JP7301793B2 - スクロールチャック及びその爪体 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロールチャック、特には、スクロールチャックに備わる爪体に関する。
従来、旋盤、研磨機等の主軸端に設けられ、被工作物(以下、ワーク)を把持するチャック部分において、チャック動作を手動で行うタイプのものには、スクロールチャックが広く使用されている(例えば、特許文献1の第1図参照)。また、旋盤、フライス盤、ボール盤等の工作機械に付帯される割出装置(ワークの回動角度を割り出す装置)においても、そのチャック部分にはスクロールチャックが広く使用されている(例えば、特許文献2)。
従来のスクロールチャックは、円柱状のチャック本体と、該チャック本体に組み込まれ、ワークを把持する複数(例えば1組が2~4体、通常3体)の略直方体状の爪体とで構成される(図7参照)。
ここで、チャック本体は、工作機械の主軸軸線或いはその延長線と垂直な面上に形成されたスクロール溝(所謂、渦巻ねじ)を有する回転盤(図9参照)と、チャック本体の周方向に等間隔で、回転盤の径方向に延在し、爪体が爪体の長手方向(以下、単に「長手方向」、回転盤の径方向に相当)に摺動自在に挿嵌される複数(爪体の組込数と同数)の案内溝(蟻溝状の溝:図7及び図10参照)とを有する。
また、爪体は、図8に示すように、ワークを把持する部分である把持部と、両側面に形成され、チャック本体(詳細には、案内溝の軌道部)に対して、長手方向をチャック本体及び回転盤の径方向(以下、径方向)に一致させつつ摺動自在に挿嵌される部分である嵌合部と、長手方向に間隔を空けて爪体の底面に突設され、スクロール溝と螺合可能な複数の歯部とを有する。
複数の爪体は、図7及び図10に示すように、チャック本体に組み込まれた状態では、嵌合部が軌道部(案内溝)に挿嵌されつつ、歯部がスクロール溝と螺合した状態になっている(図9参照)。そのため、複数の爪体は、周方向にがたつきの無い状態で、その長手方向を径方向に一致させた態様で、径方向に摺動可能に保持されている。
そして、上記スクロールチャックを使用したチャック動作、即ち、複数の爪体にてワークを把持する際には、例えば手動で(かさ歯車機構を介して)、スクロール溝(渦巻ねじ)を有する回転盤を回転駆動させることにより、複数の爪体が、スクロール溝(渦巻ねじ)と螺合する歯部を介して径方向に推力を受けて径方向に同時摺動され、且つ同心円状に移動されることで、ワークを把持できるようになっている。
ここで、複数の歯部の構成は、次に示すチャック動作に係る要件(1)(2)に留意して、歯部とスクロール溝との螺合関係を検討し、歯部を構成することが重要である。(1)複数の爪体がワークを強固に把持しつつ、その状態を保持すること。(2)チャック動作の向きを変える際(例えばワークを掴んだ状態を解除する際)の、爪体の移動動作の応答性を確保すること(回転盤の正逆反転時の遊びを極力少なくすること)。
そのため、従来より、歯部とスクロール溝との関係においては、(i)長手方向に関する複数の歯部の配列ピッチは、径方向に関するスクロール溝の配列ピッチと同一とする。この構成は、上記要件(1)及び(2)の確保に寄与される。上記互いの配列ピッチが同一であれば、爪体の長手方向に関する、歯部とスクロール溝の溝との間には、歯部とスクロール溝とが相対的に周方向に摺動するうえで不可欠な摺動隙間(例えば0.1~0.2mm程度)を除き、殆ど遊びがない状態に保たれる。(ii)歯部においては、十分な曲げ剛性(堅牢性)を確保し、長手方向に関するせん断荷重に抗し得るよう、安全をみて、歯部の断面積(爪体の長手方向と平行な面に沿った断面における歯部の面積)の最大化が図られ、(ii-1)歯部における長手方向双方の端面が、スクロール溝の側面の形状に近似した形状の円弧面(要は、上記断面における歯部の形状が扇状)に形成される構成(図9参照)、及び、(ii-2)1つの爪体に対し、歯部を爪体の長手方向に間隔を空けて複数設ける構成が、内爪、外爪の種別に関係なく一様に採られてきた。なお、この構成は、上記要件(1)の確保に寄与される。
なお、スクロール溝が渦巻ねじであることに起因し、スクロール溝の連続する各円弧部分の中心位置と回転盤の回転中心位置とは微妙にずれている。そのため、上記歯部の形状(扇状)は、爪体の幅方向(長手方向と直交する方向)に対し若干(例えば1~2°)傾斜した態様を呈する(図9参照)。
ところで、スクロールチャックに使用される爪体は、ワークを強固に保持できるよう、ワークに対する把持部の構成(把持面の径や向き)の違いから、図8に示すように、内爪と外爪とに大別され、どちらか1組(複数個)の爪体がチャック本体に組み込まれる。
把持部の構成が内爪の場合、図8(a)に示すように、棒状のワークをつかむため、ワーク把持面が、径方向内側の端面に形成されている。また、パイプ状のワークの内周部分をつかむため、把持径の異なる複数のワーク把持面が、径方向外側の端面に形成されている。
一方、把持部の構成が外爪の場合、図8(b)に示すように、フランジなど円盤状のワークをつかむため、把持径の異なる複数のワーク把持面が、径方向内側の端面に形成されている。
