JP7289134B2 - 複合体、複合体の製造方法、及び、分離デバイス - Google Patents
複合体、複合体の製造方法、及び、分離デバイス Download PDFInfo
- Publication number
- JP7289134B2 JP7289134B2 JP2019126968A JP2019126968A JP7289134B2 JP 7289134 B2 JP7289134 B2 JP 7289134B2 JP 2019126968 A JP2019126968 A JP 2019126968A JP 2019126968 A JP2019126968 A JP 2019126968A JP 7289134 B2 JP7289134 B2 JP 7289134B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer
- layered double
- double hydroxide
- anion
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
Description
[1] 高分子基材と、上記高分子基材に担持された層状複水酸化物と、を有し、上記層状複水酸化物は、上記高分子基材の表面に対してab面が垂直に、又は、斜め方向に配向して担持されている、複合体。
[2] 上記層状複水酸化物が、後述する一般式1、及び、後述する一般式2からなる群より選択される少なくとも一方で表される、[1]に記載の複合体。
[3] 後述する一般式1において、MIIが、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、及び、Ca2+からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンであり、また、MIIIが、Al3+、Ga3+、Cr3+、Mn3+、Fe3+、Co3+、及び、Ni3+からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンである、[2]に記載の複合体。
[4] 後述する一般式1、及び、後述する一般式2において、層間アニオンである上記An-が、ClO4 -、ClO3 -、ClO2 -、ClO-,NO3 -、Br-、Cl-、F-、OH-、CO3 2-、SO4 2-、Fe(CN)6 4-、有機酸アニオン、及び、アミノ酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1種のn価のアニオンである、[2]又は[3]に記載の複合体。
[5] 後述する一般式1、及び、後述する一般式2において、An-が、ClO4 -、ClO3 -、NO3 -、Br-、及び、Cl-からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンである[2]に記載の複合体。
[6] 上記層状複水酸化物は、板状形状における板面の長さが0.01~100μmであり、上記高分子基材に配向して担持されている角度が5~90°の範囲内である、[1]~[5]のいずれかに記載の複合体。
[7] 上記高分子基材が水酸基を有する高分子、及び、ヘテロ原子を有する合成高分子からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の複合体。
[8] 上記高分子基材が、重合性高分子化合物を含有する組成物を硬化して得られた架橋高分子を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の複合体。
[9] 上記高分子基材が繊維形状であり、繊維径が0.01~50μmである[1]~[8]のいずれかに記載の複合体。
[10] 上記高分子基材が溶液ブロー紡糸法、延伸紡糸法、及び、電界紡糸法からなる群より選択される少なくとも1種の方法により製造される不織布である、[1]~[9]のいずれかに記載の複合体。
[11] 上記高分子基材の厚みは2~200μmであり、かつ、布状基材である[1]~[10]のいずれかに記載の複合体。
[12] MII、及び、MIIIを含有する塩、並びに、アルカリ成分、及び、加水分解してアルカリ成分を放出する化合物からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ源化合物、を含有する水溶液に、上記高分子基材を浸漬させて、加熱して、[2]~[5]のいずれかに記載の複合体を得る、複合体の製造方法。
[13] 上記アルカリ源化合物が、尿素、エチレンジアミン、及び、ヘキサメチレンテトラミンからなる群より選択される少なくとも1種である、[12]に記載の複合体の製造方法。
[14] 上記加熱の温度が、60~200℃である、[12]又は[13]に記載の複合体の製造方法。
[15]
更に、溶媒と、アニオン種として上記An-とを含有する溶液中で、上記層状複水酸化物の層間アニオンを交換することを含む、[12]~[14]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[16] 上記溶液が、上記溶媒と、An-を含有する塩、又は、化合物を混合して得られたものである、[15]に記載の複合体の製造方法。
[17] 上記層間アニオンがCO3 2-である場合に、上記交換することが、上記溶液に酸又は酸性物質を加えた酸性条件下でアニオン交換を行い、上記層間から上記CO3 2-を除去する操作である、[15]に記載の複合体の製造方法。
[18] 上記溶媒が水、メタノール、及び、エタノールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒である、[16]に記載の複合体の製造方法。
[19] [1]~[11]のいずれかに記載の複合体を含有するフィルターを有し、吸着クロマトグラフィー、又は、分配クロマトグラフィーの用途に利用可能である、分離デバイス。
[20] 上記分離デバイスが、カートリッジ、カセット、キャニスター、注射器、マルチウェルプレート、及び、フィルターホルダーからなる群より選択される少なくとも1種である、[19]に記載の分離デバイス。
