本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る水処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
図1に示す水処理装置1は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する半透膜モジュールを用いて溶解固形成分(TDS)等を含む被処理水を濃縮し、その濃縮水をさらに半透膜モジュールを用いて濃縮する濃縮手段として、例えば、1段目膜モジュールユニット12、2段目膜モジュールユニット14、3段目膜モジュールユニット16、4段目膜モジュールユニット18、5段目膜モジュールユニット20を備える。1段目膜モジュールユニット12は、例えば、並列的に接続された6本の膜モジュールを備え、2段目膜モジュールユニット14は、例えば、並列的に接続された5本の膜モジュールを備え、3段目膜モジュールユニット16は、例えば、並列的に接続された4本の膜モジュールを備え、4段目膜モジュールユニット18は、例えば、並列的に接続された3本の膜モジュールを備え、5段目膜モジュールユニット20は、例えば、並列的に接続された3本の膜モジュールを備える。それぞれの膜モジュールは、半透膜15で仕切られた第一空間11および第二空間13を有する。水処理装置1は、被処理水を貯留する被処理水槽10と、最終段の膜モジュールユニットからの濃縮水(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20からの濃縮水)を貯留する濃縮水槽22と、第1段の膜モジュールユニットからの希釈水(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12からの希釈水)を貯留する第1希釈水槽24と、を備えてもよい。
図1の水処理装置1において、被処理水槽10の被処理水入口には、配管38が接続されている。被処理水槽10の出口と1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第一空間入口とは、第1ポンプ26を介して配管40により並列的に接続されている。1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第一空間出口と2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第一空間入口とは、配管42により並列的に接続されている。2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第一空間出口と3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第一空間入口とは、配管44により並列的に接続されている。3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第一空間出口と4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第一空間入口とは、配管46により並列的に接続されている。4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第一空間出口と5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第一空間入口および第二空間入口とは、配管48により並列的に接続されている。5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第一空間出口と濃縮水槽22の入口とは、バルブ32を介して配管50により接続されている。濃縮水槽22の出口には、配管52がポンプ28を介して接続されている。5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間出口と4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間入口とは、配管54により並列的に接続されている。4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間出口と3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第二空間入口とは、配管56により並列的に接続されている。3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第二空間出口と2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第二空間入口とは、配管58により並列的に接続されている。2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第二空間出口と1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第二空間入口とは、配管60により並列的に接続されている。1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第二空間出口と第1希釈水槽24の入口とは、配管62により接続されている。第1希釈水槽24の出口には配管64が接続されている。
第1ポンプ26は、第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の前段に設けられ、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、被処理水を吸入して最上段の1段目膜モジュールユニット12に吐出する加圧ポンプである。第1ポンプ26には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を第1ポンプ26に出力する第1インバーター30が設置されている。配管50におけるバルブ32と濃縮水槽22の入口との間には、最終段の膜モジュールユニット(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第一空間を通過した濃縮水の流量を測定する第1流量測定手段として、第1流量測定装置34が設置されている。配管62には、第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第2流量測定手段として、第2流量測定装置36が設置されている。バルブ32は、最終段の膜モジュールユニット(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20)の後段に設けられ、例えば、第1流量測定装置34および第2流量測定装置36の測定値に基づいて開度を調節する比例制御バルブである。水処理装置1は、制御装置66を備え、制御装置66は、第1インバーター30、第1流量測定装置34、および第2流量測定装置36と、電気的接続等によって接続されている。制御装置66は、バルブ32と、電気的接続等によって接続されていてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置1の動作について説明する。
