JP7301513B2 - スペックル低減モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、スペックルを低減するためのスペックル低減モジュールに関するものである。
偏光解消素子は、レーザプリンタなどで問題となる偏光を解消させるための光学部品として用いられたり、光学露光装置や光学測定機などの光学機器の光学系のスペックルの発生を低減させるスペックル低減モジュールとして用いられたりしている。
レーザからの光をマイクロレンズアレイやフライアイレンズを通すことによってひとつの光束を複数の光束に分割する際、分割された光は偏光方向が同一方向に揃っている。光学系の中で特定の条件が整うと、分割された光がそれぞれ干渉発生の原因となって光学系の途中で光が強めあう点(スペックル)が生じる場合がある。スペックルは、レーザ光を使用するいろいろな光学系で発生することが知られており、これを解消する方法が種々提案されているが、有効な解決策は確立されていない。
スペックルを解消する方法のひとつとして、光の偏光状態が様々になったいわゆるランダム偏光状態にすることが挙げられる。偏光が不揃いであると、指向性の低い自然光の状態に近づくために光の干渉が起こりにくいからである。
偏光解消素子として、サブ波長構造(Sub-Wavelength Structures;SWS)を備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。サブ波長構造とは、使用する光の波長よりも短い周期をもつ凹凸構造である。
光の波長より短いピッチをもつ溝の周期構造は、周期をもつ方向ともたない方向で互いに異なる有効屈折率nTE,nTMをもち、あたかも複屈折材料であるかのように振舞う(いわゆる構造複屈折構造である)。この有効屈折率の差によって各偏波方向の光の伝播速度に差ができるため、サブ波長構造を通過する光の偏光状態が変化する。サブ波長構造は、構造の設計によって複屈折やそれらの分散を自由に制御できる。サブ波長構造のこの特性を利用して、偏光板、波長板、波長分離素子など、様々な製品が展開されている。
サブ波長構造を利用した偏光解消素子としては、光を透過させる部分が複数の領域に分割され、それらの各領域に種々の光学軸方向をもったサブ波長構造が形成されているものが一般的である。サブ波長構造が形成されている各領域をサブ波長構造領域という。サブ波長構造の光学軸方向とは、サブ波長構造の溝の配列方向に直交する方向である。偏光解消素子は、各サブ波長構造領域を光が走査するように平面的に駆動される。これにより、該偏光解消素子を透過する光の偏光方向が時間によって種々の方向に変更され、それらを合成した光は種々の偏光方向をもった光となる。偏光解消素子を透過した光が種々の偏光方向をもつことにより、同じ偏光方向をもった光の干渉によるスペックルが低減される。すなわち、サブ波長構造をもつ偏光解消素子によって、光の偏光状態を時間的に変化させる偏光状態変更機能が得られる。
特開2011-180581号公報
特許文献1にも開示されているように、従来から、サブ波長構造をもつ偏光解消素子による偏光状態変更機能と、マイクロレンズアレイによる光拡散機能とを組み合わせたスペックル低減モジュールも提案されている。
ところで、スペックル値Cs(コントラスト・オブ・スペックル)は、光強度分布を測定した際に次式(1)によって求められる。
Cs=標準偏差(σ)/平均光量(I) (1)
上記の式(1)によれば、平均光量(I)が同じである場合、標準偏差(σ)、すなわち、面内における光量のバラツキが小さいほど、スペックル値Csが小さくなることがわかる。スペックル低減モジュールにマイクロレンズアレイを組み込んだ場合、マイクロレンズアレイによって光が複数の光束に分散されるため、標準偏差(σ)がある程度は低下するものの、マイクロレンズの集光機能によって極端に光量の高い点が存在するため、標準偏差(σ)の低下には限界がある。
また、マイクロレンズによって光が拡散される(拡散角度が大きくなる)ため光学系外いに広がる光が増える。このため使用可能な光の平均光量が著しく低下する。このことは見かけのスペックル値Csを低下させるが、使用できるレーザ光量が低下するため顧客の求める光量の高い商品の実現にはつながらない。
