(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の超音波診断システムの構成を示す図である。
本実施形態の超音波診断システム100は、超音波診断装置200と、端末装置300とを有する。超音波診断装置200と、制御装置300とは、無線通信を行う。
はじめに、本実施形態の超音波診断装置200について説明する。本実施形態の超音波診断装置200は、探触子230を含む超音波画像取得部210と、本体部220と、を有する。
本実施形態の超音波画像取得部210は、探触子230と、画像処理部240とを有する。
探触子230は、複数の振動子がアレー状に配置された振動子アレー231を有する。本実施形態の探触子230は、振動子アレー231において、送信開口及び受信開口として選択される振動子を順次切り替えることで、超音波の送信と、生体によって反射された超音波の反射波の受信とを行う。探触子230の詳細は後述する。
画像処理部240は、制御部241、パルサ・スイッチ部242、AMP(amplifier)・ADC(analog to digital converter)部243、デジタル信号処理部244を有し、探触子230から超音波を送信させ、探触子230が受信した反射波(超音波)に基づく超音波画像データを生成し、本体部220に出力する。
制御部241は、超音波診断装置200の全体を制御する。また、制御部241は、I2C(I-squared-C)等によって、コネクタ247と接続されている。本体部220から出力された信号は、コネクタ247を介して制御部241に入力される。
また、本実施形態の制御部241は、超音波診断装置200に対して、測定を開始する操作又は測定を停止する操作に応じて、AMP・ADC部243において、デジタル信号に変換するチャネル数を変更する。制御部241の詳細は後述する。
パルサ・スイッチ部242は、スイッチ部により探触子230を選択してパルス信号を探触子230に送信して、探触子230から超音波を生体Pに照射させる。
生体Pは、超音波が照射されると、音響インピーダンスが異なる境界においてその超音波を反射する。生体Pから反射された反射波は、探触子230によって受信され、パルサ・スイッチ部242のスイッチ部により選択されたAMP・ADC部243に出力される。
AMP・ADC部243は、パルサ・スイッチ部242から出力された超音波の反射波を、アンプ(AMP)により増幅して、ADCによりデジタル信号に変換して、デジタル信号処理部244に出力する。
デジタル信号処理部244は、AMP・ADC部243から出力されたデジタル信号に対して各種の処理を行って、超音波画像データを取得し、コネクタ247を介して本体部220へ出力する。
具体的には、デジタル信号処理部244で行われる処理は、パルサ・スイッチ部242から反射波が出力されたタイミングからの遅延分を揃える処理、平均化(整相加算)処理、生体P内での減衰を加味したゲイン補正処理、輝度情報を取り出す為の包絡線処理等を含む。
デジタル信号処理部244は、SPI(Serial Peripheral Interface)等によって、コネクタ247と接続されており、SPIによって超音波画像データを本体部220へ送信する。
本実施形態の本体部220は、通信部221と、電源部222と、を有し、コネクタ247を介して超音波画像取得部210と接続される。
通信部221は、端末装置300との通信を行う。具体的には、通信部221は、例えば、端末装置300と、Wi-Fi等の規格に応じた無線通信を行う。尚、無線通信に用いられる規格は、Wi-Fiに限定されず、他の規格であっても良い。
通信部221は、コネクタ247と接続されており、端末装置300から送信された信号を受信する。具体的には、通信部221は、例えば、超音波の照射指示等を端末装置300から受信する。
また、本実施形態の通信部221は、超音波画像取得部210から出力された信号を端末装置300へ送信する。具体的には、通信部221は、端末装置300へ超音波画像データを送信する。
電源部222は、例えば、充放電可能な二次電池等であり、超音波診断装置200の各部に電力を供給する。
このように、本実施形態の超音波診断装置200では、超音波画像取得部210によって超音波画像データがデジタル化された後に、デジタル信号として本体部220に出力される。言い換えれば、本実施形態によれば、超音波画像取得部210と本体部220との間で、受け渡しが行われる超音波画像データは、デジタル信号(デジタルデータ)となる。
次に、本実施形態の端末装置300について説明する。本実施形態の端末装置300は、CPU(Central Processing Unit)310、通信部311、メモリ312、ディスプレイ313を有する。
