以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、特に明記されない限り、以下で説明される技術、機能、方法、構成、手順、及びその他全ての記載は、LTE及びNRに適用できる。
また、以下の説明では、NRに特有の用語について特に言及する場合に、用語の先頭に「NR-」を付す場合がある。例えば、NRに特有のPRACH(Physical Random Access Channel)は、NR-PRACHと表記され得る。一方で、先頭に「NR-」が付されていない用語は、NRに特有の用語として捉えられてもよいし、NRに特有でない用語(例えば、LTEの用語)として捉えられてもよい。例えば、「PRACH」は、NR-PRACHとして捉えられてもよいし、LTEのPRACHとして捉えられてもよい。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.はじめに
2.技術的課題
3.機能構成例
4.技術的特徴
5.変形例
6.応用例
7.まとめ
<<1.はじめに>>
<本実施形態に係る無線通信システム>
本実施形態において、無線通信システムは、基地局装置100及び端末装置200を少なくとも具備する。基地局装置100は複数の端末装置200を収容できる。基地局装置100は、他の基地局装置100とX2インタフェースの手段によって互いに接続できる。また、基地局装置100は、S1インタフェースの手段によってEPC(Evolved Packet Core)に接続できる。さらに、基地局装置100は、S1-MMEインタフェースの手段によってMME(Mobility Management Entity)に接続でき、S1-Uインタフェースの手段によってS-GW(Serving Gateway)に接続できる。S1インタフェースは、MME及び/又はS-GWと基地局装置100との間で、多対多の接続をサポートしている。また、本実施形態において、基地局装置100及び端末装置200は、それぞれLTE及び/又はNRをサポートする。
<本実施形態に係る無線アクセス技術>
本実施形態において、基地局装置100及び端末装置200は、それぞれ1つ以上の無線アクセス技術(RAT)をサポートする。例えば、RATは、LTE及びNRを含む。1つのRATは、1つのセル(コンポーネントキャリア)に対応する。すなわち、複数のRATがサポートされる場合、それらのRATは、それぞれ異なるセルに対応する。本実施形態において、セルは、下りリンクリソース、上りリンクリソース、及び/又は、サイドリンクの組み合わせである。また、以下の説明において、LTEに対応するセルはLTEセルと呼称され、NRに対応するセルはNRセルと呼称される。
下りリンクの通信は、基地局装置100から端末装置200に対する通信である。下りリンク送信は、基地局装置100から端末装置200に対する送信であり、下りリンク物理チャネル及び/又は下りリンク物理信号の送信である。上りリンクの通信は、端末装置200から基地局装置100に対する通信である。以下では、下りリンク送信される下りリンク物理チャネル及び下りリンク物理信号を、下りリンク信号とも総称する。上りリンク送信は、端末装置200から基地局装置100に対する送信であり、上りリンク物理チャネル及び/又は上りリンク物理信号の送信である。以下では、上りリンク送信される上りリンク物理チャネル及び上りリンク物理信号を、上りリンク信号とも総称する。サイドリンクの通信は、端末装置200から別の端末装置200に対する通信である。サイドリンク送信は、端末装置200から別の端末装置200に対する送信であり、サイドリンク物理チャネル及び/又はサイドリンク物理信号の送信である。以下では、サイドリンク送信されるサイドリンク物理チャネル及びサイドリンク物理信号を、サイドリンク信号とも総称する。
サイドリンクの通信は、端末装置200間の近接直接検出及び近接直接通信のために定義される。サイドリンクの通信は、上りリンク及び下りリンクと同様なフレーム構成を用いることができる。また、サイドリンクの通信は、上りリンクリソース及び/又は下りリンクリソースの一部(サブセット)に制限されうる。
基地局装置100及び端末装置200は、下りリンク、上りリンク及び/又はサイドリンクにおいて、1つ以上のセルの集合を用いる通信をサポートできる。複数のセルの集合又は複数のセルの集合による通信は、キャリアアグリゲーション又はデュアルコネクティビティとも呼称される。キャリアアグリゲーションとデュアルコネクティビティの詳細は後述される。また、それぞれのセルは、所定の周波数帯域幅を用いる。所定の周波数帯域幅における最大値、最小値及び設定可能な値は、予め規定できる。
図1は、本実施形態に係るコンポーネントキャリアの設定の一例を示す図である。図1の例では、1つのLTEセルと2つのNRセルが設定される。1つのLTEセルは、プライマリーセルとして設定される。2つのNRセルは、それぞれプライマリーセカンダリーセル及びセカンダリーセルとして設定される。2つのNRセルは、キャリアアグリゲーションにより統合される。また、LTEセルとNRセルは、デュアルコネクティビティにより統合される。なお、LTEセルとNRセルは、キャリアアグリゲーションにより統合されてもよい。図1の例では、NRは、プライマリーセルであるLTEセルにより接続をアシストされることが可能であるため、スタンドアロンで通信するための機能のような一部の機能をサポートしなくてもよい。スタンドアロンで通信するための機能は、初期接続に必要な機能を含む。
図2は、本実施形態に係るコンポーネントキャリアの設定の一例を示す図である。図2の例では、2つのNRセルが設定される。2つのNRセルは、それぞれプライマリーセル及びセカンダリーセルとして設定され、キャリアアグリゲーションにより統合される。この場合、NRセルがスタンドアロンで通信するための機能をサポートすることにより、LTEセルのアシストが不要になる。なお、2つのNRセルは、デュアルコネクティビティにより統合されてもよい。
<本実施形態に係るNRのフレーム構成>
