JP7285795B2 - エンジン - Google Patents
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Description
少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された少なくとも1つのピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、規定の総噴孔面積を有する第1燃料噴射弁と、前記第1燃料噴射弁の総噴孔面積よりも小さい総噴孔面積を有する第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
エンジンの負荷に応じて、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備える。
少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された第1ピストンと、
前記第1ピストンが配置された前記気筒と同一の前記気筒に配置された第2ピストンであって、前記第1ピストンと対向して配置された第2ピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、第1燃料噴射弁と、第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
エンジンの高負荷時には、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の両方から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御し、
前記エンジンの低負荷時には、前記第1燃料噴射弁からの燃料の噴射は停止し、前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成されている。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、一実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示した断面図である。図2は、他の実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示した断面図である。図3は、さらに他の実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示した断面図である。図4は、図1及び図3に示したエンジンの燃料噴射系統に関する構成を示す図である。図5は、図2に示したエンジンの燃料噴射系統に関する構成を示す図である。
幾つかの実施形態に係るエンジン1は、図1乃至図5に示すように、エンジン本体11と、制御装置(ECU)13と、燃料ポンプ15と、コモンレール17と、燃料噴射弁100とを備えている。
燃料ポンプ15は、エンジン1に燃料を供給するためのポンプである。
コモンレール17は、燃料ポンプ15から供給された燃料を所定の供給圧力に蓄圧する蓄圧装置である。
燃料噴射弁100は、コモンレール17から供給された燃料をエンジン本体11における気筒(シリンダ)20内に噴射するための燃料噴射装置である。
図1乃至図3に示すように、幾つかの実施形態に係るエンジン1では、燃料噴射弁100は、上記少なくとも1つの気筒20に配置された複数の燃料噴射弁100であって、規定の総噴孔面積を有する第1燃料噴射弁101と、第1燃料噴射弁101の総噴孔面積(第1総噴孔面積Sa1)よりも小さい総噴孔面積(第2総噴孔面積Sa2)を有する第2燃料噴射弁102と、を含む。燃料噴射弁100は、制御装置13からの開弁信号を受信している間だけ開弁して、供給された燃料が噴射可能となるように構成されている。
また、幾つかの実施形態に係る燃料ポンプ15は、第1コモンレール171に燃料を供給するための第1燃料ポンプ151と、第2コモンレール172に燃料を供給するための第2燃料ポンプ152とを含んでいる。
図1に示すエンジン1A及び図2に示すエンジン2Bは、例えばそれぞれ対向ピストンエンジンであり、上記少なくとも1つの気筒20のそれぞれにおいて、1対のピストン30が互いに同一の気筒20内に配置され、気筒20の軸線方向に沿って反対方向に移動するように構成されている。すなわち、図1及び図2に示すエンジン1では、上記少なくとも1つのピストン30は、第1ピストン31と、第1ピストン31が配置された気筒20と同一の気筒20に配置された第2ピストン32であって、第1ピストン31と対向して配置された第2ピストン32と、を含む。
例えば図1に示すエンジン1Aは、気筒数が1である単気筒型の対向ピストンエンジンである。例えば図2に示すエンジン1Bは、気筒数が3である多気筒型の対向ピストンエンジンである。図1に示すエンジン1A及び図2に示すエンジン2Bは、例えばユニフロー方式の2サイクルディーゼルエンジンである。なお、図2に示すエンジン1Bでは、気筒数が3であるが、2又は4以上であってもよい。
