JP7293819B2 - 液滴アレイ測定に関する装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液滴アレイ測定をより効率的かつ簡便・迅速に行える装置及び方法に関する。
マイクロ流体装置を用いて、微小液滴内で所定の反応を行い、単一レベルで分子などを分画することで、デジタル計測への応用が期待されている。近年、装置の簡便化・迅速化の観点から、検出領域に液滴を単層に整列させて簡便にシグナルを測定する液滴アレイ測定が注目されている。
液滴アレイ測定では、より効率的にシグナル測定を行うため、検出領域に液滴を高密度かつ液滴同士が重ならないように配列させる必要がある。一般的な方法として、液滴同士が重ならないように液滴の大きさと同程度の高さの幅の広い流路に液滴を滞留させ保持する方法があるが(非特許文献1)、液滴を高密度に配列することに課題があった。例えば、液滴を流路に保持する前に、分散層と連続層の比重差などを利用してエマルジョンを濃縮するといった方法が提案されているが(特許文献1、非特許文献2)、送液操作が増加し、装置が複雑化するため、簡便・迅速な測定には不向きであった。
特開2016-138896号公報
Chaoyong James Yang et al, BIOMICROFLUIDICS 8, 014110(2014) Deniz Pekin et al,Lab on a Chip 11, 2156-2166(2011) Remi Dangla et al, Lab on a Chip 10, 2032-2045(2010) Howard A. Stone et al, Microfluid Nanofluid, 5,585-594(2008)
本発明の目的は、微小液滴法の液滴アレイ測定をより効率的かつ簡便・迅速に行える装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の一態様は、
分散層と連続層とを接触させて液滴を形成させるための液滴生成流路と、
前記液滴生成流路に分岐部を介して流体接続された前記液滴を保持する液滴保持流路と、
前記分岐部に流体接続された、流体力学的な効果によって、前記液滴生成流路から流入した前記連続層を選択的に流入させる排出流路と、
前記液滴保持流路及び前記排出流路に流体接続された排出口と、
を有するマイクロ流路チップと、
前記マイクロ流路チップと流体接続された送液手段と、
を備えた、装置である。
本発明では、前記分岐部において余分な連続層を前記排出流路へ移送することで、前記液滴保持流路(すなわち検出領域)に分散層と連続層を任意の体積比に濃縮したエマルジョンを移送することができる。また、1度の送液操作で液滴生成、液滴濃縮、液滴保持を連続した流路で行うことで可能となった。
本発明では、検出領域に液滴を高密度かつ液滴同士が重ならないように配列させることができ、安定した液滴生成と効率的な液滴アレイ測定を両立させることが可能となった。
本発明の装置の一態様を示す図(平面図)である。 図1に示す反応装置のA-A’断面図(正面図)である。 図1のうち点線四角で囲まれた部分(濃縮用分岐部50、十字構造)を拡大した図である。 DLDに基づく液滴のサイズ分離による濃縮を行う場合の分岐部50の一態様を示す図である。 PFFに基づく液滴のサイズ分離による濃縮を行う場合の分岐部50の一態様を示す図である。 液滴に働く慣性力に基づく液滴のサイズ分離による濃縮を行う場合の分岐部50の一態様を示す図である。 HDFに基づく液滴の濃縮を行う場合の分岐部50の一態様を示す図である。図内の放物線は一般的な円管流路における流速分布を示す。 実施例1における、送液開始から1分後、3分後、5分後、7分後、17分後の分岐部50の様子を示す図(明視野像)である。 実施例1における、送液開始から7分後に生成・濃縮された液滴の液滴保持部61における様子を示す図(明視野像)である。
以下、本発明を実施する目的や語句の意義について、具体的な例示と共に説明するが、本発明は必ずしも例示に限定されるものではない。