NRセルのそれぞれにおいて、ある所定の時間長(例えば、サブフレーム)では、1つ以上の所定のパラメータが用いられる。すなわち、NRセルでは、下りリンク信号及び上りリンク信号は、それぞれ所定の時間長において、1つ以上の所定のパラメータを用いて生成される。換言すると、端末装置200は、基地局装置100から送信される下りリンク信号、及び、基地局装置100に送信する上りリンク信号が、それぞれ所定の時間長において、1つ以上の所定のパラメータで生成される、と想定する。また、基地局装置100は、端末装置200に送信する下りリンク信号、及び、端末装置200から送信される上りリンク信号が、それぞれ所定の時間長において、1つ以上の所定のパラメータで生成されるように設定できる。複数の所定のパラメータが用いられる場合、それらの所定のパラメータが用いられて生成される信号は、所定の方法により多重される。例えば、所定の方法は、FDM(Frequency Division Multiplexing)、TDM(Time Division Multiplexing)、CDM(Code Division Multiplexing)及び/又はSDM(Spatial Division Multiplexing)などを含む。
図3は、本実施形態に係るNRの下りリンクサブフレームの一例を示す図である。図3の例では、パラメータセット1、パラメータセット0及びパラメータセット2を用いて生成される信号が、セル(システム帯域幅)において、FDMされる。図3に示される図は、NRの下りリンクリソースグリッドとも呼称される。基地局装置100は、端末装置200への下りリンクサブフレームにおいて、NRの下りリンク物理チャネル及び/又はNRの下りリンク物理信号を送信できる。端末装置200は、基地局装置100からの下りリンクサブフレームにおいて、NRの下りリンク物理チャネル及び/又はNRの下りリンク物理信号を受信できる。
図4は、本実施形態に係るNRの上りリンクサブフレームの一例を示す図である。図4の例では、パラメータセット1、パラメータセット0及びパラメータセット2を用いて生成される信号が、セル(システム帯域幅)において、FDMされる。図4に示される図は、NRの上りリンクリソースグリッドとも呼称される。基地局装置100は、端末装置200への上りリンクサブフレームにおいて、NRの上りリンク物理チャネル及び/又はNRの上りリンク物理信号を送信できる。端末装置200は、基地局装置100からの上りリンクサブフレームにおいて、NRの上りリンク物理チャネル及び/又はNRの上りリンク物理信号を受信できる。
本実施形態において、物理リソースは以下のように定義されうる。1つのスロットは複数のシンボルによって定義される。スロットのそれぞれにおいて送信される物理信号又は物理チャネルは、リソースグリッドによって表現される。下りリンクにおいて、リソースグリッドは、周波数方向に対する複数のサブキャリアと、時間方向に対する複数のOFDMシンボルによって定義される。上りリンクにおいて、リソースグリッドは、周波数方向に対する複数のサブキャリアと、時間方向に対する複数のOFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルによって定義される。サブキャリア又はリソースブロックの数は、セルの帯域幅に依存して決まるようにしてもよい。1つのスロットにおけるシンボルの数は、CP(Cyclic Prefix)のタイプによって決まる。CPのタイプは、ノーマルCP又は拡張CPである。ノーマルCPにおいて、1つのスロットを構成するOFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルの数は7である。拡張CPにおいて、1つのスロットを構成するOFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルの数は6である。リソースグリッド内のエレメントのそれぞれはリソースエレメントと称される。リソースエレメントは、サブキャリアのインデックス(番号)とシンボルのインデックス(番号)とを用いて識別される。なお、本実施形態の説明において、OFDMシンボル又はSC-FDMAシンボルは単にシンボルとも呼称される。
リソースブロックは、ある物理チャネル(PDSCH又はPUSCHなど)をリソースエレメントにマッピングするために用いられる。リソースブロックは、仮想リソースブロックと物理リソースブロックを含む。ある物理チャネルは、仮想リソースブロックにマッピングされる。仮想リソースブロックは、物理リソースブロックにマッピングされる。1つの物理リソースブロックは、時間領域において所定数の連続するシンボルで定義される。1つの物理リソースブロックは、周波数領域において所定数の連続するサブキャリアとから定義される。1つの物理リソースブロックにおけるシンボル数及びサブキャリア数は、そのセルにおけるCPのタイプ、サブキャリア間隔及び/又は上位層によって設定されるパラメータなどに基づいて決まる。例えば、CPのタイプがノーマルCPであり、サブキャリア間隔が15kHzである場合、1つの物理リソースブロックにおけるシンボル数は7であり、サブキャリア数は12である。その場合、1つの物理リソースブロックは(7×12)個のリソースエレメントから構成される。物理リソースブロックは周波数領域において0から番号が付けられる。また、同一の物理リソースブロック番号が対応する、1つのサブフレーム内の2つのリソースブロックは、物理リソースブロックペア(PRBペア、RBペア)として定義される。
<本実施形態に係る基地局装置の構成例>
図5は、本実施形態に係る基地局装置100の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、基地局装置100は、上位層処理部101、制御部103、受信部105、送信部107、及び、送受信アンテナ109、を含んで構成される。また、受信部105は、復号化部1051、復調部1053、多重分離部1055、無線受信部1057、及びチャネル測定部1059を含んで構成される。また、送信部107は、符号化部1071、変調部1073、多重部1075、無線送信部1077、及び下りリンク参照信号生成部1079を含んで構成される。
