JP7295434B2 - 溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法 - Google Patents

溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7295434B2
JP7295434B2 JP2020005906A JP2020005906A JP7295434B2 JP 7295434 B2 JP7295434 B2 JP 7295434B2 JP 2020005906 A JP2020005906 A JP 2020005906A JP 2020005906 A JP2020005906 A JP 2020005906A JP 7295434 B2 JP7295434 B2 JP 7295434B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel plate
pressing device
weld toe
slide guide
scallop
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020005906A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021112761A (ja
Inventor
広志 島貫
隆行 米澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2020005906A priority Critical patent/JP7295434B2/ja
Publication of JP2021112761A publication Critical patent/JP2021112761A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7295434B2 publication Critical patent/JP7295434B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bridges Or Land Bridges (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Description

本開示は、溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法に関する。
船舶、橋梁、建築等の、鋼部材を縦横に交差させて溶接によって施工される溶接構造体では、溶接棒や溶接トーチを溶接部に近づけるためのスカラップと呼ばれるアクセスホールを用いて、溶接を行うことが多い。
繰返し負荷を受けるために溶接部の疲労を考慮しなければならない構造物においては、スカラップの溶接止端部からの疲労が設計のボトルネックとなり得る。そこで、溶接止端部のグラインダー処理による応力集中の緩和や、超音波打撃処理(UIT)による圧縮残留応力の導入等により、疲労対策が行われている。しかしながら、スカラップの溶接止端部周辺は狭く、グラインダー処理や超音波打撃処理を行うための装置を配置したり、施工者の作業スペースを十分に確保したりできないため、十分な疲労対策ができないことが多かった。
そこで、スカラップの溶接止端部に十分な疲労対策を行う方法が検討されており、荷重付与方法が提案されている(特許文献1)。
特開2018-167322号公報
しかしながら、図1に示すような、例えば橋梁の構造の一部にみられる鋼床版の垂直補剛材と下横構ガセットのスカラップとの隙間が20mm以下といったような狭い箇所については、建築鉄骨で一般的に用いられる35mm程度のスカラップを想定した特許文献1の方法を用いても、処理に十分な荷重を発生させるための処理装置がスカラップ内部に収まらず、スカラップの溶接止端部を十分に押圧処理することができないことがあった。また、下横構ガセットの表面には、ブレースがボルトで取り付けられることがあり、このような場合は、従来の装置を配置するためのスペースを確保することが難しく、スカラップの溶接止端部に疲労対策処理を施すことが非常に困難であった。
したがって、スカラップの溶接止端部を押圧することができる押圧装置及びこのような押圧装置を用いてスカラップの溶接止端部が押圧された溶接構造体を製造することができる方法が求められている。
本発明は、下記の溶接止端部の押圧装置及び溶接構造体の製造方法を要旨とする。
(1)溶接構造体の溶接止端部を押圧する押圧装置であって、
第1の部材と、第2の部材と、第3の部材とを有し、
前記第1の部材は、第1の面と第2の面とで構成される鋭角の先端部を有し、
前記第2の部材は、前記第2の面に摺動可能に接する第3の面と、前記第3の面の前記第2の面側とは反対側の第4の面とを有し、
前記第3の部材は、前記第1の面に摺動可能に接する第5の面を有し、
前記第1の部材は、前記第2の面が前記第2の部材の前記第3の面に接しながら且つ前記第1の面が前記第3の部材の前記第5の面に接しながら、前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動可能であり、
前記第2の部材及び前記第3の部材のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、前記第2の部材及び前記第3の部材のうち他方が前記第1の摺動ガイドに挿入される第1の摺動ガイドピンを有し、
前記第1の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成され、
前記第2の部材の前記第4の面の一部が前記溶接止端部を押圧する、
押圧装置。
(2)前記第2の部材は、前記第4の面の前記一部に凸形状の押し子を備え、
前記押し子は、55以上のロックウェルCスケール硬度を有する、
(1)に記載の押圧装置。
(3)前記第1の部材及び前記第2の部材のうち一方が第2の摺動ガイドを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材のうち他方が前記第2の摺動ガイドに挿入される第2の摺動ガイドピンを有し、
前記第2の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第2の部材に対する相対的な移動方向に平行に形成されている、
(1)または(2)に記載の押圧装置。
(4)前記第3の部材が、前記第1の部材の前記先端部とは反対側の後端部を覆う壁部を有し、
前記壁部は、前記第5の面に平行な方向に貫通するねじ穴を有し、
前記ねじ穴にねじが螺合されており、
前記ねじの先端が前記第1の部材の前記後端部に当接する、
(1)から(3)のいずれかに記載の押圧装置。
(5)押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法であって、
前記溶接構造体は、第1の鋼板、第2の鋼板、及び第3の鋼板を含み、
前記第1の鋼板と前記第2の鋼板とがT字溶接されており、
前記第3の鋼板がスカラップを備え、
