JP7281816B2 - 核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法 - Google Patents

核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7281816B2
JP7281816B2 JP2020006793A JP2020006793A JP7281816B2 JP 7281816 B2 JP7281816 B2 JP 7281816B2 JP 2020006793 A JP2020006793 A JP 2020006793A JP 2020006793 A JP2020006793 A JP 2020006793A JP 7281816 B2 JP7281816 B2 JP 7281816B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radiation
nuclear material
sample
neutron
primary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020006793A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021113751A (ja
Inventor
政夫 米田
暢輔 藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Atomic Energy Agency
Original Assignee
Japan Atomic Energy Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Atomic Energy Agency filed Critical Japan Atomic Energy Agency
Priority to JP2020006793A priority Critical patent/JP7281816B2/ja
Publication of JP2021113751A publication Critical patent/JP2021113751A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7281816B2 publication Critical patent/JP7281816B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

本発明は、核物質が発する放射線を検出することによって試料中の核物質を検知する核物質検知装置、核物質検知方法に関する。また、本発明は、一次信号を試料に照射して発生した二次信号を検出することによって試料の分析を行うための試料分析方法に関する。
核物質(核分裂物質)が発する中性子を認識することによって、核物質を検知する技術が知られている。中性子は物質透過性が高いため、これによって手荷物、コンテナ、車両等の内部に存在する核物質を検知することもできる。図8は、このような核物質検知方法の原理を模式的に説明する図である。
ここでは、容器100の内部に、核物質の存在の有無が検知される対象となる試料Sが収容されている。中性子源110から発せられた中性子線120(一次中性子)は、容器100を透過して試料Sに照射される。これによって、試料S側から発せられる中性子として、一次中性子が試料Sによって散乱された成分である一次中性子成分(一次信号)130と、試料S中に核物質が存在する場合に一次中性子によって核物質が核反応を起こしたために発生した中性子(二次中性子)による二次中性子成分(二次信号)140とが存在する。容器100の外部の中性子検出器150は、一次中性子成分130、二次中性子成分140を共に検出し、特に二次中性子成分140を有意に認識した場合には、試料Sに核物質が存在すると判定することができる。一方、一次中性子成分130は、試料Sにおける核物質の有無に関わらず存在する。なお、図11においては便宜上一次中性子成分130と二次中性子成分140の向きは異なって示されているが、これらが発せられる向きは特に変わらず、実際にはこれらは混在している。
中性子検出器150は、これに入射した中性子を検出することができるが、検出した中性子が一次中性子成分130、二次中性子成分140のどちらであるかを判定することは容易ではない。上記のような二次中性子成分140を認識することにより核物質を検知するための手法として、例えばDDT(Differential Die-Away Technique)法が知られている。DDT法においては、上記の中性子線120として、持続時間の短いパルス(短パルス)状に発せられた中性子線が用いられる。図9は、こうした場合における中性子検出器150のカウント数(対数表示)の中性子線の照射終了時からの時間経過を模式的に示す。この場合においては、中性子線120が制御された短パルス状に発せられれば、一次中性子成分130は、図9においては短い時定数で減衰する破線(1)の成分として観測される。一方、一次中性子による核反応は一次中性子の入射後の一定の時間にわたり発生するため、二次中性子成分140は一次中性子成分130から遅延して検出され、図9においては長い時定数で減衰する点線(2)の成分として観測される。実際にはこの(1)の成分と(2)の成分とは中性子検出器150で区別されずに検出されるため、こうした成分が混在する場合には、実際の検出結果は、図9において(1)と(2)が共に含まれる実線で示されるような特性となる。