既に説明したように、基地局装置100は、1つ以上のRATをサポートできる。図5に示す基地局装置100に含まれる各部の一部又は全部は、RATに応じて個別に構成されうる。例えば、受信部105及び送信部107は、LTEとNRとで個別に構成される。また、NRセルにおいて、図5に示す基地局装置100に含まれる各部の一部又は全部は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成されうる。例えば、あるNRセルにおいて、無線受信部1057及び無線送信部1077は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成されうる。
上位層処理部101は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol: PDCP)層、無線リンク制御(Radio Link Control: RLC)層、無線リソース制御(Radio Resource Control: RRC)層の処理を行う。また、上位層処理部101は、受信部105、及び送信部107の制御を行うために制御情報を生成し、制御部103に出力する。
制御部103は、上位層処理部101からの制御情報に基づいて、受信部105及び送信部107の制御を行う。制御部103は、上位層処理部101への制御情報を生成し、上位層処理部101に出力する。制御部103は、復号化部1051からの復号化された信号及びチャネル測定部1059からのチャネル推定結果を入力する。制御部103は、符号化する信号を符号化部1071へ出力する。また、制御部103は、基地局装置100の全体又は一部を制御するために用いられる。
上位層処理部101は、RAT制御、無線リソース制御、サブフレーム設定、スケジューリング制御、及び/又は、CSI報告制御に関する処理及び管理を行う。上位層処理部101における処理及び管理は、端末装置200毎、又は基地局装置100に接続している端末装置200共通に行われる。上位層処理部101における処理及び管理は、上位層処理部101のみで行われてもよいし、上位ノード又は他の基地局装置100から取得してもよい。また、上位層処理部101における処理及び管理は、RATに応じて個別に行われてもよい。例えば、上位層処理部101は、LTEにおける処理及び管理と、NRにおける処理及び管理とを個別に行う。
上位層処理部101におけるRAT制御では、RATに関する管理が行われる。例えば、RAT制御では、LTEに関する管理及び/又はNRに関する管理が行われる。NRに関する管理は、NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットの設定及び処理を含む。
上位層処理部101における無線リソース制御では、下りリンクデータ(トランスポートブロック)、システムインフォメーション、RRCメッセージ(RRCパラメータ)、及び/又は、MAC制御エレメント(CE:Control Element)の生成及び/又は管理が行われる。
上位層処理部101におけるサブフレーム設定では、サブフレーム設定、サブフレームパターン設定、上りリンク-下りリンク設定、上りリンク参照UL-DL設定、及び/又は、下りリンク参照UL-DL設定の管理が行われる。なお、上位層処理部101におけるサブフレーム設定は、基地局サブフレーム設定とも呼称される。また、上位層処理部101におけるサブフレーム設定は、上りリンクのトラフィック量及び下りリンクのトラフィック量に基づいて決定できる。また、上位層処理部101におけるサブフレーム設定は、上位層処理部101におけるスケジューリング制御のスケジューリング結果に基づいて決定できる。
上位層処理部101におけるスケジューリング制御では、受信したチャネル状態情報及びチャネル測定部1059から入力された伝搬路の推定値やチャネルの品質などに基づいて、物理チャネルを割り当てる周波数及びサブフレーム、物理チャネルの符号化率及び変調方式及び送信電力などが決定される。例えば、制御部103は、上位層処理部101におけるスケジューリング制御のスケジューリング結果に基づいて、制御情報(DCIフォーマット)を生成する。
上位層処理部101におけるCSI報告制御では、端末装置200のCSI報告が制御される。例えば、端末装置200においてCSIを算出するために想定するためのCSI参照リソースに関する設定が制御される。
受信部105は、制御部103からの制御に従って、送受信アンテナ109を介して端末装置200から送信された信号を受信し、さらに分離、復調、復号などの受信処理を行い、受信処理された情報を制御部103に出力する。なお、受信部105における受信処理は、あらかじめ規定された設定、又は基地局装置100が端末装置200に通知した設定に基づいて行われる。
無線受信部1057は、送受信アンテナ109を介して受信された上りリンクの信号に対して、中間周波数への変換(ダウンコンバート)、不要な周波数成分の除去、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルの制御、受信された信号の同相成分及び直交成分に基づく直交復調、アナログ信号からディジタル信号への変換、ガードインターバル(Guard Interval: GI)の除去、及び/又は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform: FFT)による周波数領域信号の抽出を行う。
多重分離部1055は、無線受信部1057から入力された信号から、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)又はPUSCH(Physical Uplink shared Channel)などの上りリンクチャネル及び/又は上りリンク参照信号を分離する。多重分離部1055は、上りリンク参照信号をチャネル測定部1059に出力する。多重分離部1055は、チャネル測定部1059から入力された伝搬路の推定値から、上りリンクチャネルに対する伝搬路の補償を行う。