前記スカラップ内に前記第2の鋼板が隙間を空けて入るように、且つ前記スカラップによって前記T字溶接部を避けるように、前記第3の鋼板が前記第1の鋼板に角回し溶接されて前記スカラップの溶接止端部が形成されており、
前記押圧装置は、第1の部材と、第2の部材と、第3の部材とを有し、
前記第1の部材は、第1の面と第2の面とで構成される鋭角の先端部を備え、前記スカラップと前記第2の鋼板との間の前記隙間に前記先端部が挿入され、
前記第2の部材は、前記第2の面に摺動可能に接する第3の面と、前記第3の面の前記第2の面側とは反対側の第4の面とを有し、
前記第3の部材は、前記第1の面に摺動可能に接する第5の面と、前記第5の面の前記第1の面側とは反対側の第6の面とを有し、
前記第1の部材は、前記第2の面が前記第2の部材の前記第3の面に接しながら且つ前記第1の面が前記第3の部材の前記第5の面に接しながら、前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動可能であり、
前記第2の部材及び前記第3の部材のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、前記第2の部材及び前記第3の部材のうち他方が前記第1の摺動ガイドに挿入される第1の摺動ガイドピンを有し、
前記第1の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成され、
前記製造方法は、
前記押圧装置の前記第3の部材の前記第6の面を前記第2の鋼板の表面に接触させるとともに、前記押圧装置の前記第2の部材の前記第4の面の一部が前記スカラップの溶接止端部に対向するように、前記第2の部材を前記スカラップと前記第2の鋼板との間の前記隙間に挿入すること、並びに
前記第1の部材を前記第2の部材と前記第3の部材との間に押し込んで、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に、前記第2の部材を前記第3の部材に対して相対的に移動させることにより、前記第2の部材の前記第4の面の前記一部によって前記スカラップの前記溶接止端部を押圧すること、
を含む、製造方法。
(6)前記第2の部材は、前記第4の面の前記一部に凸形状の押し子を備え、前記押し子は55以上のロックウェルCスケール硬度を有し、
前記押し子で前記溶接止端部を押圧する、
(5)に記載の製造方法。
(7)前記第1の部材及び前記第2の部材のうち一方が第2の摺動ガイドを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材のうち他方が前記第2の摺動ガイドに挿入される第2の摺動ガイドピンを有し、
前記第2の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第2の部材に対する相対的な移動方向に平行に形成されており、
前記第2の摺動ガイドに沿って前記第2の摺動ガイドピンを移動させるとともに前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させる、
(5)または(6)に記載の製造方法。
(8)前記第3の部材が、前記第1の部材の前記先端部とは反対側の後端部を覆う壁部を有し、
前記壁部は、前記第5の面に平行な方向に貫通するねじ穴を有し、
前記ねじ穴にねじが螺合されており、
前記ねじの先端が前記第1の部材の前記後端部に当接し、
前記ねじの前記先端で前記第1の部材の前記後端部を押し込むことにより、前記第1の部材を前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動させる、
(5)から(7)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、スカラップの溶接止端部を押圧することができ、また、スカラップの溶接止端部が押圧された溶接構造体を製造することができる。加えて、本発明の押圧装置及び製造方法は、新たに製造される溶接構造体におけるスカラップの溶接止端部だけでなく、従来、押圧による圧縮残留応力を導入できなかった既存の溶接構造体におけるスカラップの溶接止端部に対しても適用することができるため、このような既存の溶接構造体に対する疲労対策としても有効に使用することが可能である。
図1は、橋梁の構造の一部にみられる鋼床版の垂直補剛材と下横構ガセットのスカラップとの隙間が狭い箇所を模式的に表した斜視図である。 図2は、第1の部材10の一例の側面図及び背面図である。 図3は、第2の部材20の一例の側面図及び背面図である。 図4は、第3の部材30の一例の側面図及び背面図である。 図5は、ねじの一例の側面図である。 図6は、第1の部材、第2の部材、及び第3の部材を組み合わせた押圧装置の一例の側面図である。 図7は、図6に示す押圧装置を動作させたときの一例の側面図である。 図8は、第1の部材、第2の部材、及び第3の部材を組み合わせた押圧装置一例の斜視図である。 図9は、4つのねじ穴及び押し子を備えた部材を模式的に表した斜視図である。 図10は、溝に押し子が挿入された第2の部材を模式的に表した斜視図である。 図11は、押圧装置を用いて、溶接構造体のスカラップの溶接止端部を押圧する態様の一例を模式的に表した斜視図である。
1.溶接構造体の溶接止端部を押圧する押圧装置
本発明は、溶接構造体の溶接止端部を押圧する押圧装置であって、
第1の部材と、第2の部材と、第3の部材とを有し、
前記第1の部材は、第1の面と第2の面とで構成される鋭角の先端部を有し、
前記第2の部材は、前記第2の面に摺動可能に接する第3の面と、前記第3の面の前記第2の面側とは反対側の第4の面とを有し、
前記第3の部材は、前記第1の面に摺動可能に接する第5の面を有し、
前記第1の部材は、前記第2の面が前記第2の部材の前記第3の面に接しながら且つ前記第1の面が前記第3の部材の前記第5の面に接しながら、前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動可能であり、
前記第2の部材及び前記第3の部材のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、前記第2の部材及び前記第3の部材のうち他方が前記第1の摺動ガイドに挿入される第1の摺動ガイドピンを有し、
前記第1の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成され、
前記第2の部材の前記第4の面の一部が前記溶接止端部を押圧する、
押圧装置を対象とする。
本発明の押圧装置によれば、従来、押圧による圧縮残留応力を導入することができなかった溶接構造体におけるスカラップの溶接止端部を、十分に押圧することができる。以下に、図面を参照しながら実施形態に係る押圧装置の構成を説明する。
押圧装置は、図2に模式的に例示するような、第1の部材10を有する。第1の部材10は、第1の面15と第2の面16とで構成される鋭角の先端部12を有する。第1の部材10は、例えば、楔状とすることができる。楔状とは、側面または断面がV字形または三角形であることを意味する。図2は、第1の部材10の一例の側面図(図2(a))及び背面図(図2(b))である。