実際には図9における(1)の成分の最大強度は(2)の成分の最大強度よりも桁違いに大きいため、特に(2)の成分のみを認識することは一般的には容易ではない。DDT法においては、中性子線120(一次中性子)を短パルス状とし、(1)と(2)における時定数の違いを考慮し、中性子線120がオフとなった後で(1)の成分が十分に減衰した後で支配的となった(2)の成分を検出する。これによって二次中性子成分140を認識することができる。こうした技術は、例えば非特許文献1に記載されている。
また、特許文献1には、炉雑音解析処理として知られる手法によって核物質の分析を行う手法が記載されている。ここでは、パルス状の中性子の照射からの一定時間(例えば50msec)経過後において、時間幅(ゲート幅)を特定して中性子の計数を行い、この計数値の平均値、分散から雑音成分(Y値)が算出され、このY値のゲート幅依存性より、核物質を検知することができる。また、測定時間を長く設定して測定の統計的誤差を減少させることによって、試料における核物質の定量分析も行うことができる。
「Newtron dieaway methods for critically safety measurements of fissile waste」、Coop.K.L、Los Alamos National Laboratory、LA-UR-89-2124(1989年)
国際公開2014/034734号
上記のどちらの方法によっても、核物質の検知能力は充分ではないため、例えばその核物質の存在量を高精度で検知することは困難であった。また、例えば特許文献1に記載の技術では核物質の存在を検知することは可能であるが、ここで検出される二次中性子はパルス状の中性子(一次中性子)照射後の一定時間経過後であるため、強度の高い即発核分裂中性子は検出されず、遅発核分裂中性子のみとなる。このため、検出される中性子の数が少なくなるためにその検知能力は高くなく、十分な精度で核物質の存在を検知するためには、長時間の測定を要した。
このため、一次中性子成分(一次信号)と、これによって試料から発生する二次中性子成分(二次信号)が共に検出される場合に、適切に二次中性子成分を認識して試料の分析を行えることが望まれた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の核物質検知装置は、核物質が一次放射線の照射に起因した核反応によって発した二次放射線を検出することによって、試料における前記核物質を検知する核物質検知装置であって、強度が時間的に変化する放射線を前記一次放射線として前記試料に照射する放射線源と、前記試料の側から発せられた前記放射線を入射の度に検出する放射線検出器と、一定の測定期間の中において、前記放射線検出器が前記放射線を検出した際に、当該放射線の検出タイミングと、当該放射線よりも前に検出された前記放射線の検出タイミングの時間差を算出する時間差算出部と、前記時間差のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおける前記二次放射線の寄与を推定して前記核物質の検知をする解析部と、を具備することを特徴とする。
本発明の核物質検知装置において、前記解析部は、前記試料における前記核物質の存在を検知、または定量することを特徴とする。
本発明の核物質検知装置において、前記放射線は中性子線であり、前記放射線検出器は中性子を検出することを特徴とする。
本発明の核物質検知装置において、前記放射線源は、前記放射線を定常的に発する中性子線源と、前記中性子線源が固定された回転体と、を具備し、前記中性子線源と前記試料との間の距離が変化するように前記回転体が回転駆動されることを特徴とする。
本発明の核物質検知装置において、前記放射線源は、パルス状の前記放射線を周期的に発することを特徴とする。
本発明の核物質検知方法は、核物質が一次放射線の照射に起因した核反応によって発し、かつ前記一次放射線と同種の二次放射線を認識することによって、試料における前記核物質を検知する核物質検知方法であって、強度が時間的に変化する放射線を前記一次放射線として前記試料に対して照射し、前記試料の側から発せられた前記放射線を入射の度に検出する放射線検出器を用い、一定の測定期間の中において、前記放射線が検出された際に、当該放射線の検出タイミングと、当該放射線よりも前に検出された前記放射線の検出タイミングの時間差を算出する時間差測定工程と、前記時間差のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおける前記二次放射線の寄与を推定して前記核物質の検知をする分析工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の核物質検知方法において、前記放射線は中性子線であり、前記放射線検出器は中性子を検出することを特徴とする。
