JP7294726B1 - 食品生地の丸め装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小麦粉等の穀粉に対して多量の水分を加えて混練した多加水生地であっても、分割装置から送られてきた生地玉に対して連続的に丸め成形を行うことが可能な食品生地の丸め装置を提供する。【解決手段】生地玉を受け入れ、これに丸め成形を施しながら搬送して排出する食品生地の丸め装置であって、回転軸が水平方向に対して傾斜して設けられた一対の搬送ロールの間に張り渡されて回動すると共に、水平方向に対して傾斜した生地玉の転動面を形成する第一搬送ベルト3及び第二搬送ベルト4を有し、これら第一搬送ベルト3の転動面30及び第二搬送ベルト4の転動面40は互いに隣接して断面V字状の生地玉6の走行溝20を形成し、前記第一搬送ベルト3は前記走行溝20内に受け入れた生地玉6を排出部に向けて搬送する方向に回動する一方、前記第二搬送ベルト4は前記第一搬送ベルト3とは逆方向へ当該第一搬送ベルト3よりも遅い周速で回動する。【選択図】 図4

Description

本発明は、例えば混錬されたパン生地等の食品生地を所定サイズに分割した後に、分割された不整形の生地玉を丸める行程で使用する丸め装置に関する。
製パン工程では、ミキサーによってパン生地を練り上げた後、当該パン生地をパンの焼き上がりの大きさに応じた所定サイズに分割する必要がある。分割されたパン生地(以下、「生地玉」という)には切り口が残存しており、そのままの状態で発酵工程に進むと、当該発酵工程において発生した炭酸ガスが生地から抜けてしまい、焼成したパンの出来上がりが悪化してしまう。このため、製パン工場において大量にパンを生産する場合には、分割機から連続的に排出される生地玉を丸め装置に順次送り、分割後のふぞろいな形の生地玉を丸く整えて表皮を形成する必要がある。
この種の丸め装置としては、特許文献1に開示されるように、回転するドラムを用いて、当該ドラムの外周面に沿って生地玉を螺旋状に公転させながら丸め成形を行うものが知られている。また、特許文献2に開示されるように、一対の駆動ロール及び従動ロールに架け回された搬送ベルトを用い、当該搬送ベルトによって生地玉を一定方向へ搬送しながら、当該生地玉の丸め整形を行うものも知られている。いずれの丸め装置においても、移動するドラム又は搬送ベルトの表面に沿って案内部材を配置して生地玉の搬送通路を形成し、かかる搬送通路内を生地玉がドラム又は搬送ベルトに引きずられるように転がり、当該生地玉の丸め成形が行われている。
特開2020-115852 特開2021-122264
製パン工程においては、使用する小麦粉の種類や製造するパンの種類によって加水率(小麦粉等の穀粉に対して加える水分の割合)が異なっており、一般的なパンの加水率は小麦粉100%に対して60~65%と言われている。加水率が高くなると、パン生地を混練した際に生じるグルテンの膜が柔らかくなり、焼成したパンは弾力があり且つしっとりとした食感になり、風味が長持ちし易いといった特質がある。また、近年の世界的な食糧不足から小麦粉等の穀粉の価格は高騰する傾向にあり、この点においても小麦粉等の消費量を抑えることが可能な高加水率のパン生地に注目が集まっている。
その一方、加水率の高いパン生地は、水分が多いためにベタつきが生じやすく、生地を所定量に小分けにする分割やその後の丸め成形における作業性が悪いといった課題があった。特に、高加水率のパン生地を特許文献1又は特許文献2に開示される丸め装置に投入すると、生地玉が搬送通路を走行する際に前記案内部材に多量に付着してしまい、数個の生地玉が走行するだけで当該案内部材の清掃が必要となり、実質的に丸め装置を使用して短時間で大量の生地玉の丸め成形を処理することは困難であった。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、小麦粉等の穀粉に対して多量の水分を加えて混練した多加水生地であっても、分割装置から送られてきた生地玉に対して連続的に丸め成形を行うことが可能な食品生地の丸め装置を提供することにある。
