JP7281443B2 - 光電変換素子および光電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光検出分野等において用いられる光電変換素子および光電変換装置に関する。
特許文献1には、入射光の強度(照度)を検出する光電変換素子(半導体受光素子)が開示されている。このような光電変換素子として、例えば、結晶シリコン基板を用いた素子が知られている。結晶シリコン基板を用いた光電変換素子では、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であってもS/N比が比較的に高く、高感度(照度によらず安定した応答)である。
特許第6093061号公報
ところで、入射光のスポットサイズが検出できる光電変換素子が要望されている。
本発明は、入射光のスポットサイズを検出するための光電変換素子および光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光電変換素子は、光電変換基板と、光電変換基板における一方主面側に配置させた第1半導体層と、他方主面側に配置させた第2半導体層と、を含む。そして、この光電変換素子では、光電変換基板の導電型と、第1半導体層および第2半導体層の導電型とは、相反する導電型であり、受ける光により前記光電変換基板で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、前記一方主面側と前記他方主面側とで異なる。
本発明に係る光電変換装置は、入射光の上流側に配置された第1光電変換素子と、入射光の基となる光を出射する光出射部と、入射光の下流側に配置され、上記した光電変換素子を第2光電変換素子と、して含む。
本発明によれば、入射光のスポットサイズを検出するための光電変換素子および光電変換装置を提供する。
第1実施形態に係る光電変換装置を示す構成図である。 図1の第1光電変換素子におけるII-II線断面図である。 図1の第2光電変換素子におけるIII-III線断面の一部断面図である。 2種類(広狭サイズ)のスポットサイズの光を、一般的な光電変換素子に照射した場合のI-Vカーブを示したグラフである。 両面pn構造の光電変換素子と片面pn構造の光電変換素子とによるI-Vカーブを示したグラフである。 2種類(広狭サイズ)のスポットサイズの光を、両面pn構造の光電変換素子に照射した場合のI-Vカーブを示したグラフである。 光源からの入射光の焦点が第2光電変換素子の受光面に合っている状態(横軸0mm)から、光源を第2光電変換素子から遠ざけたときの、第2光電変換素子による入射光の検出強度(相対値)の一例を示す図である。 光源からの入射光の焦点が第2光電変換素子の受光面に合っている状態(横軸0mm)から、光源を第2光電変換素子から遠ざけたときの、第2光電変換素子による入射光の検出強度(相対値)の別の一例を示す図である。 第1実施形態の第1変形例に係る第2光電変換素子の断面図である。 第2光電変換素子の半導体基板の裏面側の層を、受光面側から示す図である。 図10の第2光電変換素子に入射光が入射した様子を示す図である。 第1実施形態の第1変形例に係る第2光電変換素子において、照射領域が広いときの、半導体基板で生成されたキャリアの回収の様子を示す模式図である。 第1実施形態の第1変形例に係る第2光電変換素子において、照射領域が狭いときの、半導体基板で生成されたキャリアの回収の様子を示す模式図である。 第1実施形態の第2変形例に係る第2光電変換素子の断面図である。 第1実施形態の第3変形例に係る第2光電変換素子の断面図である。 第2実施形態に係る3次元センサを示す構成図である。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、これに限定されるものではない。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。
[第1実施形態]
図1は、光電変換装置を示す斜視図である。この光電変換装置1は、入射光の強度のみならず、入射光のスポットサイズおよび入射方向を検出する。光電変換装置1は、光の進行方向の上流側に配置された第1光電変換素子10と、光の進行方向の下流側に配置された第2光電変換素子20と、記憶部30と、演算部40とを含む。
なお、図1および後述する図面には、XYZ直交座標系を示す。XY平面は第1光電変換素子10および第2光電変換素子20の受光面に平行な面であり、Z方向はXY平面に対して直交な方向である。
また、図1および後述する図面のうち、2本の一点鎖線の交点は、XY平面の中心を示し、一方の一点鎖線はX方向、他方の一点鎖線はY方向に平行となっている。また、2本の点線の交点は、XY平面における入射光のスポットサイズの中心を示し、一方の点線はX方向、他方の点線はY方向に平行となっている。
第1光電変換素子10は、受光面に入射する入射光の強度(総量)に応じた電流を生成する。そして、第1光電変換素子10は、生成した電流を、受光面(XY平面)における入射光の中心位置(座標)(以下、XY位置ともいう。)に応じて、4辺に配置された4つの取出電極層123(および、後述する裏面側の取出電極層133)に分配して出力する。また、第1光電変換素子10は、入射光を透過させる。第1光電変換素子10の詳細は後述する。
第2光電変換素子20は、半導体基板に入射する入射光に応じて生成されたキャリア(電子またはホール)のうち、少数キャリアを、半導体基板の両主面に形成された、半導体基板の導電型と相反する導電型の半導体層毎で回収し、その回収量差によって電流を生成する。
具体的には、第2光電変換素子20は、半導体基板と半導体層毎との間の界面の抵抗(界面抵抗)を比較的高くする、または、界面における少数キャリアのライフタイムを比較的短くすることで、短絡電流Iscの値を低下させる。これにより、第2光電変換素子20への入射光のスポットサイズの広狭に応じて、短絡電流Iscに変化が生じるようになる(詳細は後述)。すなわち、第2光電変換素子20は、入射光の密度に応じた電流、換言すれば入射光のスポットサイズに応じた電流を生成する。そして、第2光電変換素子20は、生成した電流を、受光面(XY平面)における入射光の中心位置(座標)(以下、XY位置ともいう。)に応じて、4辺に配置された4つの取出電極層223(および、後述する裏面側の取出電極層233)に分配して出力する。
記憶部30は、第1光電変換素子10の出力電流(総量)(すなわち、入射光の強度(総量)に応じた電流)、および、第2光電変換素子20の出力電流(総量)(すなわち、入射光のスポットサイズに応じた電流)と、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズとを対応付けたテーブルを予め記憶する。記憶部30は、例えばEEPROM等の書き換え可能なメモリである。
演算部40は、第1光電変換素子10の4つの取出電極層123(133)から出力された電流の総量に応じて、入射光の強度(総量)を演算して検出する。
また、演算部40は、第1光電変換素子10の4つの取出電極層123(133)各々から出力された電流の割合に基づいて、第1光電変換素子10の受光面における入射光のXY位置(座標)を演算して検出する。同様に、演算部40は、第2光電変換素子20の4つの取出電極層223(233)各々から出力された電流の割合に基づいて、第2光電変換素子20の受光面における入射光のXY位置(座標)を演算して検出する。演算部40は、これらの第1光電変換素子10の受光面における入射光のXY位置(座標)と、第2光電変換素子20の受光面における入射光のXY位置(座標)とから、入射光の入射方向を演算して検出する。
また、演算部40は、記憶部30に記憶されたテーブルを参照して、第1光電変換素子10の4つの取出電極層123(133)から出力された電流の総量(すなわち、入射光の強度(総量)に応じた電流)、および、第2光電変換素子20の4つの取出電極層223(233)から出力された電流の総量(すなわち、入射光のスポットサイズに応じた電流)に対応した、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズを求めて検出する。
演算部40は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサである。演算部40の各種機能は、例えば記憶部30に格納された所定のソフトウェア(例えば、プログラムまたはアプリケーション)を実行することで実現される。演算部40の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