CPU310は、端末装置300の全体の動作を制御する。通信部311は、超音波診断装置200から送信された信号を受信する。具体的には、通信部311は、超音波診断装置200から送信される超音波画像データを受信する。
メモリ312は、通信部311が受信した超音波画像データや、CPU310による演算の結果のデータ等が格納される。
ディスプレイ313は、超音波診断装置200から受信した超音波画像データ等が表示される。ここで、ディスプレイ313に表示される超音波画像データは、超音波診断装置200による生体Pの走査中に取得される動画の超音波画像データと、超音波診断装置200による生体Pの走査が停止されたときに取得される静止画の超音波画像データである。
尚、本実施形態の端末装置300は、例えば、タブレット型の端末装置であっても良く、その場合には、ディスプレイ313は、タッチパネル等を備えるものになる。
本実施形態の超音波診断システム100では、超音波診断装置200から、無線通信によって、超音波画像データを端末装置300へ送信する。したがって、本実施形態によれば、超音波診断装置200を生体Pに走査させる際に、超音波診断装置200の操作者の動きが通信用のケーブル等によって制限されることがない。
次に、図2を参照して、本実施形態の探触子230について説明する。図2は、第一の実施形態の探触子について説明する図である。
本実施形態の探触子230は、振動子アレー231を有する。振動子アレー231は、一列に配列された、N個の振動子232-1~振動子232-Nを有する。
本実施形態では、送信開口及び受信開口とされる振動子232を順次選択することで、送信開口及び受信開口を振動子アレー231上で移動させ、超音波による生体Pの走査を実現する。
具体的には、例えば、探触子230は、矢印Yが示す方向に向かって、左端の振動子232-1から所定個数の振動子232を送信開口及び受信開口として選択し、選択する所定個数の振動子232を振動子232-Nまで順次切り替えていけば良い。
本実施形態の探触子230では、送信開口となる振動子232が受信開口も兼ねる。つまり、本実施形態では、送信開口とされた振動子232が超音波を出力すると、これらの振動子232が受信開口として、反射波を受信し、反射波に基づいて生成された信号を出力する。
本実施形態の超音波診断装置200では、探触子230による生体Pの走査が行われている間は、受信開口となる振動子232から出力された信号のうち、一部の信号に基づき超音波画像を取得する。また、本実施形態では、探触子230による生体Pの走査が停止されたときは、受信開口となる全ての振動子232から出力される信号に基づく超音波画像を取得する。
探触子230による生体Pの走査が行われている間は、超音波診断装置200から出力される超音波画像は、走査に応じた動画となる。また、探触子230による生体Pの走査が停止された場合は、超音波診断装置200から出力される超音波画像は、静止画となる。
したがって、以下の説明では、探触子230による生体Pの走査が行われている間の超音波診断装置200の動作モードを、動画モードと呼び、探触子230による生体Pの走査が停止された場合の超音波診断装置200の動作モードを静止画モードと呼ぶ。
また、以下の説明では、超音波診断装置200を動画モードとして超音波画像(動画)を取得することを、生体Pを超音波により走査することと同義とし、超音波診断装置200を静止画モードとして超音波画像(静止画)を取得することを、生体Pの走査(測定)を停止することと同義とする。
本実施形態では、動画モードにおいて、受信開口となる振動子232のうち、第一の数の振動子232により生成された信号に基づく超音波画像を取得する。この第一の数は、静止画モードにおいて、受信開口となる振動子232の数(第二の数)よりも少なくする。
具体的には、例えば、本実施形態では、動画モードにおける第一の数を4つとし、静止画モードにおける第二の数を8つとする。
本実施形態では、このように、動作モードに応じて、受信開口とされた振動子232かから出力される信号から、超音波画像の生成に用いる信号を選択することで、静止画モードにおいて取得される超音波画像の画質を維持し、且つ、動画モードで動作する場合の消費電力を削減することができる。
尚、本実施形態では、動画モード及び静止画モードの両方において、送信開口及び受信開口となる振動子232の数は、8つとした。
また、本実施形態では、動画モードにおいて、送信開口及び受信開口となる振動子232のうち、中央部分に配列された4つの振動子232から出力される信号が選択されるものとした。