本発明において、分散層とは目的とする試験のための一般対象としてのサンプル及び、サンプルに対して特定の試験を行うための試薬を含有する液体である。また、一般的に分散層内では、サンプル中の基質及び/又は分析物と試薬の反応が起こり、その反応の出現及び/又は反応の出現の程度を示す検出可能なシグナル(例えば、蛍光シグナル)を提供するものである。前記反応は、化学反応、結合反応、表現型の変化、又はこれらの組合せであってもよい。
本発明では、分散層と分散層に対して非混和性を示す連続層を接触させることで液滴を形成させる。液滴とは、連続層と接触することでカプセル封入された分散層のことをいう。また、エマルジョンとは、分散層と連続層を接触させることで得られた、分散層が液滴として連続層に分散した分散性溶液のことをいう。分散層が水系(W)の場合、連続層はオイル(O)とすればよく、この場合、分散層と連続層の接触により、ウォーターインオイル(W/O)型エマルジョンが形成される。前記オイルの一例として、シリコーンオイル、鉱油、フルオロカーボン、植物油、又はこれらの組合せがあげられる。なお、分散層及び/又は連続層に界面活性剤、その他添加剤をさらに含んでもよい。
また、本発明において形成される液滴の体積は、分析物を概ね一個保持できるだけの体積であるのが好ましく、具体的には、平均体積が0.00001~100nLであることが好ましい。また、単分散性が高い方が好ましく、具体的には、液滴体積の変動係数(CV)が20%以下であることが好ましい。また、以下では説明をわかりやすくするため、液滴を球状として取り扱うが、流路構造や周囲の流れによって液滴が非球状になっていても同様に考えてよい。
さらに、液滴は少なくとも分析物の反応温度条件下で液滴の形状を維持できるだけの熱安定性を有していればよい。具体例として、本発明を、TRC法による核酸増幅に適用する場合は40℃から48℃の温度条件下で、形状を維持できるだけの熱安定性を液滴が有していればよい。
以下、図面を用いてさらに詳細に説明する。
本発明の装置の一態様を図1から図3に示す。図1は平面図、図2は正面図(図1のA-A’断面図)、図3は図1のうち点線四角で囲まれた部分を拡大した図である。装置1は、反応液滴を形成し保持するためのマイクロ流路チップ100と、チップ100内の液体の流れを制御するための吸引手段(ポンプ)200から構成される(図2参照)。
マイクロ流路チップ100は、分散層流入部10と連続層流入部20とから流入した分散層及び連続層を、流路11、21を介して液滴生成部30にて接触させることで液滴化される。連続層中に分散層が液滴として分散したエマルジョンは、エマルジョン流路40を介して分岐部50で、エマルジョン中の液滴は濃縮流路60に、エマルジョン中の余分な連続層は排出流路70に選択的に分配され、濃縮されたエマルジョン中の液滴は液滴保持部61に移送・保持される。図1において、液滴生成流路は、流路11、21、液滴生成部30及びエマルジョン流路40を含んだ一体の流路が該当し、液滴保持流路は、濃縮流路60及び液滴保持部61を含んだ一体の流路が該当する。
マイクロ流路チップ100は、流路構造を正確かつ容易に作製可能なモールディングやエンボッシングなど当業者が通常用いる技術を組み合わせて作製すればよい。マイクロ流路チップ100の作製に用いる材料として、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、アクリルといったポリマー材料、ステンレスといった金属材料、ガラス、シリコーン、セラミックスなどが挙げられる。中でも流路自体を安価に作製でき、ディスポーザブルな態様としやすいポリマー材料を少なくとも部分的に用いると好ましい。
マイクロ流路チップ100を構成する流路の幅や深さは、目的とする液滴の体積を考慮し適宜決定すればよい。例えば、標的分子がDNAやRNAなどの核酸であり、標的分子の反応が当該核酸のデジタル増幅反応(一分子単位での増幅反応)である場合は、pL又はnLオーダーの液滴作製が必要なため、エマルジョン流路40周辺の流路の幅や深さは0.1から300μmの範囲とすると好ましい。
