本発明の吸収性物品の個包装体は吸収性物品が包装シートで包装されたものである。まず、本発明で用いられる吸収性物品について説明する。
本発明で用いられる吸収性物品は、着用者の股間に当てて用いるものであり、尿等の排泄物を受けることができるものであれば特に限定されない。吸収性物品の態様としては、尿パッド(軽失禁パッドを含む)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等が示される。なお、本発明で用いられる吸収性物品は包装シートに個別に包装されているものであり、このような吸収性物品としては、一般に、尿パッド、生理用ナプキン等が挙げられ、本発明の吸収性物品はこのような用途に好適に適用される。
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が、尿パッドや生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、長円形、砂時計形、羽子板形等が示される。
吸収性物品は、例えば、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体が配されて構成される。トップシートは、吸収性物品の肌面側に位置するシートであり、バックシートは、吸収性物品の非肌面側に位置するシートである。本発明において、肌面側とは、吸収性物品を着用する際に着用者の肌に向く側を意味し、非肌面側とは、着用者とは反対に向く側を意味する。また、吸収性物品の非肌面側の面を外側面と称する。
吸収性物品は、長手方向と幅方向を有する。長手方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味し、幅方向とは、吸収性物品と同一面上にあり、長手方向と直交する方向を意味する。なお、吸収性物品の個包装体と包装シートについても、吸収性物品の長手方向と幅方向に基づき、長手方向と幅方向が定められる。
トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
トップシートやバックシートが不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収体は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収体に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収体は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってよい。この場合もまた、吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収性物品は、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、長手方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向内方(立ち上がりフラップが立ち上がったときの上端近傍)に弾性部材を設けることにより形成される。このようにサイドシートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
吸収性物品の外側面には粘着部が設けられることが好ましく、具体的には、バックシートに粘着部が設けられることが好ましい。粘着部を設けることにより、吸収性物品をパンツ等の肌面側に固定することができる。粘着部は、包装シートと重なる部分に設けられ、包装シートと重ならない部分には粘着部が設けられないことが好ましい。なお、包装シートと重なる部分とは、吸収性物品と包装シートを折り返さずに広げた状態で規定されるものとする。
粘着部は、吸収性物品を包装する包装シートの内側面に剥離可能に接合されていることが好ましく、これにより、吸収性物品が包装シートに包装された状態で安定して保持される。吸収性物品を使用する際には、包装シートを粘着部から剥がすことにより、粘着部によって吸収性物品をパンツ等の肌面側に固定することができる。吸収性物品はあるいは、包装シートの内側面に剥離シートを取り付けて、この剥離シートと粘着部とを剥離可能に接合させ、これを包装シートで包装するようにしてもよい。剥離シートは、粘着部と剥離可能であればよく、例えば、プラスチックフィルムから構成したり、吸収性物品と面する側がプラスチックフィルムから構成された積層体(例えば、プラスチックフィルムに紙、不織布、織布または編布等が積層された積層体)から構成することができる。粘着部は、吸収性物品の外側面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより形成することができる。
吸収性物品は包装シートに包装されて、吸収性物品の個包装体が形成される。包装シートは、吸収性物品を個別に(1つずつ)包装する。包装シートは1つのシート部材から形成されてもよく、2つ以上のシート部材を繋ぎ合わせて形成されてもよい。