次に、図3を参照して、本実施形態の制御部241と、AMP・ADC部243と、デジタル信号処理部244について説明する。
図3は、第一の実施形態の制御部と、AMP・ADC部と、デジタル信号処理部とを説明する図である。
本実施形態の制御部241は、係数生成部250を有する。制御部241は、走査の開始又は停止を示す信号S11に基づき、係数生成部250により、受信開口となる振動子232が生成した信号を選択するための係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243と、デジタル信号処理部244へ出力する。
係数信号S12は、二値の信号であり、送信開口及び受信開口となる振動子232と対応する係数S1~S8を含む信号である。本実施形態では、送信開口及び受信開口となる振動子232の数を8つとした。
係数S1と係数S8は、送信開口及び受信開口として選択される8つの振動子232の両端と対応しており、係数S4と係数S5は、選択される振動子232の配列において、中央部分に位置する振動子232と対応している。
AMP・ADC部243は、係数信号S12の係数S1~S8と対応するAMP・ADC部243-1~AMP・ADC部243-8を有し、AMP・ADC部243-1~AMP・ADC部243-8のそれぞれに対し、係数S1~S8の値が入力される。
本実施形態では、AMP・ADC部243は、値が「1」の係数Snと対応するAMP・ADC部243に対して電源を供給し、振動子232から出力される信号を増幅して、デジタル信号に変換し、デジタル信号処理部244へ出力する。
また、本実施形態では、値が「0」の係数Snと対応するAMP・ADC部243に対しては電源の供給を行わない。したがって、値が「0」の係数Snと対応する振動子232から出力される信号は無効とされる。
つまり、本実施形態では、係数S1~S8のうち、値が「1」の係数Snと対応する振動子232から出力される信号が選択されて、超音波画像が生成される。
デジタル信号処理部244は、遅延調整部251と、整相加算部252とを有する。遅延調整部251は、AMP・ADC部243によりデジタル信号に変換された超音波画像データを同期させる。
整相加算部252は、係数信号S12の係数S1~S8と対応する乗算器253-1~253-8と、加算器254とを有する。乗算器253-1~253-8は、遅延調整部251から出力された信号と、乗算器253-nのそれぞれに対応した係数Snとを乗算する。加算器254は、乗算器253-nによって乗算された結果を加算する。
デジタル信号処理部244では、値が「1」の係数Snと対応する乗算器253に対しては、AMP・ADC部243から出力される値が入力され、係数Snと乗算される。また、デジタル信号処理部244では、値が「0」の係数Snと対応する乗算器253に対しては、AMP・ADC部243からの信号は入力されず、無効となる。
したがって、本実施形態では、係数信号S12において、値が「1」の係数Snと対応する振動子232から出力された信号に基づき生成された超音波画像データが出力される。
本実施形態の制御部241は、信号S11が走査の開始を示す場合には、動画モードとなるため、係数S1から係数S8のうち、4つの係数を「1」とする係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243とデジタル信号処理部244へ出力する。
このとき、本実施形態では、8つの振動子232の中央部分に位置する振動子232と対応する係数Snが「1」とされることが好ましい。具体的には、係数S3~S6を「1」とし、係数S1、S2、S7、S8を「0」とすることが好ましい。
AMP・ADC部243は、この係数信号S12が入力されると、AMP・ADC部243-3~243-6のみに電源が供給され、パルサ・スイッチ部242から入力される信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号処理部244へ出力する。
デジタル信号処理部244では、乗算器253-3~253-6に対して「1」が入力され、他の乗算器には「0」が入力される。
したがって、加算器254は、乗算器253-3~253-6による乗算結果を加算し、超音波画像データとして出力する。つまり、ここでは、4つの振動子232から出力された信号に基づく超音波画像データが出力される。
また、制御部241は、信号S11が走査の停止を示す場合には、静止画モードとなるため、係数S1から係数S8の全てを「1」とする係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243とデジタル信号処理部244に出力する。