そこで、本発明は、スペックル低減効果の高いスペックル低減モジュールを提供することを目的とするものである。
本発明に係るスペックル低減モジュールは、非軸対称の3次元構造をもつ複数のレンズ素子が形成され、光を分散させて通過させる光分散機能面を有する。非軸対称の3次元構造をもつレンズ素子は、マイクロレンズのような集光機能をもたないため、面内において極端に光量の高い点が存在しなくなる。これにより、面内における光量の標準偏差(σ)が低下してスペックル値Csが小さくなる。
レンズ素子の形状としては、中心軸に対して垂直な互いに直交するX軸及びY軸を有し、前記X軸方向においては凹状に湾曲し、前記Y軸方向においては凸状に湾曲している形状(鞍型(馬の背中)形状)が挙げられる。レンズ素子をこのような鞍型形状にすることで、レンズ素子を通過した光はマイクロレンズのように1点に集光されることはなく、複数の集光点が分布することになる。これにより、面内における光量の標準偏差(σ)が低下してスペックル値Csが小さくなる。
ところで、エネルギーEをもつ光線1(位相Φ)とエネルギーEをもつ光線2(位相Φ)が重ね合わされた光波の強度Iは、次式(2)によって表される。
I=E +E +2E(cos(Φ-Φ)) (2)
ここで、上記の式(2)は2つの光成分をベクトルとして扱っており、第3項のE(cos(Φ-Φ))はEベクトルとEベクトルの内積を示している。したがって、(cos(Φ-Φ))の(Φ-Φ)は、EベクトルとEベクトルのなす角度(作る角度)である。
上記(2)式の位相差成分cos(Φ-Φ)が(不規則、不連続に)変化すれば、強度Iは時間的に平均化されるため人の眼が感じるスペックルが減少することになる。一方、重ね合わされる光線の位相差成分をほぼ90度(すなわち、EベクトルとEベクトルがほぼ直交する光に)近づけることで、スペックルの低減を大幅に図ることができる。
上記のような鞍型形状のレンズ素子は、構造高さの高低差(最も高い部分と最も低い部分との差)が大きくなるため、レンズ素子を通過する光に大きな位相差を生じさせることができる。それによってもスペックル低減効果が向上する。
本発明において、前記光分散機能面に、前記X軸の向きが互いに異なる複数の前記レンズ素子が形成されていてもよい。そうすれば、すべてのレンズ素子のX軸の向きが同じである場合に比べて、当該モジュールを通過した光の位相差成分分布がより不規則的になるので、スペックル低減効果をさらに向上させることができる。
また、前記光分散機能面に、素子面積が互いに異なる複数の前記レンズ素子が形成されていてもよい。そうすれば、すべてのレンズ素子の大きさが同じである場合に比べて、当該モジュールを通過した光の位相差成分分布がより不規則的になるので、スペックル低減効果をさらに向上させることができる。
また、前記光分散機能面において前記レンズ素子が前記光の進行方向に互いに重なり合って隙間なく形成されていてもよい。このような構造は、レンズ素子が形成されている層を積層することによって実現することができる。
上記の光分散機能面による光分散機能は、サブ波長構造による光の偏光状態変更機能と組み合わせることによって大きなスペックル低減効果を発揮することができる。そこで、本発明のスペックル低減モジュールの好ましい実施形態では、特定方向に偏光した光を入射させたときに前記光の偏光方向を変化させて通過させる偏光方向変更領域をもつ偏光状態変更機能面を前記光分散機能面とは別に有する。この場合、前記光分散機能面と前記偏光状態変更機能面は、どちらが光の進行方向において他方の機能面よりも前段側に配置されても同等のスペックル低減効果を得ることができる。ここで、偏光状態変更機能面は、光の波長よりも小さい周期の凹凸構造からなるサブ波長構造が形成されたサブ波長構造領域が形成された光透過性基板の一表面によって実現することができるが、光透過性のフィルムを一方向へ延伸させて通過する光の偏光方向を変化させる機能をもたせた偏光フィルム(例えば、Edmund社製の1/2波長板 プラスチック・フィルム)によっても実現できる。
