JP7291950B2 - 癌の併用治療法 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 掲載年月日:2018年11月16日 掲載アドレス:https://www.nature.com/articles/s41598-018-34855-0
本出願は、2019年2月11日出願の米国特許出願第16/272,426号の継続出願であり、この出願の内容は引用により本明細書に組み込まれる。
本発明は、サフラナール、場合によりトポイソメラーゼI阻害剤を含む、肝臓癌を治療するための製剤および方法に関する。
様々な努力が費やされているにもかかわらず、肝細胞癌(HCC)と診断されている人々が多くいる。これは、最も一般的な原発性肝がんの一種であり、世界中でがん関連による死亡の2番目の主要原因となっている。HCC症例の70%~90%を占める慢性肝炎(B型およびC型)感染など、HCC発症に許容状態の環境におれることにより、多重なリスク要因がHCCの発症に寄与している。他のHCCリスク要因には、アルコール依存症、非アルコール性脂肪肝疾患、鉄過剰、環境発がん性物質などが含まれる。HCCの初期段階では自覚症状が見られないため、ほとんどの患者は進行期に診断される。さらに、HCCは切除または焼灼後に高い再発率を示し、また、細胞毒性化学療法に対して強い耐性を持つため、利用可能な治療方法は非常に限られている。したがって、その代替治療法は十分に正当化され、HCCを治療するために切実に必要とされている。
化学療法は、がん患者の最も一般的な治療法である。タキサン類(パクリタキセルなど)は、複数の固形腫瘍の治療に使用される最も強力な化学療法薬の1つである。しかし、耐性化は治療法の選択肢を制限し、臨床医にとっての主な課題となっている(Fanale et al 2015)。実際、乳がん、肺がん、および卵巣がんはすべて、パクリタキセル療法に対して耐性化している(多剤耐性「MDR」腫瘍としても知られている)(Kesharwani et al 2019)。一般的な神経内分泌腫瘍である小細胞肺がん(SCLC)は、肺がんの全症例の約20%を占めている。SCLCは化学療法に対して有意な感受性を示すため、パクリタキセルと白金系製剤を用いた化学療法の「カルボプラチン」との併用は、再発SCLCの治療に効果的で実現可能であることが判明した(Mouri et al 2019)。同様に、診断された卵巣がんのほとんどを占める、高度に不均一な上皮性卵巣癌(EOC)に関する研究は、メトホルミンが、EOCにおけるがんの有益な補助療法であり、治療効果を改善し、化学療法薬の低用量化することを強く示している。メトホルミンは、パクリタキセル耐性およびシスプラチン耐性細胞株の増殖を妨害し、従来の薬剤に対する耐性細胞株の感受性を高めることが示されている。
同様に、肝細胞癌症例の87%の腫瘍内の不均一性の原因となる肝細胞癌(HCC)細胞の不均一性、全身化学療法に対するHCCの反応不良性、およびその極端な化学抵抗性は、現在、MDR表現型を克服できる強力な薬剤の探索を促している。しかし、HCCのような典型的な治療抵抗性腫瘍の場合、MDRは、利用可能なすべての抗腫瘍剤の治療効果を低下させる大きな障害であり、したがって、MDRを克服することは、現在の緊急の臨床および前臨床の研究領域である。
ソラフェニブは、米国食品医薬品局によって承認された最初の抗HCC薬であり、腫瘍細胞の増殖および血管新生を阻害する多標的キナーゼ阻害剤である。ソラフェニブは、早期および中期のHCC病変の治療に成功しているが、進行HCC症例では効率的ではない。ソラフェニブの一般的な副作用には、皮膚毒性、下痢、高血圧、出血がある。さらに、薬物を他の分子療法または免疫療法と組み合わせてそのような欠点を克服することは、研究分野において最重要事項として浮上している。残念ながら、試みられたソラフェニブの併用療法のほとんどは、控えめに言っても効果的であると証明されていない。したがって、ソラフェニブをさまざまな抗がん剤候補と組み合わせて使用する臨床試験が緊急に必要である。
天然物は古くから民間薬の一種であり、抗がん剤の開発に重要な役割を果たしてきた。米国食品医薬品局(FDA)が承認した治療薬の40%は、非毒性で関連副作用が低いかもしくはもたないおかげで、天然成分またはその誘導体である。その優れた効果と低毒性を考慮して、天然物は広く研究されており、癌を含む多くの病気の化学予防療薬として導入されている。薬草は、様々な理由で癌の予防と治療に勧められており、これは栄養および抗腫瘍化合物を含み、癌の発症を遅延または防止することができ、生理学的機能および免疫系機能を高めることができ、最も重要なことには、副作用を軽減または回避することにより、従来の癌治療に対する優れた代替および/または補助的な選択肢となる。
サフラン(クロッカスサティバスの花の柱頭)は、クロシン、クロセチン、ピクロクロシン、およびサフラナールといった、健康増進特性を持つ多くの生物活性分子を含むため、ますます注目を集めている。サフラナール分子の構造は図1Aに示されている。過去の研究では、サフランやその誘導体が広範な癌に対する抗癌活性が報告されている。サフラン誘導体はHeLa細胞の生育を阻害することが報告されているが、サフラナールは強力な抗炎症、抗酸化、抗癌特性を発揮することが具体的に示されており、肺胞ヒト肺癌A549細胞株およびヒト前立腺癌PC-3細胞株の両方でアポトーシスを誘発することが明らかにされている。すべての抗腫瘍活性にもかかわらず、サフラナールが抗癌効果を発揮するメカニズムはまだ完全には理解されていない。
したがって、サフラナールが抗がん効果を発揮するメカニズムを理解することは、肝臓や他のがんの種類の効果的な治療法に発展するために有利である。
本発明の第1の態様において、対象の肝臓癌の重症度を治療、抑制、または軽減する方法が提供される。この方法は、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグと、薬学的に許容される担体とを含む組成物を治療的有効量で対象に投与することを含む。肝臓癌は、肝細胞癌(HCC)、線維層板状HCC、胆管癌、血管肉腫、転移性肝臓癌、およびそれらの組み合わせであり得る。例示的な実施形態では、治療有効量が、経口、非経口、または肝動脈に投与され得る。代表的な実施形態では、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグの量は、体重1kgあたり約10mg/日~約1000mg/日である。別の実施形態では、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグの量は、体重1kgあたり約200mg/日~約750mg/日である。さらなる実施形態では、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグの量は、体重1kgあたり約250mg/日~約500mg/日である。代表的な実施形態では、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグの量は、癌細胞に対するTOP1阻害剤の細胞毒性効果を高めるのに十分である。プロドラッグの例には、サフラナールの塩、水和物、ヘミアセタール、アセタール、チオアセタール、シリルエーテル、互変異性体、および異性体が含まれる。さらなる実施形態では、この方法は、カルボプラチン、シスプラチン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ゴセレリン、リュープロリド、タモキシフェン、タキサン類、アルデスロイキン、インターロイキン-2、エトポシド、インターフェロンアルファ、トレチノイン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ラメラリンDおよびその組み合わせからなる群から選択される第2治療薬を投与することをさらに含む。
本発明の第2の態様において、対象の肝臓癌の重症度を治療、抑制、または軽減する方法が提供される。この方法は、第1の量のサフラナールまたは薬学的に許容されるプロドラッグを対象に投与すること、および第二の量のTOP1阻害剤を対象に投与することを含む。TOP1阻害剤は、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ラメラリンD、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。一実施形態では、サフラナールまたはそのプロドラッグおよびTOP1阻害剤は、両方の化合物を含む組成物に一緒に配合される。別の実施形態では、サフラナールまたはそのプロドラッグおよびTOP1阻害剤は、別々の医薬組成物で別々に投与される。サフラナールまたはそのプロドラッグとTOP1阻害剤は、連続で投与できる。一実施形態では、サフラナールまたはそのプロドラッグを最初に投与して、TOP1阻害剤に曝露する前に癌細胞を感作し、次にTOP1阻害剤を投与する。例示的なサフラナールプロドラッグには、サフラナールの塩、水和物、ヘミアセタール、アセタール、チオアセタール、シリルエーテル、互変異性体、異性体、およびそれらの組み合わせが含まれる。肝臓癌は、肝細胞癌、線維層板状HCC、胆管癌、血管肉腫、転移性肝臓癌、およびそれらの組み合わせであり得る。
本発明の第3の態様において、肝臓癌の治療のための薬物の治療的組み合わせが提供され、その組み合わせは、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、およびTOP1阻害剤を含む。TOP1阻害剤は、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ラメラリンD、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。プロドラッグは、サフラナールの塩、水和物、ヘミアセタール、アセタール、チオアセタール、シリルエーテル、互変異性体、異性体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。一実施形態では、サフラナールおよびTOP1阻害剤は、両方の化合物を含む同じ単一の医薬組成物に一緒に配合される。別の実施形態では、サフラナールとTOP1阻害剤は別々の医薬組成物中にある。代表的な実施形態では、TOP1阻害剤の量は、組み合わせのサフラナールの含有量に対しての重量比で0.1:1~10:1である。
本発明は、以下の図および説明を参照してよりよく理解することができる。図の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、分子、細胞、細胞小器官、組織、またはそれらの相互作用を正確に表すことを意図しておらず、代わりに本発明の原理を説明することに重点がおかれている。
図1は、サフラナールがHepG2細胞の生育および生存の阻害を示しており、図1Aは、サフラナールの化学構造を示す。 図1は、サフラナールがHepG2細胞の生育および生存の阻害を示しており、図1Bは、24時間、48時間、および72時間の時間枠で異なる濃度のサフラナールで処理した後のHepG2細胞の細胞生存率を示す。 図1は、サフラナールがHepG2細胞の生育および生存の阻害を示しており、図1Cは、サフラナール処理HepG2細胞の形態学的変化の評価(24時間)を示す。細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。 図1は、サフラナールがHepG2細胞の生育および生存の阻害を示しており、図1Dは、24時間の時間枠で異なる濃度のサフラナールで処理されたHepG2細胞のコロニー形成アッセイの代表的な画像を示す。 図2は、サフラナールがG2/MおよびS期でHepG2細胞を停止させる、細胞周期調節因子への影響を示し、図2Aは、48時間にわたって500μMの用量のサフラナールで処理した後のHepG2細胞の細胞周期の進行、および異なる時間間隔での細胞周期の異なる段階におけるHepG2細胞の定量的分布を示す。統計分析は、GraphPad Prismソフトウェアを使用したStudentのt検定によって実行され、p<0.05は統計的に有意と見なされた。*p<0.05、***p<0.01。 図2は、サフラナールがG2/MおよびS期でHepG2細胞を停止させる、細胞周期調節因子への影響を示し、図2Bは、500μMの用量のサフラナールで処理後のHepG2細胞における細胞周期調節タンパク質のウエスタンブロット分析を示す。ImageJを使用して各バンド強度を定量化し、それぞれのローディングコントロールバンドに対して正規化した。値は、未処理区との比率として表される。図2Bのウエスタンブロット画像は、見やすくするためにトリミングされている。 図2は、サフラナールがG2/MおよびS期でHepG2細胞を停止させる、細胞周期調節因子への影響を示し、図2Cは、ヒトCDC25B結合部位内のサフラナールの最良の結合ポーズを示す。 図3は、サフラナールがDNA損傷を誘発することによりその細胞毒性効果を発揮することを示し、図3Aは、48時間にわたって500μMの用量のサフラナールで処理後のHepG2細胞における複製、増殖、およびDNA損傷における主要なプレーヤーのウエスタンブロット分析を示す。ImageJを使用して各バンド強度を定量化し、それぞれのローディングコントロールバンドに対して正規化した。値は、未処理区との比率として表される。図3Aのウエスタンブロット画像は、明確にするためにトリミングされている。 図3は、サフラナールがDNA損傷を誘発することによりその細胞毒性効果を発揮することを示し、図3Bは、ヒトTDP1活性部位内でのサフラナールの結合ポーズを示す。 図3は、サフラナールがDNA損傷を誘発することによりその細胞毒性効果を発揮することを示し、図3Cは、サフラナールとの事前のインキュベーションによるトポテカンの細胞毒性の増強を示す。HepG2細胞をトポイソメラーゼI阻害剤トポテカン単独で、またはIC50サフラナールとともに24時間または48時間インキュベート後、トポテカンを加え、細胞生存率はSRBアッセイによって測定された。 図4は、サフラナールがHepG2細胞のアポトーシスを誘発することを示し、図4Aは、48時間にわたって500μMのサフラナールで処理されたHepG2細胞のアネキシンVによるアポトーシスの評価を示す。 図4は、サフラナールがHepG2細胞のアポトーシスを誘発することを示し、図4Bは、アネキシンV分析の定量化を示している。 図4は、サフラナールがHepG2細胞のアポトーシスを誘発することを示し、図4Cは、経時的な実験でサフラナール処理したHepG2細胞におけるアポトーシス関連タンパク質のウエスタンブロット分析を示す。ImageJを使用して各バンド強度を定量化し、それぞれのローディングコントロールバンドに対して正規化した。値は、BaxとBcl-2の比として表される。図4Cのウエスタンブロット画像は、見やすくするためにトリミングされている。 図4は、サフラナールがHepG2細胞のアポトーシスを誘発することを示し、図4Dは、経時的な実験でサフラナール処理したHepG2細胞中のカスパーゼのウエスタンブロット分析を示す。ImageJを使用して各バンド強度を定量化し、それぞれのローディングコントロールバンドに対して正規化した。値は、未処理区との比率として表される。図4Dのウエスタンブロット画像は、見やすくするためにトリミングされている。 図4は、サフラナールがHepG2細胞のアポトーシスを誘発することを示し、図4Eは、500および700μMのサフラナールで24時間処理したHepG2細胞におけるカスパーゼ-3/7活性を示す。