JP7283015B2 - ドアラッチ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ドアラッチ装置に関するもので、特に主ポール及び二次ポールを備え、主ポールをラッチ部材に係合させることによってラッチ部材とストライカとの噛合状態を維持するようにしたドアラッチ装置に関する。
ドアラッチ装置には、ストライカとの噛み合い状態を解除する際の操作力を低減するため、主ポール及び二次ポールを備えたものが提供されている。すなわち、この種のドアラッチ装置では、ラッチ部材に係合するラチェットとして、リンク部材及びリンク部材に傾動可能に支持された主ポールを有したものが適用され、リンク部材に対してブロック位置及び非ブロック位置に変位するように二次ポールが設けられている。このドアラッチ装置によれば、二次ポールをブロック位置から非ブロック位置に回転させることによってリンク部材と二次ポールとの係合状態を解除すれば、主ポールとラッチ部材との係合状態が解除され、ドアを開くことが可能となる。つまり、ラッチ部材に係合した主ポールに対して直接操作力を付与するのではなく、主ポールを支持するリンク部材に対してブロック位置に配置された二次ポールに操作力を付与する構成となっている。従って、車両本体とドアとの間に弾性力の大きなシール部材が介在されている場合にも、このシール部材の反力がリンク部材と二次ポールとの間に作用することがないため、大きな操作力を要することなくストライカとの噛み合い状態を解除することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
米国特許第9476230号明細書
ところで、主ポール及び二次ポールを備えるドアラッチ装置では、シール部材の反力が主ポールに加えられた状態で二次ポールが非ブロック位置に配置された場合にシール部材の反力によってラッチ部材が非係合状態に移行する構成となっている。このため、低温状態でシール部材の反力が低減したり、シール部材が車両本体に貼り付いた場合等々の状況により、二次ポールが非ブロック位置に配置された場合にも主ポールがラッチ部材に係合した状態のままとなる事態が生じ得る。上述の特許文献1では、リンク部材にスタブを設けるとともにリンク部材の回転軸にスタブに当接するアームを設け、二次ポールが非ブロック位置に配置された後にアームを駆動することでリンク部材を強制的に回転させ、上述の問題を解決するようにしている。しかしながら、リンク部材を強制的に回転させるための専用部品を有した特許文献1に記載のドアラッチ装置にあっては、組立作業が煩雑化したり、製造コストが増大するといった新たな問題が生じるのは否めない。
本発明は、上記実情に鑑みて、組立作業の煩雑化や製造コストが増大する事態を抑えた上でストライカとの噛み合い状態を確実に解除することのできるドアラッチ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るドアラッチ装置は、噛み合い位置及び非噛み合い位置に変位するように回転可能に配設され、前記噛み合い位置においてストライカに噛み合い可能となるラッチ部材と、前記噛み合い位置のラッチ部材に対して係合状態及び非係合状態に変位され、前記係合状態となった際に前記ラッチ部材の前記非噛み合い位置への回転を制限するラチェットと、ブロック位置及び非ブロック位置に変位するように回転可能に配設された二次ポールとを備え、前記ラチェットは、係合位置及び非係合位置に変位するように回転可能に配設され、前記係合位置において前記ブロック位置の二次ポールに係合することにより前記非係合位置への回転が制限される一方、前記二次ポールが前記非ブロック位置に変位した場合に前記非係合位置への回転が可能となるリンク部材と、前記リンク部材に傾動可能に支持され、前記リンク部材が前記係合位置に配置された場合に前記噛み合い位置のラッチ部材に係合可能となる一方、前記リンク部材が前記非係合位置に配置された場合に前記ラッチ部材との前記係合状態が解除可能となる主ポールとを備えたドアラッチ装置であって、前記二次ポールは、前記リンク部材が前記係合位置に配置された状態で前記ブロック位置から前記非ブロック位置に向けて回転した場合に前記リンク部材に当接し、前記リンク部材を前記非係合位置に回転させることを特徴とする。
また本発明は、上述したドアラッチ装置において、前記二次ポールは、前記ブロック位置から前記非ブロック位置を通過してさらに回転した場合にのみ前記リンク部材を前記非係合位置に回転させることを特徴とする。
また本発明は、上述したドアラッチ装置において、前記主ポール及び前記ラッチ部材は、少なくとも一方に設けられた樹脂成形部分を介して互いに係合することを特徴とする。