水処理装置1は、半透膜15で仕切られた第一空間11および第二空間13を有する多段式の膜モジュールを用い、被処理水を多段式の膜モジュールの第一空間11に直列的に通水し、最終段の膜モジュールユニット(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第一空間11および第二空間13にその前段の膜モジュールユニット(図1の例では、4段目膜モジュールユニット18)の濃縮水を分配し、最終段の膜モジュールの希釈水をその前段の膜モジュールの第二空間13に直列的に返送、通水し、第一空間11を加圧することによってその第一空間11に含まれる水を第二空間13に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、水処理装置1において、半透膜15を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜15を用いて濃縮される。第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に被処理水が供給され、最終段の膜モジュールの第一空間11と第二空間13の両方にその前段(図1の例では、4段目膜モジュールユニット18)の濃縮水が供給される。そして、最終段の膜モジュールの第二空間13を通過した希釈水を、その上流の膜モジュールの第二空間13に供給していき、各段の膜モジュールの第一空間11を加圧してその第一空間11に含まれる水を第二空間13に透過させる。
具体的には、水処理装置1において、被処理水は、配管38を通して、必要に応じて被処理水槽10に貯留され、被処理水槽10から第1ポンプ26により配管40を通して、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から4段目膜モジュールユニット18の第二空間13、3段目膜モジュールユニット16の第二空間13、2段目膜モジュールユニット14の第二空間13を経由して返送された希釈水が配管60を通して、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(1段目))。
1段目膜モジュールユニット12の濃縮水は、配管42を通して、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から4段目膜モジュールユニット18の第二空間13、3段目膜モジュールユニット16の第二空間13を経由して返送された希釈水が配管58を通して、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1段目と同様にして、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(2段目))。
2段目膜モジュールユニット14の濃縮水は、配管44を通して、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から4段目膜モジュールユニット18の第二空間13を経由して返送された希釈水が配管56を通して、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1,2段目と同様にして、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(3段目))。
3段目膜モジュールユニット16の濃縮水は、配管46を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から返送された希釈水が配管54を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1,2,3段目と同様にして、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(4段目))。
4段目膜モジュールユニット18の濃縮水は、配管48を通して、最終段の5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第一空間11および第二空間13へ分配、送液される。1~4段目と同様にして、5段目膜モジュールユニット20において、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(5段目))。ここで、第1ポンプ26、配管48等が、最終段の半透膜モジュールの第一空間と第二空間の両方にその前段の濃縮水を供給する供給手段として機能する。
5段目膜モジュールユニット20の濃縮水は、バルブ32が開状態で、配管50を通して、必要に応じて濃縮水槽22へ送液、貯留される。濃縮水の少なくとも一部は、処理水として、濃縮水槽22からポンプ28により配管52を通して、系外へ排出される。濃縮水の少なくとも一部は、被処理水槽10に送液され、被処理水槽10において被処理水と混合されてもよい。
5段目膜モジュールユニット20の希釈水は、配管54を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(4段目))。
4段目膜モジュールユニット18の希釈水は、配管56を通して、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(3段目))。
3段目膜モジュールユニット16の希釈水は、配管58を通して、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(2段目))。
2段目膜モジュールユニット14の希釈水は、配管60を通して、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(1段目))。
1段目膜モジュールユニット12の希釈水は、配管62を通して、必要に応じて第1希釈水槽24へ送液され、貯留された後、配管64を通して、系外へ排出される。希釈水の少なくとも一部は、被処理水槽10に送液され、被処理水槽10において被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、さらに逆浸透膜処理装置へ送液され、逆浸透膜処理装置において、逆浸透膜処理が行われてもよい(逆浸透膜処理工程)。逆浸透膜処理により得られたRO透過水は、系外へ排出される。逆浸透膜処理により得られたRO濃縮水は、被処理水槽10に送液され、被処理水槽10において被処理水と混合されてもよい。
以上のようにして、処理対象である、溶解固形成分等を含む被処理水から、溶解固形成分等の物質が濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置1では、最終段の半透膜モジュールの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定し(第1流量測定工程)、および第1段の半透膜モジュールの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第2流量測定工程)、最終段の濃縮水の流量の測定値および第1段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の半透膜モジュールの第一空間に供給する被処理水の流量を制御する(制御工程)。
例えば、制御装置66は、第1流量測定装置34により測定された最終段の膜モジュールユニット(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20)の濃縮水の流量の測定値、および第2流量測定装置36により測定された第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の半透膜モジュールの第一空間に供給する被処理水の流量を制御する制御手段として機能する。制御装置66は、例えば、第1流量測定装置34および第2流量測定装置36の測定値が予め設定された目標流量値となるように、任意の演算式を用いて駆動周波数を演算し、この演算値に対応する指令信号を第1インバーター30に出力して第1ポンプ26を制御し、第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に供給する被処理水の流量を制御する。
その結果として、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、逆浸透膜法より排水量を減容化しつつ、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、安定した処理が可能となる。