復調部1053は、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、256QAM等の変調方式を用いて受信信号の復調を行う。復調部1053は、MIMO多重された上りリンクチャネルの分離及び復調を行う。
復号化部1051は、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び/又は上りリンク制御情報は制御部103へ出力される。復号化部1051は、PUSCHに対しては、トランスポートブロック毎に復号処理を行う。
チャネル測定部1059は、多重分離部1055から入力された上りリンク参照信号から伝搬路の推定値及び/又はチャネルの品質などを測定し、多重分離部1055及び/又は制御部103に出力する。例えば、チャネル測定部1059は、UL-DMRSを用いてPUCCH又はPUSCHに対する伝搬路補償を行うための伝搬路の推定値を測定し、SRS(Sounding Reference signal)を用いて上りリンクにおけるチャネルの品質を測定する。
送信部107は、制御部103からの制御に従って、上位層処理部101から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータに対して、符号化、変調及び多重などの送信処理を行う。例えば、送信部107は、PHICH、PDCCH、EPDCCH、PDSCH、及び下りリンク参照信号を生成及び多重し、送信信号を生成する。なお、送信部107における送信処理は、あらかじめ規定された設定、基地局装置100が端末装置200に通知した設定、又は、同一のサブフレームで送信されるPDCCH又はEPDCCHを通じて通知される設定に基づいて行われる。
符号化部1071は、制御部103から入力されたHARQインディケータ(HARQ-ACK)、下りリンク制御情報、及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳込み符号化、ターボ符号化等の所定の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部1073は、符号化部1071から入力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。下りリンク参照信号生成部1079は、物理セル識別子(PCI:Physical cell identification)、端末装置200に設定されたRRCパラメータなどに基づいて、下りリンク参照信号を生成する。多重部1075は、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号を多重し、所定のリソースエレメントに配置する。
無線送信部1077は、多重部1075からの信号に対して、逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform: IFFT)による時間領域の信号への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのディジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、中間周波数の信号から高周波数の信号への変換(アップコンバート: up convert)、余分な周波数成分の除去、電力の増幅などの処理を行い、送信信号を生成する。無線送信部1077が出力した送信信号は、送受信アンテナ109から送信される。
<本実施形態に係る端末装置の構成例>
図6は、本実施形態に係る端末装置200の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、端末装置200は、上位層処理部201、制御部203、受信部205、送信部207、及び送受信アンテナ209を含んで構成される。また、受信部205は、復号化部2051、復調部2053、多重分離部2055、無線受信部2057、及びチャネル測定部2059を含んで構成される。また、送信部207は、符号化部2071、変調部2073、多重部2075、無線送信部2077、及び上りリンク参照信号生成部2079を含んで構成される。
既に説明したように、端末装置200は、1つ以上のRATをサポートできる。図6に示す端末装置200に含まれる各部の一部又は全部は、RATに応じて個別に構成されうる。例えば、受信部205及び送信部207は、LTEとNRとで個別に構成される。また、NRセルにおいて、図6に示す端末装置200に含まれる各部の一部又は全部は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成されうる。例えば、あるNRセルにおいて、無線受信部2057及び無線送信部2077は、送信信号に関するパラメータセットに応じて個別に構成されうる。
上位層処理部201は、上りリンクデータ(トランスポートブロック)を、制御部203に出力する。上位層処理部201は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol: PDCP)層、無線リンク制御(Radio Link Control: RLC)層、無線リソース制御(Radio Resource Control: RRC)層の処理を行なう。また、上位層処理部201は、受信部205、及び送信部207の制御を行うために制御情報を生成し、制御部203に出力する。
制御部203は、上位層処理部201からの制御情報に基づいて、受信部205及び送信部207の制御を行う。制御部203は、上位層処理部201への制御情報を生成し、上位層処理部201に出力する。制御部203は、復号化部2051からの復号化された信号及びチャネル測定部2059からのチャネル推定結果を入力する。制御部203は、符号化する信号を符号化部2071へ出力する。また、制御部203は、端末装置200の全体又は一部を制御するために用いられてもよい。
