JP7281099B2 - 路線適応発電制御を用いたレンジエクステンダ―evバスの運用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン発電機で二次電池を充電し、その二次電池によってモーター駆動するレンジエクステンダーEV(Range Extended-Electrical Vehicle)自動車の運用方法に関するものである。以下は、レンジエクステンダーEV自動車を活用した交通公共機関の代表例としてのレンジエクステンダーEVバス(RE_EVバス)について述べる。
二次電池駆動によるEVバスは、第一に二酸化炭素の排出がないクリーン交通機関として注目されている。その理由は二次電池に蓄積された電力でモーターを駆動して走るので内燃機関が不要であるため、エンジン音がなく静かであり乗り心地も優れている。 第二に燃料代を含む維持費はディーゼルエンジンのバスに比べて安いことから導入する利点は大きい。
しかし、現状のEVバスの価格は、ディーゼルエンジンのバスの改造に頼っているためと高価な二次電池を大量に搭載する必要があるために、同席数ディーゼルエンジンのバスと比較して初期投資が数倍と高価となり、なかなかその導入が進まない。
しかも現在の二次電池技術では走行距離が少なく、また、充電時間が長いなどの使い勝手が悪い。その点を改良した超急速充電技術の採用も実証はされているが、充電設備を路線上に設置するのが困難なためバス事業者の場所などに置くしかなく、そこまでの運行が無駄になるなどの問題がある。また、バス事業者の経費の中で、運転手の賃金が大きな比率を占めるため、充電時間や充電に向かうための時間は無駄な時間であり経費増加となる。なお、先行技術文献として、”電気バスおよび充電システム(特開2016-181965)”が提案されている。本提案では2次電池への充電タイミングを、搭乗員の昇降の時間を利用して行うとしているが、一般的に昇降時間は短いため十分な充電を行えない恐れがある。
このEVバスに対して小型エンジンで二次電池に充電を行い、そしてその二次電池によってモーター駆動を行うレンジエクステンダ―EV(RE_EV)バスは、二次電池の充電量が少なくなった場合にのみエンジンを駆動させて二次電池に充電する。そのために通常はエンジンの発電をせずに、二次電池のみでモーター駆動を行うので、実質的に走行距離の制限を撤廃する事ができ、非常に使い勝手の良い公共交通機関となり得る。
そして走行時間の多くの割合は二次電池によるモーターで走るので、レンジエクステンダーEVバスはディーゼルバスに比較して二酸化炭素の排出が大幅に少ないクリーン交通機関であり、さらに内燃機関からのエンジン音が少なく静かであり乗り心地も優れている。そして燃料代を含む維持費はディーゼルエンジンのバスに比べて安いことから導入する利点は大きい。
また、エンジンは以下の記述では小型のディーゼルエンジンを想定しているが、それに限ったものではなく、ガソリンエンジンでも燃料発電機(所謂燃料電池)等でも構わない。
さらに、再生エネルギーを利用する事も考えられ、例えばバスの屋根に太陽電池を搭載し、天気のよい昼間はエンジンによる発電の代わりに、太陽電池から二次電池に充電する事も可能である。
特開2016-181965
本発明によって解決しようとする課題は、EVバスの導入及び運用に当たって障害となっているEVバスが高価格であり、走行距離が制限され、充電作業の手間などが煩わしい事である。
本提案によりバス事業者はEVバスに代わる手段として、導入し易い価格であり、かつ充電作業の手間が少なく、充電切れによる走行距離の心配がない、使い勝手の良いレンジエクステンダーEVバスを活用する事によりバス事業の運用拡大が可能となる。
即ち本発明では、エンジンを駆動し発電機を発電させて二次電池に充電し、その二次電池の電力によってモーターを駆動して走行するレンジエクステンダーEVバスの走行に係わり、定期運行バスは走行ルートが定まっている事を利用して、その走行ルートの条件に適応したエンジン駆動による発電の開始及び停止の制御を行う事を特徴とした、路線適応発電制御によるレンジエクテンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、エンジンは効率の良い一定の回転数で動作させるが、発電電力の必要性に応じて、回転数を増加或いは減少させる調整を行う事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、同じ路線を繰り返し走行する場合は、最終地点(出発地点)に到達する時に二次電池の充電容量の上限まで充電するが、その日の最終走行の場合は最終地点で充電容量の下限まで使い切るように制御する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、同じ路線を繰り返し走行する場合は、毎回毎に最終地点(出発地点)に到達する時には二次電池の充電容量の下限まで使い切るように制御して、終着地点(出発地点)で二次電池に充電するようした事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、同じ路線を