また、上記(2)式の位相差成分cos(Φ-Φ)の項を0にする、すなわち位相差(Φ-Φ)=90°とすることで、スペックルを大幅に低減することができる。そこで、本発明のスペックル低減モジュールに組み込まれる前記偏光状態変更機能面は、偏光方向が互いに90度異なる光を出射させる(出射光が互いに90°異なる2つの偏光成分のみをもつ)ように構成されたものであることが好ましい。すなわち、式(2)においてEベクトルとEベクトルがほぼ直交する光であることを示している。これを実現するには、EベクトルとEベクトルの光の電場成分(光は、電場の成分と磁場の成分の合成ベクトルである。また、磁場の成分は変わらないとしている)は、180°異ならせることである。すなわち、光の電場成分がλ/2(λは光の波長で位相360°で1波長を意味し、位相180°は半波長を意味する)異なることを意味している。よって、光の電場成分がλ/2異なる光は偏光方向が90°異なっている。そうすれば、偏光方向が互いに90度異なる光が混合されるため、上記(2)式の位相差成分cos(Φ-Φ)の項がほぼ0となり、スペックル低減効果がさらに向上する。
本発明において、前記偏光状態変更機能面をサブ波長構造によって実現する場合には、前記光分散機能面と前記偏光状態変更機能面は、1枚の光透過性基板の表裏面に設けることができる。すなわち、光透過性基板の一方の面を前記光分散機能面とし、前記光透過性基板の前記光分散機能面とは反対側の面を前記偏光状態変更機能面とすることができる。
上記の場合、前記光透過性基板の前記光分散機能面及び前記偏光状態変更機能面を前記光の進行方向に対して略垂直な方向へ運動させる駆動機構を有することが好ましい。そうすれば、スペックル低減効果をさらに向上させることができる。
また、前記光分散機能面と前記偏光状態変更機能面は、別々の光透過性基板によって実現することもできる。すなわち、第1の光透過性基板の一表面で前記光分散機能面を実現し、前記第1の光透過性基板とは別の第2の光透過性基板(又は偏光フィルム)で前記偏光状態変更機能面を実現することができる。
上記の場合も、前記第1の光透過性基板の前記光分散機能面と前記第2の光透過性基板の前記偏光状態変更機能面の少なくともいずれか一方の機能面を前記光の進行方向に対して略垂直な方向へ運動させる駆動機構を有することが好ましい。そうすれば、スペックル低減効果をさらに向上させることができる。
本発明に係るスペックル低減モジュールは、非軸対象の3次元構造をもつ複数のレンズ素子が形成されている光分散機能面を有するので、面内において極端に光量の高い点が存在しなくなり、面内における光量の標準偏差が低下し、マイクロレンズアレイを組み込んだスペックル低減モジュールよりもスペックルの低減効果が高くなる。
スクリーン投影装置に使用されるスペックル低減モジュールの一実施例を示す概略構成図である。 スクリーン投影装置に使用されるスペックル低減モジュールの他の実施例を示す概略構成図である。 スペックル低減モジュールの光分散機能面の構造の一例を示す図である。 スペックル低減モジュールの光分散機能面に形成されたレンズ素子の構造の一例を示す図である。 複数のレンズ素子が設けられている領域を通過する光の強度分布(ビームプロファイル)を比較する図であって、(A)は鞍型レンズ素子を通過する光のプロファイルであり、(B)はマイクロレンズを通過する光のプロファイルである。 スペックル低減モジュールの光分散機能面に形成されたレンズ素子の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)はX-X’位置における断面図である。 スペックル低減モジュールの光分散機能面に形成されたレンズ素子のさらなる変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)はY-Y’位置における断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ偏光状態変更機能面の構造例を示す平面図である。
以下、スペックル低減モジュールの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1にスペックル低減モジュールを備えるスクリーン投影装置の一例を示す。