包装シートは、例えば、プラスチックフィルム、紙、布(不織布、織布、編布等)、これらの任意の組み合わせによる積層体により構成することができる。吸収性物品に、包装シートと剥離可能な粘着部が設けられる場合は、包装シートの吸収性物品と面する側がプラスチックフィルムから構成されることが好ましい。具体的には、包装シートはプラスチックフィルムから構成される、あるいは吸収性物品と面する側がプラスチックフィルムから構成される積層体であることが好ましい。
包装シートは、吸収性物品側に向いた内側面とその反対側に向いた外側面とを有する。包装シートの内側面と外側面は、包装シートが吸収性物品を包装した状態を基準に定められる。包装シートの外側面の少なくとも一部は個包装体の外側に露出し、個包装体の外面を構成する。
個包装体は、吸収性物品を包装シートの内側面に重ねて、包装シートともに幅方向に延びる折り目で折り返されることにより形成される。これにより、吸収性物品が包装シートとともに折り畳まれた個包装体が形成される。吸収性物品は、包装シートの内側面に重ねられた状態で、吸収性物品と包装シートとが幅方向に延びる2つまたは3つの折り目でともに折り返されて、長手方向に3つ折りまたは4つ折りされた吸収性物品の個包装体が形成されることが好ましい。これにより、個包装体をコンパクトに形成することができる。
本発明の個包装体は、吸収性物品の長手方向の一方側の端部が、個包装体の外側に露出している。すなわち、吸収性物品は、長手方向の一方側の端部が包装シート長手方向の一方側の端部より長手方向の外方に延出するように、包装シートの内側面に重ねられ、その状態で吸収性物品が包装シートとともに幅方向に延びる折り目で折り返され、吸収性物品の個包装体が形成される。なお、吸収性物品の長手方向の他方側の端部は、個包装体の外側に露出していないことが好ましい。
本発明の個包装体は上記のように構成されることにより、個包装体から吸収性物品を取り出すことが容易になる。吸収性物品は包装シートと比べて剛性が高く摘まみやすいため、個包装体から吸収性物品を取り出す際、個包装体の外側に露出している吸収性物品の長手方向の一方側の端部を摘まむことにより、包装シートを開封して、個包装体の折り畳みを展開することが容易になる。また、包装シートを開封する前から吸収性物品を摘まむことができるため、吸収性物品の長手方向の一方側の端部を摘まんだまま個包装体の折り畳みを展開して包装シートを剥がすことにより、吸収性物品を素早く取り出すことが可能となる。本発明の個包装体は、指先での細かい作業が苦手な使用者にとって特に使いやすいものとなる。
個包装体の外側に露出している吸収性物品の一方側の端部は、包装シートの長手方向の一方端から5mm以上30mm以下延出していることが好ましい。すなわち、個包装体の折り畳みを展開した状態で、吸収性物品の一方側の端部は、包装シートの長手方向の一方端から長手方向の外方に5mm以上30mm以下延出していることが好ましい。これにより、個包装体の外側に露出した吸収性物品の一方側の端部が摘まみやすくなるとともに、個包装体として折り畳まれた状態で吸収性物品の一方側の端部が邪魔になりにくくなる。吸収性物品の一方側の端部が包装シートの長手方向の一方端から延出する長さは、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましく、また25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。
個包装体の外側に露出した吸収性物品の一方側の端部は、当該端部を折り返さずに広げた状態で、個包装体からはみ出ないように形成されていることが好ましい。すなわち、個包装体は、個包装体の外側に露出した吸収性物品の一方側の端部を広げた状態で、略矩形状に形成されていることが好ましく、これにより、個包装体の外側に露出した吸収性物品の一方側の端部が邪魔にならず、個包装体の取り扱い性が良好となる。
包装シートは、長手方向の一方側の端部が個包装体の外側に露出しており、個包装体の外面の一部を構成している。包装シートの長手方向の他方側の端部は、個包装体の外側に露出していないことが好ましい。なお、包装シートの長手方向の一方側は、上記に説明した吸収性物品の一方側に対応し、包装シートの長手方向の他方側は、上記に説明した吸収性物品の他方側に対応する。
吸収性物品が包装シートと粘着部で剥離可能に接合される場合は、粘着部は、包装シートの長手方向の一方側の端部から所定の範囲には設けられないことが好ましい。例えば、粘着部は、包装シートの長手方向の一方側の端部から3mm以内の範囲に設けられないことが好ましく、5mm以内の範囲に設けられないことがより好ましい。これにより、包装シートを吸収性物品から剥離しやすくなる。