本発明の試料分析方法は、計数可能な一次信号を試料に照射することによって発生し計数可能な二次信号を検出器で測定する際に、前記二次信号と共に前記一次信号も検出される場合における、前記二次信号によって前記試料の分析を行う試料分析方法であって、強度が時間的に変化する前記一次信号を前記試料に対して照射し、前記試料の側から発せられた前記一次信号及び前記二次信号を入射の度に検出する検出する検出器を用い、一定の測定期間の中において、前記一次信号又は前記二次信号が検出された際の検出タイミングと、当該検出タイミングよりも前に認識された検出タイミングとの時間差を算出する時間差測定工程と、前記時間差のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおける二次放射線の寄与を推定し、前記試料の分析を行う分析工程と、を具備する。
本発明は以上のように構成されているので、一次中性子成分(一次信号)と、これによって試料から発生する二次中性子成分(二次信号)が共に検出される場合に、適切に二次中性子成分を認識して試料の分析を行うことができる。
本発明の実施の形態に係る核物質検知装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る核物質検知装置におけるΔtを測定する動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係る核物質検知装置における、中性子検出器におけるパルス出力の時系列の例である。 本発明の実施の形態に係る核物質検知装置において得られるΔtのヒストグラムを模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る核物質検知装置の実施例によって得られたΔtのヒストグラムの例である。 従来の核物質検知装置によって得られたDDT法によるヒストグラムの例である。 本発明の実施の形態に係る核物質検知方法あるいは試料分析方法のフローチャートを示す。 従来の核物質検知方法を説明する図である。 従来の核物質検知方法において検出される中性子の検出強度の時間変化を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る核物質検知装置1の構成を図1に示す。ここでは、DDT法の場合と同様に周期的なパルス状の中性子を発する中性子源(放射線源)10が用いられ、ここから発せられた中性子線200が、容器100の中に収容された試料Sに対して照射される。また、試料S側から発せられる中性子を検出する中性子検出器(放射線検出器:検出器)20が用いられる。中性子検出器20は、中性子1個を吸収する度にパルス出力をするため、これにより中性子1個1個を計数することができ、中性子の入射タイミング(検出タイミング)も認識することができる。
中性子検出器20で検出される中性子は、図8の構成と同様に、中性子線200が試料Sで散乱された一次中性子成分210と、試料Sにおける一次中性子による試料S内での核反応で発生した二次中性子成分220のいずれかであり、これらは区別なく中性子検出器20で検出される。なお、ここでは試料Sは容器100の内部に収容されているが、容器100は用いられなくともよい。
図1において、中性子検出器20には、解析装置30が接続されている。解析装置30は、中性子源10における中性子線200のパルス状の発生の状況に応じて、中性子検出器20の出力に応じた信号処理を行い、これによって試料Sにおける核物質の有無、あるいは核物質の存在量を認識する。以下にこの動作について説明する。解析装置30は、中性子検出器20における中性子の検出タイミングの時間差を算出する時間差算出部31と、この時間差のデータから上記の認識を行う解析部32を具備する。
図2は、中性子検出器20における中性子の検出の状況と、これに応じた解析装置30の動作を説明する図である。図2は、中性子検出器20が4回中性子を検出した場合を示し、その検出時刻はt1、t2、t3、t4とされる。ここで、時間差算出部31は、中性子検出器20が中性子を検出した度に、この検出タイミングよりも前に中性子を検出した検出タイミングとの時間差Δtを算出し、解析部32はこの値を認識する。
図2においては、時刻t1の出力が最も先行したため、この出力に対しては差分をとるべき対象となる出力が存在せず、Δtは算出されない。その後、時刻t2の出力に対しては、Δt=t2-t1の一つが得られ、時刻t3の出力に対してはΔt=t3-t1と、Δt=t3-t2の二つが得られ、時刻t4の出力に対してはΔt=t4-t1、Δt=t4-t2、Δt=t4-t1の三つが得られる。このように、後の出力に対しては多くのΔtを算出することが必要となるが、時間差算出部31あるいは解析部32がこのようにt1~t4を記憶すれば、時間差検出部31はこの算出をすることができる。