AMP・ADC部243は、この係数信号S12が入力されると、AMP・ADC部243-1~243-8に電源が供給される。AMP・ADC部243-1~243-8は、ルサ・スイッチ部242から入力される信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号処理部244へ出力する。
デジタル信号処理部244では、乗算器253-1~253-8に対して「1」が入力さる。したがって、加算器254は、乗算器253-1~253-8による乗算結果を加算し、超音波画像データとして出力する。つまり、ここでは、8つの振動子232から出力された信号に基づく超音波画像データが出力される。
また、本実施形態の制御部241は、係数S1から係数S8の全てを「1」とする係数信号S12を生成した後に、係数S1~S8の全てを「0」とした係数信号S12を生成して出力する。
AMP・ADC部243は、係数S1~S8が全て「0」の係数信号S12が入力されると、AMP・ADC部243-1~243-8への電源の供給を遮断する。したがって、AMP・ADC部243からデジタル信号は出力されない。つまり、本実施形態では、超音波診断装置200が静止画モードとされた後は、超音波画像データは取得されない。
このように、本実施形態によれば、超音波診断装置200による生体Pの走査を停止して超音波画像を取得する場合のみ、8つ(第二の数)の振動子232から出力される信号に基づく超音波画像を取得する。よって、本実施形態によれば、走査中の超音波画像と比べて、静止画の超音波画像の画質を向上させることができる。
また、本実施形態では、動画モードでは、送信開口及び受信開口となる振動子232の中央部分に配列された4つの振動子232から出力される信号に基づく超音波画像データを取得する。このため、本実施形態によれば、信号レベルが大きい超音波(反射波)を受信する振動子232から出力される信号を選択することになり、動画モードにおいても比較的良好な超音波画像を取得することができる。
さらに、本実施形態では、超音波診断装置200の走査中は、4つのAMP・ADC部243しか動作させないため、消費電力を削減することができる。
また、本実施形態によれば、超音波診断装置200の走査が停止されて、医師等により超音波画像の確認等が行われている間は、新たな超音波画像を取得しないため、消費電力の削減に貢献できる。
言い換えれば、本実施形態の超音波診断装置200は、生体の走査中は、探触子230の有する複数の振動子のうち、第一の数の振動子により受信した超音波信号に基づき取得した超音波画像データを端末装置300へ出力する。そして、本実施形態の超音波診断装置200は、生体の走査が終了した後は、探触子230の有する複数の振動子のうち、第一の数よりも多い第二の数の振動子により受信した超音波信号に基づき取得した超音波画像データを端末装置300へ出力する。
以下に、図4及び図5を参照して、本実施形態の制御部241の動作をさらに説明する。図4は、第一の実施形態の超音波診断装置の制御部の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の制御部241は、超音波診断装置200に対して、超音波画像による被検体の走査の開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。言い換えれば、本実施形態の制御部241は、信号S11が走査の開始を示すか否かを判定する。
尚、超音波診断装置200には、例えば、筐体に走査の開始/停止を指示するためのボタン等が設けられていても良く、このボタンが押下されるごとに、走査の開始/停止を示す信号S11が制御部241に入力されても良い。
ステップS401において、走査の開始の指示を受け付けない場合、制御部241は、指示を受け付けるまで待機する。
ステップS401において、走査の開始の指示を受け付けると、制御部241は、係数生成部250により、係数S3~S6の値を「1」、係数S1、S2、S7、S8の値を「0」とした係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ出力する(ステップS402)。
続いて、制御部241は、走査の停止の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS403)。言い換えれば、制御部241は、走査停止を示す信号S11が入力されたか否かを判定する。
ステップS403において、走査の停止の指示を受け付けない場合、制御部241は、指示を受け付けるまで待機する。ステップS403において、走査の停止の指示を受け付けた場合、制御部241は、係数生成部250により、係数S1~S8の値を「1」とした係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ出力する(ステップS404)。