吸収性物品の個包装体の構成例について、図1~図3を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1および図2には、本発明で用いられる吸収性物品の一例を示し、吸収性物品として軽失禁パッドが示されている。図1は吸収性物品を肌面側から見た平面図を表し、図2は図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。図面では、矢印xが幅方向、矢印yが長手方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
図1および図2に示した吸収性物品11は、トップシート12とバックシート13とこれらの間に配された吸収体14とを有する。吸収性物品11では、バックシート13と吸収体14との間に台紙15が設けられており、台紙15により吸収性物品11の形状保持性を向上させることができる。台紙15は、クレープ紙や不織布から構成することができる。なお、台紙15は設けなくてもよい。吸収性物品11は、長手方向yを着用者の股間の前後方向に合わせ、幅方向xを着用者の左右方向に合わせて着用する。
トップシート12の幅方向xの両側には長手方向yに延在するサイドシート16が設けられ、サイドシート16により尿等の防漏壁となる立ち上がりフラップ17が形成されることが好ましい。サイドシート16には、幅方向xの内方に起立用弾性部材18が設けられている。吸収性物品11の使用時には、起立用弾性部材18の収縮力によりサイドシート16の内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がりフラップ17が形成され、これにより尿等の横漏れが防止される。
バックシート13の外側面には、図2に示すように、粘着部19が設けられることが好ましい。粘着部19により、吸収性物品11をパンツ等の肌面側に好適に取り付けることができる。粘着部19は、後述する包装シート32と剥離可能に接合されることが好ましい。
図3には、図1および図2に示した吸収性物品を包装シートで包装して個包装体に形成する方法の一例を示した。図3(a)には包装前の吸収性物品と包装シートが示され、図3(b)には吸収性物品の個包装体が示されている。
個包装体31は、吸収性物品11が包装シート32で包装されて形成されている。図3では、個包装体31は、吸収性物品11が包装シート32の内側面に重ねられて、包装シート32とともに折り目F1,F2で折り返されることにより形成されている。詳細には、個包装体31は、吸収性物品11の外側面の一部が包装シート32で覆われ、吸収性物品11が包装シート32とともに幅方向xに延びる折り目F1,F2で折り返され、その結果、吸収性物品11が長手方向yに3つ折りに折り畳まれている。この際、包装シート32は、吸収性物品11のバックシート13に設けられた粘着部19と剥離可能に接合していることが好ましい。
個包装体31は、包装シート32の幅方向xの両端部が封止部33で封止されることが好ましい。封止部33は、接着剤、熱溶着、超音波溶着等の公知の接合手段により形成することができる。
個包装体31は、吸収性物品11の長手方向yの一方側の端部20が、個包装体31の外側に露出している。個包装体31は、端部20を摘まむことにより、包装シート32を開封して、個包装体31の折り畳みを展開することが容易になる。
個包装体には、個包装体の開封箇所を示す開封表示部が設けられることが好ましい。開封表示部は、個包装体の外側に露出している吸収性物品の長手方向の一方側の端部、および/または、個包装体の外側に露出している包装シートの長手方向の一方側の端部に設けることができる。個包装体に開封表示部を設けることにより、開封表示部を目印にして、使用者が包装シートを開封して、個包装体の折り畳みを展開することが容易になる。
開封表示部は、吸収性物品の長手方向の一方側の端部であれば、個包装体の外側に露出している部分のいずれに設けてもよく、包装シートの長手方向の一方側の端部であれば、包装シートの長手方向の一方端から30mm以内の領域に設けられることが好ましく、25mm以内の領域がより好ましく、20mm以内の領域がさらに好ましい。開封表示部としては、例えば、個包装体の開封方向を示す矢印や開封方向を想起させる図形、あるいは開封箇所を表す文字を、吸収性物品や包装シートに表示させればよい。また、包装シートの長手方向の一方端から所定の範囲を着色することによって開封表示部を形成してもよい。
図4には、開封表示部を設けた個包装体の構成例を示した。図4に示した個包装体31は、吸収性物品11の長手方向yの一方側の端部20に開封表示部21が設けられるとともに、包装シート32の長手方向yの一方側の端部に開封表示部34が設けられている。図4では、開封表示部21,34として、個包装体31の開封方向を想起させる図形が示されている。なお、開封表示部21と開封表示部34はどちらか一方のみが設けられるものであってもよい。