Studentのt検定を実施した。(*p<0.05、**p<0.001、***p<0.0001) サフラナール治療の12時間後および24時間後の差次的に発現した遺伝子のベン図を示す。ベン図は、12時間後と24時間後の対照区と処理区との間の発現遺伝子のアップレギュレーションとダウンレギュレーションの分布を示している(FDR≦0.05、fold change of≧0.58log2 fold(1.5 fold))。 図6は、サフラナールへの曝露後の遺伝子のアップおよびダウンレギュレーションを示し、図6Aは、差次的に発現される上位50個の遺伝子のヒートマップを示す。ヒートマップは、処理後12時間および24時間での上位50遺伝子(アップおよびダウンレギュレーション)のlog2倍変化を示す。 図6は、サフラナールへの曝露後の遺伝子のアップおよびダウンレギュレーションを示し、図6Bは、12時間でアップレギュレーションされた100個の遺伝子のGO termの過剰表示を示す。 図6A~6Cは、サフラナールへの曝露後の遺伝子のアップおよびダウンレギュレーションを示し、図6Cは、24時間でアップレギュレーションされた100個の遺伝子のGO term過剰表示を示す。各円のサイズは、遺伝子の数と相関関係があり、ノードの色は、キーに従って、過剰発現されたGO termの重要度の異なるレベルを示している。 48時間にわたって500μMの用量のサフラナールでの処理後のHepG2細胞におけるUPRの主要なプレーヤーのウエスタンブロット分析を示し、これによりサフラナールがERストレスを誘発することがわかる。ImageJを使用して各バンド強度を定量化し、それぞれのローディングコントロールバンドに対して正規化した。値は、未処理のコントロールの比率として表される。ウエスタンブロット画像は、見やすくするためにトリミングされている。 肝臓癌細胞に対するサフラナール媒介メカニズムの略図である。 肝発癌モデルを確立するために実施されたイン・ビボ研究の実験計画を示す。 サフラナールの抗腫瘍形成特性を示すラット肝臓の代表的な画像を示す。肝臓全体を対照ラット(PBS)から、あるいは未処理ラットのDEN誘発肝腫瘍(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または併用(HCC SF SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍から切り出した。 未処理(HCC群)またはソラフェニブ(HCC+SB)、サフラナール(HCC+SF)単独または併用(HCC+SF+SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍からの肝結節の数の定量分析を示す。 ヘマトキシリンおよびエオシン染色切片の代表的な画像を示す(矢印はAHFの代表的な領域を指す)、n=6。肝臓切片は、対照ラット(PBS)、あるいは未処理ラットのDEN誘発肝腫瘍(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または併用(HCC SF SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍からのものである。 未処理(HCC群)またはソラフェニブ(HCC+SB)、サフラナール(HCC+SF)単独または併用(HCC+SF+SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍からの組織学的腫瘍病巣の領域の定量分析を示す。 レティキュリン染色切片の代表的な画像を示す(矢印はレティキュリン繊維を指す)。切片は、対照ラット(PBS)、あるいは未処理のラットのDEN誘発肝腫瘍(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または併用(HCC SF SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍から採取した。 図15A~15Bは、サフラナールが誘発した肝腫瘍の増殖を阻害することを示し、図15Aは、未処理(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または併用(HCC SF+SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍における増殖関連タンパク質(PCNA)のウエスタンブロット分析画像を示す。 図15A~15Bは、サフラナールが誘発した肝腫瘍の増殖を阻害することを示し、図15Bは、図15Aからの各バンド強度の定量化を示す。定量化にはImageJを使用して、肝臓の総タンパク質に対して正規化された。 未処理(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または併用(HCC SF+SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍における細胞周期関連タンパク質(Cdk1、サイクリンB1、Cdc25B)のウエスタンブロット分析画像を示す。 誘発した肝腫瘍のG2/M細胞周期停止のタンパク質を定量化した結果を示す。図16の各バンド強度は、ImageJを使用して定量化され、肝臓の総タンパク質に対して正規化された。結果は、各グループのn=4匹の動物の平均±標準偏差として表される。統計的有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した。 サフラナールが誘発した肝腫瘍の内因性アポトーシスを誘発することを明らかにするウエスタンブロット分析画像を示す。ウエスタンブロットは、未処理のラット(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または組み合わせ(HCC SF+SB)で処理されたラット(HCC)のDEN誘発肝腫瘍における内因性アポトーシス関連タンパク質(Bcl-2、Bax、Pro-Caspase-9、Pro-Caspase-3、PARP)を分析した。 図18のウエスタンブロットのバンドから、Bax、Bcl-2、およびBax/Bcl比を定量化した結果を示す。各バンド強度は、ImageJを使用して定量化され、肝臓の総タンパク質に対して正規化された。結果は、各グループのn=4匹の動物の平均±標準偏差として表される。統計的有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した。 図18のウエスタンブロットのバンドから、プロカスパーゼ9、プロカスパーゼ3、およびPARPを定量化した結果を示す。各バンドの強度は、ImageJを使用して定量化され、肝臓の総タンパク質に対して正規化された。結果は、各グループのn=4匹の動物の平均±標準偏差として表される。統計的有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した。 サフラナールが、未処理(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独および併用(HCC SF+SB)処理した、DEN誘導HCCラットで、チロシルDNAホスホジエステラーゼ(TDP1)の低レベル化を誘導することを明らかにするウエスタンブロット分析結果を示す。 食品医薬品局のガイドライン草案から得られたデータによる、他の種の体表面積に基づいたヒト等価用量(HED)の用量係数の表を示す。
本発明は、サフラナールがHepG2細胞および実験用ラットのHCCに対して抗癌効果を発揮するという発見に基づいている。この治療効果は、肝臓癌の治療にも使用できる。したがって、本明細書で提供されるのは、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ(例えば、塩、水和物、ヘミアセタール、アセタール、チオアセタール、シリルエーテル、互変異性体、または異性体など)の単独または薬学的に許容される担体との組み合わせを含む組成物を治療有効量で対象に投与することにより、対象の肝臓癌を治療、抑制、または軽減する方法である。
理論によって縛られることなく、サフラナールはDNA複製を妨害し、DNA修復を阻害することにより、HepG2細胞で抗癌効果を発揮し、DNA損傷を増加させると考えられる。TDP1、HDAC1、HDAC2などのDNA DSB修復メカニズムの主要な寄与因子のタンパク質発現の阻害は、その概念を明確に裏付ける。特に、分子ドッキング、免疫(イムノ)ブロッティング、SRBアッセイで明らかになったように、DNA DSB修復メカニズムの強力な寄与因子であるTDP1において、サフラナールによる阻害が顕著である。
重要なことに、サフラナールによる処置は、トポテカンなどのI型トポイソメラーゼ(TOP1)阻害剤に対する癌細胞の感受性の増加を誘導することも発見された。したがって、本明細書では、サフラナール(またはその薬学的に許容される塩、水和物、ヘミアセタール、アセタール、チオアセタール、シリルエーテル、互変異性体、または異性体)の第1の量を対象に投与し、および第二の量のTOP1阻害剤を対象に投与することを含む、肝臓癌を治療、抑制、または軽減する方法も提供する。
同様に、特定の理論に束縛されることなく、上記の感作は、サフラナールによる処置がトポテカン誘発性TOP1-DNA複合体の修復に必要なTDP1を阻害することを示している可能性がある。さらに、HDAC1およびHDAC2は、DNA損傷反応に関与し、DSBの修復を促進する。実際、HDAC1およびHDAC2が枯渇した細胞は、DNA損傷剤に対して過敏であることが示され、DSB修復能の欠陥が示唆された。
従来のがん治療(化学療法や放射線療法など)から生じるDNA損傷は、がん細胞のDNA修復機構によって認識され、薬剤耐性につながる。TDP1を阻害し、かつDNA修復を妨げることにより、より効果的な癌治療薬を開発できる。しかし、従来のTDP1阻害剤は不足しており、マイクロモル濃度でTDP1発現を阻害するのに効果的なものはわずかである。対照的に、500μMのサフラナールは、TOP1の発現の増加にもかかわらず、24時間でTDP1の発現を阻害し、48時間でそれをほぼ消失させることが分かった。したがって、サフラナールによるTDP1の阻害は、がん細胞に対するTOP1阻害剤の細胞毒性効果を高めるために使用できる。
さらに、本明細書では、サフラナール(またはその薬学的に許容されるプロドラッグ)の第1の量とTOP1阻害剤の第二の量を含む薬物の治療的組み合わせが提供される。本質的に、サフラナールとTOP1阻害剤の組み合わせは、薬剤単独または2つの薬剤の単純な組み合わせよりも効果的な薬の組み合わせであり得る。さらに、組み合わせの異なる用量は、サフラナールまたはTOP1阻害剤のいずれか単独よりも、肝臓癌の治療においてさらなる利益をもたらす可能性がある。
サフラナール組成物
第1の態様では、本出願は、サフラナールまたはその薬学的に許容されるプロドラッグを単独で、あるいは1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とともに製剤化されて含む組成物を、治療有効量で投与することにより、対象の肝臓癌の重症度を治療、抑制、または軽減する、治療的な組成物および方法を提供する。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤の他の成分と適合性があり、医薬製剤が可能であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で許容可能でなければならない。
上記のように、サフラナールはα-β不飽和アルデヒド基を含むため、ヘミアセタール、アセタール、チオケタール、シリルエーテル、および不飽和のβ-炭素への求核付加反応から生じる他の誘導体を形成することができる。サフラナール誘導体が薬学的に許容され、生理学的条件下で容易に切断される場合、1つまたは複数の誘導体がサフラナールのプロドラッグとして患者に投与されてもよい。この点に関して、「薬学的に許容されるサフラナール誘導体」という用語は、ヘミアセタール、アセタール、チオケタール、シリルエーテル、および求核付加生成物を含む、サフラナールの薬学的に許容され、容易に切断可能な基を指す。これらのプロドラッグは、投与媒体または剤形製造プロセスにおいてin situで、もしくはサフラナールを適切な反応物と別に反応させ、単離することにより、その後の精製中に形成された誘導体として、調製可能である。プロドラッグとして機能し得る他の誘導体には、薬学的に許容される塩および水和物が含まれる。治療的に有効なサフラナールの互変異性体および異性体も考えられる。特に明記しない限り、本明細書で使用される「サフラナールを含む組成物」および「サフラナールの製剤」という用語は、サフラナールのそれ自体や、ヘミアセタールおよびアセタール、薬学的に許容される互変異性体および異性体、および薬学的に許容される塩などのプロドラッグを含むことを意図している。
組成物は、以下に適合したものを含む固体または液体形態など、投与のための特殊な形で製剤することができる。(1)経口投与では、例えば、頬、舌下、全身吸収のための、例えば、水薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌用のペースト等、(2)非経口投与では、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、硬膜外への注射のための、例えば、滅菌溶液、懸濁液、徐放性製剤等、(3)局所投与では、例えば、クリーム、軟膏、皮膚に適用される制御放出パッチまたはスプレー等、(4)膣内または直腸内には、例えば、ペッサリー、クリーム、泡剤等、あるいは(5)舌下、(6)眼球、(7)経皮、(8)経鼻等に適合した製剤を含む。
組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、風味材や香料、防腐剤や抗酸化剤等を含んでいてもよい。
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤などが含まれる。
サフラナールの製剤には、経口、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に適したものが含まれる。製剤は、単位剤形で便利に提供されてもよく、薬学の技術分野で周知の方法によって調製されてもよい。単一の剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができるサフラナール、またはその薬学的に許容されるプロドラッグの量は、治療対象の患者、投与様式に応じて変わる。担体材料と組み合わせて単回投与形態に生成できる活性成分の量は、通常、治療効果を有する化合物の量になる。通常この量は、全体量のうち、活性成分の約1重量%~約99重量%、好ましくは約5重量%~約70重量%、最も好ましくは約10重量%~約30重量%の範囲である。
ある実施形態において、サフラナール製剤は、シクロデキストリン、リポソーム、胆汁酸等のミセル形成剤、及びポリエステルやポリ無水物等の高分子担体からなる群から選択される賦形剤と、サフラナールおよび/またはその薬学的に許容される誘導体の1つであり得る活性成分を含む。また、ある実施形態において、前記製剤は、経口で生物学的に利用可能なサフラナールまたはその誘導体を提供する。