また本発明は、上述したドアラッチ装置において、前記リンク部材は、樹脂部材からなるカバー部材に金属部材からなる基部がインサート成形され、前記基部を介して前記二次ポールに係合することを特徴とする。
また本発明は、上述したドアラッチ装置において、前記カバー部材は、非直線状の連結部分によって互いに連結された複数のカバー部を有していることを特徴とする。
本発明によれば、別途部品を追加することなく二次ポールを当接させることによってリンク部材を強制的に回転させるようにしているため、組立作業の煩雑化や製造コストが増大する事態を抑えた上でストライカとの噛み合い状態を確実に解除することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態であるドアラッチ装置の外観を車両後方の内方側から見た斜視図である。 図2は、図1に示したドアラッチ装置の内部を車両後方の内方側から見た斜視図である。 図3は、図1に示したドアラッチ装置のラッチユニットを車両後方側から見たもので、(a)はラッチ部材が非噛み合い位置に配置された状態の図、(b)はラッチ部材が噛み合い位置に配置された状態の図である。 図4は、図1に示したドアラッチ装置のラッチユニットを車両前方側から見た図である。 図5は、図1に示したドアラッチ装置のラッチユニットを車両後方の下方側から見た斜視図である。 図6は、図5に示したラッチユニットのラチェットを構成するリンク部材及び主ポールを示すもので、(a)は車両後方の下方側から見た斜視図、(b)は車両後方の上方側から見た図である。 図7は、図6に示したラチェットのリンク部材を示すもので、(a)は車両後方側から見た斜視図、(b)は車両前方側から見た斜視図、(c)は金属材料からなるリンク基部のみを車両後方側から見た斜視図、(d)は樹脂材料からなるリンクカバー部材のみを車両後方側から見た斜視図である。 図8は、図6に示したラチェットの主ポールを示すもので、(a)は車両後方側から見た斜視図、(b)は金属材料からなるポール基部のみを車両後方側から見た斜視図である。 図9は、図5に示したラッチユニットの二次ポールを示すもので、(a)は車両後方側から見た斜視図、(b)は金属材料からなるポール基部のみを車両後方側から見た斜視図である。 図10は、図5に示したラッチユニットを車両後方側から見たもので、(a)は図3(b)に示す状態から二次ポールが非ブロック位置に回転した状態の図、(b)はラッチ部材から主ポールが離隔した状態を示す図、(c)は二次ポールが非ブロック位置を越えて回転することにより出力突部がリンク部材の非当接突部に当接した状態を示す図、(d)は二次ポールによってリンク部材が回転された状態を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るドアラッチ装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態であるドアラッチ装置を示したものである。ここで例示するドアラッチ装置は、図には示していないが、四輪自動車の右側に配置された前方ヒンジのサイドドアに搭載され、使用者が所持したリモコンキーによる開操作やドアハンドルによる開操作に従って車両本体に設けられたストライカSとの噛み合い状態を解除するものである。このドアラッチ装置には、ハウジング1の内部にラッチユニット2が設けてある。ラッチユニット2は、図2~図5に示すように、ラッチ部材10、ラチェット20及び二次ポール30を備えて構成してある。
ラッチ部材10は、ストライカ当接部11及びフック部12を有した厚板のプレート状を成すもので、車両の前後に沿うラッチ軸13を介してラッチボディ3に回転可能に配設してある。図示の例では、ハウジング1に設けたストライカ進入溝4(図1)よりも上方、かつ車両外方側となる部分にラッチ軸13が設けてある。ストライカ当接部11及びフック部12は、ラッチ軸13から周囲に向けて延在したもので、フック部12がストライカ当接部11よりも車両内方側に位置するように配置してある。このラッチ部材10は、ラッチボディ3との間に設けた図示せぬラッチバネによって解除方向(図3において時計方向)に付勢され、噛み合い待機状態においては図3(a)に示す非噛み合い位置に維持される。非噛み合い位置とは、ストライカ進入溝4に対してフック部12が上方側に退避する一方、ストライカ当接部11がストライカ進入溝4の奥方側(図3において右方側)に配置された状態である。サイドドアが閉じられてストライカ進入溝4にストライカSが進入すると、ストライカSがストライカ当接部11に当接することにより、ラッチバネのバネ力に抗してラッチ部材10が反時計方向に回転し、図3(b)に示すように、フック部12がストライカ進入溝4の開口端部側に横切った噛み合い位置に移動する。但し、ラッチ部材10が単に噛み合い位置に移動しただけではラッチバネのバネ力及びサイドドアを閉じた際に撓んだシール部材の反力によってラッチ部材10が時計方向に回転し、ストライカSがストライカ進入溝4から逸脱してサイドドアが開いた状態に戻されることになる。