なお、以上のような光電変換装置1において、必要に応じて、第1光電変換素子10、第2光電変換素子20への入射光の基となる光を出射する光出射部が含まれていても構わない。
以下、第1光電変換素子10および第2光電変換素子20ついて詳細に説明する。
まず、第1光電変換素子10について詳説する。図2は、図1の第1光電変換素子10におけるII-II線断面図である。この図に示すように、第1光電変換素子10は、2つの主面110S(110SU,110SB)を備えるn型半導体基板110と、半導体基板110の主面110Sのうちの受光する側の一方の主面110SUである受光面側に順に積層されたパッシベーション層120、p型半導体層121、透明電極層122、および取出電極層123を含む。
また、第1光電変換素子10は、半導体基板110の主面110Sのうちの受光する側の主面110SUの反対側の他方の主面110SBである裏面側の一部に順に積層されたパッシベーション層130、n型半導体層131、透明電極層132、および取出電極層133を含む。なお、p型、n型のように、導電型は相反することから、一方の導電型を「第1導電型」、他方の導電型を「第2導電型」と称しても構わない。
半導体基板110は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板110は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。
半導体基板110の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であってもS/N比が比較的に高く、高感度(照度によらず安定した応答)である。
パッシベーション層120は、半導体基板110の受光面側に形成され、パッシベーション層130は、半導体基板110の裏面側に形成される。パッシベーション層120,130は、例えば真性(i型)アモルファスシリコン材料で形成される。パッシベーション層120,130は、半導体基板210で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める(以降、この能力をパッシベーション能力と称すことがある)。
p型半導体層121は、パッシベーション層120上に形成される。p型半導体層121は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。p型半導体層121は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型の半導体層である。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。
n型半導体層131は、パッシベーション層130上に形成される。n型半導体層131は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。n型半導体層131は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型半導体層である。また、上述したパッシベーション層120,130、p型半導体層121およびn型半導体層131は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成される。
透明電極層122は、p型半導体層121上に形成され、透明電極層132は、n型半導体層131上に形成される。すなわち、透明電極層122は、p型半導体層121に対応する電極層で、半導体基板110とともに、p型半導体層121を挟むように配置され、透明電極層132は、n型半導体層131に対応する電極層で、半導体基板110とともに、n型半導体層131を挟むように配置される。
透明電極層122,132は、透明な導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムおよび酸化スズの複合酸化物)等が挙げられる。また、透明電極層122,132は、例えばスパッタリング法を用いて形成される。
取出電極層123は、透明電極層122上の4辺部の各々に4つ独立して形成され、取出電極層133は、透明電極層132上の4辺部の各々に4つ独立して形成される。また、取出電極層123,133は、銀等の金属粉末を含有する導電性ペースト材料で形成される。なお、取出電極層123,133の製造方法は、特に限定されず、例えば印刷法で形成される。
次に、第2光電変換素子20について詳説する。図3は、図1の第2光電変換素子20におけるIII-III線断面の一部断面図である。この図に示すように、第2光電変換素子20は、2つの主面210S(210SU,210SB)を備えるn型半導体基板210と、半導体基板210の主面210Sのうちの受光する側の一方の主面210SUである受光面側に順に積層されたパッシベーション層220、p型半導体層221、透明電極層222、および取出電極層223を含む。
また、第2光電変換素子20は、半導体基板210の主面210Sのうちの受光する側の主面210SUの反対側の他方の主面210SBである裏面側に順に積層されたパッシベーション層230、p型半導体層231、透明電極層232、および取出電極層233を含む。
半導体基板[光電変換基板]210は、上述した第1光電変換素子10の半導体基板110と同様に、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板210は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型の半導体基板である。なお、半導体基板210の材料としては、p型ドーパントを用いたp型結晶シリコンが用いられても構わない。
パッシベーション層[第1パッシベーション層/第2パッシベーション層]220は、半導体基板210の受光面側に形成されており、パッシベーション層[第2パッシベーション層/第1パッシベーション層]230は、半導体基板210の裏面側に形成される。パッシベーション層220,230は、上述した第1光電変換素子10のパッシベーション層120,130と同様に、例えば真性(i型)アモルファスシリコン材料で形成される。これらパッシベーション層220,230は、半導体基板210で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
p型半導体層[第1半導体層/第2半導体層]221はパッシベーション層220上に、p型半導体層[第2半導体層/第1半導体層]231はパッシベーション層230上に形成される。p型半導体層221,231は、上述した第1光電変換素子10のp型半導体層121と同様に、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。
また、p型半導体層221,231は、例えば、アモルファスシリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の半導体層である。また、上述したパッシベーション層220,230、p型半導体層221、およびp型半導体層231は、例えばCVD法を用いて形成される。
なお、半導体基板210の両主面側のp型半導体層221,231は、ホウ素を意図的にドープしたp型半導体層である必要はなく、半導体基板210に対して、後述するダイオード特性が確保されるのであれば、i型非晶質シリコン層であっても構わない。
透明電極層[第1電極層/第2電極層]222は、p型半導体層221上に形成され、透明電極層[第2電極層/第1電極層]232は、p型半導体層231上に形成される。すなわち、透明電極層222は、p型半導体層221に対応する電極層で、半導体基板210とともに、p型半導体層221を挟むように配置され、透明電極層232は、p型半導体層231に対応する電極層で、半導体基板210とともに、p型半導体層231を挟むように配置される。
透明電極層222,232は、上述した第1光電変換素子10の透明電極層122,132と同様に、透明な導電性材料で形成される。また、透明電極層222,232は、例えばスパッタリング法を用いて形成される。