本発明の実施形態に係る複合体(層状複水酸化物/高分子複合体)(以下、単に「本複合体」ともいう。)は、高分子基材と、高分子基材に担持された層状複水酸化物と、を有し、上記層状複水酸化物は、前記高分子基材の表面に対してab面(層状複水酸化物の結晶軸a及び結晶軸bにより規定される面)が垂直に、又は、斜め方向に配向して担持されている複合体である。
また、特許文献5のように層状複水酸化物と高分子複合体との複合化において、バインダを用いる形態では、バインダによって層状複水酸化物の吸着サイト(アニオン交換による吸着に有効な結晶面)が塞がれてしまい、結果として所望の吸着性能が得られない場合があると推測される。
させて得られる複合体であるため、高分子基材と層状複水酸化物とが優れた密着性を有する。その結果、バインダを用いなくとも優れた密着性が得られるため、バインダにより吸着サイトが塞がれることが抑制され、優れた吸着性が得られたものと推測される。
上記により、本複合体は、優れた悪臭除去性、優れた抗菌性、及び、優れた保温性を有するものと推測される。
本発明の実施形態に係る層状複水酸化物としては特に制限されず、公知の層状複水酸化物が対象となる。層状複水酸化物は、特に制限されないが、典型的には、2価の金属(マグネシウム、鉄、亜鉛、カルシウム、リチウム、ニッケル、コバルト、及び、銅等)と3価の金属(アルミニウム、鉄、及び、マンガン等)の水酸化物とが複合して積層構造を形成した無機の層状化合物を意味する。
本発明の実施形態は層状複水酸化物が高分子基材に直接担持するため、合成で得られたものが好適に使用されるが、天然に産するものでもよい。天然の層状酸化物の具体例としては、ハイドロタルサイト、モツコレアイト、マナセイト、スティッヒタイト、パイロオーライト、タコバイト、イヤードライト、グリーンラスト、及び、メイキセネライト等が挙げられる。
一般式1:[MII 1-xMIII x(OH)2]+[An- x/n・mH2O]-
一般式2:[Al2Li(OH)6]+[An- x/n・mH2O]-
上記の層状複水酸化物としては特に制限されないが、例えば、天然鉱物ハイドロタルサイト:Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O等が挙げられる。
典型的には、尿素、及び/又は、ヘキサメチレンテトラミン等の加水分解してアルカリ成分を放出する化合物である場合、アルカリ成分はアンモニアであるため、以下では、アルカリ成分をアンモニアであるものとして説明するが、上記に制限されず、アルカリ成分として、有機アミン化合物が放出される場合もある。
本複合体においては、アニオン交換性層状複水酸化物の層間アニオンであるAは、典型的には、過塩素酸イオン(ClO4 -)、塩素酸イオン(ClO3 -)、亜塩素酸イオン(ClO2 -)、次亜塩素酸イオン(ClO-)、硝酸イオン(NO3 -)、臭素イオン(Br-)、塩素イオン(Cl-)、フッ素イオン(F-)、水酸化物イオン(OH-)、CO3 2-、SO4 2-、Fe(CN)6 4-、酒石酸アニオン、酢酸アニオン(CH3COO-)、アクリル酸アニオン、メタクリル酸アニオン、アミノ酸アニオン、及び、イセチオン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種のアニオンが好ましく、ClO4 -、ClO3 -、ClO2 -、ClO-、NO3 -、Br-、及び、Cl-からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンがより好ましい。これらは、いずれも1価の陰イオンであり、イオンサイズも大きいので、層状複水酸化物に対する親和性が弱く、これを含む層状複水酸化物は、アニオン交換性が高くなる。それ故、同じような条件を満たすアニオンならば、前述のアニオン以外のものも排除するものではない。
高分子基材は高分子化合物を含有する基材であり、高分子化合物以外の成分を含有していてもよい。より優れた本発明の効果を有する複合体が得られる点で、高分子基材は、高分子基材の全質量を100質量%としたとき、高分子化合物を90質量%以上含有することが好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、99質量%以上含有することが更に好ましく、高分子化合物からなることが特に好ましい。
なお、高分子基材は高分子化合物の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。高分子基材が、2種以上の高分子化合物を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
上記組成物は重合性高分子化合物を含有していれば特に制限されず、他の成分を含有していてもよく、他の成分としては例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、硬化剤(例えば、ポリイソシアネート、及び、ポリアミン等)、溶媒、連鎖移動剤、充てん剤、紫外線吸収剤、及び、重合禁止剤等が挙げられ、いずれも公知のものを使用できる。
このような高分子化合物としては特に制限されないが、骨格(鎖中)に窒素、及び/又は、硫黄を含有するか、及び/又は、親水性基(典型的にはヒドロキシ基)を有する高分子化合物が好ましい。
高分子基材が繊維形状である場合、その繊維系としては特に制限されないが、一般に0.01~50μmが好ましく。0.1~10μmがより好ましい。
また、繊維形状の高分子基材の製造方法としては特に制限されないが、溶液ブロー紡糸法、延伸紡糸法、及び、電界紡糸法からなる群より選択される少なくとも1種の方法により製造されることが好ましい。また、繊維形状の高分子基材は織布であっても不織布であってもよいが、より優れた本発明の効果を有する複合体が得られる点で、不織布が好ましい。
板状結晶における広い面は、このab面と並行である。従い、基材上に層状複水酸化物の板状結晶が垂直に近い角度で配向する方が、低い角度で配向するよりも、分離対象物(例えば、有害アニオン)との接触効率が格段に高くなる。
加熱の方法としては特に制限されず、水熱処理であってもよい。加熱温度としては特に制限されず、上記化合物が加水分解可能な程度の温度に加熱すればよく、典型的には60~200℃が好ましい。
