JP7286463B2 - 制震装置 - Google Patents
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Description
複数の制震ダンパーが設けられた制震装置では、複数の制震ダンパーがシアリンク部材を介してV字形状に設置されていたり、複数の制震ダンパーが交差して設置されていたりする。
また、複数の制震ダンパーが交差して設置された制震装置では、交差する制震ダンパー間の干渉を避けるために、互いに交差する一方の制震ダンパーに貫通孔を設け、この貫通孔に他方の制震ダンパーを挿通させる必要がある。このため、複数の制震ダンパーが交差して設置された制震装置においても、設置作業に手間がかかるという問題がある。
さらに、いずれの場合においても、設置構面が大きく閉鎖されるため、出入口などの開口部の位置が規制されるなど設計の自由度がなくなるという問題もある。
これにより、制震装置における第1構造部と第2構造部の第1方向の相対変位の減衰力を増大させることができ、制震装置の高耐力化を図ることができる。
第1制震ダンパーと第2制震ダンパーとは、並列に配置されていることにより、第1制震ダンパーと第2制震ダンパーとが干渉することが無く、容易に設置することができる。第3制震ダンパーは、第1制震ダンパーと第2制震ダンパーとの間に設けられていることにより、第1制震ダンパーおよび第2制震ダンパーと接合部以外で干渉することがなく、容易に設置することができる。
また、第1制震ダンパーと第2制震ダンパーとは並列に設けられ、第3制震ダンパーは第1制震ダンパーと第2制震ダンパーとの間に設けられたコンパクトな形状であるため、制震装置が設置構面を大きく閉鎖することが無く、設計上の自由度を高めることができる。
このような構成とすることにより、第1構造部と第2構造部との相対変位が所定値となるまでは、第1制震ダンパーおよび第2制震ダンパーが、第1構造部と第2構造部との相対変位を減衰させる。第1構造部と第2構造部との相対変位が所定値以上となると、第1制震ダンパー、第2制震ダンパーおよび第3制震ダンパーが、第1構造部と第2構造部との相対変位を減衰させる。このため、所定のレベルまでの地震では、第1制震ダンパーおよび第2制震ダンパーを作用させ、それ以上のレベルの地震では、てすべての制震ダンパーを作用させて過度な相対変位を抑えることができる。
このような構成とすることにより、制震装置を安価に設置することができる。
図1に示すように、本実施形態による制震装置1は、建物の柱12,13と梁14,15とによって囲まれる架構11(設置構面)に配置されている。
架構11の両側に位置する柱12,13のうちの架構11の一方側に設けられた柱を第1柱12とし、架構11の他方側に設けられた柱を第2柱13とする。架構の上側および下側に位置する梁14,15のうち、架構11の下側に設けられた梁を第1梁14とし、架構11の上側に設けられた梁を第2梁15とする。
第1梁14および第2梁15は、それぞれ一方の端部が第1柱12に接合され、他方の端部が第2柱13に接合されている。
第1制震ダンパー2および第2制震ダンパー3は、ブレース型の摩擦ダンパーで構成されている。第1制震ダンパー2、第1柱12側から第2柱13側に向かって漸次上側に向かう斜め方向(第1方向、以下、第1斜め方向とする)に延びて、架構11における対角となる2つの角部それぞれに接合されている。
第1制震ダンパー2および第2制震ダンパー3は、第1柱12と第1梁14との第1柱梁接合部16(第1構造部)に設けられた第1ガセットプレート161、および第2柱13と第2梁15との第2柱梁接合部17(第2構造部)に設けられた第2ガセットプレート171のそれぞれに接合されている。
本実施形態では、第1制震ダンパー2および第2制震ダンパー3は、第1制震ダンパー2が第2制震ダンパー3よりも上側に配置されるように並列に配置されている。
第1軸材21は、例えば、鋼管や形鋼などの長尺の部材で、軸線が第1斜め方向に延びる向きに設置される。