取出電極層223は、透明電極層222上の4辺部の各々に4つ独立して形成され、取出電極層233は、透明電極層232上の4辺部の各々に4つ独立して形成される。また、電極層223,233は、上述した第1光電変換素子10の電極層123,133と同様に、銀等の金属粉末を含有する導電性ペースト材料で形成される。なお、取出電極層223,233の製造方法は、特に限定されず、例えば印刷法で形成される。
以上の第2光電変換素子20では、半導体基板210と、この半導体基板210における一方の主面側に配置させたp型半導体層221と、他方の主面側に配置させたp型半導体層231と、を含む。そして、この第2光電変換素子20では、半導体基板210の導電型(n型)と、p型半導体層221およびp型半導体層231の導電型とは、相反する導電型(p型)であり、さらに、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、一方主面側と他方主面側とで異なる。このようなキャリア回収量に差異をもたせる構造の一例である、半導体基板210の各主面210SU,10SBにpn接合を有する、両面pn構造について説明する。
まず、図4を用い、一般的な光電変換素子において、受けた光のスポットサイズに依存して、短絡電流Iscが変化する原理を説明する。図4では、2種類のスポットサイズ(広狭サイズ)の光を光電変換素子に照射した場合のI-Vカーブを示したグラフであり、実線は広いスポットサイズの光、破線は狭いスポットサイズの光が照射された場合を示す。また、光強度A~Cでは、光強度Aが最も高く、光強度Cが最も低い。
光電変換素子において、半導体基板と半導体層毎との間の界面抵抗(半導層の積層方向における抵抗)が比較的高い場合、キャリア輸送の経路における電気抵抗といえる直列抵抗Rsが非常に高くなる。直列抵抗Rsは、周知の通り、開放電圧Voc付近の傾きの逆数で概略値が求められるが、直列抵抗Rsが高くなると、グラフの第1象限に、通常の太陽電池等(一点鎖線参照)で生じる最大出力点のような屈曲点が生じることなく、第2象限にまで後退する。このような挙動は、直列抵抗Rsに起因する電圧降下に起因する。
直列抵抗Rsによる電圧降下(ΔV)は、電流(I)と直列抵抗(Rs)の積であり(ΔV=-I×Rs)、換言すると、電圧降下は、直列抵抗Rsと、光強度に依存する電流(I)との影響を受ける。そして、直列抵抗Rsが存在しない場合の仮想的な「屈曲点(Rs=0)」における電圧を(一点鎖線参照)、電圧降下ΔVが上回ると、上述のように屈曲点が第2象限まで後退し、電圧降下ΔVの影響を短絡電流Isc(グラフにおける電流電圧線と電流軸との交点の電流値)が受けることになる。
そして、光強度Aのように、屈曲点が第2象限にある場合、後述するスポットサイズ起因の直列抵抗Rsの変動に伴って短絡電流Iscも変化する。また、光強度Bのように、屈曲点が0V近辺にある場合も、スポットサイズ起因の直列抵抗Rsの変動により短絡電流Iscは変化する。
しかしながら、光強度Cのように、光強度が低いために比較的低い電流しか生じず、それに対応して電圧降下も比較的小さいことに起因して、屈曲点の位置が0Vから十分に高電圧側にある場合、スポットサイズ起因の直列抵抗Rsの変動による屈曲点の移動は第2象限にて起きず、第1象限にて起きる。すると、短絡電流Iscは、電圧降下の影響を受けずに、変動しないことになる。
次に、スポットサイズが直列抵抗Rsに影響を与える原理を説明する。光電変換素子の界面抵抗が比較的高い場合、キャリアの回収面積が直列抵抗Rsに大きく影響する。これは、以下の理由による。
すなわち、スポットサイズが比較的広い場合、広面積にキャリアが発生するため、そのキャリアの密度は低くなり、その結果、キャリアは広い界面を利用して回収されるため、直列抵抗Rsは比較的小さくなる。一方で、スポットサイズが比較的狭い場合、狭面積にキャリアが発生するため、そのキャリアの密度は高くなり、その結果、キャリアは狭い界面を利用して回収されるため、直列抵抗Rsは比較的高くなる。
そして、一定以上の光強度を有する場合(光強度A,B)、光電変換素子の受けた光に応じて直列抵抗Rsに変化が生じると、0Vにおける短絡電流Iscにも変化(差)が生じる。このようにスポットサイズに応じて直列抵抗Rsが変化し、その直列抵抗Rsに伴いIscも変化する光電変換素子を、第2光電変換素子20として用いる場合、例えば、スポットサイズの影響を受けた第2光電変換素子20の短絡電流Iscの値と、スポットサイズとは独立した真の光強度を検出する第1光電変換素子10の短絡電流Iscの値とから、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズが判明する。
換言すると、このような用途に使用する光電変換素子は、0Vにおいて、スポットサイズに応じた短絡電流Iscに差を生じるような感度を有さなくてはならない(スポットサイズ広のときの電流電圧線と電流軸との交点と、スポットサイズ狭のときの電流電圧線と電流軸との交点とに差異がなくてはならない)。
しかしながら、直列抵抗Rsを高める(上述の電圧降下)には限界があり、一定未満の光強度Cのように、比較的広いスポットサイズの光が照射しながらも、短絡電流Iscが小さい場合、比較的狭いスポットサイズの光が照射しても、スポットサイズの広狭に起因する直列抵抗Rsの差(直列抵抗差)が十分大きくならず、光電変換素子は、0Vにおいて、スポットサイズに応じて短絡電流Iscに差を生じるような特性(センサー特性)を有さない(開放電圧Vocが概ね短絡電流Isc×直列抵抗Rsとなるような、Voc、Isc、Rsの関係が、センサー特性を有するための目安といえる)。
両面pn構造では、半導体基板の両面にpn接合が対向するように配置される。そして、このような両面pn構造では、図5に示すように、片面pn構造(半導体基板の一方面のみに、半導体基板の導電型と相違する半導体層を配置した構造)では一つしか発生しないダイオード特性による飽和電流領域が、第2象限と第4象限とで発生する。
これは、半導体基板の両面で、発生したキャリアのうちの少数キャリアを回収しあうため(相殺のため)である。そのため、両面pn構造における第2象限の飽和電流値Aの絶対値と第4象限の飽和電流値Bの絶対値との合計値は、片面pn構造における第2象限の飽和電流値Cの絶対値と同程度になるものの、片面pn構造の飽和電流値Cに比べて、同極性(+)の飽和電流値Aは低くなる。
また、電流の流れない開放状態(開放電圧Voc)においては、半導体基板の両面における一方主面側と他方主面側とに回収される少数キャリア量が完全に相殺されることで、電流値がゼロとなるが、この場合の開放電圧Vocは、一方主面側のp型半導体層のフェルミ準位と他方主面側のp型半導体層のフェルミ準位との差に相当する。そのため、両面pn構造における開放電圧Vocは、バンドギャップの半分程度となる片面pn構造の開放電圧Vocに比べて、極めて小さく設計できる。
また、短絡状態(0V)においては、一方主面側のp型半導体層におけるフェルミ準位と他方主面側のp型半導体層におけるフェルミ準位とは一致し、一方主面側のp型半導体層へのキャリア流入量(回収量)と他方主面側のp型半導体層へのキャリア流入量(回収量)とのバランス関係によって、短絡電流Iscが決まる。そのため、両面pn構造における短絡電流Iscは、片面pn構造の短絡電流Isc比べて、極めて小さくなる。なお、仮に厳密に両面のpn接合の電気特性(流れ込むキャリア数も含む)が一致する場合、電流電圧線は原点を中心に点対称となり、開放電圧は0Vとなり、短絡電流も0Aとなる。
また、2つの屈曲点間の電圧差と、2つの屈曲点間で形成される電流電圧線の傾きは、主にキャリアライフタイムと直列抵抗Rsとの影響を受ける。キャリアライフタイムが短いほど、再結合による電圧降下および電流ロスが大きくなるため、両屈曲点は電流軸から互いに離れるように移動する。そのため、屈曲点間の電流電圧線の傾きは小さくなり(すなわち、電圧軸と平行に近づき)、さらに、各屈曲点近辺における電流電圧線の曲率半径も大きくなる。また、直列抵抗Rsが高い場合、それに起因した電圧降下が生じるため、両屈曲点は電流軸から互いに離れるように移動する。そのため、屈曲点間の電流電圧線の傾きは小さくなる。
以上のように、両面pn構造であると、正負電圧における高電圧領域(絶対値での高電圧領域)において飽和電流領域が発生し、これに応じて屈曲点も、I-Vカーブのグラフの第2象限に1箇所、第4象限に1か所の合計2箇所発生する。そのため、この屈曲点同士の間の電流電圧線は、電流軸付近にて傾きを有しながら、その電流軸に交差する。