同様に、第2ピストン32は、ピストンピン41を介してコネクティングロッド43の一端に連結され、コネクティングロッド43の他端は第2クランクシャフト221に連結されている。
図1及び図2に示すエンジン1では、第1出力軸213を中心とした第1クランクシャフト211の回転、及び、第2出力軸223を中心とした第2クランクシャフト221の回転により、第1ピストン31及び第2ピストン32は互いに同期して気筒20の内部を往復動する。
なお、図1及び図2に示すエンジン1では、掃気ポート26及び排気ポート27は、各気筒20の周方向に複数配置される。
図3に示すエンジン1Cは、例えば1つの気筒20内に1つのピストン30が配置されたユニフロー方式の2サイクルディーゼルエンジンである。なお、例えば図3に示すエンジン1は、気筒数が1である単気筒型のエンジンであるが、気筒数が2以上である多気筒型のエンジンであってもよい。
図3に示すエンジン1Cでは、ピストン30は、ピストンピン41を介してコネクティングロッド43の一端に連結され、コネクティングロッド43の他端はクランクシャフト210に連結されている。
図3に示すエンジン1Cでは、出力軸215を中心としたクランクシャフト210の回転により、ピストン30は気筒20の内部を往復動する。
なお、図3に示すエンジン1Cでは、掃気ポート26は、気筒20の周方向に複数配置される。図3に示すエンジン1Cでは、排気ポート27は、排気弁29によって開閉が制御される。
図6は、幾つかの実施形態に係る燃料噴射弁の模式的な外観図である。なお、図6では、燃料噴射弁の本体部(ボディ)の基端側の記載を省略している。
図7は、図6におけるVII-VII矢視断面図である。なお、図7は、燃料噴射弁が第1燃料噴射弁である場合の断面の一例を示す図である。
図8は、図6におけるVIII-VIII矢視断面図である。なお、図8は、燃料噴射弁が第2燃料噴射弁である場合の断面の一例を示す図である。
図1乃至図5に示す幾つかの実施形態では、図6に示すように、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102は、それぞれ気筒20内に燃料を噴射するための噴射孔105を有する。第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102のそれぞれには、例えば複数の噴射孔105が燃料噴射弁100の本体部109(ボディ)の先端部109aに形成されている。
なお、噴射孔105の配置位置や配置数は、図示のものに限定されない。
また、図6では、複数の噴射孔105の噴孔径が同一ではないが、同一であってもよい。
図9Aは、幾つかの実施形態に係る第1燃料噴射弁の噴射孔に関する表である。
図9Bは、幾つかの実施形態に係る第2燃料噴射弁の噴射孔に関する表である。
幾つかの実施形態に係る燃料噴射弁100では、噴射孔105の径又は噴射孔105の数の少なくとも何れか一方を変更することで、個々の噴射孔105の面積sの合計値である総噴孔面積Saを変更できる。
また、例えば、図9A及び図9Bに示した「例2」同士に着目すると、第1燃料噴射弁101と第2燃料噴射弁102とでは、噴孔数が同じであるが、噴孔径を異ならせることで、第1燃料噴射弁101と第2燃料噴射弁102とで総噴孔面積Saを異ならせている。
なお、図9A及び図9Bに挙げた内容は、単なる例示であって、噴孔径や噴孔数、総噴孔面積Sa、噴孔径と噴孔数との組合せ等は、図示した内容に限定されない。また、第1燃料噴射弁101と第2燃料噴射弁102とで噴孔径及び噴孔数の双方を異なわせることで、第1燃料噴射弁101と第2燃料噴射弁102とで総噴孔面積Saを異ならせてもよい。
一般的には、エンジンにおいては、定格条件、すなわち高負荷時において熱効率が最も高くなるようにすることが望まれている。そのため、例えば、高負荷時において燃焼期間を短縮することで等容度を改善して熱効率を向上させることが考えられる。そこで、燃料噴射弁における噴孔面積(総噴孔面積Sa)を大きくすることにより燃料噴射期間を短くすることが考えられる。しかし、燃料噴射弁における噴孔面積を大きくすると、低負荷時における燃料噴射量が必要以上に大きくなるおそれがあり、熱効率の悪化を招くおそれがある。
したがって、低負荷時に燃料噴射期間を長くすることで、必要以上に燃料を噴射することを抑制しつつ、噴霧状態を安定化して燃焼状態を安定化できる。
幾つかの実施形態では、制御装置13は、エンジン1の高負荷時(例えば第1負荷時)には、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の両方から燃料が噴射されるように第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102を制御するように構成されている。また、幾つかの実施形態では、制御装置13は、エンジン1の低負荷時(例えば第1負荷よりも負荷が小さい第2負荷時)には、第1燃料噴射弁101からの燃料の噴射は停止し、第2燃料噴射弁102から燃料が噴射されるように第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102を制御するように構成されている。