これらの製剤または組成物の調製方法は、サフラナールを担体および任意で1つまたは複数の補助成分と結合させるステップを含む。通常、製剤は、本発明の化合物を液体担体、または微粉化した固体担体、またはその両方と均一かつ密接に結合させ、必要に応じて産物を成形することにより調製される。
サフラナールの経口投与の液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、微乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、万能薬剤が含まれる。活性成分に加えて、液体剤は、例えば、水もしくは他の溶媒、可溶化剤、乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、およびそれらの混合物など、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。
不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤や懸濁剤、甘味料、風味料、着色料、香料、防腐剤などの補助剤も含むことができる。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールやソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカント、およびそれらの混合物などの懸濁剤を含んでもよい。
本発明の経口投与に適した製剤は、カプセル剤、オブラート剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(通常、風味材として、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用したもの)、粉末、顆粒、または溶液または懸濁液の形態であってもよい。水性または非水性液体、または水中油型または油中水型液体エマルジョンとして、または万能薬剤またはシロップとして、またはトローチとして(ゼラチンやグリセリンなどの不活性基剤、またはショ糖およびアカシアを使用したもの)および/または洗口剤などとして、それぞれが所定量の本発明の化合物を有効成分として含む。また、サフラナール製剤は、丸薬、舐剤またはペーストとして投与することもできる。
本発明の経口投与の固体剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、顆粒など)では、活性成分は、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、および/または、次に示す1つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合されてなる:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤、(2)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモやタピオカの澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解遅延剤、(6)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、非イオン性界面活性剤などの湿潤剤、(8)カオリンやベントナイト粘土などの吸収剤、(9)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる滑沢剤、(10)着色剤など。カプセル、錠剤および丸薬の場合、医薬組成物は緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物は、また、ラクトースや乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用した軟殻および硬殻ゼラチンカプセルの充填剤として使用されてもよい。
錠剤は、必要に応じて1つまたは複数の補助成分とともに、圧縮または成形することで作成できる。圧縮錠剤は、結合剤(ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(デンプングリコール酸ナトリウムや架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、界面活性剤、分散剤等を使用して調製できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製剤できる。
錠剤、ならびに他の糖衣錠、カプセル、丸剤、顆粒などの本発明の医薬組成物の固体剤は、必要に応じて、腸溶コーティング剤、その他の医薬製剤技術分野で周知のコーティング剤などのコーティングおよびシェルを付して調製することができる。それらは、また、例えば、所望の放出特性を提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースや、その他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを使用して、活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化することができる。それらは、即効放出のために、例えば、凍結乾燥で製剤化されてもよい。それらは、例えば、バクテリアを保持するフィルター濾過により滅菌され得る。あるいは、滅菌水に溶解可能な滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより、もしくは使用直前に注入可能な滅菌媒体などにより滅菌され得る。組成物は、必要に応じて乳白剤を含んでもよく、遅延様式で胃腸管などの特定の部分でのみ、または必要に応じては優先的に、活性成分を放出する組成物であってもよい。使用可能な包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。活性成分は、適切な場合、上記の賦形剤の1つまたは複数を含むマイクロカプセル形態であってもよい。
錠剤、ならびに他の糖衣錠、カプセル、丸剤、顆粒などのサフラナールまたはそのプロドラッグの医薬品の固体剤は、必要に応じて、腸溶コーティング剤、その他の医薬製剤技術分野で周知のコーティング剤などのコーティングおよびシェルを付して調製することができる。それらは、また、例えば、所望の放出特性を提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースや、その他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを使用して、活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化することができる。それらは、即効放出のために、例えば、凍結乾燥で製剤化されてもよい。それらは、例えば、バクテリアを保持するフィルター濾過により滅菌され得る。あるいは、滅菌水に溶解可能な滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより、もしくは使用直前に注入可能な滅菌媒体などにより滅菌され得る。組成物は、必要に応じて乳白剤を含んでもよく、遅延様式で胃腸管などの特定の部分でのみ、または必要に応じては優先的に、活性成分を放出する組成物であってもよい。使用可能な包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。活性成分は、適切な場合、上記の賦形剤の1つまたは複数を含むマイクロカプセル形態であってもよい。
直腸または膣内投与用のサフラナールの医薬組成物の製剤は、坐剤であってもよい。そのような坐剤は、例えば、サファナールを、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、サリチル酸塩といった、室温では固体だが体温では液体であるため直腸または膣腔で溶けて活性化合物を放出する、1つまたは複数の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製してもよい。
サフラナールの局所または経皮投与の剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、吸入剤等が含まれる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、あるいは必要に応じて任意の保存剤、緩衝液、噴射剤等と混合することができる。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルには、活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含むことができる。
粉末およびスプレーは、活性化合物に加えて、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素などの通常の噴射剤、およびブタンやプロパンなどの揮発性非置換炭化水素をさらに含むことができる。
経皮パッチには、サフラナールまたはそのプロドラッグを体内に制御送達するという追加の利点がある。そのような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることにより作成できる。吸収促進剤を使用して、化合物の皮膚透過流を増加させることも可能である。また、そのような透過流は、流量制御膜を備えるか、化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることにより制御可能である。
非経口投与に適した医薬組成物には、1つまたは複数のサフラナールまたはそのプロドラッグと、1つまたは複数の薬学的に許容される滅菌等張の水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、乳濁液、または使用直前に滅菌注射可能に溶液や分散液に再構成できる滅菌粉末との組み合わせが含まれる。製剤には、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁化剤や増粘剤が含まれる場合がある。
本発明の医薬組成物で使用できる適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルなどが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用により維持できる。
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤などの補助剤を含んでもよい。本件記載の化合物への微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの様々な抗菌剤や抗真菌剤を含めることにより保証され得る。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることも望ましい場合がある。さらに、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含むことにより、注射可能な医薬形態の長期吸収がもたらされ得る。
サフラナールが医薬組成物としてヒトおよび動物に投与される場合、それ自体または例えば0.1~99.5%(より好ましくは0.5~90%)の有効成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物として投与することができる。
製剤は、経口、非経口、局所的、または直腸に投与されてもよい。もちろん、前記製剤はそれそれの投与経路に適した形で提供される。これらは、例えば、錠剤やカプセルといった形態で投与されてよく、注射、吸入、点眼薬、軟膏、坐剤といったように、注射、注入または吸入により投与されてよく、ローションや軟膏により局所投与されてよく、坐剤により直腸投与されてよい。なかでも経口投与が好ましい。
サフラナールは、いかなる適切な投与経路によっても、治療のためにヒトおよび他の動物に投与することができる。例えば、経口、スプレー等による経鼻、粉末、軟膏、ドロップによる、直腸内、膣内、非経口、大槽内、び頬側や舌下を含む局所への投与などがある。
選択された投与経路に関係なく、サフラナールまたはそのプロドラッグは、当業者に知られている従来の方法により薬学的に許容される剤形に製剤化され得る。サフラナールは、他の医薬品との類似性により、ヒトまたは獣医学で使用するために扱いやすい方法で投与するために製剤化することができる。
ある実施形態では、上記の医薬組成物は、サフラナール、第2治療薬、および任意選択で薬学的に許容される担体を含む。また、「化学療法薬」または「治療薬」の用語には、カルボプラチン、シスプラチンなどの白金ベースの薬剤、窒素マスタードアルキル化剤、カルムスチン(BCNU)、その他のアルキル化剤などのニトロソ尿素アルキル化剤、メトトレキサートなどの代謝拮抗剤、プリンアナログ代謝拮抗剤、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビンなどのピリミジン類似体代謝拮抗剤、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェンなどのホルモン性抗腫瘍薬、タキサン類(ドセタキセルやパクリタキセルなど)、アルデスロイキン、インターロイキン-2、エトポシド(VP-16)、インターフェロンアルファ、トレチノイン(ATRA)などの天然の抗腫瘍薬、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンなどの抗生物質天然抗腫瘍薬、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのビンカアルカロイド天然抗腫瘍薬などが含まれるが、これらに限定されない。
上記で述べたように、サフラナールによる治療は、トポテカンなどのI型トポイソメラーゼ(TOP1)阻害剤に対する癌細胞の感受性の増加を誘導することがわかっている。したがって、一部の実施形態では、第2治療薬はTOP1阻害剤、例えばイリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、またはラメラリンDであり、本明細書ではサフラナールおよびTOP1阻害剤を含む薬物の組み合わせが提供される。本発明のこの態様の医薬組成物中のサフラナールおよびTOP1阻害剤のそれぞれの量は、TOP1阻害剤の選択、所望の投与量、および使用される薬学的に許容される担体などの多数の要因に応じて非常に広く変動し得ることは当業者によって認識されるであろう。投与のために、TOP1阻害剤の含有量は、組成物中に存在するサフラナールの含有量に対して、通常重量で0.1:1~10:1であろう。好ましくは、サフラナールとTOP1阻害剤の相対量は、治療の相乗効果、すなわち、その最大治療用量で個々に使用されるいずれかの薬剤で達成できるよりも大きい効果が達成されるであろう。
肝臓癌治療の方法
上記のサフラナール組成物は、肝臓癌を治療する新規の治療方法に使用され得る。この方法は、本件記載の医薬的なサフラナール組成物を対象に有効量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、肝臓癌のタイプは、肝細胞癌(HCC)、線維層板状HCC、胆管癌、血管肉腫、または転移性肝臓癌である。