そのため、図6に示すように、スポットサイズの広狭に起因する直列抵抗Rsの差(直列抵抗差)が十分大きくなる場合、0Vにおいて、スポットサイズに応じて短絡電流Iscに差が生じる(検出強度に差がでる)。その上、両面pn構造の開放電圧Vocおよび短絡電流Iscはともに、片面pn構造と異なり、極めて低くなる。これらの結果、このような光電変換素子は、ゼロに極めて近い光強度においても、センサー特性を有する。
以上を踏まえると、センサー特性は、例えば、半導体基板210の導電型(n型)と、p型半導体層221およびp型半導体層231の導電型とは、相反する導電型(p型)であり、これに起因して、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、一方主面側と他方主面側とで異ならせた第2光電変換素子20に生じる。
なお、半導体基板210の2つ有る主面の側と、キャリア回収量の多少とは、特に限定されず、キャリア回収量が多い(または少ない)のは受光面側であっても裏面側であっても構わない。
このキャリア回収量に差異をもたせるための構造としては、例えば、p型半導体層221における導電性不純物の濃度(ドーピング濃度)と、p型半導体層231における導電性不純物の濃度とが互いに異なっていればよい。また、p型半導体層221の膜厚と、p型半導体層231の膜厚とが互いに異なっていても構わない。さらには、p型半導体層221とp型半導体層231とにおける導電性不純物の濃度が互いに異なり、かつ、膜厚も異なっていても構わない。つまり、p型半導体層221とp型半導体層231とにおける導電性不純物の濃度および膜厚のうち、少なくとも一方が、両p型半導体層221,231において異なっていればよい。
そして、ドーピング濃度の高い半導体層は、ドーピング濃度の低い半導体層に比べて、電荷密度が高く、キャリアをより強く引き付けるために、pn接合においてキャリアを多く回収する。また、膜厚の厚い半導体層は、膜厚の薄い半導体層に比べて、電荷密度が同等の場合であっても、電荷量で上回るためキャリアをより強く引き付けるために、pn接合においてキャリアを多く回収する。
また、キャリア回収量に差異をもたせるための別の構造としては、例えば、p型半導体層221と半導体基板210との間に配置されるパッシベーション層220の膜厚と、p型半導体層231と半導体基板210との間に配置されるパッシベーション層230の膜厚とが互いに異なっていればよい。
例えば、光電変換素子に使用する半導体基板の特性によっては、界面抵抗が高くなるように設計していても、スポットサイズに応じて変化する直列抵抗Rsの変化が小さくなることもある。これは、界面抵抗が高い場合に、半導体基板の中を横方向(基板面内方向)に移動するキャリアのパスが形成されると、キャリア輸送の経路が、光のスポットサイズによらず同程度になることが一因である。つまり、光電変換素子において、半導体基板内の抵抗が低ければ、界面抵抗が高かったとしても、スポットサイズに応じた直列抵抗Rsの差は小さくなってしまう。
このような場合、キャリア再結合を用いて、短絡電流Iscを変化させることが有効である。すなわち、界面抵抗が高く、半導体基板内の抵抗が低いために、キャリアが半導体基板内を横方向へ移動する場合、キャリア再結合速度を高く設計することにより、キャリアが横方向移動の際に再結合することを利用する。これにより、キャリアパスの長さに応じて回収できる電流量(キャリア回収量)が低下する。その結果、キャリアの横移動の小さな広いスポットサイズの場合、短絡電流Iscが高くなり、キャリアの横方向移動の大きな狭い光スポットサイズの場合、キャリアの再結合により短絡電流Iscが低くなる。
そこで、例えば、パッシベーション層を極端に厚く(20nm以上)設計し、界面抵抗を上昇させ、その界面付近にてキャリアの渋滞を生じさせることで、クーロン反発を発生させる。そして、このクーロン反発力に起因したキャリア回収効率の低下、ひいてはキャリア回収量の低下を利用する。具体的には、パッシベーション層に高い界面抵抗をもたせる場合、パッシベーション層220,230は、20nm以上100nm以下の範囲で膜厚設計されると好ましい。例えば、20nm以上100nm以下の範囲で、パッシベーション層220と、パッシベーション層230との膜厚に差異が設けられると好ましい。
また、以上のような極端に膜厚が厚い場合(20nm以上)、すなわちパッシベーション層に起因する界面抵抗が高抵抗な場合に、パッシベーション層における水素含有量を調整する設計で、パッシベーション層毎のパッシィベーション能力に差異をもたせ、キャリア回収量に差異をもたせても構わない。例えば、p型半導体層221と半導体基板210との間に配置されるパッシベーション層220の水素含有量と、p型半導体層231と半導体基板210との間に配置されるパッシベーション層230の水素含有量とが互いに異なっていればよい。
詳細な例を挙げると、第2光電変換素子20の裏面側のパッシベーション層230の水素含有量が、受光側パッシベーション層220の水素含有量よりも少なく設計されることで、パッシベーション層230が、パッシベーション層220よりも低いパッシベーション能力を有する。
このようになっていると、半導体基板210の主面210Sのうちの他方側主面210SBにおけるキャリアの再結合速度が速くなり、それにより、キャリア回収に時間を要する狭いスポットサイズの光を受光した場合、短絡電流Iscが低下する。そのため、キャリアの横移動の少ない広いスポットサイズの場合、短絡電流Iscが高くなり、キャリアの横方向移動の大きい狭い光スポットサイズの場合、キャリアの再結合により短絡電流Iscが低くなる。
なお、2つパッシベーション層220,230の設計上、膜厚を互いに異ならせるとともに、水素含有量を互いに異ならせていてもよい。すなわち、パッシベーション層220とパッシベーション層230とにおける膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方が、両パッシベーション層220,230において異なっていればよい。
また、このようなパッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量の少なくとも一方を異ならせた構造とともに、上述のp型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造を加えて、第2光電変換素子20が設計されていても構わない。このような設計であっても、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、一方主面側と他方主面側とで異なるためである。
以上のように、光電変換装置1では、第1光電変換素子10は、受光面に入射する入射光の強度(総量)に応じた電流を生成する。第1光電変換素子10は、生成した電流を、受光面(XY平面)における入射光の中心のXY位置(座標)に応じて、4辺に配置された4対の電極層123,133に分配して出力する。
また、第2光電変換素子20は、半導体基板210に入射する入射光に応じて生成されたキャリア(電子またはホール)のうちの両面のp型半導体層221、231を通過する少数キャリア量の差に応じた電流を生成する。これにより、第2光電変換素子20は、入射光の密度に応じた電流、換言すれば入射光のスポットサイズに応じた電流を生成する。そして、第2光電変換素子20は、生成した電流を、受光面(XY平面)における入射光の中心のXY位置(座標)に応じて、4辺に配置された4対の電極層223,233に分配して出力する。
演算部40は、第1光電変換素子10の4対の電極層123,133から出力された電流の総量に応じて、入射光の強度(総量)を演算して検出する。
また、演算部40は、第1光電変換素子10の4対の電極層123,133各々から出力された電流の割合に基づいて、第1光電変換素子10の受光面における入射光のXY位置(座標)を演算して検出する。同様に、演算部40は、第2光電変換素子20の4対の電極層223,233各々から出力された電流の割合に基づいて、第2光電変換素子20の受光面における入射光のXY位置(座標)を演算して検出する。そして、演算部40は、これらの第1光電変換素子10の受光面における入射光のXY位置(座標)と、第2光電変換素子20の受光面における入射光のXY位置(座標)とから、入射光の入射方向を演算して検出する。