押圧装置は、図3に模式的に例示するような、第2の部材20を有する。図3は、第2の部材20の一例の側面図(図3(a))及び背面図(図3(b))である。第2の部材20は、第1の部材10の第2の面16に摺動可能に接する第3の面24と、第3の面24の第2の面16側とは反対側の第4の面27とを有する。図3に示されるように、第2の部材20は、第4の面27の一部に、凸形状の押し子28を備えていてもよい。この場合、押し子28は、55以上のロックウェルCスケール硬度を有していてもよい。なお、押し子28の硬さの尺度はロックウェル硬さに限定されない。他の測定方法で押し子28の硬さを測定した場合、その硬さをロックウェルCスケール硬度に換算することができる。
押圧装置は、図4に模式的に例示するような、第3の部材30を有する。図4は、第3の部材30の一例の側面図(図4(a))及び背面図(図4(b))である。図4に示されるように、第3の部材30は、第1の部材10の第1の面15に摺動可能に接する第5の面34を有する。
第1の部材10は、第2の面16が第2の部材20の第3の面24に接しながら且つ第1の面15が第3の部材30の第5の面34に接しながら、第2の部材20及び第3の部材30に対して相対的に移動可能である。
第2の部材20及び第3の部材30のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、第2の部材20及び第3の部材30のうち他方が、第1の摺動ガイドに挿入されるように構成された第1の摺動ガイドピンを有する。
図3に、第1の摺動ガイド50を有する第2の部材20の一例の側面図を示し、図4に、第1の摺動ガイドピン52を有する第3の部材30の一例の側面図を示す。
第1の摺動ガイド50は、第1の部材10の第3の部材30に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成される。例えば、第3の部材30の第5の面34に沿って第1の部材10を摺動させると、第1の摺動ガイドピン52が第1の摺動ガイド50に沿って相対的に移動し、第5の面34と交差する方向に第2の部材20を移動させることができる。
図4に示されるように、第1の摺動ガイドピン52は、第3の部材30の第1の摺動ガイドピン配置部54に備えられていてもよい。第1の摺動ガイドピン52は、第1の摺動ガイド50に挿入される。この場合、第1の摺動ガイドピン配置部54に、第2の部材20の第1の摺動ガイド50を有する部分が、嵌め合わされてもよい。
一方、第2の部材20が第1の摺動ガイドピンを有してもよく、第3の部材30が第1の摺動ガイドを有してもよく、第3の部材30が第1の摺動ガイド配置部を有してもよく、第1の摺動ガイドが第1の摺動ガイド配置部に備えられてもよい。この場合も、第1の摺動ガイドピンは、第1の摺動ガイドに挿入される。
図6に、第1の部材10、第2の部材20、及び第3の部材30を組み合わせた押圧装置100の一例の側面図を示す。図6に示されるように、第2の部材20が第1の部材10の少なくとも一部を覆い、第3の部材30が第1の部材10の少なくとも一部を覆っていてもよい。図6に示されるように、第1の部材10の第2の面16が第2の部材20の第3の面24に摺動可能に接し、且つ第1の部材10の第1の面15が第3の部材30の第5の面34に摺動可能に接するように配置されている。また、第2の部材20の第1の摺動ガイド50に、第3の部材30の第1の摺動ガイドピン52が挿入されている。
図8に、第1の部材10、第2の部材20、及び第3の部材30を組み合わせた押圧装置100の一例の斜視図を示す。図8に示されるように、凸形状の押し子28が、第2部材20の第4の面27の一部に設けられてもよい。当該押し子28は、55以上のロックウェルCスケール硬度を有するものであってもよい。好ましくは、第4の面27は、第3の部材30の第5の面34に平行な面271を有し、面271上に押し子28が設けられている。第5の面34に平行な面271に押し子28を設けることによって、溶接止端部に垂直に押し子28を押圧することをより容易に行うことができる。図8において、白矢印は第1の部材10の摺動方向を示す。第3の部材30は、好ましくは、図8に破線で示すように角を面取りされている。角を面取りすることにより、押圧処理部以外の溶接金属部に第3の部材30が接触することを容易に防止することができる。
図7に、図6に示す押圧装置100を動作させたときの一例の側面図を示す。
図7に示されるように、第2の部材20及び第3の部材30の間で、鋭角の先端部12を有する第1の部材10を、第3の部材30の第5の面34に沿って押し込んで摺動させる。第1の部材10をこのように摺動させると、図7に示すように、押圧装置100の先端部が開口して第1の部材10の先端が突出する。
第1の部材10を上記のように摺動させることにより、第1の摺動ガイドピン52が挿入された第1の摺動ガイド50にしたがって、第5の面34に交差する方向且つ第5の面34から離間する方向に第2の部材20を移動させて、第4の面27の一部(例えば、押し子28)をスカラップの溶接止端部に垂直に押圧することができる。図7において、大きな矢印が第1の部材10の摺動方向を示し、小さな矢印が、第2の部材20(及び押し子28)の移動方向を示す。
第1の摺動ガイド50の形状は、第3の部材30の第5の面34に沿って第1の部材10を摺動させることにより、第5の面34に交差する方向に向かって第2の部材20を移動させるように構成されている限り特に限定されない。第1の摺動ガイド50の形状は、好ましくは、第2の部材20または第3の部材30のうち一方の側面に、第5の面34に対して垂直方向に延在する。第1の摺動ガイド50は、第2の部材20または第3の部材30のうち一方の側面に貫通していても貫通していなくてもよい。第1の摺動ガイド50は、好ましくは、第2の部材20または第3の部材30のうち一方の両側面に備えられている。
第1の摺動ガイドピン52は、第1の摺動ガイド50に挿入されて上記のように第2の部材20を移動させるように構成されている限り特に限定されない。第1の摺動ガイドピン52は、好ましくは、第2の部材20または第3の部材30のうち他方(第1の摺動ガイド50を備えない方)の側面に、第5の面34に垂直方向に延在する。第1の摺動ガイドピン52は、好ましくは、第2の部材20または第3の部材30のうち他方の両側面に備えられている。
押圧装置100によれば、図7に示されるように、鋭角の先端部を有する第1の部材10を、第2の部材20及び第3の部材30の間で、第5の面34に平行な方向に押し込んで摺動させるため、第1の部材10の押込長さを長くすることができ、第1の部材10に加える押込荷重は小さくても、第1の部材10の押込方向に対して交差する方向(第3の部材30の第5の面34に交差する方向)に大きな荷重を発生させることができる。