このスクリーン投影装置は、光源部2、スペックル低減モジュール12、ミラー18、レンズ20、MEMS素子22、投影レンズ24及びスクリーン26を備えている。光源部2は赤、緑、青の三色の光をそれぞれ発光するレーザーダイオード(LD)又は発光ダイオード(LED)からなる光源4a,4b,4cを備え、それらの光源4a,4b,4cから発せられる光をハーフミラー6,8によって合成し、レンズ10を介して出射する。なお、光源部2を構成する光源はLDやLEDに限られず、他の光源であってもよい。
光源部2から出射される光の光軸上にスペックル低減モジュール12が配置されている。スペックル低減モジュール12は、光源部2から出射される光の偏光方向を複数方向へ変化させる機能を有する偏光状態変更機能面14と、偏光状態変更機能面14を通過した光を分散させて出射する機能を有する光分散機能面15を備えている。
なお、図1では、偏光状態変更機能面14と光分散機能面15とが別々の光透過性基板によって実現されているが、図2に示されているように、これらの機能面14、15が共通の光透過性基板の表面と裏面に実現されてもよい。また、図1及び図2では、光の進行方向における前段側に偏光状態変更機能面14、後段側に光分散機能面15が設けられているが、前段側に光分散機能面15、後段側に偏光状態変更機能面14を設けることもできる。
スペックル低減モジュール12の各機能面14、15は駆動機構16によって、光源部2から出射される光の光軸に対して略垂直な平面内で運動させられる。なお、駆動機構16は必ずしも機能面14、15の両方を駆動するものである必要はなく、いずれか一方の機能面14又は15を駆動するものであってもよい。
スペックル低減モジュール12を経た光は、ミラー18、レンズ20、ミラー22及び投影レンズ24を経てスクリーン26に投影される。ミラー22はMEMS素子からなるミラー(MEMSミラー)ないしはMEMSミラーアレイであってもよい。MEMSミラーは、電気的に駆動することができる単独または複数のマイクロミラーを備え、マイクロミラーの下部に設けられた電極の駆動のオン/オフによってマイクロミラーの傾斜状態を変化させることができる。したがって、ミラーを個別に駆動することにより、表示画素ごとに光の投射を制御することができる。
スペックル低減モジュール12の光分散機能面15の表面状態の一例を図3に示す。
光分散機能面15には複数のレンズ素子30が互いに隙間なくかつ3次元方向に重ね合わされるようにして設けられている。レンズ素子30は非軸対称の3次元構造をもつものであり、光が通過するレンズ素子30の位置によって、光に光路長差、すなわち、位相差を発生させるとともに進行方向を変化させるように設計されたものである。
光分散機能面15に形成されているレンズ素子30の一例は、図4に示されているように、中心軸(Z軸)に対して垂直な互いに直交するX軸、Y軸をもち、X軸方向に対しては凹状に湾曲し、Y軸方向に対しては凸状に湾曲した鞍型形状である。
上記のような鞍型形状のレンズ素子30を通過した光は、マイクロレンズのように1点に集光されることはなく、複数の集光点が径方向や奥行き方向へ分布する。その結果、複数のレンズ素子30が形成されている領域を通過する光のビームプロファイルは、図5(B)に示されているようなマイクロレンズアレイのガウシャンビーム型のビームプロファイルとは異なり、図5(A)に示されているような、高い強度をもつ点が分散したトップハット型の形状となる。
既述のように、スペックル値Csは、
Cs=標準偏差(σ)/平均光量(I)
によって求められる。複数のレンズ素子30が設けられている領域を通過した光のビームプロファイルは、上記のようにトップハット型の形状となるので、標準偏差σが小さくなり、スペックル値Csが改善される。