また、演算部40は、記憶部30に記憶されたテーブルを参照して、第1光電変換素子10の4対の電極層123,133から出力された電流の総量(すなわち、入射光の強度(総量)に応じた電流)、および、第2光電変換素子20の4対の電極層223,233から出力された電流の総量(すなわち、入射光のスポットサイズに応じた電流)に対応した、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズを求めて検出する。
なお、入射光の光強度が既知である場合、第1光電変換素子10を用いず、第2光電変換素子20のみでも、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズが検出できる。
例えば、記憶部30は、テーブルにおいて、第1光電変換素子10の出力電流(総量)に代えて入射光の強度を対応付ける。そして、演算部40は、入射光の強度と、第2光電変換素子20から出力された電流の総量とから、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズを求めればよい。
なお、図7は、光源からの入射光(波長940nm)の焦点が第2光電変換素子20の受光面に合っている状態(横軸0mm)から、光源を第2光電変換素子20から遠ざけたときの、第2光電変換素子20による入射光の検出強度(相対値)の一例を示す図である。このセンサー特性を示す図7によれば、光源が第2光電変換素子20から離れた状態から第2光電変換素子20に近づくにつれて、換言すれば、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズが狭くなるにつれて、第2光電変換素子20による入射光の検出強度が減少していることがわかる。
ところで、以上では、半導体基板210の一方主面側と他方主面側とでキャリア回収量が異なる一因として、極端にパッシベーション層が厚い(20nm以上)の中での差異、詳説するとパッシベーション層の界面抵抗の差異について述べた。しかし、パッシベーション層の厚みの差異という点では同じでも、界面抵抗の差異ではなく、極端にパッシベーション層を薄く(2nm以下)することで、パッシベーション層のパッシベーション能力を低下させて、再結合を促進し、スポットサイズによる短絡電流Iscの変化を大きくさせてもよい。
このような場合、パッシベーション層220,230は、0.5nm以上2nm以下の範囲で膜厚設計されると好ましい。例えば、0.5nm以上2nm以下の範囲で、パッシベーション層220と、パッシベーション層230との膜厚に差異が設けられると好ましい。
なお、パッシベーション層の再結合の促進による場合、センサー特性は、図7とは異なり、図8のように、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズが広くなるにつれて、第2光電変換素子20による入射光の検出強度が減少していく(なお、図8は、図7と同様の測定条件である)。それは以下の理由による。
通常、パッシベーション能力を低下させるということは、パッシベーション層の界面欠陥数が比較的多く、半導体基板にて発生したキャリアが回収される前に再結合してしまうことである。そして、このような現象が起きると、光電変換素子では、短絡電流Iscが減少する。
しかし、光電変換素子への入射光のスポットサイズが狭い(キャリア密度が高い)場合、界面欠陥密度が、見かけ上、減少する現象が発生する。これは、キャリアが欠陥を中心に再結合することで、その欠陥の周囲に本来生じている電場を一時的に遮蔽するためである。そして、この欠陥遮蔽効果により、再結合による電流低下が抑制され、スポットサイズが狭い場合に電流量が比較的高くなる。一方で、スポットサイズが広い(キャリア密度が低い)場合は、この遮蔽効果が小さく、電流量は比較的小さくなる。その結果、図8に示すようなセンサー特性が生じる。
なお、光電変換素子において、スポットサイズの広狭に応じ、規則だって短絡電流Isc(検出強度)が変わるのであれば、図7に示すようなスポットサイズが狭くなるにつれて検出強度が減少しても、図8に示すようなスポットサイズが大きくなるにつれて、検出強度が減少しても構わない。
また、パッシベーション層の厚みも、スポットサイズが広くなるにつれて検出強度が高まる、または、スポットサイズが狭くなるにつれて検出強度が高まるようにセンサー特性を設計できれば、パッシベーション層の界面抵抗に着目した場合の好適な厚み範囲、および、パッシベーション層のパッシベーション能力に着目した場合の好適な厚み範囲から外れて、パッシベーション層220と、パッシベーション層230との膜厚に差異が設けられても構わない。要は、上述のセンサー特性が担保できればよい。そして、本発明の構造は、光電変換素子に対する入射光のスポットサイズに伴う短絡電流Iscの変化を、より低照度であっても実現させるものである。
以上では、p型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造、または、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造とともに、上述のp型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造によって、第2光電変換素子20が、低い光強度のスポットサイズでも検出する例を挙げた。
しかし、以下のような構造(第1変形例~第4変形例)であっても、第2光電変換素子20は、低い光強度のスポットサイズでも検出する。
(第1変形例)
図9は、第1実施形態の第1変形例に係る第2光電変換素子20の断面図である。この図に示すように、第2光電変換素子20では、半導体基板210の裏面側において、半導体基板210の主面210SBとパッシベーション層230との間に、ピンホール35を有する絶縁層235が設けられていてもよい。
絶縁層235は、例えばSiNx、SiOx、AlOx、TiOx、TiNx等の絶縁性および透明性を有する材料で形成される。そして、この絶縁層235は、第2光電変換素子20の半導体基板210の裏面側の層を、受光面側から示す図である図10および図11に示すように、半導体基板210の主面210SBに沿って2次元状に設けられた複数のピンホール35を有し、これらのピンホール35には、パッシベーション層230が充填されている。
なお、ピンホール35の配置の一例として、直交格子の交点上に等間隔に配置された形態を示すが、ピンホール35の配置はこれに限定されない。例えば、ピンホール35は、千鳥状(staggered)に配置されてもよい。すなわち、Y方向(またはX方向)に隣り合うピンホール35は、X方向(またはY方向)に互い違い(staggered)に配置されてもよい。また、ピンホール35の形状の一例として、半導体基板210の主面に沿った平面視において円形状の形態を示すが、ピンホール35の形状はこれに限定されない。例えば、ピンホール35は、楕円状、または多角形状であっても構わない。
また、ピンホール35では、直径は小さいほど好ましく、数は多いほど好ましい。これにより、入射光のスポットサイズに応じた第2光電変換素子20の出力電流の変化のスポット位置またはスポットサイズに対する連続性が向上する。例えば、ピンホール35の直径は、5μm以上50μm以下であると好ましく、10μm程度であるとより好ましい。ピンホール35の間隔(中心間隔)は、50μm以上500μm以下であると好ましく、100μm程度であるとより好ましい。
また、第2光電変換素子20の受光面の面積(より具体的には、p型半導体層221の面積またはp型半導体層231の面積)に対するピンホール35の総面積の割合は0.005%以上5%以下であると好ましく、0.01%程度であるとより好ましい。
絶縁層235およびピンホール35は、例えばフォトリソグラフィ法またはテンプレート法を用いて形成される。例えば、半導体基板210の主面210SB(裏側の主面210SB)上に、全面に対して絶縁材料膜を形成した後に、その絶縁材料膜を貫通するピンホール[貫通孔]35を形成して絶縁層235を得る。その後、絶縁層235上にパッシベーション層230を形成する。これにより、ピンホール35には、パッシベーション層230が充填される。
なお、図面上では、便宜上、パッシベーション層230のみがピンホール35に充填されているが、パッシベーション層230の上に製膜されるp型半導体層231の材料が充填されていてもよい。
これにより、受光面における入射光の照射される照射領域R(図11参照)の減少につれて(すなわち、入射光の密度が高くなるにつれて)、照射領域Rにおけるピンホール35の数が減少する。そのため、受光面における入射光のスポットサイズが狭くなるにつれて、出力電流が低下する。以下に、その詳細を図12および図13を用いて説明する。