また、爪体は、単体で形成され、内爪と外爪とが完全に別々になっている、一体爪タイプ(例えば、特許文献2の実施形態、符号3)と、ワークをより強固に保持できるよう、例えば、歯部と嵌合部とを有する裏面側の部分(下爪)と、把持部を有する表面側の部分(上爪)とが分割された分割爪タイプ(例えば、特許文献1の実施形態)とに大別される。
実開昭51-117287号公報 実開昭55-138038号公報
ここで、一体爪タイプの爪体がチャック本体に付いている場合、例えば、ワークの把持する部分の直径が変わる場合に対応して、内爪と外爪とをチャック本体に組み替える必要が生じる。この際(例えば、ワークの被把持部分を軸部からフランジ部に変更する場合に、現在使用中の内爪を外し、現在別個に保管中の外爪を組み込み使用する際)には、爪体が分割爪タイプの場合と異なり、爪体全体が単体で、且つ、内爪と外爪とが別々となっているため、当然ながら、1組分(例えば3体1組)全ての内爪と外爪とをチャック本体に組み替える必要がある。
この場合、内爪、外爪のどちらか一方の、使用せずに保管中の爪体に関し、以下の欠点を有しており、総じて、「爪体の管理や準備(交換の段取り)に手間がかかる」という問題を抱えていた。具体的には、使用せずに保管中の爪体に関し、爪体は紛失しやすく、爪体の管理(例えば、防錆剤の塗布)に手間がかかり、経済的に不利となる、欠点をもっている。また、通常、爪体にメッキ等の表面(硬化)処理は施されておらず、交換の頻度、保管状況(期間、保管場所の環境や、防錆剤の塗布有無)や、材質及び熱処理の種別によっては、嵌合面の表面に錆が発生し、そのまま爪体をチャック本体の嵌め合い部分(案内溝の軌道面)に挿入できなくなる、欠点をもっている。この場合、嵌合面の表面の錆をサンドペーパ等で削り落す必要があり、錆の程度によっては、爪体の準備(交換の段取り)に多大な手間がかかる場合がある。
そこで、本発明の目的は、単体で形成されている爪体を使用する場合に、爪体の管理や準備に手間がかかる問題を解消できるスクロールチャックを提供することである。
上記課題を解決するための発明の1つは、
渦巻ねじであるスクロール溝を有する回転盤を内設したチャック本体と、
前記回転盤の回転動作に伴い、前記スクロール溝と螺合し、被加工物に向かって螺進可能に構成された、複数の爪体と、を備えた、スクロールチャックであって、
前記爪体は、
被加工物を把持する把持部と、
前記爪体の両側面に形成され、前記爪体の長手方向が前記回転盤の径方向に沿うように摺動自在に前記チャック本体に挿嵌される部分である嵌合部と、
前記爪体の底面に、前記長手方向に間隔を空けて突設され、前記スクロール溝と螺合可能な複数の歯部と、を有し、
前記嵌合部、前記複数の歯部、及び、前記把持部を含む全体が単体で形成されており、
前記長手方向に関する前記複数の歯部の配列ピッチは、前記径方向に関する前記スクロール溝の配列ピッチと同一であり、
前記歯部における径外方向側の端面は、前記スクロール溝の径外方向側の側面の曲率に近似した円弧面に形成され、前記歯部における径外方向側の端面の曲率の向きと前記歯部における径内方向側の端面の曲率の向きとは、互いに逆になっていることを特徴としている。
上記構成によれば、爪体について、長手方向における向きを逆にして、チャック本体に挿し替えるだけで、従来は完全に別々になっていた一体爪タイプの内爪と外爪(合計2組)を、兼用(内外兼用一体爪1組)にすることができ、別個に保管分からの組み替えを不要とすることができる。
また、歯部とスクロール溝の配列ピッチを同一とし、且つ、可能な限り歯部の幅方向の断面積の最大化が図られ、十分な曲げ剛性(堅牢性)を確保することができる。
このため、複数の爪体が被加工物を強固に把持しつつ、その状態を保持することができ、複数の爪体の移動動作の向きを変える際(例えば被加工物を掴んだ状態を解除する際)の、爪体の移動動作の応答性を確保することができる。
また、本発明の1つは、
渦巻ねじであるスクロール溝を有する回転盤を内設したチャック本体と、
前記回転盤の回転動作に伴い、前記スクロール溝と螺合し、被加工物に向かって螺進可能に構成された、複数の爪体と、を備えた、スクロールチャックであって、
前記爪体は、
被加工物を把持する把持部と、
前記爪体の両側面に形成され、前記爪体の長手方向が前記回転盤の径方向に沿うように摺動自在に前記チャック本体に挿嵌される部分である嵌合部と、
前記爪体の底面に、前記長手方向に間隔を空けて突設され、前記スクロール溝と螺合可能な複数の歯部と、を有し、
前記嵌合部、前記複数の歯部、及び、前記把持部を含む全体が単体で形成されており、
前記長手方向に関する前記複数の歯部の配列ピッチは、前記径方向に関する前記スクロール溝の配列ピッチと同一であり、
前記歯部における径外方向側の端面は、前記スクロール溝の径外方向側の側面の曲率に近似した円弧面に形成され、前記歯部における径内方向側の端面は、前記歯部における径外方向側の端面に対して、底面視で点対称になるように形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、爪体について、長手方向における向きを逆にして、チャック本体に挿し替えるだけで、従来は完全に別々になっていた一体爪タイプの内爪と外爪(合計2組)を、兼用(内外兼用一体爪1組)にすることができ、別個に保管分からの組み替えを不要とすることができる。