ラチェット20は、ラッチバネのバネ力に抗してラッチ部材10を噛み合い位置に維持させるもので、リンク部材120及び主ポール220を備えている。
リンク部材120は、ラッチ部材10と同様、厚板のプレート状を成すもので、車両の前後に沿うリンク軸121を介してラッチボディ3に回転可能に配設してある。リンク軸121は、ストライカ進入溝4よりも下方、かつラッチ軸13よりも車両内方側に設けてある。リンク部材120には、係合突部122及び被当接突部123が設けてある。係合突部122は、リンク軸121から車両外方に向けて漸次下方となるように突出したものである。被当接突部123は、リンク軸121よりもわずかに車両内方側となる部分から下方に延在した後、車両外方に向けて屈曲するように延在したものである。このリンク部材120は、ラッチボディ3との間に介在したリンクバネ124により被当接突部123がリンク軸121からほぼ鉛直下方に延在した係合位置に維持されている。係合位置に配置されたリンク部材120に外力を付与し、図3において時計方向に回転させた場合には、リンクバネ124が撓んでリンク部材120が非係合位置に配置される。外力を除去すれば、リンクバネ124のバネ力により、リンク部材120が係合位置に復帰する。
主ポール220は、基端の支持軸部221を介してリンク部材120に支持されたもので、噛み合い位置に配置されたラッチ部材10のフック部12に対して先端部の車両内方側に位置する面に当接可能となるように配設してある。本実施の形態では、係合位置に配置されたリンク部材120の係合突部122に対して、その中間部上面となる部分に主ポール220が車両の前後に沿った支持軸部221を中心として傾動可能となるように支持させてある。主ポール220とリンク部材120との間には、リンク部材120に対して主ポール220を図3において反時計方向に回転させる係合バネ21が介在してある。リンク部材120に対する主ポール220の傾動範囲は、係合突部122と規制突部125との間に制限されている。主ポール220の先端部には、図3において反時計方向に回転した場合にラッチボディ3に当接するストッパ片部222が設けてある。ラッチボディ3において主ポール220のストッパ片部222が当接する部分には、打音を防止するためのクッション材5が配設してある。
二次ポール30は、ラッチ部材10と同様、厚板のプレート状を成すもので、前後に沿うポール軸31を介してラッチボディ3に回転可能に配設してある。ポール軸31は、主ポール220の支持軸部221よりも下方であって二次ポール30がリンク部材120の係合突部122に係合可能となる位置に設けてある。二次ポール30の周面には、第1カム部32及び第2カム部33が設けてあるとともに、出力突部34及び入力アーム部35が設けてある。
第1カム部32は、二次ポール30が図3において反時計方向に回転してブロック位置に配置された場合に、係合位置に配置されたリンク部材120の係合突部122に当接することにより、リンク部材120の非係合位置への回転を阻止するものである。第2カム部33は、第1カム部32から離隔するに従ってポール軸31からの距離が小さくなるように傾斜しており、二次ポール30が図3において時計方向に回転して非ブロック位置に配置された場合にリンク部材120の係合突部122に対向し、リンク部材120の非係合位置への回転を許容する。この二次ポール30は、ラッチボディ3との間に設けた図示せぬ規制バネのバネ力により、図3において反時計方向に付勢され、後述する入力アーム部35がラッチボディ3に当接することによってブロック位置に維持される。
出力突部34は、二次ポール30がブロック位置に配置された場合にポール軸31から下方に向けて延在したものである。この出力突部34は、二次ポール30が非ブロック位置を越えて時計方向に回転した場合、係合位置に配置されたリンク部材120の被当接突部123に当接し、リンク部材120を非係合位置に向けて回転させることが可能である。入力アーム部35は、ポール軸31から径方向に沿って延在したもので、延在端部に入力軸部36を有している。入力軸部36は、入力アーム部35の延在端部から車両前方に向けて突出した円柱状を成すものである。
