JP7288868B2 - モデル更新装置及び方法並びにプロセス制御システム - Google Patents

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Description

本発明はモデル更新装置及び方法並びにプロセス制御システムに関し、モデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)が導入されたプラントを制御するプロセス制御システムに適用して好適なものである。
MPCは、化学プロセスなどに代表されるプロセス産業で広く利用されている高度なプロセス制御技術であり、現在、全世界で5000を越えるアプリケーションが運用されている。MPCでは、モデル予測制御器と呼ばれる制御器が用いられる。
この制御器(以下、適宜、この制御器もMPCと呼ぶ)は、多入力多出力プロセス(以下、これをMIMO(Multiple Input Multiple Output)プロセスと呼ぶ)などの対象プロセスのモデル(以下、これをプロセスモデルと呼ぶ)、すなわちプロセス入力の時系列データからプロセス出力の時系列データを再現又は予測するためのモデルを保持している。
そしてMPCは、対象プロセスのプロセスモデルと、プロセス入出力の時系列データとを利用して、プロセス出力を目標値に追従又は維持させるための最適な操作量を算出し、算出した操作量を対象プロセスに入力する。このとき利用するプロセスモデルは、プロセスにM系列(Maximum Length Sequences)などのテスト信号を入力し、そこから得られた出力を利用してシステム同定を行うことで得られる。
MPCに関する一般的な課題として、制御性能が経時的に劣化する点が挙げられる。具体的には、設備の改良や劣化、操業計画の変更、供給材料の量や品質の変化、デボトルネッキング(障害除去)などの対象プロセスの経時変化により、プロセスモデルの予測精度が低下し、制御性能の劣化を引き起こす。このような制御性能の劣化は利益の損失を招き、操業上大きな問題となる。良好な制御性能を維持するためには、予測精度などに代表されるプロセスモデルの品質を監視し、必要であればプロセスモデルを更新する必要がある。また、プロセスモデルの更新は、MPC導入時と同様にシステム同定に基づく。操業中のテスト信号の挿入は、利益の損失を招くほか、操業制約に触れないようテスト信号の振幅や周期を調整するのに膨大な人的コストや時間コストが必要となる。
このような問題に対応するため、例えば、特許文献1には、プロセスの入出力データと、既存のプロセスモデルとを利用して各入力端及び出力端に関してモデル品質を推定し、モデル品質を基にテスト信号を自動生成して入力することにより、モデル更新時のテスト信号の削減及び調整コストの低減を実現する技術が開示されている。
特表2012-528392号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、プロセスモデルの更新時に依然としてテスト信号を入力しており、操業上の利益損失を招くという問題がある。また、テスト信号を自動入力する点が、プラントの操業規約に反する可能性がある。
さらに、特許文献1に開示された技術では、プロセス入力にテスト信号を重畳させる方法が用いられているが、MPCはプロセス出力の測定値を基にプロセス入力を決定する制御方式(閉ループ制御)であることから、テスト信号とプロセス出力との相関に起因してモデルの品質推定精度及び同定精度が低下する。特許文献1では、かかる相関を除去し精度を向上させるため、テスト信号自動生成器(テスタ)及びMPCを一体とする実施形態も提案されているが、既存のMPCが導入されているプラントには適用できないという問題もある。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、モデル更新に要する労力や時間及び金銭コストを大幅に削減しながら、操業上の利益損失を生じさせることなく、かつ既存のシステム予測制御が導入されているプラントにも容易に適用可能なモデル更新装置及び方法並びにプロセス制御システムを提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、プロセス予測制御における対象プロセスのモデルを更新するモデル更新装置において、前記対象プロセスの操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する変換部と、前記遅れ座標形式に変換された前記操業データについて正則化項を含む回帰問題を解くことにより、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する更新モデル生成部と、前記更新モデル生成部により生成された前記更新モデルと置き換えるようにして前記モデルを更新するモデル更新部とを設けるようにした。
また本発明においては、プロセス予測制御における対象プロセスのモデルを更新するモデル更新装置により実行されるモデル更新方法であって、前記対象プロセスの操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する第1のステップと、前記遅れ座標形式に変換した前記操業データについて正則化項を含む回帰問題を解くことにより、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する第2のステップと、生成した前記更新モデルと置き換えるようにして前記モデルを更新する第3のステップとを設けるようにした。
さらに本発明においては、対象プロセスを制御するプロセス制御システムにおいて、前記対象プロセスのモデルを保持し、当該モデルを用いて予測した目標値に対する前記対象プロセスの出力値の誤差が最小化されるように前記対象プロセスに対する入力値を算出し、算出した前記入力値を前記対象プロセスに入力するようにして当該対象プロセスを制御する制御装置と、前記制御装置が保持する前記モデルを更新するモデル更新装置とを有し、前記モデル更新装置は、前記対象プロセスの操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する変換部と、前記遅れ座標形式に変換された前記操業データについて正則化項を含む回帰問題を解くことにより、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する更新モデル生成部と、前記更新モデル生成部により生成された前記更新モデルと置き換えるようにして前記モデルを更新するモデル更新部とを備えるようにした。
本発明のモデル更新装置及び方法並びにプロセス制御システムによれば、テスト信号を利用することに起因する操業上の利益損失が発生したり、対象プロセス(プラント)操業規約に反することなく、対象プロセスの経時変化を反映した状態にモデルを更新することができる。また特別な装置を必要とせず、プロセス予測制御が導入された既存のプラントにも容易に適用することができる。
本発明によれば、モデル更新に要する労力や時間及び金銭コストを大幅に削減しながら、操業上の利益損失を生じさせることなく、かつ既存のシステム予測制御が導入されているプラントにも容易に適用可能なモデル更新装置及び方法並びにプロセス制御システムを実現できる。
第1の実施の形態によるプロセス制御システムの全体構成を示すブロック図である。 モデル更新装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態によるモデル更新装置の論理構成を示すブロック図である。 MIMOプロセスにおける目標値と、操業データとの相関を示す図である。 操業データ管理テーブルの構成例を示す図表である。 モデル更新用データ管理テーブルの構成例を示す図表である。 予測誤差算出処理の処理手順を示すフローチャートである。 予測誤差監視画面の画面構成例を示す図である。 モデル更新用データ区間選択処理の処理手順を示すフローチャートである。 モデル更新処理の処理手順を示すフローチャートである。 モデル更新用データ及び更新用モデル表示画面の画面構成例を示す図である。 第2の実施の形態によるプロセス制御システムの全体構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態によるモデル更新装置の論理構成を示すブロック図である。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1-1)本実施の形態によるプロセス制御システムの構成