そのため、押圧装置100によれば、簡素な機構で極めて小さいスペースで局所押圧処理を行うことができるので、大型の電源等動力や油圧装置を導入することが難しい橋梁等の狭隘部でも、手動のラチェットレンチや、電動のドリルドライバーやレンチなどの一般的工具で、スカラップの溶接止端部のみを押圧処理することができる。したがって、押圧装置100によれば、例えば、橋梁の構造の一部にみられる鋼床版の垂直補剛材と下横構ガセットのスカラップとの隙間が20mm以下といったような狭い箇所や、下横構ガセットの表面にブレースがボルトで取り付けられているような狭い箇所においても、スカラップの溶接止端部のみを押圧処理することができる。
建築や橋梁等の溶接構造体のスカラップ部の厚みは10mm以下程度であることが多く、使用される鋼材の強度は降伏強度が600MPa以下であることが多いため、溶接止端部に塑性変形による圧縮残留応力を導入するには、1~2トン程度の荷重が必要となるが、押圧装置100によれば、溶接止端部を押圧して、塑性変形による圧縮残留応力を導入することができる。
このように、押圧装置100によれば、亀裂が発生しやすいスカラップの溶接止端部に、塑性変形による圧縮残留応力を導入することができ、疲労特性を向上させることができる。
押圧装置100によれば、第1の部材10だけが押圧装置100の先端部から飛び出し、溶接止端部を押圧する第4の面27は、第1の部材10の移動方向とは交差する方向に移動して、溶接止端部に必要な押圧力を付与するため、溶接止端部に不必要なせん断応力が発生し難い。
好ましくは、スカラップの溶接止端部を塑性変形させることは、押圧前を基準として0.1mm以上へこませることを含む。
第1の部材10は、好ましくは、図2に示すように、先端部12とは反対側の第1の部材10の後端部17を有し、後端部側に直角部13を備えた直角三角形の側面及び断面を有する。第1の部材10が直角三角形の断面を有することにより、第1の部材10の後端部17を押して第1の部材をより容易に押し込むことができる。
第1の部材10の鋭角の先端部12の角度θは、好ましくは1~20度である。角度θが前記好ましい範囲内であることにより、第1の部材10に加える押込荷重、第1の部材10の押込長さ、及び押込方向と直角な方向に発生させる荷重のバランスをより良好にすることができる。すなわち、角度θが前記好ましい範囲内であることにより、第1の部材10に加える押込荷重に対して、押込方向と交差する方向(第3の部材30の第5の面34に交差する方向且つ第5の面34から離間する方向)に発生させる荷重を大きくすることができ、且つ第1の部材10の押込長さが長すぎないようにすることができる。第1の部材10の押込長さは、好ましくは10~100mmである。
好ましくは、第1の部材10及び第2の部材20のうち一方が第2の摺動ガイドを有し、第1の部材10及び第2の部材20のうち他方が、第2の摺動ガイドに挿入されるように構成された第2の摺動ガイドピンを有し、第2の摺動ガイドは、第1の部材10の第2の部材に対する相対的な移動方向に平行に形成されている。
図2に、第2の摺動ガイド60を有する第1の部材10の一例の側面図を示し、図3に、第2の摺動ガイド60に挿入されるように構成された第2の摺動ガイドピン62を有する第2の部材20の一例の側面図及び背面図を示す。図3(b)の背面図に示すように、第2の摺動ガイドピン62は、第2の部材20の内側に備えられ得る。図3(a)の側面図においては、第2の摺動ガイドピン62は破線で示されている。
図6の押圧装置100の一例の側面図においては、第1の部材10の第2の摺動ガイド60に、第2の部材20の第2の摺動ガイドピン62が挿入されている。
図7に示す押圧装置100を動作させたときの一例の側面図においては、第2の部材20及び第3の部材30の間で、鋭角の先端部12を有する第1の部材10を、第3の部材30の第5の面34に沿って押し込んで摺動させる際に、第2の摺動ガイドピン62が挿入された第2の摺動ガイド60にしたがって、第1の部材10を摺動させることができる。このように、第2の摺動ガイドピン62が挿入された第2の摺動ガイド60にしたがって第1の部材10を摺動させることにより、第1の部材10を、第3の部材30の第5の面34に沿って押し込んで摺動させることをより安定して行うことができる。
第2の摺動ガイド60の形状は、第1の部材10の先端部12に向かって第3の部材30の第5の面34に沿って第1の部材10を安定して摺動させるように構成されている限り特に限定されないが、第2の摺動ガイド60の形状は、好ましくは、図6に示すように、第1の部材10または第2の部材20のうち一方の側面に、第3の面24に平行方向に延在する。第2の摺動ガイド60は、第1の部材10または第2の部材20のうち一方の側面に貫通していても貫通していなくてもよい。
第2の摺動ガイドピン62の形状は、第2の摺動ガイド60に挿入されて上記のように第1の部材10を安定して摺動させるように構成されている限り特に限定されないが、第2の摺動ガイドピン62の形状は、好ましくは、図6に示すように、第1の部材10または第2の部材20のうち他方(第2の摺動ガイド60を備えない方)の側面に、第2の摺動ガイド60に挿入されるように配置される。
好ましくは、第3の部材30が、第1の部材10の先端部12とは反対側の後端部17を覆う壁部38を有し、壁部38は、第5の面34に平行な方向に貫通するねじ穴70を有し、ねじ穴70にねじ72が螺合されており、ねじ72の先端が第1の部材10の後端部17に当接する。
図4に、第5の面34に平行方向に延在するねじ穴70を有する第3の部材30の一例の側面図及び背面図を示し、図5に、ねじ72の一例の側面図を示す。
図6に太矢印で示すように第3の部材30のねじ穴70にねじ72を回し入れて、図7に示すようにねじ72の先端で第1の部材10の後端部17を押し込むことにより、より小さい力で第1の部材10を押し込んで摺動させることができる。例えば、ドライバー、レンチ、ラチェットレンチ、電動ドリルドライバー等を用いてねじ72を回し入れて、ねじ72の先端で第1の部材10の後端部17を押込むことができる。
ねじ72は、第1の部材10を押し込んで摺動させることができるものであれば特に限定されないが、好ましくは台形ねじ、ユニファイねじ、または角ねじであり、より好ましくは台形ねじである。
ねじ72は、全体がねじでもよく、図5に示すように一部がねじであり、その他の部分がロッド形状を有してもよい。
溶接止端部を押圧する第4の面27の一部は、55以上のロックウェルCスケール硬度を有していてもよく、62以上のロックウェルCスケール硬度を有していてもよい。第4の面27に押し子28を設ける場合、押し子28は、好ましくは62以上のロックウェルCスケール硬度を有する。押圧装置100において、溶接止端部を押圧する部分以外の部分は、溶接止端部を押圧するときに変形しない程度の硬度を有すればよく、好ましくは28以上のロックウェルCスケール硬度を有する。