具体的には、例えば、第1ポンプ26を起動し、バルブ32を例えば全開(開度100%)にし、第1ポンプ26に付随する第1インバーター30の出力値を徐々に上げていく。第1流量測定装置34の測定値が目的の流量に到達したら、バルブ32を例えば予め定めた任意の割合(例えば、開度を全開に対して10%)閉める。第1流量測定装置34の測定値が減るので、第1流量測定装置34の測定値が目的の流量に達するまで第1ポンプ26の第1インバーター30の出力を上げる。バルブ32を閉めると、第2流量測定装置36の測定値が増える。その後、第1インバーター30の出力を上げる→第1流量測定装置34の測定値が増える→バルブ32を閉める→第1流量測定装置34の測定値が減り、第2流量測定装置36の測定値が増えるという操作を繰り返し、第1流量測定装置34と第2流量測定装置36の測定値を目的の流量に調節すればよい。
被処理水の回収率が変化したとき、第1流量測定装置34の測定値および第2流量測定装置36の測定値に基づく被処理水の回収率(回収率=第2流量測定値/(第1流量測定値+第2流量測定値)×100)ができるだけ一定となるように第1インバーター30の出力値とバルブ32の開度が例えば自動で制御され、被処理水の流量を変化させる。第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量が設定流量より少なくなった場合、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を大きくすればよい(すなわち、バルブを開ける)。バルブ32の開度の調節は、例えば、予め定めた任意の割合(例えば、開度を全開に対して10%)開けて、予め定めた時間(例えば、1分間)、第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量の様子を見る工程を繰り返せばよい。または、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力値を上げて、第一空間の流量を大きくしてもよい。
第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量が設定流量より大きくなった場合、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力を下げればよい。ただし、第1ポンプ26が動作保証されている出力下限値に到達した場合には、バルブ32の開度を小さくする(バルブを閉める)。バルブ32の開度の調節は、例えば、予め定めた任意の割合(例えば、開度を全開に対して10%)閉じて、予め定めた時間(例えば、1分間)、第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量の様子を見る工程を繰り返せばよい。または、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を小さくして、第一空間の流量を小さくしてもよい。
第2流量測定装置36により測定される第二空間の流量が設定流量より少なくなった場合、第一空間の流量が大きくなるので、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を小さくすればよい。または、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力値を上げてもよい。第2流量測定装置36により測定される第二空間の流量が設定流量より大きくなった場合、第一空間の流量が小さくなるので、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を大きくすればよい。または、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力値を下げてもよい。
第1流量測定装置34および第2流量測定装置36の測定値に基づいて開度を調節する比例制御バルブは、バルブ32の他に、第一空間11の配管に1つ以上設けてもよく、手動でバルブの開度を調節してもよいし、制御装置66により自動でバルブの開度を調節してもよい。
最終段の膜モジュールユニットの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定する第1流量測定装置34の他に、第一空間11の流量を測定する流量測定装置を第一空間11の配管に1つ以上設けてもよい。
第1段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第2流量測定装置36の他に、第二空間13の流量を測定する流量測定装置を第二空間13の配管に1つ以上設けてもよい。
水処理装置1において、最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量をさらに測定し、最終段の濃縮水の流量の測定値、第1段の希釈水の流量の測定値、および最終段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の第二空間に供給する希釈水の流量を制御してもよい。このような構成の水処理装置を図2に示す。
図2に示す水処理装置2は、最終段の膜モジュールユニットからの希釈水(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20からの希釈水)を貯留する第2希釈水槽68をさらに備える。水処理装置2において、5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間出口と第2希釈水槽68の希釈水入口とは、配管76により接続されている。第2希釈水槽68の出口と4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間入口とは、第2ポンプ70を介して配管78により並列的に接続されている。
5段目膜モジュールユニット20の希釈水は、配管76を通して、第2希釈水槽68へ送液され、貯留された後、第2ポンプ70により、第2希釈水槽68から配管78を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(4段目))。
配管76には、最終段の膜モジュールユニット(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第3流量測定手段として、第3流量測定装置74が設置されている。第2ポンプ70は、最終段の膜モジュールユニット(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20)の後段に設けられ、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、最終段の膜モジュールユニットの希釈水(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20の希釈水)を吸入して前段の膜モジュールユニット(図2の例では、4段目膜モジュールユニット18)に吐出する第2加圧ポンプである。第2ポンプ70には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を第2ポンプ70に出力する第2インバーター72が設置されている。水処理装置2は、制御装置66を備え、制御装置66は、第1インバーター30、第2インバーター72、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36、および第3流量測定装置74と、電気的接続等によって接続されている。制御装置66は、バルブ32と、電気的接続等によって接続されていてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置2では、最終段の膜モジュールユニットの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定し(第1流量測定工程)、第1段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第2流量測定工程)、および最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第3流量測定工程)、最終段の濃縮水の流量の測定値、第1段の希釈水の流量の測定値、および最終段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する(制御工程)。