図2においては中性子の検出が4回あったものとされたが、このようなデータ収集が行われる期間(測定期間)は、中性子線200のパルス周期よりも通常は十分に長いものとする。このため、この測定期間内において実際にはより多くの中性子が検出される。図3は、このような中性子検出器20におけるパルス出力の時系列の例を示し、ここでは、パルスにおける中性子がオンとなった期間の終了直後からの出力を示す。ここで、前記のDDT法の場合と同様に、一次中性子成分210が周期的なパルス状である場合には、中性子の照射直後からの中性子検出器20が検出する中性子のカウント数の経時変化は、図9に示された通りとなる。すなわち、中性子検出器20で検出される中性子には、一次中性子と二次中性子が混在するという点は同様である。ここで、一次中性子としては、試料Sで散乱されたために遅延して中性子検出器20に達したものも含まれる。
解析部32は、測定期間内における上記のように認識されたΔtの全てを記憶し、測定の終了後にそのヒストグラム(度数分布)を生成する。試料S、中性子源10の動作が安定していれば、サイクル毎に状況は変動しないために理想的には同様の結果が得られるが、実際には1回の検出時間帯内においては、中性子の検出回数は少なく、統計的ばらつきが大きくなる。しかしながら、上記の測定を行いΔtを算出し、全てのΔtのヒストグラムを得る場合には統計的ばらつきを低減し、高精度の結果を得ることができる。
このようにして得られるヒストグラムの結果及びその物理的意味について説明する。図4の特性は、このようにして得られたΔtのヒストグラムを模式的に示す図である。図9、図3の結果より、図4の特性も、Δtの増大に従って減少し、前記の図9の特性と類似するが、横軸がΔtとされた点が異なる。
ここで検出される中性子には、前記のように一次中性子と二次中性子が含まれるために、上記のようにΔtの算出に用いられた2つの出力の組み合わせ(後の出力と先の出力)には、先の出力を一次中性子とした場合において、二次中性子を後の出力としたものが含まれる。図9の特性より、Δtが大きくなるほど、Δtの算出に際して用いられた出力の組み合わせが二次中性子と一次中性子によるものである確率は高くなる。逆に、Δtが小さければ、このΔtに対応した組み合わせが二次中性子と一次中性子によるものである確率は低くなり、この組み合わせは一次中性子同士のものである可能性が高くなる。
このため、図4において、Δtが小さな領域Aにおいては一次中性子の寄与が大きく、Δtが大きな領域Bにおいては二次中性子の寄与が大きくなり、結局図4の特性は図9の特性を反映する。また、図4の特性における横軸(Δt)方向の広がりが、一次中性子が核物質で吸収されてから二次中性子が発せられる時間に対応することも同様である。すなわち、図4の特性と図9の特性は類似し、各特性に対する一次中性子と二次中性子の寄与の状況は同様である。このため、図4において、核物質含有量が少ない場合(実線)と比べて、核物質含有量が多い場合(破線)は、Δtが大きな領域で値が大きくなり、Δtのヒストグラムから試料Sにおける核物質の検知、その含有量を推定することができる。
ただし、図9の特性における縦軸は中性子が検出されたカウント数であったのに対し、図4における縦軸は、Δtが算出された数であるため、図2の単純な例からも明らかなように、その数は中性子が検出されたカウント数よりも多い。このため、図4のヒストグラムにおいては、中性子源10、中性子検出器20を同一とした場合でも、図9のヒストグラムを作成する場合と比べて、ヒストグラムに用いられるサンプル数を多くすることができ、その統計的精度を高めることができる。
図5は、実際にプルトニウム(Pu)が含まれる試料Sと含まれない試料Sに対して図1の構成で測定を行った結果得られたヒストグラム(実施例)を示す。ここでは、試料SにおけるPuの量が0g(なし)、100mg、300mgとされ、前記の中性子線のパルス周期は10msecとされ、測定期間は10secとされた。この結果より、これらの3つの測定結果における、特にΔtの大きな領域での差分が明確となっている。このため、例えばこのように予めPuの存在量が既知の標準試料に対する測定結果を解析部32が記憶しておけば、解析部32は、測定によって得られたヒストグラムからPuの存在量を認識することができる。
一方、前記のDDT法による図9の特性は、パルス状に発された中性子線における、中性子線がオンからオフとなった時点からオフの期間においてのみ各周期内で得られた結果の総計として得られる。このため、図5の結果を得た場合の中性子検出器20の測定結果と同一の測定結果から、比較例として図9の特性を得ることもできる。図6(a)は、この結果を示す。この場合においては、Puが0gの場合と100mgとの差異が明確ではない。また、縦軸(カウント数)の絶対値が図5の場合とは大きく異なるため、統計的誤差が図5と比べると大きくなっている。
このため、同様の条件で総測定時間を120secと長くとり検出された総カウント数を十分に多くして図6(a)と同様の特性を調べた結果を図6(b)に示す。この結果においては、Puが0gの場合と100mgとの差異が表れている。
これに対して、図5の結果では、総測定時間が10secの場合においても、Puが0gと100mgの場合の特性の差異が明確になっている。すなわち、上記の方法によって、同一の測定時間であれば、DDT法よりも高精度で試料SにおけるPuの存在量を認識することができる。
