150は、体外装置20に設けられた送信部206からの信号(制御信号(電気刺激パルス用データ)及び電力信号)を受信可能な生体内の所定位置に設置される。例えば、患者の側頭部の皮膚の下に受信部151を埋め込むとともに、皮膚を介して受信部151と対向する位置に送信部206を設置する。受信部151には、送信部206と同様に磁石が取り付けられているため、埋植された受信部151上に送信部206を位置させることにより、磁力によって送信部206と受信部151とが引き合い、送信部206が側頭部に保持されることとなる。
なお、ケーブル170は、側頭部に埋め込まれた受信部151から側頭部に沿って皮膚下を患者眼に向かって延び、患者の上まぶたの内側を通して眼窩に入れられる。眼窩に入れられたケーブル170は、強膜の外側を通り、電極ユニット50に接続される。
<体内装置の詳細>
本実施形態では、給電ユニット150が、各電極105の制御情報を電流に重畳して制御信号を生成し、電極ユニット50へ出力する。なお、各刺激ユニット100には、給電ユニット150から制御信号とは別に電力が供給される。これにより、電極ユニット50の各刺激ユニット100は、給電ユニット150からの制御信号に基づいて制御される。
<給電ユニットの構成>
図2及び図5に示すように、本実施形態の給電ユニット150は、受信部151と、信号生成回路160を少なくとも有する。本実施形態では、配線が複数の刺激ユニット100で共通化されており、各ユニットに対して常時給電が行われる。また、制御情報については、共通化された配線によって全刺激ユニット100へ並列的に入力される。この場合、例えば、刺激ユニット100毎に予め定められた識別コードと対応付けられたコマンドのみを処理するように各々の刺激ユニット100が設定されており、これにより、各刺激ユニット100が独立に制御されてもよい。
受信部151は、コイルリンクで体外装置20から送信された電力および制御情報を取得する。給電ユニット150は図示無き整流回路を有していてもよく、体内装置10が受信した電力は、一旦、直流電力に変換される。
信号生成回路160は、定電流回路161と、スイッチ素子162と、電流-電圧変換回路163とを有し、各電極105を駆動させるための制御信号を生成するとともに、各刺激ユニット100からの確認信号を受信する。制御信号及び確認信号は、正負の値変化で情報伝達し、絶対値が同じ正と負の値の発生頻度が同じであるバイフェージックな信号である。本実施形態では、例えば、正負の発生頻度を同じにするために、図6に示すように、負から正にする場合に「1」、正から負にする場合に「0」を割り当てる(あるいは、その逆パターン)マンチェスター符号によって符号化されている。これにより、制御信号及び確認信号は、直流成分がゼロとなるので、仮にケーブル170が生体にリークしたとしても、安全性が保たれている。なお、信号生成回路160で生成される制御信号には、各刺激ユニット100における電極105の刺激動作を制御するための電極指定などの情報などが含まれている。また、確認信号は、各電極105が制御信号を受信した旨の返信信号である。
定電流回路161は、電圧にかかわらず、一定値の電流を流す回路であり、各電極105に対する制御信号を生成し、ケーブル170を介して、その電流によって制御信号を電極ユニット50に伝送する。この定電流回路161は、スイッチ素子162により、ケーブル170の配線(通信線)171に対して接続、又は非接続にされる。すなわち、定電流回路161は、制御信号を電極ユニット50へ伝送する場合にケーブル170に接続され、電極ユニット50からの確認信号を受信する場合にケーブル170に接続されなくなる。なお、スイッチ素子162は、図示なき論理回路によって、ON/OFFが適宜切り替わる。論理回路には、コマンドの送受信時に信号が流れ、スイッチ素子162が適宜ON/OFFされる。スイッチ素子162としては、いろんな実現方法があり、例えば単純に図中のスイッチを、アナログスイッチに置き換えて構成することができる。あるいは、電流源側と接続するスイッチを電流源のON/OFFスイッチと共用して、オペアンプの側だけにON/OFFスイッチを設けることでも実現することができる。
