JP7292326B2 - 電気化学式水素昇圧システム - Google Patents
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Description
実施形態の電気化学式水素昇圧システムは、水素ガスを例えば1~100MPaまで圧縮し、圧縮した高圧水素ガスを例えば電気化学式水素昇圧システムに着脱自在に取り付けられる水素ガスタンクに収容可能となっている。なお、以下の説明では、電気化学式水素昇圧システムを単に水素昇圧システムと称する場合がある。
<電気化学式水素昇圧システム1の構成>
図1は、第1実施形態に係る水素昇圧システムの構成を示す図である。
図1に示すように、水素昇圧システム1は、水素供給源5と、水素ガスを昇圧する水素ガス昇圧部7と、水素昇圧システム1の各部を制御する制御装置9と、を備える。また、水素昇圧システム1は、水素供給源5から排出される水素ガスを水素ガス昇圧部7に導く供給管路10と、供給管路10の一部を迂回する分岐管路20と、水素ガス昇圧部7で昇圧された高圧水素ガスが流通する高圧排出管路30と、水素ガス昇圧部7で余剰とされた未反応水素ガスが流通する低圧排出管路40と、を備える。
図2に示すように、水素ガス昇圧部7は、プロトン交換膜82、アノード83およびカソード84を1組備えた単位セル81を複数積層したセルユニット71を備える。セルユニット71における単位セル81の積層方向一端には、ターミナルプレート72A、絶縁プレート73A、押圧ユニット75およびエンドプレート74Aが外方に向かって、順次配設されている。また、セルユニット71における単位セル81の積層方向他端には、ターミナルプレート72B、絶縁プレート73Bおよびエンドプレート74Bが外方に向かって、順次配設されている。
図3に示すように、各単位セル81は、例えば、円盤状の電解質膜・電極構造体85と、電解質膜・電極構造体85を挟持する円盤状のアノード側セパレータ86およびカソード側セパレータ87と、を備える。電解質膜・電極構造体85は、プロトン交換膜82と、プロトン交換膜82の両面に設けられたアノード83およびカソード84と、を有する。各単位セル81では、プロトン交換膜82や不図示のシール部材等によって、プロトン交換膜82を挟むアノード83およびカソード84が互いに連通することがないようにシール(隔離)されている。
第1実施形態の水素昇圧システム1の動作について説明する。
水素昇圧システム1の運転時には、第1開閉部12および第3開閉部21の開閉状態に応じて、水素供給源5から排出された水素ガスが加湿器13を通過して、または加湿器13を迂回して水素ガス昇圧部7に導入される。水素ガスが加湿器13を通過する場合には、水素ガスとともに水蒸気が水素ガス昇圧部7に導入される。一方で、水素ガスが加湿器13を迂回した場合には、水素供給源5に貯蔵されたドライ水素ガスが水素ガス昇圧部7に導入される。
第1実施形態の水素昇圧システム1の制御方法について説明する。なお、水素昇圧システム1の各部の制御は、制御装置9によって行われる。制御装置9は、例えばシステム停止指示を受けるまで、以下で説明する処理フローを実行する。
図4に示すように、最初に制御装置9は、ステップS10の処理を行う。ステップS10では、水素昇圧システム1の始動に伴い、昇圧運転を行う。昇圧運転では、第1開閉部12を開状態とし、第3開閉部21を閉状態として、水素ガスを水素ガス昇圧部7に供給する。水素供給源5から水素ガス昇圧部7への水素ガスの供給量は、制御装置9によって適宜制御される(供給量ゼロも含む)。そして、水素ガス昇圧部7が高圧水素ガスを生成可能な状態になるまで、アノード83およびカソード84間に所定電流を印加するように電源80を制御する。電源80は、水素ガス昇圧部7が高圧水素ガスを生成可能な状態となると、アノード83およびカソード84間に付与する電圧を大きくすることで、アノード83およびカソード84に電流を印加して水素ガスの昇圧を開始する。これにより、水素ガス昇圧部7は、カソード84で高圧水素ガスを発生させる。続いて、ステップS20の処理に移行する。