図10に示すように、幾つかの実施形態では、制御装置13は、例えばエンジン1の負荷の大きさが25%となる負荷を境に、高負荷時には第1燃料噴射弁101を作動させ、低負荷時には第1燃料噴射弁101を作動させないように第1燃料噴射弁101を制御する。なお、エンジン1の負荷の大きさを表す数値は、エンジン1における最大出力を100%として表している。
すなわち、幾つかの実施形態では、制御装置13は、エンジン1の負荷が低負荷から高負荷になるとき、又は、高負荷から低負荷になるときとで、燃料噴射弁100の作動及び非作動の切替に関してヒステリシスを持たせるとよい。
以下の説明では、燃料噴射弁100の作動及び非作動の切替に関して該ヒステリシスを持たされているものとする。
以下の説明では、第2-1燃料噴射弁121における第1総噴孔面積Sa1を第2-1総噴孔面積Sa1Bとも称する。同様に、第2-2燃料噴射弁122における第2総噴孔面積Sa2を第2-2総噴孔面積Sa2Bとも称する。
以下の説明では、第3-1燃料噴射弁131における第1総噴孔面積Sa1を第3-1総噴孔面積Sa1Cとも称する。同様に、第3-2燃料噴射弁132における第2総噴孔面積Sa2を第3-2総噴孔面積Sa2Cとも称する。
幾つかの実施形態によれば、低負荷時には、第1燃料噴射弁101からの燃料噴射を行わずに、第2燃料噴射弁102から燃料を噴射することで、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の双方から燃料を噴射する場合と比べて燃料噴射期間を長くすることができる。また、第1燃料噴射弁101からの燃料噴射を行わずに、総噴孔面積Saがより小さい第2燃料噴射弁102から燃料を噴射することで、第2燃料噴射弁102からの燃料噴射を行わずに、総噴孔面積Saがより大きい第1燃料噴射弁101から燃料を噴射する場合と比べて燃料噴射期間をより長くすることができる。これにより、低負荷時に燃料噴射期間を長くすることで、必要以上に燃料を噴射することを抑制しつつ、噴霧状態をより安定化して燃焼状態をより安定化できる。
なお、燃料噴射弁100の噴射圧は、コモンレール17内の燃料の圧力であるレール圧に依存する。
そこで、制御装置13は、例えば、第1燃料噴射弁101の作動又は非作動を切り替える負荷の大きさを境に、高負荷時には第2コモンレール172のレール圧が第1圧力となるように第2燃料ポンプ152を制御するように構成されているとよい。また、制御装置13は、例えば、第1燃料噴射弁101の作動又は非作動を切り替える負荷の大きさを境に、低負荷時には第2コモンレール172のレール圧が第1圧力よりも低い第2圧力となるように第2燃料ポンプ152を制御するように構成されているとよい。
そこで、高負荷時には、低負荷時よりも第2燃料噴射弁102の噴射圧を上げるようにすることで、高負荷時における単位時間当たりの第2燃料噴射弁102からの燃料噴射量と単位時間当たりの第1燃料噴射弁101からの燃料噴射量との差を抑制できる。したがって、高負荷時において必要とされる燃料噴射量を確保し易くなる。
すなわち、制御装置13は、例えばエンジン1Bの負荷の大きさが40%となる負荷を境に、高負荷時には全ての燃料噴射弁100を作動させ、低負荷時には少なくとも第1気筒21における第1-1燃料噴射弁111を作動させないように各燃料噴射弁100を制御する。なお、第1-1燃料噴射弁111の第1総噴孔面積Sa1は、エンジン1Bにおける複数の燃料噴射弁100中で最も大きい。
これにより、少なくとも2つの気筒20を含むエンジン1Bにおいて、低負荷から高負荷までの幅広い運転条件下でエンジン1Bの熱効率を向上できる。
これにより、各気筒20のそれぞれにおいてエンジン1Bの負荷に応じで第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102を制御するにあたり、上述したように、気筒総噴孔面積Saが気筒20毎に同じである場合と比べて第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の制御内容を多様化できる。これにより、低負荷から高負荷までのさらに幅広い運転条件下でエンジン1Bの熱効率を向上できる。
これにより、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の制御の対象となる気筒数が増えることで、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の制御内容を多様化できる。したがって、低負荷から高負荷までのさらに幅広い運転条件下でエンジン1Bの熱効率を向上できる。
