JP7290862B2 - 自走車の速度検知装置及びそれを備えた自走車 - Google Patents
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d=L/n ・・・・・・(1)
(ただし、nは2以上の整数である。)
図1に、本発明に係る自走車を駆動車1aとして用いた木材搬送装置WT1を示す。この図に示す木材搬送装置WT1は、山林等の不整地の斜面に設けられた、円柱状の単軌条21を有する軌道2と、単軌条21に跨り自走する駆動車(自走車)1aと、駆動車1aに連結された複数の搬送車4を備える。搬送車4は単軌条21に跨り移動自由である。このため単軌条21に傾斜があれば搬送車4は下方に向かって移動する。したがって、傾斜面の上方から下方に木材Trを搬送する場合、駆動車1aは搬送方向に縦列配置された複数個の搬送車4の最後尾に配置され、縦列配置された搬送車4が重力により単軌条21を下方に自由滑走するのを制動し所定速度で移動させる役割を果たす。一方、傾斜面の下方から上方に木材Trを搬送する場合、駆動車1aは搬送方向に縦列配置された複数個の搬送車4の先頭に配置され、縦列配置された搬送車4を牽引して所定速度で移動させる。以下、軌道2、駆動車1aについて順に説明する。
軌道2についてまず説明する。軌道2の構造及びその設置については、本出願人が出願した特開2019-11652号公報に例示されているものが本発明でも適用することができる。図2は軌道2の一例を示す正面図である。なお、図2の上下方向、長手方向及び紙面に垂直方向が軌道2の上下方向、長手方向及び左右方向である。
駆動車1aとしては、本出願人が既に出願している特開2017-7786号公報に記載の駆動車(台車)が好適に使用可能である。図3に駆動車1aの搬送方向に対して平行方向の垂直断面図を示し、図4に図3のA-A線断面図を示す。図1の木材搬送装置WT1で使用される駆動車1aは単軌条21に跨り自走可能な駆動車であって、筐体11内の搬送方向前後に2つの駆動部D1,D2とを備える。図4に示すように、駆動車1aは、筐体11と、この筐体11に支持され、単軌条21の外周に周方向に等間隔で圧接する5つの駆動車輪12a,12b,12c,12d,12e(以下、「駆動車輪12」と総称することがある)とを有する。そして、駆動車輪12を回転可能に支持する軸受け(不図示)と筐体11との間には圧縮コイルバネ(付勢手段)14が介装されている。駆動車輪12を回転駆動させるモーター(駆動源)M1が駆動車輪12aの近傍に設けられている。
図3及び図4に示すように、駆動車1aにおいて、単軌条21から鉛直下方向に距離r離れ単軌条21に平行な仮想線SLと上下方向同じ位置に2つの検知手段31,32が前後方向に距離d隔てて設けられている。2つの検知手段31,32は同一構成であって、検知手段31,32は発光部31a,32aと受光部31b,32bとを有する。発光部31a,32aと受光部31b,32bとは仮想線SLを挟んで幅方向(図4における左右方向)に対向するように配置されいる。すなわち、発光部31a,32aから出射された光が受光部31b,32bで受光されるように配置されている。
また、駆動車1aを停止させる手段として、検知手段31,32を利用することが可能である。図7に一例を示す。駆動車1aを停止させたい位置に対応する仮想線SL上に停止指示部材41を配置する。停止指示部材41は、上下方向に所定幅を有し前後方向に延在する遮光性の板状体であり、前後方向の長さは検知手段31,32の前後方向の間隔d以上とされている。
駆動車1aの空転や滑りを精度よく検知するには速度検知間隔を短くするのが望ましいところ、通常、単軌条を支持する支持柱(鉛直材23、斜材24)の走行方向の設置間隔は少なくとも数十cmはあり、また検知手段の個数を増やすことにも限界があるため、前述の検知手段31,32からの検知信号に基づく駆動車1aの走行速度検知では、検知間隔を短くするのに限界がある。
そこで本実施形態では、走行速度を検知するためのもう一つの手段として回転速度検知手段が駆動車1aに更に設けられている。図4に示すように、駆動車輪12aの回転軸120の外周面に反射板(回転速度検知手段)52が貼着され、駆動軸120を軸支する一方の側板131の反射板52と対向する位置に反射型のフォトセンサー(回転速度検知手段)51が配置されている。駆動軸120が回転する度、すなわち駆動車輪12aが回転する度にフォトセンサー51の発光部から発せられた光が反射板52で反射されてフォトセンサー51の受光で受信され、駆動車輪12aの回転に対応するパルス信号が生成される。駆動車輪12aは所定の外周長さを有するから、当該外周長さにパルス信号の周波数を乗ずることによって駆動車1aの走行速度が算出される。単位時間当たりの駆動車輪12aの回転数は、単位時間当たりの支持柱(鉛直材23、斜材24)の通過本数よりも通常は多いため、駆動車輪12aの回転数から駆動車1aの走行速度を算出する方が検知間隔を短くできる。
