JP7285242B2 - 既存スレート屋根の改修方法 - Google Patents
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さらに、シングル葺きによる屋根は、年を経るに従い表面に藻の発生により、暗緑色に変色現象が生じることがあるため、防藻性を付与する考案が特許文献4に開示されている。
改修以外に本発明品を用いるとき、すなわち新築時に使用する際は、さらに施工単位面積当たりの必要部数を減らすことが可能である。具体的には、スレート屋根の改修に当たっては、葺き足182mmで5.5枚/m2であるのに対し、例えば、短辺485mmでは葺き足を217mmまで拡大し、4.6枚/m2まで必要部数を減らすことが出来る。さらに短辺540mmとすると葺き足は254mmまで拡大することが出来る為に必要部数は4.1枚/m2まで減じることが可能である。
[1]葺き足が182±5mmである既存スレート屋根の改修方法であって、前記方法は、
ロ)屋根仕上げ材を、葺き足が182±5mmになるように、配置する工程
を含み、
前記屋根仕上げ材は、ガラス繊維基材にアスファルトを含浸塗覆し表面に鉱物砂を撒布圧着させたアスファルトシングルおよびガラス繊維基材の両面に無機質充填材と樹脂材との混合層を形成し表面に鉱物砂を撒布圧着させた不燃シングルからなる群から選択され、平面視で、上辺、下辺、左辺および右辺を有する略長方形の形状を有し、上辺および下辺の長さが900~1200mmであり、左辺および右辺の長さが420~540mmである、既存スレート屋根の改修方法。
[2]工程ロ)の後に、
ハ)屋根仕上げ材に釘打ちする工程
を含む、[1]に記載の既存スレート屋根の改修方法。
[3]既存スレート屋根のスレート板の3枚重ね部分ではない部分に釘打ちする、[2]に記載の既存スレート屋根の改修方法。
[4]屋根仕上げ材のおもて面に、下辺から上に187mmを超える寸法だけ離れた位置より上に粘着層が設けられ、前記粘着層が設けられた領域よりも上の位置に釘打ちする、[2]または[3]に記載の既存スレート屋根の改修方法。
[5]工程ロ)の前に、
イ)下葺材を既存スレート屋根に張り付ける工程
を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の既存スレート屋根の改修方法。
図1および図2の(a)はおもて面を示し、(b)は裏面を示す。上辺11および下辺12の長さが1000mm、左辺13および右辺14の長さが485mmの平面視略長方形の形状を有し、上辺11の両端には切り欠き15を有し、左辺13および右辺14の中央から上端の間には位置決めのための20mmの切り込み16を有し、上辺11の中央に20mmの切り込み17を有する。左辺13および右辺14の切り込み16は、上辺から葺き足の長さだけ下の位置に設けられる。すなわち、葺き足が182mmの場合は、切り込み16は上辺から182mm下の位置に設けられる。屋根仕上げ材1は、下辺12から上に177~230mm離れた位置において左右方向に延びる直線18より上の部分である基部19と前記直線18より下の部分であるタブ20からなる。図1の屋根仕上げ材においては、下辺12から上へ195mmまでの部分がタブ20であり、上辺11から下へ290mmまでの部分が基部19である。
図1の屋根仕上げ材では、粘着層は屋根仕上げ材のおもて面に設けられているが、粘着層は屋根仕上げ材の裏面に設けてもよい。粘着層を屋根仕上げ材の裏面に設ける場合は、好ましくは、タブの裏面に設ける。その場合、粘着層はタブの裏面の少なくとも一部に設ける。すなわち、粘着層はタブの裏面の全面に設けてもよいし、タブの裏面の一部に設けてもよい。粘着層をタブの裏面の一部に設ける場合、粘着層は複数の領域に設けてもよいし、1つの領域に設けてもよい。図5は、粘着層をタブの裏面の略全面に設けた屋根仕上げ材の平面図を示す。図5(a)はおもて面を示し、図5(b)は裏面を示す。