図1は、第1の実施の形態に係るモデル更新装置が適用されるプロセス制御システム1のシステム構成を示す。このプロセス制御システム1は、MIMOプロセス2、制御装置3及びモデル更新装置4を備えて構成される。また制御装置3は、MPC制御器であり、予測制御処理部5及びプロセスモデル6から構成される。制御装置3は、MIMOプロセス2、モデル更新装置4及び第1の入出力装置7に接続され、モデル更新装置4は、MIMOプロセス2、制御装置3及び第2の入出力装置8に接続されている。
MIMOプロセス2の代表例は、化学プロセスである。この化学プロセスは、化学工業のほか、鉄鋼工業、食品工業、製薬工業又は製紙工業などに用いられるものであってもよい。制御装置3は、MIMOプロセス2を制御する。プロセスモデル6は、MIMOプロセス2をコンピュータ上で模擬したモデルである。
予測制御処理部5は、MINOプロセス2から出力されるプロセス出力POUTの予測誤差(以下、これを履歴データと呼ぶ場合がある)と、プロセスモデル6とに基づいてプロセス出力POUTの将来の値を予測する。そして、予測制御処理部5は、プロセス出力POUTの予測値と、第1の入出力装置7から与えられた目標値9との間の誤差が最小化されるように、プロセス入力PINの値を算出し、算出したプロセス入力PINをMIMOプロセス2に入力する。これによりプロセス出力POUTを目標値9に保持又は追従させることができる。
なおプロセス入力PINは、MIMOプロセス2内の計装機器に与えられるM(Mは2以上の整数)個の指令値(バルブ開度など)である。またプロセス出力POUTは、MIMOプロセス2内のセンサにより測定された物理量(温度、圧力、流量など)及び計装機器の指令値の一方又は両方であり、P(Pは2以上の整数)個の値を有する。
モデル更新装置4は、MIMOプロセス2のプロセス入力PIN及び目標値9の一方又は両方が与えられたときのMIMOプロセス2の動特性と、プロセスモデル6の動特性との差分をプロセスモデル6の予測誤差として算出し、算出した予測誤差に基づいてプロセスモデル6を更新する。かかる予測誤差の算出時に与えられるプロセス入力PIN又は目標値9は、MIMOプロセス2の操業時のプロセス入力PIN又は目標値9に設定する。
モデル更新装置4は、プロセス入力PIN、プロセス出力POUT及び目標値9の時系列データを収集又は蓄積し、さらに制御装置3から予測制御処理部5の予測制御アルゴリズム及び数式表現されたプロセスモデル6を取得し、プロセスモデル6の更新に利用する。この際、モデル更新装置4は、MIMOプロセス2の経時変化に合わせてプロセスモデル6を更新する。MIMOプロセス2の経時変化の要因としては、設備の改良や経時劣化、操業計画の変更、供給材料の量や品質の変化、デボトルネッキングなどが挙げられる。
モデル更新装置4は、MIMOプロセス2の動特性を入出力時系列データとして取得する。このときモデル更新装置4は、プロセスモデル6の動特性を入出力時系列データ形式に変換することで、MIMOプロセス2の動特性のデータ形式と、プロセスモデル6の動特性のデータ形式とを一致させてから、予測誤差を算出する。
なお、プロセス入力PIN、プロセス出力POUT及び目標値9の時系列データは、MIMOプロセス2の操業時のデータ(以下、適宜、これを操業データと呼ぶ)である。MIMOプロセス2の操業時には、MIMOプロセス2に与えられる指令値やMIMOプロセス2内で測定される物理量が定常状態に保持又は追従されるように制御される。そして予測誤差には、MIMOプロセス2全体の動特性のうち、MIMOプロセス2の経時変化に起因する動特性が反映される。
図2は、モデル更新装置4のハードウェア構成を示す。この図2に示すように、モデル更新装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、主記憶装置11、補助記憶装置12及び通信装置19等の情報処理資源を備える汎用のコンピュータ装置から構成される。
CPU10は、モデル更新装置4全体の動作制御を司るプロセッサである。また主記憶装置11は、例えば半導体メモリなどから構成され、CPU10のワークメモリとして利用される。後述するプロセスモデル抽出処理プログラム13、予測誤差算出処理プログラム14、モデル更新用データ区間選択プログラム15及びモデル更新プログラム16は、モデル更新装置4の起動時や必要時に補助記憶装置12から主記憶装置11にロードされて当該主記憶装置11に記憶保持される。
補助記憶装置12は、例えば、ハードディスク装置やSSD(Solid State Disc)などの大容量の不揮発性の記憶装置から構成される。補助記憶装置12には、各種プログラムや各種制御データが格納される。後述する操業データ管理テーブル17及びモデル更新用データ管理テーブル18も、この補助記憶装置12に格納されて保持される。
また通信装置19は、例えばNIC(Network Interface Card)などから構成され、制御装置3などとの通信時におけるプロトコル制御を行う。
図3は、モデル更新装置4の論理構成を示す。この図3に示すように、モデル更新装置4は、操業データ管理テーブル17、プロセスモデル抽出処理部20、予測誤差算出処理部21、モデル更新用データ区間選択部22、モデル更新用データ管理テーブル18及びモデル更新部23を備えて構成される。
操業データ管理テーブル17は、MINOプロセス2(図1)の目標値9、プロセス入力PIN及びプロセス出力POUTの各時系列データからなる操業データ24をMIMOプロセス2の履歴データとして記憶保持するために利用するテーブルである。
またプロセスモデル抽出処理部20は、CPU10(図1)がプロセスモデル抽出処理プログラム13(図1)を実行することにより具現化される機能部であり、制御装置3(図1)が保持するプロセスモデル6を抽出し、抽出したプロセスモデル6を予測誤差算出処理部21及びモデル更新部23に出力する。
予測誤差算出処理部21は、CPU10が予測誤差算出処理プログラム14(図2)を実行することにより具現化される機能部である。予測誤差算出処理部21は、プロセスモデル抽出処理部20により抽出されたプロセスモデル6と、操業データ管理テーブル17に格納されているMIMOプロセス2の操業データ24とに基づいて、プロセスモデル6を用いて算出されるプロセス出力POUTの予測値と、実際のプロセス出力POUTとの差分(予測誤差)を算出し、算出した予測誤差をモデル更新用データ区間選択部22に出力する。
モデル更新用データ区間選択部22は、CPU10がモデル更新用データ区間選択プログラム15(図1)を実行することにより具現化される機能部であり、操業データ管理テーブル17に格納された操業データ24のうち、雑音(ノイズ)の影響が相対的に少ない区間の操業データ24を、プロセスモデル6の更新に利用するモデル更新用データとして選択する。
ここで図4は、MIMOプロセス2における目標値9と、操業データ24との相関を示す。図4において、最上段のグラフ(縦軸が「目標値」となっているグラフ)は目標値9の時間変化の一例を示し、その次の段のグラフ(縦軸が「操業データu(t),y(t)」となっているグラフ)はこのときの操業データ24の時間変化の一例を示す。図中、「u(t)」は時刻tにおけるプロセス入力PINの時系列データを表し、「y(t)」は時刻tにおけるプロセス出力POUTの時系列データを表す。
この図4に示すように、一般的にプラントにおける定常時の操業データ24は変動が少ない。この場合において、雑音が操業データ24に与える影響は、操業データ24の変動が小さいほど大きく、逆に、操業データ24の変動が大きいほど小さくなる。このため目標値の変更がなく、プラントが定常操業している区間(図4の区間A,C,E,G,……であり、以下、これを目標値一定区間と呼ぶ)では、雑音が操業データ24に与える影響が相対的に大きく、操業データ24に含まれるプラントの劣化情報は相対的に少ない。
一方で、供給材料の量や品質の変更などにより目標値9を変更した場合、これに伴って操業データ24も大きく変動するため、目標値を変更した前後の区間(図4の区間B,D,F,H,……であり、以下、これを目標値変化区間と呼ぶ)では、雑音が操業データ24に与える影響が相対的に小さく、操業データ24に含まれるプラントの劣化情報が相対的に多い。