例えば、制御装置66は、第1流量測定装置34により測定された最終段の膜モジュールユニット(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20)の濃縮水の流量の測定値、第2流量測定装置36により測定された第1段の膜モジュールユニット(図2の例では、1段目膜モジュールユニット12)の希釈水の流量の測定値、および第3流量測定装置74により測定された最終段の膜モジュールユニットの希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する制御手段として機能する。制御装置66は、例えば、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36および第3流量測定装置74の測定値が予め設定された目標流量値となるように、任意の演算式を用いて駆動周波数を演算し、この演算値に対応する指令信号を第1インバーター30に出力して第1ポンプ26を制御し、第2インバーター72に出力して第2ポンプ70を制御し、第1段の膜モジュールユニット(図2の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に供給する被処理水、および最終段の前段の膜モジュールユニット(図2の例では、4段目膜モジュールユニット18)の第二空間13に供給する希釈水の流量を制御する。
その結果として、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、逆浸透膜法より排水量を減容化しつつ、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、より安定した処理が可能となる。第2希釈水槽68に最終段の第二空間を通過した希釈水を貯留することによって、被処理水の水質変動によって第一空間と第二空間の水バランスが崩れた場合があっても流量の制御がしやすくなる。また、最終段の膜モジュールユニットの希釈水を吸入して前段の膜モジュールユニットに吐出する第2加圧ポンプとして第2ポンプ70を用いることによって、第1ポンプ26だけでは膜モジュールユニットの段数が増えて通水に要する圧力が不足する場合があっても、第1ポンプ26の負荷を軽減し、通水に要する圧力不足を抑制することができる。
具体的には、例えば、第1ポンプ26を起動し、バルブ32を例えば全開(開度100%)にし、第1ポンプ26に付随する第1インバーター30の出力値を徐々に上げていく。第1流量測定装置34の測定値が目的の流量に到達したら、バルブ32を例えば予め定めた任意の割合(例えば、開度を全開に対して10%)閉める。第1流量測定装置34の測定値が減るので、第1流量測定装置34の測定値が目的の流量に達するまで第1ポンプ26の第1インバーター30の出力を上げる。バルブ32を閉めると、第3流量測定装置74の測定値が増える。その後、第1インバーター30の出力を上げる→第1流量測定装置34の測定値が増える→バルブ32を閉める→第1流量測定装置34の測定値が減り、第3流量測定装置74の測定値が増えるという操作を繰り返し、第1流量測定装置34と第3流量測定装置74の測定値を目的の流量に調節すればよい。また、第2ポンプ70に付随する第2インバーター72で出力値を設定し、第2流量測定装置36の測定値を目的の流量に調節してもよい。
被処理水の回収率が変化したとき、第1流量測定装置34の測定値および第2流量測定装置36の測定値に基づく被処理水の回収率ができるだけ一定となるように第1インバーター30の出力値、第2インバーター72の出力値とバルブ32の開度が例えば自動で制御され、被処理水の流量および希釈水の流量を変化させる。第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量が設定流量より少なくなった場合、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を大きくすればよい(すなわち、バルブを開ける)。バルブ32の開度の調節は、例えば、予め定めた任意の割合(例えば、開度を全開に対して10%)閉じて、予め定めた時間(例えば、1分間)、第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量の様子を見る工程を繰り返せばよい。または、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力値を上げて、第一空間の流量を大きくしてもよい。
第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量が設定流量より大きくなった場合、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力を下げればよい。ただし、第1ポンプ26が動作保証されている出力下限値に到達した場合には、バルブ32の開度を小さくする(バルブを閉める)。バルブ32の開度の調節は、例えば、予め定めた任意の割合(例えば、開度を全開に対して10%)で閉じて、予め定めた時間(例えば、1分間)、第1流量測定装置34により測定される第一空間の流量の様子を見る工程を繰り返せばよい。または、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を小さくして、第一空間の流量を小さくしてもよい。
第2流量測定装置36により測定される第二空間の流量が設定流量より少なくなった場合、バルブ32の開度を固定し、第2インバーター720の出力値を上げればよい。第2流量測定装置36により測定される第二空間の流量が設定流量より大きくなった場合、バルブ32の開度を固定し、第2インバーター72の出力値を下げればよい。
第3流量測定装置74により測定される第二空間の流量が設定流量より少なくなった場合、第一空間の流量が大きくなるので、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を小さくすればよい。または、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力値を上げてもよい。第3流量測定装置74により測定される第二空間の流量が設定流量より大きくなった場合、第一空間の流量が小さくなるので、第1インバーター30の出力値を固定し、バルブ32の開度を大きくすればよい。または、バルブ32の開度を固定し、第1インバーター30の出力値を下げてもよい。
第1流量測定装置34、第2流量測定装置36および第3流量測定装置74の測定値に基づいて開度を調節する比例制御バルブは、バルブ32の他に、第一空間11の配管に1つ以上設けてもよく、手動でバルブの開度を調節してもよいし、制御装置66により自動でバルブの開度を調節してもよい。
最終段の膜モジュールユニットの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定する第1流量測定装置34、最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第3流量測定装置74の他に、第一空間11の流量を測定する流量測定装置を第一空間11の配管に1つ以上設けてもよい。
第1段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第2流量測定装置36の他に、第二空間13の流量を測定する流量測定装置を第二空間13の配管に1つ以上設けてもよい。