図6は、図5におけるII-II線断面図を示す。図5に示す屋根仕上げ材1は、タブ20の裏面の略全面に粘着層21が設けられている。屋根仕上げ材同士を重ねた際に屋根仕上げ材同士が貼りつくのを防止するために、粘着層21は剥離フィルムまたは剥離紙23で覆うことが好ましい。剥離フィルムまたは剥離紙23の面積は、粘着層21の面積と同一であってもよいし、粘着層21の面積より若干大きくてもよい。剥離フィルムとしては熱可塑性樹脂等のフィルムにシリコーン等の剥離剤を塗布したものを用いることができ、剥離紙としては紙にシリコーン等の剥離剤を塗工したものを用いることができる。
図7(a)は、単純な長方形の形状を示す。図7(b)は、長方形の左辺および右辺に切り込み16を有する。図7(c)は、左辺および右辺の切り込み16に加え、上辺の左右両端に切り欠き15を有する。図7(d)は、左辺および右辺の切り込み16および上辺の左右両端の切り欠き15に加え、上辺の中央に切り込み17を有する。
ロ)前記屋根仕上げ材を、葺き足が182±5mmになるように、配置する工程
を含む既存スレート屋根の改修方法である。
本発明の方法は、さらに、工程ロ)の後に、
ハ)屋根仕上げ材に釘打ちする工程
を含むことが好ましい。
釘打ちの位置は、既存スレート屋根のスレート板の3枚重ね部分ではない部分に行うことが好ましい。すなわち、既存スレート屋根のスレート板の2枚重ね部分に釘打ちすることが好ましい。3枚重ね部分よりも2枚重ね部分に釘打ちする方が、釘が打ちこみやすい。
また、屋根仕上げ材のおもて面に、下辺から上に187mmを超える寸法だけ離れた位置より上に粘着層が設けられている場合は、前記粘着層が設けられた領域よりも上の位置に釘打ちすることが好ましい。
本発明の方法は、さらに、工程ロ)の前に、
イ)下葺材を既存スレート屋根に張り付ける工程
を含むことが好ましい。
既存スレート屋根と本発明の屋根仕上げ材の間に下葺材を挿入することにより、防水性を向上することができる。下葺材としては、例えば、不織布にアスファルトを含浸したものを用いることができる。下葺材の厚さは、限定されないが、好ましくは0.6~2.0mmである。また、下葺材は、裏面粘着層を有するものが好ましい。
ガラス繊維からなる柔軟な基材にアスファルトを含浸塗覆し、表裏面に着色砂を撒布し、ロール圧着した後、プレセメント部と剥離フィルムを設け、抜型を用いて図2の形状に裁断し、表面にプレセメント部を、裏面に剥離フィルムを設けた、上辺および下辺が1,000mm、左辺および右辺が485mmのアスファルトシングル(屋根仕上げ材)を製造した。
実施例1のアスファルトシングルの表面に、プレセメントを除く部分にスプレーコートを用いウレタン系の紫外線硬化塗料を20μmの厚さで塗布し、粒径10μmの高分子量ポリエチレンパウダー(三井化学株式会社製「ミペロン」(登録商標))を、1m2あたり5gを散布した後、紫外線照射により樹脂を硬化させ、樹脂層を備えた屋根仕上げ材を製造した。
実施例1と同様の生産方法で、図11(a)に示す形状(W′=915mm、L′=305mm)のタブ無しのアスファルトシングル(屋根仕上げ材)を製造した。
葺き足182mmの既存スレート屋根に、実施例1の屋根仕上げ材を用い、葺き足を182mmにして、改修工事を行い、改修後の屋根の外観不良(凹凸)を目視で観察した。改修後の屋根の外観の写真を図15に示す。本発明の屋根仕上げ材を用い、本発明の方法で施工した場合は、屋根仕上げ材の平面性が保たれ、外観が良好であることが分かる。
葺き足182mmの既存スレート屋根に、比較例1の屋根仕上げ材を用い、葺き足を122~124mmにして、改修工事を行い、改修後の屋根の外観不良(凹凸)を目視で観察した。改修後の屋根の外観の写真を図16に示す。従来の屋根仕上げ材を用いた場合には、従来の屋根仕上げ材と既存スレート屋根のスレート板との葺き足の相違に起因する盛り上がり部が見られ、屋根仕上げ材の平面性が損なわれ、外観が良くないことが分かる。