すなわち、図2に示したエンジン1Bでは、図11で示したように上記少なくとも2つの気筒20のうちの一方の気筒20(例えば第1気筒21)は、第1総噴孔面積(例えば第1-1総噴孔面積Sa1A)を有する第1燃料噴射弁(例えば第1-1燃料噴射弁111)と、該第1総噴孔面積よりも小さい第2総噴孔面積(例えば第1-2総噴孔面積Sa2A)を有する第2燃料噴射弁(例えば第1-2燃料噴射弁112)とを備える。
上記少なくとも2つの気筒20のうちの他方の気筒(例えば第2気筒22)は、第1総噴孔面積よりも小さい第3総噴孔面積(例えば第2-1総噴孔面積Sa1B)を有する第3燃料噴射弁(例えば第2-1燃料噴射弁121)と、第3総噴孔面積よりも小さい第4総噴孔面積(例えば第2-2総噴孔面積Sa2B)を有する第4燃料噴射弁(例えば第2-2燃料噴射弁122)とを備える。
そして、制御装置13は、エンジン1Bの高負荷時(例えばエンジン1Bの負荷の大きさが40%となる負荷を境とした高負荷時)には、例えば少なくとも第1-1燃料噴射弁111及び第2-1燃料噴射弁121の両方から燃料が噴射されるように各燃料噴射弁100を制御するように構成されている。
また、制御装置13は、エンジン1Bの低負荷時(例えばエンジン1Bの負荷の大きさが40%となる負荷を境とした低負荷時)には、例えば第1-1燃料噴射弁111からの燃料の噴射は停止し、少なくとも第2-1燃料噴射弁121から燃料が噴射されるように各燃料噴射弁100を制御するように構成されている。
図12Aは、第1コモンレールのレール圧についての制御マップの一例である。
図12Bは、第2コモンレールのレール圧についての制御マップの一例である。
幾つかの実施形態では、制御装置13は、エンジン1の負荷が高くなるにつれて、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の噴射圧を上げるように構成されるとともに、高負荷時には第1燃料噴射弁101の噴射圧よりも第2燃料噴射弁102の噴射圧が大きくなるように構成されているとよい。
具体的には、制御装置13は、例えば図12Aに示すように、エンジン回転数が高くなるにつれて、又は、スロットル開度が大きくなるにつれて、第1コモンレール171のレール圧が高くなるように第1燃料ポンプ151を制御するように構成されているとよい。
また、制御装置13は、例えば図12Bに示すように、エンジン回転数が高くなるにつれて、又は、スロットル開度が大きくなるにつれて、第2コモンレール172のレール圧が高くなるように第2燃料ポンプ152を制御するように構成されているとよい。
なお、エンジン1の負荷は、エンジン回転数とスロットル開度とに依存する。
制御装置13は、第1コモンレール171のレール圧よりも第2コモンレール172のレール圧の方が高くなるように第1燃料ポンプ151及び第2燃料ポンプ152を制御するように構成されていてもよい。
上述したように、第2燃料噴射弁102は、第1燃料噴射弁101の第1総噴孔面積Sa1よりも小さい第2総噴孔面積Sa2を有する。そのため、噴射圧、すなわち燃料噴射弁100への燃料の供給圧力が第1燃料噴射弁101と第2燃料噴射弁102とで同じであると、単位時間当たりの第2燃料噴射弁102からの燃料噴射量は、単位時間当たりの第1燃料噴射弁101からの燃料噴射量よりも少なくなる。
そこで、高負荷時には第1燃料噴射弁101の噴射圧よりも第2燃料噴射弁102の噴射圧が大きくなるようにすることで、高負荷時における単位時間当たりの第2燃料噴射弁102からの燃料噴射量と単位時間当たりの第1燃料噴射弁101からの燃料噴射量との差を抑制できる。したがって、高負荷時において必要とされる燃料噴射量を確保し易くなる。
図13は、第1燃料噴射弁及び第2燃料噴射弁における燃料噴射タイミングの一例を示す図である。
一般的に総噴孔面積Saが比較的大きい燃料噴射弁100の方が総噴孔面積Saが比較的小さい燃料噴射弁100よりも噴霧された燃料の貫徹力は大きくなる。したがって、比較的大きな燃料貫徹力が必要とされる燃料噴射タイミングでは、総噴孔面積Saが比較的大きい燃料噴射弁100を作動させるとよい。また、比較的均一な霧化が必要とされる燃料噴射タイミングでは、総噴孔面積Saが比較的小さい燃料噴射弁100を作動させるとよい。
例えば、ディーゼルエンジンにおいて実施されることが多い多段噴射を行う際に、比較的均一な霧化が必要とされるパイロット噴射を行う場合には、制御装置13は、第1燃料噴射弁101を非作動とし、第2燃料噴射弁102を作動させるように第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の動作を制御してもよい。なお、パイロット噴射とは、初期着火を良好とすること等を目的としてメイン噴射に先立って行われる燃料噴射である。
これにより、例えば上述したように、ディーゼルエンジンにおいて実施されることが多い多段噴射を行う際に、燃料噴射タイミングに応じてより適切な総噴孔面積Saを有する燃料噴射弁100を選択できるので、燃料噴射タイミングのそれぞれにおいて燃料の噴霧状態を適切化できる。