図12は、図11に示す照射領域Rが広いときの、半導体基板210で生成されたキャリアの回収の様子を示す模式図であり、図13は、図11に示す照射領域Rが狭いときの、半導体基板210で生成されたキャリアの回収の様子を示す模式図である。図12および図13では、入射光の入射の様子を破線矢印で示す。また、図12および図13では、半導体基板210で生成されたキャリアのうち少数キャリアであるホールを丸印、再結合したホールを×印で示し、これらのキャリアの移動の様子を実線矢印で示す。なお、理解を容易にすべく、多数キャリアである電子は省略しているが、回収されたホールと同量の電子が外部へ回収され、半導体基板内の平衡状態を保とうとしている。
これらの図に示すように、半導体基板210で生成されたホールは、パッシベーション層220を介してp型半導体層221により回収され、透明電極層222により取り出される。また、半導体基板210で生成されたホールは、パッシベーション層230を介してp型半導体層231により回収され、透明電極層232により取り出される。
そして、p型半導体層221のキャリア回収量とp型半導体層231のキャリア回収量との差が、第2光電変換素子20の出力電流の値に反映されるが、絶縁層235は、半導体基板210と透明電極層232との間に(詳説すると、半導体基板210の裏面210SBとパッシベーション層230の間に)配置される。すると、半導体基板210の2つある主面210Sのうちの他方面側(裏面側)では、ホールは、絶縁層235により阻害され、ピンホール35のみを通過する。
図12に示すように、照射領域Rが大きい場合、照射領域R内のピンホール35の数が多く、これらのピンホール35により形成される電流経路の総合的な抵抗が実質的に低くなる。一方、図13に示すように、照射領域Rが小さい場合、照射領域R内のピンホール35の数が少なく、これらのピンホール35により形成される電流経路の総合的な抵抗が実質的に高くなる。
これにより、照射領域Rの減少につれて(すなわち、入射光の密度が高くなるにつれて)、実質的に抵抗が増大する。そのため、受光面における入射光のスポットサイズが狭くなるにつれて、出力電流が低下する。
換言すれば、図12に示すように、入射光の密度が低い場合、すなわち半導体基板210で生成されたキャリアの密度が低い場合、ホールは多くのピンホール35に分散され、ピンホール35において過度に渋滞することがない。一方、図13に示すように、入射光の密度が高い場合、すなわち半導体基板210で生成されたキャリアの密度が高い場合、ホールは少ないピンホール35に集中し、ピンホール35において過度に渋滞する。このときのキャリア再結合速度は、周囲のパッシベーション能力とキャリア濃度とに依存し、渋滞の度合いが高いほど(キャリア密度が高いほど)、キャリアの再結合が生じてしまう。
これにより、照射領域Rの減少につれて(すなわち、入射光の密度が高くなるにつれて)、すなわち受光面における入射光のスポットサイズが狭くなるにつれて、出力電流が低下する。
なお、第2光電変換素子20の裏面側におけるパッシベーション層230、p型半導体層231、および透明電極層232のうち、最も高抵抗であるパッシベーション層230と半導体基板210との間に絶縁層235が設けられているが、これに限定されるものではない(すなわち、半導体基板210と透明電極層232との間のいずれかの層間において絶縁層235が介在していれば構わない)。ただし、絶縁層235におけるピンホール35はパッシベーション層230の材料が充填されると、高抵抗の真性半導体が材料であるため、入射光のスポットサイズに応じた第2光電変換素子20の出力電流の変化が大きくなりやすい。
また、以上の絶縁層235を含むだけで、p型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造、または、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造とともに、上述のp型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、を含まない第2光電変換素子20であってもよいし、逆に、含んでいる第2光電変換素子20であっても構わない。いずれの第2光電変換素子20であっても、低い光強度のスポットサイズでも検出するためである。
(第2変形例)
図14は、第1実施形態の第2変形例に係る第2光電変換素子の断面図である。この図に示すように、第2光電変換素子20では、半導体基板210の裏面210SBとパッシベーション層230の間にピンホール35を有する絶縁層235が形成されているだけでなく、半導体基板210の受光する側の主面210SUとパッシベーション層220の間にピンホール25を有する絶縁層225が形成されている。
すなわち、半導体基板210の両主面側において、ピンホール25を有する絶縁層225が半導体基板210と透明電極層221との間、および、ピンホール35を有する絶縁層235が半導体基板210と透明電極層232との間に配置される。
そして、ピンホール35は、ピンホール25と同様に、形成される。すなわち、半導体基板210の主面(受光側の主面210SU)上に、全面に対して絶縁材料膜を形成した後に、その絶縁材料膜を貫通するピンホール[貫通孔]25を形成して絶縁層225を得る。その後、絶縁層235上にパッシベーション層220を形成する。これにより、ピンホール25には、パッシベーション層220が充填される。なお、図面上では、便宜上、パッシベーション層220のみがピンホール25に充填されているが、パッシベーション層220の上に製膜されるp型半導体層221の材料が充填されていてもよい。
このような第2変形例では、第1変形例の場合と比較して、両面にピンホール25/35を有する絶縁層225/235を有することから、例えば、両ピンホール25,35が同じピンホール径、ピンホール密度であったとしても、第1変形例に比べて、より高抵抗な第2光電変換素子20となる。よって、スポット径に依存した電流変化は、第2変形例の場合、第1変形例よりも低い光強度においても生じるため、スポット径を検出可能な光強度の下限がさらに低くなる。
なお、以上では、第2光電変換素子20において、絶縁層225の位置は、第2光電変換素子20の受光面側におけるパッシベーション層220、p型半導体層221、および透明電極層222のうち、最も高抵抗であるパッシベーション層220と半導体基板210との間に絶縁層225が設けられているが、これに限定されるものではない(すなわち、半導体基板210と透明電極層222との間のいずれかの層間において絶縁層225が介在していれば構わない)。ただし、第1変形例同様に、絶縁層225におけるピンホール25はパッシベーション層220の材料が充填されると、高抵抗の真性半導体が材料であるため、入射光のスポットサイズに応じた第2光電変換素子20の出力電流の変化が大きくなりやすい。
また、第1変形例では、半導体基板210と透明電極層232との間に絶縁層235が介在した例を、第2変形例では、半導体基板210と透明電極層232との間に絶縁層235、半導体基板210と透明電極層222との間に絶縁層225が介在した例を挙げた。しかし、第2光電変換素子20は、半導体基板210と透明電極層222との間のみに、絶縁層225を介在していても構わない。このようになっていても、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズが狭くなるにつれて、出力電流が低下するためである。
また、以上の絶縁層235および絶縁層225の少なくとも一方を含むだけで、p型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造、または、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造とともに、上述のp型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、を含まない第2光電変換素子20であってもよいし、逆に、含んでいる第2光電変換素子20であっても構わない。いずれの第2光電変換素子20であっても、低い光強度のスポットサイズでも検出するためである。
(第3変形例)