また、歯部とスクロール溝の配列ピッチを同一とし、且つ、可能な限り歯部の幅方向の断面積の最大化が図られ、十分な曲げ剛性(堅牢性)を確保することができる。
このため、複数の爪体が被加工物を強固に把持しつつ、その状態を保持することができ、複数の爪体の移動動作の向きを変える際(例えば被加工物を掴んだ状態を解除する際)の、爪体の移動動作の応答性を確保することができる。
また、本発明の1つは、上記スクロールチャックの前記爪体において、当該爪体の径外方向側の端面と最も径外方向に突設された前記歯部との間の第1距離と、当該爪体の径内方向側の端面と最も径内方向に突設された前記歯部との間の第2距離とが同じであることを特徴としている。
上記構成によれば、爪体について、長手方向における向きを逆にして、チャック本体に挿し替えても(つまり、内爪時、外爪時で兼用の「内外一体爪」として用いても)、(1)内爪時、外爪時で、把持可能な、被加工物の径(例えば被加工物の最小径)、及び、(2)長手方向における複数の歯部とスクロール溝との螺合長さ(堅牢性に関係)を同じにすることができる。上記第1距離と第2距離とが一致しない構成で内外一体爪とした場合は、内爪時、外爪時で、上記(1)(2)を同じにすることができない。
したがって、本構成によれば、爪体の管理に手間がかかる問題をさらに解消することができる。
また、本発明の1つは、渦巻ねじであるスクロール溝を有する回転盤を内設したチャック本体を有するスクロールチャックにおいて、前記回転盤の回転動作に伴い、前記スクロール溝と螺合し、被加工物に向かって螺進可能に構成された、爪体であって、
前記爪体は、
被加工物を把持する把持部と、
前記爪体の両側面に形成され、前記爪体の長手方向が前記回転盤の径方向に沿うように摺動自在に前記チャック本体に挿嵌される部分である嵌合部と、
前記爪体の底面に、前記長手方向に間隔を空けて突設され、前記スクロール溝と螺合可能な複数の歯部と、を有し、
前記嵌合部、前記複数の歯部、及び、前記把持部を含む全体が単体で形成されており、
前記長手方向に関する前記複数の歯部の配列ピッチは、前記径方向に関する前記スクロール溝の配列ピッチと同一であり、
前記歯部における径外方向側の端面は、前記スクロール溝の径外方向側の側面の曲率に近似した円弧面に形成され、前記歯部における径内方向側の端面は、前記歯部における径外方向側の端面に対して、底面視で点対称になるように形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、爪体について、長手方向における向きを逆にして、チャック本体に挿し替えるだけで、従来は完全に別々になっていた一体爪タイプの内爪と外爪(合計2組)を、兼用(内外兼用一体爪1組)にすることができ、別個に保管分からの組み替えを不要とすることができる。
また、歯部とスクロール溝の配列ピッチを同一とし、且つ、可能な限り歯部の幅方向の断面積の最大化が図られ、十分な曲げ剛性(堅牢性)を確保することができる。
このため、複数の爪体が被加工物を強固に把持しつつ、その状態を保持することができ、複数の爪体の移動動作の向きを変える際(例えば被加工物を掴んだ状態を解除する際)の、爪体の移動動作の応答性を確保することができる。
本実施形態(実施例)のスクロールチャックの正面図である。 本実施形態(実施例)のスクロールチャックに備わる爪体の説明図:(a)3面図(内爪時)、(b)3面図(外爪時)及び図2(b)のa-a線断面図 本実施形態(実施例)の爪体(内外兼用一体爪)をスクロールチャックに組み込み、5つの歯部とスクロール溝とが螺合した状態を示す、底面視一部切欠き断面図(図4のB-B線断面図)である。 本実施形態(実施例)のスクロールチャックの説明図:割出装置全体の断面図(図1のA-A線断面図) 本実施形態(実施例)のスクロールチャックの説明図:図4のスクロールチャック部分、爪体挿入初期状態を示す説明図 本実施形態(実施例)の爪体の歯部の詳細図である。 従来(比較例)のスクロールチャックの正面図である。 従来(比較例)のスクロールチャックに備わる爪体の説明図:(a)3面図(内爪)、(b)3面図(外爪)及び図8(b)のa-a線断面図 従来(比較例)の爪体をスクロールチャックに組み込み、5つの歯部とスクロール溝とが螺合した状態を示す、底面視一部切欠き断面図である。 図5のC-C線断面図:(a)嵌合部(爪体)(b)軌道部(チャック本体の案内溝)(c)嵌合部と軌道部との嵌合状態
(実施形態:スクロールチャック1)
以下、図面を参照しつつ、本願発明の実施形態を説明する。本実施形態のスクロールチャック1は、図1~図5に示すように、円柱状のチャック本体2と、チャック本体2に組み込まれ、ワーク(被加工物)を把持する3体の略直方体状の爪体3A、3B、3Cとを備えた構成をしている。
(チャック本体2)