個包装体には、個包装体の外側に露出している吸収性物品の長手方向の一方側の端部に、吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号を含む性能表示部が設けられることも好ましい。このように性能表示部を設けることにより、個包装体の状態であっても、個包装体から吸収性物品を取り出した状態であっても、使用者が吸収性物品の吸収容量の区分を認識することが可能となる。
吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号としては、吸収性物品の吸収容量の概算数値や当該数値を容量単位とともに表示したり、吸収性物品が収容可能な排尿回数として「2回分」、「4回分」等の文字を表示したり、吸収容量の区分に応じて異なる数の記号等を表示すればよい。吸収容量の区分に応じて異なる数の記号を表示する場合、例えば、吸収容量の区分に応じて滴形の記号の表示数を変えたり、塗りつぶした滴形の記号と輪郭だけの滴形の記号の2種類の滴形の記号を表示し、両滴形の記号の合計表示数を一定にしつつ、吸収容量の区分に応じて各滴形の記号の表示数を変えたりすることができる。もちろん、記号としては滴形の記号に限定されるものではない。なお、吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字には数字が含まれる。
図5には、性能表示部を設けた個包装体の構成例を示した。図5に示した個包装体31は、吸収性物品11の長手方向yの一方側の端部20に性能表示部22が設けられている。図5では、性能表示部22として、吸収性物品11の吸収容量の区分を表す滴形の記号が表されており、塗りつぶされた滴形の記号の数によって吸収性物品11の吸収容量の区分を判別することができる。
開封表示部と性能表示部は、個包装体の外側から視認可能に設けられればよい。開封表示部と性能表示部は、例えば、吸収性物品のバックシートや包装シートに印刷を施すことによって設けることができる。印刷はバックシートの外側面や包装シートの外側面に施すものであってもよく、個包装体の外側から視認可能であれば、バックシートの内側面や包装シートの内側面に印刷を施して開封表示部や性能表示部を設けてもよい。印刷は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等の従来公知の印刷方法を用いることができる。
開封表示部または性能表示部は、吸収性物品の吸収容量の区分に応じて異なる色で表示されていてもよい。これにより、開封表示部または性能表示部を使用者が見たときに、個包装体に内包される吸収性物品の吸収性能を認識することができる。特に、開封表示部をこのように表示させた場合は、開封表示部に吸収性物品の性能表示機能も付与することができる。また、このように吸収性物品の吸収容量の区分に応じて開封表示部や性能表示部の色を変えることにより、細かい文字や記号を識別することが困難な使用者であっても、個包装体に内包された吸収性物品の吸収性能を容易に認識することができる。
吸収性物品の吸収容量の区分に応じて異なる色を表示する具体的な態様としては、吸収性物品の吸収容量の区分に応じて色相が異なる色を表示する態様、吸収性物品の吸収容量の区分に応じて明度が異なる色を表示する態様、吸収性物品の吸収容量の区分に応じて彩度が異なる色を表示する態様、これらを任意に組み合わせた態様が挙げられる。吸収性物品の吸収容量の区分に応じて色相が異なる色を表示させる場合は、例えば、大容量の場合に開封表示部や性能表示部を紫色で表示し、中容量の場合に青色で表示し、小容量の場合に緑色で表示したりすればよい。吸収性物品の吸収容量の区分に応じて明度が異なる色を表示させる場合は、例えば、同じ色相の色で明度のみを変化させることができる。具体的な例として、吸収容量が大容量から小容量になるに従い、開封表示部や性能表示部の色の明度を高くする態様等が挙げられる。吸収性物品の吸収容量の区分に応じて彩度が異なる色を表示させる場合は、例えば、同じ色相の色で彩度のみを変化させることができる。具体的な例として、吸収容量が大容量から小容量になるに従い、開封表示部や性能表示部の色の彩度を低くする態様等が挙げられる。
開封表示部や性能表示部の色は、白色でないことが好ましく、無彩色よりも有彩色であることが好ましい。これにより、個包装体の外側から見て、開封表示部や性能表示部が目立ちやすくなる。有彩色としては、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青色、紫色などが挙げられ、これらの色の種類は特に限定されない。なお、吸収性物品の外側面は無彩色であることが好ましく、白色がより好ましい。
包装シートは有彩色で着色され、開封表示部や性能表示部の色が包装シートの色と色相角度が30°以上異なる色で表示されていることも好ましい。これにより、個包装体において開封表示部や性能表示部を目立たせることができ、また包装シートの意匠性を高めることができる。前記色相角度差は45°以上がより好ましく、60°以上がさらに好ましい。