図15は、第1実施形態の第3変形例に係る第2光電変換素子の断面図である。この図に示すように、第2光電変換素子20では、半導体基板210の裏面側において、半導体基板210と透明電極層232との間、詳説すると、パッシベーション層230とp型半導体層231との間に、高抵抗層236が介在しても構わない。
高抵抗層236は、例えばSiNx、SiOx、若しくはSiCと、微結晶シリコン若しくは非晶質シリコン層との混晶材料で形成される。これらの高抵抗層(混晶層)は、例えばCVD製膜条件を調整することで、形成される。
例えば、SiHガスおよびCOガスを用いてSiOxを作製する場合、SiHガスの流量費を増加させることでSi比率が増大(xが減少)し、Si-Si結合が増大し、僅かに電流が流れる構造となる。しかしながら、このようなSiOxを含む混晶材料で形成された高抵抗層236は、導電型半導体層であるp型半導体層221,231に比較して100倍以上の高抵抗となる。
これにより、上述してきた様々な第2光電変換素子20と同様に、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、一方主面側と他方主面側とで異なり、かつ、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズが狭くなるにつれて、出力電流が低下する。
なお、以上では、半導体基板210と透明電極層232との間に、高抵抗層236が介在する例を挙げているが、高抵抗層236は、半導体基板210と透明電極層222との間、詳説すると、パッシベーション層220とp型半導体層221との間に、高抵抗層236が介在しても構わない。また、半導体基板210と透明電極層232との間、かつ、半導体基板210と透明電極層222との間、詳説すると、パッシベーション層230とp型半導体層231との間、および、パッシベーション層220とp型半導体層221との間に、高抵抗層236が介在しても構わない。
すなわち、半導体基板210と透明電極層232との間、および、半導体基板210と透明電極層222との間の少なくとも一方に、絶縁材料を含有する高抵抗層236が含まれていればよい。
また、第2変形例のように、半導体基板210の両主面側に配置された絶縁層225,235のうちの一方を、高抵抗層236に置き換えた第2光電変換素子20であっても構わない。
また、以上の高抵抗層236を含むだけで、p型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造、または、パッシベーション層220,230同士の膜厚および水素含有量のうち、少なくとも一方を異ならせた構造とともに、上述のp型半導体層221,231同士のドーピング濃度および膜厚の少なくとも一方を異ならせた構造、を含まない第2光電変換素子20であってもよいし、逆に、含んでいる第2光電変換素子20であっても構わない。いずれの第2光電変換素子20であっても、低い光強度のスポットサイズでも検出するためである。
(第4変形例)
以上の第2光電変換素子20では、半導体基板210の導電型(n型)と、p型半導体層221およびp型半導体層231の導電型とは、相反する導電型(p型)であり、さらに、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、半導体基板210の一方主面側と他方主面側とで異なる。そして、このキャリア回収量に差異を設けるために、半導体基板210の一方主面側に積層される各種層と、他方主面側に積層される各種層とに差異を設けていた。
そして、このような差異を有する構造であると、第2光電変換素子20では、受ける光、例えば、波長900nm以上1200nm以下の近赤外光を受けた場合、好適に、キャリア回収量に差異が生じる。ただし、例えば、波長300nm未満の紫外光または可視光(例えば、波長350nm以上800nm以下)の場合、吸収係数が高く、半導体基板210における受光面側において、キャリアが発生しやすい。そのため、上述してきたような、半導体基板210の一方主面側に積層される各種層と他方主面側に積層される各種層とに差異を設けない構造であっても、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、半導体基板210の一方主面側と他方主面側とで異なる。
すると、第2光電変換素子20が可視光を受光する場合、例えば、p型半導体層221とp型半導体層231とは、導電性不純物の濃度を互いに一致させていても構わない。また、p型半導体層221とp型半導体層231とは、膜厚を互いに一致させていても構わない。
また、パッシベーション層220とパッシベーション層230とは、膜厚を互いに一致させていても構わない。また、パッシベーション層220とパッシベーション層230とは、水素含有量を互いに一致させていても構わない。
これらのような構造であっても、受ける光により半導体基板210で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、半導体基板210の一方主面側と他方主面側とで異なるためである。
(第2実施形態)
光センサとして、被写体からの拡散光を入射して、被写体のX方向およびY方向の位置(XY位置)に加え、Z方向(奥行き)の位置をも検出する3次元センサがある。このような3次元センサでは、被写体のZ方向(奥行き)の位置が変化すると、内部の光電変換素子に入射する入射光のスポットサイズが変化する(デフォーカス)。
そこで、このような3次元センサに上述した光電変換装置1を適用すれば、光電変換素子に入射する入射光のスポットサイズを検出することにより、被写体のZ方向(奥行き)の位置が検出できる。そして、入射光の入射方向とZ方向(奥行き)の位置とから、被写体の3次元の位置が検出できる。
図16は、第2実施形態に係る3次元センサの構成を示す図である。この図に示す3次元センサ2は、光電変換装置1に内蔵される光出射部60のレーザー光等を被写体に照射することにより、被写体から発せられた光学像(拡散光)を集光する光学レンズ50と、光学レンズ50からの集光光を入射する上述した光電変換装置1、すなわち第1光電変換素子10、第2光電変換素子20、記憶部30、および演算部40を含む。なお、第1光電変換素子10および第2光電変換素子20への入射光の基となる光を出射する光出射部60は、出射する光の波長域を適宜変えられる(例えば、赤色光、緑色光、または青色光等を適宜出射する)。
そして、光学レンズ50の焦点位置に第1光電変換素子10が配置されている。第1光電変換素子10は、受光面に入射するフォーカスされた入射光の強度(総量)に応じた電流を生成する。第1光電変換素子10は、生成した電流を、受光面(XY平面)における入射光の中心のXY位置(座標)に応じて、4辺に配置された4つの電極層123(133)に分配して出力する。また、第1光電変換素子10は、入射光を透過する。
第2光電変換素子20は、受光面に入射するデフォーカスされた入射光に応じて生成されたキャリアのうち、半導体基板210の一方主面側と他方主面側とのキャリア回収量差に応じた電流を生成する。これにより、第2光電変換素子20は、入射光の密度に応じた電流、換言すれば入射光のスポットサイズに応じた電流を生成する。第2光電変換素子20は、生成した電流を、受光面(XY平面)における入射光の中心のXY位置(座標)に応じて、4辺に配置された4つの電極層223(233)に分配して出力する。
記憶部30は、第1光電変換素子10の出力電流(総量)(すなわち、入射光の強度(総量)に応じた電流)、および、第2光電変換素子20の出力電流(総量)(すなわち、入射光のスポットサイズに応じた電流)と、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズとを対応付け、さらに、このスポットサイズに被写体のZ方向(奥行き)の位置を対応付けたテーブルを予め記憶する。
演算部40は、上述したように、第1光電変換素子10の4つの電極層123(133)から出力された電流の総量に応じて、入射光の強度(総量)を演算して検出する。
また、演算部40は、上述したように、第1光電変換素子10の4つの取出電極層123(133)各々から出力された電流の割合に基づいて、第1光電変換素子10の受光面における入射光のXY位置(座標)を演算して検出する。同様に、演算部40は、第2光電変換素子20の4つの取出電極層223(233)各々から出力された電流の割合に基づいて、第2光電変換素子20の受光面における入射光のXY位置(座標)を演算して検出する。演算部40は、これらの第1光電変換素子10の受光面における入射光のXY位置(座標)と、第2光電変換素子20の受光面における入射光のXY位置(座標)とから、入射光の入射方向を演算して検出する。
