以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、本明細書に開示する発明は以下の説明に限定されず、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本明細書に開示する発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、トイレ空間に設置された生体情報取得装置について図1~5を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生体情報取得装置が搭載されたリモコン装置108と、便座装置101の一例を例示する斜視図である。本明細書において例示する便座装置101は、大便器103のリム105に載置され、本体部106と、便座111と、便蓋107を備えている。本体部106は、電装部品や給水機構等を内蔵しており、大便器103のボウル部102に対し進出し、使用者の局部に向けて洗浄水を噴射可能なノズル104を有している。使用者が排泄時に着座する便座111は、本体部106に対し回動自在に枢支されている。便座111の不使用時は、同じく本体部106に対し回動自在に枢支される便蓋107によって上方から覆われる。
機器である便座装置101を遠隔操作するための複数のボタンを備えたリモコン装置108は、大便器103及び便座装置101が設置されるトイレブースの壁面などに固定される。本明細書において例示するリモコン装置108は、そのパネル109を便座装置101側に向けて設けられ、使用者はそのパネル109において便座装置101に行わせる動作を選択し、便座装置101を遠隔操作する。具体的には、リモコン装置108に設けられた通信装置(図示せず)は、使用者がパネル109で選択した内容に基づいた高周波信号を生成し、便座装置101に向けて無線で送信する。便座装置101は、本体部106に内蔵する通信装置(図示せず)においてこの高周波信号を受信し、その信号の内容に基づいて、ノズル104からの吐水や止水、吐水の水勢の調整、ノズル104の位置の変更等を行うことができる。
ここで、本実施形態にかかる生体情報取得装置は、図1の態様において、リモコン装置108に搭載されている。図1に示す生体情報取得装置110は、リモコン装置108の正面視において右側の上部に設けられている。このような位置に生体情報取得装置110を搭載することによって、使用者が便座111に着座した際に、使用者が負荷なく容易に右手指先を生体情報取得装置110に接触させることができる。なお、図1においては使用者が着座した際に右側にリモコン装置108が位置することから、リモコン装置108における生体情報取得装置110が上述の位置に搭載されているが、リモコン装置108が使用者が着座した際に左側に設けられる場合には、リモコン装置108における生体情報取得装置110を左側の上部に設けるなど、適宜使用者の着座状態下において無理の無い位置に生体情報取得装置110を搭載するとよい。
なお本実施の形態においては、生体情報取得装置110はリモコン装置108に搭載されるものであるが、これに限らない。生体情報取得装置110は、トイレ空間内の機器であればよく、特に使用者が便座に座った状態で手の届く位置に配置されるものであることが好ましい。例えばリモコン装置の他、紙巻き器、手摺り、タオル掛け、タオル棚、鏡、手洗い用水栓、化粧台、収納棚(収納キャビネット)等に搭載することができる。また、トイレ空間内の機器ではなく、トイレ室の壁面やドアに直接生体情報取得装置110を取り付けてもよい。
図2は、本発明の一実施形態の生体情報取得装置が搭載されたリモコン装置を例示する斜視図である。図2に示すように、リモコン装置108には、複数の操作スイッチ120を設けることができる。複数の操作スイッチ120は、例えば操作スイッチ120a~120gを含む。操作スイッチ120が操作(この例では押下)されると、リモコン装置108は、操作されたスイッチに応じた制御信号を送信する。便座装置101の本体部106が制御信号を受信すると、本体部106は、その制御信号に基づいて動作する、または、機能の設定を変更する。
リモコン装置108は、大便器103の使用者が便座装置101の機能を操作するためのモードを有する。このモードでは、リモコン装置108は、各操作スイッチ120に表示された、便座装置101の設定や動作を操作する。図2の例示においては、本体部106は、操作スイッチ120aが押下されると局部洗浄機能や音発生機能、温風乾燥機能を停止し、操作スイッチ120bが押下されるとおしり洗浄を開始し、操作スイッチ120cが押下されるとビデ洗浄を開始し、操作スイッチ120dが押下されると音発生を開始し、操作スイッチ120eが押下されると送風を開始し、操作スイッチ120fが押下されると音発声機能の音量を変更し、操作スイッチ120gが押下されると局部洗浄機能の水勢を変更する。
リモコン装置108は、さらに特殊操作によって、上述した通常使用時のモードから設定モードに入る。特殊操作とは、複数の操作スイッチ12を組合わせて押下する操作や、操作スイッチ12を複数回、押下する操作である。特殊操作には、操作スイッチの同時押しや長押しが含まれてもよい。
