以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
《第1の実施の形態》
[撮像装置の構成]
図1は、本発明に係る撮像装置の第1の実施の形態の概略構成を示す図である。
本実施の形態の撮像装置は、4バンドのマルチスペクトル画像を撮像する撮像装置である。本実施の形態の撮像装置は、主として、撮像光学系10と、イメージセンサ100と、信号処理部200と、を備える。
[撮像光学系]
撮像光学系10は、複数のレンズ12を組み合わせて構成される。撮像光学系10は、その瞳近傍にバンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18を有する。また、撮像光学系10は、図示しない焦点調節機構を有する。焦点調節機構は、たとえば、撮像光学系10の全体を光軸Lに沿って前後移動させて、焦点を調節する。
図2は、バンドパスフィルタユニットの正面図である。
バンドパスフィルタユニット16は、第1光学素子の一例である。バンドパスフィルタユニット16は、2つの開口領域16A1、16A2を備えた枠体16Aと、その枠体16Aに備えられた2つのバンドパスフィルタ16B1、16B2と、で構成される。なお、以下においては、必要に応じて、枠体16Aに備えられる一方の開口領域16A1を第1開口領域16A1、他方の開口領域16A2を第2開口領域16A2と称して、2つの開口領域16A1、16A2を区別する。また、第1開口領域16A1に備えられるバンドパスフィルタ16B1を第1バンドパスフィルタ16B1、第2開口領域16A2に備えられるバンドパスフィルタ16B2を第2バンドパスフィルタ16B2と称して、2つのバンドパスフィルタ16B1、16B2を区別する。
枠体16Aに備えられる2つの開口領域16A1、16A2は、円形状の開口形状を有し、光軸Lを挟んで対称に配置される。枠体16Aは、遮光性を有し、2つの開口領域16A1、16A2のみから光を通過させる。
第1バンドパスフィルタ16B1及び第2バンドパスフィルタ16B2は、いわゆるマルチバンドパスフィルタで構成され、それぞれ複数種類の波長帯域の光を透過させる。本実施の形態の撮像装置では、第1バンドパスフィルタ16B1及び第2バンドパスフィルタ16B2が、それぞれ2種類の波長帯域の光を透過させる。なお、第1バンドパスフィルタ16B1及び第2バンドパスフィルタ16B2は、互いに異なる波長帯域の光を透過させる。
図3は、第1バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第1バンドパスフィルタ16B1は、波長帯域λ11の光及び波長帯域λ12の光を透過させる。
図4は、第2バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第2バンドパスフィルタ16B2は、波長帯域λ21の光及び波長帯域λ22の光を透過させる。
図5は、偏光フィルタユニットの正面図である。
偏光フィルタユニット18は、第2光学素子の一例である。偏光フィルタユニット18は、バンドパスフィルタユニット16を透過する光を複数方向に偏光する。偏光フィルタユニット18は、2つの開口領域18A1、18A2を備えた枠体18Aと、その枠体18Aの一方の開口領域18A2に備えられた1つの偏光フィルタ18B2と、で構成される。なお、以下においては、必要に応じて、枠体18Aに備えられる一方の開口領域18A1を第1開口領域18A1、他方の開口領域18A2を第2開口領域18A2と称して、2つの開口領域18A1、18A2を区別する。偏光フィルタ18B2は、第2開口領域18A2に備えられる。
枠体18Aは、遮光性を有し、2つの開口領域18A1、18A2のみから光を通過させる。2つの開口領域18A1、18A2は、バンドパスフィルタユニット16の2つの開口領域16A1、16A2に対応し、同じ位置に重ねて配置される。すなわち、第1開口領域18A1は、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1と同じ開口形状(円形状)を有し、かつ、同じ位置に重ねて配置される。また、第2開口領域18A2は、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2と同じ開口形状を有し、かつ、同じ位置に重ねて配置される。したがって、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1を通過した光は、偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1を通過し、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2を通過した光は、偏光フィルタユニット18の第2開口領域18A2を通過する。
第2開口領域18A2に備えられる偏光フィルタ18B2は、偏光方向θ(たとえば、方位角60°)の光を透過させる。偏光方向(偏光方位)は、光軸Lと直交するxy平面において、偏光透過軸がx軸(水平軸)と成す角度(方位角)によって表わされる。
偏光フィルタは第2開口領域18A2にのみ備えられる。したがって、第1開口領域18A1は、非偏光の光を透過させる。
以上の構成の撮像光学系10は、バンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18によって、瞳領域が2つの領域に分割される。すなわち、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1と偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1とによって画定される第1の瞳領域と、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2と偏光フィルタユニット18の第2開口領域18A2とによって画定される第2の瞳領域とに分割される。各瞳領域からは、特性の異なる光が出射される。すなわち、非偏光の光であって波長帯域λ11の光(第1の光)、非偏光の光であって波長帯域λ12の光(第2の光)、偏光方向θの光であって波長帯域λ21の光(第3の光)、及び、偏光方向θの光であって波長帯域λ22の光(第4の光)が出射する。第1の光及び第2の光は、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1及び偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1を通過した光である。第3の光及び第4の光は、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2及び偏光フィルタユニット18の第2開口領域18A2を通過した光である。
[イメージセンサ]
図6は、イメージセンサの画素の配列の概略構成を示す図である。
同図に示すように、イメージセンサ100は、その受光面に複数種類の画素P1、P2、P3、P4を有する。各画素P1~P4は、水平方向(x軸方向)及び垂直方向(y軸方向)に沿って、一定ピッチで規則的に配列される。
本実施の形態のイメージセンサ100は、隣接する4個(2×2個)の画素P1~P4で1つの画素ブロックPB(X,Y)が構成され、この画素ブロックPB(X,Y)が、水平方向(x軸方向)及び垂直方向(y軸方向)に沿って規則的に配列される。以下、必要に応じて、画素P1を第1画素P1、画素P2を第2画素P2、画素P3を第3画素P3、画素P4を第4画素P4として、各画素P1~P4を区別する。各画素P1~P4は、それぞれ異なる光学特性を有する。
図7は、イメージセンサの概略構成を示す図である。図8は、1つ画素(図7の破線部)の概略構成を示す断面図である。
イメージセンサ100は、ピクセルアレイ層110、偏光フィルタ素子アレイ層120、分光フィルタ素子アレイ層130及びマイクロレンズアレイ層140を有する。各層は、像面側から物体側に向かって、ピクセルアレイ層110、偏光フィルタ素子アレイ層120、分光フィルタ素子アレイ層130、マイクロレンズアレイ層140の順で配置される。
ピクセルアレイ層110は、多数のフォトダイオード112を二次元的に配列して構成される。1つのフォトダイオード112は、1つの画素を構成する。各フォトダイオード112は、水平方向(x軸方向)及び垂直方向(y軸方向)に沿って規則的に配置される。
偏光フィルタ素子アレイ層120は、透過偏光方向(透過させる光の偏光方向)の異なる2種類の偏光フィルタ素子122A、122Bを二次元的に配列して構成される。以下、必要に応じて、偏光フィルタ素子122Aを第1偏光フィルタ素子122A、偏光フィルタ素子122Bを第2偏光フィルタ素子122Bとして、各偏光フィルタ素子122A、122Bを区別する。各偏光フィルタ素子122A、122Bは、フォトダイオード112と同じ間隔で配置され、画素ごとに備えられる。第1偏光フィルタ素子122Aは、第1の偏光方向Θ1(たとえば、方位角90°)の光を透過させる。第2偏光フィルタ素子122Bは、第1の偏光方向Θ1とは異なる第2の偏光方向Θ2(たとえば、方位角0°)の光を透過させる。偏光フィルタ素子122A、122Bは、第4光学素子の一例である。
各画素ブロックPB(X,Y)において、偏光フィルタ素子122A、122Bは、規則的に配列される。
図9は、各画素ブロックに備えられる偏光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置では、画素ブロック内の第1画素P1及び第4画素P4に第1偏光フィルタ素子122Aが備えられ、第2画素P2及び第3画素P3に第2偏光フィルタ素子122Bが備えられる。
分光フィルタ素子アレイ層130は、互いに透過波長特性の異なる2種類の分光フィルタ素子132A、132Bを二次元的に配列して構成される。以下、必要に応じて、分光フィルタ素子132Aを第1分光フィルタ素子132A、分光フィルタ素子132Bを第2分光フィルタ素子132Bとして、各分光フィルタ素子132A、132Bを区別する。各分光フィルタ素子132A、132Bは、フォトダイオード112と同じ間隔で配置され、画素ごとに備えられる。分光フィルタ素子132A、132Bは、第3光学素子の一例である。
図10は、第1分光フィルタ素子の透過波長特性の一例を示すグラフである。また、図11は、第2分光フィルタ素子の透過波長特性の一例を示すグラフである。
図10に示すように、第1分光フィルタ素子132Aは、波長帯域λAの光を透過させる。一方、第2分光フィルタ素子132Bは、図11に示すように、第1分光フィルタ素子132Aとは異なる波長帯域λBの光を透過させる。
また、図10及び図11に示すように、撮像光学系10に備えられるバンドパスフィルタユニット16は、第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ11、λ12及び第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ21、λ22が、第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域λA及び第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λBの範囲内で設定される。具体的には、第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ11及び第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ21が、第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域λAの範囲内で設定される。また、第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ12及び第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ22が、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λBの範囲内で設定される。
図12は、各画素ブロックに備えられる分光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、各画素ブロックPB(X,Y)において、分光フィルタ素子132A、132Bは、規則的に配列される。本実施の形態の撮像装置では、第1画素P1及び第2画素P2に第1分光フィルタ素子132Aが備えられ、第3画素P3及び第4画素P4に第2分光フィルタ素子132Bが備えられる。