図5は、第1実施形態に係る水素昇圧システムにより実行される湿潤制御運転の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御装置9は、湿潤制御運転を行うにあたり、最初にステップS410の処理を行う。ステップS410では、制御装置9は、各単位セル81におけるアノード83およびカソード84間の電圧を取得し、複数の単位セル81のうち少なくとも1つの単位セル81における単位時間当たりの電圧上昇速度が第1所定速度以上であるか否かを判定する。第1所定速度は、予め定められた速度であってもよいし、単位セル81の温度等により変化してもよい。電圧上昇速度が第1所定速度未満の場合、ステップS420の処理に移行する。電圧上昇速度が第1所定速度以上の場合、ステップS430の処理に移行する。
第1実施形態の水素昇圧システム1の作用について説明する。
水素ガス昇圧部7において、水素ガスは、流入口94から供給連通孔91に導入された後、各単位セル81の低圧水素ガス流路88に分配されることで、アノード83に供給される。アノード83において未反応となった水素ガスは、各単位セル81の低圧水素ガス流路88から第1排出連通孔92に合流した後、低圧側排出口95から低圧排出管路40に排出される。このため、流入口94、および低圧側排出口95に対する単位セル81の距離に応じて、単位セル81同士で低圧水素ガス流路88における水素ガスの流れが相違し得る。例えば、流入口94、および低圧側排出口95に近い単位セル81の低圧水素ガス流路88ほど、水素ガスが流通しやすくなる。本実施形態では、単位セル81の積層方向において、セルユニット71における両端部および中間部に位置する単位セル81の低圧水素ガス流路88に水素ガスが流通しやすくなる。
<湿潤制御運転>
次に、図6を参照して、第2実施形態の湿潤制御運転について説明する。第1実施形態の湿潤制御運転では、水素ガス昇圧部7の電圧計103の計測値に基づいてプロトン交換膜82の湿潤状態を判定している。これに対して第2実施形態の湿潤制御運転は、水素ガス昇圧部7の膜抵抗計101の計測値に基づいてプロトン交換膜82の湿潤状態を判定している点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図6に示すように、制御装置9は、湿潤制御運転を行うにあたり、最初にステップS450の処理を行う。ステップS450では、制御装置9は、各単位セル81におけるプロトン交換膜82の膜抵抗値を取得し、複数の単位セル81のうち、一の単位セル81におけるプロトン交換膜82の膜抵抗値と、他の単位セル81におけるプロトン交換膜82の膜抵抗値と、の差が第1所定値以上であるか否かを判定する。例えば、制御装置9は、プロトン交換膜82の膜抵抗値が最大の単位セル81と、アノード83およびカソード84間の電圧が最小の単位セル81と、を比較する。ただし、比較対象の単位セル81はこれに限定されず、所定の2つ単位セル81を比較してもよい。第1所定値は、予め定められた抵抗値であってもよいし、単位セル81の温度等により変化してもよい。膜抵抗値の差が第1所定値未満の場合、ステップS460の処理に移行する。膜抵抗値の差が第1所定値以上の場合、ステップS430の処理に移行する。
<電気化学式水素昇圧システム1Aの構成>
図7は、第3実施形態に係る水素昇圧システムの構成を示す図である。
第3実施形態の水素昇圧システム1Aでは、供給管路10Aに分配管路18が設けられ、分岐管路20Aが分配管路18それぞれに合流している点で第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図8に示すように、水素ガス昇圧部7のセルユニット71は、水素ガス昇圧部7の動作時における温度分布に基づいて分けられた複数の領域A,Bを有する。複数の領域A,Bは、単位セル81の積層方向に並んでいる。セルユニット71が有する単位セル81のそれぞれは、複数の領域A,Bのうちいずれかの領域に含まれる。複数の領域A,Bは、所定条件で水素ガス昇圧部7を動作させた際の単位セル81の温度に基づいて設定される。例えば、複数の領域A,Bは、所定温度よりも高温となる単位セル81を含む高温領域Aと、所定温度よりも低温となる単位セル81を含む低温領域Bと、である。上述したように、本実施形態のセルユニット71は、積層方向の中間部において高温となり得る。このため、高温領域Aは、セルユニット71における単位セル81の積層方向の中間部を含む。また、低温領域Bは、セルユニット71における積層方向の両端部を含み、高温領域Aを積層方向で挟むように設けられる。
第3実施形態の水素昇圧システム1の制御方法について説明する。