開封表示部や性能表示部の色は、包装シートの色よりも高い彩度で表示されていることも好ましい。これにより、個包装体において開封表示部や性能表示部を目立たせることができる。開封表示部や性能表示部の色と包装シートの色の彩度ΔC*の差は、10以上であることが好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。
次に、本発明の吸収性物品包装体について説明する。本発明の吸収性物品包装体は、上記に説明した吸収性物品の個包装体が容器内に収容されたものである。容器は、吸収性物品の個包装体を収容できるものであれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム製の袋、紙製の袋、プラスチック製の硬質容器、段ボール箱等が挙げられる。
容器内には、個包装体が複数収容されることが好ましい。また、個包装体が複数積み重ねられて束となった状態で、容器内に収容されることが好ましい。容器に収容される個包装体の束は1つのみでも、2つ以上でもよい。後者の場合、個包装体の束は、容器内で上下に複数段積まれてもよく、左右に並んで配置されてもよく、またこれらの組み合わせでもよい。
容器は、開封可能部を有することが好ましい、容器の開封可能部を開けることで、容器内に収容された個包装体を取り出すことができる。開封可能部としては、例えば、ミシン目、蓋、包装容器の取り出し口を塞ぐ粘着テープ等が挙げられる。
容器には、容器に収容される吸収性物品の吸収容量の区分を表す容器表示部が設けられることが好ましい。容器表示部には、容器に収容される吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号が表示されることが好ましい。吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号の具体例は、上記の性能表示部の当該説明が参照される。
容器表示部は、所定領域を有する背景部に、容器に収容される吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号が表示されるものであってもよい。この場合、吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号が背景部上に表示される、あるいは換言すれば、吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字または記号が背景部に囲まれて表示される。背景部は、容器の外面の一部の所定領域に設けられ、容器の外面の主要部の柄(模様や地)とは区分して設けられることが好ましい。背景部を含む容器表示部は、容器の外面の面積の40%以下の面積で設けられることが好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、また1%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。背景部は、容器表示部やそこに示される文字や記号が目立つようにするために、無地であることが好ましい。
容器表示部は、吸収性物品包装体(容器)の前面に少なくとも設けられることが好ましい。吸収性物品包装体の前面とは、容器内に収容される吸収性物品の属性(例えば製品名)が最も分かりやすく表示される面を意味し、通常は吸収性物品の製品名やロゴマークが吸収性物品包装体の容器の外面の中で最も大きく表示される面となる。吸収性物品の製品名やロゴマークとしては、代表的には商標が挙げられる。容器表示部は、吸収性物品包装体の前面ととともにそれ以外の面(特に吸収性物品包装体の上面)にも設けられることが好ましく、吸収性物品の前面からそれ以外の面(特に吸収性物品包装体の上面)にかけて延在して設けられることがより好ましい。これにより、容器表示部がより目立つように、吸収性物品包装体に容器表示部を設けることができる。
吸収性物品包装体の構成例について、図6および図7を参照して説明する。図6には、吸収性物品包装体の斜視図を示し、図7には、吸収性物品包装体の一部切欠き斜視図を示した。図7には、図5に示した個包装体が容器内に収容された吸収性物品包装体の構成例が示されている。
吸収性物品包装体41は、吸収性物品の個包装体31が容器42内に収容されて構成される。図6では、開封前の吸収性物品包装体41が示されており、容器42のみが外から目視可能となっており、個包装体31は容器42内に収容されて目視できない状態となっている。図7では、吸収性物品包装体41の内部の一部が透視されて示されており、容器42内に収容された個包装体31は、吸収性物品の長手方向の一方側の端部20が個包装体31の外側に露出している。また、吸収性物品の露出した端部20に性能表示部22が設けられている。