チャック本体2は、工作機械の主軸A或いはその延長線と垂直な面上に形成された、渦巻ねじであるスクロール溝21を有する回転盤22を内設している(図3参照)。また、チャック本体2は、チャック本体2の周方向に等間隔で回転盤22の径方向に延在し、爪体3A、3B、3Cが、爪体3A、3B、3Cの長手方向(以下、単に「長手方向」、回転盤22の径方向に相当)に摺動自在に挿嵌される、3つの案内溝23A、23B、23C(蟻溝状の溝)を有している。
回転盤22は、外部から差し込まれたハンドルによって、かさ歯車24を回転させることにより、回転可能にされている(図5参照)。スクロール溝21は、図3に示すように、径方向から見たときに、その渦巻き状の溝と溝との間の配列ピッチSPが、同一である。
案内溝23Aは、図10(b)に示すように、その両側面部分に凹状に形成された軌道部26が形成されている。この軌道部26には、後述する、爪体3Aに形成された凸状の嵌合部32が挿嵌される。なお、案内溝23B、23Cについても、案内溝23Aと同様の構成である。
(爪体3A、3B、3C)
爪体3Aは、図2(a)に示すように、ワークを把持する部分である把持部31と、両側面部分において凸状に形成され、チャック本体2の案内溝23Aの軌道部26に対して、長手方向をチャック本体2及び回転盤22の径方向に一致させつつ摺動自在に挿嵌される、嵌合部32と、爪体3Aの底面に、長手方向に間隔を空けて突設され、回転盤22のスクロール溝21と螺合可能な5つの歯部33とを有する。即ち、爪体3Aは、把持部31、嵌合部32、及び、歯部33を含む全体が単体で形成された一体型として構成されている。
(把持部31)
把持部31は、図2(a)に示すように、4つの把持面31A、31B、31C、31Dを有している。なお、把持面31Aは、底面視、径外方向側に突き出た三角形状をしている。また、把持面31Dも、底面視、径内方向側に突き出た三角形状をしている。
図2(a)に示すように、把持面31Dを、主軸A側にして、チャック本体2に組み込む場合(内爪として使用した場合)、把持面31Dは、径方向内側を向いており(主軸A側に対向している)、棒状のワークをつかむ役割(接触する)を果たす。また、把持径がそれぞれ異なった、3つの把持面31B、31C、31Dは、径方向外側を向いており、パイプ状のワークの内周部分をつかむ役割を果たす。
ここで、本実施形態の爪体3A、3B、3Cは、内爪だけでなく、外爪としても使用可能である。図2(b)に示すように、把持面31Aを、主軸A側にして、チャック本体2に組み込む場合(外爪として使用した場合)、把持径がそれぞれ異なった、3つの把持面31B、31C、31Dは、径方向内側を向いており(主軸A側に対向している)、フランジなど円盤状のワークをつかむ役割を果たす。また、把持面31Dは、径方向外側を向いており、パイプ状のワークの内周部分をつかむ役割を果たす。
(嵌合部32)
嵌合部32は、爪体3Aの両側面部分に、長手方向に沿って凸状に形成されており、前述した、案内溝23Aの両側面部分に形成された、凹状の軌道部26に挿嵌される。チャック本体2の案内溝23Aの軌道部26と爪体3Aの嵌合部32は、凹凸嵌合によるタイトな嵌め合いになっている(図10(c)参照)。特に、軌道部26内の軌道面26A(図10(b)参照)、及び、爪体3Aの嵌合面32A(図10(a))は、それぞれ、基準寸法(例えば23mm)に対し、僅かな嵌め合い公差(例えば、軌道面26Aの内幅Wiが+0.05mm以内、嵌合面32Aの外幅Woが-0.05mm以内)を設けて加工された部分であり、通常、この軌道面26Aと嵌合面32Aとが最もタイトな嵌め合い部分になるように構成される。
(歯部33)
5つの歯部33は、長手方向に突設された歯部33と歯部33との間の配列ピッチTPが、スクロール溝21の配列ピッチSPと同一である。また、歯部33の長手方向の最大長さは、スクロール溝21の溝幅よりも若干短く構成されている。このため、歯部33とスクロール溝21との間は、歯部33とスクロール溝21とが相対的に周方向に摺動するうえで不可欠な摺動隙間(例えば0.1~0.2mm程度)を除き、殆ど遊びがない状態に保たれている(図3参照)。
本実施形態では、歯部33は、図6に示すように、底面視、太鼓状をしている。
ここで、スクロール溝21が渦巻ねじであることに起因し、スクロール溝21において、径方向に連続する各側面21Aの中心位置と回転盤22の回転中心位置とは微妙にずれている(側面21Aに対向する、側面21Bも同様)。そのため、歯部33の端面33Aの円弧形状は、爪体3Aの幅方向(長手方向と直交する方向)に対し若干(例えば1~2°)傾斜している(図6参照)。そのため、本実施形態では、歯部33の、端面33Aと端面33Bとは、爪体3Aの幅方向において、単に線対称とするのではなく、点対称の構成にしている。
即ち、歯部33の、端面33A及び端面33Bに着目した場合、歯部33の、径外方向側の端面33Aは、スクロール溝21の径外方向側の側面21Aの曲率に近似した円弧面に形成され、歯部33の、径内方向側の端面33Bは、端面33Aに対して、図6に示す底面視で、点対称になるように形成されている。
なお、歯部33の、径外方向側の端面33Aは、スクロール溝21の径外方向側の側面21Aの曲率に近似した円弧面に形成され、歯部33の、径外方向側の端面33Aの曲率の向きと歯部33の、径内方向側の端面33Bの曲率の向きとは、互いに逆になっていればよい(図6参照)。従って、歯部33の、端面33Aの曲率と端面33Bの曲率とは、曲率の向きが互いに逆になっている限りにおいて、曲率の大きさが互いに異なっていてもよい。