マイクロレンズアレイ層140は、多数のマイクロレンズ142を二次元的に配列して構成される。各マイクロレンズ142は、フォトダイオード112と同じ間隔で配置され、1画素ごとに備えられる。マイクロレンズ142は、撮像光学系10からの光をフォトダイオード112に効率よく集光させる目的で備えられる。
以上のように構成されるイメージセンサ100は、各画素ブロックPB(X,Y)において、各画素P1~P4が、次のように撮像光学系10からの光を受光する。すなわち、第1画素P1は、第1分光フィルタ素子132A(波長帯域λA)及び第1偏光フィルタ素子122A(偏光方向Θ1)を介して、撮像光学系10からの光を受光する。また、第2画素P2は、第1分光フィルタ素子132A(波長帯域λA)及び第2偏光フィルタ素子122B(偏光方向Θ2)を介して、撮像光学系10からの光を受光する。また、第3画素P3は、第2分光フィルタ素子132B(波長帯域λB)及び第2偏光フィルタ素子122B(偏光方向Θ2)を介して、撮像光学系10からの光を受光する。また、第4画素P4は、第2分光フィルタ素子132B(波長帯域λB)及び第1偏光フィルタ素子122A(偏光方向Θ1)を介して、撮像光学系10からの光を受光する。このように、画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P4は、異なる組み合わせの分光フィルタ素子132A、132Bと偏光フィルタ素子122A、122Bを有することにより、それぞれ異なる波長帯域及び偏光特性の光を受光する。
[信号処理部]
信号処理部200は、イメージセンサ100から出力される信号を処理して、4バンドのマルチスペクトル画像の画像信号(画像データ)を生成する。すなわち、撮像光学系10のバンドパスフィルタユニット16を透過する4種類の波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の画像信号を生成する。
図13は、信号処理部の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、信号処理部200は、アナログ信号処理部200A、画像生成部200B及び係数記憶部200Cを含む。
アナログ信号処理部200Aは、イメージセンサ100の各画素から出力されるアナログの画素信号を取り込み、所定の信号処理(たとえば、相関二重サンプリング処理、増幅処理等)を施した後、デジタル信号に変換して出力する。
画像生成部200Bは、デジタル信号に変換された後の画素信号に所定の信号処理を施して、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の画像信号を生成する。
図14は、画像生成の概念図である。
各画素ブロックPB(X,Y)には、第1画素P1、第2画素P2、第3画素P3及び第4画素P4が含まれる。したがって、各画素ブロックPB(X,Y)から第1画素P1、第2画素P2、第3画素P3、第4画素P4の画素信号を分離して抽出することにより、4つの画像信号D1~D4が生成される。しかし、この4つの画像信号には、混信(クロストーク)が生じている。すなわち、各画素P1~P4には、各波長帯域の光が入射するため、生成される画像は、各波長帯域の画像が所定の割合で混合した画像となる。このため、画像生成部200Bは、混信除去処理を行って、各波長帯域の画像信号を生成する。
以下、信号処理部200において行われる混信除去処理について説明する。
各画素ブロックPB(X,Y)の第1画素P1で得られる画素信号(信号値)をα1、第2画素P2で得られる画素信号をα2、第3画素P3で得られる画素信号をα3、第4画素P4で得られる画素信号をα4とする。各画素ブロックPB(X,Y)からは、4つの画素信号α1~α4が得られる。画像生成部200Bは、この4つの画素信号α1~α4から各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光に対応した4つの画素信号β1~β4を算出し、混信を除去する。具体的には、下記の行列Aを用いた式1によって、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光に対応した4つの画素信号β1~β4を算出し、混信を除去する。
なお、画素信号β1は波長帯域λ11の光に対応した画素信号、画素信号β2は波長帯域λ12の光に対応した画素信号、画素信号β3は波長帯域λ21の光に対応した画素信号、画素信号β4は波長帯域λ22の光に対応した画素信号である。したがって、画素信号β1からは波長帯域λ11の画像信号が生成され、画素信号β2からは波長帯域λ12の画像信号が生成され、画素信号β3からは波長帯域λ21の画像信号が生成され、画素信号β4からは波長帯域λ22の画像信号が生成される。以下、上記の式1によって混信を除去できる理由について説明する。
混信は、各画素P1~P4に各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光が混入することで発生する。撮像光学系10から出射した各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光が、各画素P1~P4で受光される割合(混信比率)をbij(i=1~4、j=1~4)とする。ここで、b11は、波長帯域λ11の光が第1画素P1で受光される割合、b12は、波長帯域λ12の光が第1画素P1で受光される割合、b13は、波長帯域λ21の光が第1画素P1で受光される割合、b14は、波長帯域λ22の光が第1画素P1で受光される割合である。また、b21は、波長帯域λ11の光が第2画素P2で受光される割合、b22は、波長帯域λ12の光が第2画素P2で受光される割合、b23は、波長帯域λ21の光が第2画素P2で受光される割合、b24は、波長帯域λ22の光が第2画素P2で受光される割合である。また、b31は、波長帯域λ11の光が第3画素P3で受光される割合、b32は、波長帯域λ12の光が第3画素P3で受光される割合、b33は、波長帯域λ21の光が第3画素P3で受光される割合、b34は、波長帯域λ22の光が第3画素P3で受光される割合である。また、b41は、波長帯域λ11の光が第4画素P4で受光される割合、b42は、波長帯域λ12の光が第4画素P4で受光される割合、b43は、波長帯域λ21の光が第4画素P4で受光される割合、b44は、波長帯域λ22の光が第4画素P4で受光される割合である。この割合bijは、撮像光学系10に設定される透過波長帯域及び透過偏光方向(非偏光を含む)、並びに、イメージセンサ100の各画素に設定される透過波長帯域及び透過偏光方向によって一意に定まる。すなわち、バンドパスフィルタユニット16の各開口領域16A1、16A2に設定された透過波長帯域と、イメージセンサ100の各分光フィルタ素子132A、132Bに設定された透過波長帯域との組み合わせ、並びに、偏光フィルタユニット18の各開口領域18A1、18A2に設定された透過偏光方向(非偏光を含む)と、イメージセンサ100の各偏光フィルタ素子122A、122Bに設定される偏光方向との組み合わせによって一意に定まる。したがって、撮像光学系10から出射される各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光が、各画素P1~P4で受光される割合bijは、事前に求めることができる。
各画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P4で得られる画素信号α1~α4と、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光に対応する画素信号β1~β4との間には、次の関係が成り立つ。
第1画素P1で得られる画素信号α1に関して、「b11*β1+b12*β2+b13*β3+b14*β4=α1…式2」が成り立つ(「*」は、積算の記号)。
第2画素P2で得られる画素信号α2に関して、「b21*β1+b22*β2+b23*β3+b24*β4=α2…式3」が成り立つ。
第3画素P3で得られる画素信号α3に関して、「b31*β1+b32*β2+b33*β3+b34*β4=α3…式4」が成り立つ。
第4画素P4で得られる画素信号α4に関して、「b41*β1+b42*β2+b43*β3+b44*β4=α4…式5」が成り立つ。
ここで、上記の式2~5の連立方程式は、行列Bを用いた下記の式6で表わすことができる。
式2~5の連立方程式の解であるβ1~β4は、上記式6の両辺に行列Bの逆行列B-1をかけることで算出される。
このように、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22に対応した画素信号β1~β4は、撮像光学系10から出射される各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光が、画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P4で受光される割合に基づいて、各画素P1~P4の信号値(画素信号)α1~α4から算出できる。
上記式1は、上記式7の逆行列B-1をAとしたものである(B-1=A)。したがって、式1における行列Aの各要素aijは、行列Bの逆行列B-1を求めることで取得できる。
係数記憶部200Cは、混信除去処理を行うための行列Aの各要素aijを係数群として記憶する。
画像生成部200Bは、係数記憶部200Cから係数群を取得し、各画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P4から得られる画素信号α1~α4から、上記式1によって、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22に対応した画素信号β1~β4を算出し、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の画像信号を生成する。
画像生成部200Bで生成された各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の画像信号は、外部に出力され、必要に応じて記憶装置(不図示)に記憶される。また、必要に応じてディスプレイ(不図示)に表示される。
[撮像装置の作用]
図15は、本実施の形態の撮像装置の動作の概念図である。
撮像光学系10に入射した光は、特性の異なる4種類の光となって、イメージセンサ100に入射する。具体的には、非偏光の光であって波長帯域λ11の光(第1の光)、非偏光の光であって波長帯域λ12の光(第2の光)、偏光方向θの光であって波長帯域λ21の光(第3の光)、及び、偏光方向θの光であって波長帯域λ22の光(第4の光)となって、イメージセンサ100に入射する。
イメージセンサ100の各画素ブロックPB(X,Y)では、撮像光学系10から出射した各波長帯域の光が、各画素P1~P4において、所定の割合で受光される。すなわち、各画素P1~P4に備えられる偏光フィルタ素子122A、122B及び分光フィルタ素子132A、132Bの作用によって、各波長帯域の光が所定の割合bijで受光される。
信号処理部200は、イメージセンサ100の各画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P4から得られる画素信号α1~α4から各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光に対応した画素信号β1~β4を算出し、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の画像信号を生成する。すなわち、行列Aを用いた式1による演算処理(混信除去処理)を行って、イメージセンサ100から得られる各画素P1~P4の画素信号α1~α4から各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の光に対応した画素信号β1~β4を算出し、各波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22の画像信号を生成する。
このように、本実施の形態の撮像装置によれば、1つの撮像光学系10と1つ(単板)のイメージセンサ100で4種類の波長帯域の画像(4バンドのマルチスペクトル画像)を撮像できる。