すなわち、例えば、図1又は図2に示すエンジン1A又はエンジン1Bは、少なくとも1つの気筒20と、上記少なくとも1つの気筒20に配置された第1ピストン31と、第1ピストン31が配置された気筒20と同一の気筒20に配置された第2ピストン32であって、第1ピストン31と対向して配置された第2ピストン32と、を備えていてもよい。図1又は図2に示すエンジン1A又はエンジン1Bは、上記少なくとも1つの気筒20に配置された複数の燃料噴射弁100であって、第1燃料噴射弁101と、第2燃料噴射弁102と、を含む複数の燃料噴射弁100を備えるとよい。図1又は図2に示すエンジン1A又はエンジン1Bは、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102を制御する制御装置13を備えるとよい。
また、エンジン1の低負荷時には、第1燃料噴射弁101からの燃料噴射を行わずに、第2燃料噴射弁102から燃料を噴射することで、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の双方から燃料を噴射する場合と比べて燃料噴射期間を長くすることができる。これにより、エンジン1の低負荷時に燃料噴射期間を長くすることで、必要以上に燃料を噴射することを抑制しつつ、噴霧状態を安定化して燃焼状態を安定化できる。
そこで、上述したように低負荷時に作動する燃料噴射弁100の数を減らすことで噴射期間を長くして燃料の貫徹力を確保し、気筒20の軸心側に燃料を供給する。これにより、低負荷時の燃焼を安定化できる。
例えば、図2に示したエンジン1Bでは、各燃料噴射弁100のそれぞれの総噴孔面積Saが図11に示したような大小関係となる場合には、第1総噴孔面積Sa1が最も小さい第1燃料噴射弁101(第3-1燃料噴射弁131)であっても、その総噴孔面積(例えば0.23mm2)は、第2総噴孔面積Sa2が最も大きい第2燃料噴射弁102(第1-2燃料噴射弁112)の第2総噴孔面積(例えば0.18mm2)よりも大きい。すなわち、図2に示したエンジン1Bでは、各燃料噴射弁100のそれぞれの総噴孔面積Saが図11に示したような大小関係となる場合には、全ての第1燃料噴射弁101は、いずれの第2燃料噴射弁102よりも総噴孔面積Saが大きい。しかし、図2に示したエンジン1Bにおいて、いずれかの第2燃料噴射弁102よりも総噴孔面積Saが小さい第1燃料噴射弁101があってもよい。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1は、少なくとも1つの気筒20と、上記少なくとも1つの気筒20に配置された少なくとも1つのピストン30と、を備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1は、上記少なくとも1つの気筒20に配置された複数の燃料噴射弁100であって、規定の総噴孔面積Saを有する第1燃料噴射弁101と、第1燃料噴射弁101の総噴孔面積Saよりも小さい総噴孔面積Saを有する第2燃料噴射弁102と、を含む複数の燃料噴射弁100を備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るエンジン1は、エンジン1の負荷に応じて、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102を制御する制御装置13を備える。
また、低負荷時に燃料噴射期間を長くすることで、必要以上に燃料を噴射することを抑制しつつ、噴霧状態を安定化して燃焼状態を安定化できる。
上記(2)の構成によれば、低負荷時には、第1燃料噴射弁101からの燃料噴射を行わずに、第2燃料噴射弁102から燃料を噴射することで、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の双方から燃料を噴射する場合と比べて燃料噴射期間を長くすることができる。また、第1燃料噴射弁101からの燃料噴射を行わずに、総噴孔面積Saがより小さい第2燃料噴射弁102から燃料を噴射することで、第2燃料噴射弁102からの燃料噴射を行わずに、総噴孔面積Saがより大きい第1燃料噴射弁101から燃料を噴射する場合と比べて燃料噴射期間をより長くすることができる。これにより、低負荷時に燃料噴射期間を長くすることで、必要以上に燃料を噴射することを抑制しつつ、噴霧状態をより安定化して燃焼状態をより安定化できる。
上記(3)の構成によれば、高負荷時には、低負荷時よりも第2燃料噴射弁102の噴射圧が上昇するので、高負荷時における単位時間当たりの第2燃料噴射弁102からの燃料噴射量と単位時間当たりの第1燃料噴射弁101からの燃料噴射量との差を抑制できる。したがって、高負荷時において必要とされる燃料噴射量を確保し易くなる。
上述したように、第2燃料噴射弁102は、第1燃料噴射弁101の総噴孔面積Saよりも小さい総噴孔面積Saを有する。そのため、噴射圧、すなわち燃料噴射弁への燃料の供給圧力が第1燃料噴射弁101と第2燃料噴射弁102とで同じであると、単位時間当たりの第2燃料噴射弁102からの燃料噴射量は、単位時間当たりの第1燃料噴射弁101からの燃料噴射量よりも少なくなる。