サフラナールは、いかなる適切な経路でも投与できる。好ましい経路は、例えば、サフラナールのレシピエントの状態および治療する癌によって異なり得ることが理解されよう。特定の実施形態では、この方法は、本件記載の医薬組成物を有効量で対象に非経口投与することを含む。ある実施形態では、この方法は、対象への本件記載の組成物の動脈内投与を含む。一実施形態では、この方法は、本件記載の組成物を有効量で対象の肝臓癌の動脈血供給に直接投与することを含む。他の実施形態では、この方法は、本件記載の組成物を有効量でカテーテルを使用して癌の動脈血供給に直接投与することを含む。また別の実施形態では、方法は化学塞栓療法を含む。例えば、化学塞栓法は、油性基剤および1つまたは複数の化学療法剤と混合された樹脂様材料からなる組成物で癌を供給する血管を遮断することを含んでもよい。さらに他の実施形態では、この方法は、対象への本件記載の組成物の全身投与を含む。
また、サフラナールを第2治療薬と併用して対象に投与することを含む、肝臓癌を治療する方法も提供される。併用療法には、サフラナールの治療効果が完全に消失しないように、サフラナールと第2治療剤を連続に、同時に、あるいは別々に投与すること、もしくは一緒に投与することが含まれる。特定の実施形態では、サフラナールおよび第2化学療法剤は、両化合物を含む同じ医薬組成物に一緒に配合されてもよい。あるいは、サフラナールと第2治療剤の組み合わせは、サフラナールと化学療法剤のいずれかを含む別の医薬組成物を別々に投与することができ、例えばサフラナールまたは第2治療剤を最初に投与され、もう一方を2番目に投与される。
サフラナールとTOP1阻害剤の組み合わせ
上記で述べたように、サフラナールによる治療法は、トポテカンなどのI型トポイソメラーゼ(TOP1)阻害剤に対する癌細胞の感受性の増加を誘導することがわかっている。したがって、いくつかの実施形態では、第2治療剤は、癌を治療するためのTOP1阻害剤、例えばイリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、およびラメラリンDである。ある実施形態の組み合わせでは、サフラナールおよびTOP1阻害剤は、両方の化合物を含む同じ単一の医薬組成物に配合されてもよい。あるいは、サフラナールとTOP1阻害剤の組み合わせは、それぞれサフラナールとTOP1阻害剤のいずれかを含む別の医薬組成物で、例えばサフラナールまたはトポテカンを最初に投与し、他方を2番目に投与する連続方式で別々に投与してもよい。このような連続投与は、時間的に近くてもよく(例えば同時に)または時間的に離れていてもよい。また、化合物が同じ剤形で投与されるかどうかは問題ではなく、例えば一方の化合物を局所投与し、もう一方の化合物を経口投与してもよい。ある実施形態では、両化合物は経口投与される。したがって、該実施形態では、サフラナールの1つまたは複数の用量は、TOP1阻害剤の1つまたは複数の用量と同時にまたは別々に投与される。
当業者は、サフラナールおよびTOP1阻害剤のそれぞれの量が、TOP1阻害剤の選択、所望の投与量、および使用される薬学的に許容される担体などの多数の要因に応じて非常に広く変わり得ることを認識するであろう。投与のため、サフラナールの量は、TOP1阻害剤の量に対して、通常重量で0.1:1~10:1になるであろう。好ましくは、サフラナールとTOP1阻害剤の相対量は、治療の相乗効果、すなわち、各薬剤の最大の治療量よりも大きい治療効果をもたらすであろう。
治療組成物の投与
代表的な実施形態では、癌を治療する方法は、本件記載の組成物を有効量で肝臓の血管に直接投与することを含む。例えば、肝動脈などの血管に注入、注射、化学塞栓、またはカテーテルを挿入して、本件記載の組成物を肝臓癌に投与することができる。他の実施形態では、投与方法は、本件記載の組成物を有効量で肝臓の癌の血管に直接投与することを含む。そのような方法はよく知られており、当技術分野で使用されている。
通常、医薬組成物を利用する化学塞栓療法もしくは動脈内または静脈内への直接注入による療法は、一般的に、部位に関係なく後述の方法で行われる。つまり、動脈または静脈に(塞栓または注入する部位に応じて)挿入されたカテーテルを通して造影剤を注入することにより、まず塞栓される領域の血管造影(血管のロードマップ)、または特定の実施形態では、動脈造影がX線、コンピューター断層撮影(CT)、または磁気共鳴画像(MRI)にてより詳細に撮影される。カテーテルは、経皮的または手術によって挿入できる。次いで、血流が止まるのが観察されるまで、カテーテルを通してサフラナールを含む医薬組成物を還流することにより、血管を塞栓してもよい。血管造影を繰り返すことで、閉塞を確認できる。直接注入を行う実施形態では、血管に所望の用量のサフラナールの医薬組成物が注入される。
塞栓療法は通常、治療される腫瘍または血管塊の隙間全体に医薬組成物の分布をもたらす。動脈内腔を塞ぐ塞栓粒子の物理的バルクは、血液供給の閉塞をもたらす。この効果に加えて、抗血管新生因子の存在は、腫瘍または血管塊に供給する新しい血管の形成を防ぎ、血液供給を遮断する失活効果を高める。直接の動脈内または静脈内投与は、通常、治療される腫瘍または血管塊の隙間全体にサフラナールを含む組成物の分布をもたらす。ただし、通常、この方法では血液の供給が妨げられることはない。
いくつかの実施形態において、肝臓の原発性および続発性腫瘍は、塞栓形成または直接の動脈内または静脈内注射療法を通じて治療され得る。簡単に言えば、カテーテルを大腿動脈または上腕動脈を介して挿入し、透視下で動脈系を介して操作することにより肝動脈に進める。カテーテルは、正常な構造を供給する動脈枝のできるだけ多くを割愛しながら(sparing)、腫瘍に供給する血管の完全な閉塞を可能にするための肝動脈樹内に進められる。理想的には、肝動脈の分節枝だが、腫瘍の程度とその血液供給程度に応じて、胃十二指腸動脈の起点から遠位の肝動脈全体、または複数の別個の動脈でさえ、ブロックが必要である可能性があろう。所望のカテーテル位置に到達したら、動脈は、閉塞する動脈の流れが止まるまで、好ましくは5分間観察した後、動脈カテーテルを通して(上記に記載の)組成物を注入することにより塞栓される。動脈の閉塞は、カテーテルから造影剤を注入し、造影剤で満たされていた血管が造影剤を注入していないことを画像化技術で確認できる。直接注入を用いた実施形態では、動脈カテーテルを通して(上記に記載の)組成物を所望の用量で注入することにより、動脈に注入される。閉塞する各栄養動脈で同じ手順を繰り返すことができる。
塞栓療法での使用のために、サフラナールの組成物は、好ましくは、非毒性で、血栓を形成し、血管カテーテルを注入しやすく、効果が急速かつ永続的で、無菌であり、処置時に異なる形状またはサイズで容易に入手できることが好ましい。いくつかの実施形態では、組成物は、サフラナールの送達後、第2治療薬の緩やか(理想的には、6時間から1日の期間にわたって)な放出をもたらす。また、いくつかの実施形態において、本件記載の医薬組成物には、サフラナールに第2治療薬が組み込まれ、予防的または治療的処置の一部として患者に治療有効量のサフラナールを送達するのに十分な量で送達される。
組成物中のサフラナールの望ましい濃度は、サフラナールの吸収、不活性化、および排泄速度、ならびにその化合物の送達割合に依存するだろう。投与量は、改善させるべき状態の重症度によっても異なることに留意されたい。特定の対象に対して、個々の必要性および組成物の投与を管理または監督する人の専門的判断に従って、投与量を経時的に調整する必要があることをさらに理解されたい。通常、投与量は、当業者に知られている技術によって決定されるだろう。
あるいは、サフラナールの投与量は、血漿中の濃度を参照して決定することができる。例えば、最大血漿濃度(Cmax)および0時間~無限時間での血漿濃度-時間曲線下面積[AUC(0~4)]を利用できる。本発明においての投与量には、CmaxおよびAUC(0~4)について上記の値をもたらすもの、およびこれらのパラメーターについてより大きな、またはより小さな値をもたらす他の投与量が含まれる。
本発明のこの態様の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物、投与様式により、その患者に有毒でない程度の所望の治療反応を生じるのに有効なサフラナールの量を得るために変動し得る。
選択された用量レベルは、サフラナール(または薬学的に許容されるヘミアセタール、アセタールなどのプロドラッグ、薬学的に許容される互変異性体、異性体、および薬学的に許容されるそれらの塩)の活性、投与経路、投与時間、使用されている特定の化合物の排泄または代謝の速度、治療期間、使用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、年齢、性別、体重、状態、一般治療を受けている患者の健康および過去の病歴を含む様々な要因、および医学分野でよく知られている同様の要因に依存するであろう。
当分野の通常の技術を有する医師または獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定および処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要量よりも低い量で医薬組成物に使用される本発明の化合物の用量を決定し、所望の効果がもたらされるまで徐々に増やすことができる。
通常、組成物の治療量に含まれるサフラナールの適切な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効なサフラナールの最低の用量になる。その有効量は通常、上記の要因に依存する。必要に応じて、サフラナールの有効な1日用量は、2、3、4、5、6、またはそれ以上のサブ用量として、1日通して適切な間隔で、必要に応じて単位剤形で投与される。特定の患者で最も効果的な治療をもたらす特定化合物の正確な投与時間と量は、活性、薬物動態、生物学的利用能、患者の生理学的状態(年齢、性別、疾患タイプおよび投与段階、一般的な身体的状態、所定の用量および薬物の種類に対する反応性、投与経路を含む)などに依存する。本明細書で提示されるガイドラインは、治療を最適化するために使用できる。たとえば、最適な時間および/または投与量の決定には、対象をモニタリングし、用量および/またはタイミングを調整することからなる、日常的な実験だけが必要である。
サフラナールの例示的な用量は、対象の体重1kgあたり約0.001、0.01、0.1、0.5、1、10、15、20、25、50、100、200、300、400、500、600、または750から約1000mg/日の範囲にある。特定の実施形態において、サフラナールの用量は、概して対象の体重1kgあたり約100mg/日~約1000mg/日の範囲、具体的には約200mg/日~約750mg/日の範囲である。より具体的には、体重1kg当たり約250mg/日~約500mg/日の範囲である。一実施形態では、用量は体重1kg当たり約50mg/日~約250mg/日の範囲である。さらなる実施形態では、用量は体重1kg当たり約100mg/日~約200mg/日の範囲である。一実施形態では、用量は体重1kg当たり約15mg/日~60mg/日の範囲である。さらなる実施形態では、用量は体重1kg当たり約20mg/日~50mg/の範囲である。また、さらなる実施形態では、用量は体重1kg当たり約25mg/日~45mg/日の範囲である。
サフラナールとTOP1阻害剤などの他の化学療法剤の併用は、さまざまな成分の効果の発現と持続時間が補完的であるため、それぞれの成分に必要な用量を減らすことができる。そのような併用療法では、異なる活性剤を一緒にまたは別々に、あるいは同時にまたは1日のうちの異なる時間に送達することができる。
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトで使用するための用量範囲を策定する際に使用できる。例えば、ある動物種で達成される有効な投与量は、図22の変換表に示されるように、ヒトを含む別の動物で使用するために外挿でき、ここでは、他の種の体表面積に基づいたヒト等価用量(HED)の用量係数が報告されている(Nair and Jacob、2016)。サプリメントまたはその代わりの成分の投与量は、毒性がほとんど、もしくはまったくないED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、剤形および投与経路に応じてその範囲内で変動し得る。サフラナールまたはサフラナールと他の化学療法剤の組み合わせの場合、治療有効量は最初に細胞培養アッセイから推定される。動物モデルでは、細胞培養で決定されたIC50(すなわち、症状の最大抑制の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環する血漿濃度範囲に亘るために、用量を処方することができる。そのような情報は、ヒトでの有用な用量をより正確に決定するために使用される。血漿中の濃度は、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
キット
本発明では、肝臓癌を治療するためのキットを提供する。例えば、キットは、上記のサフラナールの1つ以上の医薬組成物を含んでもよい。組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であってもよい。キットの他の実施形態では、本発明は、サフラナールを含み、必要に応じてTOP1阻害剤を含み、更に必要に応じて癌の治療におけるそれらの使用に関する指示書を含むキットを提供する。さらに他の実施形態では、本発明は、1つ以上の医薬組成物と、その組成物を投与するための1つ以上のデバイスとを含むキットを提供する。例えば、本件記載のキットは、癌への組成物の直接動脈内注射を達成するための医薬組成物およびカテーテルを含んでいてもよい。一実施形態では、デバイスは動脈内カテーテルである。このようなキットには、例えば、治療、診断、その他の用途を含むさまざまな使途がある。
イン・ビトロ試験
サフラナールが肝臓癌に対してイン・ビトロで抗癌活性を付与する分子機構は、細胞生存率、形態、生存、細胞周期進行などのHepG2細胞の一般的な側面に対するサフラナール処理の効果を調査することによって解明された。DNA二重鎖切断(DSB)の誘導とDNA修復メカニズムの阻害を通じてDNA損傷を促進するサフラナールの役割が初めて実証された。アポトーシスはサフラナール処理で誘導され、これは蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析データと誘導型および実行型の両カスパーゼの活性化から明らかであった。最後に、本結果は、本明細書で述べているサフラナール誘発アポトーシスが小胞体(ER)ストレスを介して媒介されたという証拠を提供した。
サフラナールは、HepG2細胞の生育および生存を阻害する
イン・ビトロでの肝臓癌に対するサフラナールの細胞毒性効果(図1A)を評価するために、HepG2細胞をさまざまな濃度(50~900μM)のサフラナールで24、48、72時間処理した。サフラナールによる処理は、細胞生存率の用量依存的および時間依存的な阻害をもたらした(IC50 500μM;図1B)。24時間サフラナールの投与量を増やして処理した細胞は、より丸い細胞形状、細胞収縮、剥離の増加といった形態学的変化を示した。サフラナールにより誘発された形態学的変化は、細胞を500μMの用量で処理した後に特に顕著であった(図1C)。コロニー形成アッセイも実施し、HepG2細胞の生存に対するサフラナールの効果を評価した。細胞は、サフラナールのさまざまな濃度(30~100μMといった高用量ですべてのコロニーを根絶)で処理した。