このとき、上記溶液は、溶媒と、An-を含有する塩、又は、化合物を混合して得られたものであることが好ましい。また、層間アニオンがCO3 2-である場合、上記交換することは、上記溶液に酸又は酸性物質を加えた酸性条件下でアニオン交換を行い、上記層間からCO3 2-を除去する操作であることが好ましい。また、溶媒が水、メタノール、及び、エタノールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒が好ましい。
ポリアクリロニトリルPAN(Mw150000、シグマアルドリッチジャパン社製)をジメチルホルムアミド(DMF)に15質量%混合し、80℃で8時間撹拌してPAN溶液を調製した。このPAN溶液をシリンジに充填し、エレクトロスピニングユニット(NEU,カトーテック株式会社製)を用いて、内径0.7mmの紡糸ノズルに15kVを印加して、シリンジポンプの送液速度を0.4mm/分で不織布を作製した。得られたPAN繊維の太さは0.8~1.2μmであった。
製造例1で作成した不織布を250℃の電気炉で30分及び60分加熱処理した。この不織布を3mm×5mm短冊状に切り、引張試験装置(EZ-S,島津製作所社製)を用いて引張速度1mm/分で引張試験を実施した。未処理試料を含めた各試料の応力-ひずみ曲線を図1に示す。加熱処理により架橋反応が進み、不織布の強度増加が確認された。試料の断面厚さは、垂直に固定してSEM観察により観測し、最大降伏強度、引張弾性率を求め表1にまとめた。60分の加熱処理試料が機械的性質を飛躍的に改善できたため、これを高分子繊維基材として使用することとした。
ペレット状ポリスチレンPS(Mw190000、シグマアルドリッチジャパン社製)をMEKに30質量%混合し、60℃で4時間撹拌してPS溶液を調製した。このPS溶液を製造例1と同様に方法で不織布を作製した。得られたPS繊維の太さは8.3~12μmであった。
硝酸マグネシウム六水和物,硝酸アルミニウム九水和物をMg:Al=2:1で配合した溶液と0.7Mの尿素水溶液を2:1(vol/vol)の比率で加えた混合溶液(50mL)をポリテトラフルオロエチレン製容器に入れて、高分子基材として製造例1で調製したPAN不織布(5mg)を浸漬させて、80℃、7日間で水熱処理を行なった。水熱処理後、圧力容器内から木綿を取り出して、水洗浄を繰り返し、80℃で乾燥して試料を得た。この布試料をスライド硝子上に載せてXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物が木綿表面で合成できたと判断できる。処理後の木綿試料は12mgであり、SEM観察した結果を図2に示す。直径4μmの六角板状層状複水酸化物の結晶の中心にPAN繊維が串刺し状に成長している様子が確認できた。
非特許文献に従い硝酸マグネシウム六水和物,硝酸アルミニウム九水和物をMg:Al=2:1で配合しヘキサメチレンテトラミンを加えて混合溶液を調製した。得られた溶液(60mL)をポリテトラフルオロエチレン製容器に入れて、高分子基材として木綿(5mg)を浸漬させて、140℃、24時間で水熱処理を行なった。水熱処理後、圧力容器内から木綿を取り出して、水洗浄を繰り返し、80℃で乾燥して試料を得た。この布試料をスライド硝子上に載せてXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物が木綿表面で合成できたと判断できる。処理後の木綿試料は22mgであり、SEM観察した結果を図3に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材を製造例2で作製したPAN不織布(4mg)に変え、実施例2と同様に水熱処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物がPAN表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は19mgであり、SEM観察した結果を図4に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材をナイロン66繊維(旭化成製、レオナ)(繊維径20μm、4mg)に変え、実施例2と同様に水熱処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物がナイロン66表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は15mgであり、SEM観察した結果を図5に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材を芳香族ポリアミドのアラミド繊維ケブラー糸(繊維径310μm、6mg)に変え、実施例2と同様に水熱処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物がケブラー糸表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は16mgであり、SEM観察した結果を図6に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材をウレタンフォーム(6mg)に変え、実施例2と同様に水熱処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物がウレタンフォーム表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は26mgであり、SEM観察した結果を図7に示す。