図3に示すように、駆動車1aは、前後方向の略中央部に、停止した駆動車1aを動かないようにするパーキングブレーキ手段6を備える。
図8に、非ブレーキ位置のときのパーキングブレーキ手段6の走行方向に対して垂直方向の断面図を示し、図9に図8のB-B線断面図を示す。図10に、ブレーキ位置のときのパーキングブレーキ手段6の走行方向に対して垂直方向の断面図を示し、図11に図10のC-C線断面図を示す。
図8~図11に示すように、枠体60は、前後方向に所定距離隔てて対向配置された前板601と後板602と、前板601と後板602の左右方向両端部の上下方向中央部及び下端部において前板601と後板602とに接続する接続板603a,603b及び接続板604a,604bとから構成される。前板601及び後板602とは同一形状であって、左右方向中央部に下端から上方に向かう切り欠き605が形成されている。切り欠き605は、下端から上下方向略中央に至る、左右方向に一定幅の途中開口部606と、途中開口部606の上部に連続する円形状開口部607とを有する。途中開口部606の左右方向幅は、単軌条21の直径よりも小さく、鉛直材23及び斜材24の直径よりも大きく設定され、鉛直材23及び斜材24の挿通が可能とされている。一方、円形状開口部607の直径は単軌条21の直径よりも大きく、単軌条21の挿通が可能とされている。
図8及び図10に示すように、一対のアーム部材61a,61bは板状であって単軌条21を挟んで略左右対称となるよう配置されている。一対のアーム部材61a,61bの下端部は支持軸63a,63bによって前板601と後板602とに揺動可能に支持されている。また一対のアーム部材61a,61bの上端部にはアーム移動機構7が設けられている。一対のアーム部材61a,61bは、上下方向途中部が単軌条21から離れる方向に凹んだ湾曲部612a,612bを有し、湾曲部612a,612bの対向する内周壁には、上下方向に3つ、前後方向(図8及び図10の紙面に垂直方向)に3列(合計9個)ブレーキシュー64が取り付けられている。ブレーキシュー64としてはゴムなどからなるブロック状の弾性材が好適である。
アーム移動機構7は、駆動力としてもモーターMと、モーターMの出力軸に接続された所定長さを有するボルト(雄ネジ部材)71と、アーム部材61bに取り付けられた雌ネジ部材73と、アーム部材61aに取り付けられた自動調心玉軸受72とを備え、ボルト71は、一方端側が雌ネジ部材73に螺合し、他方端側が自動調心玉軸受72で回転可能に支持される。
雌ネジ部材73は円柱形状で、軸方向中央部に軸方向に対して垂直に貫通した雌ネジ穴731が形成されている。雌ネジ部材73は、アーム部材61bの上部に形成された開口部615に左右方向に移動可能で且つ軸中心に回動可能に差し入れられ、一対の支持板75,76で左右両側から挟み込まれ保持される。
一対の支持板75,76は、上下方向の長さが雌ネジ部材73よりも長く、前後方向の長さが雌ネジ部材73よりも長い長方形状の板体であって、上端部がアーム部材61bから離れる方向に垂直に屈曲されて台部751とされている。そして、支持板75の台部751上にはブレーキシュー64の位置を検知するための位置検知部材Se1が設けられている。また、一対の支持板75,76の前後方向中央部に、上下方向の長さが雌ネジ部材73の直径よりも短く、前後方向の長さが雌ネジ部材73の軸方向長さよりも若干長い開口部752,762が形成されている。また一対の支持板75,76には開口部752,762を挟んで前後方向の対称位置に貫通孔753a,753b及び貫通孔763a,763b(図9及び図11に図示)が形成されている。