なお、マイクロ流路チップ100を構成する流路及び各手段は、連続層に対して親和性の高い流路壁面にすると好ましい。連続層に対して親和性の高い材料を用いてマイクロ流路チップ100を作製してもよく、非混和性液体に対して親和性の高い材料で流路壁面に相当する部分を表面処理してもよい。一例として、連続層としてフッ素系オイルを用いる場合、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系高分子材料を用いてマイクロ流路チップを作製してもよく、フッ素系シラン化剤による流路壁面の表面処理を行なってもよい。
反応装置1では、吸引手段200を用いて、排出口80よりマイクロ流路チップ100内の流体(気体、連続層又はエマルジョン)を吸引することで、分散層及び連続層をマイクロ流路チップ100に陰圧で導入しているが、陽圧で導入する方法、遠心力や電場を用いて導入する方法、液面差(重力)と毛細管力で導入する方法を使用しても問題ない。なお、マイクロ流路チップ100への導入を陰圧又は陽圧で行なう場合、吸引手段又は圧力印加手段を備えない側にも圧力を制御する手段を別個に又は共通に備えてもよく、大気圧開放又は実質的に大気圧開放されている態様としてもよい。
液滴生成流路は、図1に記載の構造に限定されるものではなく、T-janction、Flow-Focus、co-flow、step-emulsificationなどの一般的な液滴生成手法を利用した流路を適宜用いればよい。迅速にエマルジョンを生成するために液滴生成部30を複数並列させてもよく、エマルジョン流路40のように、エマルジョン中の液滴を攪拌し、後述するように液滴を流路の中心に位置させるための流路を備えていてもよい。
液滴保持流路の流路高さは、液滴の直径と同程度にするのが好ましい。また、液滴保持流路の幅・長さに関しても、検出領域や液滴の体積・数等に合わせて適宜設定すればよく、例えば幅と長さがほぼ同等の幅広い単純な流路にしても良いし、連続した単一の長い流路を蛇行状(図1における液滴保持部61)、渦巻き状に配列させても良い。また、液滴生成流路が液滴保持流路より流路断面積が小さい場合、線速が急激に変化する影響で流路の中心部と端部で流速に勾配が生じ液滴が効率よく捕捉できないため、液滴保持流路の上流に複数の分岐部を設けて緩やかに線速を減少させてもよい。
分岐部においては、ハイドロダイナミック・フィルトレーション法(以下HDF)、ピンチド・フロー・フラクショネーション法(以下PFF)、デターミニストリック・ラテラル・ディスプレイスメント法(以下DLD)等の流体力学的な効果を利用して、液滴生成流路から流入した連続層を排出流路に選択的に流入させて、エマルジョン中の液滴密度を濃縮させる。但し、本発明における濃縮とは、目的の液滴の単位体積あたりの個数が相対的に高くなる場合のほか、目的外の液滴に対する目的の液滴の割合が増加する場合も含むこととする。
また、本発明において生成液滴全てを液滴保持部流路に移送することが一般的であるが、目的に応じて一部の液滴が排出流路に移送されても良い。例えば生成液滴のサイズが不均一で、特定のサイズの液滴を液滴保持流路に移送したい場合、上記流体力学的な効果を利用して目的の液滴をサイズ分離した後に前記流路へ移送してもよい。
分岐部50において、DLDに基づく液滴のサイズ分離による濃縮を行う場合、エマルジョン流路40において、複数のピラー300がDLDの理論に基づいて配置される構造が好ましい(図4)。
分岐部50において、PFFに基づく液滴のサイズ分離による濃縮を行う場合、エマルジョン流路40に対して、連続層を供給するシース液流路400が合流して形成される狭隘流路401と、狭隘流路401の末端に接続される拡大流路402内で液滴がサイズごとに分離され、拡大流路402下流の液滴濃縮流路60、排出流路70へ各流体が流れる構造とするとよい(図5)。
分岐部50において、慣性力を利用した液滴のサイズ分離による濃縮を行う場合、エマルジョン流路40において、流体が下流へ向かって流れる際にディーン渦と呼ばれる二次流れが生じるよう、屈曲構造500の流路とするとよく、前記二次流れが生じる流量条件を各流体の粘度や密度に応じて適宜調整することがより好ましい(図6)。