図3の例では、上記のようなトップハット型のビームプロファイルを有する鞍型形状のレンズ素子30がそれぞれのX軸及びY軸の向きが不均一にかつ3次元的に配置されているので、光分散機能面15を通過した光の集光位置がさらに様々な位置へ分散され、標準偏差σがさらに低減されてスペックル値Csがさらに改善される。マイクロレンズのような軸対象球面形状と比較すると、鞍型形状のような非軸対称形状は収差の大きい形状であるため、X軸及びY軸の向きを変えたときに透過光の集光特性が大きく変化する。このため、X軸及びY軸が様々な方向を向く鞍型形状のレンズ素子30を1つの光束内に複数配置することにより、光強度分布がより均一化され、スペックル値Csが改善される。レンズ素子30が3次元的に配置されている構造は、レンズ素子30が形成されている層を積層することによって実現することができる。
なお、鞍型形状の外形形状は、円形状である必要はなく(構造曲面形状が非球面形状を実現できれば)楕円形状や多角形形状でもよい。
また、図4のような鞍型形状のレンズ素子30は、構造高さの高低差(最も高い部分と最も低い部分との差)が大きいため、レンズ素子30を通過する光に大きな位相差を生じさせることができ、それによってもスペックル低減効果が向上する。
図4のような鞍型形状は、次の[式1]の自由曲面で表現することができる。
[式1]
Figure 0007301513000001
上記[式1]において、C2及びC3は1次の項であり、中心軸に対する自由曲面の傾きを示している。この実施例では、鞍型のレンズ素子30に対して光を垂直に入射させるので、傾きはない。よって、C2及びC3は0である。
係数C4、C5及びC6は2次の項であり、中心軸に対する自由曲面(円弧)の曲率を表している。この実施例では、主としてこの3項目を変量させて形状を創成した。特に重要な係数はC5である。C4は、X軸方向に曲率を有するシリンダー形状を構成する。C6は、Y軸方向に曲率を有するシリンダー形状を構成する。一方、C5は鞍形状を構成し、X軸方向の形状や凹凸、Y軸方向の形状や凹凸(X軸方向とY軸方向にどのようなシリンダー形状を有しているかを決めている)に影響している。C5の符号(+、-)が変わると曲面方向が凸から凹に変化する。
係数C7~C10は3次の項であり、中心軸に対する自由曲面の両端部の傾きを示している。例えば、X軸方向にシリンダー形状を有する場合、シリンダー形状の両端部が曲面になっていることを示している。
係数C11~C15は4次の項であり、中心軸に対する自由曲面の四隅部の傾きを示している。例えば、X軸方向にシリンダー形状を有する場合、シリンダー形状の四隅部が曲面になっていることを示している。
鞍型形状のレンズ素子30の設計値の例は、以下の表1~表3のとおりである。
[表1]
Figure 0007301513000002
[表2]
Figure 0007301513000003
[表3]
Figure 0007301513000004
なお、この実施例ではC15までの係数を使用して鞍型形状を設計したが、さらに高次の項(C16以上)を使用することもできる。
鞍型形状のレンズ素子30は、次のようにして形成することができる。
(1)CAD上でレンズ素子30の3次元構造のX、Y、Z方向の座標データを決定し、光学レンズシミュレーションソフトに移植し、そのシミュレーションソフト上で3次元構造を再現し、当該3次元構造によって実現される光の強度分布をシミュレーションし、そのシミュレーション結果が所望の強度分布となるように、3次元構造のX、Y、Z方向の座標データを調整して決定する。
(2)決定されたレンズ素子30の3次元構造のX、Y、Z方向の座標データをレーザ描画装置に移植し、専用のレジスト上に3次元構造を描画する。具体的には、石英等のガラス基板上に半導体用ポジ型レジストを塗布してプリベークした後、プリベークされたレジストに決定した3次元構造をレーザ描画装置によって描画する。
(3)レーザ描画装置により描画された基板を現像した後、リンスする。これにより、レーザ露光された部分のレジストは剥離され、3次元構造のレジストがガラス基板上に残る。ガラス基板上に残ったレジストに対して紫外線硬化処理を施した後、ポストべーくする。これにより、鞍型形状の3次元構造レジストがガラス基板上に形成される。
(4)上記で製作したレジスト付きガラス基板を半導体用ドライエッチング装置にセットし、選択比を調整しながら基板ガラス材料にレジスト形状を転写する。この際、選択比に応じて3次元構造体の高さを変更することができる。