図9及び図11に示すように、一対の支持板75,76は、支持板75の貫通孔753a,753bと、アーム部材61bの貫通孔616a,616bと、支持板76の貫通孔763a,763bとがそれぞれ同一中心軸上となるよう位置され、支持板75側からフランジボルト79aの軸部791aが貫通孔753a、貫通孔616a、貫通孔763aを挿通し、フランジボルト79bの軸部791bが貫通孔753b、貫通孔616b、貫通孔763bを挿通して、支持板76から突出した先端にナット792a,792bが螺着されることによりアーム部材61bに固定される。フランジボルト79a,79bのフランジ793a,793bと支持板75との間の軸部791a,791bの外周に圧縮コイルバネ701a,701bが挿入されると共に、アーム部材61bと一対の支持板75,76との間の軸部791a,791bには各々スペーサーリング702が介装される。支持板75及びアーム部材61bは圧縮コイルバネ701a,701bによって常に支持部材76の方向(図9及び図11の左方向)に付勢されるが、支持板75とアーム部材61bとの間及び支持部材76とアーム部材61bとの間にはそれぞれスペーサーリング702の厚み分の隙間が少なくとも確保される。
一対の支持板75,76の開口部752,762とアーム部材61bの開口部615とは同一の中心軸上に位置し、アーム部材61bの開口部615に挿通された雌ネジ部材73は、一対の支持板75,76に形成された開口部752,762に一部が挿通するが、開口部752,762の上下方向長さは雌ネジ部材73の直径よりも短いので、雌ネジ部材73は一対の支持板75,76の開口部752,762を通過することができず、一対の支持板75,76によって左右方向から挟み込まれ支持される。また、支持板75,76とアーム部材61bとの間にはそれぞれスペーサーリング702の厚み分の隙間が少なくとも確保されるので、雌ネジ部材73は左右方向への若干の移動裕度を有すると共に雌ネジ部材73の中心軸を中心に回動可能とされる。
自動調心玉軸受72は、中央部に開口部741が形成され4つの角部の各々に貫通孔742が形成された長方形状の固定用板74と、アーム部材61aの一方側面(図8~図11では左側面)との間に、アーム部材61aの開口部611及び固定用板74の開口部741と同一の中心軸上に位置するように挟み込まれ、アーム部材61aの4つ貫通孔613と固定用板74の4つの貫通孔742の各々にボルト743が挿通され先端にナット744が螺合されることによってアーム部材61aに取り付けられる。より具体的には、自動調心玉軸受72の外側の軌道輪がアーム部材61aと固定用板74とによって挟持され、自動調心玉軸受72の内側の軌道輪はナット77,78によってボルト71に固定されボルト71と共に回転可能とされる。
ボルト71は、アーム部材61aに固定された自動調心玉軸受72の軸穴を挿通して、アーム部材61bの取り付けられた雌ネジ部材73の雌ネジ穴731に螺合される。自動調心玉軸受72から外方(図8~図11の右方)に突出したボルト71の端部にはモーターMの出力軸がコネクタCoを介して接続される。モーターMは、モーターMの外形に沿って屈曲された線条材703に係合されて、線条材703の両端がバネ部材Spを介してアーム部材61aに取り付けられたフック部材614a,614bに係止することによってアーム部材61aに取り付けられる。
このような構成のパーキングブレーキ手段6において、駆動車1aが停止するとパーキングブレーキ手段6は非ブレーキ状態(図8及び図9)からブレーキ状態(図10及び図11)とされる。具体的には制御手段Cからの信号によってモーターMが一方向(正方向)に回転してボルト71が正回転し、雌ネジ部材73がモーターMに接近する方向に移動する。この結果、一対のアーム部材61a,61bは互いに単軌条21に接近する方向に移動し、一対のアーム部材61a,61bに取り付けられた片側9個、両側で合計18個のブレーキシュー64が左右両側から単軌条21の外周面に圧接する。これにより、停車中における駆動車1aの滑走が確実に防止される。
制御手段Cによる駆動車1aの駆動制御について説明する。制御手段Cは、駆動車1aが走行している際の走行速度は基本的に回転速度検知手段による第2走行速度に基づき制御する。前述のように回転速度検知手段の方が速度検知手段よりも検知間隔が短いからである。制御手段Cは、駆動車1aの走行速度が、予め入力されている設定速度VとなるようモーターM1,M2の印加電圧を調整する。このとき、駆動車1aの走行速度が設定速度よりも速く、駆動車1aを減速させる必要があるときは回生ブレーキを用いる。回生ブレーキは、駆動車1aの運動エネルギーを利用して電磁誘導によってモーターM1,M2で発電を行い、この発電時の回転抵抗で駆動車を減速させるものである。回生ブレーキによって発生した電力は駆動車1aに搭載している不図示のバッテリーに充電される。