また、爪体3Aにおいて、5つの歯部33は、図2(b)に示すように、爪体3Aの径外方向側の端面(把持面31D)と最も径外方向に突設された歯部331との間の第1距離L1と、爪体3Aの径内方向側の端面(把持面31A)と最も径内方向に突設された歯部335との間の第2距離L2とが同じ距離になるように形成されている。これにより、爪体3Aの底面視の形状(歯部33を含む形状)は、点対称の形状となる。即ち、爪体3Aの歯部33を含む底面について、長手方向における向きを180度回転させた前後で同じ形状となる。
上記構成によれば、爪体3Aについて、長手方向における向きを逆(180度回転)にして、チャック本体2に組み込んでも、内爪として使用した場合の把持面31Dと、外爪として使用した場合の把持面31Aとで、把持可能な、ワークの径、及び、長手方向における5つの歯部33とスクロール溝21との螺合長さ(堅牢性に関係)を同じにすることができる。即ち、第1距離L1と第2距離L2とが一致しない構成で内外一体爪とした場合は、内爪として使用した場合の把持面31Dと、外爪として使用した場合の把持面31Aとで、把持可能な、ワークの径、及び、長手方向における5つの歯部33とスクロール溝21との螺合長さ(堅牢性に関係)を同じにすることができない。したがって、本構成によれば、爪体3A、3B、3Cの管理に手間がかかる問題をさらに解消することができる。
なお、爪体3B、3Cについても、爪体3Aとほぼ同様の構成であるが、爪体3A、3B、3Cが、同心円状に移動可能なように、個々の爪体3A、3B、3Cの長手方向の長さが3つの爪体3A、3B、3Cの間で少しずつ異なっていたり、個々の爪体3A、3B、3Cに対する各歯部33の割り付け位置(長手方向)が、渦巻ねじであるスクロール溝21に対する爪体3A、3B、3Cの割り付け位置(周方向)に対応して、3つの爪体3A、3B、3Cの間で少しずつ異なっていたりしている(不図示)。そのため、予め、3つの爪体3A、3B、3Cの各々が挿嵌されるべき案内溝23A、23B、23Cが定められている。具体的には、爪体3Aは案内溝23Aに挿嵌され、爪体3Bは案内溝23Bに挿嵌され、爪体3Cは案内溝23Cに挿嵌される。
上記のように、爪体3A、3B、3Cは、回転盤22の回転動作に伴い、スクロール溝21と螺合し、径内方向に配置されたワークや、径外方向に配置されたワークに向かって螺進可能に構成されている(図4、図5参照)。
(スクロールチャック1の動作)
爪体3A、3B、3Cの各把持面31Dを、主軸A側にして、チャック本体2に組み込んだ(内爪として使用)、スクロールチャック1を使用した場合、3つの爪体3A、3B、3Cによって、径内方向側に配置された、棒状のワークを把持するには、ハンドルでかさ歯車24を正回転させることによって、渦巻ねじであるスクロール溝21を有する回転盤22を正方向(図3参照)に回転駆動させる。これにより、3つの爪体3A、3B、3Cは、スクロール溝21と螺合する歯部33を介して径内方向に推力を受けて径内方向に同時摺動され、且つ、同心円状に移動されることで、棒状のワークの外周に対して、爪体3A、3B、3Cの各把持面31D(3方)から同圧力をかけて把持することができる。
一方、3つの爪体3A、3B、3Cによって、径外方向側に配置された、パイプ状のワークの内周部分を把持するには、ハンドルでかさ歯車24を逆回転させることによって、渦巻ねじであるスクロール溝21を有する回転盤22を正方向とは反対側(図3参照)に回転駆動させる。これにより、3つの爪体3A、3B、3Cは、スクロール溝21と螺合する歯部33を介して径外方向に推力を受けて径外方向に同時摺動され、且つ、同心円状に移動されることで、パイプ状のワークの内周面に対して、爪体3A、3B、3Cの各把持面31A(又は、把持面31Bや把持面31C)(3方)から同圧力をかけて把持することができる。
なお、爪体3A、3B、3Cの各把持面31Aを、主軸A側にして、チャック本体2に組み込んだ(外爪として使用)、スクロールチャック1を使用した場合も同様の動作でワークを把持することができる。
上記構成によれば、爪体3A、3B、3Cについて、長手方向における向きを逆にして、チャック本体2に挿し替えるだけで、従来は完全に別々になっていた一体爪タイプの内爪と外爪(合計2組)を、兼用(内外兼用一体爪1組)にすることができ、別個に保管分からの組み替えを不要とすることができる。
また、歯部33の配列ピッチTPとスクロール溝21の配列ピッチSPとを同一とし、且つ、可能な限り歯部33の幅方向の断面積の最大化が図られ、十分な曲げ剛性(堅牢性)を確保することができる。このため、3つの爪体3A、3B、3Cがワークを強固に把持しつつ、その状態を保持することができ、3つの爪体3A、3B、3Cの移動動作の向きを変える際(例えばワークを掴んだ状態を解除する際)の、爪体3A、3B、3Cの移動動作の応答性を確保することができる。
(その他の実施形態・変形例など)