続いて、制御部241は、静止画の超音波画像データが端末装置300に出力されたか否かを判定する(ステップS405)。ステップS405において、超音波画像データが出力されていない場合、制御部241は、超音波画像データが出力されるまで待機する。
ステップS405において、超音波画像データが出力された場合、制御部241は、係数生成部250により、係数S1~S8の値を「0」とした係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ出力し(ステップS406)、処理を終了する。
図5は、第一の実施形態の超音波診断装置の動作を説明するタイミングチャートである。図5では、超音波診断システム100の状態と、走査の開始/停止と、使用されるチャネル数の関係を示している。
本実施形態の超音波診断システム100において、超音波による生体Pの走査が行われていない場合、超音波が送信されておらず、反射波の受信に用いられる振動子232の数は0である。
この状態で、タイミングT1において、超音波診断装置200に対して超音波による生体Pの走査の開始が指示されると、超音波診断システム100の状態は、走査中(測定中)となる。走査中の場合、超音波診断装置200は、動画モードで超音波画像データを取得し、端末装置300のディスプレイ313に超音波動画データを表示させる。尚、本実施形態の動画モードとは、超音波診断システム100が、超音波診断装置200による生体Pの走査の開始指示を受けてから、生体Pの走査の停止指示を受け付けるまでの間の状態を示す。
また、このとき、超音波診断装置200は、4つの振動子232から出力された信号に基づき超音波画像データを取得する。
次に、タイミングT2において、走査の停止が指示されると、超音波診断装置200は、8つの振動子232から出力された信号に基づき取得した静止画の超音波画像データを端末装置300に出力する。ここで出力される静止画の超音波画像データは、静止画の超音波画像1枚分の超音波画像データである。
尚、本実施形態の静止画モードは、生体Pの走査の停止の指示を受け付けた後に、静止画の超音波画像が端末装置300のディスプレイ313に表示されている状態を示す。
そして、超音波診断装置200は、静止画の超音波画像データを取得した後に、超音波画像の取得を停止する。
このとき、超音波診断システム100の状態は、端末装置300のディスプレイ313に、取得した超音波画像データ(静止画)を表示した状態で、新たな超音波画像の取得が停止された状態となる。
以上のように、本実施形態によれば、静止画として取得された超音波画像の画質を維持しつつ、消費電力を削減することができる。
尚、本実施形態では、送信開口及び受信開口となる振動子232を8つとしたが、これに限定されない。例えば、送信開口及び受信開口となる振動子232の数は、32個であっても良い。
例えば、送信開口及び受信開口となる振動子232を32個とした超音波診断装置200において、動画モードでは8つの振動子232から出力された信号を用いるようにした場合、装置全体の消費電力を2Wから0.75W程度削減することができた。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、動画モードにおいて、定期的に8つの振動子232から出力された信号を用いた超音波画像データを取得する点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
本実施形態では、制御部241は、超音波診断装置200による生体Pの走査中(動画モード)において、所定時間毎、又は、動画として取得された超音波画像データの所定のフレーム毎に、8つの振動子232から出力された信号に基づく超音波画像データを取得する。
図6は、第二の実施形態の超音波診断装置の制御部の動作を説明するフローチャートである。
図6のステップS601とステップS602の処理は、図4のステップS401とステップS402の処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS602に続いて、制御部241は、所定の間隔(時間)が経過したか否かを判定する(ステップS603)。ステップS603において、所定の間隔が経過していない場合、制御部241は、所定の間隔が経過するまで待機する。尚、所定の間隔とは、例えば、超音波画像データを10フレーム分取得する時間等であっても良い。