そこで、モデル更新用データ区間選択部22は、目標値変化区間のうち、目標値9が雑音と比べて一定以上の大きさ(例えば、目標値9と定常時の操業データ24との定常偏差の定数倍)で変化した各目標値変化区間の操業データ24をモデル更新用データの候補として操業データ管理テーブル17から抽出する。このとき目標値変化区間の操業データ24を抽出する際の窓幅(時間幅)は、プラントの特性や供給材料に合わせてデフォルト値を予め用意しておくようにしてもよいし、ユーザが第2の入出力装置8を介して指定できるようにしてもよい。
またモデル更新用データ区間選択部22は、上述のように操業データ24をモデル更新用データの候補として抽出した各目標値変化区間について、その目標値変化区間の操業データ24に含まれる実際のプロセス出力POUTと、プロセスモデル6を用いて予測したその目標値変化区間におけるプロセス出力POUTとの誤差(予測誤差)をそれぞれ算出する。そしてモデル更新用データ区間選択部22は、算出した予測誤差が一定以上の目標値変化区間の操業データ24をモデル更新用データとして選択し、選択したモデル更新用データをモデル更新用データ管理テーブル18に格納する。
さらにモデル更新用データ区間選択部22は、目標値一定区間についても、MIMOプロセス2の定常特性がある一定レベル以上で傾向変動している区間については、この目標値一定区間の操業データ24も操業データ管理テーブル17から抽出してモデル更新用データとしてモデル更新用データ管理テーブル18に格納する。
モデル更新部23は、プロセスモデル抽出処理部20により抽出されたプロセスモデル6を、モデル更新用データ管理テーブル18に格納されたモデル更新用データを用いて更新する。具体的に、モデル更新部23は、MIMOモデル2の動特性を含む操業データ24を遅れ座標系を用いて発展方程式で表現し、発展方程式に変換された操業データ24に対して正則化項を含む回帰問題を解くことにより、MIMOモデル2の経年変化情報を部分的にプロセスモデル6に反映させる。このようなモデル更新部23により実行されるモデル更新処理の具体的な処理内容については後述する。
図5は、操業データ管理テーブル17(図3)の構成例を示す。この図5に示すように、操業データ管理テーブル17は、取得日時欄17A、目標値欄17B、プロセス入力欄17C及びプロセス出力欄17Dを備えて構成される。
そして取得日時欄17Aには、対応する操業データ24を取得した日時が格納される。また目標値欄17Bには、その日時に取得した目標値9(図3)が格納され、プロセス入力欄17Cには、その日時に取得した各プロセス入力PINがそれぞれ格納される。さらにプロセス出力欄17Dには、その日時に取得した各プロセス出力POUTがそれぞれ格納される。なお図5は、例えばバルブ開度などのプロセス入力PINが10個、センサ出力などのプロセス出力POUTが6個である場合の操業データ管理テーブル17の構成例である。
またモデル更新用データ管理テーブル18の構成例を図6に示す。この図6からも明らかなように、モデル更新用データ管理テーブル18は、操業データ管理テーブル17と同じテーブル構成を有する。このため、ここではモデル更新用データ管理テーブル18に関する詳細な説明は省略する。
(1-2)各機能部の処理
次に、上述のようなプロセスモデル6の更新処理に関連して予測誤差算出処理部21(図3)、モデル更新用データ区間選択部22(図3)及びモデル更新部23(図3)がそれぞれ実行する各種処理の具体的な処理内容について図7~図10を参照して説明する。
(1-2-1)予測誤差算出処理部の処理
図7は、プロセスモデル6の更新処理に関連して予測誤差算出処理部21(図3)により実行される一連の処理(以下、これを予測誤差算出処理と呼ぶ)の処理手順を示す。予測誤差算出処理部21は、この図7に示す処理手順に従って、現実のプロセス出力POUTに対する現行のプロセスモデル6の予測誤差を算出する。
実際上、予測誤差算出処理部21は、この図7に示す予測誤差算出処理を開始すると、まず、かかる予測誤差を算出する区間(現時点から過去の一時点までの区間であり、以下、これをシミュレーション区間と呼ぶ)の区間幅を設定する(S1)。この区間幅は、プラントの特性や供給材料の種類などに応じて予め設定された値を適用することができる。
続いて、予測誤差算出処理部21は、ステップS1で設定したシミュレーション区間内の操業データ24(プロセス入力PIN及びプロセス出力POUTの各時系列データ)を操業データ管理テーブル17から読み込む(S2)。
さらに予測誤差算出処理部21は、読み込んだ操業データ24と、プロセスモデル抽出処理部20により制御装置3から抽出されたプロセスモデル6とを利用して、そのシミュレーション区間内におけるMIMOプロセス2のプロセス入力PIN及びプロセス出力POUTについての時系列シミュレーションを実行する(S3)。予測誤差算出処理部21は、この時系列シミュレーションにより、シミュレーション区間内における操業データ24のプロセス出力POUTを再現した出力時系列データとをシミュレーション結果として得ることができる。
次いで、予測誤差算出処理部21は、ステップS3で取得した出力時系列データと、ステップS2で操業データ管理テーブル17から読み込んだシミュレーション区間における実際のプロセス出力POUTの時系列データとの差分をそれぞれ求めることにより、プロセスモデル6によるプロセス出力POUTの時系列の予測誤差をそれぞれ算出する。また予測誤差算出処理部21は、算出したプロセスモデル6による個々のプロセス出力POUTの時系列の予測誤差を主記憶装置11(図2)内の所定の記憶領域に書き込む(S4)。
また予測誤差算出処理部21は、このステップS5において、ステップS4で算出したプロセスモデル6によるプロセス出力POUTの時系列の予測誤差のデータと、ステップS3のシミュレーションにより得られた出力時系列データと、ステップS2で操業データ管理テーブル17から読み込んだシミュレーション区間の操業データ24(プロセス入力PIN及びプロセス出力POUTの各時系列データ)とを画面表示用データとして第2の入出力装置8に送信する(S5)。この結果、この画面表示用データに基づいて、図8について後述する予測誤差監視画面30が第2の入出力装置8に表示され、又は、第2の入出力装置8に表示されている予測誤差監視画面30が最新の状態に更新される。
続いて、予測誤差算出処理部21は、ステップS4で算出した個々のプロセス出力POUTの時系列の予測誤差の最小二乗和をそれぞれ算出し、算出したこれらの最小二乗和の少なくとも1つが、これらの最小二乗和に対してそれぞれ予めユーザにより設定された閾値(以下、これらを予測誤差閾値と呼ぶ)以上であるか否かを判断する(S6)。なお、この予測誤差閾値は、プロセス出力POUTに対するプロセスモデル6の予測誤差の許容範囲の最大値であり、個々のプロセス出力POUTの時系列の予測誤差に対してそれぞれ設定される。
そして予測誤差算出処理部21は、この判断で肯定結果を得るとステップS2に戻り、この後、ステップS2で読み込む操業データ24を、最新の操業データ24を含むステップS1で設定したシミュレーション区間分の操業データ24に順次切り替えながら、ステップS2以降の処理を繰り返す。
これに対して、予測誤差算出処理部21は、ステップS6の判断で肯定結果を得ると、アラートを表示すべき旨の通知(以下、これをアラート表示指示通知と呼ぶ)を第2の入出力装置8に送信した後(S7)、ステップS2に戻って、操業データ24を最新のものに切り替えながらステップS2以降の処理を繰り返す。
ここで、図8は、予測誤差算出処理(図7)のステップS5において予測誤差算出処理部21から送信されてきた上述の予測誤差監視画面表示用データに基づいて第2の入出力装置8に表示される予測誤差監視画面30の構成例を示す。この図8に示すように、予測誤差監視画面30は、区間幅表示領域31、操業データ表示領域32、シミュレーションデータ表示領域33、偏差データ時系列表示領域34及びモデル更新アラート表示領域35を備えて構成される。
そして区間幅表示領域31には、現在の日時が表示される。また操業データ表示領域32には、予測誤差算出処理部21が図7のステップS2で操業データ管理テーブルから読み出したそのときのシミュレーション区間の操業データ24に基づいて描画された個々のプロセス入力PIN、個々のプロセス出力POUT及びこれらプロセス出力POUTの目標値9の時間変化を表す波形がそれぞれ表示される。