上記実施形態では、爪体3A、3B、3Cの各嵌合部32を凸状にして、案内溝23A、23B、23Cの各軌道部26を凹状に形成しているが、逆に、爪体3A、3B、3Cの各嵌合部32を凹状にして、案内溝23A、23B、23Cの各軌道部26を凸状に形成してもよい。
また、上記実施形態では、爪体3Aの径外方向側の端面(把持面31D)と最も径外方向に突設された歯部331との間の第1距離L1と、爪体3Aの径内方向側の端面(把持面31A)と最も径内方向に突設された歯部335との間の第2距離L2とが同じ距離になるように形成されているが、第1距離L1と第2距離L2は同じ距離でなくてもよい。
また、本実施形態では、歯部33の、端面33Aと端面33Bとは、点対称としているが、爪体3Aの幅方向において、線対称の構成であってもよい(線対称は、点対称に含まれる構成であるため)。
次に、実施例に係るスクロールチャック(図1~図5参照)、及び、比較例(従来)に係るスクロールチャック(図7~図9参照)に対して、後述する項目について評価を行った。
(構成)
スクロールチャックに関して、実施例と比較例とでは、爪体以外の構成は共通としている。
(スクロールチャック)
図4に示すように、割出装置(下記実機:ワークの回動角度を割り出す装置、スクロールチャックとスクロールチャックを回動させる割出機構とを備えた装置)における、スクロールチャックを使用する。割出装置におけるスクロールチャックとしては、装置名「インデックスマーカ」、モデル名「IM-350」(イシダMFG社製)に備わる3爪スクロールチャックを使用した。
(1)チャック本体
・チャック本体は、上記実施形態で述べた構成をしており(図1、図3、図7、図9参照)、その外寸法は、直径約190mm×厚さ約75mmで、対応可能なワーク最大直径は、350mmである。
・回転盤のスクロール溝は、配列ピッチSPが8.5mm(径方向における、スクロール溝の幅は約4.4mm×数2~3、スクロール溝の溝と溝との間にできる突条部の幅は約4.1mm×数3~4)、断面形状は矩形である(図3、図9参照)。なお、スクロール溝の幅(実施例、比較例では約4.4mm)は、爪体の歯部の長さ(径方向、即ち、爪体の長手方向)(実施例、比較例では約4.2mm)に適切な摺動隙間(例えば0.1~0.2mm、実施例、比較例では基準寸法0.2mm)を加えた長さに設定されている。
・案内溝は、周方向等分3ケ所(120°間隔)、両側面の軌道部は溝幅方向に凹状に対向している(図10参照)。
・チャック動作は、外部から差し込んだハンドルによって、かさ歯車24を回転させることにより(図4参照)、回転盤を手動で正方向(ワーク把持方向)又は逆方向(ワーク把持解除方向)に回転させることに対応する(図3参照)。
(2)爪体(特には、図2、図8、図10参照)
(実施例(図2))
・内外兼用一体爪 3体1組のみ
・歯部の配列ピッチTP:8.5mm(長手方向における、歯部の長さ4.2mm、歯元部の長さ4.3mm、歯部の数は5つ)
・歯部の断面形状:立面視方向は矩形、底面視方向は太鼓状
・歯部は爪体の幅方向に対し、約1.5°傾斜
・嵌合部:両側面部分に凸状(図10参照)
・把持部:図2(a)に示すように、4つの把持面が配設されている。その他、長手方向の両端の把持面は双方とも突状(底面視三角形状)。
・挿し替え(動作):内爪時⇔外爪時の変更は、使用中の個々の爪体(内外兼用一体爪)について、長手方向における向きを変え、案内溝(チャック本体)へ挿入する向きを逆向きに挿し替えて対応する。
(比較例(図8))
・内爪、外爪(一体爪) 3体1組×2組
・歯部の配列ピッチTP:実施例と同じ
・歯部の断面形状:立面視方向は矩形、底面視方向は扇状
・歯部は爪体の幅方向に対し、約1.5°傾斜
・嵌合部:両側面部分に凸状
・把持部(汎用品の構成):図8(a)に示すように、内爪は、径内方向を向いた把持面(把持面は突状をしている(底面視三角形状))と、径外方向を向いた把持面2つを有している。図8(b)に示すように、外爪は、径内方向を向いた3つの把持面(なお、最も径内方向側に配置された把持面は突状をしている(底面視三角形状))を有している。
・組み替え(動作):内爪⇔外爪の変更は、使用中の3体1組の爪体(内爪又は外爪)を、保管中の3体1組の爪体(外爪又は内爪)に完全に組み替えて対応する。
(評価の対象)
スクロールチャックに備わる爪体(一体爪タイプ)
実施例:内外一体爪(図2) 1組(3体) 新規に製作(機械加工)したもの
比較例:内爪、外爪(図8) 2組(3体×2) 装置付属品(通常の汎用品)
実施例及び比較例のいずれも、爪体の材質はS45C、表面硬化処理(軟窒化処理)有り、使用中及び不使用時の防錆剤の塗布有りとした。防錆剤としては、水置換性防錆剤(鉱油)(日本工材社製、商品名「ラスジェット」)を用い、爪体の嵌合部(特には嵌合面)に薄引きした。
別個に保管される比較例(他方の爪体)の保管条件
保管期間は約6カ月(4~9月)、保管場所は工場屋内現場(空調設備なし)の棚に直置き(包装なし、暴露状態)、雰囲気温度・相対湿度は約20~33℃、約50%±20%内で変動していた。
(評価項目、評価方法、評価基準)