第一空間11の配管に、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36および第3流量測定装置74の測定値に基づいて開度を調節する比例制御バルブを1つ以上設けてもよい。
水処理装置2において、第2希釈水槽68を設けなくてもよい。このような構成の水処理装置を図3に示す。
図3に示す水処理装置3において、配管54に、最終段の膜モジュールユニット(図3の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第3流量測定手段として、第3流量測定装置84が設置されている。5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間出口と4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間入口とは、第2ポンプ80を介して配管54により並列的に接続されている。
第2ポンプ80には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を第2ポンプ80に出力する第2インバーター82が設置されている。水処理装置3は、制御装置66を備え、制御装置66は、第1インバーター30、第2インバーター82、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36、および第3流量測定装置84と、電気的接続等によって接続されている。制御装置66は、バルブ32と、電気的接続等によって接続されていてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置3では、最終段の膜モジュールユニットの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定し(第1流量測定工程)、第1段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第2流量測定工程)、および最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第3流量測定工程)、最終段の濃縮水の流量の測定値、第1段の希釈水の流量の測定値、および最終段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する(制御工程)。
例えば、制御装置66は、第1流量測定装置34により測定された最終段の膜モジュールユニット(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20)の濃縮水の流量の測定値、第2流量測定装置36により測定された第1段の膜モジュールユニット(図2の例では、1段目膜モジュールユニット12)の希釈水の流量の測定値、および第3流量測定装置84により測定された最終段の膜モジュールユニットの希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する制御手段として機能する。制御装置66は、例えば、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36および第3流量測定装置84の測定値が予め設定された目標流量値となるように、任意の演算式を用いて駆動周波数を演算し、この演算値に対応する指令信号を第1インバーター30に出力して第1ポンプ26を制御し、第2インバーター82に出力して第2ポンプ80を制御し、第1段の膜モジュールユニット(図2の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に供給する被処理水、および最終段の前段の膜モジュールユニット(図2の例では、4段目膜モジュールユニット18)の第二空間13に供給する希釈水の流量を制御する。
その結果として、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、逆浸透膜法より排水量を減容化しつつ、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、より安定した処理が可能となる。また、最終段の膜モジュールユニットの希釈水を吸入して前段の膜モジュールユニットに吐出する第2加圧ポンプとして第2ポンプ80を用いることによって、第1ポンプ26だけでは膜モジュールユニットの段数が増えて通水に要する圧力が不足する場合があっても、第1ポンプ26の負荷を軽減し、通水に要する圧力不足を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例の概略を図4に示す。
図4に示す水処理装置4において、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第一空間出口と5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第一空間入口とが、配管88により並列的に接続され、配管52におけるポンプ28の下流側と5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間入口とが配管90によりバルブ86を介して並列的に接続されている点で、図1に示す水処理装置1と異なる。
水処理装置4は、半透膜15で仕切られた第一空間11および第二空間13を有する多段式の膜モジュールを用い、被処理水を多段式の膜モジュールの第一空間11に直列的に通水し、最終段の膜モジュールユニット(図4の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第二空間13に最終段の膜モジュールユニットの濃縮水を分配し、最終段の膜モジュールの希釈水をその前段の膜モジュールの第二空間13に直列的に返送、通水し、第一空間11を加圧することによってその第一空間11に含まれる水を第二空間13に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、水処理装置4において、半透膜15を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜15を用いて濃縮される。第1段の膜モジュールユニット(図4の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に被処理水が供給され、その濃縮水が最終段の膜モジュールユニット(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第一空間11を通過した後に、最終段の濃縮水の少なくとも一部が最終段の膜モジュールの第二空間13に供給される。そして、最終段の膜モジュールの第二空間13を通過した希釈水を、その上流の膜モジュールの第二空間13に供給していき、各段の膜モジュールの第一空間11を加圧してその第一空間11に含まれる水を第二空間13に透過させる。
具体的には、水処理装置4において、被処理水は、配管38を通して、必要に応じて被処理水槽10に貯留され、被処理水槽10から第1ポンプ26により配管40を通して、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から4段目膜モジュールユニット18の第二空間13、3段目膜モジュールユニット16の第二空間13、2段目膜モジュールユニット14の第二空間13を経由して返送された希釈水が配管60を通して、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(1段目))。
1段目膜モジュールユニット12の濃縮水は、配管42を通して、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から4段目膜モジュールユニット18の第二空間13、3段目膜モジュールユニット16の第二空間13を経由して返送された希釈水が配管58を通して、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1段目と同様にして、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(2段目))。