設定モードにおいて、各操作スイッチ120には、通常使用時のモードとは異なる機能が割り当てられる。すなわち、リモコン装置108は、設定モードにおいて、操作スイッチ120の押下に基づき、通常モード中とは異なる本体部106の動作制御や機能の設定変更を行う。例えば、設定モードでは、ノズル104から噴射される洗浄水の温度や、便座111の温度の設定を行うことができる。
また、本体部106は、設定モード中のリモコン装置108の特殊操作によって、「ノズルそうじ」を行うことができる。「ノズルそうじ」は、ノズル128を一定時間、洗浄水を噴射せずに大便器111のボウル部内へ進出した状態とする動作である。これにより、管理者は、ノズル104の外側を布などで拭いたり、ノズル104の吐水口を掃除したりすることができる。
またリモコン装置108は、生体情報取得装置110を搭載している。生体情報取得装置110は、後述するように筐体122の内部に生体情報を取得するための機能部を備えている。また生体情報取得装置110の筐体122の外表面には、使用者の指の一部を押しあてることで生体情報を取得するための生体情報取得領域が設けられている。特に図2に例示する生体情報取得装置110においては、生体情報取得領域はカバー部材121が設けられた面と概略一致する。すなわち、図2に例示する生体情報取得装置110においては、使用者がカバー部材121に指の一部を押しあてることによって、使用者が押しあてた指の一部から脈波を検知することで、生体情報が取得される。
またリモコン装置108の正面には、上述した複数の操作スイッチ120において、生体情報の取得を開始するための操作スイッチ120hを備えている。使用者は、所定のタイミング又は任意のタイミングにおいてこの操作スイッチ120hを押し下げることで、脈波等の生体情報を取得することができる。なお、図2において、操作スイッチ120hはリモコン装置108に配置されるが、生体情報取得装置110の筐体122の外表面に設けてもよい。この場合、生体情報取得装置110と機能を一体化することができるためリモコン装置108と生体情報取得装置110との機能を分離することができ、内部構造を簡素化することができる。また、生体情報の取得の開始のための操作スイッチ120hは省略することもできる。すなわち、生体情報取得領域に使用者の指先が検知された場合に生体情報の取得を開始する制御を実行することで、使用者による生体情報の取得の開始のための動作を省略することができ、使用者にとっての利便性を向上させることができる。
なおリモコン装置108と生体情報取得装置110とは、筐体を共有するものであってもよく、それぞれが異なる筐体を所有する異なる部品の組み合わせであってもよい。後者の場合、リモコン装置108または生体情報取得装置110のいずれかが破損や故障した場合に、その一方に対してメンテナンスや交換することで簡単に機器の復旧を行うことができる。
図16は、本発明の一実施形態の生体情報取得装置が搭載されたリモコン装置と便座装置のブロック図である。
生体情報取得装置110が搭載されたリモコン装置108と、便座装置101とは所定のネットワークNを介して、無線により互いの情報を送受信可能なように接続される。例えば、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)等の所定の無線通信機能により接続される。
ここから、リモコン装置108が備える構成について説明する。図16に示すように、リモコン装置108は、生体情報取得部135と、複数の操作スイッチ120と、通信装置152と、第1の記憶装置153と、第2の記憶装置154と、報知装置155と、制御装置156とを有する。ここで、複数の操作スイッチ120については、図2での説明と内容が被るため、記載を省略する。また、生体情報取得部135については、図3~図8での説明にて後述する。
通信装置152は、例えば、通信回路などによって実現される。そして、通信装置152は、図示しない所定の通信網(ネットワークN)と無線で接続され、便座装置101との間で情報の送受信を行う。
第1の記憶装置153は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク(磁気ディスク)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。第1の記憶装置153は、例えば、大便器103の使用者が便座装置101の設定や動作を操作するための信号を生成するプログラムなどを記憶する。第1の記憶装置153は、生体情報取得装置110によって取得された使用者の生体情報や、複数の操作スイッチ120に対する使用者の操作情報を記憶する。
第2の記憶装置154は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク(磁気ディスク)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。第2の記憶装置154は、例えば、便器洗浄機能157や、局部洗浄機能158、温風乾燥機能159の動作を制御するためのプログラムなどを記憶する。また、第2の記憶装置154は、生体情報取得装置110によって取得された使用者の生体情報と、便器洗浄機能157の実行と共に出力される便器洗浄動作信号や、局部洗浄機能158の実行と共に出力される局部洗浄動作信号、温風乾燥機能159の実行と共に出力される温風乾燥動作信号、着座検知装置160から出力される着座検知信号を合わせて記憶する。そのため、第2の記憶装置154は、第1の記憶装置153よりも記憶容量が大きいことが好ましい。
また、第1の記憶装置153と第2の記憶装置154が共にリモコン装置108に設けられていることにより、例えば、他のトイレ内の機器である便座装置101などに設けられる記憶装置を用いることなく、リモコン装置108の内部で独立して処理を実行することが可能となる。
報知装置155は、例えば、音声を出力するスピーカや画像を出力する表示画面によって実現される。報知装置155は、例えば、生体情報取得部135によって取得され、第1の記憶装置153や第2の記憶装置154に記憶された生体情報や、生体情報取得部135によって取得されている生体情報の精度を高めるための使用者に対する指示などを報知する。
制御装置156は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサの機能により、第1の記憶装置153や第2の記憶装置154に格納されたプログラムに基づき演算処理を実行する装置である。また、制御装置156は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することもできる。
次に、便座装置101が備える構成について説明する。図16に示すように、便座装置101は、通信装置152と、制御装置156と、便器洗浄機能157と、局部洗浄機能158と、温風乾燥機能158と、着座検知装置160とを有する。ここで、通信装置152と制御装置156については、リモコン装置108が備える構成と同様の構成であるため、記載を省略する。
便器洗浄機能157は、大便器103が備えるボウル部102に洗浄水を供給する機能である。この便器洗浄機能157は、その機能を実現するために、図示しない給水路と給水弁を備えている。この給水路は、水道水等の洗浄水をボウル部102に供給するために、ボウル部102に通じている通路である。また給水弁は、電磁弁等によって構成され、給水路中の所定箇所に設けられている。便器洗浄機能157は、リモコン装置108から送信される制御信号に基づいて、給水路を開放してボウル部102への洗浄水の供給を開始し、所定時間の経過後に給水路を遮断してボウル部102への洗浄水の供給を停止する。便器洗浄機能157は、ボウル部102に洗浄水を供給し、ボウル部102内の大便及び小便をボウル部102部に滞留していた洗浄水と共に排水路へと排出する。また、便器洗浄機能157は、給水弁を開放している間、便器洗浄動作信号を制御装置156へ出力する。
局部洗浄機能158は、ノズル104をボウル部102内に進出した状態で、使用者の局部に向けて洗浄水を噴射する機能である。局部洗浄機能158は、その機能を実現するために、図示しないノズル孔、及びノズル駆動モータを備えてる。ノズル孔は、ノズル104の上面に形成されており、例えば、おしり洗浄用やビデ洗浄用に異なる位置に複数設けられている。ノズル駆動モータは、リモコン装置108からの制御信号に基づいて、本体部106に形成された開口を介して、ノズル104の進退を駆動する。局部洗浄機能158は、ノズルから洗浄水を噴出している間、局部洗浄動作信号を制御装置156へ出力する。
温風乾燥機能159は、大便器103のボウル部102内に向かって送風する機能である。温風乾燥機能159は、リモコン装置108からの制御信号に基づいて、例えば、吸い込んだ外気をヒータで温めて、送風口から温風をボウル部102内に向かって送風する。温風乾燥機能159は、送風口から温風を送風している間、温風乾燥動作信号を制御装置156へ出力する。
着座検知装置160は、使用者が便座111に着座した状態を検知する。着座検知装置160は、例えば、荷重センサや赤外線投受光式の測距センサによって実現され、使用者が便座111に着座する直前において、便座111の付近に存在する人体を検知してもよい。着座検知装置160は、着座検知信号を制御装置156へ出力する。
次に図3~図8を用いて、本実施態様にかかる生体情報取得装置110について説明する。
図3は、本発明の一実施形態の生体情報取得装置110における生体情報取得部135を例示する断面図である。
図3に示す生体情報取得装置110における生体情報取得部135は、生体情報取得装置110の筐体122の一部に備えられた凹部の内側に、発光素子130と受光素子131とを配置することで構成されている。
発光素子130は光源として機能するものであり、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を用いることができる。特にLEDは軽量、対衝撃性、寿命の点で優れるため好ましい。また受光素子131は光検出器として機能するものであり、フォトダイオードやフォトレジスタ、CCD(Charge-Coupled Device:電荷結合素子)、光電子増倍管等を用いることができる。特にフォトダイオードは光強度の測定において精度が高いため好ましい。
また、発光素子130と受光素子131とはベース133上に設けられ、ベース133は筐体122の凹部の底面に配置されている。
ここでベース133は、発光素子130と受光素子131を固定するための基板としての機能を備えるものである。さらにベース133を回路基板(プリント基板)とし、ベース133中に電気的結線を行うと、生体情報取得部135を小型化することができる。
なお図3においては、発光素子130及び受光素子131は、ベース133の上部に設けられているがこの態様に限らず、発光素子130及び受光素子131の双方又は一方をベース133に埋め込んでも良く、あるいはベース133を貫通するように設けてもよい。この場合、高さ方向における厚みを薄く形成することができるため、生体情報取得装置110を薄型化することができる。
また、ベース133を用いずに、筐体122の凹部の底面に直接発光素子130と受光素子131とを配置してもよい。ベース133を省略することにより、高さ方向における厚みを薄く形成することができるため、生体情報取得装置110を薄型化することができる。
また、図3において、発光素子130と受光素子131とは異なる部材として説明しているが、ひとつの半導体基板上に双方を形成するいわゆるワンチップ型の構成とすると、さらに生体情報取得領域134を小型化することができる。
また発光素子130と受光素子131との上方にはカバー部材121が設けられているカバー部材は発光素子130から照射される光をカバー部材の外部(生体情報取得装置110の外部)へ通過させるとともに、カバー部材121の外部から入射される光を受光素子131に到達するように通過させる必要があるため、透光性を備えたものである。このため、ここでカバー部材121は上述のように光を通過させる窓として機能する。図4に示すように、当該カバー部材121の外表面に使用者は指の一部を押し当てることで、当該窓を介した光学的な生体情報の検出が可能となるため、当該カバー部材における光の通過可能部分が生体情報取得領域134となる。
なお、図3において、発光素子130と受光素子131とはベース133を介して筐体の底面上に配置されているがこれに限らず、例えばカバー部材121の裏面側に配置してもよい。カバー部材121をガラス基板として、ガラス基板上に公知の半導体製造プロセスを用いて発光素子130と受光素子131とを形成することによって、生体情報取得部を薄く構成することができる。
図5は、生体情報取得部135を上面視した平面図である。図5に例示する生体情報取得装置110においては、筐体122に上面視で矩形上の凹部が形成され、当該凹部の内側に発光素子130と受光素子131とが並んで配置されている。またこの凹部を覆って矩形上のカバー部材121が設けられている。
上述するような生体情報取得部135を備えることで、使用者の指先から光学的に使用者の生体情報を取得することができる。本発明の一実施形態にかかる生体情報取得装置110における生体情報取得部135での生体情報の取得について、図4を用いて説明する
。
図4(a)は使用者の手指においてDIP関節(第1関節)から指頭に向けた指腹を、生体情報取得装置110における生体情報取得領域134に押しあてて測定する場合について図示したものである。このように手指においてDIP関節(第1関節)から指頭に向けた指腹部分で生体情報の取得を行う場合には、使用者が指差しを行う動作に追随した押しあて動作で測定ができるため、使用者にとって指先の押しあてに負担が少ない。この場合、発光素子130から照射された光はカバー部材121を通過して、当該カバー部材121に押しあてられた使用者の指腹部分に到達する。例えば発光素子130としてLEDを用いた場合には、LEDから照射された近赤外光が血液中のヘモグロビンに吸収されることで、反射光は血液の吸光度変化が反映されたものとなる。カバー部材121を介してこの反射光を受光素子131が検出することで、使用者の生体情報を取得することができる。
使用者の手指からの生体情報の取得は上述の方法に限られない。例えば図4(b)に示すように手指のPIP関節(第2関節)とMP関節(第3関節)との間の指腹部分をカバー部材121に押しあてることにより、使用者の生体情報を取得してもよい。このように手指のPIP関節(第2関節)とMP関節(第3関節)との間の指腹部分で情報の取得を行う場合には、手指の中でも測定面積を広く確保することができるとともに、接触面積が広いために安定して測定を行うことができる。
ここで、生体情報取得部135を図3に示すような構造とした場合には、使用者の手指を必ずカバー部材121に押しあてることが必要となるため、カバー部材121の表面に汗や皮脂、あるいは手指に付いた汚れが付着してしまう。その場合、カバー部材121の透光性が低下し、発光素子130からの光の出射や受光素子131への受光が阻害されるため、生体情報の検出精度が低下するおそれがある。
そのため、カバー部材121を取り外し可能な構成とすることで、取り外したカバー部材121を洗浄し、あるいは清浄な他のカバー部材121に取り換えることで簡易に生体情報の検出精度の低下を防止することができる。
一方、カバー部材121を取替え可能な構造とする場合、設計によってはカバー部材121と筐体122との間に僅かな隙間が生じる場合がある。そうすると、清掃時の水拭きなどによって水分が凹部の内側に侵入するおそれがある。そのため、カバー部材121の取り外しできないように構成するとともに、発光素子130や受光素子131等の生体情報取得のための部品に侵入する水分が付着しないように、シール部材を用いて密閉構造とすることもできる。
すなわち図3に示すように、発光素子130と受光素子131とが設けられたベース133の周囲にはシール132を配置するとよい。シール材としては、例えばOリング等の押しつぶすことで密閉を達成するゴム材を用いることができる。図3に示すシール132は、発光素子130と受光素子131とを備えたベース133の周囲を完全に囲むように環状に配置され、その下端は筐体122の凹部の底面に接し、その上端はカバー部材121に接して設けられている。すなわち、カバー部材121と筐体122とシール132とにより、ベース133を含めた空間を完全に密閉することにより、当該空間への水分や汚染物等の侵入を抑制し、発光素子130や受光素子131やこれらの電気的接続部の劣化、損傷を防ぐことができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した生体情報装置110において、使用者が指先を押しあてた状態であっても、カバー部材に指先が直接触れないように、生体情報取得領域134に開口部を設けた構造について、図6~8を用いて説明する。なお、その他の態様については実施の形態1と同様であって良く、実施の形態1に記載の技術と自由に組み合わせて実施することができる。
一方で、図6に示すように、生体情報取得装置110の生体情報取得部135として、筐体122の外表面に、使用者が指先の一部を押しあてた場合の接触面よりも狭い面積の開口部142を設け、当該開口部の下方に発光素子130と受光素子131とを配置するとよい。これにより開口領域142そのものが使用者の生体情報を取得するための光の通路(窓)となるため、汚れにより検出精度が低下することを防止することができる。さらに開口部142の下方であって発光素子130と受光素子131との上方に、上述したカバー部材121を設けるとよい。この構成により、使用者の指先がカバー部材121に直接触れることがなくなるため、指先に付着する汗や皮脂等の汚れがカバー部材121に付着することを防止できるとともに、埃や清掃等により開口部142から侵入する水から発光素子130や受光素子131等を保護することができる。
図6では、使用者の手指がカバー部材121に直接触れることが無い構成として例示したが、これに限らない。例えば図7は、上面視において並んで配置される発光素子130と受光素子131との上方にそれぞれ開口部141を設けた(すなわち、開口部が2つ)態様を示すものである(図7(a)は断面図、図7(b)は上面視した平面図を示す)。
図7(a)において、開口部141の面積はいずれも使用者が指先の一部を押しあてた場合の接触面よりも狭い面積である。これにより、使用者の手指が発光素子130や受光素子131が設けられた内部空間に侵入することを防止できる。また、図7(a)に示すように、筐体の内部空間であって開口部141の下方にカバー部材121を設けることができる。この構成により、使用者の指先がカバー部材121に直接触れることがなくなるため、指先に付着する汗や皮脂等の汚れがカバー部材121に付着することを防止できるとともに、埃や清掃等により開口部141から侵入する水から発光素子130や受光素子131等を保護することができる。
また、例えば図8は、上面視において並んで配置される発光素子130と受光素子131の上方に複数の開口部140を設けた態様を示すものである(図8(a)は断面図、図8(b)は上面視した平面図を示す)。すなわち生体情報取得領域134は上面視において筐体122がメッシュ状(網目状)に形成されている。
図8(a)において、複数の開口部140の面積はいずれも使用者が指先の一部を押しあてた場合の接触面よりも狭い面積である。これにより、使用者の手指が発光素子130や受光素子131が設けられた内部空間に侵入することを防止できる。なお、複数の開口部140の間に位置する筐体122は光の通過を素材するため、開口部140の幅t1に対して筐体122の幅t2は小さくすることが好ましい。
また、図8(a)に示すように、筐体122の内部空間であって開口部141の下方にカバー部材121を設けることができる。この構成により、使用者の指先がカバー部材121に直接触れることがなくなるため、指先に付着する汗や皮脂等の汚れがカバー部材121に付着することを防止できるとともに、埃や清掃等により複数の開口部140から侵入する水から発光素子130や受光素子131等を保護することができる。
また、上述した使用者の手指の汗や皮脂、あるいは手指に付いた汚れの付着によるカバー部材121の汚れに起因した生体情報の検出精度が低下を防止するために、本実施形態にかかる生体情報取得装置110に、カバー部材121の汚れを検知する汚れ検知手段を設けることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、トイレ空間に設置された生体情報取得装置において、生体情報取得領域がトイレ空間の下方に向けて配置されている場合について、図9~14を用いて説明する。なお、その他の構成については、実施の形態1及び実施の形態2で説明した構成を適宜用いることができる。
図9は、本実施の形態における生体情報取得装置210を備えたリモコン装置200を示す斜視図である。生体情報取得装置210は図9において、リモコン装置200の正面左方下端に設けられている。
図10は、図9のリモコン装置200を下面側から見た斜視図である。リモコン装置200の下面の筐体202左側にカバー部材203が設けられている。図示しないが、実施の形態1で説明したとおり、筐体202の内部でカバー部材203に対応する位置に、発光素子と受光素子とが配置され、使用者の生体情報の取得が可能な構成としている。
ここで図11に示すように、使用者はリモコン装置200の下方から、リモコン装置200の下面に設けられたカバー部材203(生体情報取得領域204)に指を押しあてることによって、生体情報の取得ができる。一方で、生体情報取得領域204はリモコン装置200の下面に設けられていることから、トイレ空間の天井や壁面上方に設けられた照明器具から照射される光はリモコン装置200によって遮断されるため、直接生体情報取得領域204に入り込むことを低減または防止することができる。
なお、本実施の形態において生体情報取得領域の設置位置はリモコン装置200の下面に限られない。例えば図12に示すように、リモコン装置200の筐体202正面の下方に洞部205を設け、洞部205内の上面に生体情報取得領域206を設けることができる。図13に示すように、使用者が洞部205の内部の生体情報取得領域206に指をおしあてることによって、使用者の生体情報を取得することができる。本形態により、洞部205の構造により周囲、とくに上方に設置された照明器具からの光照射を遮ることができる。
なお、リモコン装置200の筐体202に洞部205を設ける態様として、図13では生体情報取得領域206を洞部205の上面としたが、洞部205内であれば、下面や側面に設けることもできる。洞部205の構造により周囲、とくに上方に設置された照明器具からの光照射を遮ることができる。
本実施の形態は、外光の入射を防ぐために生体情報取得領域を外光ができるだけ入りにくい位置に配置する構成とするものである。しかし一方で、使用者は生体情報取得領域の設置位置が見えにくくなってしまうとの課題が生じ得る。そこで、リモコン装置や生体情報取得装置上に、使用者に生体情報取得領域の位置を示すガイドを設けるとよい。
例えば図14(a)では、使用者にとって隠れた位置に配置される生体情報取得領域を指示するために、その位置を示すプレート207を取り付けている。プレートは脱離容易なシールであってもよい。またプレート207には生体情報取得領域の場所を言葉で記してもよく、あるいは指をあてる意味を有する記号や絵、写真などを記してもよい。また、図14(b)に示すように、筐体の一部に突出構造を設け、測定のために指をあてる部分であることを明示するように構成してもよい。
(実施の形態4)
次に本実施の形態において、本発明の生体情報取得装置における生体情報取得領域について、図15を用いて説明する。
図15は、トイレ空間内の便座装置を操作するリモコン装置に、生体情報取得装置を組込んで一体化した生体情報取得装置300を例示する図である。図15において例示する生体情報装置300は横長の箱型形状であり、正面に複数の操作スイッチ302が配置されている。一方、右下方には、使用者が指先を押しあてることで生体情報を取得するための生体情報取得領域303(検出領域)が設けられている。
ここで生体情報取得領域303は、実施の形態1で説明したように、表面にカバー部材が設けられた構造でもよく、実施の形態2で説明したように、複数の開口部を備えた筐体外表面により構成されたものでもよい。
とくに生体情報取得領域303の面積は、操作スイッチ302の面積よりも大きいとよい。生体情報取得領域303の面積を操作スイッチ302の面積よりも大きくすることで、検出領域の識別性を高め、使用者が容易にその位置を探しあてることができる。とくに生体情報取得領域303の面積を、操作スイッチ302の面積よりも1.2倍以上2倍以下とするとよい。2倍以上となると、生体情報取得領域303の識別性は向上するものの、生体情報取得部の大型化や意匠性の低下、あるいは操作スイッチの矮小化による利便性の低下などの課題が生じてしまう。
なお、生体情報取得領域303及び操作スイッチ302の面積は、識別性を問題とするため、正面視において計測される平面における面積を算出すれば良く、操作スイッチ302が立体構造であったとしても平面に投影した場合の面積で比較すればよい。
とくに生体情報取得領域303の識別性を高めるため、生体情報取得装置300の正面に配置されるすべての操作スイッチ302の面積よりも、生体情報取得領域303の面積を広く設計することが好ましい。
また、生体情報取得領域303の識別性を高めるため、生体情報取得領域303の面積を広げることに代えて、例えば生体情報取得領域303の周囲に可視光を照射する照明器具(例えばLED)を配置し、当該照明器具を点灯、点滅させることもできる。
また、生体情報取得領域303は、使用者が便座に着座した場合に、使用者から最も近い位置となるように生体情報取得装置300上に配置するとよい。とくに使用者が手を伸ばして生体情報取得装置300に触れようとする場合に、最も距離が短くなる位置に生体情報取得領域303を配置するとよい。これにより、使用者に無理な姿勢を強いることなく、生体情報の取得を実行することができる。
また、使用者が便座に着座した場合に、使用者が手を伸ばして生体情報取得装置300上の生体情報取得領域303に触れようとするその動線上に、他の操作スイッチ302が配置されないようデザインするとよい。これにより、他の操作スイッチ302を使用者が誤って押してしまうことによる誤作動を防止することができる。
(実施の形態5)
次に本実施の形態において、本発明にかかる生体情報取得装置の制御方法について、図17を用いて説明する。図17は、本発明の一実施形態の生体情報取得装置400が取得した生体情報に対する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図17の例では、生体情報取得装置400は、使用者の指先を検知する(ステップS11)。例えば、生体情報取得装置400は、生体情報取得装置400に設けられた受光素子が受光する光の単位時間当たりの変化量に基づいて、使用者の指先を検知する。
生体情報取得装置400は、使用者の指先を検知した場合(ステップS11:Yes)、使用者の指の一部で反射した光から生体情報を取得し(ステップS12)、取得した生体情報を第1の記憶装置402に記憶する(ステップS13)。
図17に示すように、生体情報取得装置400は、使用者の指先を検知してから(ステップS11:Yes)、使用者の指先を検知している状態が所定時間経過したか否かを判定する(ステップS14)。言い換えれば、使用者の指先が意図せず生体情報取得領域に触れてしまったのか、使用者が意図的に生体情報を取得しようとしているのかを判定する。そのため、本実施の形態に係る生体情報取得装置400は、使用者の指先を検知している状態が所定時間経過するまでの間(ステップS14:No)、生体情報の取得(ステップS12)及び取得した生体情報の第1の記憶装置402への記憶(ステップS13)を繰り返す待機モードを実行する。このように、所定時間とは使用者が意図せず瞬間的に生体情報取得領域に触れてしまったことによる検知を除外するために設定するものであり、例えば1秒以上5秒未満の期間を設定するとよい。
待機モードにおいて取得される生体情報は、その後、使用者に対して取得した生体情報を報知する際に活用するものではない。そのため、第1の記憶部402に新たな生体情報が記憶される度に、順次削除または上書きすることが好ましい。これによって、不要な情報の記憶による第1の記憶装置402の記憶容量の飽和を回避することが可能となる。
そして、使用者の指先を検知している状態が所定時間経過したと判定した場合(ステップS14:Yes)、使用者の指先を検知しなくなるまで(ステップS18:No)、測定モードを実行する。
測定モードにおいては、使用者の指の一部で反射した光から生体情報を取得し(ステップS15)、取得した生体情報を第2の記憶装置404に記憶する(ステップS17)。
第2の記憶装置404に記憶される生体情報は、使用者に対してその場で報知する目的のために活用されるだけではなく、当該使用者の過去の履歴やその他の関連情報と共に複合的な分析を行う目的でも活用される。そのため、使用者がどのような状態において取得された生体情報であるかを特定するために、便器洗浄機能や局部洗浄機能、温風乾燥機能など便座装置406の機能が実行された情報が付加されて記憶されることが好ましい(ステップS16)。これにより、使用者がどのような状態において取得された生体情報なのかを推定することが可能となり、取得した生体情報の信頼性を判定することができる。
また、取得された生体情報から、予め備えられたデータを参照して使用者個人を特定(個人認証)してもよい。これにより、得られた生体情報に使用者に関する情報を関連づけすることができる。
使用者の指先を検知しなくなった後(ステップS18:yes)、生体情報取得装置400は、第2の記憶装置404に記憶された生体情報に対して、便座装置406の機能が実行された情報が付加されているか否かを判定する(ステップS19)。
ここで、第2の記憶装置404に記憶された生体情報に、便座装置406の機能が実行された情報が付加されていなかった場合(ステップS19:Yes)、第2の記憶装置404に記憶された生体情報を報知装置408に伝達し、使用者に対して報知する(ステップS20)。ここで、使用者に対して報知する生体情報は、生体情報取得装置400によって今回取得された生体情報のみであってもよく、また、過去の履歴やその他の関連情報と共に複合的な分析が行われた結果であっても構わない。
また、第2の記憶装置404に記憶された生体情報に、便座装置406の機能が実行された情報が付加されていた場合(ステップS19:No)、取得した生体情報の精度が低いものとなっているおそれがある。そのため、第2の記憶装置404に記憶された生体情報については、使用者に対して報知しない。または、第2の記憶装置404に記憶された生体情報については、情報の精度が低いことを合わせて報知装置408に伝達し、使用者に対して報知する(ステップS21)。これによって、報知装置408から報知される情報の信頼性の低下を防止することができる、または報知装置408から報知された情報の取り扱いに注意を与えることができる。
なお、生体情報の取得のための測定モードは、ステップS15からステップ18までの指先が検知されている期間において実行することを述べたが、これに限らず、例えば所定時間の経過によって測定モードを終了させてもよい。この場合、使用者に測定モードの終了を伝えるために、画像表示や音等を報知するとよい。
また、ステップ15からステップ18にわたる測定モードの期間中、別途設けた音出力装置から使用者に心地の良い音声や音楽を出力するとよい。これにより、使用者が心理的に安定状態になりやすく、安定した生体情報の取得が促進される。また、使用者の心理状態を安定にするために、聴覚情報に限らず、使用者に心地の良い視覚情報を単独であるいは音と同時に、別途設けた画像出力装置から出力しても良い。
(実施の形態6)
次に本実施の形態において、本発明にかかる生体情報取得装置の制御方法について、図18を用いて説明する。図18は、本発明の一実施形態の生体情報取得装置500が取得した生体情報に対する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図18の例では、生体情報取得装置500は、生体情報の取得開始のためにリモコン装置502等に設けられた操作スイッチ(例えば、図2の操作スイッチ120h)が、使用者によって押し下げられたことを検知する(ステップS31)。そして、操作スイッチの押下げ操作が検知された後、生体情報取得装置500が備える生体情報取得領域に対して指をあてるよう、報知装置504による音声ガイド、又は生体情報取得部506に設けられた光源の明滅を開始する(ステップS32)。これによって、使用者の指先が意図せず生体情報取得領域に触れてしまうおそれを抑制することが可能となる。
その後、生体情報取得装置500が使用者の指先を検知しなかった場合(ステップS33:No)、待機モードを開始する。この待機モードが開始されてから所定期間に亘って、使用者の指先が検知されなかった場合、使用者に対して報知装置504によるエラー報知を行う(ステップS35)。なお、待機モードにおいて、生体情報取得部506が取得した情報は、使用者の指の一部で反射した光に基づく情報ではないため、記憶装置には記憶しない。
また、待機モード中に使用者の指先が生体情報取得部506に触れられることで得られた生体情報は、当該使用者の特定(個人認証)するためのデータとして分析に用いることができる。また、この分析結果に基づき、測定モードへの移行の可否を決定してもよい。
その一方で、生体情報取得装置500が使用者の指先を検知した場合(ステップS33:Yes)、報知装置504による音声ガイド、又は生体情報取得部506に設けられた光源の明滅を停止し(ステップS36)、使用者の指の一部で反射した光から生体情報を取得する測定モードを開始する。
図18に示すように、生体情報取得装置500は、測定モードを開始してから、使用者の指先を検知している状態(生体情報を取得できている期間)が所定期間経過したか否かを判定する(ステップS40)。言い換えれば、使用者の指先が生体情報取得領域に触れている状態が、信頼性の高い生体情報を取得可能な静止した状態で取得された状態であるかを判定する。このように、所定期間とは使用者が静止した状態で生体情報取得領域に触れていることを検知するために設定するものであり、例えば5秒以上の期間を設定するとよい。測定モードにおいて実行する制御、及び測定モード終了後の制御については、図17の説明と被るため、記載を省略する。
また、ステップ33からステップ34にわたる待機モードの期間中、あるいはステップ37からステップ40にわたる測定モードの期間中、別途設けた音出力装置から使用者に心地の良い音声や音楽を出力するとよい。これにより、使用者が心理的に安定状態になりやすく、安定した生体情報の取得が促進される。また、使用者の心理状態を安定にするために、聴覚情報に限らず、使用者に心地の良い視覚情報を単独であるいは音と同時に、別途設けた画像出力装置から出力しても良い。特に待機モードでこれらを実施することで、使用者の生体情報の測定の前段階で、心理的に安定状態とすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。