図1Dは、24時間後に異なる濃度のサフラナールで処理されたHepG2細胞のコロニー形成アッセイの画像を示す。サフラナール処理の効果は、処理サンプルと非処理サンプルのコロニーが占める面積の割合(3つのサンプルの代表値)と各処理ウェルと非処理ウェルの吸光度(それぞれ3つの生物学的代表値)を計算することで定量化された。定量にはt検定を実施した(*p≦0.05、**p≦0.001、***p≦0.0001)。サフラナールは、用量依存的にHepG2細胞のコロニー形成を阻害し、100μM用量で最も効果を示した。この阻害は、対照区と比較して、処理されたプレートの目に見えるコロニーの数が少ないことにより明確に反映された。コロニー数の減少は、占有面積が小さく光学密度が低いほど定量的に表された。
サフラナールはG2/MおよびS期でHepG2細胞を活動停止させ、細胞周期調節因子に影響を与える。
サフラナールが細胞周期の進行にどのように影響するかを調べるために、細胞周期分布をフローサイトメトリーで分析した。細胞分裂は500μMサフラナールで処理すると、処理後6時間および12時間でG2/M期に、24時間でS期に停止した。さらに、サフラナールは、処理の24時間後および48時間後にサブG期細胞の有意な(p<0.001)増加を誘発し、サフラナールがHepG2細胞のアポトーシスを誘発したことを示した(図2A)。
HepG2細胞を500μMサフラナールで6、12、24および48時間処理し、主要な細胞周期調節因子のタンパク質発現に対するサフラナールの影響を調査した。有糸分裂に入る細胞の指標であるリン酸化ヒストンH3の発現は、サフラナール処理後に劇的に阻害され、G2/M移行の中断が示唆された。これは増殖マーカーであるPCNAの阻害にも反映された(図2B)。Cdc2/CyclinB1(Cdk1/CyclinB1複合体としても知られている)はG2/M期に必要であり、イン・ビトロでの活性化にはCDC25Bが必要であることが報告されている。興味深いことに、サフラナールは12時間でCdc2の発現を抑制し、6時間の処理でサイクリンB1およびCDC25Bの発現を抑制することが示された。サフラナールが対応するCDC25Bにその効果を及ぼすメカニズムをさらに理解するために、最も可能性の高い結合方式とそのような複合体で起こる相互作用のタイプを特定する目的で、分子ドッキングアプローチを利用した。興味深いことに、サフラナールは、CDC25Bの触媒Arg-482との強いH結合相互作用に関与するアルデヒドカルボニル基の結合プロファイルを示し(図2C)、サフラナールとCDC25Bの直接的な相互作用が示唆された。
サフラナールは、DNA修復機構の調節を通じて細胞毒性効果を発揮する。
サフラナール処理の24時間後のFACS分析により示されるS期の停止は、DNA損傷の指標であるp53の発現と関連する(図3A)。したがって、これらのプロセスに対するサフラナールの効果を理解するために、DNA複製、増殖、およびDNA損傷に関する主要マーカーについて検討した。p-H2AX(DNA損傷マーカー)は通常、DNA損傷部位に動員され、DNA損傷を受けた細胞に核内フォーカス17(nuclear foci17)を形成し、G2期で細胞周期を停止させる。興味深いことに、H2AXの発現はサフラナールで処理しても変化しなかったが、p-H2AXはサフラナール処理の6時間および12時間後に観察され始め、これは、サフラナール誘発性のG2/M停止が6時間および12時間でみられたという本明細書で報告したデータと一致していた(図3A)。DNA損傷の修復に失敗すると、複製と転写の調節が解除され、突然変異の誘発とアポトーシスが起こることが報告されている。
トポイソメラーゼI(TOP1)はDNA複製に重要な役割を果たし、その阻害は、PARPとの複合体であるチロシルDNAホスホジエステラーゼ(TDP1)によって保護可能とされている、DNA損傷を引き起こす可能性がある。6時間、12時間、24時間、48時間サフラナールで処理したHepG2細胞は、6時間から開始して、より高いレベルのTOP1およびより低いレベルのTDP1を発現した(図3A)。DSBの修復は、HDAC1およびHDAC2の活性によって媒介されることも知られている。HDAC1発現に対するサフラナールの効果は明らかだったが、HDAC2の発現は変化しなかった。さらに、分子ドッキング法により、サフラナールと対応するTDP1活性部位との直接的な相互作用が明らかになった(図3B)。図3Cが示すように、トポテカンの24時間または48時間前に細胞をサフラナールとのプレインキュベーションすることによって、HepG2細胞に対するトポテカンの細胞毒性効果を大幅に強化した。以下表1に示すように、トポテカンIC50は、トポテカンの24時間または48時間前に細胞をサポナールとインキュベーションすると、0.118μMから0.0016μMに減少し、感作因子73であった。
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サフラナールによるHepG2細胞のアポトーシス誘導
細胞周期を通じたHepG2細胞の進行に対するサフラナール(500μM)の効果に関する検討では、アポトーシスを示すヒストグラムのサブG1細胞の割合を示した。サブG1細胞の割合は、DMSOで処理した対照細胞の0.9%と比べて、サフラナール処理後24時間後に6.3%、48時間後に26.2%に増加した(図4A)。サフラナール処理後のHepG2細胞のアポトーシス誘導を確認するために、アネキシンV結合アッセイを行った。その結果、48時間後に8~31%の死細胞の有意な(p<0.01)増加をもたらした(図4A、4B)。アポトーシスに対するサフラナールの効果を調べるために、Bax(プロアポトーシス)、Bcl-2(抗アポトーシス)、誘導型カスパーゼ(カスパーゼ-8および-9)および実行型カスパーゼ(カスパーゼ-3および-7)の発現量の変化を調査した。BaxとBcl-2の比は、サフラナール処理後、時間依存的に増加した(図4C)。さらに、24時間でカスパーゼ-8が開裂され、サフラナール処理後12時間でカスパーゼ-9が開裂されたが、これは前述のDNA損傷のマーカーと一致した(図4D)。実行型カスパーゼ-3および-7の活性は、一貫して、サフラナール処理後に増加した(図4E)。プロアポトーシスタンパク質のアップレギュレーションおよび、カスパーゼの誘導活性は、アポトーシスのアネキシンV分析(annexin V analysis)とよく相関していた。
サフラナール処理されたHepG2細胞のDEGは曝露時間に依存する。
HepG2細胞がシステムレベルでサフラナール処理によってどのように反応するかを調べるために、細胞を6、12、24、および48時間サフラナールで処理し、3連の生物試料サンプルから単離したRNAをトランスクリプトームシーケンシングにかけた。各サンプルから得られた結果の定量化に続いて(3回)、差次的発現遺伝子(DEG)は、0.05でFDR調整されたp値で≧0.58log2値(または1.5倍)の倍率変化閾値で同定された。RNAseq定量化の精度および再現性は、リアルタイムPCR(qPCR)によって検証された。
解析アルゴリズム(short time-series expression miner:STEM)を使用して、サフラナール処理HepG2細胞の発現プロファイルが対照区と比較して経時的にどのように変化するかを調査した。STEMクラスタリングツールは、50のモデルプロファイルを作成し、標準の仮説検定で遺伝子ごとに50の順列を使用して、統計的に有意な値を持つプロファイルを決定した。有意性モデルプロファイルも類似性に基づいてグループ化され、有意性プロファイルのクラスターを形成した(データ非表示)。50のプロファイルのうち、14のプロファイルが統計的な有意性を示した。これらのうち、サフラナール処理後のアップおよびダウンレギュレーションの傾向に焦点を合わせた。STEMは、各クラスターの遺伝子オントロジー(GO)分析も提供する。ダウンレギュレーションされた傾向を示す遺伝子に豊富なGO TERMは、細胞分裂とDSB修復でみられた。さらに、アップレギュレーションされた傾向は、タンパク質のユビキチン化の正の調節とDNA損傷刺激に対する応答の調節に関するものに、豊富にみられた。
選択された時点(12時間および24時間)でのサフラナール処理からのDEGの分布は、対照(未処理)サンプルと比較して得られた。合計6581の遺伝子が12時間で有意に差次的に発現し、24時間で7789個の遺伝子が有意に発現した。これらの時点のうち、2812および2458遺伝子はそれぞれアップレギュレーションされ、3769および5331はダウンレギュレーションされた(図5)。処理後12時間でユニークに出現するDEGの数は、1506(アップレギュレーション)および1092(ダウンレギュレーション)だった。一方、1248(アップレギュレーション)および2558(ダウンレギュレーション)遺伝子は24時間でユニークに見られた。これらの結果は、発現遺伝子の分化は時間依存的であり、12時間と比較して24時間サフラナールで細胞を処理した場合、より差次的に発現する転写物があることを示唆している。2点の間で重複する多くの一般的な遺伝子が見つかった。さらに、12時間でアップレギュレーションされ、24時間でダウンレギュレーションされた118の遺伝子があった。これらの遺伝子は、主に有糸分裂の細胞周期と細胞分裂のG1/S遷移に関与していた。ただし、22時間後に12の遺伝子がダウンレギュレーションされ、24時間後にはアップレギュレーションされ、サイクリン依存性タンパク質セリン/スレオニンキナーゼ活性のタンパク質分解と制御に関与していた。これらの発見は、Cdc2、サイクリンB1、およびCDC25Bの阻害およびp53の誘導を介した細胞周期の進行に対するサフラナールの効果を示した、本明細書の免疫ブロット結果と全体的に一致していた。
DEGのサフラナール処理HepG2細胞のDEGは、DNA損傷、細胞死、および変性タンパク質への応答に関連するGO termが豊富である。
遺伝子オントロジー(GO)および遺伝子セット濃縮分析遺伝子オントロジー(GO)および遺伝子セット濃縮分析は、XGRソフトウェアを使用して生物学的プロセスに関してすべてのDEGで実行された。XGRは入力遺伝子セットに基づいて濃縮とネットワーク分析を統合するため、ここでは細胞周期、DNA損傷、およびその他の関連する経路に関与する濃縮条件に焦点を当てた(表2)。12時間のサフラナール処理で多くのアップレギュレーションされた遺伝子は、DNA損傷刺激に対する細胞応答、プロテアソーム媒介ユビキチン依存性タンパク質異化プロセス、および変性タンパク質応答(UPR)に関連するGO termが豊富であった(表2)。また、細胞遊走、生育、および創傷治癒に関連するGO termが、12時間のサフラナール処理で多くのダウンレギュレーションされた遺伝子として、豊富に検出された。24時間サフラナール処理でアップレギュレーションされた遺伝子では、豊富化されたGO termは、プロテアソームを介したユビキチン依存性タンパク質異化プロセス、UPR、およびアポトーシスのミトコンドリアの変化に関連していた。同処理によりダウンレギュレーションされた遺伝子については、表2に示されているように、豊富化されたGO termはシグナル伝達、細胞接着、および創傷治癒に関連していた。
Figure 0007291950000002
次に、手作業で処理した知識ベースのIngenuity Pathway Analysis(IPA)指定を用いて、12時間および24時間のサフラナール処理後のアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションされた遺伝子への機能的関連性を導入した。IPAで生成された上位の濃縮ネットワークには、肝臓の過形成/過剰増殖、肝細胞癌、肝臓の増殖、肝臓の壊死/細胞死、および肝臓の再生が含まれていた。結果として得られたネットワークは、サフラナール処理後12時間と24時間の両方で「肝細胞癌」の抑制を示していた(データ非表示)。
サフラナールが変性タンパク質応答のアップレギュレーションを介してHepG2細胞のERストレスを誘導する。
ヒートマップに表示される12時間および24時間の両方の時点で上位50個のアップおよびダウンレギュレーション遺伝子を特定した(図6A)。さらに、12時間および24時間の両方の時点で、アップおよびダウンレギュレーションされた上位100の遺伝子を特定した。遺伝子セットの濃縮とKEGG経路分析を実行するために、BiNGOとXGRを使用して濃縮条件を特定した(データ非表示)。GOネットワークからの結果は、12時間および24時間のサフラナール処理によりHepG2において発現増加した遺伝子の大部分がUPRに関与していることを示していた(図6B、6C)。異なる時点でサフラナール処理すると、HepG2細胞がERストレスとUPRを経験しているかどうかを確認するために、ERレギュレーターの評価を実施した。UPR、PERK、IRE1、およびATF6のメインセンサーは、一般的な発現増加の傾向を示した。下流CHOP/DDIT3とリン酸化eIF2αも、時間依存的にサフラナール処理後にアップレギュレーションされた。さらに、マスターUPRレギュレーターであるGRP78およびp27の発現は、サフラナール処理後に誘導された。一方、p21の発現はサフラナール処理後に阻害された(図7)。
以前から、サフランおよびその誘導体は、癌の発生と促進の両方を妨げる能力を有し、したがて癌治療の促進になることが知られている。また、これらはイン・ビトロで抗腫瘍活性およびアポトーシス促進活性を有することも示されている。本研究では、サフラナールが500μMでHepG2の増殖を有意に抑制した。他の研究では、サフラナールは低用量で強力な阻害効果を示しており、HepG2細胞はサフラナールに対してより耐性がある可能性が示唆された。多くの研究において、サフラン抽出物とその誘導体のがん細胞に対する選択毒性と、正常細胞に対する毒性の非存在が報告されている。
コロニー形成能力は、がん細胞の生存と増殖に不可欠であり、いくつかの研究では、さまざまながんにおけるコロニー形成を阻害するアポトーシス促進性天然物の能力が報告されている。ここでも、サフラナールは用量依存的にHepG2細胞のコロニー形成能力を低下させた。
細胞周期機構の構成要素の調節異常は、ヒトにおいてのがんの共通点である。癌細胞は、細胞周期の進行阻止および/またはアポトーシスを回避するために、細胞周期チェックポイントに異常が生じる。G2期からM期への進行には、CDC25Bの活性により、Cdc2とサイクリンB1複合体の形成が必要である。実際に、CDC25Bの阻害では、前記チェックポイントの修復が損なわれ、G2期で細胞周期が停止する。上述したサフラナール誘発性の細胞周期停止およびp-ヒストンH3レベルの低下は、これらの研究と合致しており、サフラナールはサイクリンB1およびCDC25Bタンパク質発現の発現を劇的に阻害した。興味深いことに、in silicoでのドッキング分析により、サフラナールとCDC25Bの触媒Arg-482の相互作用が明らかになり(図2C)、サフラナール処理HepG2細胞のG2/M期停止は、CDC25BおよびCdc2/CyclinB1複合体間のタンパク質間相互作用の崩壊によるものと示唆された。ルンドらは、CDC25Bの触媒部位ではなく、タンパク質間相互作用のホットスポットの付近のポケットへの結合を介した2-フルオロ-4-ヒドロキシベンゾニトリルによるCDC25Bの阻害を実証した。CDC25Bのde novo阻害剤を発見または設計することは、その活性部位ポケットが浅く非常に困難であるため、これは特に興味深いものである。しかし、CDC25Bの選択的阻害を示す多くの天然化合物および合成化合物は、いくつかの癌で有用な抗癌効果を示している。それらの化合物のなかには、親の癌細胞株とともにそれらの多剤耐性誘導体に対して阻害作用を示した。また、他の阻害剤は、異なる癌細胞の細胞周期の進行をブロックすると報告された。また、興味深いことに、G1期およびG2/M期の両方で細胞周期の進行を阻害することができた。これらの結果に合わせて、サフラナールはS期およびG2/M期の両方でHepG2細胞を停止させることにより、細胞周期の進行を抑制した。プロテインキナーゼ阻害剤であるUCN-01は、SおよびG2/M期で細胞周期を停止することにより、HepG2を含む肝臓癌細胞株の増殖を阻害し、同様の結果が報告されている。