第3実施形態では、セルユニット71の複数の領域A,Bそれぞれにおける湿潤状態に基づいて第2流量調整部19を制御し、各領域A,Bの単位セル81に供給される水素ガスに含まれる水蒸気の供給量を調整する。例えば、複数の領域A,Bそれぞれにおける湿潤状態は、第1実施形態と同様に電圧計103の計測値に基づいて判定してもよいし、第2実施形態と同様に膜抵抗計101の計測値に基づいて判定してもよい。また、制御装置9は、各領域A,Bの計測値に基づいて各領域A,Bの湿潤状態を判定してもよいし、複数の領域A,Bのうち一部の領域の計測値に基づいて他の領域の湿潤状態を判定してもよい。
<電気化学式水素昇圧システム1Bの構成>
図9は、第4実施形態に係る水素昇圧システムにおける供給管路および水素ガス昇圧部の接続を示す図である。
第4実施形態の水素昇圧システム1Bでは、単位セル81それぞれに分配管路18が1つずつ接続されている点で第3実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第3実施形態と同様である。
例えば、上記実施形態では、水素供給源5は、水素ガスが貯留されたカードルとされている。しかしながら水素供給源はこれに限定されず、例えば水電解装置であってもよい。
Claims (6)
- 水素供給源と、
電解質膜、および前記電解質膜の両面に設けられたアノードおよびカソードにより形成された単位セルを有し、前記アノードおよび前記カソード間に電流が印加されることで水素を昇圧する電気化学式水素昇圧装置と、
前記水素供給源から排出される水素を前記電気化学式水素昇圧装置に導く供給管路と、
を有する電気化学式水素昇圧システムであって、
前記電気化学式水素昇圧装置は、
前記水素供給源から供給された水素が流入する流入口と、
前記流入口に流入した水素のうち未反応の水素が排出される排出口と、
前記単位セルが積層されたセルユニットと、
を有し、
前記アノードおよび前記カソード間に印加される電流を供給する電源と、
前記電解質膜の湿潤状態に関する情報を取得する取得部と、
前記排出口の水素の排出を規制する規制部と、
前記規制部を制御する制御装置と、
前記供給管路に設けられ、前記供給管路を流通する水素を加湿する加湿器と、
前記供給管路の一部であり、前記加湿器の下流側で分岐して前記電気化学式水素昇圧装置に接続された分配管路と、
前記分配管路それぞれにおける水素の流量を制御する分配制御弁と、
をさらに備え、
前記セルユニットは、前記電気化学式水素昇圧装置の動作時における温度分布に基づいて分けられた複数の領域を有し、
前記分配管路は、前記セルユニットの前記複数の領域それぞれに少なくとも1つ接続され、
前記制御装置は、少なくとも前記湿潤状態に基づいて前記規制部を制御する、
電気化学式水素昇圧システム。 - 前記制御装置は、前記湿潤状態に基づいて前記規制部による規制状態を変化させ、前記排出口側に流通する水素の圧力を変化させる、
請求項1に記載の電気化学式水素昇圧システム。 - 前記単位セルのそれぞれには、前記分配管路が接続される、
請求項1に記載の電気化学式水素昇圧システム。 - 前記加湿器の上流側で前記供給管路から分岐する分岐管路と、
前記分岐管路への水素の流通を切り替える切替部と、
をさらに備え、
前記分岐管路は、前記分配管路のそれぞれに合流し、
前記制御装置は、前記湿潤状態に基づいて前記切替部を制御する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気化学式水素昇圧システム。 - 前記供給管路に設けられ、前記水素供給源から排出された水素の流量を制御する制御弁をさらに備え、
前記制御装置は、前記排出口側に流通する水素の圧力が所定値未満となるように前記制御弁を制御する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気化学式水素昇圧システム。 - 前記供給管路に設けられ、前記水素供給源から排出された水素の流量を制御する制御弁をさらに備え、
前記制御装置は、前記アノードおよび前記カソード間への電流の印加状態に応じて前記制御弁を制御する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気化学式水素昇圧システム。
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