また、層流条件の一般的なマイクロ流路において、液滴は流速が最も大きくなる流域に沿って流れやすい性質を持つため(非特許文献3)、図7に示すような放物線型の流速分布では、液滴の中心が流路の中心に沿って流れる。この現象を利用すると、HDFの原理に基づいて、図7のような単純な流路構造であって、かつ高い濃縮倍率であっても、排出流路70に連続層のみを移送し、濃縮流路60に全ての液滴を安定して移送可能である。
本発明において、マイクロ流路チップが有する流路断面は、液滴の中心が流路の中心に沿って流れやすいため、円状、半円状、楕円状、凸型、凹型、長方形、台形が好ましい。また、以下の説明では、最も一般的な断面形状である長方形を例として取り上げるが、他の断面形状に関しても同様に考えることが可能である。 分岐部50の構造は、十字構造が好ましく、液滴生成流路の末端(図1ではエマルジョン流路40)と液滴保持流路(図1では濃縮流路60)が分岐部を介して直線上に配置され、2つの排出流路70が分岐部を介して直線上に配置されていることが好ましい。加えて、十字部における流線分布が液滴の流れ方向を軸として対称となっている方が液滴を安定して前記濃縮流路に移送しやすいため、2つの前記排出流路は液滴の流れ方向を軸として対称な流路構造になっていることが好ましい。また、流路の中心付近に沿って流れる液滴が前記排出流路に流入しにくいように、2つの排出流路における連続層の流量が同等である方が良いため、2つの排出流路の流路断面形状及び流路長さが同一であることが好ましい。
液滴は界面自由エネルギーが低い状態を保つように形状を維持する性質があるため、より断面積が大きい流路に流れやすい。よって、分岐部50の上流の流路断面積は、濃縮流路60の流路断面積以下であることが好ましく、濃縮流路60の流路断面積は排出流路70の流路断面積以上であることが好ましい。また、同様の液滴の性質より、分岐部50の上流の流路高さは、濃縮流路60と同じであり、排出流路70以上であることが好ましい。
本装置は、濃縮流路60と排出流路70の流量比(Q60/Q70)を制御するため、濃縮流路60から排出口80までの流路が有する圧損抵抗(R60)と排出流路70から排出口80までの流路が有する圧損抵抗(R70)を考慮して流路構造を設計する必要がある。液滴生成を行うマイクロ流路チップでは、送液開始前に連続層又は連続層と類似した物性の液体を流路全体に充填しておくのが一般的であるが、連続層のみの粘度よりも液滴を含むエマルジョンの粘度の方が大きいため、時間経過で液滴が捕捉されると共にR60が大きくなり、Q60/Q70が小さくなる。そこで、排出流路及び液滴保持流路が、その一部に流路断面積が一定となっている流路領域を有しており、液滴保持流路の当該流路領域の方が排出流路の当該流路領域よりも流路断面積が大きくなるように設計された装置であれば、濃縮流路よりも下流の流路(液滴保持流路を含む)および排出流路よりも下流の流路を気体(空気を含む)で満たした状態で送液を開始し、送液中に気体の代わりに連続層又はエマルジョンを充填し、排出口80に連続層又はエマルジョンが侵入する前に送液を停止することによって、Q60/Q70を終始一定の条件で運転することが可能である。
本発明は上述した装置に、マイクロ流路チップ中の流体を温調できる温調部や、液滴のシグナルを検出する検出部をさらに備えてもよい。
反応生成物の検出は、当該生成物の特徴を考慮の上、公知の方法を用いて検出すればよい。なお、透過光を用いて検出する場合は、前記光を透過する材料でマイクロ流路チップ100を作製すると、マイクロ流路チップ100を光学検出器に載置するのみで、チップ100内の液滴を移動させることなく反応生成物を検出できる点で好ましい。
以下、実施例及び参考例を用いてさらに詳細を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
フォトリソグラフィー及びソフトリソグラフィー技術を用いて、図1~3に示す反応装置1を構成するマイクロ流路チップ100を作製した。具体的な手順を以下に示す。
(1)4インチベアシリコンウェハ(フィルテック社)上へ、フォトレジストSU-8 3050(Microchem社)を滴下後、スピンコーター(MIKASA社)を用いてフォトレジスト薄膜を形成した。