サフラナール処理は、DSBのマーカーであり、DNA複製の停止によって誘導されるヒストンH2AXのリン酸化を誘導した。p-H2AXの上昇はTDP1レベルの低下と同時に起こり、これはTDP1による修復の欠如からDNA破壊が生じる可能性があることを示唆された。サフラナールがDNA損傷をどのように誘発するかを理解するために、DNA複製の主要な調節因子(TOP1)およびDNA損傷修復のその他の寄与因子(TDP1、PARP、HDAC1およびHDAC2)を調査した。TOP1は、DNA二重鎖の一方を切断して再結合することにより、DNAのスーパーコイル化と張力を緩和し、DNA複製を促進する。したがって、TOP1-DNA切断複合体を除去するには、PARPを含む多タンパク質複合体を形成するTDP1が必要であり、TOP1の異常の結果として生じるDNA鎖切断から保護する。がん細胞の生存は正確なDNA修復に依存しており、DNA損傷剤により腫瘍を治療する機会を提供する。PARPを切断すると、DNA修復が損なわれ、DNA損傷が蓄積される。同様に、DNA修復機構の重要な構成要素として、TDP1阻害はDNA損傷剤および、最終的なアポトーシスへの影響を強調しうる。これは、癌に対する新規治療薬を開発する際に特に重要である。従来のがん治療法(化学療法や放射線療法など)から生じるDNA損傷は、薬剤耐性を引き起こすがん細胞のDNA修復機構によって認識される。TDP1を阻害し、DNA修復を妨げることにより、より効果的な癌治療法を開発できる。TDP1阻害剤はほとんどなく、μM濃度でTDP1発現を阻害するのに効果的なものは少ない。ここでは、500μMのサフラナールがTOP1の発現の増加にもかかわらず、6時間でTDP1発現を抑制した。本発明のin silicoでのドッキング分析では、サフラナールとTDP1活性部位との相互作用を明らかにした。ヒトのTDP1は、N末端ドメイン(残基162~350)およびC末端ドメイン(残基351~608)の2つのドメインで構成されている。活性部位はこれら2つのドメインの間に位置し、触媒残基(His-263、Lys-265、His-493、Lys-495およびAsn-516)から構成されている。サフラナールは、TDP1活性部位内の主要残基である、C末端に位置するLys-495、Asn-516およびSer-399との強力な相互作用のパターンを示し(図3B)、TDP1タンパク質発現に対するサフラナールの抑制的役割を示唆された。さらに、SRBアッセイにより、サフラナール処理HepG2細胞のトポテカンに対する感受性の増加が明らかになり、サフラナールとのプレインキュベーションが、トポテカン誘導性のTOP1-DNA付加体の修復に必要なTDP1を阻害した可能性が示唆された(図3C)。HDAC1およびHDAC2はDNA損傷応答に関与し、DSB37の修復を促進する。実際、HDAC1およびHDAC2が枯渇した細胞はDNA損傷剤に過敏であることが示しており、DSB修復の欠陥が示唆されている。サフラナールはHDAC1のみの発現を抑制し、HDAC2の発現は変化しなかった。
DNA複製から生じる未解明のDNA損傷により、アポトーシスを引き起こす可能性がある。進行中の複製フォークが、一本鎖または二本鎖切断などの修復されていないDNA損傷に直面すると、複製フォークが停止、崩壊し、アポトーシスによる細胞死が促進される。本研究では、サフラナールによるアポトーシスは、細胞周期分布におけるサブG1細胞の検出、アネキシンVへの結合パターン、およびBax/Bcl-2比の増加によって明確に示された。哺乳類のカスパーゼは、誘導型(カスパーゼ-8および9)および実行型(カスパーゼ-3、6、7)のカスパーゼに分けられる。前者は後者を活性化し、主要な構造タンパク質のタンパク質分解を引き起こし、その後アポトーシス(内因性および/または外因性経路)をもたらす。
DNA損傷によって媒介される内因性アポトーシス経路がサフラナール処理で活性化されるかどうかを調査した。実際、サフラナールは、内因性経路のイニシエーターであるカスパーゼ-9の開裂を時間依存的に誘導した。興味深いことに、サフラナールは、カスパーゼ-9と同様に、外因性経路のイニシエーターであるカスパーゼ-8の切断も誘導した。他の天然物および誘導体でも、両方の経路を活性化することにより、同様のプロアポトーシス活性化が起こることが示されている。カスパーゼ-8および9の両方の活性化は、小胞体(ER)ストレスによるアポトーシス経路の活性化に関与している。サフラナールが調整するプロセスについては、後述する。予想どおり、誘導型カスパーゼ-8および9のサフラナール誘導性の活性化により、実行型カスパーゼ3/7が活性化され、最終的にHepG2細胞のアポトーシスが誘導された。
HepG2細胞に対するサフラナールの抗癌効果のメカニズムに関する重要な見識を得るために、システム生物学のアプローチを利用して、遺伝子/タンパク質レベルだけでなく、経路およびネットワークレベルでもサフラナールがどのように機能するか分析した。サフラナールが経時的にHepG2細胞の遺伝子発現にどのように影響するかをさらに理解するために、STEMクラスタリングアルゴリズムを用いて、サフラナール処理によるプロファイルが未処理の対照と比較してどのように変化するかを調べた。STEMアルゴリズムによって作成された50のモデルプロファイルのうち、14のプロファイルは統計的に有意な値を示し、プロファイル0および4はダウンレギュレーションの傾向を示し、細胞分裂およびDSB修復に関連するGO termが豊富であった。これは、PCNA、TDP1、HDAC-1および2の阻害、およびPARPの切断を示す免疫ブロットのデータと一致する。一方、発現増加の傾向を示すプロファイル35および36は、タンパク質のユビキチン化の正の制御およびDNA損傷応答の制御に関連するGO termが豊富であった(データ非表示)。ユビキチンおよびその関連の遺伝子産物は、細胞タンパク質との共有結合により機能を果たし、それにより標的タンパク質の安定性、局在化、または活性が変化する。ユビキチン結合酵素をコードする同定された発現増加遺伝子には、UBE2A、UBE2B、UBE2D1およびF-box protein 7(FBXO7)が含まれている。これらの酵素は、細胞周期に関与するタンパク質のユビキチン化を媒介し、標的タンパク質のプロテアソーム分解をもたらす。
次に、細胞周期、DNA損傷、その他の関連する経路に関連するGO termの豊富化に焦点を当てた(表2)。12時間と24時間の両方で発現増加された遺伝子は、UPRに関連するGO termが豊富であり、12時間のサフラナール処理後に発現増加された遺伝子は、DNA損傷刺激に対する細胞応答に関連するGO termが豊富であった、これは、サフラナール処理後のDNA損傷マーカーの増加を示す本明細書で報告された調査結果とよく相関している。しかし、サフラナール処理12時間後にダウンレギュレーションされた遺伝子は、生育、創傷治癒、細胞移動に関連するGO termが豊富であった。実際、細胞の生育、細胞の移動、および創傷治癒を阻害することにより、サフラナールで処理されたHepG2細胞の生存と発生が損なわれる可能性がある。24時間のサフラナール処理後、同様のパターンが示された。さらに、経路分析により、サフラナール処理の12時間後および24時間後の差次的発現遺伝子(DEG)のリストに関連する制御ネットワークが明らかになった。12時間および24時間での一連のDEGに適合する上位ネットワークの1つの調整ネットワークとして、HCCが強調された(データ非表示)。200を超える遺伝子がHCCネットワークに関連付けられた。DNA損傷修復、細胞周期の進行、増殖、アポトーシス、ERストレス、成長、浸潤に関連する遺伝子のグループに注目した。結果として得られたネットワークは、サフラナール処理の12時間後と24時間後の両方で、DNA損傷応答の誘導(p21/CDKN1Aなど)やDNA修復の中断(MGMTなど)、さらに増殖、生存、浸潤の阻害(MET、TERT、MMP2、MMP9など)を通じて、HCCの阻害を予測した。
サフラナール処理細胞の遺伝子セット濃縮とKEGG経路分析により、発現増加された遺伝子の大部分がUPRに関与していることが示された。ERストレスとUPRが長引くと、しばしばアポトーシス促進性調節因子が蓄積し、細胞死経路が活性化される。
ERストレスの長期化とその後の細胞死を防ぐため、細胞はストレスセンサー、ATF6、IRE1、およびPERKの活性を通じてER機能が回復し、これらはすべて、ERの主な小胞体シャペロンのGRP78/BiPの調整に該当する。サフラナール処理されたHepG2は、ERストレスセンサーの全体的な発現増加を示し、一般的なERストレス誘導剤(ツニカマイシンやタプシガルギンなど)で報告された効果と一致するGRP78発現を誘導した。サフラナールは、処理細胞のp27タンパク質レベルも増加させた。p27はERストレス条件下で発現が増加し、細胞周期の進行をブロックし、生育停止を誘導する。対照的に、サフラナールは、HepG2処理細胞のp21タンパク質レベルを阻害した。ERストレス下では、p21が抑制され、細胞がDNA損傷によって誘導されるアポトーシスに感作され、UPRを、生存促進の役割からアポトーシス促進の役割に移行する。さらに、サフラナール処理によりCHOPの発現を増加させ、eIF2αをリン酸化した。CHOPはERストレスを介したアポトーシスに関与し、CHOPの過剰発現は細胞周期の停止とアポトーシスを引き起こす。リン酸化されたeIF2αはERストレス応答にも関与しており、eIF2αのリン酸化はアポトーシス刺激時のタンパク質合成を阻害する。ERストレスの薬理学的誘導は、ERストレス関連アポトーシスの主要な調節因子であるCHOPの誘導と同時にp21レベルを抑制することが示されている。したがって、CHOPは、アポトーシスを誘導することに加えて、CHOPがp21の抗アポトーシス活性を緩和するという二重の機能を示すプロアポトーシスプログラムに細胞を誘導するERストレス中にp21/waf1を調節することにより、細胞周期を媒介すると報告されている。クルクミンはERAD活性を阻害し、PERK、eIF2α、CHOPをアップレギュレーションし、これにより、APL細胞をUPR誘導アポトーシスに感作することが報告されている。同様の効果がU266およびHepG2細胞で報告されており、そこでは時間依存および用量依存の試験で、アナカルド酸処理がERストレス誘導アポトーシスをもたらした。アナカルド酸処理により、ATF4、p-eIF2α、GRP78、およびCHOPの発現を増加させ、ATF4がアナカルド酸媒介ERストレスを促進する重要な経路の1つであることが示唆された。これらのデータは、ATF4の翻訳を促進する上流経路(PERK/p-eIF2α)の活性化に加えて、サフラナール処理後にp-GRP78およびCHOPタンパク質レベルが増加したという試験の観察と一致しており、サフラナールによって誘導されるERストレスは、ATF4経路を介して、または一般的にER機能を阻害することによっても部分的に媒介される可能性があることを示唆している。持続的なERストレスはカスパーゼ-8を活性化し、それによりカスパーゼ-9を活性化し、アポトーシスを媒介することが示されている。生物学的および薬理学的なERストレッサーは、カスパーゼ-8を活性化することが示されている。ERストレス誘導剤は治療アプローチに利用でき、その一部はすでに臨床的に利用されているか、前臨床評価を受けている。
結論として、本研究では、サフラナールがHepG2細胞でDNA修復を阻害することによりその抗癌効果を発揮し、DNA損傷を増加させるという証拠を示した。この知見は、分子ドッキング、免疫ブロッティング、SRBアッセイによって明らかにされたように、DNA-DSB修復メカニズムへの強力な寄与因子であるTDP1のサフラナールによる阻害において明らかであった。サフラナールは、また、細胞周期停止を誘発した。これは、ヒストンH3リン酸化の阻害、サイクリンB1およびCdc2のダウンレギュレーションに反映された。サフラナール誘発性の長期ERストレスが、誘導型カスパーゼ(カスパーゼ-8および-9)の活性化で明らかでり、これにより、実行型カスパーゼ-3および-7の活性化、PARP切断およびアポトーシスが引き起こされる。これらの結果は、UPRが、12時間および24時間のサフラナール処理に対応してアップレギュレーションされた遺伝子の上位GO termの1つであるというシステム分析と一致した。まとめると、本明細書で記述される結果は、ERストレスおよびUPR活性化に依存した、HepG2肝臓癌細胞に対するサフラナールの抗増殖活性の新規メカニズムを示唆している(図8に示す)。
方法
細胞培養:肝臓癌細胞株であるHepG2細胞を、10%ウシ胎児血清(Sigma Aldrich)、1%の100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含むRPMI 1640培地(HyClone)で、5%CO2環境下、37℃で培養した。細胞は、0.25%のトリプシン(Hyclone)を用いて、3~5日ごとに継代培養した。
MTTアッセイ:HepG2細胞は、完全育成培地100μL中の96ウェルプレートに5000細胞/ウェルの密度で播種された。異なる濃度のサフラナール(Sigma Aldrich)(50μM、100μM、500μM、700μMおよび900μM)で24、48および72時間処理する前に、細胞を付着させた。その後、細胞を3-[4、5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルトラトラゾリウムブロミド(MTT)(Sigma Aldrich)で処理し、3時間インキュベートした。形成されたホルマザン結晶を、DMSOで溶解し、得られた生成物の吸光度を、Epochマイクロプレート分光光度計(Bio-Tek)を用いて570nmで測定した。細胞生存率は、未処理の対照区のパーセンタイルとして表示され、それに応じて計算された。生存細胞の割合=(処理済み細胞の絶対値/対照区の細胞の絶対値)×100、*p≦0.05、**p≦0.001、***p≦0.0001)
細胞形態:HepG2は、6ウェルプレートに0.25×106細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を付着させた後、HepG2細胞をサフラナール未処理、または異なる濃度のサフラナール(30、50、100、500、700μM)で24時間処理した。その後、細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。IX53顕微鏡(オリンパス)を使用して0.5%クリスタルバイオレットで固定および染色した後、細胞の形態を評価した。