電流-電圧変換回路163は、オペアンプ164と、抵抗165とを有し、入力される電流信号を電圧信号に変換して出力する。オペアンプ164の入力は、配線171,172に接続されている。より詳細には、オペアンプ164の反転入力(-)に配線171が接続され、非反転入力(+)に配線172が接続されている。一方、オペアンプ164からの出力は、最終的に体外装置20の処理装置202へ伝送される。そして、オペアンプ164の反転入力(-)と出力に抵抗165が接続されている。これにより、オペアンプ164の非反転入力(+)と反転入力(-)とは、電位差の無い状態(イマジナリショート)になっている。そして、電流-電圧変換回路163では、スイッチ素子162により、定電流回路161がケーブル170の配線171に対して非接続にされているときに、配線171がオペアンプ164の反転入力(-)に接続される。
<電極ユニット(刺激ユニット)の構成>
図2及び図5に示すように、本実施形態の電極ユニット50は、複数の刺激ユニット100で構成されており、百以上の電極105を備えている。この電極ユニット50では、シリコーンやパレリン等の生体適合性の良い材料で構成されたシート状のフレキシブル基板51に、複数の刺激ユニット100が一定の間隔で配置されている。本実施形態のフレキシブル基板51は、厚さが0.1mm程度でφ20mm程度の直径を有する円板状をなすものである。また、刺激ユニット100は、1mm程度の大きさである。そして、電極ユニット50における各刺激ユニット100は電気的に接続されている。なお、本実施形態では電極ユニット50における刺激ユニット100同士の配置間隔は、一定にするものとしているが、これに限るものではない。電極ユニット50において、ある部分では刺激ユニット100の間隔が密であり、また他の部分では疎であるように眼球上の配置場所等に応じて所定の間隔に配置することもできる。
電極ユニット50を構成する各刺激ユニット100には、ICチップ101が設置されており、該ICチップ101に各種の回路が実装されている。ICチップ101は、例えば、CMOSチップであってもよい。
また、電極ユニット50は、定電流回路61と、スイッチ素子62と、電流-電圧変換回路63とを有し、給電ユニット150からの制御信号を受信するとともに、その制御信号に対する各刺激ユニット100からの確認信号を生成する。定電流回路61は、電圧にかかわらず、一定値の電流を流す回路であり、確認信号を生成し、ケーブル170を介して、その電流によって確認信号を給電ユニット150に伝送する。この定電流回路61は、スイッチ素子62により、ケーブル170の配線(通信線)171に対して接続/非接続にされる。すなわち、定電流回路61は、確認信号を給電ユニット150へ伝送する場合にケーブル170に接続され、給電ユニット150からの制御信号を受信する場合にケーブル170に接続されなくなる。なお、スイッチ素子62は、図示なき論理回路によって、ON/OFFが適宜切り替わる。論理回路には、コマンドの送受信時に信号が流れ、スイッチ素子62が適宜ON/OFFされる。スイッチ素子62としては、いろんな実現方法があり、例えば単純に図中のスイッチを、アナログスイッチに置き換えて構成することができる。あるいは、電流源側と接続するスイッチを電流源のON/OFFスイッチと共用して、オペアンプ側だけにON/OFFスイッチを設けることでも実現することができる。
電流-電圧変換回路63は、オペアンプ64と、抵抗65とを有し、入力される電流信号を電圧信号に変換して出力する。オペアンプ64の入力は、配線171,172に接続されている。より詳細には、オペアンプ64の反転入力(-)に配線171が接続され、非反転入力(+)に配線172が接続されている。一方、オペアンプ64の出力は、各刺激ユニット100に接続されている。そして、オペアンプ64の反転入力(-)と出力に抵抗65が接続されている。これにより、オペアンプ64の非反転入力(+)と反転入力(-)とは、電位差の無い状態(イマジナリショート)になっている。そして、電流-電圧変換回路63では、スイッチ素子62により、定電流回路61がケーブル170の配線171に対して非接続にされているときに、配線171がオペアンプ64の反転入力(-)に接続される。