押し子28は凸形状であればよいが、好ましくは、溶接止端部に接触する押し子28の表面部分は連続しており、曲面、平面、またはそれらの組み合わせで構成される。押し子28の表面部分が前記好ましい形状を有することにより、応力集中部がより少ないか応力集中部を含まない押圧処理部を得ることができる。連続しているとは、曲面、平面、またはそれらの組み合わせの不連続箇所がない滑らかな面で構成されていることを意味する。
押し子28の配置位置は、第2の部材20の第4の面27上において、スカラップの溶接止端部の位置に応じて調節してもよい。好ましくは、押し子28は、スカラップに挿入しやすいように、第2の部材20の第4の面27上の先端部またはその近傍に配置される。第2の部材20は、第4の面27上に、1つまたは複数の押し子を有してもよい。
押し子28は、好ましくは、第3の部材30の第5の面34に平行な方向に一定の長さを有する凸形状を有する。押し子28が第3の部材30の第5の面34に平行な方向に一定の長さを有する凸形状を有することにより、溶接止端部に垂直に押し子28を押圧することをより容易に行うことができる。
押し子28は、第2の部材20の第4の面27上に、好ましくは交換可能に取り付けられている。第2の部材20の第4の面27上に、図9に示すような押し子28を備えた部材80を、ねじ穴82を介してねじ止めして取り付けてもよい。図9は、4つのねじ穴82及び押し子28を備えた部材80を模式的に表した斜視図である。ねじ穴の数は1つ以上の範囲で任意に設定すればよく、好ましくは2~6つである。
部材80は、好ましくは、図9に破線で示すように角を面取りされている。角を面取りすることにより、押圧処理部近傍の溶接金属部に部材80が接触することを容易に防止することができる。面取りする箇所は所望の位置であることができ、部材80をねじ穴を介してねじ止めする場合は、面取り位置に応じて、ねじの位置を変更すればよい。
部材80をねじ穴を介してねじ止めする場合、使用するねじは、好ましくは、低頭ねじまたは超低頭ねじである。ねじ穴は、好ましくはザグリ穴である。このようなねじやねじ穴を用いることにより、ねじが部材80の表面から突出しないようにすることができ、ねじが押圧処理部近傍の溶接金属部に接触することを防止することができる。
押し子28が摩耗したら、ねじ穴82からねじを外して押し子28を備えた部材80を新しいものに交換することができる。
押し子28のみが、第2の部材20の第4の面27上に交換可能に取り付けられていてもよい。図10に示すように、第2の部材20の第4の面27上に溝84を設け、溝84に押し子28を挿入して取り付けてもよい。図10は、溝84に押し子28が挿入された第4の面27を模式的に表した斜視図である。溝84は、好ましくは、図10に模式的に示すような抜け止め841を備える。押し子28が摩耗したら、溝84から押し子28を取り外して新しいものに交換することができる。溝は例えばキー溝であることができる。
溝84の位置は、溶接止端部の位置に応じて、図10の矢印の範囲内で所望の位置にすることができる。第2の部材20の第4の面27上に設ける溝84は、1つでもよいが2以上でもよい。第2の部材20の第4の面27上に溝84を2つ以上設け、溶接止端部の位置に応じて、2つ以上の溝84のうち1つ以上に、押し子28を挿入して取り付けてもよい。
2.溶接構造体の溶接止端部の押圧方法
図11に、押圧装置100を用いて、溶接構造体のスカラップの溶接止端部を押圧する態様の一例を模式的に表した斜視図を示す。
図11において、溶接構造体は、第1の鋼板1、第2の鋼板2、及び第3の鋼板3を含み、第1の鋼板1と第2の鋼板2とがT字溶接されており、第3の鋼板3がスカラップ4を備え、スカラップ4内に第2の鋼板2が隙間5を空けて入るように、且つスカラップ4によってT字溶接部を避けるように、第3の鋼板3が第1の鋼板1に角回し溶接されてスカラップ4の溶接止端部6が形成されている。第3の鋼板3と第1の鋼板1との間に角回し溶接部7が形成されている。好ましくは、第3の鋼板3は、第1の鋼板1及び第2の鋼板2に対して直交する。なお、本発明に係る溶接構造体は、上記の構造を有する任意の溶接構造体であってよく、新たに製造される溶接構造体だけでなく、既存の溶接構造体をも包含するものである。
押圧装置100の第3の部材30の第6の面36を第2の鋼板の表面に接触させるとともに、押圧装置100の第2の部材20の第4の面27の一部がスカラップ4の溶接止端部6に対向するように、第2の部材20をスカラップ4と第2の鋼板2との間の隙間5に挿入することができる。
第1の部材10を第2の部材20と第3の部材30との間に押し込んで、第1の部材10の第3の部材30に対する相対的な移動方向に交差する方向に、第2の部材20を第3の部材30に対して相対的に移動させることにより、第2の部材20の第4の面27の一部によってスカラップ4の溶接止端部6を押圧することができる。例えば、第3の部材30の第5の面34に沿って図11に白矢印で示す方向(第3の鋼板3の表面に対して垂直方向)に且つ隙間5に先端部12を挿入するように第1の部材10を摺動させることにより、第2の部材20を第1の摺動ガイドにしたがってスカラップ4の溶接止端部6の表面に対して垂直方向に摺動させて、第4の面27によりスカラップ4の溶接止端部6を押圧することができる。
このように、押圧装置100によれば、作業スペースが狭い場合でも、スカラップ4の溶接止端部6を、第4の面27によって垂直に押圧することができる。また、押圧装置100は、図11に示すような構造を有する任意の溶接構造体におけるスカラップ4の溶接止端部6に適用できるため、新たに製造される溶接構造体だけでなく、従来、押圧による圧縮残留応力を導入できなかった既存の溶接構造体に対する疲労対策としても有効に使用することが可能である。
3.溶接構造体の製造方法
本発明はまた、押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法であって、
前記溶接構造体は、第1の鋼板、第2の鋼板、及び第3の鋼板を含み、
前記第1の鋼板と前記第2の鋼板とがT字溶接されており、
前記第3の鋼板がスカラップを備え、
前記スカラップ内に前記第2の鋼板が隙間を空けて入るように、且つ前記スカラップによって前記T字溶接部を避けるように、前記第3の鋼板が前記第1の鋼板に角回し溶接されて前記スカラップの溶接止端部が形成されており、
前記押圧装置は、第1の部材と、第2の部材と、第3の部材とを有し、
前記第1の部材は、第1の面と第2の面とで構成される鋭角の先端部を備え、前記スカラップと前記第2の鋼板との間の前記隙間に前記先端部が挿入され、
前記第2の部材は、前記第2の面に摺動可能に接する第3の面と、前記第3の面の前記第2の面側とは反対側の第4の面とを有し、
前記第3の部材は、前記第1の面に摺動可能に接する第5の面と、前記第5の面の前記第1の面側とは反対側の第6の面とを有し、
前記第1の部材は、前記第2の面が前記第2の部材の前記第3の面に接しながら且つ前記第1の面が前記第3の部材の前記第5の面に接しながら、前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動可能であり、