実施例、比較例の爪体に対して、現在使用中の一方の爪体(内爪又は外爪)を他方の爪体(外爪又は内爪)に交換し使用する一連のステップ(爪体の管理、爪体の準備、爪体の交換、チャック動作)に係る以下の評価項目について評価を行った。現在使用中の爪体を「一方の爪体」とする。交換され使用される方の爪体を「他方の爪体」とする。
(1)爪体の管理のし易さ(管理コスト)
評価基準
・他方の爪体が、使用中のものとは別個に保管の必要がない場合(つまり、使用中のものを他方の爪体に変換可能な場合)は、爪体の管理がし易く、管理コスト不要と判断し、評価「○」とした。
・他方の爪体が、使用中のものとは別個に保管が必要な場合は、爪体は紛失しやすく、爪体の管理(例えば、防錆剤の塗布)に手間がかかり、管理コストがかかると判断し、評価を「×」とした。
(2)爪体の準備のし易さ(準備コスト)
評価方法
・他方の爪体が、何の手を加えることなく、そのままの状態で交換され、使用される状態にあるかを確認した。具体的には、他方の爪体について、嵌合面の表面に錆が発生しているか否かを目視で確認し、次に、錆の発生有無に関係なく、嵌合面の外幅寸法をノギスで測定するとした。
評価基準
・他方の爪体に錆の発生が確認されず、嵌合面の外幅寸法(最大値)が軌道面の内幅寸法以下である場合は、そのままの状態で交換され使用される状態にあり、準備コストが不要と判断し、評価を「○」とした。
・他方の爪体に錆の発生が確認され、且つ、嵌合面の外幅寸法(最大値)が軌道面の内幅寸法を上回る場合は、そのままの状態では交換され使用される状態になく、嵌合面の表面の錆をサンドペーパ等で削り落す必要があり、爪体の準備(交換の段取り)に手間がかかり、準備コストがかかると判断し、評価を「×」とした。
(3)爪体の交換のし易さ(交換コスト)
評価方法
・現在使用中の一方の爪体を外し、他方の爪体に交換する一連の作業を通常どおりに何の問題もなく行うことが出来るかどうかを確認した。なお、他方の爪体について、嵌合面の表面に錆が発生していた場合は、嵌合面の外幅寸法(最大値)が軌道面の内幅寸法以下となる程度に、その錆をサンドペーパ等で削り落としたうえで、交換作業を行うものとした。
評価基準
・現在使用中の一方の爪体を外し、他方の爪体に交換する一連の作業を通常どおりに何の問題もなく行うことができた場合は、余計な交換コストが不要と判断し、評価を「○」とした。
・現在使用中の一方の爪体を外し、他方の爪体に交換する一連の作業を通常どおりには行えず、設計上何らかの問題を抱えていると認められる場合は、現状では余分な交換コストがかかると判断し、評価を「×」とした。
(4)チャック動作時の不具合
評価方法
・実施例及び比較例について、3通りの把持形態((i)棒状のワーク、(ii)パイプ状のワーク、及び、(iii)フランジなど円盤状のワーク)に対して、チャック動作を手動で行い、ワークを強固に把持しつつ、その状態を保持できるか、さらに、チャック動作の向きを変える際に過度な遊びがないか、を確認した。
実施例の当評価は、比較例(通常の汎用品)との比較評価とした。比較例の評価は無評価とした。実施例、比較例の爪体はいずれも新品状態(錆発生無し)のものを用いた。
なお、手動によるチャック動作は、室温(23℃±2℃)下で行い、ハンドルとして、通常はT形のレンチを用いるが、実施例、比較例で締付力を略一定にするため、トルクレンチを用いてチャック動作(ワークの把持)を行なった。この時のトルクレンチによる締付トルクは、30N・m(手応え感有り)に設定した。
ワークの把持径:(i)無垢の棒状のワークの外径は30mm、(ii)パイプ状のワークの内径は75mm、(iii)円盤状のワークのフランジ径は100mm
ワークの材質は、いずれもSS400(鉄)、被把持面は比較的平滑な切削加工面であり、表面硬化処理なし。
なお、ワークの上端部には、引抜力測定用のアイボルトを溶接止めした。
評価基準
・実施例の爪体を3通り(i~iii)の把持形態について使用した場合に、比較例の爪体を使用した場合と比べ、いずれの形態でも、ワークの把持完了時、ワークの把持完了から1時間後の保持状態において、引抜力(引張荷重計を介し、アイボルト部分をウインチで牽引)を測定し、比較例での引抜力と同等以上であった場合、且つ、チャック動作の向きを変える際に、過度な遊び(摺動隙間0.2mmを上回る遊び)が認められない場合は、チャック動作時に許容できない不具合を起こす虞はないと判断し、評価を「○」とした。
・実施例の爪体を3通り(i~iii)の把持形態について使用した場合に、比較例の爪体を使用した場合と比べ、いずれか1形態でも、ワークの把持完了時、ワークの把持完了から1時間後の保持状態において、前述の引抜力を測定し、比較例での引抜力を明らかに下回った場合、又は、チャック動作の向きを変える際に、過度な遊び(摺動隙間0.2mmを上回る遊び)が認められた場合は、チャック動作時に許容できない不具合があると判断し、評価を「×」とした。
(評価結果)
Figure 0007301793000001
評価項目「(2)爪体の準備のし易さ(準備コスト)」の結果を以下に詳細する。
・他方の爪体について、嵌合面の表面に錆が発生しているか否か。
実施例→嵌合面の表面に錆の発生は認められなかった(評価「〇」)。
比較例→嵌合面の表面に錆の発生が認められた(評価「×」)。