繰り返し走行する時に、最終走行の場合には最終地点(出発地点)に到達する時に二次電池の充電容量の下限まで使い切るように制御する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、走行路線の途中に学校区域や病院地域を通過する時は、或いはバスの停留所において搭乗者が乗り降りする時、或いは信号で停止する時はエンジン発電機を停止又はエンジン回転数を低下させて走行騒音を抑制するように制御し、学童等の登下校中に注意を促すためにエンジン発電を開始するように制御を行う事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、運行ルートの始点、終点とダイヤ(運行スケジュール)を指定してやると、地図データベースから始点-終点と、その間の停留場所、学校、病院等の発電停止区間の緯度経度を読み取り、ルートの距離、高低差から全行程の平均速度を計算し電費計算を行って運行パターンを自動生成する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、運行ルートの電費算出は、あらかじめ決めた運行パターンから計算するだけでなく、過去にそのルートを走行した際の電費を記録しておき、その記録を基に過去との差異、例えば空調装置の稼働状態等による電力消費状況を加味して算出する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、バスに設置した走行位置を検知する手段としては、GPS装置、BLEビーコン方法、無線LAN-AP等を利用した位置検出手段を使用する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、走行中のバスは定期的にバス事業者とは無線ネットワークによって路線情報を交換し、走行ルート上の突発的な出来事に対応可能な、路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、走行中のバスの電費、エンジン温度、二次電池のSOC等のデータをリアルタイムにバス事業者に送信すると共に、そのデータ情報をバスから直接、或いはバス事業者を介してバスの駆動システムを遠隔監視する場所に送信する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、バス事業者の場所、或いは別の場所に、走行路線の走行状態をシミュレーション出来る装置を設置し、路線最適発電制御用のプログラム開発を行う事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、走行路線をシミュレーション出来る装置を用いて複数の走行路線のプログラムを開発し、レンジエクステンダーEVバスに載せ替える事で、同じバスを複数の路線に使用出来るようにした事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーバスの運用方法を提供する。
また本発明では、エンジンはディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、燃料電池エンジン、バイオマスエンジン等が搭載可能な事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
また本発明では、二次電池に充電する手段として、バスの屋根又は側面に配置した太陽電池による充電を補助充電として活用する事を特徴とした路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法を提供する。
そして本発明では、レンジエクステンダーEVバス以外にも、走行ルートが決められている宅配便等のデリバリ車両或いはトラックにおいても路線適応発電制御を行っても良い。
そして、本システムにおいては、定期運用バスの場合に走行ルートが決まっている事を利用することによって、走行状態、走行環境に合わせて発電用エンジンのオンオフ制御を最適となるように制御する事が可能である。さらに、燃料消費の削減(CO2排出の削減)と共に、地域の住環境に配慮した走行が可能であり、かつバスの搭乗者の快適性も向上させる事が出来る。
図1は本提案のレンジエクステンダーEVバスの走行ルートを模擬的に表した例であり、100は全体の状況を示している。101はバスの周回ルートを示し、102はバスの発着の起点となるバスターミナルであり、バスの二次電池の充電装置(急速充電設備を含む)の設置も可能である。さらにここには描かれていないが、バス事業者の場所には充電装置(急速充電設備を含む)の設置とメンテナンス設備、さらにバスと情報をリアルタイムに送受信するための無線装置等が装備されていて、バスターミナルに隣接しているとする。そして、103は右回りルートを走行するレンジエクステンダーEVバス、104は左回りルートを走行するレンジエクステンダーEVバスである。本図では2台のバスの走行を表しているが、台数は何台でも構わない。