2段目膜モジュールユニット14の濃縮水は、配管44を通して、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から4段目膜モジュールユニット18の第二空間13を経由して返送された希釈水が配管56を通して、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1,2段目と同様にして、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(3段目))。
3段目膜モジュールユニット16の濃縮水は、配管46を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から返送された希釈水が配管92を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1,2,3段目と同様にして、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(4段目))。
4段目膜モジュールユニット18の濃縮水は、配管88を通して、最終段の5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第一空間11へ送液される。一方、後述する最終段の5段目膜モジュールユニット20から返送された濃縮水は、配管90を通して、5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。1~4段目と同様にして、5段目膜モジュールユニット20において、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(5段目))。
5段目膜モジュールユニット20の濃縮水は、バルブ32が開状態で、配管50を通して、必要に応じて濃縮水槽22へ送液、貯留される。バルブ86が閉状態で、濃縮水の少なくとも一部は、処理水として、濃縮水槽22からポンプ28により配管52を通して、系外へ排出される。濃縮水の少なくとも一部は、被処理水槽10に送液され、被処理水槽10において被処理水と混合されてもよい。
5段目膜モジュールユニット20の濃縮水の少なくとも一部は、バルブ86が開状態で、濃縮水槽22からポンプ28により配管52、配管90を通して、5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(5段目))。ここで、ポンプ28、配管52,90等が、最終段の濃縮水の少なくとも一部を最終段の半透膜モジュールの第二空間に供給する供給手段として機能する。
5段目膜モジュールユニット20の希釈水は、配管92を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(4段目))。
4段目膜モジュールユニット18の希釈水は、配管56を通して、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、3段目膜モジュールユニット16の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(3段目))。
3段目膜モジュールユニット16の希釈水は、配管58を通して、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、2段目膜モジュールユニット14の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(2段目))。
2段目膜モジュールユニット14の希釈水は、配管60を通して、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、1段目膜モジュールユニット12の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(1段目))。
1段目膜モジュールユニット12の希釈水は、配管62を通して、必要に応じて第1希釈水槽24へ送液され、貯留された後、配管64を通して、系外へ排出される。希釈水の少なくとも一部は、被処理水槽10に送液され、被処理水槽10において被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、さらに逆浸透膜処理装置へ送液され、逆浸透膜処理装置において、逆浸透膜処理が行われてもよい(逆浸透膜処理工程)。逆浸透膜処理により得られたRO透過水は、系外へ排出される。逆浸透膜処理により得られたRO濃縮水は、被処理水槽10に送液され、被処理水槽10において被処理水と混合されてもよい。
以上のようにして、処理対象である、溶解固形成分等を含む被処理水から、溶解固形成分等の物質が濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
例えば、制御装置66は、第1流量測定装置34により測定された最終段の膜モジュールユニット(図1の例では、5段目膜モジュールユニット20)の濃縮水の流量の測定値、および第2流量測定装置36により測定された第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量を制御する制御手段として機能する。制御装置66は、例えば、第1流量測定装置34および第2流量測定装置36の測定値が予め設定された目標流量値となるように、任意の演算式を用いて駆動周波数を演算し、この演算値に対応する指令信号を第1インバーター30に出力して第1ポンプ26を制御し、第1段の膜モジュールユニット(図1の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に供給する被処理水の流量を制御する。
その結果として、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、逆浸透膜法より排水量を減容化しつつ、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、安定した処理が可能となる。
水処理装置4において、図2に示す水処理装置2と同様に、最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量をさらに測定し、最終段の濃縮水の流量の測定値、第1段の希釈水の流量の測定値、および最終段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の第二空間に供給する希釈水の流量を制御してもよい。このような構成の水処理装置を図5に示す。
図5に示す水処理装置5は、最終段の膜モジュールユニットからの希釈水(図5の例では、5段目膜モジュールユニット20からの希釈水)を貯留する第2希釈水槽68をさらに備える。水処理装置5において、5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間出口と第2希釈水槽68の希釈水入口とは、配管94により接続されている。第2希釈水槽68の出口と4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間入口とは、第2ポンプ70を介して配管78により並列的に接続されている。
5段目膜モジュールユニット20の希釈水は、配管94を通して、第2希釈水槽68へ送液され、貯留された後、第2ポンプ70により、第2希釈水槽68から配管78を通して、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間13へ送液される。上記の通り、4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールにおいて、第一空間11が加圧されてその第一空間11に含まれる水が第二空間13に透過される(濃縮工程(4段目))。