第1軸材21は、一方の端部近傍が第1ガセットプレート161にボルト接合などによって剛接合され、他方の端部近傍が第2軸材22と接続されている。第1軸材21における他方の端部近傍を第1軸材接続部23とする。
第2軸材22は、一方の端部側が第2ガセットプレート171にボルト接合などによって剛接合され、他方の端部側が第1軸材21と接続されている。第2軸材22における他方の端部近傍を第2軸材接続部24とする。
第1軸材21と第2軸材22とは、同軸に配列されていて、第1軸材接続部23と第2軸材接続部24とが重なって配置されている。第1軸材21と第2軸材22とは、軸線方向(第1斜め方向)に相対変位可能に構成されている。
第1制震ダンパー2は、第1軸材21と第2軸材22とが軸線方向に相対変位すると、摩擦材25と摺動部26との間に摩擦力が生じ、第1軸材21と第2軸材22との相対変位を減衰するように構成されている。
第1制震ダンパー2における第1軸材21と第2軸材22との接続部(摩擦材25および摺動部26が設けられている部分、以下、第1接続部27とする)は、第1制震ダンパー2の上部側に設けられている。
第2制震ダンパー3は、第1軸材21の一方の端部が第2ガセットプレート171に接合され、第2軸材22の一方の端部が第1ガセットプレート161に接合されている。
第2制震ダンパー3における第1軸材21と第2軸材22との接続部(摩擦材25および摺動部26が設けられている部分、以下、第2接続部28とする)は、第2制震ダンパー3の上部側に設けられている。
このため、第1接続部27は、第2接続部28よりも第1斜め方向に沿った斜め上方に間隔をあけて配置されている。
本実施形態では、第1制震ダンパー2および第2制震ダンパー3それぞれの最大耐力を2MNとしている。
第3制震ダンパー4は、第1板材41と、第2板材42と、を有し、第1板材41と第2板材42とが相対変位可能に接続されている。
第1板材41において、板面の長辺が延びる方向を長手方向とし、板面の短辺が延びる方向を短手方向とする。
第1板材41は、長手方向が第1斜め方向となる向きで、かつ板面が架構11に沿った向きに設置される。
第1板材41は、短手方向の一方側が第1制震ダンパー2の第1軸材21にボルト接合などによって剛接合され、他方側が第2制震ダンパー3側に突出して、第2板材42と接続されている。第1板材41における短手方向の他方側の部分を第1板材接続部43とする。
第2板材42において、板面の長辺が延びる方向を長手方向とし、板面の短辺が延びる方向を短手方向とする。
第2板材42は、長手方向が第1斜め方向となる向きで、かつ板面が架構11に沿った向きに設置される。
第2板材42は、短手方向の一方側が第1制震ダンパー2の第1軸材21にボルト接合などによって剛接合され、他方側が第1制震ダンパー2側に突出して、第1板材41と接続されている。第2板材42における短手方向の他方側の部分を第2板材接続部44とする。
第1板材41と第2板材42とは、第1板材接続部43と第2板材接続部44とが平行に重なって配置されている。第1板材41と第2板材42とは、長手方向(第1斜め方向)に相対変位可能に構成されている。
本実施形態の制震装置1には、第3制震ダンパー4が第1斜め方向に3つ並んで設けられている。3つの第3制震ダンパー4は、第1斜め方向における第1接続部27と第2接続部28との間となる位置に第1斜め方向に配列して設置されている。
本実施形態では、3つの第3制震ダンパー4それぞれの最大耐力を1MNとしている。
第1軸材21と第2軸材22とが第1斜め方向に相対変位することにより、摩擦材25と摺動部26との間に摩擦が生じ、第1軸材21と第2軸材22との相対変位を減衰させる。これにより、層間変位が減衰される。
上述しているが、第3制震ダンパー4の第1板材41と第2板材42とが第1斜め方向に相対変位することにより、摩擦材45と摺動部46との間に摩擦が生じ、第1板材41と第2板材42との相対変位を減衰させることができる。このため、制震装置1の最大耐力は、第1制震ダンパー2の最大耐力、第2制震ダンパー3の最大耐力、および3つの第3制震ダンパー4の最大耐力を合わせた値となり、7MNとなる。