前記第2の部材及び前記第3の部材のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、前記第2の部材及び前記第3の部材のうち他方が前記第1の摺動ガイドに挿入される第1の摺動ガイドピンを有し、
前記第1の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成され、
前記製造方法は、
前記押圧装置の前記第3の部材の前記第6の面を前記第2の鋼板の表面に接触させるとともに、前記押圧装置の前記第2の部材の前記第4の面の一部が前記スカラップの溶接止端部に対向するように、前記第2の部材を前記スカラップと前記第2の鋼板との間の前記隙間に挿入すること、並びに
前記第1の部材を前記第2の部材と前記第3の部材との間に押し込んで、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に、前記第2の部材を前記第3の部材に対して相対的に移動させることにより、前記第2の部材の前記第4の面の前記一部によって前記スカラップの前記溶接止端部を押圧すること、
を含む、製造方法を対象とする。
本発明の製造方法によれば、スカラップの溶接止端部が十分に押圧された溶接構造体を製造することができる。以下に、図面を参照しながら当該製造方法の構成を説明する。
溶接構造体は、第1の鋼板、第2の鋼板、及び第3の鋼板を含む。図11に、第1の鋼板1、第2の鋼板2、及び第3の鋼板3を含む溶接構造体を模式的に表した斜視図を示す。なお、溶接構造体は、上記のとおり、新たに製造される溶接構造体だけでなく、既存の溶接構造体をも包含するものである。
第1の鋼板1、第2の鋼板2、及び第3の鋼板3は、第1の鋼板1と第2の鋼板2とがT字溶接されており、第3の鋼板3がスカラップ4を備え、スカラップ4内に第2の鋼板2が隙間5を空けて入るように、且つスカラップ4によってT字溶接部を避けるように、第3の鋼板3が第1の鋼板1に角回し溶接されてスカラップ4の溶接止端部6が形成されている溶接構造体を構成していれば、とくに限定されるものではない。第3の鋼板3と第1の鋼板1との間に角回し溶接部7が形成されている。好ましくは、第3の鋼板3は、第1の鋼板1及び第2の鋼板2に対して直交する。
例えば、第1の鋼板1はウェブであり、第2の鋼板2は垂直補剛材であり、第3の鋼板3は、下横溝ガゼットである。あるいは、例えば、第1の鋼板1はフランジであり、第2の鋼板2は垂直補剛材であり、第3の鋼板3はウェブである。
押圧装置100は、図2及び図11に模式的に示すように、例えば、第1の鋼板1の表面に対して垂直方向からみたときに楔状の断面を有し且つスカラップ4と第2の鋼板2との間の隙間5に先端部12が挿入される第1の部材10を含んでもよい。楔状とは、V字形または三角形を意味する。
押圧装置100は、図3及び図11に模式的に示すように、第1の部材10の第2の面16に摺動可能に接する第3の面24を有し且つ第1の部材10の少なくとも一部を覆う第2の部材20を含んでもよい。第2の部材20は、第3の面24に対向する第4の面27上に、55以上のロックウェルCスケール硬度を有する凸形状の押し子28を備えてもよい。
押圧装置100は、図4及び図11に模式的に示すように、第1の部材10の第1の面15に摺動可能に接する第5の面34及び第5の面34に対向する第6の面36を有し、且つ第1の部材10の少なくとも一部を覆う第3の部材30を含んでもよい。
第2の部材20及び第3の部材30のうち一方が第1の摺動ガイドを有してもよく、第2の部材20及び第3の部材30のうち他方が、第1の摺動ガイドに挿入されるように構成された第1の摺動ガイドピンを有してもよい。
第1の摺動ガイドは、第1の部材の第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成される。例えば、第1の摺動ガイド及び第1の摺動ガイドピンは、第3の部材30の第5の面34に沿って第1の部材10を先端部12の方向に摺動させると第5の面34に垂直方向且つ第5の面34から離間する方向に第2の部材20を摺動させるように構成されてもよい。
本発明の製造方法は、押圧装置100の第3の部材30の第6の面36を第2の鋼板2の表面に接触させるとともに、押圧装置100の第2の部材20の第4の面27の一部がスカラップ4の溶接止端部6に対向するように、第2の部材20をスカラップ4と第2の鋼板2との間の隙間に挿入する。例えば、押圧装置100の第3の部材30の第6の面36を第2の鋼板2の表面に接触させるとともに、押圧装置100の第2の部材20の押し子28がスカラップ4の溶接止端部6に対向するように、押し子28をスカラップ4と第2の鋼板2との間の隙間5に挿入してもよい。
本発明の製造方法は、第1の部材10を第2の部材20と第3の部材30との間に押し込んで、第1の部材10の第3の部材30に対する相対的な移動方向に交差する方向に、第2の部材20を第3の部材30に対して相対的に移動させることにより、第2の部材20の第4の面27の一部によってスカラップ4の溶接止端部6を押圧する。例えば、第3の部材30の第5の面34に沿って第3の鋼板3の表面に対して垂直方向に且つ隙間5に先端部12を挿入するように第1の部材10を摺動させることにより、第2の部材20を第1の摺動ガイドにしたがってスカラップ4の溶接止端部6の表面に対して垂直方向に摺動させて、押し子28によりスカラップ4の溶接止端部6を押圧してもよい。
本発明の製造方法によれば、第3の部材30の第6の面36を第2の鋼板2の表面に接触させて、第2の鋼板2の表面を支えにしながら、第4の面27の一部(例えば押し子28)だけを、スカラップ4の溶接止端部6に垂直に押圧して、押圧部だけに大きな荷重を作用させることができる。
好ましくは、第1の部材10及び第2の部材20のうち一方が第2の摺動ガイドを有し、第1の部材10及び第2の部材20のうち他方が、第2の摺動ガイドに挿入されるように構成された第2の摺動ガイドピンを有し、第2の摺動ガイドは、第1の部材10の第2の部材20に対する相対的な移動方向に平行に形成されており、第2の摺動ガイドに沿って第2の摺動ガイドピンを移動させるとともに第1の部材10を第2の部材20に対して相対的に移動させる。
好ましくは、第3の部材30が、先端部12とは反対側の第1の部材10の後端部17を覆う壁部38を有し、壁部38は、第5の面34に平行な方向に貫通するねじ穴70を有し、ねじ穴70にねじ72が螺合されており、ねじ72の先端が第1の部材10の後端部17に当接し、ねじ72の先端で第1の部材10の後端部17を押し込むことにより、第1の部材10を第2の部材20及び第3の部材30に対して相対的に移動させる。
押圧装置100、第1の部材10、第2の部材20、第3の部材30、第1の摺動ガイド、第1の摺動ガイドピン、第2の摺動ガイド、第2の摺動ガイドピン、並びに第1の部材10を押し込むねじ穴及びねじのその他の構成については、上記押圧装置100に関して説明した内容が適用される。
1 第1の鋼板
2 第2の鋼板
3 第3の鋼板
4 スカラップ
5 隙間
6 溶接止端部
7 角回し溶接部
100 押圧装置
10 第1の部材
12 第1の部材の先端部