配管94には、最終段の膜モジュールユニット(図5の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第3流量測定手段として、第3流量測定装置74が設置されている。第2ポンプ70は、最終段の膜モジュールユニット(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20)の後段に設けられ、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、最終段の膜モジュールユニットの希釈水(図2の例では、5段目膜モジュールユニット20の希釈水)を吸入して前段の膜モジュールユニット(図2の例では、4段目膜モジュールユニット18)に吐出する第2加圧ポンプである。第2ポンプ70には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を第2ポンプ70に出力する第2インバーター72が設置されている。水処理装置5は、制御装置66を備え、制御装置66は、第1インバーター30、第2インバーター72、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36、および第3流量測定装置74と、電気的接続等によって接続されている。制御装置66は、バルブ32と、電気的接続等によって接続されていてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置5では、最終段の膜モジュールユニットの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定し(第1流量測定工程)、第1段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第2流量測定工程)、および最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第3流量測定工程)、最終段の濃縮水の流量の測定値、第1段の希釈水の流量の測定値、および最終段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する(制御工程)。
例えば、制御装置66は、第1流量測定装置34により測定された最終段の膜モジュールユニット(図5の例では、5段目膜モジュールユニット20)の濃縮水の流量の測定値、第2流量測定装置36により測定された第1段の膜モジュールユニット(図5の例では、1段目膜モジュールユニット12)の希釈水の流量の測定値、および第3流量測定装置74により測定された最終段の膜モジュールユニットの希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する制御手段として機能する。制御装置66は、例えば、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36および第3流量測定装置74の測定値が予め設定された目標流量値となるように、任意の演算式を用いて駆動周波数を演算し、この演算値に対応する指令信号を第1インバーター30に出力して第1ポンプ26を制御し、第2インバーター72に出力して第2ポンプ70を制御し、第1段の膜モジュールユニット(図5の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に供給する被処理水、および最終段の前段の膜モジュールユニット(図5の例では、4段目膜モジュールユニット18)の第二空間13に供給する希釈水の流量を制御する。
その結果として、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、逆浸透膜法より排水量を減容化しつつ、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、より安定した処理が可能となる。第2希釈水槽68に最終段の第二空間を通過した希釈水を貯留することによって、被処理水の水質変動によって第一空間と第二空間の水バランスが崩れた場合があっても流量の制御がしやすくなる。また、最終段の膜モジュールユニットの希釈水を吸入して前段の膜モジュールユニットに吐出する第2加圧ポンプとして第2ポンプ70を用いることによって、第1ポンプ26だけでは膜モジュールユニットの段数が増えて通水に要する圧力が不足する場合があっても、第1ポンプ26の負荷を軽減し、通水に要する圧力不足を抑制することができる。
水処理装置5において、図3に示す水処理装置3と同様に、第2希釈水槽68を設けなくてもよい。このような構成の水処理装置を図6に示す。
図6に示す水処理装置6において、配管92に、最終段の膜モジュールユニット(図6の例では、5段目膜モジュールユニット20)の第二空間を通過した希釈水の流量を測定する第3流量測定手段として、第3流量測定装置84が設置されている。5段目膜モジュールユニット20の各膜モジュールの第二空間出口と4段目膜モジュールユニット18の各膜モジュールの第二空間入口とは、第2ポンプ80を介して配管92により並列的に接続されている。
第2ポンプ80には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を第2ポンプ80に出力する第2インバーター82が設置されている。水処理装置6は、制御装置66を備え、制御装置66は、第1インバーター30、第2インバーター82、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36、および第3流量測定装置84と、電気的接続等によって接続されている。制御装置66は、バルブ32と、電気的接続等によって接続されていてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置6では、最終段の膜モジュールユニットの第一空間を通過した濃縮水の流量を測定し(第1流量測定工程)、第1段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第2流量測定工程)、および最終段の膜モジュールユニットの第二空間を通過した希釈水の流量を測定し(第3流量測定工程)、最終段の濃縮水の流量の測定値、第1段の希釈水の流量の測定値、および最終段の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する(制御工程)。
例えば、制御装置66は、第1流量測定装置34により測定された最終段の膜モジュールユニット(図6の例では、5段目膜モジュールユニット20)の濃縮水の流量の測定値、第2流量測定装置36により測定された第1段の膜モジュールユニット(図6の例では、1段目膜モジュールユニット12)の希釈水の流量の測定値、および第3流量測定装置84により測定された最終段の膜モジュールユニットの希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値となるように、第1段の膜モジュールユニットの第一空間に供給する被処理水の流量および最終段の前段の膜モジュールユニットの第二空間に供給する希釈水の流量を制御する制御手段として機能する。制御装置66は、例えば、第1流量測定装置34、第2流量測定装置36および第3流量測定装置84の測定値が予め設定された目標流量値となるように、任意の演算式を用いて駆動周波数を演算し、この演算値に対応する指令信号を第1インバーター30に出力して第1ポンプ26を制御し、第2インバーター82に出力して第2ポンプ80を制御し、第1段の膜モジュールユニット(図6の例では、1段目膜モジュールユニット12)の第一空間11に供給する被処理水、および最終段の前段の膜モジュールユニット(図6の例では、4段目膜モジュールユニット18)の第二空間13に供給する希釈水の流量を制御する。