また、本実施の形態の撮像装置では、撮像光学系10のバンドパスフィルタユニット16において、1つの開口領域から複数種類の波長帯域の光を透過させている。これにより、各波長帯域の光を個別に取り出す構成に比べて、開口サイズを大きくできる。これにより、感度を向上できる。特に、各開口領域に設定する透過波長帯域数(各開口領域に備えられるバンドパスフィルタの透過波長帯域数)を、イメージセンサの透過波長帯域数(イメージセンサに備えられる分光フィルタ素子の種類の数)と同じ数にすることにより、可能な限り開口サイズを大きくでき、感度を向上できる。
また、本実施の形態の撮像装置では、撮像光学系10の偏光フィルタユニット18において、一方の開口領域を素通しとしている。これにより、偏光による光量低下を防止できる。したがって、この構成によっても感度を向上できる。また、この構成により、偏光画像も同時に撮像できる。
《第2の実施の形態》
本実施の形態の撮像装置は、偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1及び第2開口領域16A2の双方に偏光フィルタ18B1、18B2が備えられる点で上記第1の実施の形態の撮像装置と相違する。その他の構成は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。したがって、ここでは、偏光フィルタユニット18の構成についてのみ説明する。
図16は、本実施の形態の撮像装置に備えられる偏光フィルタユニットの正面図である。
同図に示すように、第1開口領域18A1及び第2開口領域18A2の双方に偏光フィルタ18B1、18B2が備えられる。以下、第1開口領域18A1に備えられる偏光フィルタ18B1を第1偏光フィルタ18B1、第2開口領域18A2に備えられる偏光フィルタ18B1を第2偏光フィルタ18B2として、2つの偏光フィルタ18B1、18B2を区別する。第1偏光フィルタ18B1は、第1の偏光方向θ1(たとえば、方位角150°)の光を透過させる。第2偏光フィルタ18B2は、第1の偏光方向θ1とは異なる第2の偏光方向θ2(たとえば、方位角60°)の光を透過させる。このように、偏光フィルタユニット18は、枠体18Aのすべての各開口領域18A1、18A2に偏光フィルタ18B1、18B2を備えてもよい。
なお、本実施の形態のように、すべての各開口領域に偏光フィルタを備える場合、イメージセンサに備える複数種類の偏光フィルタ素子の1つを素通しの構成とすることもできる。
また、4バンドのマルチスペクトル画像を撮像する場合、次の構成を採用することにより、混信を防止できる。すなわち、偏光フィルタユニット18に備える第1偏光フィルタ18B1及び第2偏光フィルタ18B2の透過偏光方向を互いに直交する方向とし、かつ、イメージセンサ100に備える第1偏光フィルタ素子122A及び第2偏光フィルタ素子122Bの透過偏光方向を互いに直交する方向とする。たとえば、偏光フィルタユニット18の第1偏光フィルタ18B1については、方位角90°の光を透過させる偏光フィルタを使用し、第2偏光フィルタ18B2については、方位角0°の光を透過させる偏光フィルタを使用する。一方、イメージセンサ100の第1偏光フィルタ素子122Aについては、方位角90°の光を透過させる偏光フィルタ素子を使用し、第2偏光フィルタ素子122Bについては、方位角0°の光を透過させる偏光フィルタ素子を使用する。これにより、イメージセンサ100において、各波長帯域の光を分離して受光できる。したがって、信号処理部200において、混信除去処理を行わずに、各波長帯域の画像信号を生成できる。
《第3の実施の形態》
本実施の形態の撮像装置は、バンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18の構成が上記第1の実施の形態の撮像装置と異なる。その他の構成は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。したがって、ここでは、偏光フィルタユニット18及びバンドパスフィルタユニット16の構成についてのみ説明する。
図17は、バンドパスフィルタユニットの正面図である。
同図に示すように、本実施の形態のバンドパスフィルタユニット16は、3つの開口領域16A1、16A2、16A3を有する。以下、必要に応じて、開口領域16A1を第1開口領域16A1、開口領域16A2を第2開口領域16A2、開口領域16A3を第3開口領域16A3と称して、3つの開口領域16A1、16A2、16A3を区別する。
第1開口領域16A1は、矩形状の開口形状を有し、枠体16Aを二等分割した一方側の領域に配置される。第2開口領域16A2及び第3開口領域16A3は、共に円形状の開口形状を有し、枠体16Aを二等分割した他方側の領域に配置される。
各開口領域16A1~16A3には、それぞれ透過させる波長帯域の異なるバンドパスフィルタ16B1、16B2、16B3が備えられる。以下、第1開口領域16A1に備えられるバンドパスフィルタ16B1を第1バンドパスフィルタ16B1、第2開口領域16A2に備えられるバンドパスフィルタ16B2を第2バンドパスフィルタ16B2、第3開口領域16A3に備えられるバンドパスフィルタ16B3を第3バンドパスフィルタ16B3と称して、3つのバンドパスフィルタ16B1、16B2、16B3を区別する。
図18は、第1バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第1バンドパスフィルタ16B1は、いわゆるマルチバンドパスフィルタで構成され、2種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、波長帯域λ11の光及び波長帯域λ12の光を透過させる。なお、図18において破線で示す2つの波長帯域λA、λBのグラフは、それぞれイメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132A及び第2分光フィルタ素子132Bの透過波長特性のグラフである(波長帯域λAのグラフは、第1分光フィルタ素子132Aの透過波長特性のグラフ、波長帯域λBのグラフは、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長特性のグラフ)。第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ11、λ12は、第1分光フィルタ素子132A及び第2分光フィルタ素子132Bが透過させる波長帯域λA、λBの範囲内で設定される。具体的には、一方の波長帯域λ11は、第1分光フィルタ素子132Aが透過させる波長帯域λAの範囲内で設定され、他方の波長帯域λ12は、第2分光フィルタ素子132Bが透過させる波長帯域λBの範囲内で設定される。
図19は、第2バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第2バンドパスフィルタ16B2は、1種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、波長帯域λ2の光を透過させる。なお、図19において破線で示す波長帯域λAのグラフは、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132Aの透過波長特性のグラフである。第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ2は、第1分光フィルタ素子132Aが透過させる波長帯域λAの範囲内で設定される。
図20は、第3バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第3バンドパスフィルタ16B3は、1種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、図20に示すように、波長帯域λ3の光を透過させる。なお、図20において破線で示す波長帯域λBのグラフは、イメージセンサ100に備えられる第2分光フィルタ素子132Bの透過波長特性のグラフである。第3バンドパスフィルタ16B3が透過させる波長帯域λ3は、第2分光フィルタ素子132Bが透過させる波長帯域λBの範囲内で設定される。
図21は、偏光フィルタユニットの正面図である。
同図に示すように、偏光フィルタユニット18は、バンドパスフィルタユニット16と同様に、枠体18Aに3つの開口領域18A1、18A2、18A3を有する。以下、開口領域18A1を第1開口領域18A1、開口領域18A2を第2開口領域18A2、開口領域18A3を第3開口領域18A3と称して、3つの開口領域18A1、18A2、18A3を区別する。
各開口領域18A1~18A3は、バンドパスフィルタユニット16の対応する開口領域16A1~16A3と同じ開口形状を有し、かつ、同じ位置に重ねて配置される。したがって、バンドパスフィルタユニット16の各開口領域16A1~16A3を通過した光は、対応する各開口領域18A1~18A3に入射する。
第1開口領域18A1は、素通しとされる。したがって、第1開口領域18A1は、非偏光の光が通過する。
第2開口領域18A2及び第3開口領域18A3には、偏光フィルタ18B2が備えられる。偏光フィルタ18B2は、偏光方向θ(たとえば、方位角60°)の光を透過させる。
以上の構成の撮像装置によれば、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1を通過した光は、偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1を通過して、イメージセンサ100に入射する。また、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2を通過した光は、偏光フィルタユニット18の第2開口領域18A2を通過して、イメージセンサ100に入射する。また、バンドパスフィルタユニット16の第3開口領域16A3を通過した光は、偏光フィルタユニット18の第3開口領域18A3を通過して、イメージセンサ100に入射する。
バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1には、2種類の波長帯域λ11、λ12の光を透過させるバンドパスフィルタ(第1バンドパスフィルタ16B1)が備えられる。また、第2開口領域16A2及び第3開口領域16A3には、1種類の波長帯域λ2、λ3の光を透過させるバンドパスフィルタ(第2バンドパスフィルタ16B2、第3バンドパスフィルタ16B3)が備えられる。したがって、撮像光学系10からは、特性の異なる4種類の光が出射する。すなわち、非偏光の光であって波長帯域λ11の光(第1の光)、非偏光の光であって波長帯域λ12の光(第2の光)、偏光方向θの光であって波長帯域λ21の光(第3の光)、及び、偏光方向θの光であって波長帯域λ22の光(第4の光)が出射する。したがって、本実施の形態の撮像装置においても、上記第1の実施の形態の撮像装置と同様に4つの波長帯域の画像(4バンドのマルチスペクトル画像)を撮像できる。
なお、本実施の形態では、偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1を素通しとしたが、上記第2の実施の形態と同様に、通過する光を所定の偏光方向に偏光させる偏光フィルタを備えてもよい。
《第4の実施の形態》
本実施の形態の撮像装置は、バンドパスフィルタユニット16の構成が、上記第1の実施の形態の撮像装置と相違する。具体的には、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2に備えられる第2バンドパスフィルタ16B2の透過波長特性が、上記第1の実施の形態の撮像装置と異なる。その他の構成は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。したがって、ここでは、第2バンドパスフィルタ16B2の透過波長特性についてのみ説明する。
図22は、本実施の形態の撮像装置の第2バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
なお、同図において、破線で示す波長帯域λAのグラフは、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132Aの透過波長特性のグラフであり、破線で示す波長帯域λBのグラフは、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長特性のグラフである。