なお、図8は、MIMOプロセス2へのプロセス入力PIN及びプロセス出力POUTが共に2つである場合の表示例であり、縦軸の左横に「入力1」や「入力2」と記載された波形がそれぞれ対応するプロセス入力PINの時間変化の波形を表し、縦軸の左横に「出力1」や「出力2」と記載された波形がそれぞれ対応するプロセス出力POUTの時間変化の波形を表す。また縦軸の左横に「参照値1」や「参照値2」と記載された波形がそれぞれ対応する目標値9の時間変化を表す波形である。
またシミュレーションデータ表示領域33には、図7のステップS3のシミュレーションにより算出されたシミュレーション区間における個々のプロセス出力POUT(出力時系列データ)の波形がそれぞれ表示され、偏差データ時系列表示領域34には、図7のステップS4において算出されたプロセスモデル6による個々のプロセス出力POUTの予測誤差(偏差データ)の時間変化を表す波形がそれぞれ表示される。
さらにモデル更新アラート表示領域35には、図7のステップS7で予測誤差算出処理部21から上述のアラート表示指示通知が第2の入出力装置8に与えられたときに、予測誤差が大きくなっているためモデル更新を検討すべき旨の警告文(アラート)が表示される。
(1-2-2)モデル更新用データ区間選択部の処理
一方、図9は、プロセスモデル6の更新処理に関連してモデル更新用データ区間選択部22(図3)により実行される一連の処理(以下、これをモデル更新用データ区間選択処理と呼ぶ)の処理手順を示す。モデル更新用データ区間選択部22は、この図9に示す処理手順に従ってプロセスモデル6の更新に用いる操業データ24の区間を選択する。
実際上、モデル更新用データ区間選択部22は、ユーザ操作に応じて第2の入出力装置8からモデル更新用データ区間選択処理の実行命令が与えられるとこの図9のモデル更新用データ区間選択処理を開始する。
そしてモデル更新用データ区間選択部22は、まず、操業データ管理テーブル17に格納されている直近の一定期間分の操業データを読み込み(S10)、読み込んだ操業データ24のうち、目標値9の時系列データを、目標値9が変化している上述の目標値変化区間(図4の区間B,D,F,H,……)と、目標時が一定である上述の目標値一定区間(図4の区間A,C,E,G,……)とに分割する(S11)。
続いて、モデル更新用データ区間選択部22は、各目標値一定区間のプロセス出力POUTの時系列データを操業データ管理テーブル17からそれぞれ読み出し、読み出したこれらプロセス出力POUTの時系列データに基づいて、各目標値一定区間におけるMIMOプロセス2の定常特性のトレンド(傾向変動)を表すトレンド成分をそれぞれ抽出する(S12)。
またモデル更新用データ区間選択部22は、抽出した各目標値一定区間におけるMIMOプロセス2の定常特性のトレンド成分に基づいて、いずれかの目標値一定区間においてMIMOプロセス2の定常特性に傾向変動があるか否か(MIMOプロセス2の定常特性が減少傾向又は増加傾向にあるか否か)を判断する(S13)。そしてモデル更新用データ区間選択部22は、この判断で否定結果を得ると、ステップS18に進む。
一方、ステップS13の判断で肯定結果を得ることは、いずれかの目標値一定区間においてMIMOプロセス2の定常特性が傾向変動していることを意味する。そしてMIMOプロセス2の定常特性が傾向変動している目標値一定区間における当該傾向変動の度合いによっては、その目標値一定区間の操業データ24をモデル更新用データとして利用できる可能性がある。かくして、このときモデル更新用データ区間選択部22は、各目標値一定区間の中から、操業データ24に対する雑音の影響が相対的に少ない目標値一定区間、例えば、MIMOプロセス2の定常特性が雑音と比べて一定以上の大きさ(例えば、MIMOプロセス2の定常偏差の定数倍)だけ変化している目標値一定期間を、その操業データ24をプロセスモデル6の更新に用いる区間の候補として抽出する(S14)。
次いで、モデル更新用データ区間選択部22は、ステップS14で抽出した各目標値一定区間について、その目標値一定区間におけるプロセスモデル6の予測誤差をモデル予測誤差としてそれぞれ算出する(S15)。具体的に、モデル更新用データ区間選択部22は、ステップS14で抽出した各目標値一定区間について、図7のステップS4で予測誤差算出処理部21が主記憶装置11の所定領域に書き込んだプロセスモデル6によるプロセス出力POUTについての時系列の予測誤差の中から、その目標値一定区間の時系列の予測誤差をそれぞれ読み出し、読み出した時系列の予測誤差の最小二乗和をその目標値一定区間のモデル予測誤差として算出する。
そしてモデル更新用データ区間選択部22は、ステップS14で抽出した目標値一定区間の中に、ステップS15で算出したモデル予測誤差の値が、当該モデル予測誤差について予め設定された閾値(以下、これをモデル予測誤差閾値と呼ぶ)以上である目標値一定区間が存在するか否かを判断する(S16)。
この判断で否定結果を得ることは、操業データ24に対する雑音の影響が相対的に少ない目標値一定区間が存在しないことを意味する。かくして、このときモデル更新用データ区間選択部22は、ステップS18に進む。
これに対して、ステップS16の判断で肯定結果を得ることは、操業データ24に対する雑音の影響が相対的に少ない目標値一定区間が存在することを意味する。かくして、このときモデル更新用データ区間選択部22は、ステップS14で抽出した目標値一定区間の中から、ステップS16で肯定結果が得られたすべての目標値一定区間の操業データ24を操業データ管理テーブル17から読み出し、読み出した操業データ24をモデル更新用データとしてモデル更新用データ管理テーブル18に格納する。
続いて、モデル更新用データ区間選択部22は、操業データ管理テーブル17に格納されている各目標値変化区間の操業データ24に基づいて、ステップS15と同様にして、これら目標値変化区間におけるプロセスモデル6の予測誤差をモデル予測誤差としてそれぞれ算出する(S18)。
続いて、モデル更新用データ区間選択部22は、目標値変化区間の中に、ステップS19で算出したモデル予測誤差の値が、当該モデル予測誤差について予め設定された上述のモデル予測誤差閾値以上である目標値変化区間が存在するか否かを判断する(S19)。
この判断で否定結果を得ることは、操業データ24に対する雑音の影響が相対的に少ない目標値変化区間が存在しないことを意味する。かくして、このときモデル更新用データ区間選択部22は、ステップS21に進む。
これに対して、ステップS19の判断で肯定結果を得ることは、操業データ24に対する雑音の影響が相対的に少ない目標値変化区間が存在することを意味する。かくして、このときモデル更新用データ区間選択部22は、目標値変化区間の中から、ステップS19で肯定結果が得られたすべての目標値変化区間の操業データ24を操業データ管理テーブル17から読み出し、読み出した操業データ24をモデル更新用データとしてモデル更新用データ管理テーブル18に格納する(S20)。
この後、モデル更新用データ区間選択部22は、上述のステップS10~ステップS20までの処理により一定量のモデル更新用データを抽出してモデル更新用データ管理テーブル18に格納できたか否かを判断する(S21)。
そしてモデル更新用データ区間選択部22は、この判断で否定結果を得るとステップS10に戻り、この後、ステップS10において操業データ管理テーブル17に新たに格納された操業データ24を含む直近の一定期間分の操業データを読み込みながら、ステップS21で肯定結果を得るまでステップS10~ステップS21の処理を繰り返す。
そしてモデル更新用データ区間選択部22は、やがて一定量以上のモデル更新用データをモデル更新用データ管理テーブル18に格納し終えることによりステップS22で肯定結果を得ると、モデル更新部23を読み出した後に、このモデル更新用データ区間選択処理を終了する。
(1-2-3)モデル更新部の処理
図10は、プロセスモデル6の更新処理に関連してモデル更新部23(図3)により実行される一連の処理(以下、これをモデル更新処理と呼ぶ)の処理手順を示す。モデル更新部23は、この図10に示す処理手順に従って制御装置3(図1)が保持するプロセスモデル6を更新する。なお、以下においては、プロセスモデル6が状態方程式モデルや伝達関数モデルなどの線形モデルであることを前提として説明する。