上位層処理部201は、RAT制御、無線リソース制御、サブフレーム設定、スケジューリング制御、及び/又は、CSI報告制御に関する処理及び管理を行う。上位層処理部201における処理及び管理は、あらかじめ規定される設定、及び/又は、基地局装置100から設定又は通知される制御情報に基づく設定に基づいて行われる。例えば、基地局装置100からの制御情報は、RRCパラメータ、MAC制御エレメント又はDCIを含む。また、上位層処理部201における処理及び管理は、RATに応じて個別に行われてもよい。例えば、上位層処理部201は、LTEにおける処理及び管理と、NRにおける処理及び管理とを個別に行う。
上位層処理部201におけるRAT制御では、RATに関する管理が行われる。例えば、RAT制御では、LTEに関する管理及び/又はNRに関する管理が行われる。NRに関する管理は、NRセルにおける送信信号に関するパラメータセットの設定及び処理を含む。
上位層処理部201における無線リソース制御では、自装置における設定情報の管理が行われる。上位層処理部201における無線リソース制御では、上りリンクデータ(トランスポートブロック)、システムインフォメーション、RRCメッセージ(RRCパラメータ)、及び/又は、MAC制御エレメント(CE:Control Element)の生成及び/又は管理が行われる。
上位層処理部201におけるサブフレーム設定では、基地局装置100及び/又は基地局装置100とは異なる基地局装置100におけるサブフレーム設定が管理される。サブフレーム設定は、サブフレームに対する上りリンク又は下りリンクの設定、サブフレームパターン設定、上りリンク-下りリンク設定、上りリンク参照UL-DL設定、及び/又は、下りリンク参照UL-DL設定を含む。なお、上位層処理部201におけるサブフレーム設定は、端末サブフレーム設定とも呼称される。
上位層処理部201におけるスケジューリング制御では、基地局装置100からのDCI(スケジューリング情報)に基づいて、受信部205及び送信部207に対するスケジューリングに関する制御を行うための制御情報が生成される。
上位層処理部201におけるCSI報告制御では、基地局装置100に対するCSIの報告に関する制御が行われる。例えば、CSI報告制御では、チャネル測定部2059でCSIを算出するために想定するためのCSI参照リソースに関する設定が制御される。CSI報告制御では、DCI及び/又はRRCパラメータに基づいて、CSIを報告するために用いられるリソース(タイミング)を制御する。
受信部205は、制御部203からの制御に従って、送受信アンテナ209を介して基地局装置100から送信された信号を受信し、さらに分離、復調、復号などの受信処理を行い、受信処理された情報を制御部203に出力する。なお、受信部205における受信処理は、あらかじめ規定された設定、又は基地局装置100からの通知又は設定に基づいて行われる。
無線受信部2057は、送受信アンテナ209を介して受信された上りリンクの信号に対して、中間周波数への変換(ダウンコンバート)、不要な周波数成分の除去、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルの制御、受信された信号の同相成分及び直交成分に基づく直交復調、アナログ信号からディジタル信号への変換、ガードインターバル(Guard Interval: GI)の除去、及び/又は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform: FFT)による周波数領域の信号の抽出を行う。
多重分離部2055は、無線受信部2057から入力された信号から、PHICH、PDCCH、EPDCCH又はPDSCHなどの下りリンクチャネル、下りリンク同期信号及び/又は下りリンク参照信号を分離する。多重分離部2055は、下りリンク参照信号をチャネル測定部2059に出力する。多重分離部2055は、チャネル測定部2059から入力された伝搬路の推定値から、下りリンクチャネルに対する伝搬路の補償を行う。
復調部2053は、下りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の変調方式を用いて受信信号の復調を行う。復調部2053は、MIMO多重された下りリンクチャネルの分離及び復調を行う。
復号化部2051は、復調された下りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された下りリンクデータ及び/又は下りリンク制御情報は制御部203へ出力される。復号化部2051は、PDSCHに対しては、トランスポートブロック毎に復号処理を行う。
チャネル測定部2059は、多重分離部2055から入力された下りリンク参照信号から伝搬路の推定値及び/又はチャネルの品質などを測定し、多重分離部2055及び/又は制御部203に出力する。チャネル測定部2059が測定に用いる下りリンク参照信号は、少なくともRRCパラメータによって設定される送信モード及び/又は他のRRCパラメータに基づいて決定されてもよい。例えば、DL-DMRSはPDSCH又はEPDCCHに対する伝搬路補償を行うための伝搬路の推定値を測定する。CRSはPDCCH又はPDSCHに対する伝搬路補償を行うための伝搬路の推定値、及び/又は、CSIを報告するための下りリンクにおけるチャネルを測定する。CSI-RSは、CSIを報告するための下りリンクにおけるチャネルを測定する。チャネル測定部2059は、CRS、CSI-RS又は検出信号に基づいて、RSRP(Reference Signal Received Power)及び/又はRSRQ(Reference Signal Received Quality)を算出し、上位層処理部201へ出力する。
送信部207は、制御部203からの制御に従って、上位層処理部201から入力された上りリンク制御情報及び上りリンクデータに対して、符号化、変調及び多重などの送信処理を行う。例えば、送信部207は、PUSCH又はPUCCHなどの上りリンクチャネル及び/又は上りリンク参照信号を生成及び多重し、送信信号を生成する。なお、送信部207における送信処理は、あらかじめ規定された設定、又は、基地局装置100から設定又は通知に基づいて行われる。