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置に備えられる第2バンドパスフィルタ16B2は、1種類の波長帯域λ2の光を透過させる。その透過波長帯域は、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域と第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域との間を跨いで設定される。換言すると、その透過波長帯域の一部が、第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域及び第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域に重複して設定される。
以上の構成の第2バンドパスフィルタ16B2を用いることにより、イメージセンサ100では、実質的に4つの波長帯域の光が受光される。すなわち、第2バンドパスフィルタ16B2を透過する光は、1種類の波長帯域λ2の光であるが、第1分光フィルタ素子132A及び第2分光フィルタ素子132Bによって実質的に2種類の波長帯域に分離される。したがって、第1バンドパスフィルタ16B1で分離される2つの波長帯域の光と併せて4種類の波長帯域の光が受光される。
図23は、第2バンドパスフィルタと第1分光フィルタ素子との組み合わせで実現される透過波長特性の説明図である。同図に示すように、第1分光フィルタ素子132Aが備えられた画素では、第2バンドパスフィルタ16B2を通過した光が入射すると、斜線で示す波長帯域の光が受光される。すなわち、第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ2と、第1分光フィルタ素子132Aが透過させる波長帯域λAとが重なる波長帯域λ2Aの光が受光される。
図24は、第2バンドパスフィルタと第2分光フィルタ素子との組み合わせで実現される透過波長特性の説明図である。同図に示すように、第2分光フィルタ素子132Bが備えられた画素では、第2バンドパスフィルタ16B2を通過した光が入射すると、斜線で示す波長帯域の光が受光される。すなわち、第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ2と、第2分光フィルタ素子132Bが透過させる波長帯域λBとが重なる波長帯域λ2Bの光が受光される。
このように、第2バンドパスフィルタ16B2が、1種類の波長帯域λ2の光を透過させる構成であっても、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132A及び第2分光フィルタ素子132Bによって、実質的に2種類の波長帯域の光に分離できる。また、この構成により、バンドパスフィルタの作成を簡素化できる。更に、フィルタに対して斜めに光が入射する際に発生する波長シフトも低減できる。
《第5の実施の形態》
上記第1の実施の形態の撮像装置では、4バンドのマルチスペクトル画像を撮像する場合において、1つの画素ブロックを4つの画素で構成し、2種類の偏光フィルタ素子と2種類の分光フィルタ素子とを組み合わせて、各画素の光学特性を変えている。1つの画素ブロックの各画素に備える偏光フィルタ素子については、互いに異なる偏光特性の偏光フィルタ素子を使用することもできる。以下、4バンドのマルチスペクトル画像を撮像する場合において、1つの画素ブロックを4つの画素で構成し、各画素に透過偏光方向の異なる偏光フィルタ素子を備える場合について説明する。なお、偏光フィルタ素子の配列が異なる点以外は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。したがって、ここでは偏光フィルタ素子の配列についてのみ説明する。
図25は、本実施の形態の撮像装置の各画素ブロックに備えられる偏光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置では、1つの画素ブロックPB(X,Y)を構成する4つの画素P1~P4に、透過偏光方向の異なる偏光フィルタ素子122A~122Dが備えられる。具体的には、第1画素P1には、第1の偏光方向Θ1(たとえば、90°)の光を透過させる第1偏光フィルタ素子122Aが備えられる。第2画素P2には、第2の偏光方向Θ2(たとえば、0°)の光を透過させる第2偏光フィルタ素子122Bが備えられる。第3画素P3には、第3の偏光方向Θ3(たとえば、45°)の光を透過させる第3偏光フィルタ素子122Cが備えられる。第4画素P4には、第4の偏光方向Θ4(たとえば、135°)の光を透過させる第4偏光フィルタ素子122Dが備えられる。
なお、バンドパスフィルタユニットに備える開口領域の数は、イメージセンサの透過偏光方向の数以下(イメージセンサに備える偏光フィルタ素子の種類の数以下)で設定できる。この場合において、各開口領域に設定する透過波長帯域数を、イメージセンサの透過波長帯域数と同じ数にすることにより、可能な限り開口サイズを大きくできる。また、これにより、感度を向上できる。
《第6の実施の形態》
本実施の形態の撮像装置は、9バンドのマルチスペクトル画像を撮像する。撮像装置が、撮像光学系10と、イメージセンサ100と、信号処理部200と、を備える点については、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである(図1参照)。
[撮像光学系]
本実施の形態の撮像装置の撮像光学系10は、バンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18の構成が、上記第1の実施の形態の撮像光学系と相違する。
図26は、本実施の形態の撮像光学系に備えられるバンドパスフィルタユニットの正面図である。
バンドパスフィルタユニット16は、枠体16Aに3つの開口領域16A1、16A2、16A3を有する。以下、必要に応じて、開口領域16A1を第1開口領域16A1、開口領域16A2を第2開口領域16A2、開口領域16A3を第3開口領域16A3と称して、各開口領域16A1~16A3を区別する。
各開口領域16A1~16A3は、同じ開口形状(矩形状)を有し、光軸Lを中心にして対称に配置される。具体的には、第2開口領域16A2が光軸上に配置され、その第2開口領域16A2を挟んで第1開口領域16A1及び第3開口領域16A3が対称に配置される。
各開口領域16A1~16A3には、それぞれ透過波長特性の異なるバンドパスフィルタ16B1~16B3が備えられる。以下、必要に応じて第1開口領域16A1に備えられるバンドパスフィルタ16B1を第1バンドパスフィルタ16B1、第2開口領域16A2に備えられるバンドパスフィルタ16B2を第2バンドパスフィルタ16B2、第3開口領域16A3に備えられるバンドパスフィルタ16B3を第3バンドパスフィルタ16B3と称して、各バンドパスフィルタ16B1~16B3を区別する。
図27は、第1バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第1バンドパスフィルタ16B1は、マルチバンドパスフィルタで構成され、3種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、波長帯域λ11の光、波長帯域λ12及び波長帯域λ13の光を透過させる。
図28は、第2バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第2バンドパスフィルタ16B2も、マルチバンドパスフィルタで構成され、3種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、波長帯域λ21の光、波長帯域λ22及び波長帯域λ23の光を透過させる。
図29は、第3バンドパスフィルタの透過波長特性を示すグラフである。
同図に示すように、第3バンドパスフィルタ16B3も、マルチバンドパスフィルタで構成され、3種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、波長帯域λ31の光、波長帯域λ32及び波長帯域λ33の光を透過させる。
図30は、本実施の形態の撮像光学系に備えられる偏光フィルタユニットの正面図である。
同図に示すように、偏光フィルタユニット18は、枠体18Aに3つの開口領域18A1、18A2、18A3を有する。以下、必要に応じて、開口領域18A1を第1開口領域18A1、開口領域18A2を第2開口領域18A2、開口領域18A3を第3開口領域18A3と称して、各開口領域18A1~18A3を区別する。
3つの開口領域18A1、18A2、18A3は、バンドパスフィルタユニット16の3つの開口領域16A1、16A2、16A3に対応し、同じ位置に重ねて配置される。すなわち、第1開口領域18A1は、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1と同じ開口形状を有し、かつ、同じ位置に重ねて配置される。また、第2開口領域18A2は、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2と同じ開口形状を有し、かつ、同じ位置に重ねて配置される。また、第3開口領域18A3は、バンドパスフィルタユニット16の第3開口領域16A3と同じ開口形状を有し、かつ、同じ位置に重ねて配置される。したがって、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1を通過した光は第1開口領域18A1を通過し、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2を通過した光は第2開口領域18A2を通過し、バンドパスフィルタユニット16の第3開口領域16A3を通過した光は第3開口領域18A3を通過する。
第2開口領域18A2及び第3開口領域18A3には、それぞれ透過偏光方向の異なる偏光フィルタ18B2、18B3が備えられる。具体的には、第2開口領域18A2には、偏光方向θ2(たとえば、方位角150°)の光を通過させる偏光フィルタ18B2が備えられる。第3開口領域18A3には、偏光方向θ3(たとえば、方位角150°)の光を通過させる偏光フィルタ18B3が備えられる。
偏光フィルタは、第2開口領域18A2及び第3開口領域18A3にのみ備えられる。したがって、第1開口領域18A1は、非偏光の光を透過させる。
撮像光学系10は、バンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18の組み合わせにより、瞳領域が3つの領域に分割される。すなわち、バンドパスフィルタユニット16の第1開口領域16A1と偏光フィルタユニット18の第1開口領域18A1とによって画定される第1の瞳領域と、バンドパスフィルタユニット16の第2開口領域16A2と偏光フィルタユニット18の第2開口領域18A2とによって画定される第2の瞳領域と、バンドパスフィルタユニット16の第3開口領域16A3と偏光フィルタユニット18の第3開口領域18A3とによって画定される第3の瞳領域とに分割される。各瞳領域からは、特性の異なる光が出射される。すなわち、非偏光の光であって波長帯域λ11の光(第1の光)、非偏光の光であって波長帯域λ12の光(第2の光)、非偏光の光であって波長帯域λ13の光(第3の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域λ21の光(第4の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域λ22の光(第5の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域λ23の光(第6の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域λ31の光(第7の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域λ32の光(第8の光)、及び、偏光方向θ3の光であって波長帯域λ33の光(第9の光)が出射する。
[イメージセンサ]
図31は、イメージセンサの画素の配列の概略構成を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置のイメージセンサ100は、隣接する9個(3個×3個)の画素P1~P9で1つの画素ブロックPB(X,Y)が構成される。以下、必要に応じて、画素P1を第1画素P1、画素P2を第2画素P2、画素P3を第3画素P3、画素P4を第4画素P4、画素P5を第5画素P5、画素P6を第6画素P6、画素P7を第7画素P7、画素P8を第8画素P8、画素P9を第9画素P9として、各画素P1~P9を区別する。