コロニー形成:HepG2細胞を1000細胞/6ウェルプレートの密度で播種し、24時間インキュベートして付着させた後、異なる濃度のサフラナール(30、50、100μM)で24時間処理した。その後、サフラナールを含む培地は、サフラナールを含まない新鮮な育成培地に置き換えた。可視可能なコロニーが形成されるまで、3日ごとに培地を補充した。コロニーを無水メタノールで固定した後、0.5%クリスタルバイオレットで染色した。次に、ColonyAreaのImageJプラグインを使用して、コロニーの画像化と分析を行った。結果は、コロニーが占める面積の割合として表した。確認のために、ImageJから得られた結果を検証するために、吸収ベースの方法が実行された。手短に言えば、染色されたコロニーを10%酢酸溶液で処理して、クリスタルバイオレット染色を溶解した。その後、各3連サンプル100μLを96ウェルプレートに移し(3回)、Epochマイクロプレート分光光度計(BioTek)を使用して吸光度を測定した。(*p≦0.05,**p≦0.001,***p≦0.0001)
細胞周期分析:HepG2細胞を完全増殖培地にフラスコあたり3×106細胞の密度で播種し、一晩付着させた。その後、細胞を500μMのサフラナールでさまざまな時間間隔(6~48時間)で処理した。指定の時間間隔で、トリプシンとのインキュベーションにより細胞を収集し、PBSで2回洗浄した。収集した細胞を70%エタノールで固定し、RNaseで処理し、ヨウ化プロピジウムで染色した。細胞周期分布は、FACSスキャン(Becton Dickenson、ドイツ)のフローサイトメトリーによって分析された。
ウエスタンブロッティング:HepG2細胞を1×106細胞/100mmプレートの密度で播種し、付着させてからサフラナールで処理した。時間依存の試験のために、異なる時間間隔(6~48時間)で細胞を500μMのサフラナールで処理した。全細胞ライセートを10-15%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離した。タンパク質は、p-ヒストンH3、Cdc2、サイクリンB1、CDC25B、p21、p53、H2AX、p-H2AX、TOP1、TDP1、切断型PARP1、PCNA、HDAC1、HDAC2、切断型カスパーゼ-9、切断型カスパーゼ-8、Bax、Bcl-2、GRP78、ATF6、IRE1、PERK、p-eIF2S1、p27、およびCHOPといった様々な一次抗体の存在下でインキュベーション前にPVDF膜に転写された。このとき、GAPDH、β-アクチン、およびα-チューブリンをポジティブコントロールとして使用した。WesternSure Chemiluminescent Substrate(LI-COR)およびC-DiGit blot scanner(LI-COR)を用いてタンパク質バンドを検出した。
カスパーゼ-3および-7の活性:HepG2を96ウェルプレートに5000細胞/ウェルの密度で播種し、付着させた。その後、細胞を500および700μMのサフラナールで24時間処理した。カスパーゼ-3および-7の活性は、製造元の指示書(Promega)に従ってCaspase-Glo(登録商標)3/7Assayキットを使用して検出された。GloMax Discover System(Promega)を使用して、発光シグナルが検出された。
分子ドッキング:プログラムAutodock Vinaは、すべてのドッキング試験中に使用された。標的高分子のX線結晶構造、すなわちCDC25BおよびTDP1は、それぞれ1QB0および1NOPのエントリコードでRSCBタンパク質データバンクから取得した。その後、複合体化された阻害剤と水分子が初期X線構造から抽出され、MGLツールを使用して極性水素とGastieger電荷が生成された。サフラナールは、ChemDraw Ultra 8.0ソフトウェア(Cambridge Soft Corporation、米国)を用いて描画され、MMFF94 force field(MMFF94力場)を用いてエネルギーとジオメトリに対して最適化された。最初に、グリッドポイント間の間隔が1.0Åの目的のターゲット分子をカバーするグリッドボックスを作成した。その後、20Å3CDC25Bボックスは(17.302X、8.987Y、13.268Z)の座標に中心が置かれ、14Å3TDP1ボックスは(6.387X、53.857Y、3.796Z)の座標に中心が置かれた。網羅性とポーズの数はそれぞれ12と10に設定された。最後に、PyMOL分子ビューアー(SchrоdingerInc.、米国)を使用して、結果の視覚化と3D最適なドッキングポーズを実現した。
SRBアッセイ:トポイソメラーゼI阻害剤トポテカンの細胞毒性に対するサフラナールの効果は、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて試験された。指数関数的に増殖するHepG2細胞を96ウェルプレートに1ウェルあたり1×104細胞の細胞密度で播種した。一晩インキュベートした後、細胞をトポテカン単独(0、0.01、0.1、1、10、および100μM)で48時間、後にサフラナールIC50(500μM)で24時間処理後にトポテカンで48時間、またはサフラナールIC50(500μM)で48時間後にトポテカンで48時間処理した。インキュベーション後に、細胞を50%トリクロロ酢酸(TCA)下、4℃で1時間固定した後、洗浄、SRBで30分間染色し、10mMTris塩基で染色物を洗浄および可溶化した(pH10.5)。各ウェルの光学密度(OD)は、ELISAマイクロプレートリーダー(Metertech.S960,米国)を使用して、564nmで分光測光法により測定した。IC50値は、シグモイド濃度応答曲線適合モデル(Graph Pad、Prizmソフトウェア)を使用して計算した。
RNAseqライブラリーの構築と配列決定:製造元の指示書に従って、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて、サフラナール処理と未処理サンプルの3連の生物試料から総RNAを分離した。RNAseqライブラリーは、製造元の指示書に従ってTruSeq RNAサンプル調製キット(Illumina、Inc.)を用いて調製した。簡単に説明すると、TruSeq RNAサンプル調製キットでは、ポリTオリゴ結合磁気ビーズ選択を使用して、トータルRNAに含まれるmRNAをcDNAライブラリーに変換する。mRNA精製後、逆転写およびcDNA生成の前にRNAが化学的に断片化される。断片化ステップの結果、サイズが約100~400bpの範囲のインサートを含むRNAseqライブラリーが作成される。Illumina TruSeq RNAシーケンスライブラリーの平均インサートサイズは約200bpとなる。次に、cDNAフラグメントは、末端修復プロセスを経て、単一の「A」塩基を3'末端に追加し、アダプターを連結する。次に、生成物を精製してPCRで濃縮し、最終的な二本鎖cDNAライブラリーを作成する。最後に、Bioanalyzer Chip DNA 1000シリーズII(Agilent)を使用してライブラリーの品質管理と定量を行い、ハイスループットイルミナHiSeqシーケンスシステム(イルミナ社)を用いて直接シーケンスした。
シークエンス結果のアライメントと分析は、参照ゲノムに対して行った。データはNYUADの標準RNAseq分析パイプラインを介して処理された。簡単に説明すると、ゲノムファイルを指定するときにパラメーター「-no-novel-junctions」および「-G」を指定してtophat2 v2.1.0を使用してアライメントを実行した。tophat2アライメント段階の後、HTseqカウントを使用してリードカウントを生成し、DESeq2 Rライブラリーを用いて前記カウントを分析した。参照ゲノムとGFF注釈は、Homo sapiens GRCh38.p2ゲノムバージョンに対応している。遺伝子発現解析を要約したベン図は、WebベースのツールInteractiVennを使用して構築された。ヒートマップはExcelによって作成された。
定量的リアルタイムPCR(qPCR):qPCRでは、定量する転写物ごとに50ngのトータルRNAに対応するcDNAを使用した。定量PCR反応は、KAPA SYBR FASTワンステップqRT-PCRキット(Kapa Biosystems、米国)を使用し、製造元の指示書に従って、Applied Biosystems StepOnePlus機器システムで実施した。データはHprt1およびActb遺伝子値と比較して正規化され、サフラナール処理とコントロールサンプル間で安定した発現レベルを示した。製品に対して融解曲線を作成し、プライマー二量体やその他のバンドなしで単一の製品のみが増幅されたことを確認した。さらに分析する前に、各プライマーペアについて融解曲線分析を実施した。相対的な定量分析は、StepOne v2.3ソフトウェアを使用した比較定量によって実行された。すべての反応は3回繰り返した。
差次的遺伝子発現トレンド分析:FPKM値に基づいた4つの時点からのコントロールとサフラナール処理との間の遺伝子発現プロファイリングの傾向を分析するために、解析ソフトウェア(Short Time-series Expression Miner(STEM))を使用してサフラナール処理で示された傾向を比較した。P値は、これらの4点におけるすべての傾向を分析するために用いられ、差次的遺伝子発現テストに対応する。STEMは、最初の時点(ここではコントロール)との比率を比較することにより、統計的に有意な遺伝子発現プロファイルを決定した。したがって、最初の値は常に0となる。STEMクラスタリング方式はデフォルトのパラメーターで選択された。STEMは、割り当てられた遺伝子の数と、置換に基づいて予想されるものとを比較することにより、統計的に有意に濃縮されたプロファイルを決定する。
遺伝子セット発現増加分析:DEGsの機能および遺伝子セット発現増加析は、デフォルトパラメーターによる濃縮分析用のオープンソースツールであるeXploring Genomic Relations(XGR)を使用して実行された。エンリッチメントテストでは、超幾何分布に基づいて、発現増加された遺伝子オントロジー用語を特定した。偽陽性率は、異なるサイズの遺伝子のランダムなセットをシミュレートすることによって計算され、それらが遺伝子セットのサイズに依存しないことがわかった。過剰表現GO termのネットワーク分析は、CytoscapeのBiological Networks Gene Ontologyツール(BiNGO)プラグインを使用して実行された。BiNGOは、関連するGO生物学的プロセスアノテーションを取得し、超幾何学的テストを使用して有意性を試験し、BenjaminiおよびHochberg誤検出率(FDR)≦0.05を用いて修正した。
経路分析:Ingenuity Pathway Analysis(IPA)(QIAGEN Inc.)用いて、12時間および24時間でのサフラナール処理に関連する生物学的ネットワークを調べた(データ非表示)。IPAソフトウェアは、公開された論文や遺伝子注釈データベースなど、いくつかのソースからの情報を含む手動でキュレーションされたデータベースを使用する。フィッシャーの正確確率検定を使用して、入力遺伝子セットと標準経路、疾患、およびトックス機能との間の確率を計算した。IPAは、入力遺伝子セットの発現データに基づいて、他の分子に対する活性化または阻害の上流および下流の影響も予測した。
イン・ビボ試験
イン・ビボHCCモデルをオスのWistarラットで誘導し、それぞれソラフェニブのみ、サフラナールのみ、サフラナールおよびソラフェニブの両方で処理された。データ分析は、薬物としてのサフラナールと、アジュバントとについて、肝機能の回復の効率を示した。提示する結果は、細胞周期のサフラナールの抑制的役割、およびサフラナールの新規抗がん剤としての高い可能性を示唆する、そのアポトーシス促進能力も示した。
この研究では、体重約160gのオスWistarラットを使用した。ラットは、アラブ首長国連邦大学医学健康科学部の動物研究施設から提供された。ラットは、24~26℃で12時間の明暗サイクルで飼育し、自由飲食の標準的な実験動物の環境下で維持された。
実験計画
DePeraltaら(2016)およびSchifferら(2005)によって記述されたプロトコルの修正版を、肝発癌モデルを確立するために使用した。図9に示すように、動物は5つのグループに分けられ、各グループは対照区:リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、HCC区、HCC+ソラフェニブ区、HCC+サフラナール区、およびHCC+サフラナール+ソラフェニブ区にラベル付けされ、各区に8匹の動物を用いた。
最初の15週間で、対照区のPBS群は1xPBSで処理されたが、実験グループには、癌を誘発するために広く使用されている化学物質であるジエチルニトロソアミン(DEN、Sigma Aldrich)50mg/kgの腹腔内注射(IP)を週に一度行った。DENは1xPBSで希釈した。1週間の休薬(16週目)後、次の3週間(17~19週目)の治療が開始された。薬物は強制経口投与された。薬物の用量は文献に従って選択された(Alsaied et al.,2014;カラファクオル et al.,2017)。HCC+ソラフェニブ群では、薬剤(Carbosynth Limited)を週5日、10mg/kgの用量で投与した。HCC+サフラナール群では、薬剤(Sigma Aldrich)を週5日間200mg/kgの用量で投与した。HCC+サフラナール+ソラフェニブ群の場合、薬剤はサフラナール200mg/kg+ソラフェニブ10mg/kgの用量で週5日投与した。サフラナールとソラフェニブの両方を1xPBSにTween80を数滴加えたもので希釈した。サフラナールの経口LD50は雄ラットで5.53mL/kgである(Hosseinzadeh et al.,2013)。最後の処理から24時間後、ラットを穏やかなジエチルエーテルで安楽死させ、同じ条件で解剖した。血液と肝臓を収集した。
血液サンプル
ラットを安楽死させた後、断頭により血液を採取し、後の試験のために処理した。血液を収集チューブ(BD Vacutainer)に収集し、1200×gで10分間の遠心分離により血清を分離した。血清を収集し、急速冷凍した後、さらに分析するために-80℃で保存した。
生化学的解析
アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)アッセイは、提供されたプロトコルに従って、市販のキット(Abcam)を使用して実施した。ALTおよびAST活性は、BioTek社のEpochを使用して分光光度法で測定した。
肝臓サンプル
肝臓の一部を速やかに液体窒素で瞬間凍結し、さらに分析するために-80℃で保存した。他の部分は、組織学のために、室温で、10%中性緩衝ホルマリンで保持された。
組織病理学的検査
肝臓サンプルを10%中性緩衝ホルマリンで固定し、一連の段階的エタノールで脱水し、パラフィンブロックに包埋し、厚さ3μmの切片にカットした。病理組織学的変化を検出するために、提供されたプロトコル(Abcam)に従ってヘマトキシリンとエオシン(H&E)、およびレティキュリン染色キットで切片を染色し、光学顕微鏡で検査した(Ozkececi et al.,2016)。組織サンプルの盲検検査は、アラブ首長国連邦のタワム病院の病理学者によって行われた。
ウエスタンブロッティング