上記方法によって製作されたガラス基板を用いて量産用の金型を製作することもできる。3次元構造が形成されたガラス基板の表面にスパッタリング法によってCr膜を成膜し、DSX(ダイキン工業製のフッ素コーティング剤処理)を実施した後、表面にNi電鋳を施す。その後、Ni層をCr層から剥離することで、Ni電鋳板が金型となる。
上記金型を使用することで、ナノインプリント法やコンプレッション法等により3次元構造のレンズ素子30が形成された光分散機能面15をもつ光学素子を量産することができる。
さらに、レンズ素子30が3次元的に配置された構造を実現するために、上記方法により形成された光学素子の光学面上に、さらにナノインプリント法等を用いてレンズ素子30を有する層を積層する方法が挙げられる。
なお、光分散機能面15に形成されるレンズ素子30の形状は非軸対称の3次元形状であればよく、上述したような鞍型形状に限定されない。
図6及び図7はレンズ素子30の3次元構造の変形例を示している。
図6に示されたレンズ素子30の3次元構造は、光の通過する領域が9つの矩形領域に分割されており、階段上の段差が対角線に沿って形成されており、(A)において右上の領域32-1の構造高さが最も高く、左下の領域32-5の構造高さが最も低くなっている。
図7に示されたレンズ素子30の3次元構造は、光が通過する領域に複数の円形領域34-1~34-7が設けられており、それらの円形領域34-1~34-7の構造高さがすべて異なる螺旋階段形状となっている。
図6及び図7のいずれの構造も非軸対称の3次元構造であり、通過する光に位相差を生じさせる。これらのような3次元構造をもつ複数のレンズ素子を不規則に光分散機能面15に配置することで、回折光の影響を低減することが可能となる。
ただし、図6の構造は、正方形領域が規則的に繰り返されているため、各領域の境界部分では構造不連続が発生し、その部分で回折光が発生する。回折光は、パターン配置構造が規則的であればあるほど強調されることが判っているので、光通過領域の寸法や形状、配列を不規則にすることで、回折光量を低減することができる。図7の構造では各領域の境界部分をより不規則的にするために、円形状領域の集合体(花びらの模様の様な配列)となっており、図6よりも回折光が低減される構造となっている。
上記のようなトップハット型のビームプロファイルをもつ光分散機能面15は、光強度分布の平均化(ビームプロファイルのトップハット型への変更)機能と位相差発現機能を有しており、光の偏光状態を変化させる偏光状態変更機能面14と組み合わせて使用することによって、大きなスペックルの低減効果が得られるが、特に、互いに偏光方向が90度異なる光を出射させる(出射光が互いに90°異なる2つの偏光成分のみをもつ)偏光状態変更機能面14と組み合せることによってスペックルの低減効果をより高めることができる。
互いに偏光方向が90度異なる光を出射させる(出射光が互いに90°異なる2つの偏光成分のみをもつ)偏光状態変更機能面14としては、図8(A)及び(B)に示されているようなものが挙げられる。図8(A)及び(B)の偏光状態変更機能面14はいずれも、特定方向に偏光した光を入射させたときにその光の偏光方向を90度回転させて通過させる機能をもつ偏光方向変更領域14a、及び光の偏光方向を変化させないで通過させる空白領域14bを備えており、光通過領域中における偏光方向変更領域14aの割合が約50%となるように設計されている。偏光方向変更領域14aは一様に設けられており、特定方向に偏光した光を偏光状態変更機能面14に入射させたときに、入射した光のうち約50%の光は偏光方向変更領域14aによって偏光方向が90度回転させられて偏光状態変更機能面14を通過する一方で、残りの約50%の光は偏光方向が回転させられることなく空白領域14bを通過し、偏光状態変更機能面14から出射される。したがって、偏光状態変更機能面14からは互いに偏光方向が90度異なる光が同じ割合で射出される。ここで、特定方向に偏光した光とは、偏光方向変更領域14aの光学軸方向に対して偏光(光学軸)方向が45°傾いている光である。