イメージセンサ100が、ピクセルアレイ層110、偏光フィルタ素子アレイ層120、分光フィルタ素子アレイ層130及びマイクロレンズアレイ層140を有する点は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである(図7参照)。本実施の形態のイメージセンサ100は、偏光フィルタ素子アレイ層120及び分光フィルタ素子アレイ層130の構成が異なる。
偏光フィルタ素子アレイ層120には、透過偏光方向が異なる3種類の偏光フィルタ素子122A、122B、122Cが備えられる。以下、必要に応じて、偏光フィルタ素子122Aを第1偏光フィルタ素子122A、偏光フィルタ素子122Bを第2偏光フィルタ素子122B、偏光フィルタ素子122Cを第3偏光フィルタ素子122Cとして、各偏光フィルタ素子122A~122Cを区別する。第1偏光フィルタ素子122Aは、偏光方向Θ1(たとえば、方位角90°)の光を透過させる。第2偏光フィルタ素子122Bは、偏光方向Θ2(たとえば、方位角45°)の光を透過させる。第3偏光フィルタ素子122Cは、偏光方向Θ3(たとえば、方位角0°)の光を透過させる。
図32は、各画素ブロックに備えられる偏光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、第1画素P1、第4画素P4及び第7画素P7には、第1偏光フィルタ素子122Aが備えられる。また、第2画素P2、第5画素P5及び第8画素P8には、第2偏光フィルタ素子122Bが備えられる。また、第3画素P3、第6画素P6及び第9画素P9に第3偏光フィルタ素子122Cが備えられる。
分光フィルタ素子アレイ層130には、互いに透過波長特性の異なる3種類の分光フィルタ素子132A、132B、132Cが備えられる。以下、必要に応じて、分光フィルタ素子132Aを第1分光フィルタ素子132A、分光フィルタ素子132Bを第2分光フィルタ素子132B、分光フィルタ素子132Cを第3分光フィルタ素子132Cとして、各分光フィルタ素子132A~132Cを区別する。
図33は、第1分光フィルタ素子の透過波長特性の一例を示すグラフである。
同図に示すように、第1分光フィルタ素子132Aは、波長帯域λA(たとえば、赤色(Red,R)の波長帯域)の光を透過させる。撮像光学系10に備えられるバンドパスフィルタユニット16は、第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ11、第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ21及び第3バンドパスフィルタ16B3が透過させる波長帯域λ31が、第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域λAの範囲内で設定される。
図34は、第2分光フィルタ素子の透過波長特性の一例を示すグラフである。
同図に示すように、第2分光フィルタ素子132Bは、波長帯域λB(たとえば、緑色(Green,G)の波長帯域)の光を透過させる。撮像光学系10に備えられるバンドパスフィルタユニット16は、第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ12、第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ22及び第3バンドパスフィルタ16B3が透過させる波長帯域λ32が、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λBの範囲内で設定される。
図35は、第3分光フィルタ素子の透過波長特性の一例を示すグラフである。
同図に示すように、第3分光フィルタ素子132Cは、波長帯域λC(たとえば、青色(Blue,B)の波長帯域)の光を透過させる。撮像光学系10に備えられるバンドパスフィルタユニット16は、第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる波長帯域λ13、第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる波長帯域λ23及び第3バンドパスフィルタ16B3が透過させる波長帯域λ33が、第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域λCの範囲内で設定される。
図36は、各画素ブロックに備えられる分光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、第1画素P1、第2画素P2及び第3画素P3には、第1分光フィルタ素子132Aが備えられる。また、第4画素P4、第5画素P5及び第6画素P6には、第2分光フィルタ素子132Bが備えられる。また、第7画素P7、第8画素P8及び第9画素P9には、第3分光フィルタ素子132Cが備えられる。
以上のように構成されるイメージセンサ100は、各画素ブロックPB(X,Y)において、各画素P1~P9が、次のように撮像光学系10からの光を受光する。すなわち、第1画素P1は、第1分光フィルタ素子132A及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第2画素P2は、第1分光フィルタ素子132A及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第3画素P3は、第1分光フィルタ素子132A及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第4画素P4は、第2分光フィルタ素子132B及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第5画素P5は、第2分光フィルタ素子132B及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第6画素P6は、第2分光フィルタ素子132B及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第7画素P7は、第3分光フィルタ素子132C及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第8画素P8は、第3分光フィルタ素子132C及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第9画素P9は、第3分光フィルタ素子132C及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。このように、画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P9は、異なる組み合わせの分光フィルタ素子132A~132Cと偏光フィルタ素子122A~122Cを有することにより、それぞれ異なる特性の光を受光する。
[信号処理部]
信号処理部200は、イメージセンサ100から出力される信号を処理して、9バンドのマルチスペクトル画像の画像信号を生成する。すなわち、撮像光学系10のバンドパスフィルタユニット16を透過する9つの波長帯域λ11、λ12、λ13、λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の画像信号を生成する。信号処理部200は、所定の混信除去処理を行って、各波長帯域の画像信号を生成する点については、上記第1の実施の形態の信号処理部200と同じである。
[撮像装置の作用]
図37は、本実施の形態の撮像装置の動作の概念図である。
撮像光学系10に入射した光は、特性の異なる9種類の光となって、イメージセンサ100に入射する。具体的には、非偏光の光であって波長帯域λ11の光(第1の光)、非偏光の光であって波長帯域λ12の光(第2の光)、非偏光の光であって波長帯域λ13の光(第3の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域λ21の光(第4の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域λ22の光(第5の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域λ23の光(第6の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域λ31の光(第7の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域λ32の光(第8の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域λ33の光(第9の光)となって、イメージセンサ100に入射する。
イメージセンサ100の各画素ブロックPB(X,Y)では、各画素P1~P9において、撮像光学系10から出射した光が所定の割合で受光される。すなわち、波長帯域λ11の光、波長帯域λ12の光、波長帯域λ13の光、波長帯域λ21の光、波長帯域λ22の光、波長帯域λ23の光、波長帯域λ31の光、波長帯域λ32の光、波長帯域λ33の光が、所定の割合で受光される。
信号処理部200は、イメージセンサ100の各画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P9から得られる画素信号α1~α9から各波長帯域λ11、λ12、λ13、λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の光に対応した画素信号β1~β9を算出し、各波長帯域λ11、λ12、λ13、λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の画像信号を生成する。
このように、本実施の形態の撮像装置によれば、1つの撮像光学系10と1つのイメージセンサ100で9バンドのマルチスペクトル画像を撮像できる。
[バンドパスフィルタユニット及び偏光フィルタユニットの変形例]
図38は、バンドパスフィルタユニットの他の一例を示す図である。図39は、偏光フィルタユニットの他の一例を示す図である。
図38に示すように、本例のバンドパスフィルタユニット16は、枠体16Aが9つの開口領域を有し、各開口領域に各波長帯域λ11、λ12、λ13、λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の光を透過させるバンドパスフィルタが個別に備えられる。したがって、各波長帯域λ11、λ12、λ13、λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の光は、各開口領域を通過することで分離される。
図39に示すように、偏光フィルタユニット18も、バンドパスフィルタユニットに対応して、枠体18Aが9つの開口領域を有し、各開口領域に偏光フィルタが備えられる。なお、本例では、透過偏光方向の異なる3種類の偏光フィルタ(偏光方向θ1、θ2、θ3)を組み合わせて使用しているが、1種類を非偏光(素通し)としてもよい。
図40は、偏光フィルタユニットの他の一例を示す図である。
本例の偏光フィルタユニット18は、図39に示した偏光フィルタユニットに対して、同じ偏光特性を有する開口領域を結合して1つにまとめたものである。このように、同じ偏光特性を有する開口領域を結合して1つにまとめることにより、フィルタの作成を容易にできる。なお、この場合、バンドパスフィルタユニット16と重ねた際の開口形状(開口領域として透視される形状(破線で示す形状))が、実質的な開口領域(瞳領域)の形状となる。
図41は、バンドパスフィルタユニットの他の一例を示す図である。図42は、偏光フィルタユニットの他の一例を示す図である。
図41に示すように、本例のバンドパスフィルタユニット16は、枠体16Aが7つの開口領域を有する。7つの開口領域のうち1つは、マルチバンドパスフィルタが備えられ、3種類の波長帯域λ11、λ12、λ13の光を透過させる。残りの開口領域は、それぞれ1種類の波長帯域λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の光を透過させるバンドパスフィルタが備えられる。