すなわち、本発明は、生地玉を受け入れ、これに丸め成形を施しながら搬送して排出する食品生地の丸め装置であって、回転軸が水平方向に対して傾斜して設けられた一対の搬送ロールの間に張り渡されて回動すると共に、水平方向に対して傾斜した生地玉の転動面を形成する第一搬送ベルト及び第二搬送ベルトを有し、これら第一搬送ベルトの転動面及び第二搬送ベルトの転動面は互いに隣接して断面V字状の生地玉の走行溝を形成し、前記第一搬送ベルトは前記走行溝内に受け入れた生地玉を排出部に向けて搬送する方向に回動する一方、前記第二搬送ベルトは前記第一搬送ベルトとは逆方向へ当該第一搬送ベルトよりも遅い周速で回動することを特徴とするものである。
このような本発明によれば、前記第一搬送ベルトの転動面と前記第二搬送ベルトの転動面は互いに逆方向へ進行しており、各搬送ベルトの転動面に対する生地玉の相対的な移動速度が速いことから、多量の水分を加えて混練した多加水生地を小分けにした生地玉を前記走行溝内に投入しても、かかる転動面に対する生地玉の付着を抑えることができ、分割装置から連続的に送られてきた生地玉に対して丸め成形を行うことが可能となる。
本発明を適用した食品生地の丸め装置の実施形態の一例を示す正面図である。 図1に示す食品生地の丸め装置の平面図である。 図1に示す食品生地の丸め装置の左側面図である。 図1のIV-IV線断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を適用した食品生地の丸め装置の実施形態を説明する。
図1乃至図3は本発明をパン生地の丸め装置に適用した実施形態の一例を示すものである。これらの図ではパン生地を所定量の生地玉に分割する分割装置Dの後段に本発明の丸め装置1が連結されている。前記分割装置Dは大量に混錬されたパン生地を受け入れるホッパー10を有している。パン生地は前記ホッパー10から所定容積のシリンダ11に導入された後、当該シリンダ11内を往復動するピストン12によって前記シリンダ11から押し出され、所定分量の生地玉に分割される。前記シリンダ11から押し出された生地玉はコンベアベルト13上に落下し、当該コンベアベルト13によって後段に接続された丸め装置1に搬送される。
前記丸め装置1は、前記分割装置Dから次々に排出される生地玉を受け入れ、これら生地玉を直線的に搬送しながら丸め工程を施し、次工程に向けて排出する。この丸め装置1は生地玉を直線的に移送しながら丸め成形を行うベルト搬送ユニット2を有している。前記ベルト搬送ユニット2には断面略V字状の走行溝20が当該ベルト搬送ユニット2の長手方向に沿って設けられており、前記分割装置Dのコンベアベルト13は生地玉を前記走行溝20の一端に落とし込む。前記走行溝20内に受け入れられた生地玉は当該走行溝20内を矢線X方向(図1及び図2参照)へ進行し、ベルト搬送ユニット2の他端から次工程へ排出される。すなわち、前記ベルト搬送ユニット2の前記分割装置D側の一端が生地玉の受け入れ部、反対側の他端が生地玉の排出部となる。
前記ベルト搬送ユニット2は互いに隣接して設けられた第一搬送ベルト3及び第二搬送ベルト4から構成されている。これら搬送ベルト3,4のそれぞれは無端状をなしており、各搬送ベルト3,4は一対の搬送ロール(図示せず)に架け回されて、前記生地玉が接する転動面30,40を形成している。前記第一搬送ベルト3及び前記第二搬送ベルト4に対する生地玉の付着を抑えるため、これら搬送ベルト3,4の表面にはエンボス加工によって無数の細かな凹凸が形成されると共に、生地玉の剥離性を高めるコーティングが施されている。
各搬送ベルト3,4を架け回した一対の搬送ロールは装置フレーム5に対して回転自在に保持されると共に、調整機構(図示せず)によってこれら一対の搬送ロールの間隔は微調整が可能であり、それによって各搬送ベルト3,4に作用するテンションを調節することができる。また、一対の搬送ロールのうちの一方にはモータの回転出力が伝達されており、それによって前記第一搬送ベルト3及び第二搬送ベルト4は無限循環している。