ウレタンフォーム表面に層状複水酸化物の結晶片が斜めに重なり合って成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材を布状キュプラ繊維(旭化成製、ベンコット)(繊維径14μm、4mg)に変え、実施例2と同様に水熱処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物がキュプラ表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は16mgであり、SEM観察した結果を図8に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材を絹繊維(繊維径16μm、4mg)に変え、実施例2と同様に水熱処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物が絹表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は10mgであり、SEM観察した結果を図9に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に層状複水酸化物の0.2~1μmの粒子の端面が垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例1で使用した高分子基材を製造例2で調製した不燃化処理PAN(繊維径 約1μm、4mg)に変えた以外は、実施例1と同様の操作で処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物が絹表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は15mgであり、SEM観察した結果を図10に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例2で使用した高分子基材を製造例2で調製した不燃化処理PAN(繊維径約1μm、4mg)に変えた以外は、実施例2と同様の操作で処理を行った。得られた試料をXRDパターンは、0.78nmの003反射が確認された。併せて、この試料のFTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍のピークが観測されることから炭酸型層状複水酸化物が絹表面で合成できたと判断できる。処理後の不織布試料は22mgであり、SEM観察した結果を図11に示す。繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が繊維に垂直方向に成長している様子が確認できた。
実施例3で得られた層状複水酸化物-高分子繊維複合体不織布をメタノール溶媒中に投入して1%の懸濁液を調製し、該粉末試料に対して42質量%の過塩素酸を加えて、窒素雰囲気下、40℃で約1時間過塩素酸処理を行なった。その後、濾過・水洗・凍結乾燥を行った。XRD回折の結果、層間隔は実施例3の0.78nmから0.9nmへとシフトしたことが確認できた。また、FTIRスペクトル測定の結果は、実施例3で観測された1360cm-1近傍のCO3 2-に帰属されるピークが消失し、1080cm-1近傍に強いピークが観測されことから、層間アニオンは過塩素酸に交換できたと判断できる。
実施例11の過塩素酸を塩化アンモニウム(NH4Cl)に変えた以外は実施例11と同様に処理を行って、実施例4に係る粉末試料を調製した。この粉末試料の相対湿度60%下におけるXRDパターンからは、層間隔が0.89nmと算出された。また、FTIRスペクトルにおいて1360cm-1近傍の炭酸イオンのピークの消失が観測されたことから、塩素型層状複水酸化物が得られたと判断できる。
実施例12で調製した塩素型層状複水酸化物-高分子繊維複合体(不織布)を8枚重ねにしたフィルター層(40mg)を内径12mmのアリン氏管型ガラス容器に詰めて簡易フィルター(図12)を作成した。このフィルター上部からリン濃度1ppmのNa2HPO4水溶液25mLを5回に分けて流して各試料検体を採取した。5mLずつ分けて採取した試料溶液のP濃度は、モリブデンブルー法でUV-vis測定から吸着率を算出した(図13)。その結果、5回に分けて通液した試験検体は、ほぼ安定的に50%以上のP濃度低下が観測されており、このフィルターにPアニオン分離能があることが示された。通液性も良好であり、溶液との接触パスを長くとるなどフィルター設計によって優れた分離デバイスを得ることが可能である。
実施例2で使用した高分子基材を製造例3で作製したPS不織布(6mg)に代え、実施例2と同様に水熱処理を行った。処理後の不織布試料は約6mgであり、SEM観察した結果繊維表面にわずかな層状複水酸化物が付着しているだけであった。
実施例2で使用した高分子基材をポリエチレン製不織布(1cm2)に代え、実施例2と同様に水熱処理を行った。処理後の不織布試料は4mgであり、繊維表面に層状複水酸化物の結晶片が成長している様子が確認できなかった。
実施例2で使用した高分子基材をポリプロピレン製不織布(1cm2)に代え、実施例2と同様に水熱処理を行った。処理後の不織布試料の重量に変化はなく、SEM観察した結果繊維表面には全く層状複水酸化物が付着してしなかった。
2 P溶液
3 不織布フィルター層
4 ガラスフィルター
Claims (16)
- 繊維形状の高分子基材と、前記高分子基材に担持された板状結晶である層状複水酸化物と、を有し、
前記高分子基材は、水酸基を有する高分子、又は、窒素を含有する高分子であり、
前記層状複水酸化物が、下記一般式1で表され、
一般式1:[M II 1-x M III x (OH) 2 ] + [A n- x/n ・mH 2 O] -
ここで、M II は2価の金属イオンであり、M III は3価の金属イオンであり、0.18≦x≦0.36を満たし、A n- はn価のアニオンであり、mは環境の湿度により変化する数であり、
板状結晶である前記層状複水酸化物は、前記高分子基材の表面に対してab面が垂直に、又は、斜め方向に配向して担持されており、花冠状凝集粒子を構成する、複合体。 - 前記一般式1において、前記MIIが、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、及び、Ca2+からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンであり、また、前記MIIIが、Al3+、Ga3+、Cr3+、Mn3+、Fe3+、Co3+、及び、Ni3+からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンである、請求項1に記載の複合体。