図4及び図5からも明らかなように、入力アーム部35の入力軸部36には、ラチェットレバー6の一端部に設けたフック部6aが係合している。ラチェットレバー6は、車両の前後に沿うレバー軸心6bを中心として回転可能となるようにラッチボディ3に支持されたものである。このラチェットレバー6の入力端部6cは、図2に示すように、オープンレバー40が開扉動作した場合及びオープンリンク50が開扉動作した場合に、それぞれ上方に向けて移動されるように設けられている。オープンレバー40の開扉動作とは、リモコンキーの開操作によって電気モータ41が駆動した場合にカムホイール42を介して軸部43を中心に回転し、出力端部44が上方に移動するものである。電気モータ41の駆動は、車両本体に対してサイドドアが実際に開いたことが検出されるまで継続されることになる。オープンリンク50の開扉動作とは、オープンリンク50がアンロック位置に配置された状態でドアハンドルが開操作された場合にアンチパニックレバー51を上方に移動させるものである。アンチパニックレバー51の上方への移動は、ドアハンドルの操作量に応じた量となり、ドアハンドルの開操作を止めるまで継続されることになる。
図6~図9は、上述したリンク部材120、主ポール220、二次ポール30の詳細構成を示したものである。図6及び図7に示すように、リンク部材120は、金属材料からなるリンク基部(基部)120Mと、樹脂材料からなるリンクカバー部材(カバー部材)120Pとを備えて構成したものである。より詳細には、リンク基部120Mの周囲にリンクカバー部材120Pを成形することによって一体化してある(=インサート成形)。リンク基部120Mは、上述した係合突部122及び被当接突部123を一体に成形したものである。これに対してリンクカバー部材120Pは、係合突部122を覆う上方カバー部120P1と、被当接突部123を覆う下方カバー部120P2とを有し、これら上方カバー部120P1と下方カバー部120P2との間を連結部分120P3によって連結したものである。連結部分120P3は、非直線状に延在して上方カバー部120P1及び下方カバー部120P2の間を連結したものである。図示の例では、上方カバー部120P1から直線状に伸びる部分と下方カバー部120P2から直線状に伸びる部分とが湾曲部によって互いに接続した形状を成しており、上方カバー部120P1と下方カバー部120P2との相互間隔が増減した場合にこれを弾性的に吸収することが可能である。上方カバー部120P1において二次ポール30に当接する部分は、金属材料のリンク基部120Mが外部に露出するように成形してある。
図6~図9に示すように、主ポール220及び二次ポール30は、リンク部材120と同様、それぞれが金属材料からなるポール基部(基部)220M,30Mと、樹脂材料からなるポールカバー部材(カバー部材)220P,30Pとを備えて構成してある。主ポール220については、ラッチ部材10の金属部分に当接する先端部に樹脂材料からなる突出部220aが成形してあり、当該突出部220aでのみラッチ部材10に当接することになる。二次ポール30については、外部に露出したリンク基部120Mに対して当接する第1カム部及び第2カム部が金属材料のポール基部30Mによって構成してあり、その他の部分はポールカバー部材30Pによって覆ってある。本実施の形態では、入力アーム部35及び入力軸部36に対応する部分にポール基部30Mが設けてある一方、出力突部34に対応する部分は樹脂材料のポールカバー部材30Pのみで構成してある。主ポール220及び二次ポール30についてもポール基部220M,30Mの周囲にポールカバー部材220P,30Pを成形することによって一体化したものである(=インサート成形)。
上記のように構成したドアラッチ装置では、サイドドアが開いた状態にある場合、ストライカSの進入が可能となるように、図3(a)に示す噛み合い待機状態となっている。すなわち、噛み合い待機状態では、ラッチ部材10が非噛み合い位置となり、ストライカ進入溝4に対してラッチ部材10のストライカ当接部11が横切るように配置されている。このとき、ラチェット20においては、リンク部材120が係合位置に配置されている。従って、主ポール220は、係合バネ21のバネ力によって付勢され、先端部がラッチ部材10の周面に当接した状態にある。また、オープンレバー40の出力端部44及びオープンリンク50のアンチパニックレバー51は、いずれもラチェットレバー6の入力端部6cに対して下方となる位置に配置されている。これにより、二次ポール30は、規制バネのバネ力によりブロック位置に配置された状態にある。