ステップS603において、所定の間隔が経過した場合、制御部241は、係数S1~S8の値を「1」とした係数信号S12を生成し、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ通知する(ステップS604)。
続いて、制御部241は、8つの振動子232から出力された信号に基づく超音波画像データが出力されたか否かを判定する(ステップS605)。尚、ここで出力される超音波画像データは、静止画1枚分の超音波画像の超音波画像データである。
ステップS605において、超音波画像データが出力されていない場合、制御部241は、超音波画像データが出力されるまで待機する。
ステップS605において、超音波画像データが出力された場合、制御部241は、ステップS606へ進む。
ステップS606からステップS610までの処理は、図4のステップS402からステップS406までの処理と同様であるから、説明を省略する。
本実施形態では、このように、動画モードにおいても、定期的に8つの振動子232から出力される信号を選択することで、定期的に高い画質の超音波画像データを取得することができ、動画の画質の維持に貢献できる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、動画モードと静止画モードにおいて、送信開口及び受信開口となる振動子232の数を異ならせる点が第一の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
はじめに、図7を参照して、動画モードと静止画モードのそれぞれにおける送信開口について説明する。
図7は、第三の実施形態の探触子について説明する図である。本実施形態では、動画モードにおける送信開口及び受信開口となる振動子232の数を、静止画モードにおける送信開口及び受信開口となる振動子232の数より少なくした。より具体的には、本実施形態では、動画モードにおいて、送信開口及び受信開口となる振動子232の数を4つとした。
したがって、本実施形態では、動画モードで駆動させる振動子232の数を、静止画モードで駆動させる振動子232の数よりも少なくでき、動画モードにおける超音波診断装置の消費電力を削減できる。
次に、図8を参照して、本実施形態の振動子232の選択について説明する。図8は、第三の実施形態の制御部と、パルサ・スイッチ部を説明する図である。
本実施形態の制御部241Aは、係数生成部250と、スイッチ制御部255と、パルス出力指示部256と、を有する。
スイッチ制御部255は、振動子選択部256と、パルス送受切り替え部257と、を有する。
また、本実施形態のパルサ・スイッチ部242Aは、スイッチ部260と、スイッチ部270と、パルサ280とを有する。
パルス出力指示部256は、係数生成部250から係数信号S12が入力されると、係数信号S12に応じて、パルサ280に対してパルス信号の出力を指示する指示信号を出力する。
振動子選択部257は、スイッチ部260を制御して、パルサ280から出力されるパルス信号の出力先となる振動子232を選択する選択信号をスイッチ部260に対して出力する。
パルス送受切り替え部258は、パルサ・スイッチ部242Aのスイッチ部270を制御して、探触子230からの超音波の送信と、探触子230による超音波の受信とを切り替える。
パルサ280は、係数S1~S8と対応する出力端子PS1~PS8を有し、パルス出力指示部256から出力される指示信号に応じて、出力端子PS1~PS8からパルス信号を出力する。
ここで、パルス出力指示部256から出力される指示信号について説明する。本実施形態の指示信号は、パルス出力指示部256に入力された係数信号S12のうち、値が「1」の係数Snと対応する出力端子PSnからのパルス信号の出力を指示する信号である。
例えば、動画モードの場合には、係数S3~S6が「1」となる。したがって、パルサ280は、動画モードの場合には、係数S3~S6と対応する出力端子PS3~PS6からパルス信号が出力される。また、パルサ280は、静止画モードの場合には、係数S1~S8と対応する出力端子PS1~PS8からパルス信号が出力される。
つまり、本実施形態のパルス出力指示部256から出力される指示信号は、振動子選択部257により、振動子アレー231から選択された振動子232の中から、動作モードに応じて送信開口及び受信開口となる振動子232を選択するための信号である。
スイッチ部260は、振動子選択部257からの選択信号に応じて、振動子アレー231の中から、送信開口及び受信開口となる振動子232を選択する。具体的には、本実施形態では、振動子選択部257は、例えば、8個の振動子232を選択し、スイッチ部260によりパルサ280と接続させる。