このような電極ユニット50において、各々の刺激ユニット100内では、制御信号に基づき刺激ユニット100に設けられた各電極105から順次、刺激電流が出力される。このとき、制御信号は各々の刺激ユニット100に対してパラレルに伝送されるため、互いに異なる刺激ユニット100に設けられた電極105において同じタイミングで刺激電流を出力させることが可能となる。このような制御により、電極ユニット50に備わる百以上の多数の電極105から十分なフレームレートで刺激電流を出力することができる。
<ケーブルの構成>
そして、これら給電ユニット150と電極ユニット50とは、ケーブル170を介して電気的に接続されている。ケーブル170は、生体適合性の良い貴金属、例えば、白金、白金イリジウム、ステンレス、チタン等による複数の導線(ワイヤー)が、生体適合性の良い絶縁性の樹脂、例えば、シリコーン、パリレン等で形成されたチューブによって一つに束ねられることで形成されている。なお、これらの導線には、制御信号(電気刺激パルス信号)を伝送するための導線、交流電圧を伝送するための導線対等が用意されている。なお、各導線自体にも上述したパリレン等の生体適合性がよく絶縁性を有する樹脂にて被膜が施されている。
このケーブル170は、オペアンプ64,164により電圧が変動しないようにされている。すなわち、配線171と配線172とが同電位になっている。そして、配線172は帰還電極に接続されているため、配線172の電位は、生体電位となっている。そのため、ケーブル170(配線171,172)の電位は、生体の電位と同電位になっている(仮想接続されている)。これにより、仮に劣化等によりケーブル170が生体にリークしたとしても、安全性が保たれる。
ここで、ケーブル170は、フレキシブルケーブルであるため、数百pF(本実施形態では、例えば100pF程度)の寄生容量を持っている。そのため、従来のように、給電ユニットから電圧によって信号を送受信すると、ケーブル170に電位が生じる(配線171の電位が配線172の電位(生体電位)に対して変化する)ので、寄生容量を充放電してしまう。
例えば、総電極数が1500(1つのデマルチプレクサに電極6個、デマルチプレクサ250個)である場合を考える。まず、制御信号には、デマルチプレクサの選択に8bit、電極の選択に3bitが必要となる。一方、確認信号には、全デマルチプレクサからの確認信号を順次受信するために250bitが最低でも必要となる。従って、1つの電極を正確に刺激するためには、300bit程度は必要となる。
そして、例えば20Hzのフレームレートで電極を駆動させるためにバイフェージックな信号を用いると、その信号伝送速度は、
1/((1/20Hz=50ms)/(1500電極)/(300bit)/(2値))=18Mbaud
となる。この伝送速度で、例えば100pFの寄生容量を持つケーブルを介して電圧振幅1Vで信号を送信すると、
1V×100pF×18Mbaud=1.8mA
の電流を充放電で消費してしまう。そのため、給電ユニット150では、電圧信号を伝送するには、この充放電に使用される電力量よりも大きな電力が必要となるので、給電ユニット150の発熱量が大きくなって人体に悪影響を与えるおそれがあった。
そこで、本実施形態では、給電ユニット150の発熱を抑制するために、ケーブル170を介して給電ユニット150と電極ユニット50との間で送受信される信号を、電流によって伝送している。つまり、配線171の電位は生体電位(配線172の電位)のままとし、配線171に流れる電流量の強弱と極性を変化させることにより信号伝達している。このとき、上記した伝送速度で信号を送受信するために必要な電流(配線171に流れる電流)は、数10μA程度で十分である。
なぜなら、18Mbaudの制御信号を電流-電圧変換できる帯域が必要となるので、帰還回路の帰還抵抗Rfb(抵抗65,165)とオペアンプ64,164の入力端子容量Cinで構成されてしまうローパスフィルタのカットオフ周波数を、例えば25MHzにするために、Cin=1pFとすると、25MHz = 1/(2πCinRfb) であるから、帰還抵抗Rfbは、
Rfb = 6.4kΩ