前記第一搬送ベルト3を架け回した一対の搬送ロールは回転軸方向が鉛直方向に対して傾斜しており、図3及び図4に示すように、前記第一搬送ベルト3における生地玉6の転動面30は所定角度αで斜めに傾斜している。また、前記第二搬送ベルト4を架け回した一対の搬送ロールも回転軸方向が鉛直方向に対して傾斜しており、前記第二搬送ベルト4における生地玉6の転動面40は所定角度βで斜めに傾斜している。これにより、前記第一搬送ベルト3の転動面30と前記第二搬送ベルト4の転動面40が断面略V字状の走行溝20を形成し、分割装置Dから丸め装置1に受け入れられた生地玉6はこの走行溝20の最深部を前記受け入れ部から排出部へ進行する。
前記第一搬送ベルト3の回転方向は当該第一搬送ベルト3の転動面30が前記走行溝20内に受け入れた生地玉6を排出部に向けて搬送する方向(X方向)に設定されている。これに対して、前記第二搬送ベルト4の回転方向は当該第二搬送ベルト4の転動面40が前記走行溝20内の生地玉6を受け入れ部に戻す方向(逆X方向)に設定されている。すなわち、前記走行溝20を挟んで対向する第一搬送ベルト3の転動面30と第二搬送ベルト4の転動面40は互いに逆方向へ移動していることになる。また、前記第二搬送ベルト4の周速は前記第一搬送ベルト3の周速よりも遅く設定されている。
前記第一搬送ベルト3の周速は、単位時間当たりに丸め成形を行う生地玉の個数、生地玉の大きさ、生地に対する加水率、生地玉の丸め成形の良否に応じて任意に調整することができる。また、前記第二搬送ベルト4の周速は前記第一搬送ベルト3の周速よりも遅い範囲で任意に設定することができ、生地玉6の丸め成形の良否に応じて調整可能である。
また、前記ベルト搬送ユニット2は受け入れ部側の高さに対して排出部側の高さを調整可能となっており、通常は前記走行溝20が受け入れ部から排出部へ向けて登り傾斜に設定されている。すなわち、生地玉6が走行溝20内を自重では排出部へ向けて転動せず、前記第一搬送ベルト3の回転によってのみ前記走行溝20内を排出部へ向けて進行するように構成されている。そして、このベルト搬送ユニット2の傾斜角度は生地玉の大きさ、生地に対する加水率、前記第一搬送ベルト3及び第二搬送ベルト4の回転速度、生地玉6の丸め成形の良否に応じて任意に調整することができる。
前記ベルト搬送ユニット2の受け入れ部の上方には粉振り器7が設けられており、前記第一搬送ベルト3の転動面30及び前記第二搬送ベルト4の転動面40に対して、連続的又は間欠的に打ち粉を振るい落としている。
以上のように構成された生地玉の丸め装置1では、前記受け入れ部において生地玉6が前記分割装置Dのコンベヤベルト13から前記ベルト搬送ユニット2の走行溝20に落とし込まれると、当該生地玉6は前記第一搬送ベルト3の転動面30と前記第二搬送ベルト4の転動面40に接する。前記第一搬送ベルト3の転動面30はX方向へ進行し、前記第二搬送ベルト4の転動面40は逆X方向へ進行しており、これによって走行溝20内に落下した生地玉には一定方向の回転が与えられる。また、前記第一搬送ベルト3の周速は前記第二搬送ベルト4のそれよりも速いため、結果として生地玉6は前記走行溝20内をX方向へ転動し、前記ベルト搬送ユニット2の受け入れ部から排出部へ向けて搬送される。
本実施形態の丸め装置1において、前記第一搬送ベルト3の転動面30及び前記第二搬送ベルト4の転動面40は断面略V字状の走行溝20を形成しており、図4に示すように、生地玉6は所定角度で交わった前記第一搬送ベルト3の転動面30及び前記第二搬送ベルト4の転動面40の双方に接して当該走行溝20内で回転を与えられている。このため、生地玉6は前記第一搬送ベルト3及び前記第二搬送ベルト4から異なる方向の回転力が与えられており、生地玉6は捩じられながら前記走行溝20内を転動すると共に、前記第一搬送ベルト3の転動面30及び前記第二搬送ベルト4の転動面40に対してスリップを生じている。これにより、生地玉6の表皮が滑らかに整えられ、生地玉6の丸め成形がなされる。