(2)マスクアライナー(ウシオ電機社)とマイクロ流路チップ100の流路パターンを形成したクロムマスクとを用いて、前記流路パターンをフォトレジスト膜へ形成させた後、SU-8 Developer(Microchem社)を用いて流路パターンを現像することで、マイクロ流路チップ100を構成する流路の鋳型を作製した(流路の高さ80μm)。
(3)SU-8への吸着を抑えるために、Trichloro(1H,1H,2H,2H-perfluoro-octyl)silane(Thermo Fisher Scientific社)による蒸着表面処理を行なった。
(4)(3)の処理を行なった鋳型へ、SYLGARD SILICONE ELASTOMER KIT(東レ・ダウコーニング社)を用いて調製した未硬化のシロキサンモノマーと重合開始剤との混合物(重量比10:1)を流し込み、80℃で2時間加熱することで、流路の形状が転写されたポリマー(PDMS)基板101を作製した。
(5)ポリマー基板101を鋳型から慎重に剥がし、カッターで成形後、パンチャーを用いて分散層流入部10及び連続層流入部20、並びに排出口80を形成した。
(6)流入部及び排出口を形成したポリマー基板101並びにカバーガラス102(松浪硝子社)を酸素プラズマ発生装置(メイワフォーシス社)で表面処理後、PDMS基板101パターン面とカバーガラス102とを貼り合わせた。
(7)2% Trichloro(1H,1H,2H,2H-perfluoro-octyl)silane(Thermo Fisher Scientific社)含有エタノールを流路に導入し、30分間放置することで、流路壁面の表面を修飾後、エタノールを用いて流路内を洗浄し、風乾することでマイクロ流路チップ100を作製した。作製したチップは真空デシケーター内に保存した。
作製したマイクロ流路チップ100は、縦43cm×横63cmの大きさであり、分散層流入部10はφ4mmの穴を、連続層保持部20はφ6mmの穴を、排出口80はφ1.5mmの穴を、それぞれ設けている。
マイクロ流路チップ100におけるソフトリソグラフィーによって形成された流路の高さは全て80μmである。分散層流入部10から液滴形成部30に至るまでの流路11は幅100μm×長さ71mmの蛇行を含む流路であり、連続層流入部20から液滴形成部30に至るまでの2つの流路21はそれぞれ屈曲部を二箇所有した幅100μm×長さ53mmの直線流路である。液滴形成部30は、前記流路11と2つの流路21とが角度90度で十字に交差する(角Rなし)ことで合流した反応液と非混和性液体とを接触させ、液滴生成部30もしくはエマルジョン流路40内で合流した反応液の液滴を形成する。エマルジョン流路40は液滴生成部に直接交わる流路は幅80μm×長さ100μmで、その下流は幅200μm×長さ680μmの直線流路であり、さらにその下流はR275μmの円弧曲線で構成された蛇行を含めた幅200μm×長さ11.5mmの撹拌用流路であり、さらにその下流は長さ700μmに渡って幅200μmから165μmまで約1度で狭窄され、幅165μm×長さ1.97mmの直線流路が分岐部50に直接交わるように構成されている。分岐部50は、エマルジョン流路に対して直線状に存在する幅165μmの濃縮流路60と、その直線に角度90度で2つの幅165μmの排出流路70a/bが交わって構成されている(角Rなし)。濃縮流路60は、屈曲部を1箇所所有した幅165μm×長さ2.5mmの流路が分岐部50で交わり、その下流で長さ600μmに渡って幅165μmから800μmまで30度で寛広されて、液滴保持部61につながっている。排出流路70a/bは、幅165μm×長さ2.1mmの直線流路が分岐部50で交わり、その下流で長さ600μmに渡って幅165μmから800μmまで30度で寛広され、さらにその下流はR500μmの円弧曲線で構成された蛇行(屈曲部)を含めた幅800μm×長さ365mmの流路であり、さらにその下流は長さ2mmに渡って幅800μmから80μmまで約30度で狭窄され、圧損調整流路72a/bとつながっている。