また、特許文献1に記載の技術においては、中性子検出器で検出される一次中性子成分を減らすために、パルス状の中性子の照射が終了してから一定時間経過後の測定結果が用いられた。このため、この測定結果に寄与する二次中性子は遅発核分裂中性子だけであり、より数の多い即発核分裂中性子は測定結果には寄与しなかった。これに対し、上記の方法においては、パルス状の中性子の照射の終了直後から測定が行われるため、即発核分裂中性子も測定結果に寄与する。このため、上記の方法によれば、より少ない測定時間で高精度で核物質の検知を行うことができる。
図7は、この解析装置30の動作(核物質検知方法)を示すフローチャートである。ここで、この測定を行う時間である測定期間は通常は十分に長く、この総測定時間には周期的に変化する中性子線200の多数サイクルが含まれるものとする。なお、以下ではこの動作は中性子検出器20が中性子を1回検出する度に行われるものとするが、例えば図3のように中性子検出の時系列データが記憶されていれば、測定後にこの時系列データを読み出して解析装置30が同様の動作を行うこともできる。
この動作は、測定期間内において、中性子検出器20が中性子を検出する度(S1)に行われる。中性子検出器20からの出力が得られた場合(S1)には、解析部32は、この検出タイミング(図2におけるt1~t4)を記憶する(S2)。次に、解析部32は、このように記憶された検出タイミングのデータから、測定期間内においてこれよりも前に中性子検出器20からの出力があったか否かを判定する(S3)。これよりも前に出力が認められなかった場合(S3:No)は、図2における時刻t1の場合に対応し、次の出力の認識(S1)、検出タイミングの記憶(S2)が行われる。
これよりも前に出力が認められた場合(S3:Yes)は、図2におけるt2~t4の場合に対応し、解析部32は、時間差算出部31に対応するΔtを全て算出させ(S4)、その結果を全て記憶する(S5)。その後、中性子の検出(S1)から始まる動作が、測定期間が終了する(S6:Yes)まで繰り返される。これによって、測定期間内において、Δtのデータが解析部32に蓄積される。上記のS1~S5の処理は、測定期間内においてΔtのデータを蓄積する時間差測定工程となる。
その後、測定期間が終了したら(S6:Yes)、解析部32は、記憶された全てのΔtのヒストグラムを作成する(S7)。その後、解析部32は、このヒストグラムにおける図4に示されたような二次中性子の寄与より、試料Sにおける核物質の存在量を推定する(S8)。すなわち、S7、S8の処理は、Δtのデータから核物質の分析を行う分析工程となる。前記のように、これによって核物質の存在の検知、あるいはその定量分析ができる。
上記の核物質検知方法においては、図4の特性において二次中性子成分と一次中性子成分とが区別できるようにするために、中性子線200において中性子が発せられる期間が制限された周期的なパルス状とされた。しかしながら、上記の中性子検出(S1)は、このような周期的な状態とは無関係に、またその周期の開始タイミングを認識しないで、一定の測定期間内で行うことができる。このため、DDT法の場合と比べて、中性子検出の際にパルス中性子の発生タイミングを認識することは不要であり、測定も容易となる。ただし、周期毎に上記の測定を行い、DDT法と同様にサイクル内における特定の期間(例えば中性子がオフの期間のみ)においてのみ測定を行ってもよい。また、測定期間については、一般的にはパルス周期より長い方がサンプル数が多くなるため好ましいが、検出される中性子の強度が強いために測定期間が短くとも図4の特性が十分に認識できる場合には、測定期間はパルス周期より短くともよい。
また、中性子線200はパルス状である必要はなく、図4の特性において上記のように一次中性子と二次中性子の区別ができる限りにおいて、中性子線の時間的変化があればよい。例えば、中性子線の強度が急峻なパルス状ではなく緩やかな変化をした場合においては、図4の特性における一次中性子の寄与に対する二次中性子の寄与の度合いは、この周期的な変化における中性子線の強度の変動率やコントラスト等に応じて変化するものの、同様の原理は成立する。特に、上記の方法によれば、図5に示されたように統計的精度の高い結果が得られるため、こうした場合においても、ヒストグラム中における二次中性子の寄与と一次中性子の寄与の区別は、従来の手法と比べて容易となる。