また、105、106、107、108はバス停留所を示しており、当然なことだが数は自由である。さらに、109は小学校、110は幼稚園が存在する領域(111)の学校区域を示している。また、112は病院を113は老人ホームを示す事で114は静音区域を表している。
図中、115は走行ルートの途中に例えば工事、事故などによる通行止め示し、116はその迂回ルートを示している。さらにバスには位置情報を検知するGPSを搭載しているので、117はそのGPS信号を送信する人工衛星を表している。
定期運行バスは一般的には毎日の走行ルートが決まっており、その日のスケジュールによって周回ルートを何回走行するかが決まる。走行ルートが前もって分かっていると言う事は、具体的にいえば例えばどこに学校区域があり、どこに病院等の医療区域が存在すると言う情報がすでに走行前に分かっていると言う事であり、それらの情報を元に予めエンジン発電の開始又は停止を行う走行バターンをスケジュール化出来る事を示している。以下に図1を使用してレンジエクステンダーEVバスが本走行ルートを周回する一例を述べる。
まずバスはバス事業者の場所で二次電池に制限一杯の充電を行った後に、出発点となる102のバスターミナルに移動した後に、搭乗者を乗せて走行ルートへ出発する。103のバス1を考えると、二次電池が十分に充電されている間は二次電池と走行モーターで走行し低雑音でクリーン走行を行う。しかし、111の学童区域に入ると、登校時間または下校時間には学童がルート上の道路を通学するので、あえてエンジンを起動してエンジン音による注意喚起を行う。しかし、授業時間帯はエンジンを止めてモーター駆動のみの走行で静寂性を保つなどの走行制御を行う。
さらに進むと112の病院、113の老人ホームなどの静音区域114に差し掛かると、エンジンを止めてモーターのみで走行し、出来るだけ騒音の発生を抑える事によって入院患者、地域住民等への配慮を行える。
また、走行ルート中に、交通事故や工事などで通行止め115が有った場合は、GPSとバス事業者からの116の迂回ルートの情報を得て、最適な迂回ルートを取る事が出来る。
以上は一例であるが、より細やかな走行制御も考えられ、例えばバス停留所では例えエンジン発電期間又は区域であっても、一時的に発電用エンジンをストップし、エンジンからの騒音を出さない静寂環境を搭乗者及びバス停留所の周辺の住民に提供する事が可能となる。この時、太陽電池がバスの屋根に搭載されているバスであれば、太陽電池のみの充電も行う事が出来る。
図2Aは図1の走行ルートを横軸に距離を、縦軸に標高を表した例であり、201の出発点と208の終着地点は周回ルートの場合は同じ地点となる。この図で201から202は比較的平坦なルートを示し、202から203は急な上り坂を示す。さらに、203から204は平坦な丘道を示し、204から205は長い急な下り坂を示す。さらに、205から206は再び平坦なルートとなり、206から207に若干の上り坂を経た後の207から208は平坦なルートとなっている例を模擬的に示している。
図2Bは図2Aの横軸と同じ距離を示し、縦軸は二次電池の充電状態を示すSOC(State of Charge)である。二次電池は例えば10%~90%と広い充放電範囲が可能な高性能電池(例えばSCiB電池)を使用する事で、より柔軟なエンジンオンオフ制御が可能となる。
さらに図2Bはエンジン制御の一例を示している。まず出発地点のAでは二次電池の充電を(本例では90%)バス事業者の場所で行い、隣接のバスターミナルに移動してルート走行を開始するが電池が決められた充電容量の下限閾値(本例では10%)に達するまではエンジン発電は行わず、モーター走行を行う。
図中、303から304は平坦なルートなので充電池の電気量の降下は比較的緩やかであるが、急な上り坂となった304から305ではモーターのトルクを稼ぐため、電池の消耗は急激となる。そして電池の充電量が下限閾値の10%となったところで、エンジンが発電を開始する。しかし、登り坂の先に長い急な下り坂がある事が分かっているので、90%の満充電まで充電しないで、本例ではCの60%でエンジン発電をストップしている。その理由はその先の長い下り坂で回生電力を二次電池に充電する事が出来るので、Dの下りきったところで充電量が上限閾値の90%を上まらないように制御している事による。なお、上記のSOCの数字はあくまで例であり、使用する2次電池の特性に合わせて設定する事になる。
さらにモーター走行を続け、E地点の50%となったところで、この日はまだ周回ルートを走るスケジュールとなっているのでエンジン発電を開始し、終着地点のBのところで充電量が90%となるように発電制御を行う。そうすれば、出発地点(終着地点)で充電器による充電が必要なく、すぐに出発出来て2回目の走行も1回目と同様な最適走行が行える事になる。そうすればバスターミナルは人通りの多い繁華街にあるのが一般的なので、その場所でモーターによる静かな走行は人々のレンジエクステンダーバスへの好印象を与える事も考えられる。そして今回の走行がその日の最後の走行スケジュールであるならば、E地点でもエンジン発電を行わずにバス会社の場所に戻り、翌日の走行のために充電器でフル充電を行う事が出来る。また、バスターミナルに急速充電設備がある場合で、もし次回の走行までに時間があるようなスケジュールが組まれている場合は、毎回の走行においてもバスターミナルに戻る時にはSOCが閾値下限の10%になるように制御する事によってさらに燃料消費を削減する事が可能となる。