13 第1の部材の直角部
15 第1の部材の第1の面
16 第1の部材の第2の面
17 第1の部材の後端部
20 第2の部材
24 第2の部材の第3の面
27 第2の部材の第4の面
271 第4の面における第3の部材の第5の面に平行な面
28 押し子
30 第3の部材
34 第3の部材の第5の面
36 第3の部材の第6の面
38 第3の部材の壁部
50 第1の摺動ガイド
52 第1の摺動ガイドピン
54 第1の摺動ガイドピン配置部
60 第2の摺動ガイド
62 第2の摺動ガイドピン
70 ねじ穴
72 ねじ
80 押し子を備えた部材
82 ねじ穴
84 溝
841 抜け止め

Claims (8)

  1. 溶接構造体の溶接止端部を押圧する押圧装置であって、
    第1の部材と、第2の部材と、第3の部材とを有し、
    前記第1の部材は、第1の面と第2の面とで構成される鋭角の先端部を有し、
    前記第2の部材は、前記第2の面に摺動可能に接する第3の面と、前記第3の面の前記第2の面側とは反対側の第4の面とを有し、
    前記第3の部材は、前記第1の面に摺動可能に接する第5の面を有し、
    前記第1の部材は、前記第2の面が前記第2の部材の前記第3の面に接しながら且つ前記第1の面が前記第3の部材の前記第5の面に接しながら、前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動可能であり、
    前記第2の部材及び前記第3の部材のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、前記第2の部材及び前記第3の部材のうち他方が前記第1の摺動ガイドに挿入される第1の摺動ガイドピンを有し、
    前記第1の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成され、
    前記第2の部材の前記第4の面の一部が前記溶接止端部を押圧する、
    押圧装置。
  2. 前記第2の部材は、前記第4の面の前記一部に凸形状の押し子を備え、
    前記押し子は、55以上のロックウェルCスケール硬度を有する、
    請求項1に記載の押圧装置。
  3. 前記第1の部材及び前記第2の部材のうち一方が第2の摺動ガイドを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材のうち他方が前記第2の摺動ガイドに挿入される第2の摺動ガイドピンを有し、
    前記第2の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第2の部材に対する相対的な移動方向に平行に形成されている、
    請求項1または2に記載の押圧装置。
  4. 前記第3の部材が、前記第1の部材の前記先端部とは反対側の後端部を覆う壁部を有し、
    前記壁部は、前記第5の面に平行な方向に貫通するねじ穴を有し、
    前記ねじ穴にねじが螺合されており、
    前記ねじの先端が前記第1の部材の前記後端部に当接する、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の押圧装置。
  5. 押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法であって、
    前記溶接構造体は、第1の鋼板、第2の鋼板、及び第3の鋼板を含み、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板とがT字溶接されており、
    前記第3の鋼板がスカラップを備え、
    前記スカラップ内に前記第2の鋼板が隙間を空けて入るように、且つ前記スカラップによって前記T字溶接部を避けるように、前記第3の鋼板が前記第1の鋼板に角回し溶接されて前記スカラップの溶接止端部が形成されており、
    前記押圧装置は、第1の部材と、第2の部材と、第3の部材とを有し、
    前記第1の部材は、第1の面と第2の面とで構成される鋭角の先端部を備え、前記スカラップと前記第2の鋼板との間の前記隙間に前記先端部が挿入され、
    前記第2の部材は、前記第2の面に摺動可能に接する第3の面と、前記第3の面の前記第2の面側とは反対側の第4の面とを有し、
    前記第3の部材は、前記第1の面に摺動可能に接する第5の面と、前記第5の面の前記第1の面側とは反対側の第6の面とを有し、
    前記第1の部材は、前記第2の面が前記第2の部材の前記第3の面に接しながら且つ前記第1の面が前記第3の部材の前記第5の面に接しながら、前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動可能であり、
    前記第2の部材及び前記第3の部材のうち一方が第1の摺動ガイドを有し、前記第2の部材及び前記第3の部材のうち他方が前記第1の摺動ガイドに挿入される第1の摺動ガイドピンを有し、
    前記第1の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に形成され、
    前記製造方法は、
    前記押圧装置の前記第3の部材の前記第6の面を前記第2の鋼板の表面に接触させるとともに、前記押圧装置の前記第2の部材の前記第4の面の一部が前記スカラップの溶接止端部に対向するように、前記第2の部材を前記スカラップと前記第2の鋼板との間の前記隙間に挿入すること、並びに
    前記第1の部材を前記第2の部材と前記第3の部材との間に押し込んで、前記第1の部材の前記第3の部材に対する相対的な移動方向に交差する方向に、前記第2の部材を前記第3の部材に対して相対的に移動させることにより、前記第2の部材の前記第4の面の前記一部によって前記スカラップの前記溶接止端部を押圧すること、
    を含む、製造方法。
  6. 前記第2の部材は、前記第4の面の前記一部に凸形状の押し子を備え、前記押し子は55以上のロックウェルCスケール硬度を有し、
    前記押し子で前記溶接止端部を押圧する、
    請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記第1の部材及び前記第2の部材のうち一方が第2の摺動ガイドを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材のうち他方が前記第2の摺動ガイドに挿入される第2の摺動ガイドピンを有し、
    前記第2の摺動ガイドは、前記第1の部材の前記第2の部材に対する相対的な移動方向に平行に形成されており、
    前記第2の摺動ガイドに沿って前記第2の摺動ガイドピンを移動させるとともに前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させる、
    請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 前記第3の部材が、前記第1の部材の前記先端部とは反対側の後端部を覆う壁部を有し、
    前記壁部は、前記第5の面に平行な方向に貫通するねじ穴を有し、