符号化部2071は、制御部203から入力されたHARQインディケータ(HARQ-ACK)、上りリンク制御情報、及び上りリンクデータを、ブロック符号化、畳込み符号化、ターボ符号化等の所定の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部2073は、符号化部2071から入力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。上りリンク参照信号生成部2079は、端末装置200に設定されたRRCパラメータなどに基づいて、上りリンク参照信号を生成する。多重部2075は、各チャネルの変調シンボルと上りリンク参照信号を多重し、所定のリソースエレメントに配置する。
無線送信部2077は、多重部2075からの信号に対して、逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform: IFFT)による時間領域の信号への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのディジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、中間周波数の信号から高周波数の信号への変換(アップコンバート: up convert)、余分な周波数成分の除去、電力の増幅などの処理を行い、送信信号を生成する。無線送信部2077が出力した送信信号は、送受信アンテナ209から送信される。
<本実施形態に係る制御情報のシグナリング>
基地局装置100及び端末装置200は、それぞれ制御情報のシグナリング(通知、報知、設定)のために、様々な方法を用いることができる。制御情報のシグナリングは、様々な層(レイヤー)で行うことができる。制御情報のシグナリングは、物理層(レイヤー)を通じたシグナリングである物理層シグナリング、RRC層を通じたシグナリングであるRRCシグナリング、及び、MAC層を通じたシグナリングであるMACシグナリングなどを含む。RRCシグナリングは、端末装置200に固有の制御情報を通知する専用のRRCシグナリング(Dedicated RRC signaling)、又は、基地局装置100に固有の制御情報を通知する共通のRRCシグナリング(Common RRC signaling)である。RRCシグナリングやMACシグナリングなど、物理層から見て上位の層が用いるシグナリングは上位層シグナリングとも呼称される。
RRCシグナリングは、RRCパラメータをシグナリングすることにより実現される。MACシグナリングは、MAC制御エレメントをシグナリングすることにより実現される。物理層シグナリングは、下りリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)又は上りリンクリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)をシグナリングすることにより実現される。RRCパラメータ及びMAC制御エレメントは、PDSCH又はPUSCHを用いて送信される。DCIは、PDCCH又はEPDCCHを用いて送信される。UCIは、PUCCH又はPUSCHを用いて送信される。RRCシグナリング及びMACシグナリングは、準静的(semi-static)な制御情報をシグナリングするために用いられ、準静的シグナリングとも呼称される。物理層シグナリングは、動的(dynamic)な制御情報をシグナリングするために用いられ、動的シグナリングとも呼称される。DCIは、PDSCHのスケジューリング又はPUSCHのスケジューリングなどのために用いられる。UCIは、CSI報告、HARQ-ACK報告、及び/又はスケジューリング要求(SR:Scheduling Request)などのために用いられる。
<本実施形態に係る初期接続プロシージャ>
初期接続とは、端末装置200がいずれのセルにも接続していない状態(アイドル状態)から、いずれかのセルとの接続を確立した状態(接続状態)に遷移する工程である。
図7は、本実施形態に係る端末装置200の初期接続プロシージャの一例を示すフローチャートである。図7に示すように、アイドル状態の端末装置200は、セル選択手続きを行う(ステップS110)。セル選択手続には、同期信号の検出(ステップS111)とPBCHの復号(ステップS112)の工程が含まれる。端末装置200は、同期信号の検出に基づいて、セルと下りリンクでの同期を行う。そして、下りリンクの同期確立後、端末装置200は、PBCHの復号を試み、第一のシステム情報を取得する。
次に、端末装置200は、PBCHに含まれる第一のシステム情報に基づき、第二のシステム情報を取得する(ステップS120)。
次に、端末装置200は、第一のシステム情報及び/又は第二のシステム情報に基づき、ランダムアクセス手続き(ランダムアクセスプロシージャ、RACH手続き、RACHプロシージャ)を行う(ステップS130)。ランダムアクセス手続きには、ランダムアクセスプリアンブルの送信(ステップS131)、ランダムアクセス応答の受信(ステップS132)、メッセージ3(Message 3)の送信(ステップS133)、そして衝突解決(Contention resolution)の受信(ステップS134)の工程が含まれる。端末装置200は、先ず、所定のPRACHプリアンブルを選択し、送信を行う。次に、端末装置200は、送信したPRACHプリアンブルに対応するランダムアクセス応答を含んだPDSCHを受信する。次に、端末装置200は、受信したランダムアクセス応答に含まれた、ランダムアクセスレスポンスグラントによってスケジュールされたリソースを用いてメッセージ3を含むPUSCHを送信する。最後に、端末装置200は、そのPUSCHに対応する衝突解決を含んだPDSCHを受信する。