そして、前記第一搬送ベルト3の転動面30と前記第二搬送ベルト4の転動面40は互いに逆方向へ進行しており、各搬送ベルト3,4の転動面30,40に対する生地玉6の相対的な移動速度が速いことから、加水率の高いパン生地を小分けにした生地玉を前記走行溝20内に投入しても、かかる転動面30,40に対する生地玉6の付着を抑えることが可能である。このため、多量の水分を加えて混練した多加水生地であっても、分割装置Dから送られてきた生地玉6に対して連続的に丸め成形を行うことができ、丸め成形を自動化することが可能となる。
前記第一搬送ベルト3の転動面30が鉛直方向となす角度α、前記第二搬送ベルト4の転動面40が鉛直方向となす角度βは、前記走行溝20に投入される生地玉6の大きさや、走行溝20から排出された生地玉6の丸め成形の良否などに応じ、任意に調整することが可能である。このとき、角度βを角度αよりも大きく設定すると、生地玉6が前記第二搬送ベルト4に接する面積が第一搬送ベルト3に接する面積よりも増加することから、各搬送ベルト3,4の周速を高めつつも走行溝20内における生地玉6の搬送速度を抑えることができ、生地玉6の丸め成形を促進しながら、且つ、生地玉6が各搬送ベルト3,4に対してベタ付くのを抑えることが可能となる。
また、前記第一搬送ベルト3の転動面30が鉛直方向となす角度α、前記第二搬送ベルト4の転動面40が鉛直方向となす角度βは、走行溝20に投入される生地玉6の大きさや、走行溝20から排出された生地玉6の丸め成形の良否などに応じ、任意に調整することが可能である。但し、走行溝20内を転動する生地玉6に対して十分な捩じれ力を与えて当該生地玉6の表皮形成を促進するという観点からは、前記第一搬送ベルト3の転動面30と前記第二搬送ベルト4の転動面40がなす角度(α+β)は90度よりも小さいことが好ましい。
このように、本発明を適用した丸め装置1ではベルト搬送ユニット2に対する生地玉6のベタ付きを抑えつつ、当該生地玉6の丸め整形を促進することができ、小麦粉等の穀粉に対して多量の水分を加えて混練した多加水生地であっても、分割装置Dから連続的に送られてきた生地玉に対して丸め成形を行うことが可能となる。
尚、前述の実施形態では食品生地として混錬されたパン生地を例に挙げて説明したが、本発明の丸め装置の適用対象はこれ以外の他の食品生地であっても差し支えない。
1…丸め装置、2…ベルト搬送ユニット、3…第一搬送ベルト、4…第二搬送ベルト、6…生地玉、20…走行溝、30…第一搬送ベルト転動面、40…第二搬送ベルト転動面

Claims (3)

  1. 生地玉を受け入れるベルト搬送ユニットを有し前記生地玉に丸め成形を施しながら前記生地玉の受入れ部から排出部へ搬送して排出する食品生地の丸め装置であって、
    前記ベルト搬送ユニットは、回転軸が水平方向に対して傾斜して設けられた一対の搬送ロールの間に張り渡されて回動すると共に、水平方向に対して傾斜した生地玉の転動面を形成する第一搬送ベルト及び第二搬送ベルトを有し、
    これら第一搬送ベルトの転動面及び第二搬送ベルトの転動面は、各転動面の下端が互いに隣接していると共に前記下端を含む鉛直面から互いに異なる方向に傾斜して断面V字状の生地玉の走行溝を形成し、
    前記第一搬送ベルトは前記走行溝内に受け入れた生地玉を前記排出部に向けて搬送する方向に回動する一方、前記第二搬送ベルトは前記第一搬送ベルトとは逆方向へ当該第一搬送ベルトよりも遅い周速で回動し、
    前記生地玉は、前記第一搬送ベルト及び前記第二搬送ベルトのみに接しながら前記走行溝内を前記受け入れ部から前記排出部へ搬送されることを特徴とする食品生地の丸め装置。
  2. 前記第二搬送ベルトの転動面が鉛直方向となす角度は前記第一搬送ベルトの転動面のそれよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の食品生地の丸め装置。
  3. 前記第一搬送ベルトと前記第二搬送ベルトのなす角は90度よりも小さいことを特徴とする請求項2記載の食品生地の丸め装置。
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