図42に示すように、偏光フィルタユニット18も、バンドパスフィルタユニットに対応して、枠体18Aが7つの開口領域を有する。各開口領域には、偏光フィルタ(偏光方向θ1、θ2、θ3)が備えられる。
本例のように、マルチバンドパスフィルタを適宜使用することにより、開口サイズを大きくできる。これにより、感度を向上できる。
図43~図45は、バンドパスフィルタユニットの各バンドパスフィルタに設定される透過波長特性の他の一例(変形例)を示すグラフである。なお、図43は、第1バンドパスフィルタに設定される透過波長特性の他の一例を示すグラフである。また、図44は、第2バンドパスフィルタに設定される透過波長特性の他の一例を示すグラフである。また、図45は、第3バンドパスフィルタに設定される透過波長特性の他の一例を示すグラフである。
図43に示すように、第1バンドパスフィルタは、2種類の波長帯域λ11、λ12の光を透過させる。ここで、一方の波長帯域λ11は、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132A及び第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λA、λBの間を跨いで設定される。換言すると、その波長帯域の一部が、第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域λA及び第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λBに重複して設定される。他方の波長帯域λ12は、イメージセンサ100に備えられる第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域λCの範囲内で設定される。
図44に示すように、第2バンドパスフィルタは、3種類の波長帯域λ21、λ22、λ23の光を透過させる。ここで、波長帯域λ21は、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域λAの範囲内で設定される。また、波長帯域λ22は、イメージセンサ100に備えられる第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λBの範囲内で設定される。また、波長帯域λ23は、イメージセンサ100に備えられる第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域λCの範囲内で設定される。
図45に示すように、第3バンドパスフィルタは、3種類の波長帯域λ31、λ32、λ33の光を透過させる。ここで、波長帯域λ31は、イメージセンサ100に備えられる第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域λAの範囲内で設定される。また、波長帯域λ32は、イメージセンサ100に備えられる第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域λBの範囲内で設定される。また、波長帯域λ33は、イメージセンサ100に備えられる第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域λCの範囲内で設定される。
以上の構成のバンドパスフィルタユニットによれば、撮像光学系では、8種類の波長帯域λ11、λ12、λ21、λ22、λ23、λ31、λ32、λ33の光が分離される。しかしながら、イメージセンサでは、実質的に9種類の波長帯域の光を受光できる。すなわち、第1バンドパスフィルタで分離される波長帯域λ11の光は、第1分光フィルタ素子132A及び第2分光フィルタ素子132Bによって実質的に2つの波長帯域に分離される。したがって、イメージセンサでは、実質的に9種類の波長帯域の光を受光できる。
《第7の実施の形態》
本実施の形態の撮像装置は、12バンドのマルチスペクトル画像を撮像する。なお、撮像装置が、撮像光学系10と、イメージセンサ100と、信号処理部200と、を備える点については、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである(図1参照)。
[撮像光学系]
本実施の形態の撮像装置の撮像光学系は、バンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18の構成が、上記第1の実施の形態の撮像装置1の撮像光学系10と相違する。
図46は、本実施の形態の撮像光学系に備えられるバンドパスフィルタユニットの正面図である。
バンドパスフィルタユニット16は、枠体16Aに3つの開口領域(第1開口領域16A1、第2開口領域16A2、第3開口領域16A3)を有する。各開口領域16A1~16A3には、それぞれ透過波長特性の異なるバンドパスフィルタ(第1バンドパスフィルタ16B1、第2バンドパスフィルタ16B2、第3バンドパスフィルタ16B3)が備えられる。各バンドパスフィルタ16B1~16B3は、マルチバンドパスフィルタで構成され、互いに異なる4種類の波長帯域の光を透過させる。具体的には、第1バンドパスフィルタ16B1は、波長帯域Rλ1、Gλ1、Bλ1、IRλ1の光を透過させる。第2バンドパスフィルタ16B2は、波長帯域Rλ2、Gλ2、Bλ2、IRλ2の光を透過させる。第3バンドパスフィルタ16B3は、波長帯域Rλ3、Gλ3、Bλ3、IRλ3の光を透過させる。
図47は、本実施の形態の撮像光学系に備えられる偏光フィルタユニットの正面図である。
同図に示すように、偏光フィルタユニット18は、枠体18Aに3つの開口領域(第1開口領域18A1、第2開口領域18A2、第3開口領域18A3)を有する。各開口領域18A1~18A3には、それぞれ透過偏光方向の異なる偏光フィルタ(第1偏光フィルタ18B1、第2偏光フィルタ18B2、第3偏光フィルタ18B3)が備えられる。具体的には、第1偏光フィルタ18B1は、偏光方向θ1の光を透過させる。第2偏光フィルタ18B2は、偏光方向θ2の光を透過させる。第3偏光フィルタ18B3は、偏光方向θ3の光を透過させる。
以上の構成の撮像光学系からは、特性の異なる12種類の光が出射される。すなわち、偏光方向θ1の光であって波長帯域Rλ1の光(第1の光)、偏光方向θ1の光であって波長帯域Gλ1の光(第2の光)、偏光方向θ1の光であって波長帯域Bλ1の光(第3の光)、偏光方向θ1の光であって波長帯域IRλ1の光(第4の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域Rλ2の光(第5の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域Gλ2の光(第6の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域Bλ2の光(第7の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域IRλ2の光(第8の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域Rλ3の光(第9の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域Gλ3の光(第10の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域Bλ3の光(第11の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域IRλ3の光(第12の光)が出射する。
[イメージセンサ]
図48は、イメージセンサの画素の配列の概略構成を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態のイメージセンサ100は、隣接する16個(4個×4個)の画素P1~P16で1つの画素ブロックPB(X,Y)が構成される。以下、必要に応じて、画素P1を第1画素P1、画素P2を第2画素P2、画素P3を第3画素P3、画素P4を第4画素P4、画素P5を第5画素P5、画素P6を第6画素P6、画素P7を第7画素P7、画素P8を第8画素P8、画素P9を第9画素P9、画素P10を第10画素P10、画素P11を第11画素P11、画素P12を第12画素P12、画素P13を第13画素P13、画素P14を第14画素P14、画素P15を第15画素P15、画素P16を第16画素P16として、各画素P1~P16を区別する。
イメージセンサ100が、ピクセルアレイ層110、偏光フィルタ素子アレイ層120、分光フィルタ素子アレイ層130及びマイクロレンズアレイ層140を有する点は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである(図7参照)。本実施の形態のイメージセンサ100は、偏光フィルタ素子アレイ層120及び分光フィルタ素子アレイ層130の構成が異なる。
偏光フィルタ素子アレイ層120には、透過偏光方向の異なる4種類の偏光フィルタ素子(第1偏光フィルタ素子122A、第2偏光フィルタ素子122B、第3偏光フィルタ素子122C、第4偏光フィルタ素子122D)が備えられる。具体的には、第1偏光フィルタ素子122Aは、偏光方向θ1(たとえば、方位角45°)の光を透過させる。第2偏光フィルタ素子122Bは、偏光方向θ2(たとえば、方位角90°)の光を透過させる。第3偏光フィルタ素子122Cは、偏光方向θ3(たとえば、方位角135°)の光を透過させる。第4偏光フィルタ素子122Dは、偏光方向θ4(たとえば、方位角0°)の光を透過させる。
図49は、各画素ブロックに備えられる偏光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、第1画素P1、第3画素P3、第9画素P9及び第11画素P11には、第1偏光フィルタ素子122Aが備えられる。また、第2画素P2、第4画素P4、第10画素P10及び第12画素P12には、第2偏光フィルタ素子122Bが備えられる。また、第5画素P5、第7画素P7、第13画素P13及び第15画素P15には、第3偏光フィルタ素子122Cが備えられる。また、第6画素P6、第8画素P8、第14画素P14及び第16画素P16には、第4偏光フィルタ素子122Dが備えられる。
分光フィルタ素子アレイ層130には、互いに透過波長特性の異なる4種類の分光フィルタ素子(第1分光フィルタ素子132A、第2分光フィルタ素子132B、第3分光フィルタ素子132C、第4分光フィルタ素子132D)が備えられる。
図50は、各画素ブロックに備えられる分光フィルタ素子の配列パターンの一例を示す図である。
同図に示すように、第1画素P1、第2画素P2、第5画素P5及び第6画素P6には、第1分光フィルタ素子132Aが備えられる。また、第3画素P3、第4画素P4、第7画素P7及び第8画素P8には、第2分光フィルタ素子132Bが備えられる。また、第9画素P9、第10画素P10、第13画素P13及び第14画素P14には、第3分光フィルタ素子132Cが備えられる。また、第11画素P11、第12画素P12、第15画素P15及び第16画素P16には、第4分光フィルタ素子132Dが備えられる。
一例として、本実施の形態の撮像装置では、第1分光フィルタ素子132Aが、赤色(Red,R)の波長帯域Rλの光を透過させる分光フィルタ素子で構成される。第2分光フィルタ素子132Bは、緑色(Green,G)の波長帯域Gλの光を透過させる分光フィルタ素子で構成される。第3分光フィルタ素子132Cは、青色(Blue,B)の波長帯域Bλの光を透過させる分光フィルタ素子で構成される。第4分光フィルタ素子132Dは、赤外(InfraRed,IR)の波長帯域IRλの光を透過させる分光フィルタ素子で構成される。
第1バンドパスフィルタ16B1が透過させる4種類の波長帯域Rλ1、Gλ1、Bλ1、IRλ1は、それぞれ第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域Rλ、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域Gλ、第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域Bλ、第4分光フィルタ素子132Dの透過波長帯域IRλの範囲内で設定される。すなわち、波長帯域Rλ1は第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域Rλの範囲内で設定される。また、波長帯域Gλ1は第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域Gλの範囲内で設定される。また、波長帯域Bλ1は第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域Bλの範囲内で設定される。また、波長帯域IRλ1は第4分光フィルタ素子132Dの透過波長帯域IRλの範囲内で設定される。