この噛み合い待機状態からサイドドアの閉じ操作により、図3(a)において左方となる車両内方側からストライカ進入溝4にストライカSが進入すると、ストライカ当接部11を介してラッチ部材10が反時計方向に回転し、ラッチ部材10の周面に当接する主ポール220の先端部がストライカ当接部11に係合してハーフラッチ状態となる。さらにストライカSの進入が継続すると、図3(b)に示すように、ラッチ部材10が噛み合い位置となり、主ポール220の先端部がフック部12に係合することによってラッチ部材10が噛み合い位置に維持される(フルラッチ状態)。これにより、ドアラッチ装置とストライカSとが噛み合い状態となり、車両本体に対してサイドドアが閉じた状態に維持される。ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行する間、主ポール220は、フック部12に当接することにより係合バネ21のバネ力に抗して一旦時計方向に回転し、その後、フック部12が通過した後に係合バネ21のバネ力によって反時計方向に回転し、フック部12に係合した状態となる。
上述したフルラッチ状態においては、車両本体とサイドドアとの間に設けた図示せぬシール部材が撓んだ状態となって互いの間を通じた雨水等の水の浸入を防止するようにしているため、シール部材の反力がラッチ部材10と主ポール220との当接部に加えられた状態となっている。図からも明らかなように、主ポール220の支持軸部221は、リンク部材120のリンク軸121と、主ポール220においてラッチ部材10に当接する先端部との間を結ぶ直線に対して下方側に位置している。
この状態から、例えばリモコンキーの開操作によって電気モータ41が駆動すると、オープンレバー40の出力端部44が上方に移動するため、ラチェットレバー6が図3において時計方向に回転し、二次ポール30が規制バネのバネ力に抗して時計方向への回転を開始する。
図10(a)に示すように、二次ポール30が回転して非ブロック位置になると、リンク部材120の係合突部122に対して第2カム部33が対向し、リンク部材120の非係合位置への回転が可能となる。
リンク部材120と主ポール220との間には、係合バネ21が設けてあるため、リンク部材120の非係合位置への回転が可能となると、係合バネ21のバネ力により、図10(b)に示すように、リンク部材120に対して主ポール220が反時計回りに回転した状態となる。実際には、主ポール220の先端部がラッチ部材10に当接しているため、係合バネ21のバネ力によってリンク部材120が相対的に非係合位置に向けて回転する。これと同時に、フルラッチ状態においては、シール部材の反力がラッチ部材10のフック部12を介して主ポール220に加えられているため、リンク部材120の非係合位置への回転が可能となった時点でシール部材の反力により、リンク部材120が回転を開始する。これにより、主ポール220の先端部がリンク部材120のフック部12から離隔することになり、ラッチバネのバネ力及びシール部材の反力によってラッチ部材10が時計方向に回転し、ストライカSがストライカ進入溝4から逸脱することによりサイドドアを開くことが可能となる。
上述したラッチ部材10に対するラチェット20の係合解除動作は、ラッチ部材10に係合した主ポール220に対して直接操作力を付与するのではなく、主ポール220を支持するリンク部材120に対してブロック位置に配置された二次ポール30に操作力を付与する構成となっている。加えて、主ポール220においてラッチ部材10の金属部分に係合するのは樹脂材料によって成形した突出部220aであり、金属材料を相互に当接させた場合や樹脂材料を相互に当接した場合に比べて互いの間の摩擦係数を低減することができる。従って、シール部材の反力が大きい場合にも、大きな操作力を要することなくストライカSとの噛み合い状態を解除することが可能となる。これにより、例えば電気モータ41を小型化できる等の利点がある。
ここで、二次ポール30が非ブロック位置に回転した後にリンク部材120が非係合位置に回転するのは、上述したようにシール部材の反力によるところが大きい。従って、低温状態でシール部材の反力が低減したり、シール部材が車両本体に貼り付いた場合等々の状況によっては、二次ポール30が非ブロック位置に配置された場合にも主ポール220がラッチ部材10に係合した状態のままとなる事態が生じ得る。つまり、サイドドアを開くことができない事態が発生するおそれがある。