となる。そして、電流-電圧変換の出力電圧として、デジタル信号に変換するために、例えば0.3V0-pの振幅が必要だとすると、信号の送受信に必要となる電流量は、
0.3V/ 6.4kΩ = 47μA
となるからである。
また、ケーブル170の電位が変化しないようにされているため、寄生容量を充放電しにくくなっている。従って、給電ユニット150では、百以上の電極を駆動する場合であっても、ケーブル170での電力損失が生じないため、信号の送受信のために必要な電力を小さくすることができるので、給電ユニット150の発熱を抑制することができる。
また、本実施形態では、給電ユニット150と電極ユニット50との間で送受信される信号を、バイフェージックな信号(マンチェスター符号)としているため、直流成分がゼロとなる。さらに、ケーブル170の電位が、生体の電位と同電位になっている。そのため、仮に劣化等によりケーブル170が生体にリークしたとしても、安全性が保たれる。
以上、説明したように、本実施形態の視覚再生補助装置では、給電ユニット150と電極ユニット50との間で送受信される信号を、電圧が変化しないようにされたケーブル170を介して、電流によって伝送している。そのため、信号の送受信時に、ケーブル170の寄生容量が充放電されにくい。従って、百以上の電極105を設けても、給電ユニット150における制御信号の伝送に必要な電力量を小さくすることができるため、給電ユニット150での発熱を抑制することができる。
なお、上記した実施形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記の実施形態では、網膜刺激型の視覚再生補助装置を例示したが、本開示は網膜刺激型の他、脳刺激型や視神経刺激型等の視覚再生補助装置にも適用することができる。
また、上記の実施形態では、給電ユニット150と電極ユニット50との間で送受信される信号(バイフェージックな信号)の一例として、マンチェスター符号(「0」と「1」の2値)を例示したが、送受信する信号はこれに限られず、例えば、図7に示すように、多値(例えば「0」と「1」と「2」と「3」)符号を使用することもできる。
10 体内装置
20 体外装置
50 電極ユニット
61 定電流回路
63 電流-電圧変換回路
100 刺激ユニット
105 電極
150 給電ユニット
160 信号生成回路
161 定電流回路
163 電流-電圧変換回路
170 ケーブル

Claims (4)

  1. 患者の視覚を再生する視覚再生補助装置において、
    刺激パルス信号を出力する複数の電極を備える刺激ユニットと、
    前記刺激ユニットが複数設けられて百以上の電極を備える電極ユニットと、
    前記電極ユニットとの間で、前記電極を駆動するための制御信号の送信と前記刺激ユニットからの確認信号の受信とを行う給電ユニットと、
    前記給電ユニットと前記電極ユニットとを電気的に接続し、前記制御信号及び前記確認信号を伝送するケーブルと、を有し、
    前記給電ユニットと前記電極ユニットは、前記ケーブルを介して、電流によって前記制御信号及び前記確認信号を送受信する
    ことを特徴とする視覚再生補助装置。
  2. 請求項1に記載する視覚再生補助装置において、
    前記給電ユニットは、前記制御信号を送信する定電流回路と、前記確認信号を受信する電流-電圧変換回路とを有し、
    前記電極ユニットは、前記確認信号を送信する定電流回路と、前記制御信号を受信する電流-電圧変換回路とを有する
    ことを特徴とする視覚再生補助装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する視覚再生補助装置において、
    前記制御信号及び前記確認信号は、正負の値変化で情報伝達し、絶対値が同じ正と負の値の発生頻度が同じであるバイフェージックな信号である
    ことを特徴とする視覚再生補助装置。
  4. 請求項1から請求項3に記載するいずれか1つの視覚再生補助装置において、
    前記ケーブルの電位は、生体の電位に仮想接続されている
    ことを特徴とする視覚再生補助装置。
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