2名の施工技能員により、葺き足182mmの既存スレート屋根に、実施例1の屋根仕上げ材を、葺き足を182mmにして施工し、施工に要する時間を計測し、施工性の評価を行った。結果を表1に示す。表1中、セルフシールとは、予めシングルに工場塗布した接着材を意味する。
実施例1の屋根仕上げ材に代えて、実施例2の屋根仕上げ材を用いたこと以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表1に示す。
2名の施工技能員により、葺き足182mmの既存スレート屋根に、比較例1の屋根仕上げ材を、葺き足を140mmにして施工し、施工に要する時間を計測し、施工性の評価を行った。結果を表1に示す。表1中、シングルセメントとは、シングル同士を接着するため、施工現場で塗布するシングル用接着剤を意味する。
屋根仕上げ材の表面の砂の剥落性について評価したところ、実施例2の屋根仕上げ材は砂の剥落が無いことが確認された。一方、比較例1の屋根仕上げ材は砂の剥落が生じた。
なお、砂剥落性の評価は、日本防水材料協会規格に従い、金ブラシ34往復/分で表面を擦り砂の剥落の有無を目視で観察することにより行った。
[防藻性の評価]
防藻性の評価は特許文献4を参考に実施し、実施例2において発藻が無いことを確認した。
1′ 従来の屋根仕上げ材
11 上辺
12 下辺
13 左辺
14 右辺
15 切り欠き
16、17 切り込み
18 直線
19 基部
20 タブ
21 粘着層
22 貼りつき防止手段
23 剥離フィルムまたは剥離紙
31 アスファルトシングル
32 ガラス繊維基材
33 アスファルト
34 ガラス繊維基材にアスファルトを含浸塗覆した層
35 鉱物砂の層
36 鉱物質粉粒の層
37 樹脂層
38 高分子ポリエチレンパウダー
41 不燃シングル
42 無機質充填材と樹脂材との混合層
51 既存スレート屋根
52 軒端
53 既存スレート屋根を構成するスレート板
54 釘打ち位置
55 釘
56 下葺材
Claims (5)
- 葺き足が182±5mmである既存スレート屋根の改修方法であって、前記方法は、
ロ)既存スレート屋根の上に、屋根仕上げ材を、葺き足が182±5mmになるように、配置する工程
を含み、
前記屋根仕上げ材は、ガラス繊維基材にアスファルトを含浸塗覆し表面に鉱物砂を撒布圧着させたアスファルトシングルおよびガラス繊維基材の両面に無機質充填材と樹脂材との混合層を形成し表面に鉱物砂を撒布圧着させた不燃シングルからなる群から選択され、平面視で、上辺、下辺、左辺および右辺を有する略長方形の形状を有し、上辺および下辺の長さが900~1200mmであり、左辺および右辺の長さが420~540mmである、既存スレート屋根の改修方法。 - 工程ロ)の後に、
ハ)屋根仕上げ材に釘打ちする工程
を含む、請求項1に記載の既存スレート屋根の改修方法。 - 既存スレート屋根のスレート板の3枚重ね部分ではない部分に釘打ちする、請求項2に記載の既存スレート屋根の改修方法。
- 屋根仕上げ材のおもて面に、下辺から上に187mmを超える寸法だけ離れた位置より上に粘着層が設けられ、前記粘着層が設けられた領域よりも上の位置に釘打ちする、請求項2または3に記載の既存スレート屋根の改修方法。
- 工程ロ)の前に、
イ)下葺材を既存スレート屋根に張り付ける工程
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の既存スレート屋根の改修方法。
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JPH11141058A (ja) * | 1997-11-13 | 1999-05-25 | Ig Tech Res Inc | 硬質屋根材の取付構造 |
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