しかしながら、上述のドアラッチ装置では、実際にサイドドアが開いたことが検出されるまで電気モータ41の駆動が継続されるため、図10(b)の状態においてサイドドアが開いていない場合、ラチェットレバー6によって二次ポール30が時計方向に回転を継続する。この結果、図10(c)に示すように、二次ポール30の出力突部34がリンク部材120の被当接突部123に当接し、さらにこの状態を維持して二次ポール30が時計方向に回転することになる。これにより、リンク部材120が強制的に時計方向に回転されることになり、図10(d)に示すように、主ポール220がリンク部材120から大きく離隔した位置に配置されるため、ラッチバネのバネ力及びシール部材の反力によってラッチ部材10が時計方向に回転し、ストライカSがストライカ進入溝4から逸脱することによりサイドドアを開くことが可能となる。しかも、リンク部材120に係合する二次ポール30によってリンク部材120を回転させるように構成してあるため、リンク部材120を回転させるための部品を専用に用意する必要がない。従って、組立作業の煩雑化や製造コストが増大する事態を抑えた上でストライカSとの噛み合い状態を確実に解除することが可能になる。
サイドドアが開いたことが検出されると、電気モータ41が逆方向に回転し、オープンレバー40の出力端部44が下方に移動するため、二次ポール30が規制バネのバネ力によってブロック位置に復帰し、その後、リンク部材120がリンクバネ124のバネ力によって係合位置に復帰し、再び噛み合い待機状態となる。
なお、上述した実施の形態では、四輪自動車の右側に配置された前方ヒンジのサイドドアに搭載されるドアラッチ装置を例示しているが、その他のドアに適用してももちろん良い。また、リモコンキーによる開操作についてのみ説明しているが、ドアハンドルによって開操作を行った場合にも同様に機能するのはいうまでもない。
10 ラッチ部材
20 ラチェット
30 二次ポール
30M ポール基部
30P ポールカバー部材
34 出力突部
120 リンク部材
120M リンク基部
120P リンクカバー部材
120P1 上方カバー部
120P2 下方カバー部
120P3 連結部分
122 係合突部
123 被当接突部
220 主ポール
220M,30M ポール基部
220P,30P ポールカバー部材
220a 突出部
S ストライカ

Claims (5)

  1. 噛み合い位置及び非噛み合い位置に変位するように回転可能に配設され、前記噛み合い位置においてストライカに噛み合い可能となるラッチ部材と、
    前記噛み合い位置のラッチ部材に対して係合状態及び非係合状態に変位され、前記係合状態となった際に前記ラッチ部材の前記非噛み合い位置への回転を制限するラチェットと、
    ブロック位置及び非ブロック位置に変位するように回転可能に配設された二次ポールと
    を備え、前記ラチェットは、
    係合位置及び非係合位置に変位するように回転可能に配設され、前記係合位置において前記ブロック位置の二次ポールに係合することにより前記非係合位置への回転が制限される一方、前記二次ポールが前記非ブロック位置に変位した場合に前記非係合位置への回転が可能となるリンク部材と、
    前記リンク部材に傾動可能に支持され、前記リンク部材が前記係合位置に配置された場合に前記噛み合い位置のラッチ部材に係合可能となる一方、前記リンク部材が前記非係合位置に配置された場合に前記ラッチ部材との前記係合状態が解除可能となる主ポールと
    を備えたドアラッチ装置であって、
    前記二次ポールは、前記リンク部材が前記係合位置に配置された状態で前記ブロック位置から前記非ブロック位置に向けて回転した場合に前記リンク部材に当接し、前記リンク部材を前記非係合位置に回転させることを特徴とするドアラッチ装置。
  2. 前記二次ポールは、前記ブロック位置から前記非ブロック位置を通過してさらに回転した場合にのみ前記リンク部材を前記非係合位置に回転させることを特徴とする請求項1に記載のドアラッチ装置。
  3. 前記主ポール及び前記ラッチ部材は、少なくとも一方に設けられた樹脂成形部分を介して互いに係合することを特徴とする請求項1に記載のドアラッチ装置。
  4. 前記リンク部材は、樹脂部材からなるカバー部材に金属部材からなる基部がインサート成形され、前記基部を介して前記二次ポールに係合することを特徴とする請求項1に記載のドアラッチ装置。
  5. 前記カバー部材は、非直線状の連結部分によって互いに連結された複数のカバー部を有していることを特徴とする請求項4に記載のドアラッチ装置。
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