液滴保持部61は、R500μmの円弧曲線で構成された蛇行(屈曲部)を含めた幅800μm×長さ382mmの流路であり、その下流は長さ4.78mmに渡って幅800μmから200μmまで約4度で狭窄され、圧損調整流路62とつながっている。圧損調整流路72a/bは、R140μmの円弧曲線で構成された蛇行(屈曲部)を含めた幅80μm×長さ113mmの流路であり、その下流の幅200μm×長さ800μmの流路が排出口とつながっている。圧損調整流路62は、R300μmの円弧曲線で構成された蛇行(屈曲部)を含めた幅200μm×長さ5mmの流路であり、そのまま排出口80につながっている。
実施例1
作製したマイクロ流路チップ100を用いて、送液中の濃縮用分岐部の液滴濃縮の様子と、送液停止後の液滴保持流路の液滴の様子を観測した。
長方形の断面を持つ流路を流れる場合、液滴の密度dは、液滴体積V、流路高さh、流路幅w、隣接する液滴同士の中心間距離Lから、式(1)で表わされる。これは、液滴1個が存在するエマルジョンの体積がw×h×Lであることから算出でき、液滴の形状にかかわらず成り立つ。
Figure 0007293819000001
また、球状、ディスク状の液滴の体積Vdrop、Vdisk[nL]は、式(2)と式(3)で表わされる(非特許文献4)。
Figure 0007293819000002
Figure 0007293819000003
本実施例では、これらの式を用いて、液滴の密度及び液滴の体積を算出した。
(1)分散層流入部10に導入する水溶液として、下記組成の水溶液を調製した。なお、下記組成の水溶液は、核酸増幅反応の1つであるTRC反応を使用する際の反応開始液の組成を模している。
36.8mM 塩化マグネシウム
180.0mM 塩化カリウム
0.2%(w/v) Tween 20
18.0%(v/v) DMSO
2.5%(v/v) グリセロール
(2)液滴内でTRC反応を行う想定で、ガラスヒーター(ブラスト社)を倒立型顕微鏡IX71(オリンパス社)に設置して、TRC反応温度である46℃で加熱した状態で、マイクロ流路チップ100の送液及び観察を行った。
(3)金属針(武蔵エンジニアリング社)とPTFEチューブ(ニチアス社)を接続し、Droplet Generatorオイル for EvaGreen(Biorad社、以下、単にオイルとも表記する)を充填したシリンジ(容量1mL、テルモ社)をシリンジポンプ(KDScientific社)にセットし、前記PTFEチューブの先端をマイクロ流路チップ100に設けた排出口80に接続して、排出口80から前記シリンジポンプでオイルを導入することでマイクロ流路チップ100内にオイルを充填させた。さらに連続層流入部20にオイルを100μL滴下した。
(4)分散層流入部10内のオイルを取り除いて、上記水溶液を30μL滴下した。
(5)シリンジポンプを用いて1000μL/時間の流速で排出口80からオイルを吸引した。吸引開始から20~60秒で液滴生成が安定化した。
(6)倒立型顕微鏡IX71(オリンパス社)に載置し、デジタルCMOSカメラ(ORCA-FLASH、浜松フォトニクス社)を用いて、吸引開始から1分後、3分後、5分後、7分後、17分後における明視野画像を取得した。
(7)送液停止後の液滴保持部61の液滴の明視野画像を取得した。
(8)(7)で取得した明視野画像を用いて液滴体積を測定した。まず、画像解析ソフト(ImageJ)を利用して、ランダムに抽出した20~40個の液滴の直径(Ddisk)の平均値を測定した。次に、測定した液滴の直径を、式(3)を利用し、液滴体積(V[nL])を計算した。なお、本特許記載の実施例において、ディスク状の液滴の直径の平均値Ddisk=132μm、流路深さh=80μmであるため、式(3)より液滴体積V=0.96nLとした。
(9)(6)で取得した明視野画像を用いて、送液開始からの経過時間毎の濃縮倍率αを測定した。まず、画像解析ソフト(ImageJ)を利用して、濃縮用分岐部50のエマルジョン流路40と濃縮流路60における最も近い液滴同士の中心間距離(L[μm])を測定した。