また、第2バンドパスフィルタ16B2が透過させる4種類の波長帯域Rλ2、Gλ2、Bλ2、IRλ2は、それぞれ第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域Rλ、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域Gλ、第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域Bλ、第4分光フィルタ素子132Dの透過波長帯域IRλの範囲内で設定される。すなわち、波長帯域Rλ2は第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域Rλの範囲内で設定される。また、波長帯域Gλ2は第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域Gλの範囲内で設定される。また、波長帯域Bλ2は第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域Bλの範囲内で設定される。また、波長帯域IRλ2は第4分光フィルタ素子132Dの透過波長帯域IRλの範囲内で設定される。
また、第3バンドパスフィルタ16B3が透過させる4種類の波長帯域Rλ3、Gλ3、Bλ3、IRλ3は、それぞれ第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域Rλ、第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域Gλ、第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域Bλ、第4分光フィルタ素子132Dの透過波長帯域IRλの範囲内で設定される。すなわち、波長帯域Rλ3は第1分光フィルタ素子132Aの透過波長帯域Rλの範囲内で設定される。また、波長帯域Gλ3は第2分光フィルタ素子132Bの透過波長帯域Gλの範囲内で設定される。また、波長帯域Bλ3は第3分光フィルタ素子132Cの透過波長帯域Bλの範囲内で設定される。また、波長帯域IRλ3は第4分光フィルタ素子132Dの透過波長帯域IRλの範囲内で設定される。
以上のように構成されるイメージセンサ100は、各画素ブロックPB(X,Y)において、各画素P1~P16が、次のように撮像光学系10からの光を受光する。すなわち、第1画素P1は、第1分光フィルタ素子132A及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第2画素P2は、第1分光フィルタ素子132A及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第3画素P3は、第2分光フィルタ素子132B及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第4画素P4は、第2分光フィルタ素子132B及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第5画素P5は、第1分光フィルタ素子132A及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第6画素P6は、第1分光フィルタ素子132A及び第4偏光フィルタ素子122Dを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第7画素P7は、第2分光フィルタ素子132B及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第8画素P8は、第2分光フィルタ素子132B及び第4偏光フィルタ素子122Dを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第9画素P9は、第3分光フィルタ素子132C及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第10画素P10は、第3分光フィルタ素子132C及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第11画素P11は、第4分光フィルタ素子132D及び第1偏光フィルタ素子122Aを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第12画素P12は、第4分光フィルタ素子132D及び第2偏光フィルタ素子122Bを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第13画素P13は、第3分光フィルタ素子132C及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第14画素P14は、第3分光フィルタ素子132C及び第4偏光フィルタ素子122Dを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第15画素P15は、第4分光フィルタ素子132D及び第3偏光フィルタ素子122Cを介して、撮像光学系10からの光を受光する。第16画素P16は、第4分光フィルタ素子132D及び第4偏光フィルタ素子122Dを介して、撮像光学系10からの光を受光する。
[信号処理部]
信号処理部200は、イメージセンサ100から出力される信号を処理して、12バンドのマルチスペクトル画像の画像信号を生成する。すなわち、撮像光学系のバンドパスフィルタユニット16を透過する12種類の波長帯域Rλ1、Gλ1、Bλ1、IRλ1、Rλ2、Gλ2、Bλ2、IRλ2、Rλ3、Gλ3、Bλ3、IRλ3の画像信号を生成する。信号処理部200は、所定の混信除去処理を行って、各波長帯域の画像信号を生成する点については、上記第1の実施の形態の信号処理部200と同じである。
[撮像装置の作用]
図51は、本実施の形態の撮像装置の動作の概念図である。
撮像光学系10に入射した光は、特性の異なる12種類の光となって、イメージセンサ100に入射する。具体的には、偏光方向θ1の光であって波長帯域Rλ1の光(第1の光)、偏光方向θ1の光であって波長帯域Gλ1の光(第2の光)、偏光方向θ1の光であって波長帯域Bλ1の光(第3の光)、偏光方向θ1の光であって波長帯域IRλ1の光(第4の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域Rλ2の光(第5の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域Gλ2の光(第6の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域Bλ2の光(第7の光)、偏光方向θ2の光であって波長帯域IRλ2の光(第8の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域Rλ3の光(第9の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域Gλ3の光(第10の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域Bλ3の光(第11の光)、偏光方向θ3の光であって波長帯域IRλ3の光(第12の光)となって、イメージセンサ100に入射する。
イメージセンサ100の各画素ブロックPB(X,Y)では、各画素P1~P16において、撮像光学系10から出射した光(第1の光~第12の光)が、所定の割合で受光される。
信号処理部200は、イメージセンサ100の各画素ブロックPB(X,Y)の各画素P1~P16から得られる画素信号α1~α16から各波長帯域Rλ1、Gλ1、Bλ1、IRλ1、Rλ2、Gλ2、Bλ2、IRλ2、Rλ3、Gλ3、Bλ3、IRλ3の光に対応した画素信号β1~β12を算出し、各波長帯域Rλ1、Gλ1、Bλ1、IRλ1、Rλ2、Gλ2、Bλ2、IRλ2、Rλ3、Gλ3、Bλ3、IRλ3の画像信号を生成する。
このように、本実施の形態の撮像装置によれば、1つの撮像光学系10と1つのイメージセンサ100で12バンドのマルチスペクトル画像を撮像できる。
[Nバンドのマルチスペクトル画像を撮像する撮像装置]
以上のように、本発明によれば、4バンド以上のマルチスペクトル画像を撮像できる。いま、イメージセンサに備えられる偏光フィルタ素子の種類をn種(n≧2)、分光フィルタ素子の種類をm種(m≧2)とする。nは、偏光フィルタ素子によるイメージセンサの透過偏光方向数を意味し、mは、分光フィルタ素子によるイメージセンサの透過波長帯域数を意味する。
撮像装置で撮像するマルチスペクトル画像のバンド数をNとする。本発明の撮像装置では、最大でN=m×nバンドのマルチスペクトル画像を撮像できる。この場合、イメージセンサは、1つの画素ブロックが、偏光フィルタ素子と分光フィルタ素子との組み合わせが異なるm×n個の画素で構成される。
撮像光学系から出射される波長帯域の種類(分光フィルタ素子との組み合わせで分離する場合を含む)をk種とする。すなわち、撮像光学系の透過波長帯域数をkとする。本発明の撮像装置では、最大でn×mバンドのマルチスペクトル画像を撮像できるので、k≦m×nとなる。撮像光学系及びイメージセンサは、k≦m×nを満たすように設定される。具体的には、撮像光学系は、k≦m×nを満たすように、開口領域が設定され、かつ、各開口領域を透過する光の波長帯域及び偏光方向が設定される。また、イメージセンサは、k≦m×nを満たすように、1つの画素ブロックが設定され、かつ、各画素ブロックを構成する画素の偏光フィルタ素子と分光フィルタ素子との組み合わせが設定される。
なお、撮像光学系の透過波長帯域数kのカウントは、分光フィルタ素子及びイメージセンサの双方で感度を有する波長帯域内で行われる。すなわち、たとえば、撮像光学系がλ1~λ4の4つの波長帯域の光を透過する構成であっても、イメージセンサが、波長帯域λ4の光について感度を有していない場合、実質的な透過波長帯域数はk=3となる。同様に、分光フィルタ素子が、波長帯域λ4の光について感度を有していない場合(波長帯域λ4の光を実質的に透過させない場合)も、実質的な透過波長帯域数はk=3となる。したがって、4バンド以上のマルチスペクトル画像を撮像する場合は、分光フィルタ素子(第3光学素子)及びイメージセンサの双方で感度を有する波長帯域内で撮像するバンド、すなわち、撮像光学系の透過波長帯域(第1光学素子の透過波長帯域)を設定する。
いま、イメージセンサに備えられる偏光フィルタ素子の種類をn種、分光フィルタ素子の種類をm種、n×m=qとして、1つの画素ブロックがq個の画素で構成される場合を考える。この場合、イメージセンサの各画素ブロックからは、q個の画素信号α1、α2、…、αqが出力される。撮像光学系が、k個の波長帯域の光を出射する場合、このq個の画素信号α1、α2、…、αqから各波長帯域の光に対応したk個の画素信号β1、β2、…、βkを算出するための演算式は、行列Aを用いて、次のように定義される。
上記のように、行列Aは、各波長帯域の光が、各画素ブロックの各画素で受光される割合を要素とする行列Bの逆行列B-1である。
なお、撮像光学系については、バンドパスフィルタユニットの少なくとも1つの開口領域が、複数種類の波長帯域の光を透過させる構成とすることが好ましい。すなわち、少なくとも1つの開口領域については、複数種類の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタ(マルチバンドパスフィルタ)を備える構成とする。これにより、開口面積を大きくでき、感度を向上できる。この場合、1つの開口領域で透過させる波長帯域の数(透過波長帯域数)は、最大でイメージセンサに備えられる分光フィルタ素子の種類の数までとされる。なお、イメージセンサに備えられる分光フィルタ素子の種類は、イメージセンサにおける分光フィルタ素子の透過波長帯域数を意味するので、バンドパスフィルタユニットの少なくとも1つの開口領域が有する透過波長帯域の数は、分光フィルタ素子の透過波長帯域の数以下で設定できる。
《第8の実施の形態》