モデル更新部23は、モデル更新用データ区間選択部22により呼び出されると、この図10に示すモデル更新処理を開始し、まず、現行のプロセスモデル6の表現形式を、次式
Figure 0007288868000001
ここで
Figure 0007288868000002
のような遅れ座標系を用いた発展方程式形式に変換する(S30)。
なお、(1)式において、y(t)は、操業データ24を構成するプロセス出力POUTの時刻tにおける値であり、u(t)は、操業データ24を構成するプロセス入力PINの時刻tにおける値である。またA及びBは、現行のプロセスモデル6から導かれる係数行列である。なお、Aは(dM+dP+P)行(dM+dP+P)列、Bは(dM+dP+P)行M列である。
(1)式の遅れ座標系を用いた発展方程式形式は、元のプロセスモデル6よりも構造が冗長である(たとえば係数行列の次元が大きい)。ゆえに、プロセスモデル6の構造(状態方程式モデルにおける状態ベクトルの次元や伝達関数モデルにおける次数など)の変化に相当するMIMOプロセス2の経年変化が生じた場合においても、発展方程式である(1)式上で上記構造の変化を吸収することができ、後述のようにシンプルな最小二乗法によってモデルを更新することが可能になる。
ここで、プロセスモデル6の発展方程式への変換方法について述べる。(1)式において、A及びBの1行目からP行目は、いわゆるARXモデルの構造と同一である。「Minh Q. Phan, Ryoung K. Lim, and Richard W. Longman, “Unifying
input-output and state-space perspectives of predictive control,” Department of
mechanical and aerospace engineering technical report No.3044, Prenceton
University, 1998.」(以下、これを非特許文献1と呼ぶ)より、プロセスモデル6が離散時間の状態方程式である場合には、これをARXモデルに解析的に変換することができる。プロセスモデル6が離散時間の状態方程式で表されない場合、例えばむだ時間を含む連続時間状態方程式で表される場合には、プロセスモデル6に基づいて入力u(t)をM系列などのテスト信号とした際の出力y(t)の数値シミュレーションを行い、得られたシミュレーションデータからLASSO (Least Absolute Shrinkage and Selection Operator) 回帰などのスパース最適化技法によって、過適合を避けつつARXモデルを同定し、これをA及びBの1行目からP行目とする。なお、A及びBの(P+1)行目から(dM+dP+P)行目の要素は元のプロセスモデル6に依らず0又は1の固定値となるため、計算不要である。
続いて、モデル更新部23は、モデル更新用データ管理テーブル18に格納されている各モデル更新用データの表現形式をそれぞれ遅れ座標系の表現形式に変換する(S31)。
次いで、モデル更新部23は、次式
Figure 0007288868000003
により、MINOモデル2(図1)における係数行列Aの経年変化分であるΔAと、MINOモデル2における係数行列Bの経年変化分であるΔBとをそれぞれ推定する。
なお(2)式において、次式
Figure 0007288868000004
で表現された部分は、各時刻tにおける予測誤差を表し、
Figure 0007288868000005
で表現された部分は、経年変化成分に対する補正項であり、
Figure 0007288868000006
で表現された部分は、スパース性を担保し、かつ過適合を防ぐための項である。ここで(5)式において次式
Figure 0007288868000007
は、行列[ΔA ΔB]のL1又はフロベニウスノルムである。
以下では、ΔA及びΔBの推定手法の目的及び効果を説明し、その後該当するステップS32、ステップS33の処理を記載する。
(5)式の正則化項は、プロセス入力PIN及びPOUTに含まれる観測雑音の影響を抑制し、MIMOプロセス6の経年変化をプロセスモデル2に最大限反映するために必要である。一般に、プロセス入力PINには、M系列などのテスト信号と比べて限られた時間スケールの変動成分しか含まれていない。このため、もし上記正則化項なくしてΔA及びΔBを推定すると、上記変動成分がカバーしていない時間スケールにおいては、MIMOプロセス6の経年変化ではなくPIN及びPOUTに含まれる観測雑音の影響がΔA及びΔBに反映されてしまう。また、POUTに含まれる観測雑音は予測処理部5にフィードバックされPINの決定に用いられることから、もし上記正則化項なくしてΔA及びΔBを推定すると、予測制御処理部5の特性がΔA及びΔBに反映されてしまう。以上より、一般的な(正則化項を含まない)最小二乗法を用いても、MIMOプロセス6の経年変化を正確に表すΔA及びΔBを得ることは難しい。これに対し、(2)式の正則化項を含む最小二乗法では、ΔA及びΔBの要素の大きさに応じたペナルティを設けることで、ΔA及びΔBが上記雑音及び予測処理部5の特性に過適合することを防ぎ、MIMOプロセス6の経年変化を正確に表すΔA及びΔBを得ることが可能になる。
上記のΔA及びΔBの推定に先立ち、モデル更新部23は、まず交差検証により正則化パラメータλを決定する。具体的には、ステップS31で変換された遅れ座標系形式データのうち、2つ以上の相異なる目標値が異なる時刻で変動した際のデータセット、あるいは目標値が変動した際のデータセットと目標値が一定の際のデータセットのペア、のいずれか一方又は両方を用いて、(2)式の交差検証誤差を計算し、これを最小化するλを採用する(S32)。
その後、モデル更新部23は、上記採用した正則化パラメータλを用いて、(2)式に従いΔA及びΔBを推定する(S33)。
以上により、プロセス入力PINのうち特定のバルブや時間スケールに過適合することなく、操業データ24に含まれるMIMOプロセス6の経年変化をΔA及びΔBに最大限反映することが可能になる。
そしてモデル更新部23は、この後、ステップS33で推定したΔA及びΔBを用いて、次式
Figure 0007288868000008
により、プロセスモデル6の更新後のモデル(以下、これを更新モデルと呼ぶ)を生成する(S34)。
ここで、以下において、遅れ座標系及び正則化に関する先行文献の内容と、当該先行文献とモデル更新部23との差異を説明する。
モデル更新部23で用いた遅れ座標系のアイデア自体は、非線形力学系で生じるカオス現象の解析及び制御において従来から広く用いられているものである。「Toshiaki Kawagoshi and Takashi Hikihara, “An Experimental Study on
Stabilization of Periodic Motion in Magneto-Elastic Chaos,” Technical Report of
IEICE, NLP94-80 (1994)」(以下、これを非特許文献2と呼ぶ))、「東野、川越、引原、時間遅れフィードバックを用いた磁気弾性カオスにおける不安定周期軌道の安定化,信学技報,NLP95-11 (1995)」(以下、これを非特許文献3と呼ぶ)、及び「Takashi Hikihara and Toshiaki Kawagoshi, “An experimental study on stabilization
of unstable periodic motion in magneto-elastic chaos,” Physics Letters A, Vol.211,
pp.29-36 (1996).」(以下、これを非特許文献4と呼ぶ)では、磁気弾性振動系において、振子の変位の測定値を時間的に遅れさせてフィードバックすること (遅延フィードバック) により、振子のカオス振動を安定化している。
また、「Takashi Hikihara and Yoshisuke Ueda, “An expansion of system with
time delayed feedback control to spatio-temporal state space,” Chaos, Vol. 9,