メッセージ3は、RRC接続要求のRRCメッセージを含む。衝突解決は、RRC接続セットアップのRRCメッセージを含む。端末装置200は、RRC接続セットアップのRRCメッセージを受信した場合、RRC接続動作を行い、RRCアイドル状態からRRC接続状態に遷移する。RRC接続状態に遷移した後、端末装置200は、RRC接続セットアップ完了のRRCメッセージを基地局装置100に送信する。この一連の動作によって、端末装置200は、基地局装置100と接続することができる。
なお、ランダムアクセスプリアンブルはメッセージ1、ランダムアクセス応答はメッセージ2、衝突解決はメッセージ4、RRC接続セットアップ完了のメッセージはメッセージ5とも呼称される。
ランダムアクセス手続きの全ての工程が完了した後は、端末装置200は、そのセルと接続されている状態(接続状態)に遷移することができる。
なお、図7に示したランダムアクセス手続きは、4ステップRACHプロシージャとも呼称される。一方で、端末装置200がランダムアクセスプリアンブルの送信に伴ってMessage 3の送信も行い、基地局装置100がそれらの応答としてランダムアクセス応答及びContention resolutionの送信を行うランダムアクセス手続きは、2ステップRACHプロシージャと呼称される。
ランダムアクセスプリアンブルは、PRACHに関連付けて送信される。ランダムアクセス応答は、PDSCHで送信される。ランダムアクセス応答を含むPDSCHは、PDCCHでスケジュールされる。メッセージ3は、PUSCHで送信される。メッセージ3を含むPUSCHは、ランダムアクセス応答に含まれる上りリンクグラントによってスケジュールされる。
<本実施形態に係るシステム情報>
システム情報は、そのシステム情報を送信するセルにおける設定を報知する情報である。システム情報は、例えば、そのセルへのアクセスに関する情報、セル選択に関する情報、他RATや他システムに関する情報、などが含まれる。
システム情報は、MIB(master information block)とSIB(system information block)に分類することができる。MIBは、PBCHによって報知される固定のペイロードサイズの情報である。MIBには、SIBを取得するための情報が含まれる。SIBは、MIB以外のシステム情報である。SIBは、PDSCHによって報知される。
また、システム情報は、第一のシステム情報と第二のシステム情報と第三のシステム情報に分類することができる。第一のシステム情報及び第二のシステム情報は、そのセルへのアクセスに関する情報、その他のシステム情報の取得に関する情報、及びセル選択に関する情報が含まれる。LTEにおいて、MIBに含まれる情報が第一のシステム情報、SIB1及びSIB2に含まれる情報が第二のシステム情報であるとみなすことができる。端末装置は、そのセルから第一のシステム情報及び第二のシステム情報の全てを取得できなかった場合は、そのセルへのアクセスは禁止されていると想定する。
MIBは、システム情報を受信するのに必要な物理層の情報であり、下りリンクのシステム帯域幅、システムフレーム番号の一部、SIBのスケジューリング情報、などが含まれる。
SIB1は、セルのアクセス規制情報とSIB1以外のシステム情報のスケジューリング情報であり、セルのアクセス情報、セル選択情報、最大上りリンク送信電力情報、TDD設定情報、システム情報の周期、システム情報のマッピング情報、SI窓の長さ、などが含まれる。
SIB2は、接続禁止情報、共通の無線リソース設定情報(radioResourceConfigCommon)、上りリンクキャリア情報、などが含まれる。セル共通の無線リソース設定情報の中には、セル共通のPRACH及びRACHの設定情報が含まれる。端末装置200は、初期アクセスの際に、そのPRACH及びRACHの設定情報に基づいてランダムアクセス手続きを行う。
<本実施形態に係るNRのシステム情報>
NRにおいても、システム情報はNRセルから報知される。
システム情報を運ぶ物理チャネルは、スロット又はミニスロットで送信されてもよい。ミニスロットとは、スロットのシンボル数よりも少ないシンボル数で定義される。ミニスロットでシステム情報を運ぶ物理チャネルが送信されることで、ビームスイープに必要な時間が短縮されて、オーバヘッドを縮小することができる。
第一のシステム情報は、NR-PBCHで送信され、第二のシステム情報は、NR-PBCHとは異なる物理チャネルで送られる。
<本実施形態に係るRACHプロシージャ>
RACHプロシージャは、アイドル状態から非アクティブ状態又は接続状態へのRRC接続セットアップ、非アクティブ状態から接続状態への状態遷移の要求、接続セルを切り替えるハンドオーバ、上りリンクデータ送信のためのリソース要求を行うスケジューリングリクエスト、上りリンクの同期を調整するタイミングアドバンス調整、送信されていないシステム情報を要求するオンデマンドSI要求、途切れたビーム接続の復帰(ビームリカバリー)、などの目的を達成するために行われる。
アイドル状態から非アクティブ状態又は接続状態へのRRC接続セットアップは、トラフィックの発生などに応じて端末装置200が基地局装置100との接続する際に行われる動作である。具体的には、基地局装置100から端末装置200に対して接続に関する情報(例えば、UEコンテキスト)を渡す動作である。UEコンテキストは、基地局装置100から指示された所定の端末装置識別情報(例えば、C-RNTI)で管理される。端末装置200は、この動作を終えると、アイドル状態から非アクティブ状態、又は、アイドル状態から接続状態へ状態遷移する。
非アクティブ状態から接続状態への状態遷移の要求は、トラフィックの発生などに応じて非アクティブ状態から接続状態への状態遷移の要求を行う動作である。接続状態に遷移することで、端末装置200は基地局装置100とユニキャストデータの送受信を行うことができる。
接続セルを切り替えるハンドオーバは、端末装置200の移動など電波環境の変化などにより接続しているセル(サービング)からそのセルと隣接しているセル(ネイバーセル)へ接続を切り替える動作である。基地局装置100からハンドオーバコマンドを受信した端末装置200は、ハンドオーバコマンドによって指定されたネイバーセルに接続要求を行う。