0.01g(10mg)の肝臓を、2μlプロテアーゼ阻害剤および2μlホスファターゼ阻害剤(Sigma Aldrich)と混合した200μlのRIPAバッファー(Sigma Aldrich)を使用してホモジナイズし、4℃、15,000rpmで15分間遠心分離した。全細胞溶解物を採取し、-80℃で保存した。タンパク質濃度は、Promega GloMax Discoverを備えたPierce BCA Protein Assay Kitで測定した。合計35μgのタンパク質をドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動ゲルにロードした。次いで、ゲルをポリフッ化ビニリデン膜に移し、膜をTBST中の5%BSAにて室温で1時間ブロックした。膜を抗増殖細胞核抗原(PCNA)、抗PolyADPリボースポリメラーゼ(PARP)、抗カスパーゼ-3(Cell Signaling Technology Inc.)、抗カスパーゼ-9(Novus Biologicals)、抗Bax、抗Bcl-2(サンタクルーズ)、抗Cdk1、抗Cyclin B1、抗Cdc25B(Cell Signaling Technology Inc.)にて4℃で一晩インキュベートした。次にHRPコンジュゲート二次、抗マウス、または抗ウサギ、抗体(Cell Signaling Technology Inc.)にて室温で1時間インキュベートした。すべての一次抗体および二次抗体は、5%BSA含有TBSTで希釈した。得られたブロットを、抗体検出のために、WesternSure PREMIUM化学発光基質でインキュベートした。 Bio-Rad ChemiDoc XRS+システムを使用してシグナルを視覚化し、ImageJを使用してバンド密度と定量化を行った(Amin et al.,2011)。総タンパク質をローディングコントロールとして使用し、これをSYPRO Rubyタンパク質ゲル染色を使用して提供されたプロトコル(Thermo Fisher Scientific)に従って染色した(Aldridge et al.,2008;Hu et al.,2016)
ローディングコントロールとしての総タンパク質
技術的な理由により、本試験では、GAPDH、β-チューブリン、β-アクチンなどの他の一般的なマーカーの代わりに、総タンパク質をローディングコントロールとして使用した。2003年に公開された研究では、正常、肝硬変、およびHCC組織の肝臓サンプルを使用して、ハウスキーピング遺伝子を検査した。10個の内部コントロールが使用され、その発現はRT-PCRを用いて決定された。結果は、すべての内部コントロール遺伝子が2倍以上変化し、GAPDHやβ-アクチンなどの一般的に使用される遺伝子は、腫瘍組織で正確には7~23倍変化することを示した(Kim&Kim,2003)。その後、次の研究でこの問題の代替方法を探した。単一のタンパク質ではなく総タンパク質の量に応じた総タンパク質は、各種の一般的なハウスキーピングタンパク質と比較して、結腸直腸癌およびHCCのより良い対照区として機能した。また、ローディング量に応じた信号の直線性のテストでは、総タンパク質で維持されたが、他のハウスキーピングタンパク質では失われた(Aldridge et al.,2008;Hu et al.,2016)。すべて内部コントロールに共通する技術的な問題により、Aldridge等によって言及されたプロトコル(2008)and Hu et al.(2016)を用いた。
結果
いくつかの酵素が肝細胞から血液に放出され、肝臓機能の効率をテストするために血清で測定されるが、ALTとASTは最も一般的な酵素である。肝臓の損傷がひどいほど、血清レベルが高くなる。よって、これらは肝障害の最良のマーカーと考えられている(Liu et al.,2012)。血清に加えて、肝臓組織全体が収集され、さらなる組織学的および免疫ブロット分析のために適切に保存された。組織学的検査では、顕微鏡を使用した最終イメージングのために肝臓組織を処理および染色した(Martin、2015)。特定の経路のマーカーを検出するためには、選択されたタンパク質をウエスタンブロッティングの標的にした。
生化学的解析
表3に示すように、ALT(P<0.01)およびASTレベルは、対照群と比較してHCC群で上昇しており、肝障害を示した。サフラナールおよびサフラナール+ソラフェニブの両方による処理は、HCC群と比較して、治療群のALTレベルを有意に低下させた(P<0.01)。サフラナールと併用処理によって、ソラフェニブ単独(HCC+ソラフェニブ)と比較して有意な減少(P<0.05)が見られた。値は、グループあたり6匹のラットの平均±SEMとして表される(n=6)。活性は、ALTおよびASTのmU/mlとして表される。有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した(a:対PBS、b:対HCC、c:対HCC+ソラフェニブ;*P<0.05、**P<0.01)。
Figure 0007291950000003
DEN誘発ラット肝腫瘍に対するサフラナールの抗腫瘍活性および抗増殖活性
総肝臓サンプル
図10には、サフラナールの抗腫瘍効果を示すための20週目の肝臓の代表的な画像を示している(n=6)。対照ラットから摘出された肝臓全体(PBS)、未処置のラットのDEN誘発肝腫瘍(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独または併用(HCC SF SB)の処理区に分けた。対照区のPBS肝臓は、肉眼的病変のない正常な肝臓構造と色を示した。処理によって、HCC群の肝臓と比較して「損傷した肝臓のレベルが低い」ことを示した。DENは、HCC動物の病変および肝臓の粗い表面を引き起こし、肝臓の色の異常を引き起こした。HCCラットの薬物処理により、さまざまな程度に正常な肝臓構造を回復し、薬物処理群で病変が明らかに少なくなった。
図11は、未処理(HCC群)またはソラフェニブ(HCC+SB)、サフラナール(HCC+SF)単独または併用(HCC+SF+SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍からの肝結節の数の定量分析結果を示す。統計的有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した。(b:HCC;*P<0.05、**P<0.01)。サフラナール(HCC+サフラナール)およびサフラナールとソラフェニブの両方(HCC+サフラナール+ソラフェニブ)による処理は、HCC動物と比較して病変を減少させた。
組織学結果
図12は、ヘマトキシリンおよびエオシン染色切片の代表的な画像を示す(矢印はAHFの代表領域を指す)n=6。区分けは対照区(PBS)、DEN誘発肝腫瘍未処理区(HCC)ソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独もしくはその併用(HCC SF SB)処理区に分けた。組織および細胞の構造は、染色により視認する必要がある。細胞成分は通常、区別と分析のために異なる色で染色される。ヘマトキシリンは核酸(核)を青色で染色する。エオシンはタンパク質(細胞質)をピンク色で染色する。この染色により、構造および機能に関する豊富な情報が明らかになる(Fischer et al.,2008)。肝臓の正常な構造と組織学では、対照群に見られるように、肝臓が六角形の小葉に組織化され、中心静脈が小葉中心にある。肝細胞は、中心静脈から放射状に広がる単一細胞の厚いプレートに配置される。本研究で開発された動物モデルでは、主にDEN誘発群の肝臓に肉眼で見える結節が観察された(図10参照)。DEN誘発群のラットの肝臓の顕微鏡組織検査では、肝細胞病巣(AHF)の変化などの明確な腫瘍性変化が示された。なお本研究では、AHFは、染色特性が変化した肝細胞の輪郭が描かれた領域として区別される。
図13は、DEN誘発肝腫瘍未処理(HCC)、ソラフェニブ(HCC+SB)、サフラナール(HCC+SF)単独およびその併用(HCC+SF+SB)処理ラットの組織学の腫瘍病巣の領域の定量分析を示す。統計的有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した。(b:HCC;**P<0.01、***P<0.001)。分析結果から、サフラナール単独またはソラフェニブとの併用により、DEN処理の肝臓の正常な構造の回復を促進することが示された(P<0.001)。
レティキュリン染色
図14は、レティキュリン染色切片の代表的な光学顕微鏡画像を示す(矢印はレティキュリン繊維を指す)。切片は、対照区のラット(PBS)、未処置のラットのDEN誘発肝腫瘍区(HCC)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独およびその併用(HCC SF SB)処理区から採取した。対照区のPBS肝臓は、正常な肝臓形態と明確な網状線維を示している。HCC動物の肝臓切片は、DENが肝腫瘍の診断を示す網状線維の破損を引き起こしたことを示している。サフラナール(HCC+サフラナール)およびサフラナールとソラフェニブ(HCC+サフラナール+ソラフェニブ)の処理により、網状線維の破損が減少し、HCC群と比較して形態が回復した。
サフラナールの増殖阻害効果
図15のウエスタンブロットの結果に示されるように、サフラナールは、誘発された肝腫瘍の増殖を阻害する。図15Aは、未処理ラット(HCC群)またはソラフェニブ(HCC SB)、サフラナール(HCC SF)単独およびその併用(HCC SF+SB)処理したラットのDEN誘発肝腫瘍における増殖関連タンパク質(PCNA)のウエスタンブロット分析結果を示す。図15Bでは、各バンド強度はImageJを使用して定量化され、肝臓からの総タンパク質に対して正規化された。結果は、各グループのn=4匹の動物の平均±標準偏差として表される。統計的有意性は、Microsoft Excelデータ分析ツールパック、t検定(2群間で分散が等しいと仮定)を用いて決定した。その結果、PCNAは対照と比較してDEN誘発肝臓で有意に(P<0.01)増加したが、サフラナール(P<0.001)およびサフラナールとソラフェニブの両方(P<0.05)では、PCNAを有意にダウンレギュレーションしたことを示した。興味深いことに、サフラナールの効果は、ソラフェニブとの併用投与と比較して、ないしはソラフェニブ単独の効果と比較して、単独で適用した場合により明白だった。
細胞周期の進行へのサフラナールの効果
DEN誘発ラット肝腫瘍において、サフラナールに媒介される細胞周期効果の原因となる経路を検討するために、細胞周期関連タンパク質の発現レベルを調べた。Cdk1、サイクリンB1、Cdc25Bのウエスタンブロットの結果(図16)は、対照動物と比較して、HCC動物で有意に(それぞれP<0.01、P<0.01、P<0.05)増加していることを示した。(HCC+サフラナール)および(HCC+サフラナール+ソラフェニブ)群の処理は、HCC動物と比較してそのレベルを優位に低下させた(P<0.001)。サフラナール(HCC+サフラナール)および併用薬(HCC+サフラナール+ソラフェニブ)による処理は、ソラフェニブ単独(HCC+ソラフェニブ)による処理よりも大幅に減少した(図17)。特定の理論に縛られることなく、サフラナールは、併用処理群の細胞周期関連タンパク質の発現をさらに減少させることにより、ソラフェニブの効果に対して肝細胞を感作する可能性がある。これらの結果は、サフラナールが薬物処理肝細胞のG2/M細胞周期停止を引き起こすことを示唆している。
サフラナールのアポトーシス効果
DEN誘発ラット肝腫瘍細胞において、サフラナールによって媒介されるアポトーシスの原因となる経路を検討するために、アポトーシス関連タンパク質の発現レベルを図18のウエスタンブロットで調べた。その結果、アポトーシス促進タンパク質Baxの発現は、HCC群と比較して、サフラナール処理によって有意に(P<0.05)増加し、抗アポトーシスタンパク質Bcl-2の発現を有意に(P<0.05)減少した。Bax/Bcl-2比は、DEN誘発ラット肝腫瘍におけるサフラナールによるアポトーシス効果を支持していた(P<0.05)(図19)。興味深いことに、サフラナールとソラフェニブの両方を投与した場合、またはソラフェニブ単独を投与した場合とを比較して、サフラナールのアポトーシス効果は単独で投与した場合により明白だった。サフラナールのアポトーシス効果をさらに調査するためのウエスタンブロット分析では、プロカスパーゼ-9、プロカスパーゼ-3、およびPARPの結果が、カスパーゼカスケードの活性化とPARPの切断を示した。PARPは、サフラナール(各P<0.01、P<0.001、P<0.001)およびサフラナール+ソラフェニブの両方(各P<0.01、P<0.01、P<0.001)で処理した後、HCC群と比較して有意に減少した(図20)。これらの結果は、薬物誘発腫瘍に対するサフラナールのプロアポトーシス効果をさらに裏付けている。
サフラナールのTDP1発現への影響
上記したイン・ビトロ研究で報告されているように、トポイソメラーゼI(TOP1)はDNA複製に重要な役割を果たしており、その阻害が、PARPとの複合体であるチロシルDNAホスホジエステラーゼ(TDP1)によって保護されている、DNA損傷につながる可能性がある。図21のウエスタンブロット分析結果は、サフラナールで処理された動物群は、単独でまたはソラフェニブと組み合わせで、TDP1の発現を低レベル化したことを示している。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、以下の用語は、文脈が特に必要としない限り、次の意味を持つものとする。
本明細書で使用される「治療(treatment)」という用語は、癌に罹患した患者への薬物の投与を指すと理解される。
本明細書で使用される「治療有効量(therapeutically effective amount)」という用語は、例えば研究者または臨床医によって求められている組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または医薬品の量を意味する。さらに、「治療有効量」という用語は、そのような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害、または副作用の改善された治療、治癒、予防、または改善、または、疾患または障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語には、正常な生理機能を強化するのに効果的な量もその範囲内に含まれる。

Claims (3)

  1. サフラナール、またはサフラナールの塩、水和物、ヘミアセタール、アセタール、チオアセタール、シリルエーテル、互変異性体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロドラッグを含み、
    トポテカンからなるTOP1阻害剤を含み、ないし当該TOP1阻害剤と組み合わせて使用され、
    当該TOP1阻害剤に対する癌細胞の感受性の増加を誘導し、肝臓癌を治療するための医薬組成物
  2. 前記TOP1阻害剤の量が、組み合わせのサフラナールの含有量に関して、重量比で0.1:1~10:1である、請求項に記載の医薬組成物
  3. 肝臓癌が、肝細胞癌、線維層板状HCC、胆管癌、血管肉腫、転移性肝臓癌、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
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