- 前記一般式1において、層間アニオンである前記An-が、ClO4 -、ClO3 -、ClO2 -、ClO- 、NO3 -、Br-、Cl-、F-、OH-、CO3 2-、SO4 2-、Fe(CN)6 4-、有機酸アニオン、及び、アミノ酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1種のn価のアニオンである、請求項1又は2に記載の複合体。
- 前記一般式1において、前記An-が、ClO4 -、ClO3 -、NO3 -、Br-、及び、Cl-からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンである請求項1に記載の複合体。
- 前記層状複水酸化物は、前記板状結晶における板面の長さが0.01~100μmであり、前記高分子基材に配向して担持されている角度が5~90°の範囲内である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合体。
- 前記高分子基材は、綿、絹、キュプラ、ポリアクリロニトリル、および、ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合体。
- 前記高分子基材が、重合性高分子化合物を含有する組成物を硬化して得られた架橋高分子を含有する、請求項1に記載の複合体。
- 前記高分子基材の繊維径が0.01~50μmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合体。
- 2価の金属イオンであるM II、及び、3価の金属イオンであるM IIIを含有する塩、並びに、ヘキサメチレンテトラミンを含有する水溶液に、水酸基を有する高分子、又は、窒素を含有する高分子である繊維形状の高分子基材を浸漬させて、加熱して、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合体を得る、複合体の製造方法。
- 前記加熱の温度が、60~200℃である、請求項9に記載の複合体の製造方法。
- 更に、溶媒と、アニオン種として前記An-とを含有する溶液中で、前記層状複水酸化物の層間アニオンを交換することを含む、請求項9又は10に記載の複合体の製造方法。
- 前記溶液が、前記溶媒と、An-を含有する塩、又は、化合物を混合して得られたものである、請求項11に記載の複合体の製造方法。
- 前記層間アニオンがCO3 2-である場合に、前記交換することが、前記溶液に酸又は酸性物質を加えた酸性条件下でアニオン交換を行い、前記層間から前記CO3 2-を除去する操作である、請求項11に記載の複合体の製造方法。
- 前記溶媒が水、メタノール、及び、エタノールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒である、請求項12に記載の複合体の製造方法。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の複合体を含有するフィルターを有し、吸着クロマトグラフィー、又は、分配クロマトグラフィーの用途に利用可能である、分離デバイス。
- 前記分離デバイスが、カートリッジ、カセット、キャニスター、注射器、マルチウェルプレート、及び、フィルターホルダーからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項15に記載の分離デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019126968A JP7289134B2 (ja) | 2019-07-08 | 2019-07-08 | 複合体、複合体の製造方法、及び、分離デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019126968A JP7289134B2 (ja) | 2019-07-08 | 2019-07-08 | 複合体、複合体の製造方法、及び、分離デバイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021010886A JP2021010886A (ja) | 2021-02-04 |
JP7289134B2 true JP7289134B2 (ja) | 2023-06-09 |
Family
ID=74226263
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019126968A Active JP7289134B2 (ja) | 2019-07-08 | 2019-07-08 | 複合体、複合体の製造方法、及び、分離デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7289134B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115821482B (zh) * | 2022-11-18 | 2024-06-25 | 江苏恒科新材料有限公司 | 一种阻燃隔热聚酯纳米复合纤维膜的制备方法 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005010112A (ja) | 2003-06-20 | 2005-01-13 | Shiseido Co Ltd | 化合物、カラム充填剤、クロマトグラフィー用カラム、クロマトグラフィー装置、及び光学分割方法 |
JP2005263596A (ja) | 2004-03-22 | 2005-09-29 | National Institute For Materials Science | 層状複水酸化物/ゼオライト複合体及びその製造法 |
US20060070952A1 (en) | 2003-01-28 | 2006-04-06 | University Of Wyoming Research Corporation D/B/A | Charge-based water filtration systems |
JP2011530405A (ja) | 2008-08-14 | 2011-12-22 | ザルトリウス ステディム ビオテック ゲーエムベーハー | 無機層状複水酸化物を有するデプスフィルター層 |