No. 4, pp. 887-892 (1999).」(以下、これを非特許文献5と呼ぶ)では、遅れを含む非線形力学系が、当該遅れと等しい時間幅を有する時間区間(以下、有限遅れ区間と呼ぶ)における連続な状態とその離散時間発展からなる無限次元位相空間に写像できること、及び、遅れを伴う非線形力学系の解挙動が、有限遅れ区間における関数の時間発展(波動)の収束性の問題として置き換えられることを述べている。すなわち、遅延フィードバックされた非線形力学系の制御による安定化は、上記有限遅れ区間における関数が示す波動解の安定性を担保することと等価である。この等価性は、上記プロセスモデル6の変換の前後において、安定性などの力学的性質が保存されることと対応しており、上記変換の理論的な妥当性を示唆するものである。(本段落に記載した公知文献の内容については、京都大学工学研究科教授 引原隆士先生よりご指導頂いた内容を基に記載した。)
さらに、近年では、データに基づく非線形力学系の解析及び制御において、遅れ座標系の適用が進んでいる。例えば、「Yoshihiko Susuki, Kyoichi Sako, and Takashi Hikihara, “On the Spectral Equivalence of Koopman Operators through Delay
Embedding,” arXiv preprint, arXiv:1706.01006, 2017.」(以下、これを非特許文献6と呼ぶ)では、遅れ座標系による変換の前後で、非線形自励力学系のスペクトルが保存することを示している。これは、上記プロセスモデル6の変換の理論的な妥当性を示唆するものである(ただし、プロセスモデル6は線形非自励系であり、非特許文献6で対象とする非線形自励系とは異なるため、一般的な妥当性ではないことに注意する)。上記アイデアの応用として、「Yoshihiko Susuki and Kyoichi Sako, “Data-Based Voltage Analysis of Power Systems via Delay Embedding
and Extended Dynamic Mode Decomposition,” IFAC-PapersOnLine, Vol.51, No.28,
pp.221-226, 2018.」(以下、これを非特許文献7と呼ぶ)では、電力系統の非線形状態方程式モデルにおいて、単一箇所の電圧しか観測できない場合でも、遅れ座標系を用いると上記状態方程式モデルのスペクトルが計算できることを示している。
一方、モデル更新部23では、上述のように遅れ座標系を用いてプロセスモデル6の構造の変化を吸収することを目的としている。すなわち、プロセスの経年変化を反映するようプロセスモデルを更新するという問題に対し、固有の遅れ座標系適用技法を考案した点が、上述の非特許文献1~7に記載の研究とモデル更新部23との差異である。
また、遅れ座標系においてモデルを同定するアイデア自体も広く知られており、「Milan Korda and Igor Mezic, “Linear predictors for nonlinear
dynamical systems: Koopman operator meets model predictive control,”
Automatica, Vol.93, pp.149-160, 2018.」(以下、これを非特許文献8と呼ぶ)や、「Lennart Ljung, “System Identification,” in A. Prochazka, J. Uhlir,
P. W. J. Rayner, N. G. Kingsbury (eds), Signal Analysis and Prediction: Applied
and Numerical Harmonic Analysis, Birkhauser, Boston, MA, pp. 163-173, 1998.」(以下、これを非特許文献9と呼ぶ)では(2)式と類似した同定手法が提案されている。上記アイデアは、本実施例の文脈で言うと、プロセス入力PINがM系列などのテスト信号である場合において操業データ24を用いてA+ΔA及びB+ΔBを同定することに相当する。しかしながら、上述の通りプロセス入力PINには、M系列などのテスト信号と比べて限られた時間スケールの変動成分しか含まれていないことから、非特許文献8及び9に記載の手法で直接A+ΔA及びB+ΔBを同定することは難しく、ステップS32及びS33の処理が必要となる。
ステップS32及びS33で用いた正則化は、少量データにおけるシステム同定問題においてしばしば用いられる技法である。例えば、「Alexandre Mauroy and Jorge Goncalves, “Koopman-based lifting
techniques for nonlinear systems identification,” IEEE Transaction on Automatic
Control, 2019 (Published Online).」(以下、これを非特許文献10と呼ぶ)では、非線形力学系の同定において、データのサンプル数が少ない場合にL1正則化が有効であることを示している。しかしながら、(5)式のλに相当する正則化パラメータの決定手法に関して特段の記載はない。
一方、モデル更新部23では、(2)式について上述したように、ステップS31で変換された遅れ座標系形式データから交差検証により自動的に正則化パラメータを算出する。すなわち、MPCの制御下にあるMIMOプロセスのモデル更新という問題に固有の正則化パラメータ決定手法を考案した点が、非特許文献10とモデル更新部23の差異である。
続いて、モデル更新部23は、かかる更新モデルの生成に利用した操業データ24(プロセス入力PIN及びプロセス出力POUTの時系列データ)と、更新モデルのデータとを第2の入出力装置8(図1)に送信することにより、図11について後述するモデル更新用データ及び更新用モデル表示画面40を第2の入出力装置8に表示させる(S35)。
またモデル更新部23は、このモデル更新用データ及び更新用モデル表示画面30上でユーザがプロセスモデル6の更新を承認する操作を行ったか否かを判断する(S36)。そしてモデル更新部23は、モデル更新用データ及び更新用モデル表示画面40上でユーザがプロセスモデル6の更新を拒否する操作を行ったことを確認した場合には、このモデル更新処理を終了する。
これに対して、モデル更新部23は、モデル更新用データ及び更新用モデル表示画面40上でユーザがプロセスモデル6の更新を承認する操作を行ったことを確認した場合には、ステップS34で生成した更新用モデルを、制御装置3内のプロセスモデル6に適合した形式に変換し(S37)、変換後の更新モデルをそのとき制御装置3が保持するプロセスモデル6と置き換えるようにして、制御装置3のプロセスモデル6を更新する(S38)。そしてモデル更新部23は、この後、このモデル更新処理を終了する。
なお上述のモデル更新用データ及び更新用モデル表示画面40の具体的な構成例を図11に示す。この図11に示すように、モデル更新用データ及び更新用モデル表示画面40は、モデル更新用データ表示領域41及びスペクトル表示領域42と、はいボタン43、いいえボタン44及び更新取り消しボタン45とを備えて構成される。
そしてモデル更新用データ表示領域41には、モデル更新部23から送信されてきた上述の更新モデルの生成に利用した個々のプロセス入力PIN及び個々のプロセス出力POUTの時系列データに基づくこれらプロセス入力PIN及びプロセス出力POUTの時間変化を表す各波形がそれぞれ表示される。
なお図11は、更新モデルの生成に利用したプロセス入力PIN及びプロセス出力POUTがそれぞれ2つずつである場合の表示例であり、縦軸の左横に「入力1」や「入力2」と記載された波形がそれぞれ対応するプロセス入力PINの時間変化の波形を表し、縦軸の左横に「出力1」や「出力2」と記載された波形がそれぞれ対応するプロセス出力POUTの時間変化を表す波形である。
またスペクトル表示領域42には、モデル更新用データ、現行のプロセスモデル6及び更新モデルの各特徴量として、モデル更新用データに対するスペクトル解析の解析結果を表す2次元座標42Aと、現行のプロセスモデル6に対するスペクトル解析の解析結果を表す2次元座標42Bと、更新モデルに対するスペクトル解析の解析結果を表す2次元座標42Cとがそれぞれ表示される。