ところで図2A、図2Bでは周回毎のSOC変化が同じになるように制御する場合を述べた。これは、路線適応発電制御システムが学習機能を持つ事によって、周回毎のデータ蓄積を解析する事により、解析結果をその後の同じ走行ルートのSOC制御にフィードバックをして、より燃料消費を削減出来る事が考えられる。また、バス運転手はSOCの増減に対して気を使うが、同じ走行ルートで同様なSOC変動バターンであれば安心して運転を行えると言える。もちろん、走行ルートによっては最終周回の最終地点でSOCが閾値下限となるように制御する事によって、より燃料消費が削減可能であればそのようなSOC制御も行う事が出来る。
このようにエンジンの発電期間を最小限となるように制御する事で、例えば下り坂での回生電力を無駄に捨てることなく、最大限にモーター走行を行う事が可能となり、騒音の少ない走行環境の向上と燃料消費が最少化(CO2排出の最少化)が可能となる。
その結果、301の周回走行ではエンジン発電を行う期間は305から306と、311から313だけとなる。また、最終走行ではエンジン発電を行う期間は305から306のみとなり、殆どのルートをモーター走行だけで行う事が出来るため、その地域での環境保全と利便性の良い交通機関を実現する事が出来るので、バス事業者としても本システムを取り入れたレンジエクステンダーEVバスを導入し易い事になる。
ここまで、図1による走行ルートの説明と、図2Aと図2Bを用いてエンジン発電のスケジュール化及び制御アルゴリズム(フローチャート)について言及したが、当然ながら、図1、図2A、図2Bを組合せた最適走行パターンの開発が可能であり、図1のところで述べたように、例えエンジン発電を行う期間であっても、あえてモーター走行のみでその区域を通過したり、逆にモーター走行期間であっても必要ならばエンジン発電を行いバスが近付いている事をエンジン音で喚起させるなどきめ細かい運行が行えて、その地域にカスタマイズされたバス運行を行う事が可能である。さらに、季節毎の走行制御も有り得て、例えば夏には冷房を冬には暖房を効かせるために春や秋の時期よりもエンジン発電時間を増す等の制御、及び、EV走行が長い場合に電池の充電量が10%に達しなくても発電を行い、渋滞等の日々の通路状態の変化に対応出来るようにする等のフレキシブルな制御も可能である。
また例え、走行ルート中に突然の事故や工事中などにより、走行禁止場所ができて迂回ルートを探さなければならない場合でも、バスに装備されたGPSを用いて最適なルートを設定する事が可能となる。さらに、バス単独で最適ルートを探索する事がデータ処理上困難であれば、バスターミナルでルート検索を行い無線ネットワークでその指示を受ける事が出来て運行に重大な支障は生じない。
これまで説明した走行ルートとエンジン発電制御をアダプティブに行うレンジエクステンダーEVバスの制御を路線適応発電制御と呼ぶ。
ところで、二次電池でのみ走行するEVバスの場合は、レンジエクステンダーEVバスと同じ二次電池を搭載しているとした場合、305の地点で充電量が下限閾値となるので、走行距離は305までと限られてしまう。そのため走行距離を伸ばすには積載電池の容量を増加させる必要があるが、これはバス車両の価格の高騰と、電池搭載による体積増加のためのバス車内空間の犠牲が起こり得る。また、305までの途中に充電設備を配置する事も不可能ではないが、充電時間によるロス、充電設備のセキュリティ等を考慮すると現実的ではない。
図3に路線適応発電制御システムのブロック図を示す。まず走行中にSOCの監視と現在位置の位置情報を検出し、それらを元に電費予測と目的地までの距離を計算する。次に“補充電電力計算“ブロックは、この2つの情報からその時点での補充電力(2次電池に必要に応じて充電する電力)を計算し、結果を“発電タイミング発生”ブロックに知らせる。発電タイミング発生ブロックでは、SOCが90%に到達した時には発電停止を、SOCが10%に達した時は発電開始を、さらに静音区域で発電停止を次の“補充電開始信号又は補充電停止信号を発生”ブロックに伝える。さらに、“補充電力計算”ブロックと“発電タイミング発生”ブロックは協調して目的地となる地点でのSOCが閾値下限の10%となるように発電及び停止タイミングを決定する。最後に“RE発電機のエンジンコントローラ”ブロックに補充電開始又は補充電停止の信号を伝える。
また、走行中は常にSOC監視情報と位置情報を“走行履歴データの蓄積及び解析”ブロックに送り、そのデータの解析結果を補充電力計算ブロックにフィードバックする事で逐次電費の改善を行う。
図4に路線適応発電制御アルゴリズムのフローチャートを示す。まず走行前に現在のSOC(Sc)を計測する。その後、補充電状態にあるか否かを判断して2系統に分かれる。まず補充電状態でない場合は、Scが10%以下かを計測し、もしNOであれば現在の走行場所が、走行前にプログラムされた発電区間(事前発電区間)であるかを判断する。もし、NOであるならばこの後の走行地域が病院等の静音区間外かを判断し、NOであれば補充電中フラグを改めてオフにして発電停止指示を出す。一方、Scが10%以下、或いは事前発電区間、或いは静音区間外であるなら補充電フラグをオンとして発電指示を出す。