また、演算部40は、記憶部30に記憶されたテーブルを参照して、第1光電変換素子10から出力された電流の総量(すなわち、入射光の強度(総量)に応じた電流)、および、第2光電変換素子20から出力された電流の総量(すなわち、入射光のスポットサイズに応じた電流)に対応した、第2光電変換素子20の受光面における入射光のスポットサイズ、および、被写体のZ方向(奥行き)の位置を求めて検出する。
そして、演算部40は、上述したように検出した入射光の入射方向と、Z方向(奥行き)の位置とから、被写体の3次元の位置を検出する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、図2および図3に示すようにヘテロ接合型の光電変換素子10,20を例示したが、本発明の特徴は、ヘテロ接合型の光電変換素子に限らず、ホモ接合型の光電変換素子またはポリシリコン用いた光電変換素子等の種々の光電変換素子に適用可能である。
また、本実施形態では、半導体基板110,210としてn型半導体基板を例示したが、半導体基板110,210は、結晶シリコン材料にp型ドーパント(例えば、ホウ素(B))がドープされたp型半導体基板であってもよい。その場合、両面に製膜される導電型半導体層はn型半導体層となる。
また、本実施形態では、結晶シリコン基板を有する光電変換素子を例示したが、これに限定されない。例えば、光電変換素子は、ガリウムヒ素(GaAs)基板を有していてもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 光電変換装置
2 3次元センサ
10 第1光電変換素子
110 半導体基板
110S 半導体基板の主面
110SU 2つの主面の一方側(他方側)である受光する側の主面
110SB 2つの主面の他方側(一方側)である裏側の主面
120 パッシベーション層
121 p型半導体層
122 透明電極層
123 取出電極層
130 パッシベーション層
131 n型半導体層
132 透明電極層
133 取出電極層
20 第2光電変換素子
210 半導体基板[光電変換基板]
210S 半導体基板の主面
210SU 2つの主面の一方側(他方側)である受光する側の主面
210SB 2つの主面の他方側(一方側)である裏側の主面
220 パッシベーション層
[第1パッシベーション層/第2パッシベーション層]
221 p型半導体層[第1半導体層/第2半導体層]
222 透明電極層[第1電極層/第2電極層]
223 取出電極層
25 ピンホール[貫通孔]
225 絶縁層
230 パッシベーション層
[第2パッシベーション層/第1パッシベーション層]
231 p型半導体層[第2半導体層/第1半導体層]
232 透明電極層[第2電極層/第1電極層]
233 取出電極層
35 ピンホール[貫通孔]
235 絶縁層
236 高抵抗層
30 記憶部
40 演算部
50 光学レンズ
60 光出射部

Claims (12)

  1. 光電変換基板と、前記光電変換基板における一方主面側に配置させた第1半導体層と、他方主面側に配置させた第2半導体層と、を含む光電変換素子にあって、
    前記光電変換基板の導電型と、前記第1半導体層および前記第2半導体層の導電型とは、相反する導電型であり、
    前記第1半導体層と前記第2半導体層とは、導電性不純物の濃度および膜厚のうち少なくとも一方を、互いに異ならせており、
    受ける光により前記光電変換基板で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、前記一方主面側と前記他方主面側とで異なる光電変換素子。
  2. 光電変換基板と、前記光電変換基板における一方主面側に配置させた第1半導体層と、他方主面側に配置させた第2半導体層と、を含む光電変換素子にあって、
    前記光電変換基板の導電型と、前記第1半導体層および前記第2半導体層の導電型とは、相反する導電型であり、
    前記第1半導体層と前記光電変換基板との間に配置される第1パッシベーション層と、前記第2半導体層と前記光電変換基板との間に配置される第2パッシベーション層とは、膜厚および水素含有量のうち少なくとも一方を、互いに異ならせており、
    受ける光により前記光電変換基板で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、前記一方主面側と前記他方主面側とで異なる光電変換素子。
  3. 前記第1半導体層と前記光電変換基板との間に配置される第1パッシベーション層と、前記第2半導体層と前記光電変換基板との間に配置される第2パッシベーション層とは、膜厚および水素含有量のうち少なくとも一方を、互いに異ならせている請求項に記載の光電変換素子。
  4. 前記第1半導体層に対応する電極層で、前記光電変換基板とともに、前記第1半導体層を挟むように配置される第1電極層と、
    前記第2半導体層に対応する電極層で、前記光電変換基板とともに、前記第2半導体層を挟むように配置される第2電極層と
    を含み、
    前記光電変換基板と前記第1電極層との間、および、前記光電変換基板と前記第2電極層との間の少なくとも一方に、絶縁層を含み、
    前記絶縁層は、前記光電変換基板の主面に沿って、2次元状に設けられた複数の貫通孔を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記第1半導体層に対応する電極層で、前記光電変換基板とともに、前記第1半導体層を挟むように配置される第1電極層と、
    前記第2半導体層に対応する電極層で、前記光電変換基板とともに、前記第2半導体層を挟むように配置される第2電極層と
    を含み、
    前記光電変換基板と前記第1電極層との間、および、前記光電変換基板と前記第2電極層との間の少なくとも一方に、絶縁材料を含有する高抵抗層を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 光電変換基板と、前記光電変換基板における一方主面側に配置させた第1半導体層と、他方主面側に配置させた第2半導体層と、を含む光電変換素子にあって、
    前記光電変換基板の導電型と、前記第1半導体層および前記第2半導体層の導電型とは、相反する導電型であり、
    前記第1半導体層と前記光電変換基板との間に配置される第1パッシベーション層と、前記第2半導体層と前記光電変換基板との間に配置される第2パッシベーション層とは、膜厚および水素含有量のうち少なくとも一方を、互いに一致させており、
    受ける光により前記光電変換基板で生じたキャリアのうちの少数キャリアに対するキャリア回収量が、前記一方主面側と前記他方主面側とで異なる光電変換素子。
  7. 前記第1半導体層と前記第2半導体層とは、導電性不純物の濃度を互いに一致させている請求項に記載の光電変換素子。
  8. 前記第1半導体層と前記第2半導体層とは、膜厚を互いに一致させている請求項6または7に記載の光電変換素子。
  9. 入射光の上流側に配置された第1光電変換素子と、
    前記入射光の基となる光を出射する光出射部と、
    前記入射光の下流側に配置され、請求項1~のいずれか1項に記載の光電変換素子を第2光電変換素子と、
    して含む光電変換装置。
  10. 入射光の上流側に配置された第1光電変換素子と、
    前記入射光の基となる近赤外光を出射する光出射部と、
    前記入射光の下流側に配置され、請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換素子を第2光電変換素子と、
    して含む光電変換装置。
  11. 入射光の上流側に配置された第1光電変換素子と、
    前記入射光の基となる可視光を出射する光出射部と、
    前記入射光の下流側に配置され、請求項6~8のいずれか1項に記載の光電変換素子を第2光電変換素子と、
    して含む光電変換装置。
  12. 前記第1光電変換素子の出力電流、および、前記第2光電変換素子の出力電流に基づいて、前記第2光電変換素子における入射光のスポットサイズを演算する演算部をさらに含む、請求項9または10に記載の光電変換装置。
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