また、本実施形態のパルス出力指示部256は、動画モードにおいては、選択された8個の振動子232の内、4つの振動子232を選択するための指示信号をパルサ280に出力する。パルサ280は、指示信号に応じて、出力端子PS3~PS6からパルス信号を4つの振動子に出力する。そして、探触子230では、パルス信号が入力された4つの振動子232が送信開口及び受信開口となり、超音波の出力及び反射波の受信を行う。
また、本実施形態のパルス出力指示部256は、静止画モードにおいては、選択された8個の振動子232全てを選択するための指示信号をパルサ280に出力する。パルサ280は、指示信号に応じて、出力端子PS1~PS8からパルス信号を8つの振動子に出力する。そして、探触子230では、パルス信号が入力された8つの振動子232が送信開口及び受信開口となり、超音波の出力及び反射波の受信を行う。
また、本実施形態では、受信開口とされた振動子232は、受信した超音波の反射波に基づいて信号を生成し、この信号を、スイッチ部260を介してスイッチ部270に送信する。
スイッチ部260は、複数の振動子232-1~232-Nにおいて、パルサ280から出力されるパルス信号の送信先となる振動子の順次切り替えることにより、送信開口及び受信開口を振動子アレー231上で移動させる。
スイッチ部270は、パルサ280から振動子232に対し、スイッチ部260を介してパルス信号が出力されるときには、AMP・ADC部243と振動子232との接続を遮断する。
また、スイッチ部270は、振動子232から反射波に基づいて生成された信号が出力されるときには、AMP・ADC部243と振動子232とを接続させる。
受信開口とされた振動子232から出力される信号は、スイッチ部270を介してAMP・ADC部243へ送信される。
以下に、図9を参照して、本実施形態の制御部241Aの動作について説明する。図9は、第三の実施形態の超音波診断装置の制御部の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の制御部241Aは、超音波診断装置200に対して、超音波画像による生体Pの走査の開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS901)。ステップS901において、指示を受け付けない場合、制御部241Aは、指示を受け付けるまで待機する。
ステップS901において、走査の開始の指示を受け付けた場合、制御部241Aは、係数生成部250により、係数S3~S6の値を「1」、係数S1、S2、S7、S8の値を「0」とした係数信号S12を生成し、パルス出力指示部256、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ出力する(ステップS902)。
続いて、制御部241Aは、パルス出力指示部256により、パルサ・スイッチ部242Aのパルサ280に対し、係数信号S12に基づくパルス信号の出力を指示する(ステップS903)。具体的には、パルス出力指示部256は、パルサ280に対し、出力端子PS3~PS6から、パルス信号を出力させる指示信号を出力する。
続いて、制御部241Aは、走査の停止の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS904)。ステップS904において、指示を受け付けない場合、制御部241Aは、指示を受け付けるまで待機する。
ステップS904において、走査の停止の指示を受け付けた場合、制御部241Aは、係数生成部250により、係数S1~S8の値を「1」とした係数信号S12を生成し、パルス出力指示部256、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ出力する(ステップS905)。
続いて、制御部241Aは、パルス出力指示部256により、パルサ・スイッチ部242Aのパルサ280に対し、係数信号S12に基づくパルス信号の出力を指示する(ステップS906)。具体的には、パルス出力指示部256は、パルサ280に対し、出力端子PS1~PS8から、パルス信号を出力させる指示信号を出力する。
続いて、制御部241Aは、静止画の超音波画像データが端末装置300に出力されたか否かを判定する(ステップS907)。ステップS907において、超音波画像データが出力されていない場合、制御部241Aは、超音波画像データが出力されるまで待機する。
ステップS907において、超音波画像データが出力されると、制御部241Aは、係数生成部250により、係数S1~S8の値を「0」とした係数信号S12を生成し、パルス出力指示部256、AMP・ADC部243、デジタル信号処理部244へ出力する(ステップS908)。