その結果として、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、逆浸透膜法より排水量を減容化しつつ、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、より安定した処理が可能となる。また、最終段の膜モジュールユニットの希釈水を吸入して前段の膜モジュールユニットに吐出する第2加圧ポンプとして第2ポンプ80を用いることによって、第1ポンプ26だけでは膜モジュールユニットの段数が増えて通水に要する圧力が不足する場合があっても、第1ポンプ26の負荷を軽減し、通水に要する圧力不足を抑制することができる。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置において、膜モジュールユニットの段数は、目的の処理水の濃度等によって決めればよい。例えば、より薄い濃度の被処理水からより濃い濃度の処理水を得たい場合には、膜モジュールユニットの段数を増やせばよい。
各膜モジュールユニットにおける膜モジュールの本数は、被処理水の流量等によって決めればよい。
膜モジュールが備える半透膜15としては、例えば、逆浸透膜(RO膜)、正浸透膜(FO膜)、ナノろ過膜(NF膜)等の半透膜が挙げられる。半透膜は、逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜が好ましい。なお、半透膜として逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜を用いる場合、第一空間11の対象溶液の圧力は、好ましくは0.5~10.0MPaである。
半透膜15を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、酢酸セルロース系樹脂等のセルロース系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等のポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。半透膜15を構成する材料は、酢酸セルロース系樹脂であることが好ましい。
半透膜15の形状としては、平膜、中空糸膜、スパイラル膜等が挙げられる。
被処理水は、溶解固形成分(TDS)等の物質を含む水であればよく、特に制限はないが、例えば、工場排水、塩水、海水、薬品廃液、逆浸透膜処理後の濃縮排水等が挙げられる。本実施形態に係る水処理方法および水処理装置は、被処理水のTDS(溶解固形成分)濃度が、例えば、50000mg/L以上である場合に、好ましくは60000mg/L以上である場合に、より好ましくは100000mg/L以上である場合に、好適に適用可能である。TDS(溶解固形成分)は、例えば、塩化ナトリウム等の塩化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩等を成分とする。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図7に示す水処理装置を用いて、処理を実施した。図7の水処理装置7は、図2の水処理装置2において、濃縮水槽22および第1希釈水槽24を設けずに、5段目膜モジュールユニット20の濃縮水は、配管96を通して被処理水槽10へ返送され、1段目膜モジュールユニット12の希釈水は、配管98を通して被処理水槽10へ返送されるように構成されている。第1流量測定装置34は、配管96に設置され、第2流量測定装置36は、配管98に設置されている。
TDS成分として、塩化ナトリウム(NaCl)を使用した。純水に塩化ナトリウムを添加して試験水を作製し、被処理水(TDS濃度:6質量%)として下記実験条件にて処理を行った。20分間運転後、塩化ナトリウムの添加量を増やすことによって、被処理水のTDS濃度を6質量%から8質量%に上げ、第1流量測定装置34によって測定される5段目膜モジュールユニット20の濃縮水の流量の測定値、第2流量測定装置36によって測定される1段目膜モジュールユニット12の希釈水の流量の測定値、第3流量測定装置74によって測定される5段目膜モジュールユニット20の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値(2500L/h)となるように、第1ポンプ26によって1段目膜モジュールユニット12の第一空間に供給する被処理水の流量を制御し、第2ポンプ70によって4段目膜モジュールユニット18の第二空間に供給する希釈水の流量を制御した。20分間運転後の第1流量測定装置34によって測定される流量の測定値、および第2流量測定装置36によって測定される流量の測定値を表1に示す。
(実験条件)
・膜モジュール:東洋紡株式会社製 5インチ膜
・膜本数:21本、5段(上流側より6本+5本+4本+3本+3本)
・被処理水:塩化ナトリウム(NaCl)含有水6質量%、8質量%
・被処理水量:5000L/h
・目標処理水量:2500L/h
・回収率:50%
・濃縮倍率:2倍
・被処理水槽、希釈水槽の容量:各200L
<実施例2>
図7の水処理装置を用いて、処理を実施した。純水にTDS成分として塩化ナトリウムを添加して試験水を作製し、被処理水(TDS濃度:8質量%)として上記実験条件にて処理を行った。20分間運転後、純水を添加することによって、被処理水のTDS濃度を8質量%から6質量%に下げ、第1流量測定装置34によって測定される5段目膜モジュールユニット20の濃縮水の流量の測定値、第2流量測定装置36によって測定される1段目膜モジュールユニット12の希釈水の流量の測定値、第3流量測定装置74によって測定される5段目膜モジュールユニット20の希釈水の流量の測定値が予め設定された目標流量値(2500L/h)となるように、第1ポンプ26によって1段目膜モジュールユニット12の第一空間に供給する被処理水の流量を制御し、第2ポンプ70によって4段目膜モジュールユニット18の第二空間に供給する希釈水の流量を制御した。20分間運転後の第1流量測定装置34によって測定される流量の測定値、および第2流量測定装置36によって測定される流量の測定値を表1に示す。
<比較例1>
図8に示す水処理装置を用いて、処理を実施した。図8の水処理装置8は、図7の水処理装置7において、第2希釈水槽68、第2ポンプ70、第1インバーター30、第2インバーター72、第3流量測定装置74等を設けずに構成されている。
純水にTDS成分として塩化ナトリウムを添加して試験水を作製し、被処理水(TDS濃度:6質量%)として上記実験条件にて処理を行った。20分間運転後、塩化ナトリウムの添加量を増やすことによって、被処理水のTDS濃度を6質量%から8質量%に上げ、第1ポンプ26による被処理水の流量を変化させずに処理を行った。20分間運転後の第1流量測定装置34によって測定される流量の測定値、および第2流量測定装置36によって測定される流量の測定値を表1に示す。
<比較例2>
図8の水処理装置を用いて、処理を実施した。純水にTDS成分として塩化ナトリウムを添加して試験水を作製し、被処理水(TDS濃度:8質量%)として上記実験条件にて処理を行った。20分間運転後、純水を添加することによって、被処理水のTDS濃度を8質量%から6質量%に下げ、第1ポンプ26による被処理水の流量を変化させずに処理を行った。20分間運転後の第1流量測定装置34によって測定される流量の測定値、および第2流量測定装置36によって測定される流量の測定値を表1に示す。
表1に示すように、実施例1,2では、被処理水の水質変動がある場合でも、目的の処理水量を確保することができた。一方、比較例1,2では、被処理水の水質変動があると、目的の処理水量を確保することができなかった。比較例2では、第1段で得られる希釈水の流量が増えているが、濃縮水の量が減少した場合、第一空間で被処理水が必要以上に濃縮(過濃縮)され、被処理水中に膜の閉塞原因となる物質が含まれている場合、スケールが形成され、膜が閉塞してしまう可能性がある。
このように、実施例の装置および方法によって、多段式の半透膜モジュールを用いる水の濃縮処理において、被処理水(原水)の水質変動がある場合でも、安定した処理が可能となった。