このため、中性子線がパルス状である必要はなく、その強度が周期的に変化すればよい。このため、例えば、中性子源として、「Conceptual Study on a Novel Method for Detecting Nuclear Material Using a Neutron Source」、Masao Komeda and Yosuke Toh、Annals of Nuclear Energy、Vil.135(2020)、106993(http://www。sciencedirect.com/science/article/pii/S306454919304955)、に記載されたような、定常的に中性子を発する中性子線源(放射性同位体)を回転する円板(回転体)に固定して、円板の回転に伴って中性子線源と試料との間の距離が周期的に変化するように構成された中性子源を用いることもできる。一般的に、中性子を正確にパルス状に発する中性子源を得ることは容易でないが、このように中性子線源を用いれば、周期的に強度が変動する中性子源を容易に得ることができる。あるいは、上記のように一次中性子と二次中性子の区別ができる限りにおいて、中性子の時間的な強度変化が周期的である必要はない。以上より、上記の構成においては解析装置30と中性子源10の間で少なくとも精密な同期をとることは不要となる。
また、上記の手法においては、中性子(一次中性子、二次中性子)を中性子検出器(放射線検出器)で検出することによって核物質を検知したが、放射線(一次放射線)を吸収することによる反応で他の放射線(二次放射線)を発する放射性物質(核物質)の有無を放射線検出器を用いて検知する際に、二次放射線と一次放射線とが放射線検出器で区別なく同様に検出される場合には、上記の構成を同様に用いることができる。すなわち、上記の一次中性子、二次中性子の代わりに、他の放射線(γ線等)を検出して放射線を発する核物質を検知する場合においても、上記の構成は有効である。この際、一次放射線と二次放射線とが同様に放射線検出器で検出される限りにおいて、一次放射線と二次放射線の種類が異なっていてもよい。この場合において、一次放射線と二次放射線が放射線検出器で弁別可能な場合であっても、上記の構成によれば、この弁別を行う必要はないため、信号処理が容易となる。
更に、上記のように、検出の時間差Δtのヒストグラムを用いた解析は、計数可能な一次信号を試料に照射し、これによって発生した二次信号を元にして試料の解析を行う場合において、一般的に適用が可能である。このような場合においては、単一の検出器で二次信号を検出(計数)する際に、基となった一次信号も同様に検出され、両者を区別して計数することが困難である場合がある。例えば、ソナーにおいて、このような一次信号として音波を用い、試料からこの音波が反響して発せられた音波を二次信号とする場合が考えられる。この場合において、検出器が二次信号を検出する際に、一次信号も同時に検出される。
こうした場合において、一次信号、二次信号が共に計数可能であり個々の検出寺の検出タイミングが認識できる場合には、同様の手法が適用可能である。この場合において、前記の場合と同様に一次信号がパルス状であれば好ましいが、一次信号がパルス状でなくとも解析が可能である点については上記の場合と同様である。この場合、検出器は一次信号、二次信号の種類に応じて適宜設定される。また、一次信号と二次信号が共に同一の検出器で検出できる限りにおいて、前記の放射線の場合と同様に、一次信号と二次信号の種類が異なっていてもよい。
あるいは、例えば一次信号を検出する検出器、二次信号を検出する検出器を配置を変えて個別に設けることができる場合においても、上記の構成によれば、両者を検出する単一の検出器を用いて、二次信号を用いた試料の分析を行うことが可能となる。すなわち、上記と同様の時間差測定工程、分析工程を具備する試料分析方法は、核物質の検知以外においても有効である。
1 核物質検知装置
10、110 中性子源(放射線源)
20、150 中性子検出器(放射線検出器:検出器)
30 解析装置
31 時間差算出部
32 解析部
100 容器
120、200 中性子線(放射線)
130、210 一次中性子成分
140、220 二次中性子成分
S 試料

Claims (8)

  1. 核物質が一次放射線の照射に起因した核反応によって発した二次放射線を検出することによって、試料における前記核物質を検知する核物質検知装置であって、
    強度が時間的に変化する放射線を前記一次放射線として前記試料に照射する放射線源と、
    前記試料の側から発せられた前記放射線を入射の度に検出する放射線検出器と、
    一定の測定期間の中において、前記放射線検出器が前記放射線を検出した際に、当該放射線の検出タイミングと、当該放射線よりも前に検出された前記放射線の検出タイミングの時間差を算出する時間差算出部と、
    前記時間差のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおける前記二次放射線の寄与を推定して前記核物質の検知をする解析部と、
    を具備することを特徴とする核物質検知装置。
  2. 前記解析部は、前記試料における前記核物質の存在を検知、または定量することを特徴とする請求項1に記載の核物質検知装置。
  3. 前記放射線は中性子線であり、前記放射線検出器は中性子を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の核物質検知装置。
  4. 前記放射線源は、
    前記放射線を定常的に発する中性子線源と、
    前記中性子線源が固定された回転体と、を具備し、
    前記中性子線源と前記試料との間の距離が変化するように前記回転体が回転駆動されることを特徴とする請求項3に記載の核物質検知装置。