続いて、制御部241Aは、パルス出力指示部256により、パルサ・スイッチ部242Aのパルサ280に対し、係数信号S12に基づくパルス信号の出力を指示し(ステップS909)、処理を終了する。具体的には、パルス出力指示部256は、パルサ280に対し、出力端子PS1~PS8からのパルス信号の出力を停止させる指示信号を出力する。
本実施形態では、このように、係数信号S12に応じてパルス信号の出力先となる振動子232を選択することで、さらに消費電力を削減することができる。言い換えれば、本実施形態では、動画モードにおいて、超音波を出力させる振動子232の数を減らすことで、さらに消費電力を削減することができる。
例えば、振動子選択部257により選択される振動子232の数が32個の超音波診断装置200に本実施形態を適用し、動画モードにおいてパルス信号の出力先となる振動子232を8つとした場合、装置全体の消費電力が2Wから1W程度に削減できた。つまり、本実施形態では、動画モードにおいて駆動させる振動子232の数を減らしたことで、更に0.25W程度削減することができた。
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して、第四の実施形態について説明する。第四の実施形態の超音波診断システムは、超音波診断装置と端末装置との間の通信を無線ではなく有線で行う点のみ、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第四の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図10は、第四の実施形態の超音波診断システムの構成を示す図である。本実施形態の超音波診断システム100Aは、超音波診断装置200Aと端末装置300Aとを有する。超音波診断システム100Aにおいて、超音波診断装置200Aと端末装置300Aとは、有線によって通信を行う。
本実施形態の超音波診断装置200Aは、超音波画像取得部210と、本体部220Aとを有する。本体部220Aは、通信部221Aと、電源部222と、を有する。
本実施形態の通信部221Aは、コネクタ247と接続されており、超音波画像取得部210から受信した超音波画像データを、有線による通信にて、端末装置300Aへ送信する。尚、有線による通信は、超音波診断装置200Aと端末装置300Aとの間の通信に適用できる通信方式によるものであれば、どのような方式であっても良い。
本実施形態の端末装置300Aは、CPU310、通信部311A、メモリ312、ディスプレイ313を有する。本実施形態の通信部311Aは、超音波診断装置200Aと有線にて通信を行う。
本実施形態の超音波診断システム100Aでは、超音波診断装置200Aと端末装置300Aとが有線による通信を行う場合であっても、第一の実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して、第五の実施形態について説明する。第五の実施形態の超音波診断装置は、ディスプレイを有する点が第一の実施形態と相違する。よって、以下の第五の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図11は、第五の実施形態の超音波診断装置の構成を示す図である。本実施形態の超音波診断装置200Bは、超音波画像取得部210と、本体部220Bと、を有する。
本実施形態の本体部220Bは、電源部222、CPU223、メモリ224、ディスプレイ225を有する。
CPU223は、本体部220Bの動作を制御する。具体的には、CPU223は、コネクタ247と接続されており、超音波画像取得部210から出力された超音波画像データが入力される。CPU223は、超音波画像データが入力されると、この超音波画像データをディスプレイ225に表示させても良い。
メモリ224は、CPU223が取得した超音波画像データや、CPU223による演算の結果のデータ等が格納される。
ディスプレイ225は、CPU223が取得した超音波画像データ等が表示される。また、ディスプレイ225は、超音波診断装置200Bの操作に関する各種の情報が表示されても良い。
このように、本実施形態によれば、超音波診断装置200Bにディスプレイ225が設けられているため、端末装置300と通信をせずに、超音波画像データを表示させることができる。言い換えれば、本実施形態によれば、超音波画像データを表示させるための端末装置300が不要となる。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。