上記(7)の構成によれば、高負荷時には第1燃料噴射弁101の噴射圧よりも第2燃料噴射弁102の噴射圧が大きくなるので、高負荷時における単位時間当たりの第2燃料噴射弁102からの燃料噴射量と単位時間当たりの第1燃料噴射弁101からの燃料噴射量との差を抑制できる。したがって、高負荷時において必要とされる燃料噴射量を確保し易くなる。
上記(10)の構成によれば、第1燃料噴射弁101からの燃料噴射を行わずに、第2燃料噴射弁102から燃料を噴射することで、第1燃料噴射弁101及び第2燃料噴射弁102の双方から燃料を噴射する場合と比べて燃料噴射期間を長くすることができる。これにより、低負荷時に燃料噴射期間を長くすることで、必要以上に燃料を噴射することを抑制しつつ、噴霧状態を安定化して燃焼状態を安定化できる。
13 制御装置(ECU)
15 燃料ポンプ
17 コモンレール
20 気筒(シリンダ)
30 ピストン
31 第1ピストン
32 第2ピストン
100 燃料噴射弁
101 第1燃料噴射弁
102 第2燃料噴射弁
Claims (10)
- 少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された少なくとも1つのピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、規定の総噴孔面積を有する第1燃料噴射弁と、前記第1燃料噴射弁の総噴孔面積よりも小さい総噴孔面積を有する第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
エンジンの負荷に応じて、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記少なくとも1つの気筒は、少なくとも2つの気筒を含み、
前記少なくとも2つの気筒は、前記第1燃料噴射弁の総噴孔面積と前記第2燃料噴射弁の総噴孔面積の和である気筒総噴孔面積が気筒毎に異なるように構成された
エンジン。 - 前記制御装置は、
前記エンジンの高負荷時には、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の両方から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御し、
前記エンジンの低負荷時には、前記第1燃料噴射弁からの燃料の噴射は停止し、前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成された
請求項1に記載のエンジン。 - 前記制御装置は、前記高負荷時には、前記低負荷時よりも前記第2燃料噴射弁の噴射圧を上げるように構成された
請求項2に記載のエンジン。 - 少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された少なくとも1つのピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、規定の総噴孔面積を有する第1燃料噴射弁と、前記第1燃料噴射弁の総噴孔面積よりも小さい総噴孔面積を有する第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
エンジンの負荷に応じて、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記少なくとも1つの気筒は、少なくとも2つの気筒を含み、
前記制御装置は、前記負荷に応じて、前記少なくとも2つの気筒における各々の前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成され、
前記制御装置は、前記負荷が高くなるにつれて、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の噴射圧を上げるように構成されるとともに、高負荷時には前記第1燃料噴射弁の噴射圧よりも前記第2燃料噴射弁の噴射圧が大きくなるように構成されている
エンジン。 - 前記制御装置は、前記負荷に応じて、前記少なくとも2つの気筒における各々の前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の何れにおいて燃料を噴射するか、又は、燃料の噴射を停止するかを制御するように構成された
請求項4に記載のエンジン。 - 少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された少なくとも1つのピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、規定の総噴孔面積を有する第1燃料噴射弁と、前記第1燃料噴射弁の総噴孔面積よりも小さい総噴孔面積を有する第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