・嵌合面の外幅寸法(最大値)(Wo)(ノギスで測定)を軌道面の内幅寸法(Wi)(ノギスで測定)と比較(図10参照)
*測定に用いたノギスの最小目盛は0.05mmである。
*軌道面(錆無し、防錆剤付着あり)の内幅寸法(Wi)(3つの案内溝の径方向外側部分での測定結果)は、一律に23.00mmであった。
実施例→嵌合面(錆発生無し、防錆剤付着あり)の外幅寸法(Wo)は、3体とも一律に(最大値、最小値が)23.00mmであった。嵌合面の外幅寸法(Wo)は、軌道面の内幅寸法(Wi)と同じであり、そのままの状態で使用可能な状態にあった(実際にそのままの状態で爪体を案内溝に挿嵌可能であった)。
比較例→嵌合面(錆発生有り)の外幅寸法(Wo)は、3体とも最大値が23.10mm(最小値が23.05mm)であった。嵌合面の外幅寸法(Wo)は、軌道面の内幅寸法(Wi)を上回り、そのままの状態で交換され使用可能な状態になく(実際にそのままの錆びた状態の爪体は案内溝に挿入できなかったため)、嵌合面表面の錆をサンドペーパ等で削り落す必要があった。
上記評価結果より、実施例のスクロールチャックにすれば、従来は完全に別々になっていた一体爪タイプの内爪と外爪(合計2組)を、兼用(内外兼用一体爪1組)にでき、別個に保管分からの組み替えを不要にでき、その結果、単体で形成されている爪体(一体爪)を使用する場合に、爪体の管理や準備に手間がかかる従来(比較例)の問題を解消することができることがわかった。
また、詳細には、歯部とスクロール溝の配列ピッチを同一とし、且つ、可能な限り歯部の断面積の最大化が図られ、歯部において、十分な曲げ剛性(堅牢性)を確保可能に構成されているので、従来同様に、チャック動作時に許容できない不具合を起こす虞はないことが確認された。
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
1 スクロールチャック
2 チャック本体
21 スクロール溝
21A スクロール溝の径外方向側の側面
21B スクロール溝の径内方向側の側面
22 回転盤
23A、23B、23C 案内溝
3A、3B、3C 爪体
31 把持部
31A、31B、31C、31D 把持面
32 嵌合部
33 歯部
33A 歯部の径外方向側の端面
33B 歯部の径内方向側の端面
A 主軸
SP スクロール溝の配列ピッチ
TP 歯部の配列ピッチ

Claims (3)

  1. 渦巻ねじであるスクロール溝を有する回転盤を内設したチャック本体と、
    前記回転盤の回転動作に伴い、前記スクロール溝と螺合し、被加工物に向かって螺進可能に構成された、複数の爪体と、を備えた、スクロールチャックであって、
    前記爪体は、
    被加工物を把持する把持部と、
    前記爪体の両側面に形成され、前記爪体の長手方向が前記回転盤の径方向に沿うように摺動自在に前記チャック本体に挿嵌される部分である嵌合部と、
    前記爪体の底面に、前記長手方向に間隔を空けて突設され、前記スクロール溝と螺合可能な複数の歯部と、を有し、
    前記嵌合部、前記複数の歯部、及び、前記把持部を含む全体が単体で形成されており、
    前記長手方向に関する前記複数の歯部の配列ピッチは、前記径方向に関する前記スクロール溝の配列ピッチと同一であり、
    前記歯部における径外方向側の端面は、前記スクロール溝の径外方向側の側面の曲率に近似した円弧面に形成され、前記歯部における径内方向側の端面は、前記歯部における径外方向側の端面に対して、底面視で点対称になるように形成されていることを特徴とする、スクロールチャック。
  2. 前記爪体において、当該爪体の径外方向側の端面と最も径外方向に突設された前記歯部との間の第1距離と、当該爪体の径内方向側の端面と最も径内方向に突設された前記歯部との間の第2距離とが同じであることを特徴とする、請求項1に記載のスクロールチャック。
  3. 渦巻ねじであるスクロール溝を有する回転盤を内設したチャック本体を有するスクロールチャックにおいて、前記回転盤の回転動作に伴い、前記スクロール溝と螺合し、被加工物に向かって螺進可能に構成された、爪体であって、
    前記爪体は、
    被加工物を把持する把持部と、
    前記爪体の両側面に形成され、前記爪体の長手方向が前記回転盤の径方向に沿うように摺動自在に前記チャック本体に挿嵌される部分である嵌合部と、
    前記爪体の底面に、前記長手方向に間隔を空けて突設され、前記スクロール溝と螺合可能な複数の歯部と、を有し、
    前記嵌合部、前記複数の歯部、及び、前記把持部を含む全体が単体で形成されており、
    前記長手方向に関する前記複数の歯部の配列ピッチは、前記径方向に関する前記スクロール溝の配列ピッチと同一であり、
    前記歯部における径外方向側の端面は、前記スクロール溝の径外方向側の側面の曲率に近似した円弧面に形成され、前記歯部における径内方向側の端面は、前記歯部における径外方向側の端面に対して、底面視で点対称になるように形成されていることを特徴とする、スクロールチャックの爪体。
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