そしてモデル更新用データ及び更新用モデル表示画面40において、ユーザは、はいボタン43をクリックすることにより、制御装置3(図1)が保持するプロセスモデル6を、そのときスペクトル解析結果がスペクトル表示領域42に表示された更新用モデルに更新することを承認することができる。この場合、その旨の通知が第2の入出力装置8からモデル更新装置4のモデル更新部23に与えられ、この通知に基づいて図10のステップS35で肯定結果を得たモデル更新部23が、プロセスモデル6を更新モデルに置き換えるようにしてプロセスモデル6の更新を行う。
またユーザは、いいえボタン44をクリックすることにより、かかるプロセスモデル6をその更新用モデルに更新することを拒否することができる。この場合、その旨の通知が第2の入出力装置8からモデル更新装置4のモデル更新部23に与えられ、この通知に基づいて図10のステップS35で否定結果を得たモデル更新部23が、プロセスモデル6を更新することなくモデル更新処理を終了する。
さらにユーザは、更新取消しボタン45をクリックすることにより更新直後のプロセスモデル6のその更新を取り消すこともできる。この場合、その旨の通知が第2の入出力装置8からモデル更新装置4のモデル更新部23に与えられ、この通知に基づいてモデル更新部23が、更新直後のプロセスモデル6を更新前のプロセスモデル6に戻す処理を実行する。
(1-3)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態のプロセス制御システム1では、テスト信号を用いることなくプロセスモデル6の更新を行うことができるため、テスト信号を利用することに起因する操業上の利益損失が発生したり、プラントの操業規約に反することなく、MIMOプロセス2の経時変化を反映した状態にプロセスモデル6を更新することができる。
また本プロセス制御システム1では、ユーザが自らモデルを更新することができるため、MPCベンダのサポート回数を減らすことができ、その分、システムのメンテナンスに要する労力や時間及び金銭コストを大幅に削減することができる。
さらに本実施の形態のプロセスモデル6の更新方法では、テスト信号自動生成器(テスタ)及びMPCを一体したような特別な装置を必要とせず、また図10のステップS36について上述したようにモデル更新装置4のモデル更新部23が最終的な更新モデルの形式をプロセスモデル6の形式に変更するため、プロセスモデル6の形式に係りなく、MPCが導入されている既存のプラント(図1において第1の入出力装置7、制御装置3及びMIMOプロセス2から構成されるプラント)に容易に適用することができる。
従って、本実施の形態によれば、モデル更新に要する労力や時間及び金銭コストを大幅に削減しながら、操業上の利益損失を生じさせることなく、かつ既存のシステム予測制御が導入されているプラントにも容易に適用可能なプロセス制御システム1を実現することができる。
また本プロセス制御システム1では、図11について上述したように、更新モデルの特徴量や、更新モデルの生成に利用した操業データ24が表示されるため、これらの情報を用いてユーザがプロセスモデル6の更新の要否や可否を容易に判断することができる。
(2)第2の実施の形態
図1との対応部分に同一符号を付した図12は、第2の実施の形態に係るプロセス制御システム50のシステム構成を示す。このプロセス制御システム50において、モデル更新装置51には、初期プロセス動特性データ52が入力される。初期プロセス動特性データ52は、プロセスモデル6の同定に用いられるデータある。例えば、初期プロセス動特性データ52は、制御装置3の導入時におけるMIMOプロセス2の周波数応答特性などの動特性(MIMOプロセス2の初期時の動特定)に関する情報か、制御装置3の導入時におけるテストデータ(MIMOプロセス2の初期時のテストデータ)のいずれか一方又は両方を用いることができる。
モデル更新装置51は、プロセスモデル6を抽出する代わりに初期プロセス動特性データ52を用いることにより、MIMOプロセス2の経時変化をプロセスモデル6に反映させる。これにより制御装置3のベンダの保守サービスが、プロセスモデル6の抽出及び予測制御アルゴリズムの抽出に必要となる場合においても、モデル更新にかかる保守サービスの回数を抑制し、モデル更新のコストを低減することが可能となる。
図13は、本実施の形態のモデル更新装置51の論理構成を示す。モデル更新装置51のハードウェア構成は、第1の実施の形態のプロセスモデル抽出処理部20(図3)に代えて、システム同定処理部53が設けられている点を除いて、図3について上述した第1の実施の形態のモデル更新装置4と同様である。
システム同定処理部53は、主記憶装置11(図2)に格納された図示しないシステム同定処理プログラムをCPU10(図2)が実行することにより具現化される機能部であり、初期プロセス動特性データ52から初期のプロセスモデル6を生成する。なお、システム同定処理部53は、部分空間法などの同定手法により、初期のプロセスモデル6を生成することができる。
以上のように本実施の形態では、モデル更新装置51が制御装置4からプロセスモデル6を抽出する代わりに初期プロセス動特性データ52を用いて初期のプロセスモデル6を生成し、生成したプロセスモデル6を用いてMIMOプロセス2の経時変化が反映された更新用モデルを生成する。従って、本実施の形態のモデル更新装置51によれば、第1の実施の形態と同様に、制御装置4が保持するプロセスモデル6をMIMOモデル2の経時変化を反映させた状態に更新することができ、かくして第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(3)他の実施の形態
なお上述の第1及び第2の実施の形態においては、プロセスモデル6と更新用モデルとの形式が異なる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、発展方程式形式の更新用モデルをそのままプロセスモデル6として利用できるように制御装置3を構築するようにしてもよい。このようにすることによりモデル更新部23の負荷を低減することができる。
また上述の第1及び第2の実施の形態においては、プロセスモデル抽出処理部20、予測誤差算出処理部21、モデル更新用データ区間選択部22、モデル更新部23及びシステム同定処理部53をソフトウェア構成とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらの一部又は全部を専用のハードウェアにより構成するようにしてもよい。
さらに上述の第1及び第2の実施の形態においては、対象プロセスであるMIMOプロセス2の操業データ24のデータ形式を遅れ座標形式に変換する変換部と、遅れ座標形式に変換された操業データ24について正則化項を含む回帰問題を解くことにより、MIMOプロセス2の経年変化情報が反映された更新モデルを生成する更新モデル生成部と、更新モデル生成部により生成された更新モデルと置き換えるようにして制御装置3のプロセスモデル6を更新するモデル更新部とを1つのモデル更新部23により構築するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら更新部、更新モデル生成部及びモデル更新部をそれぞれ別個に設けるようにしてもよい。
(謝辞)
京都大学工学研究科教授 引原隆士先生、大阪府立大学工学研究科准教授 薄良彦先生には、〔0092〕から〔0096〕にかけての遅れ座標系及び正則化に関する先行文献の内容について、貴重なご助言を賜った。ここに謝意を表する。
本発明は、プロセス予測制御における対象プロセスのモデルを更新する種々のモデル更新装置に広く適用することができる。
1,50……プロセス制御システム、2……MIMOプロセス、3……制御装置、4,51……モデル更新装置、5……予測制御処理部、6……プロセスモデル、7,8……入出力装置、9……目標値、10……CPU、17……操業データ管理テーブル、18……モデル更新用データ管理テーブル、20……プロセスモデル抽出処理部、21……予測誤差算出処理部、22……モデル更新用データ区間選択部、23……モデル更新部、30……予測誤差監視画面、40……モデル更新用データ及び更新用モデル表示画面、52……初期プロセス動特性データ、53……システム同定処理部、PIN……プロセス入力、POUT……プロセス出力。