撮像光学系に、同じ透過波長特性を有するバンドパスフィルタを一組が備えられていると、焦点がズレた場合に、像がシフトする。この性質を利用して、焦点を検出しやすくできる。以下、焦点を検出しやすくした撮像装置について説明する。なお、バンドパスフィルタユニット以外の構成については、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。したがって、ここでは、バンドパスフィルタユニットの構成についてのみ説明する。
図52は、本実施の形態のバンドパスフィルタユニットの一例を示す正面図である。
同図に示すように、本例のバンドパスフィルタユニット16は、枠体16Aに3つの開口領域(第1開口領域16A1、第2開口領域16A2、第3開口領域16A3)を有する。3つの開口領域16A1~16A3は、同じ開口形状を有し、第1開口領域16A1及び第3開口領域16A3が第2開口領域16A2を挟んで対称に配置される。
各開口領域16A1~16A3には、バンドパスフィルタ(第1バンドパスフィルタ16B1、第2バンドパスフィルタ16B2、第3バンドパスフィルタ16B3)が備えられる。第1バンドパスフィルタ16B1及び第3バンドパスフィルタ16B3は、同じ透過波長特性を有し、波長帯域λ11、λ12、λ13の光を透過させる。一方、第2バンドパスフィルタ16B2は、第1バンドパスフィルタ16B1及び第3バンドパスフィルタ16B3とは異なる透過波長特性を有し、波長帯域λ21、λ22、λ23の光を透過させる。
本実施の形態のバンドパスフィルタユニット16を備えた撮像装置によれば、第1開口領域16A1を通過した波長帯域λ11、λ12、λ13の画像及び第3開口領域16A3を通過した波長帯域λ11、λ12、λ13の画像に関して、焦点がズレた場合に、像がシフトするため、焦点を検出しやすくできる。
図53は、本実施の形態のバンドパスフィルタユニットの他の一例を示す正面図である。
同図に示すように、本例のバンドパスフィルタユニット16は、枠体16Aに7つの開口領域(第1開口領域16A1、第2開口領域16A2、第3開口領域16A3、第4開口領域16A4、第5開口領域16A5、第6開口領域16A6、第7開口領域16A7)を有する。7つの開口領域16A1~16A7は、第1開口領域16A1を除いて同じ開口形状を有し、第1開口領域16A1を挟んで対称に配置される。
各開口領域16A1~16A7には、バンドパスフィルタ(第1バンドパスフィルタ16B1、第2バンドパスフィルタ16B2、第3バンドパスフィルタ16B3、第4バンドパスフィルタ16B4、第5バンドパスフィルタ16B5、第6バンドパスフィルタ16B6、第7バンドパスフィルタ16B7)が備えられる。第1バンドパスフィルタ16B1は、マルチバンドパスフィルタで構成され、3種類の波長帯域(λ11、λ12、λ13)の光を透過させる。他のバンドパスフィルタ16B2~16B7は、1種類の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタで構成され、第2バンドパスフィルタ16B2及び第5バンドパスフィルタ16B5を除いて、互いに異なる波長帯域の光を透過させる。第2バンドパスフィルタ16B2及び第5バンドパスフィルタ16B5は、同じ透過波長特性を有し、波長帯域λ21の光を透過させる。
本実施の形態のバンドパスフィルタユニット16を備えた撮像装置によれば、第2開口領域16A2を通過した波長帯域λ21の画像及び第5開口領域16A5を通過した波長帯域λ21の画像に関して、焦点がズレた場合に、像がシフトするため、焦点を検出しやすくできる。
《第9の実施の形態》
上記各実施の形態では、バンドパスフィルタユニット及び偏光フィルタユニットに備える開口領域の開口形状を円形状又は矩形状としているが、開口領域の開口形状は、これに限定されるものではない。
図54は、バンドパスフィルタユニットの一例を示す正面図である。図55は、偏光フィルタユニットの一例を示す正面図である。
図54及び図55に示すように、本例のバンドパスフィルタユニット16及び偏光フィルタユニット18は、それぞれ中央開口領域16a1、18a1と、その中央開口領域16a1、18a1の周囲に配置される複数の外周開口領域16a2、16a3、16a4、16a5、16a6、16a7、18a2、18a3、18a4、18a5、18a6、18a7と、を有する。中央開口領域18a1、16a1は、円形状の開口形状を有する領域として、撮像光学系の光軸上に配置される。外周開口領域16a2、16a3、16a4、16a5、16a6、16a7、18a2、18a3、18a4、18a5、18a6、18a7は、扇状の開口形状を有する領域として、中央開口領域16a1、18a1の周囲に、周方向に沿って一定の間隔で配置される。
バンドパスフィルタユニット16の各開口領域(中央開口領域16a1及び外周開口領域16a2、16a3、16a4、16a5、16a6、16a7)には、所定の波長透過特性を有するバンドパスフィルタ(16b1、16b2、16b3、16b4、16b5、16b6、16b7)が備えられる。具体的には、中央開口領域16a1には、3種類の波長帯域λ11、λ12、λ13の光を透過させるバンドパスフィルタ(マルチバンドパスフィルタ)16b1が備えられる。外周開口領域16a2には、1種類の波長帯域λ31の光を透過させるバンドパスフィルタ16b2が備えられる。外周開口領域16a3には、1種類の波長帯域λ22の光を透過させるバンドパスフィルタ16b3が備えられる。外周開口領域16a4には、1種類の波長帯域λ32の光を透過させるバンドパスフィルタ16b4が備えられる。外周開口領域16a5には、1種類の波長帯域λ23の光を透過させるバンドパスフィルタ16b5が備えられる。外周開口領域16a6には、1種類の波長帯域λ33の光を透過させるバンドパスフィルタ16b6が備えられる。外周開口領域16a7には、1種類の波長帯域λ21の光を透過させるバンドパスフィルタ16b7が備えられる。
偏光フィルタユニット18の各開口領域(中央開口領域18a1及び外周開口領域18a2、18a3、18a4、18a5、18a6、18a7)には、偏光フィルタ(18b1、18b2、18b3)が備えられる。具体的には、中央開口領域18a1には、偏光方向θ1の光を透過させる偏光フィルタ18b1が備えられる。外周開口領域18a2、18a4、18a6には、偏光方向θ2の光を透過させる偏光フィルタ18b3が備えられる。外周開口領域18a3、18a5、18a7には、偏光方向θ3の光を透過させる偏光フィルタ18b2が備えられる。
一般にレンズは、中心部(光軸)に近いほど収差が少なく、高画質となる。したがって、要求される画質に応じて各領域の透過波長帯域を設定することにより、得られる画像の画質を波長帯域ごとにコントロールできる。たとえば、高画質が要求される波長帯域については、中央開口領域に割り当てることにより、波長帯域ごとに画質をコントロールできる。
開口領域の設定(瞳領域の分割の態様)については、この他、同心円状に分割する態様、周方向に沿って分割する態様、グリッド状に分割する態様等、種々の態様を採用できる。また、各開口領域のサイズ(面積)についても、すべてを一致させる必要はなく、開口領域ごとに差を持たせてもよい。
《その他の実施の形態》
[撮像光学系の構成]
上記実施の形態では、バンドパスフィルタユニット及び偏光フィルタユニットをそれぞれ別の光学素子で構成しているが、バンドパスフィルタユニット及び偏光フィルタユニットの機能を備えた1つの光学素子で構成することもできる。たとえば、1つの枠体にバンドパスフィルタ及び偏光フィルタを保持する構成とすることもできる。
[イメージセンサの構成]
1つの画素ブロックを構成する画素の配列は、上記各実施の形態のものに限定されるものではない。1つの画素ブロックを構成する画素の数等に応じて画素の配列を適宜変更できる。
また、上記実施の形態では、偏光フィルタ素子及び分光フィルタ素子が、フォトダイオードとマイクロレンズとの間に配置される構成としているが、いずれか一方又は両方をマイクロレンズの前(被写体側)に配置する構成とすることもできる。なお、偏光フィルタ素子及び分光フィルタ素子をマイクロレンズとフォトダイオードとの間に配置することにより、隣接する画素に光が混入するのを効果的に防止できる。これにより、より混信を防止できる。
[信号処理部における混信除去処理]
信号処理部では、混信除去処理を行わずに各波長帯域の画像信号を生成することもできる。たとえば、上記のように、撮像光学系に備える偏光フィルタの透過偏光方向と、イメージセンサに備える偏光フィルタ素子の透過偏光方向との組み合わせによっては、混信を生じさせずに各波長帯域の光を受光できる。したがって、このような場合は混信除去処理を行わずに、各波長帯域の画像信号を生成できる。また、混信が生じる場合であっても、その影響が少ない場合、あるいは、ユーザが許容できると認める場合には、混信除去処理を行わずに、各波長帯域の画像信号を生成することもできる。
[信号処理部の構成]
信号処理部200における画像生成部200B(演算部)の機能は、各種のプロセッサ(processor)を用いて実現できる。各種のプロセッサには、たとえば、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の機能を実現する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)が含まれる。また、上記各種のプロセッサには、画像処理に特化したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)も含まれる。更に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路なども上記各種のプロセッサに含まれる。
各部の機能は1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種又は異種の複数のプロセッサ(たとえば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ、又はCPUとGPUの組み合わせ)で実現されてもよい。また、複数の機能を1つのプロセッサで実現してもよい。複数の機能を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、サーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の機能として実現する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、システム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の機能は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。これらの電気回路は、論理和、論理積、論理否定、排他的論理和、及びこれらを組み合わせた論理演算を用いて上記の機能を実現する電気回路であってもよい。
上記のプロセッサあるいは電気回路がソフトウェア(プログラム)を実行する際は、実行するソフトウェアのプロセッサ(コンピュータ)読み取り可能なコードをROM(Read Only Memory)等の非一時的記録媒体に記憶しておき、プロセッサがそのソフトウェアを参照する。非一時的記録媒体に記憶しておくソフトウェアは、画像の入力、解析、表示制御等を実行するためのプログラムを含む。ROMではなく各種光磁気記録装置、半導体メモリ等の非一時的記録媒体にコードを記録してもよい。ソフトウェアを用いた処理の際には、たとえばRAM(Random Access Memory)が一時的記憶領域として用いられ、また、たとえば、不図示のEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)に記憶されたデータを参照することもできる。
信号処理部200の係数記憶部200Cは、たとえば、ROM(Read-only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-only Memory)等のメモリで実現できる。
[撮像装置の構成]
撮像装置は、撮像光学系の交換が可能なレンズ交換式の撮像装置として構成することもできる。この場合、行列Aは、レンズ(撮像光学系)ごとに一意に定まるので、レンズごとに行列Aを用意し、その係数群を係数記憶部に記憶させる。レンズが交換された場合は、交換されたレンズに対応する行列Aの係数群を係数記憶部から読み出して、演算処理を実行し、各画像を生成する。