WO2012102150A1 (ja) | 2011-01-27 | 2012-08-02 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 水膨潤性層状複水酸化物とその製造方法、ゲル状又はゾル状物質及び、複水酸化物ナノシートとその製造方法 |
WO2015098610A1 (ja) | 2013-12-27 | 2015-07-02 | 日本碍子株式会社 | 層状複水酸化物含有複合材料及びその製造方法 |
JP2017119658A (ja) | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 日本国土開発株式会社 | ウイルス不活化剤およびその製造方法ならびにウイルス不活化剤を含有する樹脂、繊維、衣服、フィルタおよびマスク |
JP2018192449A (ja) | 2017-05-22 | 2018-12-06 | 東洋紡株式会社 | 吸着シート工法 |
JP2019075379A (ja) | 2016-06-24 | 2019-05-16 | 日本碍子株式会社 | 層状複水酸化物を含む機能層及び複合材料 |
-
2019
- 2019-07-08 JP JP2019126968A patent/JP7289134B2/ja active Active
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20060070952A1 (en) | 2003-01-28 | 2006-04-06 | University Of Wyoming Research Corporation D/B/A | Charge-based water filtration systems |
JP2005010112A (ja) | 2003-06-20 | 2005-01-13 | Shiseido Co Ltd | 化合物、カラム充填剤、クロマトグラフィー用カラム、クロマトグラフィー装置、及び光学分割方法 |
JP2005263596A (ja) | 2004-03-22 | 2005-09-29 | National Institute For Materials Science | 層状複水酸化物/ゼオライト複合体及びその製造法 |
JP2011530405A (ja) | 2008-08-14 | 2011-12-22 | ザルトリウス ステディム ビオテック ゲーエムベーハー | 無機層状複水酸化物を有するデプスフィルター層 |
WO2012102150A1 (ja) | 2011-01-27 | 2012-08-02 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 水膨潤性層状複水酸化物とその製造方法、ゲル状又はゾル状物質及び、複水酸化物ナノシートとその製造方法 |
WO2015098610A1 (ja) | 2013-12-27 | 2015-07-02 | 日本碍子株式会社 | 層状複水酸化物含有複合材料及びその製造方法 |
JP2017119658A (ja) | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 日本国土開発株式会社 | ウイルス不活化剤およびその製造方法ならびにウイルス不活化剤を含有する樹脂、繊維、衣服、フィルタおよびマスク |
JP2019075379A (ja) | 2016-06-24 | 2019-05-16 | 日本碍子株式会社 | 層状複水酸化物を含む機能層及び複合材料 |
JP2018192449A (ja) | 2017-05-22 | 2018-12-06 | 東洋紡株式会社 | 吸着シート工法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021010886A (ja) | 2021-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhan et al. | Adsorption of Cu (ii), Zn (ii), and Pb (ii) from aqueous single and binary metal solutions by regenerated cellulose and sodium alginate chemically modified with polyethyleneimine | |
Liu et al. | Removal of heavy metal ions and anionic dyes from aqueous solutions using amide-functionalized cellulose-based adsorbents | |
Wang et al. | Controlled synthesis of sodium alginate electrospun nanofiber membranes for multi-occasion adsorption and separation of methylene blue | |
Sun et al. | Highly selective capture of the greenhouse gas CO2 in polymers | |
Zhu et al. | Synthesis of montmorillonite/poly (acrylic acid-co-2-acrylamido-2-methyl-1-propane sulfonic acid) superabsorbent composite and the study of its adsorption | |
Montazerolghaem et al. | A metal–organic framework MIL-101 doped with metal nanoparticles (Ni & Cu) and its effect on CO 2 adsorption properties | |
Qu et al. | Mercury adsorption by sulfur-and amidoxime-containing bifunctional silica gel based hybrid materials | |
