JP7295830B2 - フレキシブルフラットケーブル - Google Patents
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Description
また、フレキシブルフラットケーブルでは、電磁波に対するシールドが必要であり、フレキシブルフラットケーブルをシールドフィルムで覆ったものが提案されている。
そこで、特許文献1には、シールドフィルムの導電層面にグランドバーを接触させて、グランドバーとシールドフィルムとを樹脂モールド又は樹脂テープで固定するフレキシブルフラットケーブルが開示されている。
また、特許文献2には、グランドバーとしてすずめっき銅箔を用いることが開示されている。
高温下においてフレキシブルフラットケーブルをコネクタに接続した状態で長時間使用していると、コネクタのグランドピンとフレキシブルフラットケーブルの接点において酸化が進行し、接触抵抗が上昇してしまい、コネクタのグランドピンとフレキシブルフラットケーブルのグランドバーとの間の電気的な接続が悪化してしまうという課題があった。
この構成を採用することによって、フレキシブルフラットケーブルをコネクタに接続して高温下で長時間使用した場合であっても、接触抵抗が上昇することなく良好な電気的接続を維持することができる。
この構成によれば、グランドバーとコネクタのグランドピンとの接触抵抗の安定化を図ることができる。
この構成によれば、ニッケルめっきの耐摩耗性の向上を図ることができる。
図1はフレキシブルフラットケーブルの概略平面図であり、図2はフレキシブルフラットケーブル概略断面図である。なお、図2における紙面上側がフレキシブルフラットケーブルの一方側、紙面下側を他方側として以下に説明する。
また第2樹脂フィルム16の一方側の面にグランドバー18が配置されている。グランドバー18は、露出している導体12よりもケーブルの長さ方向内側に配置された構成となっている。このため、各導体12とグランドバー18は端子部13において露出し、図示しないコネクタに装着した場合、それぞれコネクタに対して電気的に接続される。
シールド層20は、導電性接着剤によって固着されているため、グランドバー18は導電性接着剤を介してシールド層20と電気的に接続されている。
また、本実施形態のグランドバー18は、ケーブルの長さ方向の両端部の端子部13のみに配置されていて長さ方向に1枚の層として構成されてはいないが、導電性接着剤とシールド層20を介して両端子部13のグランドバー18同士が電気的に接続されている。
(導体)
複数の導体12は、良導電性金属導体により形成されている。良導電性金属導体としては、銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅アルミニウム複合線等や、これらの表面にめっきが施されたものを好適に採用することができる。めっきとしては、はんだめっき、すずめっき、金めっき、銀めっき、ニッケルめっき等を採用することができる。また特に銅線、銅合金線を用いることで高周波伝送を好適に行うことができる。
ただし、導体12の材質はこれらに限定するものではない。
第1接着性絶縁層15と第2接着性絶縁層17は、接着性を有する絶縁層であり、複数の導体12を挟み込んで固定している。第1接着性絶縁層15と第2接着性絶縁層17は、それぞれ各導体12の一方側と他方側に接着するとともに、それぞれ互いに接着することによって導体12を保持する。
第1接着性絶縁層15と第2接着性絶縁層17は、発泡性の接着性絶縁材料を用いてもよく、また非発泡性の接着性絶縁材料を用いてもよく、どちらかに限定されるものではない。なお、第1接着性絶縁層15と第2接着性絶縁層17のうちいずれか一方を発泡性の接着性絶縁材料を用い、他方を非発泡性の接着性絶縁材料を用いるようにしてもよい。
難燃剤としては、臭素系難燃剤、難燃性向きフィラー等を採用することができる。難燃助剤としては、三酸化アンチモン、二酸化ケイ素等を好適に採用することができる。また二酸化ケイ素等は、ブロッキング剤として作用するとともに、耐収縮防止剤としても作用するので、より好適である。
添加剤の配合は、接着性絶縁層の接着性及び絶縁性等の効果を阻害しないように、且つその添加剤の機能を発揮する範囲内で配合される。
第1樹脂フィルム14は、第1接着性絶縁層15の他方側の面に配置され、第2樹脂フィルム16は第2接着性絶縁層17の一方側の面に配置されている。
第1樹脂フィルム14と第2樹脂フィルム16の材質は、一般的なフラットケーブル同様に柔軟性や耐摩耗性を有する材質であれば採用することができ、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルムを好適に用いることができる。
発泡した樹脂フィルムは、樹脂フィルム材料に任意の発泡剤を含有させることで製造することができる。発泡剤としては、一般的な化学発泡剤又は物理発泡剤から採用することができる。
そして上述したように、第2接着性絶縁層17と第2樹脂フィルム16は、端子部13において各導体12を露出させるように、フレキシブルフラットケーブル10の全長よりも短い長さとして形成されている。他方、第1接着性絶縁層15と第1樹脂フィルム14は、フレキシブルフラットケーブル10の全長とほぼ同一長さとして形成されている。
介在層24は、第1樹脂フィルム14の他方側の面と、第2樹脂フィルム16の一方側の面において、シールド層20との間に配置される。また、グランドバー18が設けられている端子部13においては、介在層24の一方側の面にグランドバー18が配置される。
介在層24は、フレキシブルフラットケーブル10のインピーダンス整合を図るために任意に配置される。したがって、介在層24は必ずしも設けられていなくともよい。フレキシブルフラットケーブルのインピーダンスは、シールド層20から導体12までの距離によって決まるので、第2樹脂フィルム16の一方側の面と、第1樹脂フィルム14の他方側の面に所定厚さの介在層24を配置することで、シールド層20から導体12までの距離を調整してインピーダンス整合を図ることができる。
介在層24には粘着性を有する材質を用いることにより、第1樹脂フィルム14と第2樹脂フィルム16にシールド層20を貼りつけることを容易に行える。
また、介在層24としては不織布を用いてもよい。不織布は所定の材料で形成された繊維を織らずに接着又は絡み合わせることで形成されている。
補強層22は、端子部13においてフレキシブルフラットケーブル10をコネクタに挿脱する際の補強のために設けられている。したがって、補強層22は、フレキシブルフラットケーブル10の両端部から例えば4~50mm程度の長さを有し、幅は端子部13の全体幅とほぼ同一の幅を有している。
補強シート22aの厚さは0.1~0.3mm程度とすることで、端子部13をコネクタに着脱する際にかかる力に対して寸法変化が生じにくく、また温度変化や時間経過に対しても寸法変化が生じにくい。
なお、接着剤層22bは、端子部13をコネクタに着脱する際に変形せず、また温度変化や時間経過によっても変形しないことが望ましいため、あまり厚すぎない方がよく、厚さとしては10μm~50μmの範囲内がよく、特に35μm~45μmの範囲とすることで変形のおそれを低減できる。
シールド層20は、介在層24の外側の面に配置されており、ノイズに対するシールド機能を有する。介在層24が設けられていない場合は、第1樹脂フィルム14と第2樹脂フィルム16の外側の面に配置されている。
導電性接着剤層20bは、端子部13近傍においてはグランドバー18に対して接着し、それ以外の箇所においては介在層14(介在層24が設けられていない場合は、第1樹脂フィルム14と第2樹脂フィルム16)に対して接着する。グランドバー18とシールド層20との間の電気的接続は低抵抗となるようにすることが望ましい。
金属箔20aの厚さとしては、10μm~50μm程度が好ましいが、特にこれに限定するものではない。また金属箔20aの厚さは厚めの方が抵抗値を下げることができる。
導電物質の形状としては、細かくした箔、フィラーメタル、粉末などを用いることができ、接着剤に含有させることにより導電性接着剤とすることができる。
導電性接着剤層20bは、グランドバー18と金属箔20aとを電気的に接続した場合にシールド機能を十分に確保できる導電性が必要であり、例えば1×10-6Ω・m~1×10-4Ω・m程度の体積抵抗率を有することが好ましい。
フレキシブルフラットケーブル10の全体を保護するための保護フィルム(図示せず)を設けてもよい。保護フィルムはシールド層20の外側の面を覆うように配置され、フレキシブルフラットケーブル10の全体を保護するとともに、電気的な絶縁保持、機械的強度を補強し、屈曲に耐えうるように作用する。
保護フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリウレタン樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂との混合樹脂フィルム等を採用することができる。
なお、保護フィルムの厚さは、特に限定することはないが、0.02mm~0.3mm程度にすることができる。
グランドバー18は、第2樹脂フィルム16の一方側の面に配置され、長手方向の内側が介在層24の一方側の面に乗り上げている。介在層24を設けない場合には、グランドバー18全体が、第2樹脂フィルム16の一方側の面に配置される。
グランドバー18は、第2樹脂フィルム16及び介在層24に貼りつけるために接着性絶縁層を有していてもよい(図示せず)。
またグランドバー18は第1の樹脂フィルム15や補強層22のある他方側に配置されても良い。
グランドバーの第1実施形態では、グランドバー18としてニッケル箔である導体を採用している。ニッケル箔をグランドバー18として採用することによって、高温下で長時間にわたって使用したとしても、グランドバー18とコネクタ側のグランドピン(図示せず)の接点において酸化膜の形成を抑制することができる。
ニッケルは高温下においても標準自由エネルギーが高く、また高温下において自己拡散係数が低いため、高温下で酸化しにくいという性質を利用したものである。
グランドバーの第2実施形態では、グランドバー18として、金属箔である導体にニッケルめっきを施したもの採用している。
金属箔である導体にニッケルめっきを施したものをグランドバー18として採用することによって、高温下で長時間にわたって使用したとしても、グランドバー18とコネクタ側のグランドピン(図示せず)の接点において酸化膜の形成を抑制することができる。
さらにニッケルめっき厚さは、100μm未満であることが好ましい。ニッケルめっき厚さが100μm以上であると、めっき箇所が硬化してしまい、曲げた場合にクラック等が発生してしまうおそれがあるためである。
図3に、グランドバーのめっき種類と表面粗さSq(二乗平均平方根高さ:ISO25178)を変更して、125℃で0h~1008hまで維持した場合の抵抗値の変化を表にして示す。図3は、めっき種類をすずめっき(表面粗さSq0.5μm)、ニッケルめっき1(ニッケルめっき光沢面:表面粗さSq0.5μm)、ニッケルめっき2(ニッケルめっきマット面:3μm)として、それぞれの初期値(0h時の抵抗値)と、100h後、250h後、500h後、750h後、1008h後の上昇抵抗値の最大値、最小値、平均値、最大値と最小値の差を示している。
コネクタとフレキシブルフラットケーブルは、恒温槽に投入後、100h、250h、500h、750h、1008h経過した時点で恒温槽から取り出し、常温となってから抵抗値を抵抗測定器で測定する。
なお、本実施形態におけるフレキシブルフラットケーブルは、抵抗値の上昇が、初期値を0としたときに50mΩ以下であれば合格とする。
250h経過後の上昇抵抗値の平均値は44.9mΩ、最大値と最小値の差は35.8mΩである。
500h経過後の上昇抵抗値の平均値は169.0mΩ、最大値と最小値の差は371.0mΩである。
750h経過後の上昇抵抗値の平均値は187.1mΩ、最大値と最小値の差は240.7mΩである。
1008h経過後の上昇抵抗値の平均値は195.5mΩ、最大値と最小値の差は191.8mΩである。
250h経過後の上昇抵抗値の平均値は6.5mΩ、最大値と最小値の差は10.3mΩである。
500h経過後の上昇抵抗値の平均値は23.5mΩ、最大値と最小値の差は34.8mΩである。
750h経過後の上昇抵抗値の平均値は22.2mΩ、最大値と最小値の差は31.0mΩである。
1008h経過後の上昇抵抗値の平均値は7.0mΩ、最大値と最小値の差は22.4mΩである。
250h経過後の上昇抵抗値の平均値は3.6mΩ、最大値と最小値の差は6.2mΩである。
500h経過後の上昇抵抗値の平均値は14.0mΩ、最大値と最小値の差は26.9mΩである。
750h経過後の上昇抵抗値の平均値は11.8mΩ、最大値と最小値の差は8.7mΩである。
1008h経過後の上昇抵抗値の平均値は4.6mΩ、最大値と最小値の差は11.8mΩである。
一方、ニッケルめっき1及びニッケルめっき2の場合は500h以上経過したときであっても製品による上昇抵抗値のバラつきが小さいためより好ましいことが判明した。
なお、具体的な計測条件は図3の場合と同様である。
接触抵抗安定性は、接触抵抗測定時に測定値が安定している状態を〇とし、接触抵抗測定時に測定値が安定せず、50mΩ程度のバラつきが発生している状態を△とする。
したがって、すずめっきのグランドバーでは、125℃の高温下で500h以上経過した場合には抵抗値が大きくなりすぎてしまうことが明らかになった。
したがって、表面粗さSqが0.5μmのニッケルめっきのグランドバーでは、接触抵抗安定性は合格であり、高温下で長時間使用してもすずめっきと比較して抵抗値の上昇を抑えることができることが判明した。
したがって、表面粗さSqが1.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、接触抵抗安定性は合格であり、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりもさらに抵抗値の上昇を抑えることができることが判明した。
したがって、表面粗さSqが3.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、接触抵抗安定性は合格であり、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりもさらに抵抗値の上昇を抑えることができることが判明した。