図6および図7に示した吸収性物品包装体41では、容器42の前面に吸収性物品の製品名「ABC」が表示されたロゴマーク46が表示されており、容器42にはさらに容器表示部43が設けられている。容器表示部43は、背景部45と、容器42内に個包装体として収容された吸収性物品の吸収容量の区分を表す「25cc 少量用」と表示された文字44から構成されている。吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字44は、例えば、「25cc」との文字列のみが表示されていてもよく、「少量用」との文字列のみが表示されていてもよく、その他の吸収容量の区分を表す文字列が表示されていてもよい。容器表示部43は、文字44の代わりに、吸収性物品の吸収容量の区分を表す記号が表示されるものであってもよく、また背景部45がないものであってもよい。図6および図7では、容器表示部43が容器42の前面から上面にかけて設けられている。
吸収性物品包装体は、個包装体の開封表示部または性能表示部が吸収性物品の吸収容量の区分に応じて異なる色で表示されているとともに、容器表示部と開封表示部または性能表示部とが同じ色で表示されていることが好ましい。従ってこの場合、容器表示部は、容器内に収容された吸収性物品の吸収容量の区分に応じて異なる色で表示される。図7を参照して説明すると、吸収性物品包装体41は、容器42に設けられた容器表示部43の背景部45または文字44または記号と、個包装体31の外側に露出した端部20に設けられた性能表示部22とが同じ色で表示されるとともに、個包装体31に内包された吸収性物品の吸収容量の区分に応じて異なる色で表示されている。性能表示部22と同じ色で表示される容器表示部43は、背景部45であってもよく、文字44および/または記号であってもよい。
吸収性物品包装体は、上記のように構成されることにより、使用者が吸収性物品の個包装体を容器から出した場合でも、個包装体の開封表示部または性能表示部の色を容器表示部の色と照合することで、個包装体に内包された吸収性物品の吸収容量の区分を認識することができる。また、異なる吸収性能を有する個包装体を複数携行するような場合でも、開封表示部または性能表示部の色によって、各個包装体に内包された吸収性物品の吸収容量の区分を認識することができる。
なお、同じ色とは、人間の目で見て概ね同じ色と認識できるものであればよく、例えば色差ΔE*abが20以下であることが好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。異なる色としては、例えば色差ΔE*abが30以上であることが好ましく、40以上がより好ましい。
容器表示部の文字と開封表示部または性能表示部とが同じ色で表示される場合は、容器表示部に表示された文字の全てが開封表示部または性能表示部と同じ色で表示されてもよく、一部の文字のみが開封表示部または性能表示部と同じ色で表示されてもよい。後者の場合は、意味をなすまとまった文字列が、開封表示部または性能表示部と同じ色で表示されることが好ましい。例えば図6や図7では、「25cc 少量用」の文字列全てが開封表示部または性能表示部と同じ色で表示されてもよく、「25cc」または「少量用」の文字列のみが開封表示部または性能表示部と同じ色で表示されてもよい。
吸収性物品包装体は、容器表示部の背景部と開封表示部または性能表示部とが同じ色で表示されていることが好ましい。背景部は文字や記号よりも広い面積で表示することができるため、背景部が開封表示部または性能表示部と同じ色で表示されていれば、容器表示部と開封表示部または性能表示部の色との関連性をより認識しやすくなる。
上記に説明した色差ΔE*abは、L*a*b*表色系のL*とa*とb*の値から、次式により求めることができる:ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2。彩度差ΔC*は、L*a*b*表色系のa*とb*の値から、次式により求めることができる:ΔC*=[(Δa*)2+(Δb*)2]1/2。色相角度hは、L*a*b*表色系のa*とb*の値から、次式により求めることができる:h=tan-1[(b*)/(a*)]。L*a*b*表色系による色表示(L*、a*、b*)は、例えば、コニカミノルタ社製の蛍光分光濃度計FD-7により測定することができる。
本発明はまた、吸収性物品包装体を複数種有する吸収性物品包装体セットであって、2種以上の異なる吸収容量の吸収性物品包装体を含む吸収性物品包装体セットも提供する。吸収性物品包装体セットは、上記に説明したように、容器表示部の文字と開封表示部または性能表示部とが同じ色で表示さていることが好ましい。これにより、吸収性物品包装体の容器から個包装体を取り出しても、吸収性物品包装体の容器表示部の色と個包装体の開封表示部または性能表示部の色とを関連付けることにより、個包装体に内包された吸収性物品の吸収容量に関する情報を得ることができる。そのため、吸収容量の異なる2種以上の吸収性物品の個包装体が混在していても、使用者は容易に適切な個包装体を選ぶことができる。