上述した本実施形態による制震装置1では、建物の層間における第1斜め方向の相対変位を減衰可能な第1制震ダンパー2および第2制震ダンパー3が並列して設けられている。さらに本実施形態による制震装置1では、第1制震ダンパー2と第2制震ダンパー3との間に第1制震ダンパー2と第2制震ダンパー3との第1斜め方向の相対変位を減衰可能な第3制震ダンパー4が設けられている。
これにより、制震装置1における層間変位(第1斜め方向の相対変位)の減衰力を増大させることができ、制震装置1の高耐力化を図ることができる。
また、本実施形態による制震装置1では、第1制震ダンパー2と第2制震ダンパー3とは並列に設けられ、第3制震ダンパー4は第1制震ダンパー2と第2制震ダンパー3との間に設けられたコンパクトな形状である。このため、制震装置1が架構11を大きく閉鎖することが無く、設計上の自由度を高めることができる。
例えば、上記の実施形態では、制震装置1は、第1柱梁接合部16と、第2柱梁接合部17との間に設けられているが、相対変位可能な2つの構造部(第1構造部、第2構造部)との間に設けられていればよい。例えば、2つの柱の間や、柱と梁との間、柱と床との間、梁と壁との間などに設けられていてもよい。
これに対し本発明では、制震装置は、第1制震ダンパー2と第2制震ダンパー3との第1斜め方向の相対変位が所定値以上、または所定値を超えた場合に、第3制震ダンパー4の第1板材41と第2板材42とが第1斜め方向に相対変位するように構成されていてもよい。
そして、ボルト46は、長孔のボルト孔411に沿って変位可能に構成されている。
第3制震ダンパー4の第1板材41と第1制震ダンパー2の第1軸材21とが第1斜め方向に相対変位しても、ボルト46が長孔のボルト孔411の端部に位置するまでは、第1制震ダンパー2の第1軸材21の変位が第3制震ダンパー4の第1板材41に伝達しない。
そして、第3制震ダンパー4の第2板材42と第2制震ダンパー3の第1軸材21とが第1斜め方向に相対変位しても、ボルト46が長孔のボルト孔421の端部に位置するまでは、第2制震ダンパー3の第1軸材21の変位が第3制震ダンパー4の第1板材41に伝達しない。
例えば、第1制震ダンパー2および第2制震ダンパー3に摺動部26が明確なオイルダンパーや回転慣性質量ダンパーを採用し、第3制震ダンパー4に壁型の粘弾性ダンパーを採用してもよい。
2 第1制震ダンパー
3 第2制震ダンパー
4 第3制震ダンパー
16 第1柱梁接合部(第1構造部)
17 第2柱梁接合部(第2構造部)
Claims (3)
- 相対変位可能な第1構造部と第2構造部との間に並列に配置される第1制震ダンパーおよび第2制震ダンパーと、
前記第1制震ダンパーと前記第2制震ダンパーとを連結する第3制震ダンパーと、を有し、
前記第1制震ダンパーおよび前記第2制震ダンパーは、それぞれ前記第1構造部と前記第2構造部の第1方向の相対変位を減衰可能に構成され、
前記第3制震ダンパーは、前記第1制震ダンパーと前記第2制震ダンパーとの前記第1方向の相対変位を減衰可能に構成されていることを特徴とする制震装置。 - 前記第3制震ダンパーは、前記第1制震ダンパーと前記第2制震ダンパーとの前記第1方向の相対変位が所定値以上となると、前記相対変位を減衰可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制震装置。
- 前記第1制震ダンパー、前記第2制震ダンパーおよび第3制震ダンパーは、摩擦ダンパーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の制震装置。
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JP2019141097A JP7286463B2 (ja) | 2019-07-31 | 2019-07-31 | 制震装置 |
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