また、もう一方の系統の補充電中の状態である場合は、Scが90%以上であるかを計測し、NOの場合は静音区間であるかを判断する。もしNOであれば単位距離毎の電費を取得し、現在位置から終点までの予測電費(De)を予測してSOCの下限である10%までに走行可能な予測距離(Le)を計算する。もし、予測距離が終点までの距離よりも短い場合は補充電中フラグをオンとして発電指示を出す。しかし、Scが90%以上、或いは静音区域の判断がONの場合、あるいはLe走行距離が終点までの距離も大きい場合は補充電フラグをオフとして発電停止指示を出す。そして、この図のように2系統の最後は最初に戻り、走行中は常に、或いは定期的、或いは不定期的にこのフローチャートに沿った制御を行う。さらに、走行中は電費向上に役立てるために走行実績データを集積、解析を行う。
この発電制御をメインフローとすると、路線の単位区間での消費電力を計測するフローはサブフローと呼ぶ。そして、メインフローのインプットとしては、SOC、予測電費(De)、事前発電区間、静音区間等があり、アウトプットとしては発電或いは発電停止指示がある。一方、サブフローのインプットとしては走行ルートと単位区間での運転情報があり、それらは、走行路の勾配、運転速度、空調電力消費、学校或いは病院なのどの静音場所の定義、過去の運転履歴(学習情報)等がある。また、アウトプットとしては、走行ルートでの平均電費、指定ポイントでの電費、静音区間、事前発電区間(発電電力以上の電力消費区間)等がある。
なお、これまでレンジエクステンダーEVバスとして表記してきたが、それに限るものではなく、宅配便等のデリバリ車両は走行ルートが地域に限定されほぼ限定されているので、路線適応発電制御が活用出来る。また、塵芥車などにも適応可能である。
本発明は、EVバスの運用がなかなか進まない現状を鑑みて、必要な時のみエンジン発電機で二次電池に充電し、通常はモーターで駆動するレンジエクステンダーEVバスの運用方法に関し、その走行ルートが定まっている定期運行バスの走行特性を生かして、エンジン発電制御を最適化出来る路線適応発電制御を取り入れたバス運用方法を提供するものである。さらに、災害時における電源確保にも十分有用な手段となり得る。
レンジエクステンダーEVバスの周回ルートの状態を示した一例である。 走行ルートの距離を横軸に標高を縦軸に示した一例(図2A)と、距離を横軸に示し、縦軸は二次電池の充電状態を示す指数(State of Charge :SOC)(図2B)である。 路線適応発電制御システムのブロック図を示す。 路線適応発電制御アルゴリズムのフローチャートである。

Claims (13)

  1. エンジンを駆動し発電機を発電させて二次電池に充電し、その二次電池の電力によってモーターを駆動して走行するレンジエクステンダーEVバスの走行に係わり、定期運行バスは走行ルートが定まっている事を利用して、その走行ルートの条件に適応したエンジン駆動による発電の開始及び停止の制御を行い、
    当該エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、走行中において、二次電池の充電状態の監視情報と現在位置の位置情報を検出して、それらを元に電費予測と目的地までの距離を計算し、前記二次電池の充電状態の監視情報と現在位置の位置情報から、その時点における二次電池に対して必要に応じて充電する補充電力の計算と、走行ルートにおける高低差に基づいた回生電力を考慮した電費計算に基づいて行われ、
    走行ルートにおける下り坂での回生電力を考慮して、二次電池の充電状態を示すSOC(State of Charge)を制御し、走行ルートの先に存在する下り坂における回生電力の充電量を考慮した上で、二次電池を満充電まで充電することなくエンジン駆動による発電をストップする事を特徴とした、路線適応発電制御によるレンジエクテンダーEVバスの運用方法。
  2. 前記エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、走行ルートを走行する時間帯を考慮して行う、請求項1に記載のレンジエクテンダーEVバスの運用方法。