なお、図8では、偏光方向変更領域14a及び空白領域14bの外形形状が円形状であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏光方向変更領域14a及び空白領域14bの外形形状は楕円形状であってもよい。
偏光状態変更機能面14から射出される互いに偏光方向が90度異なる光が光分散機能面15を通過する際に進行方向を不規則的に変更されて混合されることで、スペックルが大きく低減される。
なお、偏光状態変更機能面14の構造はこれに限定されるものではなく、光の偏光方向を複数方向に分割する機能を有する構造であればいかなる構造であってもよい。
1/2波長板のみからなるスペックル低減モジュールの場合、光の波長によっては位相差がλ/2にならないなど、スペックル低減効果に波長依存性がある。これに対し、上記実施例では、偏光状態変更機能面14と光分散機能面15によって、光の偏光方向の分割、位相差の発現、光強度分布の平均化(ビームプロファイルのトップハット型への変更)といった複合的要素によってスペックルの低減を図っているので、スペックル低減効果の波長依存性が小さくなる。
2 光源部
12 スペックル低減モジュール
14 偏光状態変更機能面
14a サブ波長構造領域
14b サブ波長構造が形成されていない領域
15 光分散機能面
16 駆動機構
30 レンズ素子

Claims (10)

  1. 非軸対称の3次元構造をもつ複数のレンズ素子が同一平面内に形成され、光を分散させて通過させる光分散機能面を有し、前記光分散機能面の全体にわたって前記複数のレンズ素子が互いに隙間なく形成されており、
    前記複数のレンズ素子のそれぞれは、中心軸と、前記中心軸に対して垂直な互いに直交するX軸及びY軸と、を有し、前記X軸方向においては前記中心軸に沿った一方向に対して凹状に湾曲し、前記Y軸方向においては前記一方向に対して凸状に湾曲している、スペックル低減モジュール。
  2. 前記光分散機能面には、前記X軸の向きが互いに異なる複数の前記レンズ素子が形成されている、請求項1に記載のスペックル低減モジュール。
  3. 前記光分散機能面には、素子面積が互いに異なる複数の前記レンズ素子が形成されている、請求項1又は2に記載のスペックル低減モジュール。
  4. 前記光分散機能面において前記レンズ素子が前記光の進行方向に互いに重なり合って隙間なく形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のスペックル低減モジュール。
  5. 特定方向に偏光した光を入射させたときに前記光の偏光方向を変化させて通過させる偏光方向変更領域をもつ偏光状態変更機能面を前記光分散機能面とは別に有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のスペックル低減モジュール。
  6. 前記偏光状態変更機能面は、一様な前記偏光方向変更領域と前記光の偏光方向を変化させないで通過させる空白領域とを有し、特定方向に偏光した光を入射させたときに互いの偏光方向が90度異なる光を出射させるように構成されたものである、請求項5に記載のスペックル低減モジュール。
  7. 光透過性基板の一方の面が前記光分散機能面となっており、前記光透過性基板の前記光分散機能面とは反対側の面が前記偏光状態変更機能面となっている、請求項5又は6に記載のスペックル低減モジュール。
  8. 前記光透過性基板の前記光分散機能面及び前記偏光状態変更機能面を前記光の進行方向に対して略垂直な方向へ運動させる駆動機構を有する、請求項7に記載のスペックル低減モジュール。
  9. 第1の光透過性基板に前記光分散機能面が形成され、前記第1の光透過性基板とは別の第2の光透過性基板に前記偏光状態変更機能面が設けられている、請求項5又は6に記載のスペックル低減モジュール。
  10. 前記第1の光透過性基板の前記光分散機能面と前記第2の光透過性基板の前記偏光状態変更機能面の少なくともいずれか一方の機能面を前記光の進行方向に対して略垂直な方向へ運動させる駆動機構を有する、請求項9に記載のスペックル低減モジュール。
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