  5. 前記放射線源は、パルス状の前記放射線を周期的に発することを特徴とする請求項3に記載の核物質検知装置。
  6. 核物質が一次放射線の照射に起因した核反応によって発し、かつ前記一次放射線と同種の二次放射線を認識することによって、試料における前記核物質を検知する核物質検知方法であって、
    強度が時間的に変化する放射線を前記一次放射線として前記試料に対して照射し、
    前記試料の側から発せられた前記放射線を入射の度に検出する放射線検出器を用い、一定の測定期間の中において、前記放射線が検出された際に、当該放射線の検出タイミングと、当該放射線よりも前に検出された前記放射線の検出タイミングの時間差を算出する時間差測定工程と、
    前記時間差のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおける前記二次放射線の寄与を推定して前記核物質の検知をする分析工程と、
    を具備することを特徴とする核物質検知方法。
  7. 前記放射線は中性子線であり、前記放射線検出器は中性子を検出することを特徴とする請求項6に記載の核物質検知方法。
  8. 計数可能な一次信号を試料に照射することによって発生し計数可能な二次信号を検出器で測定する際に、前記二次信号と共に前記一次信号も検出される場合における、前記二次信号によって前記試料の分析を行う試料分析方法であって、
    強度が時間的に変化する前記一次信号を前記試料に対して照射し、
    前記試料の側から発せられた前記一次信号及び前記二次信号を入射の度に検出する検出する検出器を用い、
    一定の測定期間の中において、前記一次信号又は前記二次信号が検出された際の検出タイミングと、当該検出タイミングよりも前に認識された検出タイミングとの時間差を算出する時間差測定工程と、
    前記時間差のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおける二次放射線の寄与を推定し、前記試料の分析を行う分析工程と、
    を具備することを特徴とする試料分析方法。
JP2020006793A 2020-01-20 2020-01-20 核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法 Active JP7281816B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020006793A JP7281816B2 (ja) 2020-01-20 2020-01-20 核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020006793A JP7281816B2 (ja) 2020-01-20 2020-01-20 核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021113751A JP2021113751A (ja) 2021-08-05
JP7281816B2 true JP7281816B2 (ja) 2023-05-26

Family

ID=77076901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020006793A Active JP7281816B2 (ja) 2020-01-20 2020-01-20 核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7281816B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7287736B1 (ja) * 2023-03-24 2023-06-06 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 物質検知装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002541491A (ja) 1999-04-08 2002-12-03 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 放射性物質の解析プロセスおよび解析装置
WO2014034734A1 (ja) 2012-08-31 2014-03-06 国立大学法人京都大学 核物質探知装置及び核物質探知方法
JP2019105598A (ja) 2017-12-14 2019-06-27 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 陽電子消滅寿命測定装置、放射線計測器の調整方法、放射線計測器

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02157696A (ja) * 1988-12-09 1990-06-18 Nippon Atom Ind Group Co Ltd 核分裂性物質の非破壊分析装置