したがって、表面粗さSqが10.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、接触抵抗安定性は合格であり、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりもさらに抵抗値の上昇を抑えることができることが判明した。
したがって、表面粗さSqが50.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、接触抵抗安定性は合格であり、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりもさらに抵抗値の上昇を抑えることができることが判明した。
したがって、表面粗さSqが85.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、接触抵抗安定性は合格であり、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりもさらに抵抗値の上昇を抑えることができることが判明した。
したがって、表面粗さSqが100.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりも抵抗値の上昇を抑えることができるが、接触抵抗測定時に測定値が安定せず、50mΩ程度のバラつきが生じており、あまり好ましくないことが判明した。
したがって、表面粗さSqが130.0μmのニッケルめっきのグランドバーでは、高温下で長時間使用しても表面粗さSqが0.5mΩのニッケルめっきの場合よりも抵抗値の上昇を抑えることができるが、接触抵抗測定時に測定値が安定せず、50mΩ程度のバラつきが生じており、あまり好ましくないことが判明した。
ただし、ニッケルめっきの表面粗さSqは、100.0μm以上であると接触抵抗測定時に測定値が安定せず、50mΩ程度のバラつきが生じてしまうため好適に用いることができないことが判明した。
同様にニッケル箔の表面粗さの調整についてはニッケル箔の表面をエッチング等で荒らすことによって実行できる。またニッケル箔の表面を物理的にマット化処理することによっても表面粗さの調整が行える。
この実験では、フレキシブルフラットケーブルのグランドバーを金属箔にニッケルめっきを施したものを、第一精工株式会社製のコネクタ「EVAFLEX5-SE-GVT」に対して30回挿抜を繰り返し実行し、コネクタ側のグランドピンとグランドバーのグランドピンとの接触箇所において、ニッケルめっきの下地である銅が露出しているか否かで判断した。図5の表において、〇が下地(銅)の露出が無いもの、△が下地Z(銅)の露出があるものである。
また、本実施形態では、コネクタのグランド端子との接触部分をグランドバーと称したが、第2樹脂フィルムに貼りつけ可能なシール部を有するテープ状のものを採用することもできる。
12 導体
13 端子部
14 第1樹脂フィルム
15 第1接着性絶縁層
16 第2樹脂フィルム
17 第2接着性絶縁層
18 グランドバー
20 シールド層
20a 金属箔
20b 導電性接着剤層
22 補強層
22a 補強シート
22b 接着剤層
24 介在層
Claims (4)
- 所定の間隔で幅方向に並設された複数の導体と、
グランドバーと、
最外周に配置されたシールド層と、を具備し、コネクタに挿脱されるフレキシブルフラットケーブルであって、
前記グランドバーは、表面がニッケルめっき又はニッケル箔である導体で構成され、
前記グランドバーの表面粗さSqが0.5μm以上85μm以下であり、
前記グランドバーは、前記コネクタ側のグランドピンに電気的に接続される構成であることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。 - 前記グランドバーは、金属箔にニッケルめっきを施したものであることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルフラットケーブル。
- 前記ニッケルめっき厚が1μm以上であることを特徴とする請求項2記載のフレキシブルフラットケーブル。
- 前記金属箔は、銅箔、アルミ箔、銅合金箔、ステンレス箔、ステンレス合金箔のいずれかであることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のフレキシブルフラットケーブル。
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WO2017056731A1 (ja) | 2015-09-28 | 2017-04-06 | 日本軽金属株式会社 | 導電部材及びその製造方法 |
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