液滴密度dを式(1)より算出した。加えて、液滴が全て濃縮流路60に移送される場合、エマルジョン流路40における液滴の体積流量(Q40、液滴)と濃縮流路60における液滴の体積流量(Q60、液滴)は一致する。よって、濃縮前後における全体の流量の比、すなわち濃縮倍率α=d60/d40と計算できる。
送液開始から1分後、3分後、5分後、7分後、17分後の濃縮用分岐部の様子を示す明視野画像を図8に示す。液滴保持流路における送液開始から7分後以降に生成・濃縮された液滴の様子を示す明視野画像を図9に示す。図8より、濃縮用分岐部50でオイルのみ除かれることで、濃縮流路60に液滴がより濃縮されていることが確認できる。なお、送液開始から17分間、排出流路70に液滴が移送されることはなく、全ての液滴が濃縮流路60及び液滴保持部61に移送された。
また、(8)~(9)の手順に従って濃縮倍率αを計算した結果を表1に示す。
Figure 0007293819000004
1:測定装置
100:マイクロ流路チップ
101:ポリマー基板
102:カバーガラス(ガラス基板)
10:分散層流入部
11、21:流路
20:連続層流入部
30:液滴生成部
40:エマルジョン流路
50:分岐部
60:液滴濃縮流路
61:液滴保持部
62:液滴濃縮流路側圧損調整流路
70:排出流路
72:連続層排出流路側圧損調整流路
80:排出口
200:ポンプ
300:ピラー
301:液滴
400:シース液流路
401:狭隘流路
402:拡大流路
500:屈曲構造

Claims (7)

  1. 分散層と連続層とを接触させて液滴を形成させるための液滴生成流路と、
    前記液滴生成流路に分岐部を介して流体接続された前記液滴を保持する液滴保持流路と、
    前記分岐部に流体接続された、流体力学的な効果によって、前記液滴生成流路から流入した前記連続層を選択的に流入させる排出流路と、
    前記液滴保持流路及び前記排出流路に流体接続された排出口と、
    を有するマイクロ流路チップと、
    前記マイクロ流路チップと流体接続された送液手段と、
    を備え
    前記排出流路及び前記液滴保持流路が、その一部に流路断面積が一定となっている流路領域を有しており、前記液滴保持流路の当該流路領域の方が前記排出流路の当該流路領域よりも流路断面積が大きい、装置、の運転方法であって、
    前記マイクロ流路チップが有する流路に気体が充填された状態で送液を開始し、送液と共に前記排出流路に連続層が、前記液滴保持流路にエマルジョンが気体の代わりに充填され、前記排出口に連続層又はエマルジョンが侵入する前に送液を停止することを特徴とする、前記運転方法。
  2. 前記マイクロ流路チップが有する流路断面が、円状、半円状、楕円状、凸型、凹型、長方形、台形のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の運転方法
  3. 前記分岐部が十字構造であって、
    前記液滴生成流路の末端と前記液滴保持流路が前記分岐部を介して直線上に配置され、
    2つの前記排出流路が前記分岐部を介して直線上に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転方法
  4. 2つの前記排出流路の流路断面形状及び流路長さが同一であることを特徴とする請求項3に記載の運転方法
  5. 前記十字部において、前記液滴生成流路側の流路断面積が、前記液滴保持流路側の流路断面積以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の運転方法
  6. 前記十字部において、前記液滴保持流路側の流路断面積が、前記排出流路側の流路断面積以上であることを特徴とする請求項3~5に記載の運転方法
  7. 前記十字部において、前記液滴生成流路側の流路高さが、前記液滴保持流路側の流路高さと同じであり、前記排出流路側の流路高さ以上であることを特徴とする請求項3~6に記載の運転方法
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