Claims (17)

  1. プロセス予測制御における対象プロセスのモデルを更新するモデル更新装置において、
    前記対象プロセスの操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する変換部と、
    前記遅れ座標形式に変換された前記操業データについて正則化項を含む回帰問題を解くことにより、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する更新モデル生成部と、
    前記更新モデル生成部により生成された前記更新モデルと置き換えるようにして前記モデルを更新するモデル更新部と
    を備えることを特徴とするモデル更新装置。
  2. 前記操業データに対する雑音の影響が相対的に少ない区間を選択し、選択した前記区間内の前記対象プロセスの前記操業データを抽出するモデル更新用データ区間選択部をさらに備え、
    前記変換部は、
    前記モデル更新用データ区間選択部により抽出された前記操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモデル更新装置。
  3. モデル更新用データ区間選択部は、
    前記操業データに対する前記雑音の影響が相対的に少ない区間として、前記対象プロセスの出力の目標値が雑音と比べて一定以上の大きさだけ変化した区間を選択する
    ことを特徴とする請求項2に記載のモデル更新装置。
  4. モデル更新用データ区間選択部は、
    前記対象プロセスの出力の目標値は変化していないものの、前記対象プロセスの定常特性が当該対象プロセスの定常偏差と比べて一定以上の大きさだけ傾向変動した区間をさらに選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載のモデル更新装置。
  5. 更新モデル生成部は、
    前記目標値のうち2つ以上の相異なる値が異なる時刻で変動した際のデータセット、又は、目標値が変動した際のデータセットと目標値が一定の際のデータセットのペアのいずれか一方又は両方を用いて交差検証を行うことにより、前記正則化項における正則化パラメータを決定する
    ことを特徴とする請求項4に記載のモデル更新装置。
  6. 前記モデル及び前記操業データを用いて前記対象プロセスのシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの結果と、前記操業データとに基づいて前記モデルの予測誤差を算出し、算出した予測誤差が閾値以上のときに、ユーザにアラートを提示する予測誤差算出処理部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のモデル更新装置。
  7. 前記更新モデル生成部は、
    前記更新モデルの生成に利用した前記操業データと、前記更新モデルの特徴量とを表示する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモデル更新装置。
  8. 前記対象プロセスの初期時の動特定に関する情報と、前記対象プロセスの初期時のテストデータとの少なくとも一方からなる初期時プロセス動特性データに基づいて、前記対象プロセスの初期の前記モデルを生成するシステム同定処理部をさらに備え、
    前記更新モデル生成部は、
    前記システム同定処理部により生成された前記モデルに基づいて、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモデル更新装置。
  9. プロセス予測制御における対象プロセスのモデルを更新するモデル更新装置により実行されるモデル更新方法であって、
    前記対象プロセスの操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する第1のステップと、
    前記遅れ座標形式に変換した前記操業データについて正則化項を含む回帰問題を解くことにより、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する第2のステップと、
    生成した前記更新モデルと置き換えるようにして前記モデルを更新する第3のステップと
    を備えることを特徴とするモデル更新方法。
  10. 前記操業データに対する雑音の影響が相対的に少ない区間を選択し、選択した前記区間内の前記対象プロセスの前記操業データを抽出するモデル更新用データ区間選択ステップをさらに備え、
    前記第1のステップでは、
    前記モデル更新用データ区間選択ステップで抽出した前記操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する
    ことを特徴とする請求項9に記載のモデル更新方法。
  11. モデル更新用データ区間選択ステップでは、
    前記操業データに対する前記雑音の影響が相対的に少ない区間として、前記対象プロセスの出力の目標値が雑音と比べて一定以上の大きさだけ変化した区間を選択する
    ことを特徴とする請求項10に記載のモデル更新方法。
  12. モデル更新用データ区間選択ステップでは、
    前記対象プロセスの出力の目標値は変化していないものの、前記対象プロセスの定常特性が当該対象プロセスの定常偏差と比べて一定以上の大きさだけ傾向変動した区間をさらに選択する
    ことを特徴とする請求項11に記載のモデル更新方法。
  13. 前記第2のステップでは、
    前記目標値のうち2つ以上の相異なる値が異なる時刻で変動した際のデータセット、又は、目標値が変動した際のデータセットと目標値が一定の際のデータセットのペアのいずれか一方又は両方を用いて交差検証を行うことにより、前記正則化項における正則化パラメータを決定する
    ことを特徴とする請求項12に記載のモデル更新方法。
  14. 前記モデル及び前記操業データを用いて前記対象プロセスのシミュレーションを実行し、前記シミュレーションの結果と、前記操業データとに基づいて前記モデルの予測誤差を算出し、算出した予測誤差が閾値以上のときに、ユーザにアラートを提示する予測誤差算出処理ステップをさらに備える
    ことを特徴とする請求項9に記載のモデル更新方法。
  15. 前記第2のステップでは、
    前記更新モデルの生成に利用した前記操業データと、前記更新モデルの特徴量とを表示する
    ことを特徴とする請求項9に記載のモデル更新方法。
  16. 前記対象プロセスの初期時の動特定に関する情報と、前記対象プロセスの初期時のテストデータとの少なくとも一方からなる初期時プロセス動特性データに基づいて、前記対象プロセスの初期の前記モデルを生成するシステム同定処理ステップをさらに備え、
    前記第2のステップでは、
    生成した前記モデルに基づいて、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する
    ことを特徴とする請求項9に記載のモデル更新方法。
  17. 対象プロセスを制御するプロセス制御システムにおいて、
    前記対象プロセスのモデルを保持し、当該モデルを用いて予測した目標値に対する前記対象プロセスの出力値の誤差が最小化されるように前記対象プロセスに対する入力値を算出し、算出した前記入力値を前記対象プロセスに入力するようにして当該対象プロセスを制御する制御装置と、
    前記制御装置が保持する前記モデルを更新するモデル更新装置と
    を有し、
    前記モデル更新装置は、
    前記対象プロセスの操業データのデータ形式を遅れ座標形式に変換する変換部と、
    前記遅れ座標形式に変換された前記操業データについて正則化項を含む回帰問題を解くことにより、前記対象プロセスの経年変化情報が反映された更新モデルを生成する更新モデル生成部と、
    前記更新モデル生成部により生成された前記更新モデルと置き換えるようにして前記モデルを更新するモデル更新部と
    を備える
    ことを特徴とするプロセス制御システム。
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