JPH04289497A (ja) * 1991-03-18 1992-10-14 Toshiba Corp 核分裂性物質の測定方法およびその測定装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002541491A (ja) 1999-04-08 2002-12-03 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 放射性物質の解析プロセスおよび解析装置
US20050135536A1 (en) 1999-04-08 2005-06-23 Abdallah Lyoussi Process and device for analysis of radioactive objects
WO2014034734A1 (ja) 2012-08-31 2014-03-06 国立大学法人京都大学 核物質探知装置及び核物質探知方法
JP2019105598A (ja) 2017-12-14 2019-06-27 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 陽電子消滅寿命測定装置、放射線計測器の調整方法、放射線計測器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021113751A (ja) 2021-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010048799A (ja) 能動的取り調べを使用する核分裂性物質の検出のための装置及び方法
JPH07301610A (ja) 土壌中の有毒元素の濃度の深さプロフィールを求める方法及び装置
RU2241978C2 (ru) Способ и устройство для анализа радиоактивных объектов
JP6179885B2 (ja) 核分裂性物質量の測定方法、及び測定装置
CN112997102A (zh) 辐射检测系统和方法
JP7281816B2 (ja) 核物質検知装置、核物質検知方法、試料分析方法
KR101975787B1 (ko) 방사성 핵종을 검출하는 방법, 이를 이용한 방사성 핵종 검출공정, 및 이를 위한 방사선 검출장치
RU2516186C2 (ru) Способ неинтрузивного обнаружения химического элемента
JP2002503342A (ja) 物体中のプルトニウムとウラニウムとの相対比率を測定する方法及び装置
KR101962370B1 (ko) 방사성 핵종을 검출하는 방법, 이를 이용한 방사성 핵종 검출공정, 및 이를 위한 방사선 검출장치
WO2015096778A1 (zh) 核素识别方法、核素识别系统及光中子发射器
US8729488B2 (en) Assaying of waste
JP5414033B2 (ja) 原子核分析方法及び原子核分析装置
JP2006010356A (ja) パルス中性子透過法による非破壊分析方法及び装置
EP3676640B1 (en) Methods and systems for calibration of particle detectors
JP7219442B2 (ja) 核物質検知装置
JP2013130418A (ja) 核物質検出装置、核物質検出方法
KR101962360B1 (ko) 방사성 핵종을 검출하는 방법, 이를 이용한 방사성 핵종 검출공정, 및 이를 위한 방사선 검출장치
Rey-Ronco et al. Mathematical study to improve the sensitivity in the neutron activation analysis of fluorspar
JP4131538B2 (ja) 食品中に微量に含まれるCdの濃度を即発ガンマ線分析により迅速かつ簡便に測定する方法
JP7223420B2 (ja) 温度測定装置、温度測定方法
JP7287736B1 (ja) 物質検知装置
JP7438893B2 (ja) 放射線検出システムおよび放射線検出方法
JP7216954B2 (ja) 陽電子消滅特性測定装置及び陽電子消滅特性測定方法
SU274859A1 (ru) Способ нейтронного количественного анализа элементного состава вещества

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220519

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230411

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230509

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7281816

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150