エンジンの負荷に応じて、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、燃料噴射タイミングに応じて前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の何れの燃料噴射弁から燃料を噴射するかを制御するように構成された
エンジン。 - 前記少なくとも1つのピストンは、第1ピストンと、前記第1ピストンが配置された前記気筒と同一の前記気筒に配置された第2ピストンであって、前記第1ピストンと対向して配置された第2ピストンと、を含む
請求項1乃至6の何れか一項に記載のエンジン。 - 少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された第1ピストンと、
前記第1ピストンが配置された前記気筒と同一の前記気筒に配置された第2ピストンであって、前記第1ピストンと対向して配置された第2ピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、第1燃料噴射弁と、第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
エンジンの高負荷時には、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の両方から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御し、
前記エンジンの低負荷時には、前記第1燃料噴射弁からの燃料の噴射は停止し、前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成され、
前記少なくとも1つの気筒は、少なくとも2つの気筒を含み、
前記少なくとも2つの気筒は、前記第1燃料噴射弁の総噴孔面積と前記第2燃料噴射弁の総噴孔面積の和である気筒総噴孔面積が気筒毎に異なるように構成された
エンジン。 - 少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された第1ピストンと、
前記第1ピストンが配置された前記気筒と同一の前記気筒に配置された第2ピストンであって、前記第1ピストンと対向して配置された第2ピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、第1燃料噴射弁と、第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
エンジンの高負荷時には、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の両方から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御し、
前記エンジンの低負荷時には、前記第1燃料噴射弁からの燃料の噴射は停止し、前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成され、
前記少なくとも1つの気筒は、少なくとも2つの気筒を含み、
前記制御装置は、前記エンジンの負荷に応じて、前記少なくとも2つの気筒における各々の前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成され、
前記制御装置は、前記負荷が高くなるにつれて、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の噴射圧を上げるように構成されるとともに、高負荷時には前記第1燃料噴射弁の噴射圧よりも前記第2燃料噴射弁の噴射圧が大きくなるように構成されている
エンジン。 - 少なくとも1つの気筒と、
前記少なくとも1つの気筒に配置された第1ピストンと、
前記第1ピストンが配置された前記気筒と同一の前記気筒に配置された第2ピストンであって、前記第1ピストンと対向して配置された第2ピストンと、
前記少なくとも1つの気筒に配置された複数の燃料噴射弁であって、第1燃料噴射弁と、第2燃料噴射弁と、を含む複数の燃料噴射弁と、
前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
エンジンの高負荷時には、前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の両方から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御し、
前記エンジンの低負荷時には、前記第1燃料噴射弁からの燃料の噴射は停止し、前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を制御するように構成され、
前記制御装置は、燃料噴射タイミングに応じて前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁の何れの燃料噴射弁から燃料を噴射するかを制御するように構成された
エンジン。
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