駆動車1aの走行方向先端側に障害物センサーを設置し、走行方向の先に駆動車1aの走行の障害となる物がないか検知するようにしてもよい。山林の中を駆動車1aを走行させる場合、木の幹や枝などが生長し突如として走行の障害となるおそれがあるからである。
1a 駆動車(自走車)
2 軌道
4 搬送車
6 パーキングブレーキ手段
7 アーム移動機構
C 制御手段
M モーター
11 筐体
12a,12b,12c,12d,12e 駆動車輪
14 圧縮コイルバネ(付勢手段)
17a,17b 摺動部材
21 単軌条
22 下フレーム
23 鉛直材(支持柱,被検知部材)
24 斜材(支持柱,被検知部材)
25 固定支持部
26 上フレーム
31,32 検知手段
41 停止指示部材
51 フォトセンサー(回転数検知手段)
52 反射部材(回転数検知手段)
61a,61b アーム部材
64 ブレーキシュー
71 ボルト(雄ネジ部材)
73 雌ネジ部材
72 自動調心玉軸受
Se1 位置検知部材
Se2 抜け防止センサー
SL 仮想線
Tr 木材
Claims (7)
- 単軌条により進路を誘導されて所定速度で走行する自走車の速度検知装置であって、
前記単軌条に沿って等間隔に設けられた被検知部材と、
前記自走車に設けられた、前記被検知部材を検知する検知手段と、
を備え、
前記被検知部材が、前記単軌条から鉛直方向に所定距離離れ前記単軌条に平行な仮想線において等間隔で配置された、前記単軌条を支持する支持柱であり、
前記被検知部材を検知することによる前記検知手段からの検知信号に基づき前記自走車の走行速度を検知することを特徴とする自走車の速度検知装置。 - 前記検知手段がn個設けられ、
前記検知手段の走行方向の設置間隔dと、前記被検知部材の走行方向の間隔Lとが下記式(1)を満足する請求項1記載の速度検知装置。
d=L/n ・・・・・・(1)
(ただし、nは2以上の整数である。) - 単軌条により進路を誘導されて所定速度で走行する自走車の速度検知装置であって、
前記単軌条に沿って等間隔に設けられた被検知部材と、
前記自走車に設けられた、前記被検知部材を検知する検知手段と、
を備え、
前記検知手段がn個設けられ、
前記検知手段の走行方向の設置間隔dと、前記被検知部材の走行方向の間隔Lとが下記式(1)を満足し、
前記被検知部材を検知することによる前記検知手段からの検知信号に基づき前記自走車の走行速度を検知することを特徴とする自走車 の速度検知装置。
d=L/n ・・・・・・(1)
(ただし、nは2以上の整数である。) - 前記請求項1~3のいずれかに記載の速度検知装置を備えた自走車であって、
前記自走車の走行速度及び停止を制御する制御手段と、
前記自走車の車輪の回転数を検知する回転数検知手段と
をさらに備え、
前記制御手段は、前記速度検知装置で検知された前記自走車の第1走行速度と、前記回転数検知手段で検知された回転数から算出される前記自走車の第2走行速度とを比較し、両者の走行速度差が所定以上であると自走車を停止させることを特徴とする自走車。 - 第1走行速度及び第2走行速度の少なくとも一方が、設定された走行速度よりも所定速度以上速い場合又は所定速度以上遅い場合、前記制御手段は前記自走車を停止させる請求項4に記載の自走車。
- 単軌条により進路を誘導されて所定速度で走行する、速度検知装置を備えた自走車であって、
前記自走車の走行速度及び停止を制御する制御手段と、
停止した自走車を動かないようにするパーキングブレーキ手段と
をさらに備え、
前記速度検知装置は、前記単軌条に沿って等間隔に設けられた被検知部材と、前記自走車に設けられた、前記被検知部材を検知する検知手段とを備え、前記被検知部材を検知することによる前記検知手段からの検知信号に基づき前記自走車の走行速度を検知し、
前記制御手段は、前記自走車の停止中に前記検知手段が前記被検知部材を検知した場合、作動中の前記パーキングブレーキ手段のブレーキ強度を強めることを特徴とする自走車。 - 前記請求項2又は3に記載の速度検知装置を備えた自走車であって、
前記自走車の走行速度及び停止を制御する制御手段と、
前記単軌条に沿って設けられた、前記自走車の停止を指示する停止指示部材と、
をさらに備え、
前記停止指示部材は、前記n個の検知手段のうち走行方向に連続する少なくとも2つの検知手段が同時に検知し得る形状を有し、
前記の少なくとも2つの検知手段が同時に検知信号を発信した場合、前記制御手段は前記自走車を停止させることを特徴とする自走車。
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