  3. 前記エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、同じ路線を繰り返し走行する場合は、最終地点または出発地点に到達する時に二次電池の充電容量の上限まで充電するが、その日の最終走行の場合は最終地点で充電容量の下限まで使い切るように制御する事を特徴とする、請求項1または2に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  4. 前記エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、同じ路線を繰り返し走行する場合は、毎回毎に最終地点または出発地点に到達する時には二次電池の充電容量の下限まで使い切るように制御して、終着地点または出発地点で二次電池に充電するようした事を特徴とする、請求項1または2に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  5. 前記エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、同じ路線を繰り返し走行する時に、最終走行の場合には最終地点または出発地点に到達する時に二次電池の充電容量の下限まで使い切るように制御する事を特徴とする、請求項1または2に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  6. 前記エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、走行路線の途中に学校区域や病院地域を通過する時は、或いはバスの停留所において搭乗者が乗り降りする時、或いは信号で停止する時はエンジン発電機を停止又はエンジン回転数を低下させて走行騒音を抑制するように制御し、学童等の登下校中に注意を促すためにエンジン発電を開始するように制御を行う事を特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  7. 運行ルートの始点、終点および運行スケジュールを指定してやると、地図データベースから始点-終点と、その間の停留場所、学校、病院等の発電停止区間の緯度経度を読み取り、ルートの距離、高低差から全行程の平均速度を計算し電費計算を行って運行パターンを自動生成する事を特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  8. 運行ルートの電費算出は、あらかじめ決めた運行パターンから計算するだけでなく、過去にそのルートを走行した際の電費を記録しておき、その記録を基に過去との差異、例えば空調装置の稼働状態等による電力消費状況を加味して算出する事を特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  9. 前記走行ルートとエンジン駆動による発電の制御が学習機能を備えており、定期運行バスの走行ルート毎のデータ蓄積を解析する事により、解析結果をその後の同じ走行ルートにおける二次電池の充電状態の制御にフィードバックする事を特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  10. 走行中のバスの電費、エンジン温度、二次電池のSOC等のデータをリアルタイムにバス事業者に送信すると共に、そのデータ情報をバスから直接、或いはバス事業者を介してバスの駆動システムを遠隔監視する場所に送信する事を特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  11. バス事業者の場所、或いは別の場所に、走行路線の走行状態をシミュレーション出来る装置を設置し、当該装置によって開発した路線最適発電制御用のプログラムによって前記エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御を行う事を特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーEVバスの運用方法。
  12. 走行路線をシミュレーション出来る装置を用いて複数の走行路線のプログラムを開発し、当該プログラムをレンジエクステンダーEVバスに載せ替える事で、同じバスを複数の路線に使用出来るようにした事を特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載した路線適応発電制御によるレンジエクステンダーバスの運用方法。

  13. エンジンを駆動し発電機を発電させて二次電池に充電し、その二次電池の電力によってモーターを駆動して走行する、走行ルートが定められているレンジエクステンダーEVトラックの走行に係わり、走行ルートが定まっている事を利用して、その走行ルートの条件に適応したエンジン駆動による発電の開始及び停止の制御を行い、
    当該エンジン駆動による発電の開始及び停止の制御は、走行中において、二次電池の充電状態の監視情報と現在位置の位置情報を検出して、それらを元に電費予測と目的地までの距離を計算し、前記二次電池の充電状態の監視情報と現在位置の位置情報から、その時点における二次電池に対して必要に応じて充電する補充電力の計算と、走行ルートにおける高低差に基づいた回生電力を考慮した電費計算に基づいて行われ、
    走行ルートにおける下り坂での回生電力を考慮して、二次電池の充電状態を示すSOC(State of Charge)を制御し、走行ルートの先に存在する下り坂における回生電力の充電量を考慮した上で、二次電池を満充電まで充電することなくエンジン駆動による発電をストップする事を特徴とした、路線適応発電制御によるレンジエクテンダーEVトラックの運用方法。
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