Qureshi et al. | Highly efficient and robust electrospun nanofibers for selective removal of acid dye | |
JP2023519686A (ja) | 修飾金属有機構造体(mof)組成物、その製造方法および使用方法 | |
US7628844B2 (en) | Filtration media for the removal of mercury from flue gas emissions | |
Song et al. | Synthesis of cross-linking chitosan-PVA composite hydrogel and adsorption of Cu (II) ions | |
Chen et al. | Tunable surface charge and hydrophilicity of sodium polyacrylate intercalated layered double hydroxide for efficient removal of dyes and heavy metal ions | |
Zhang et al. | Elevating the stability and adsorption performance of metal-organic frameworks by chitosan and attapulgite for capturing methylene blue in the water | |
WO2021259760A1 (en) | Method and apparatus for direct air capture of carbon dioxide by using a solid polymeric support material functionalized with amino functionalities and the use of this material for carbon dioxide capture from air | |
Huang et al. | Facile and low-cost fabrication of composite hydrogels to improve adsorption of copper ions | |
JP7289134B2 (ja) | 複合体、複合体の製造方法、及び、分離デバイス | |
Gaikwad et al. | Electrospun fiber mats with multistep seeded growth of UTSA-16 metal organic frameworks by microwave reaction with excellent CO2 capture performance | |
Ali et al. | Surface and internal modification of composite ion exchange membranes for removal of molybdate, phosphate, and nitrate from polluted groundwater | |
Wu et al. | Mixed matrix membrane comprising glycine grafted CuBTC for enhanced CO2 separation performances with excellent stability under humid atmosphere | |
Zhang et al. | Remediation of uranium (VI)-containing wastewater based on a novel graphene oxide/hydroxyapatite membrane | |
Zhao et al. | Innovative benign-to-design functionalized adsorbents from biomass for rapid azo-dyes separation | |
Zhang et al. | Synthesis of polyamine‐bridged polysilsesquioxanes and their adsorption properties for heavy metal ions | |
Wang et al. | ZIF-8 modified polyvinyl alcohol/chitosan composite aerogel for efficient removal of Congo red | |
Wang et al. | PEI grafted defective MOF-808 for enhanced boron removal | |
Liu et al. | A high-flux polydopamine/reduced graphene oxide/MOF-5 composite membrane via a mussel-inspired method for dye wastewater purification |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220318 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221215 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221227 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230127 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230509 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230523 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7289134 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |