以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態では、インクジェット方式で用紙にインクを付着させる画像形成装置を例に説明する。画像形成装置は「液体吐出装置」の一例であり、用紙は「記録媒体」の一例であり、インクは「液体」の一例である。
また各図面において、矢印で示されているX方向は主走査方向を示し、Y方向は主走査方向と交差する副走査方向を示すものとする。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図1に示されているように、画像形成装置1は、ヘッドユニット2と、キャリッジ部3と、主走査モータ4と、ギヤ5と、加圧コロ6と、タイミングベルト7と、ガイドロッド8と、エンコーダセンサ9と、エンコーダシート10と、プラテン12とを有する。画像形成装置1は、ヘッドユニット2をキャリッジ部3により複数回走査させるマルチ走査方式の画像形成装置である。
ヘッドユニット2は、複数の吐出ヘッドを備え、キャリッジ部3に固定されている。複数の吐出ヘッドは、プロセスカラーインクと、補助色インクとを吐出する。尚、プロセスカラーは、画像形成用で基本となる4色の色である。プロセスカラーインクは、例えばブラック色のインクと、シアン色のインクと、マゼンタ色のインクと、イエロー色のインク等である。補助色インクは、例えば、オレンジ色のインクと、緑色のインク等である。プロセスカラーは、「第1の色」の一例であり、補助色は「第2の色」の一例である。また補助色は、「イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラック以外の色」の一例である。尚、吐出ヘッドの構成については図2で、ヘッドユニット2に構成については図3で、別途詳述する。
主走査モータ4は回転に伴う駆動力を、ギヤ5と、加圧コロ6と、タイミングベルト7を介して、キャリッジ部3に伝達する。キャリッジ部3は、ガイドロッド8に沿って、主走査方向(X方向)に往復移動(往復走査)する。キャリッジ部3の主走査方向の往復走査により、ヘッドユニット2は、主走査方向における位置を変化させることができる。
エンコーダシート10は、主走査方向における位置を示すリニアスケールを有している。キャリッジ部3に設けられたエンコーダセンサ9は、キャリッジ部3の主走査方向への走査の際に、エンコーダシート10のリニアスケールを読み取り、主走査方向における位置を検出する。
一方、用紙11は、画像形成装置1の供給部から所定の搬送経路に沿って、図示を省略する副走査モータの回転に伴う駆動力によって、副走査方向(Y方向)に搬送され、プラテン12の位置に到達する。
ヘッドユニット2の備える吐出ヘッドは、主走査方向に走査されながら、用紙11に向けてインクを吐出し、用紙11に付着させる。ヘッドユニット2の主走査方向への1回の走査が完了すると、用紙11を副走査方向に所定量だけ搬送する。用紙11の副走査方向への搬送が完了すると、再度、ヘッドユニット2の備える吐出ヘッドは、主走査方向に走査しながら、用紙11に向けてインクを吐出し、用紙11に付着させる。
このようなヘッドユニット2の主走査方向への走査と、用紙11の副走査方向への搬送と、これらの走査及び搬送に応じた吐出ヘッドによるインクの吐出が繰り返されることで、用紙11上に、例えばカラー画像が形成される。
尚、ヘッドユニット2の備える吐出ヘッドは、正の主走査方向、及び負の主走査方向の少なくとも1つの方向に走査されながら、用紙11に向けてインクを吐出することができる。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す外観図である。図2では、画像形成装置1の備えるキャリッジ部3と、主走査モータ4と、ガイドロッド8と、プラテン12と、副走査モータ121とが示されている。
図3は、本実施形態に係る吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。図3は、インクの吐出方向から視た吐出ヘッドの平面図である。
吐出ヘッド21は、ノズル板17を有する。ノズル板17には、副走査方向にノズル孔16が等間隔に複数配列されている。図3の例では、ノズル孔16は、副走査方向に64個設けられ、ノズル列を構成している。また、このようなノズル列が主走査方向に4列設けられている。
各ノズル列は、隣接するノズル列に対し、ノズル孔16の間隔の半分の距離だけ、副走査方向にずれて配置されている。換言すると、ノズル列は千鳥配置されている。ノズル列を千鳥配置することで、副走査方向における画像形成の密度(解像度)を向上させることができる。
吐出ヘッド21は、各ノズル孔からインクを吐出する。また吐出ヘッド21は、ノズル列毎に異なる色のインクを吐出する。
図4は、本実施形態に係るヘッドユニット2の構成の一例を示す図である。図4は、インクの吐出方向から視たヘッドユニット2の平面図である。
ヘッドユニット2は、吐出ヘッド211と、吐出ヘッド212と、吐出ヘッド213とを有する。吐出ヘッド211~213は、何れも図3で説明した吐出ヘッド21と同様の構成を備えている。
吐出ヘッド211は、ヘッドユニット2において、3つの吐出ヘッドの中で最も正の主走査方向側であって、最も負の副走査方向側に配置される。吐出ヘッド211は、ノズル列群211oと、ノズル列群211gとを有する。またノズル列群211oはノズル列211o1と、ノズル列211o2とを有し、ノズル列群211gはノズル列211g1と、ノズル列211g2とを有する。
ノズル列211o1は、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、補助色の1つであるオレンジ色のインクを吐出する。ノズル列211o2は、ノズル列211o1に対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、オレンジ色のインクを吐出する。
ノズル列211g1は、ノズル列211o2に対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、補助色の1つである緑色のインクを吐出する。ノズル列211g2は、ノズル列211g1に対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔から、それぞれ緑色のインクを吐出する。
吐出ヘッド212は、ヘッドユニット2において、吐出ヘッド211に対し、負の主走査方向側であって、正の副走査方向側にずれた位置に配置される。吐出ヘッド212は、ノズル列212yと、ノズル列212cと、ノズル列212mと、ノズル列212kとを有する。
ノズル列212yは、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるイエロー色のインクを吐出する。ノズル列212cは、ノズル列212yに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列されたノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるシアン色のインクを吐出する。
ノズル列212mは、ノズル列212cに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるマゼンタ色のインクを吐出する。ノズル列212kは、ノズル列212mに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列されたノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるブラック色のインクを吐出する。
吐出ヘッド213は、ヘッドユニット2において、3つの吐出ヘッドの中で最も負の主走査方向側であって、最も正の副走査方向側に配置される。吐出ヘッド213は、ノズル列212yと、ノズル列212cと、ノズル列212mと、ノズル列212kとを有する。各ノズル列の構成、及び機能は、吐出ヘッド212と同様であるため、説明を省略する。
吐出ヘッド211の有するノズル列群211o、及び211gは、それぞれ「第2のノズル列群」の一例である。また吐出ヘッド212の有する、ノズル列212yとノズル列213yとを有するノズル列群の「第1のノズル列群」の一例である。同様に、ノズル列212cとノズル列213cとを有するノズル列群、ノズル列212mとノズル列213mとを有するノズル列群、ノズル列212kとノズル列213kとを有するノズル列群は、それぞれ「第1のノズル列群」の一例である。
図4に示されているように、吐出ヘッド212は吐出ヘッド211に対して副走査方向にずれた位置に配置され、吐出ヘッド213は吐出ヘッド212に対して副走査方向にずれた位置に配置される。このような配置により、ヘッドユニット2の主走査方向への1回の走査において、用紙11にインクを付着させる範囲を副走査方向に拡大することができる。
ここで、吐出ヘッド211~213のそれぞれの副走査方向における両端には、ノズル孔が形成されていないノズル無領域がある。例えば図4に示されるように、吐出ヘッド211の一端のノズル無領域の副走査方向における長さを、長さ2111とし、吐出ヘッド212の一端のノズル無領域の副走査方向における長さを、長さ2121とする。吐出ヘッド212は吐出ヘッド211に対し、少なくとも長さ2111と長さ2121の和以上の長さで、副走査方向において重複するように配置される。その上で、吐出ヘッド212は吐出ヘッド211に対し、負の主走査方向にずれて配置される。このように配置することで、上記のように吐出ヘッド211~213を副走査方向にずらして配置した場合においても、副走査方向で、ノズル無領域によって用紙11にインクが付着されない領域が生じることを防ぐことができる。このような配置とその効果は、吐出ヘッド212に対する吐出ヘッド213の配置においても同様である。
次に、図5は、本実施形態に係る制御部100の構成要素を機能ブロックで示す図である。尚、図5に示される制御部100の機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部又は一部を、任意の単位で機能的又は物理的に分散・結合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、制御部100の有するCPUにて実行されるプログラムにて実現され、或いはワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
例えば制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含み、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで、各部の機能が実現される。またCPUの実行する処理をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路が実行してもよい。
制御部100は、システム制御部101と、吐出周期信号生成部102と、メモリ制御部103と、画像データ格納部104と、キャリッジ制御部105と、プロセスカラー吐出制御部106と、補助色吐出制御部107と、用紙搬送制御部108とを有する。
また制御部100は、吐出ヘッド211を駆動させる駆動部200と、吐出ヘッド212を駆動させる駆動部300と、PC(Personal Computer)400と、操作パネル109と、主走査モータ4と、エンコーダセンサ9と電気的に接続している。
PC400は、用紙11に画像形成する画像データの入力や、画像形成装置1による画像形成の解像度の設定等を行い、画像データや画像形成装置を制御するための指令を制御部100に送信する。PC400には、RIP(Raster Image Processor)部401と、レンダリング部402が含まれる。RIP(Raster Image Processor)部401は、カラープロファイルやユーザの設定に応じて画像処理を実行する。
ここで、マルチ走査方式では、ヘッドユニット2の走査毎で、用紙の11の所定の領域を構成する複数の画素のうち、所定の画素にインクを付着させる。ヘッドユニット2の走査毎でインクを付着させる画素は、レンダリングデータに基づき特定される。
レンダリング部402は、画像データを、ヘッドユニット2の走査毎のレンダリングデータに分解する。その際、レンダリング部402は、インクを付着させる画素を有効データとし、インクを付着させない画素を無効データとし、有効データと無効データとを有する間引きデータを生成する。
間引きデータは、例えば、有効データを「1」とし、無効データを「0」とする二値画像データである。間引きデータと画像データとを積算することで、走査毎でインクを付着させる画素を特定することができる。
レンダリング部402は、間引きデータとして、プロセスカラー用間引きデータと補助色用の間引きデータを生成し、システム制御部101に出力する。
システム制御部101は、PC400から送信された画像データや指令を受信する。また画像形成装置1が備える操作パネル109を介してユーザから操作信号を入力する。これらに応じて画像形成装置1の動作を制御する。
画像データ格納部104は、システム制御部101の受信した画像データを一時的に格納するメモリである。メモリ制御部103は、画像データ格納部104に対する画像データの入力、及び/又は出力を制御する。
吐出周期信号生成部102は、エンコーダセンサ9の出力信号と、ユーザが設定した画像形成の解像度に基づき、キャリッジ部3の移動に同期させて吐出ヘッド211~213がインクを吐出するタイミングを示す信号を生成する。
プロセスカラー吐出制御部106は、システム制御部101とメモリ制御部103を介して、レンダリング部402で生成されたプロセスカラー用間引きデータを入力する。プロセスカラー吐出制御部106は、プロセスカラー用間引きデータに基づき、メモリ制御部103から入力された画像データの有効データに対応する画素で、吐出ヘッド212及び213にプロセスカラーインクを吐出させる。
補助色吐出制御部107は、システム制御部101とメモリ制御部103を介して、レンダリング部402で生成された補助色用間引きデータを入力する。補助色吐出制御部107は、補助色用間引きデータに基づき、メモリ制御部103から入力された画像データの有効データに対応する画素で、吐出ヘッド211に補助色インクを吐出させる。
プロセスカラー吐出制御部106と、補助色吐出制御部107の動作については、別途図7~8を用いて詳述する。尚、プロセスカラー吐出制御部106は、「第1の吐出制御部」の一例であり、補助色吐出制御部107は、「第2の吐出制御部」の一例である。
尚、プロセスカラー吐出制御部106、及び補助色吐出制御部107は、ノズル列毎に吐出制御を行うことも可能である。
キャリッジ制御部105は、エンコーダセンサ9の出力信号に基づき、主走査モータ4を駆動させて、キャリッジ部3の主走査方向における位置を制御する。キャリッジ制御部105は、「主走査部」の一例である。
用紙搬送制御部108は、システム制御部101からの指令に応じて副走査モータ121を駆動させて、用紙11を副走査方向に搬送し、用紙11の副走査方向における位置を制御する。用紙搬送制御部108は、用紙11を副走査方向に搬送することで、相対的に、用紙11に対し、キャリッジ部3を副走査方向に走査させることができる。用紙搬送制御部108は、「副走査部」の一例である。
駆動部200は、駆動波形データ格納部201と、駆動波形生成部202と、DAC(Digital Analog Converter)203と、電圧増幅部204と、電流増幅部205と、冷却FAN制御部206とを有する。駆動部200は吐出ヘッド211を駆動させ、補助色インクを吐出させる。例えば吐出ヘッド211は、印加電圧により伸縮する圧電部材を有し、駆動部200は、圧電部材を駆動させて補助色インクを吐出させる。
駆動波形データ格納部201は、吐出ヘッド211を駆動させるための電圧信号の波形を、駆動波形データとして格納する。
駆動波形生成部202は、駆動波形データに基づき、吐出させるインクの滴サイズに応じた駆動波形を生成する。例えば、駆動波形データが小滴に該当するパルス波形を3つ含む場合、駆動波形生成部202は、小滴の吐出では3つのパルス波形のうち2つを無効化した駆動波形を生成する。また駆動波形生成部202は、中滴の吐出では3つのパルス波形のうち1つを無効化した駆動波形を生成し、大滴の吐出では3つのパルス波形を全て有効にした駆動波形を生成する。
DAC203は、駆動波形をデジタル電圧からアナログ電圧に変換する。変換されたアナログの駆動波形は、電圧増幅部204により電圧を増幅され、電流増幅部205により電流を増幅されて、吐出ヘッド211に入力される。
冷却FAN制御部206は、吐出ヘッド211が備えるサーミスタ207と、冷却FAN208に電気的に接続する。冷却FAN制御部206は、サーミスタ207が検出した温度を示す信号等に基づき、冷却FAN208を駆動させて吐出ヘッド211の温度を制御する。これにより、吐出ヘッド211に充填された補助色インクの温度上昇に伴う粘度変化等を抑制することができる。
駆動部300は、駆動波形データ格納部301と、駆動波形生成部302と、DAC303と、電圧増幅部304と、電流増幅部305と、冷却FAN制御部306とを有し、吐出ヘッド212を駆動させ、プロセスカラーインクを吐出させる。例えば吐出ヘッド212は、印加電圧により伸縮する圧電部材を有し、駆動部300は、圧電部材を駆動させてプロセスカラーインクを吐出させる。
駆動波形データ格納部301の機能は駆動波形データ格納部201と同様であり、駆動波形生成部302の機能は駆動波形生成部202であり、DAC303の機能はDAC203と同様である。また電圧増幅部304の機能は電圧増幅部204と同様であり、電流増幅部305の機能は電流増幅部205と同様であり、冷却FAN制御部306の機能は冷却FAN制御部206と同様である。そのため、これらの説明を省略する。
また制御部100は、吐出ヘッド213の駆動部にも接続し、制御するが、吐出ヘッド212の駆動部300に対する制御と同様であるため、図示と説明を省略する。
尚、図5では、レンダリング部402がPC400に含まれる構成を示したが、制御部100がレンダリング部402の機能を備えてもよい。同様に、制御部100がRIP部401の機能を備えてもよい。また駆動部200の有する一部、又は全部の機能を制御部100が備えてもよいし、駆動部300の有する一部、又は全部の機能を制御部100が備えてもよい。
ここで、マルチ走査方式について説明する。インクジェット方式の画像形成装置では、用紙11に向けてインクが吐出され、用紙11に着弾したインクが用紙11に付着して画素を形成する。画像形成の解像度が高い場合、隣接する画素の間隔が短くなるため、用紙11上に着弾した隣接インクが合一する現象が発生する。尚、合一とは、隣接するインク等の液体が合わさって1つになることであり、2つの画素が合わさってしまうため、画像ノイズとなる。
このような用紙11上でのインクの合一を防止するため、マルチ走査方式では、ヘッドユニット2の複数回の走査毎に分けて、用紙11上にインクを着弾させ、隣接する画素間で、インクの着弾に時間差を与える。
例えば隣接する一方の画素にインクを着弾させた直後に他方のインクを着弾させると、両方のインクが乾燥していない状態になるため、両者が引かれ合って濡れ広がり、合一が発生する場合がある。しかし時間差を与えると、一方の画素のインクは、他方のインクが着弾するまでに乾燥で固まるため、他方のインクが着弾した際に他方のインクに引かれて濡れ広がることがない。これにより隣接画素でのインクの合一が防止される。
マルチ走査方式では、用紙11の所定の領域に対してヘッドユニット2を複数回走査し、走査毎のレンダリングデータに基づきインクを吐出して、所定の領域の画像形成を完成させる。
図6は、マルチ走査方式による画像形成の一例を示す図である。図6(a)は、画像形成の元となる画像データの一例を示している。図6(a)に示されている複数の丸のそれぞれは画素を表し、用紙11の所定の領域を構成する複数の画素に対応する。画像形成においては、このような画素のそれぞれにインクを付着させる。
図6(b)は、走査毎でのレンダリングデータを示している。scan1は、1回目の走査で形成される画像を示すレンダリングデータである。白丸は、インクが吐出され、用紙11にインクが付着する画素を示している。黒丸は、インクが吐出されず、用紙11にインクが付着しない画素を示している。白丸内の数字「1」は、1回目の走査でインクが付着する画素であることを示している。
scan2は、2回目の走査で形成される画像を示すレンダリングデータである。同様に、白丸は、インクが吐出され、用紙11にインクが付着する画素を示し、白丸内の数字「2」は、2回目の走査でインクが付着する画素であることを示している。
scan3は、3回目の走査で形成される画像を示すレンダリングデータである。白丸内の数字「3」は、3回目の走査でインクが付着する画素であることを示している。
scan4は、4回目の走査で形成される画像を示すレンダリングデータである。白丸内の数字「4」は、4回目の走査でインクが付着する画素であることを示している。
図6(c)は、用紙11の所定の領域でインクが付着し、形成された画像を示している。図6(b)で示されているように、走査毎で各画素に順にインクを付着させると、用紙11の所定の領域では、図6(c)に示されるように画像が形成される。
尚、図6では、画像データの3/4をインクが付着しない画素とし、1回の走査で1/4ずつの画素にインクを付着させるレンダリングデータの例を示したが、これに限定はされない。レンダリング部402は、画像形成の解像度や、画像形成のシーケンスに応じて適正なレンダリングデータを生成することができる。
次に、本実施形態の比較例を、図7を参照して説明する。図7は、図4に示したヘッドユニット2を用い、マルチ走査方式により、用紙11の所定の領域を構成する複数の画素に対し、プロセスカラーの1色のインクと補助色の1色のインクを同じ順序で付着させた例を示している。例えば、プロセスカラーのインクはイエロー色のインクであり、補助色のインクはオレンジ色のインクである。
図7では、吐出ヘッド211は、図4で示したものと同様に補助色インクを吐出するが、分かりやすくするために、図4で示したものに対し、ノズル列211o1のうちの4つのノズル孔と、ノズル列211o2のうちの4つのノズル孔が示されている。同様に、吐出ヘッド212、及び213は、図4で示したものと同様にプロセスカラーインクを吐出するが、図4で示したものに対し、ノズル列212yのうちの4つのノズル孔とノズル列213yのうちの4つのノズル孔が示されている。
図7は、吐出ヘッド211のノズル列211o1のうちの1つのノズル孔と、ノズル列211o2のうちの1つのノズル孔から、それぞれ補助色のインクが吐出される例を示している。また吐出ヘッド212のノズル列212yのうちの1つのノズル孔からプロセスカラーのインクが吐出される例を示している。
吐出ヘッド211~213の右方に示されている升目は、用紙11に形成される画像の画素を示している。
吐出ヘッド211に対応して示されている画素領域220は、吐出ヘッド211により補助色インクを付着させる画素領域である。黒色の升目は補助色インクが付着した画素であり、升目に示されている数字は、何回目の走査で補助色インクが付着したかを示している。吐出ヘッド211の2つのノズル孔により補助色インクで8画素の画像を形成する。
吐出ヘッド212に対応して示されている画素領域230は、吐出ヘッド212によりプロセスカラーインクを付着させる画素領域である。灰色の升目はプロセスカラーインクが付着した画素であり、升目に示されている数字は、何回目の走査でプロセスカラーインクが付着したかを示している。吐出ヘッド212の1つのノズル孔によりプロセスカラーインクで8画素の画像を形成する。
図の上方に示されているScan1~Scan8は、走査回数を示している。例えば図7において、「Scan1」の下方には、1回目の走査で、補助色インクが付着された画素と、プロセスカラーインクが付着された画素が、対応付けて示されている。同様に、「Scan1」~「Scan8」の下方に、各回の走査で、補助色インクが付着された画素と、プロセスカラーインクが付着された画素が、対応付けて示されている。
1回目の走査(Scan1)で、吐出ヘッド211は、図示されるように2つの画素に補助色インクを付着させ、吐出ヘッド212は、図示されるように1つの画素にプロセスカラーインクを付着させる。
2回目の走査(Scan2)で、吐出ヘッド211は、1回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。吐出ヘッド212も同様に、1回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
3回目の走査(Scan3)で、吐出ヘッド211は、2回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。この位置には1回目の走査でインクが既に付着しているが、その上に3回目の走査でのインクが重ねて付着される。吐出ヘッド212も同様に、2回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
4回目の走査(Scan4)で、吐出ヘッド211は、3回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。この位置には2回目の走査でインクが既に付着しているが、その上に4回目の走査でのインクが付着される。吐出ヘッド212も同様に、3回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
ここで、補助色インクは、2つのノズル孔から吐出されるため、4回の走査で8画素に付着するべきであるが、1回目と3回目、及び2回目と4回目の走査でそれぞれインクが付着する画素が重複するため、8画素の全てにインクが付着していない。
次に、5回目の走査(Scan5)で、吐出ヘッド211は、4回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。吐出ヘッド212も同様に、4回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
尚、用紙11は負の副走査方向にのみ搬送されるため、5回目の走査において、4回目の走査でインクが付着された画素に対して負の副走査方向に1画素ずれた画素には付着されない。そのため、正確には、例えば図7で補助色インクを付着させる8つの画素のうち、右上の画素にはインクが付着されず、破線で示されている画素221に付着される。しかし見やすさのために、図7では、画素221に付着されるインクを、8つの画素のうちの右上の画素に表示している。吐出ヘッド212によるプロセスカラーインクにおいても同様である。
次に、6回目の走査(Scan6)で、吐出ヘッド211は、5回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。吐出ヘッド212も同様に、5回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
6回の走査で、補助色インクは、8画素の全てにインクが付着する。
7回目の走査(Scan7)で、吐出ヘッド212は、6回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
8回目の走査(Scan8)で、吐出ヘッド212は、7回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
このように、吐出ヘッド212は、例えば、ノズル列212yの1つのノズル孔を用いて、8回の走査で、8画素にプロセスカラーインクを付着させることができる。吐出ヘッド213も同様に動作するため、吐出ヘッド212の1つのノズル孔と、吐出ヘッド213の1つのノズル孔を用いて、8回の走査で合計16画素にプロセスカラーインクを付着させることができる。
一方、吐出ヘッド212は、例えば、ノズル列211o1の1つのノズル孔と、ノズル列211o2の1つのノズル孔を用いて、本来は4回の走査で8画素に補助色インクを付着させ、プロセスカラーと同様に、8回の走査で16画素に補助色インクを付着させる必要がある。しかしプロセスカラーインクと同じ吐出の順序で、補助色インクを吐出させると、上述したように1回目と3回目、及び2回目と4回目の走査でそれぞれインクが付着する画素の位置が重複する。そのため、2つのノズル孔を用いて、4回の走査で8画素にインクを付着させることができない。
従って、プロセスカラーインクの吐出と同じ走査回数で補助色インクを吐出すると、プロセスカラーと同数の画素に、補助色インクを付着させることができず、画素の欠落が生じる。一方で、画素の欠落が生じないようにすると、その分だけ走査回数を増やす(例えば、本来4回走査するところを6回走査する)必要があるため、画像形成時間が長くなる。
ここで、本実施形態に係るインクの付着方法の一例を、図8を参照して説明する。図8は、図4に示したヘッドユニット2を用い、マルチ走査方式により、用紙11の所定の領域を構成する複数の画素に、プロセスカラーの1色のインクと補助色の1色のインクを付着させた例を示している。但し、図7で説明した比較例に対し、図8では、プロセスカラーインクと補助色インクで、走査毎で、画素にインクを付着させる順序を異ならせている。
図8における吐出ヘッドにおけるノズルの数や、画素を表す升目等の見方は、図7と同様のため、説明を省略する。
図8において、1回目の走査(Scan1)で、吐出ヘッド211は、図示されるように2つの画素に補助色インクを付着させ、吐出ヘッド212は、図示されるように1つの画素にプロセスカラーインクを付着させる。
2回目の走査(Scan2)で、吐出ヘッド211は、1回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。吐出ヘッド212も同様に、1回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
3回目の走査(Scan3)で、吐出ヘッド211は、2回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。吐出ヘッド212は、2回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
尚、用紙11は負の副走査方向にのみ搬送されるため、3回目の走査において、2回目の走査でインクが付着された画素に対して負の副走査方向に1画素ずれた画素には付着されない。そのため、正確には、例えば図8で補助色インクを付着させる8つの画素のうち、右上の画素にはインクが付着されず、破線で示されている画素222に付着される。しかし見やすさのために、画素222に付着されるインクを、図8の8つの画素のうちの右上の画素に表示している。
4回目の走査(Scan4)で、吐出ヘッド211は、3回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、負の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素に補助色インクを付着させる。吐出ヘッド212は、3回目の走査でインクを付着させた各画素に対し、正の主走査方向に1画素、正の副走査方向に1画素ずれた画素にプロセスカラーインクを付着させる。
ここで、補助色インクは、図7で説明した例とは異なり走査毎でインクが付着する画素の重複がないため、4回の走査で8画素の全てにインクが付着している。
5回目の走査(Scan5)以降に、吐出ヘッド212が、各画素にプロセスカラーインクを付着させる順序は、図7で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
このように、吐出ヘッド212は、例えば、ノズル列212yの1つのノズル孔を用いて、8回の走査で、8画素にプロセスカラーインクを付着させることができる。吐出ヘッド213も同様に動作するため、吐出ヘッド212の1つのノズル孔と吐出ヘッド213の1つのノズル孔を用いて、8回の走査で合計16画素にプロセスカラーインクを付着させることができる。
一方、補助色インクも、プロセスカラーインクに対して吐出の順序を変えることで、例えば、ノズル列211o1の1つのノズル孔と、ノズル列211o2の1つのノズル孔を用いて、4回の走査で8画素に補助色インクを付着させることができる。8回の走査で16画素に補助色インクを付着させることができる。このようにして、プロセスカラーインクと同じ走査回数で、プロセスカラーと同数の画素に、補助色インクを付着させることができる。走査回数を増やす必要がなく、画像形成時間や、インクの消費量の増大を防止することができる。
尚、図8において、画素領域230は、「第1の領域」の一例であり、用紙11の画素領域230を構成する複数の画素に対し、吐出ヘッド212によりプロセスカラーインクを付着させる順序は、「第1の順序」の一例である。また図8において、画素領域220は、「第2の領域」の一例であり、用紙11の画素領域220を構成する複数の画素に対し、吐出ヘッド211により補助色インクを付着させる順序は、「第2の順序」の一例である。
図9は、本実施形態に係る制御部100による処理の一例を示すフローチャ-トである。
先ず、キャリッジ制御部105は、エンコーダセンサ9の出力信号に基づき、主走査モータ4を駆動させて、キャリッジ部3を主走査方向に走査し、ヘッドユニット2を主走査方向に位置に移動させる(ステップS91)。
次に、ヘッドユニット2が移動する間に、プロセスカラー吐出制御部106は、吐出ヘッド212、及び213を駆動させ、用紙11の第1の領域を構成する複数の画素に、第1の順序に沿ってプロセスカラーインクを付着させる(ステップS92)。
ヘッドユニット2が移動する間に、補助色吐出制御部107は、吐出ヘッド211を駆動させ、用紙11の第2の領域を構成する複数の画素に、第2の順序に沿って補助色インクを付着させる(ステップS93)。
システム制御部101は、主走査方向への1回の走査が完了したかを判断する(ステップS94)。
主走査方向への1回の走査が完了していない場合は(ステップS94、No)、ステップS91に戻る。主走査方向への1回の走査が完了した場合(ステップS94、Yes)は、用紙搬送制御部108は、副走査モータ121を駆動させて、用紙11を副走査方向に搬送し、用紙11を副走査方向における所定の位置に移動させる(ステップS95)。用紙搬送制御部108は、用紙11を副走査方向に搬送することで、相対的に、用紙11に対し、キャリッジ部3を副走査方向に走査させることができる。
システム制御部101は、副走査方向への1回の走査が完了したかを判断する(ステップS96)。
副走査方向への1回の走査が完了していない場合は(ステップS96、No)、ステップS95に戻る。副走査方向への1回の走査が完了した場合(ステップS96、Yes)は、システム制御部101は、用紙11の所定の領域の画像形成が完了したかを判断する(ステップS97)。
用紙11の所定の領域の画像形成が完了していない場合は(ステップS97、No)、ステップS91に戻る。用紙11の所定の領域の画像形成が完了した場合(ステップS97、Yes)は、制御部100は処理を終了する。
このようにして、画像形成装置1は、制御部100の制御下で、用紙11の所定の領域に画像形成することができる。
本実施形態の画像形成装置の効果を説明する。補助色インクを用いる液体吐出装置において、プロセスカラーインクに対して補助色インクは使用頻度が少ないため、プロセスカラーインク用の吐出ヘッドの数に対して補助色インク用の吐出ヘッドの数を少なくする場合がある。
例えば、上述したように、所定の数のノズル列を有する吐出ヘッドのうち、1つの吐出ヘッドのみを補助色インクの吐出に用い、他の複数の吐出ヘッドをプロセスカラーインクの吐出に用いる場合等である。この場合、例えば、1色の補助色インク吐出のために、1つの吐出ヘッドに対してノズル列を主走査方向に2列配置し、1色のプロセスカラーインクの吐出のために、2つの吐出ヘッドに対してノズル列を副走査方向に1列ずつ配置する。このようなノズル列の配置により、1色の補助色インクを吐出するノズル孔の数と、1色のプロセスカラーインクを吐出するノズル孔の数は等しくなる。そのため適切であれば、所定の走査回数で、プロセスカラーインクと補助色インクを同じ数の画素に付着させることができるところ、ノズル列の配置の違いに起因して、記録媒体の所定の領域に補助色インクを適切に付着できなくなる場合があった。
本実施形態では、走査に応じて、用紙11の第1の領域を構成する複数の画素に、プロセスカラーのインクを第1の順序で付着させ、用紙11の第2の領域を構成する複数の画素に、補助色のインクを第2の順序で付着させる。これにより、走査毎での補助色インクが付着する画素の重複を防ぎ、プロセスカラーと補助色で、同じ走査回数で同じ画素数の画像形成を行うことができる。
走査の回数を増やすことなく、補助色による画像形成を完成させることができ、画像形成時間の増大を防止することができる。そして補助色インクを用いたマルチ走査方式の液体吐出装置において、記録媒体の所定の領域に補助色インクを適切に付着させることができる。
ここで、図10は、本実施形態に係るヘッドユニットの構成の変形例を示す図である。図10は、インクの吐出方向から視たヘッドユニット2aの平面図である。
ヘッドユニット2aは、吐出ヘッド215と、吐出ヘッド216とを有する。吐出ヘッド215、及び216は、何れも図3で説明した吐出ヘッド21と同様の構成を備える。
吐出ヘッド215は、ヘッドユニット2において、2つの吐出ヘッドの中で最も正の主走査方向側であって、最も負の副走査方向側に配置される。吐出ヘッド215は、ノズル列群215oと、ノズル列215yと、ノズル列215mとを有する。またノズル列群215oはノズル列215o1と、ノズル列215o2とを有する。
ノズル列215yは、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるイエロー色のインクを吐出する。ノズル列215mは、ノズル列215yに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるマゼンタ色のインクを吐出する。
ノズル列215o1は、ノズル列215mに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、補助色の1つであるオレンジ色のインクを吐出する。ノズル列215o2は、ノズル列215o1に対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、オレンジ色のインクを吐出する。
吐出ヘッド216は、ヘッドユニット2において、吐出ヘッド215に対し、負の主走査方向側であって、正の副走査方向側にずれた位置に配置される。吐出ヘッド216は、ノズル列216yと、ノズル列216cと、ノズル列216mと、ノズル列216kとを有する。
ノズル列216yは、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるイエロー色のインクを吐出する。ノズル列216cは、ノズル列216yに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列されたノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるシアン色のインクを吐出する。
ノズル列216mは、ノズル列216cに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列された64個のノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるマゼンタ色のインクを吐出する。ノズル列216kは、ノズル列216mに対し、正の主走査方向に離れた位置に設けられ、副走査方向に配列されたノズル孔からそれぞれ、プロセスカラーの1つであるブラック色のインクを吐出する。
吐出ヘッド215の有するノズル列群215oは、「第2のノズル列群」の一例である。また吐出ヘッド216の有する、ノズル列215yとノズル列216yとを有するノズル列群は、「第1のノズル列群」の一例であり、ノズル列215mとノズル列216mとを有するノズル列群は、「第1のノズル列群」の一例である。
図4に示されているように、吐出ヘッド212は吐出ヘッド211に対して副走査方向にずれた位置に配置され、吐出ヘッド213は吐出ヘッド212に対して副走査方向にずれた位置に配置される。このように配置することで、ヘッドユニット2の主走査方向への1回の走査で、用紙11にインクを付着させる範囲を、副走査方向に拡大することができる。
吐出ヘッド215、及び216の相互の位置関係については、ヘッドユニット2における吐出ヘッド211~213と同様であるため、説明を省略する。
吐出ヘッド215を用いて、図8で説明した方法で、用紙11に補助色インクを吐出させ、吐出ヘッド216を用いて、図8で説明した方法で、用紙11にプロセスカラーインクを吐出させることで、ヘッドユニット2を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る液体吐出装置を説明する。尚、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明を省略する。
第1の実施形態では、用紙11の所定の領域を構成する複数の画素に、走査に応じて第1の順序でプロセスカラーインクを付着させ、第2の順序で補助色インクを付着させた。具体的には、例えば、プロセスカラー吐出制御部106は、3回目の走査で、2回目の走査によりプロセスカラーインクを付着させた画素に対し、負の主走査方向に1画素、及び正の副走査方向に1画素ずれた位置にプロセスカラーインクを付着させた。これに対し、補助色吐出制御部107は、3回目の走査で、2回目の走査により補助色インクを付着させた画素に対し、正の副走査方向に1画素ずれた位置に補助色インクを付着させた。
本実施形態では、補助色インクを付着させる第2の順序を変更可能にする。例えば補助色吐出制御部107は、3回目の走査で、2回目の走査により補助色インクを付着させた画素に対し、正の副走査方向に1画素ずれた位置から別の位置に変更可能にする。
図11は、本実施形態に係る制御部100aの構成要素を機能ブロックで示す図である。制御部100aは、吐出順序変更部110を有する。吐出順序変更部110は、用紙11の所定の領域を構成する複数の画素に対し、補助色吐出制御部107が走査毎に補助色インクを付着させる順序(第2の順序の一例)を変更させる。
例えば、ヘッドユニット2において、補助色インクを吐出するノズル列と、プロセスカラーインクを吐出するノズル列の配置を変更する場合がある。ノズル列の配置により、補助色インクを用紙11に付着させる適切な順序が変わる場合がある。
本実施形態では、吐出順序変更部110を備えることで、補助色インクを吐出するノズル列と、プロセスカラーインクを吐出するノズル列の配置に応じて、補助色インクを用紙11に付着させる順序を適切にすることができる。
尚、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
以上、実施形態に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
なお、上述した実施形態及び変形例では、補助色のインクの場合を例に説明したが、プロセスカラーのインクでも使用する頻度によっては、上述したものと同様に、記録媒体の所定の領域にプロセスカラーインクを適切に付着できなくなる場合がある。実施形態及び変形例は、このような場合にも適用でき、プロセスカラーインクを、記録媒体の所定の領域に適切に付着させることができる。
また本実施形態は、液体吐出方法、及びプログラムも含む。例えば、液体吐出方法は、液体を吐出するノズル孔が主走査方向と交差する副走査方向に複数配列されているノズル列を有し、前記液体を記録媒体に付着させる液体吐出装置であって、画像形成用の第1の色の前記液体を吐出する前記ノズル列が、前記副走査方向に少なくとも2つ配列されている第1のノズル列群と、前記第1の色とは異なる第2の色の前記液体を吐出する前記ノズル列が、前記主走査方向に少なくとも2つ配列されている第2のノズル列群と、を有する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記第1のノズル列群、及び前記第2のノズル列群を、前記記録媒体に対し、前記主走査方向に複数回走査させる工程と、前記第1のノズル列群、及び前記第2のノズル列群を、前記記録媒体に対し、前記副走査方向に複数回走査させる工程と、前記第1のノズル列群により、前記主走査部、及び前記副走査部による走査に応じて、前記記録媒体の第1の領域を構成する複数の画素に、前記第1の色の前記液体を、第1の順序で付着させる工程と、前記第2のノズル列群により、前記主走査部、及び前記副走査部による走査に応じて、前記記録媒体の第2の領域を構成する複数の画素に、前記第2の色の前記液体を、前記第1の順序とは異なる第2の順序で付着させる工程と、を含む。
またプログラムは、液体を吐出するノズル孔が主走査方向と交差する副走査方向に複数配列されているノズル列を有し、前記液体を記録媒体に付着させる液体吐出装置であって、画像形成用の第1の色の前記液体を吐出する前記ノズル列が、前記副走査方向に少なくとも2つ配列されている第1のノズル列群と、前記第1の色とは異なる第2の色の前記液体を吐出する前記ノズル列が、前記主走査方向に少なくとも2つ配列されている第2のノズル列群と、を有する液体吐出装置で実行されるプログラムであって、前記第1のノズル列群、及び前記第2のノズル列群を、前記記録媒体に対し、前記主走査方向に複数回走査させる処理と、前記第1のノズル列群、及び前記第2のノズル列群を、前記記録媒体に対し、前記副走査方向に複数回走査させる処理と、前記第1のノズル列群により、前記主走査部、及び前記副走査部による走査に応じて、前記記録媒体の第1の領域を構成する複数の画素に、前記第1の色の前記液体を、第1の順序で付着させる処理と、前記第2のノズル列群により、前記主走査部、及び前記副走査部による走査に応じて、前記記録媒体の第2の領域を構成する複数の画素に、前記第2の色の前記液体を、前記第1の順序とは異なる第2の順序で付着させる処理と、を実行する。
このような液体吐出方法、及びプログラムによれば、上記の液体吐出装置と同様の効果を得ることができる。