    前記ねじ穴にねじが螺合されており、
    前記ねじの先端が前記第1の部材の前記後端部に当接し、
    前記ねじの前記先端で前記第1の部材の前記後端部を押し込むことにより、前記第1の部材を前記第2の部材及び前記第3の部材に対して相対的に移動させる、
    請求項5から7のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2020005906A 2020-01-17 2020-01-17 溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法 Active JP7295434B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020005906A JP7295434B2 (ja) 2020-01-17 2020-01-17 溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020005906A JP7295434B2 (ja) 2020-01-17 2020-01-17 溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021112761A JP2021112761A (ja) 2021-08-05
JP7295434B2 true JP7295434B2 (ja) 2023-06-21

Family

ID=77076400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020005906A Active JP7295434B2 (ja) 2020-01-17 2020-01-17 溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7295434B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011024784A1 (ja) 2009-08-24 2011-03-03 新日本製鐵株式会社 面外ガセット溶接継手及びその製作方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10296480A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Press Kogyo Co Ltd 溶接止端部の加圧方法と加圧装置
JP6451218B2 (ja) * 2014-10-31 2019-01-16 新日鐵住金株式会社 補剛材の隅肉溶接方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011024784A1 (ja) 2009-08-24 2011-03-03 新日本製鐵株式会社 面外ガセット溶接継手及びその製作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021112761A (ja) 2021-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4677588B2 (ja) 予亀裂導入方法および装置
JP7197300B2 (ja) パレットクランプ
JP2009036785A (ja) 把持具
JP2018080923A (ja) 二軸圧縮引張試験用治具および二軸圧縮引張試験方法
KR20160041968A (ko) 앵커 볼트
JP7295434B2 (ja) 溶接止端部の押圧装置及び当該押圧装置により溶接止端部が押圧された溶接構造体の製造方法
US20210071800A1 (en) Press seal with an elastomer body and a tensioning bolt
Pragana et al. A new joining by forming process to produce lap joints in metal sheets
US11225033B2 (en) Ultrasonic welding device
JP6403453B2 (ja) 連結構造
JP2002082032A (ja) 2軸材料強度試験機
JP2008076314A (ja) コンクリートのせん断試験方法及びせん断試験用治具
JP2009051001A (ja) シャー角付き打ち抜きせん断装置
Pan et al. Failure mode and fatigue behavior of flow drill screw joints in lap-shear specimens of aluminum 6082-T6 sheets made with different processing conditions
JP6726597B2 (ja) レーザ加工機
CN115326552A (zh) 一种防止复合板材连续拉压实验失稳的夹持装置
Gao et al. Evaluation and reduction of the non-coaxiality in stack drilling using the pre-installed fasteners
US3168941A (en) Repair key and method of closing cracks
Yiemchaiyaphum et al. Die design in fine-piercing process by chamfering cutting edge
JP5304315B2 (ja) コネクティングロッド部品の製造装置及び製造方法
Gupta et al. Experimental Investigation and Fabrication of Pneumatic Punch
JP4580961B2 (ja) 鉄筋固定装置
Väisänen et al. Bendability of ultra-high-strength steel
JP6432758B2 (ja) 柱梁接合構造
US20020194929A1 (en) Method for determining compressive strength of cores

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220905

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230428

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230509

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230522

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7295434

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151