スケジューリングリクエストは、トラフィックの発生などに応じて上りリンクデータ送信のためのリソース要求を行う動作である。基地局装置100は、このスケジューリングリクエストを正常に受信した後、その端末装置200に対してPUSCHのリソースを割り当てる。なお、スケジューリングリクエストはPUCCHによっても行われる。
上りリンクの同期を調整するタイミングアドバンス調整は、伝搬遅延によって生じる下りリンクと上りリンクのフレームの誤差を調整するための動作である。端末装置200は、下りリンクフレームに調整されたタイミングでPRACHを送信する。これにより、基地局装置100は、その端末装置200との伝搬遅延を認識することができ、メッセージ2などでタイミングアドバンスの値をその端末装置200に指示することができる。
送信されていないシステム情報を要求するオンデマンドSI要求は、システム情報のオーバヘッド等の目的で送信されていないシステム情報が端末装置200にとって必要であった場合に、基地局装置100へシステム情報の送信を要求する動作である。
途切れたビーム接続の復帰(ビームリカバリー)は、ビームが確立された後に端末装置200の移動や他の物体による通信経路の遮断などで、通信品質が低下した場合に、復帰要求を行う動作である。この要求を受けた基地局装置100は、異なるビームを用いて端末装置200と接続を試みる。
RACHプロシージャには、更に、衝突ベースRACHプロシージャと、非衝突RACHプロシージャが存在する。
衝突ベースRACHプロシージャは、端末装置200主導で行われるRACHプロシージャである。衝突ベースRACHプロシージャは、端末装置200からのメッセージ1の送信から始まる4ステップのプロシージャである。端末装置200は、予め設定された複数のRACHリソース及び複数のPRACHプリアンブルから選択し、PRACHを送信する。これらの複数のRACHリソース及び複数のPRACHプリアンブルは、他の端末装置200と共有するため、PRACHが衝突することがある。
図8は、本実施形態に係る衝突ベースRACHプロシージャの流れの一例を示すシーケンス図である。図8に示すように、まず、端末装置200は、メッセージ1とも称されるランダムアクセスプリアンブルを基地局装置100に送信する(ステップS202)。次いで、基地局装置100は、メッセージ2とも称されるランダムアクセス応答を端末装置200に送信する(ステップS204)。次に、端末装置200は、メッセージ3とも称されるRRC接続要求のRRCメッセージを基地局装置100に送信する(ステップS206)。そして、基地局装置100は、メッセージ4とも称される衝突解決を端末装置200に送信する(ステップS208)。
非衝突RACHプロシージャは、基地局装置100主導で行われるRACHプロシージャである。非衝突RACHプロシージャは、基地局装置100からのPDCCHオーダーの送信から始まる計3ステップのプロシージャである。端末装置200は、PDCCHオーダーで指示されたPRACHを用いてランダムアクセスプリアンブルを送信する。基地局装置100がランダムアクセスプリアンブルをスケジュールすることで、PRACHが衝突することが起こり辛い。
図9は、本実施形態に係る非衝突RACHプロシージャの流れの一例を示すシーケンス図である。図9に示すように、まず、基地局装置100は、PDCCHオーダーを端末装置200に送信する(ステップS302)。次いで、端末装置200は、ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置100に送信する(ステップS304)。そして、基地局装置100は、ランダムアクセス応答を端末装置200に送信する(ステップS306)。
<本実施形態に係るNRのPRACHの詳細>
NR-PRACHは、Zadoff-Chu系列又はM系列を用いて構成される。NR-PRACHでは、複数のプリアンブルフォーマットが規定される。プリアンブルフォーマットは、PRACHのサブキャリア間隔、送信帯域幅、系列長、送信に用いられるシンボル数、送信繰り返し数、CP長、ガードピリオド長、などのパラメータの組み合わせで規定される。なお、プリアンブルフォーマットによって、NR-PRACHの送信に用いられる系列のタイプ(Zadoff-Chu系列又はM系列)が指定されてもよい。
アイドルモードの端末装置200に対して、システム情報によってNR-PRACHに関する設定がされる。更に、接続モードの端末装置200に対して、専用RRCシグナリングによってNR-PRACHに関する設定がされる。
NR-PRACHは、NR-PRACHが送信可能な物理リソース(NR-PRACHオケージョン(occasion))によって送信される。その物理リソースは、NR-PRACHに関する設定によって指示される。端末装置200は、その物理リソースのうちのいずれかを選択して、NR-PRACHを送信する。更に、接続モードの端末装置200は、NR-PRACHリソースを用いてNR-PRACHを送信する。NR-PRACHリソースは、NR-PRACHプリアンブル及びその物理リソースの組み合わせである。基地局装置100は、NR-PRACHリソースを端末装置200に指示することができる。
NR-PRACHのプリアンブルの系列の種類は、番号付けられる。そのプリアンブルの系列の種類の番号は、プリアンブルインデックスと呼称される。
NR-PRACHは、ランダムアクセス手続きが失敗した際に、再送される。端末装置200は、再送する際に、バックオフの値(バックオフインディケータ、BI)から算出される待機期間、NR-PRACHの送信を待機する。なお、バックオフの値は、端末装置200の端末カテゴリや発生したトラヒックの優先度によって異なってもよい。その際、バックオフの値は複数通知され、端末装置200が優先度によって用いるバックオフの値を選択する。また、NR-PRACHの再送を行う際に、NR-PRACHの送信電力を初送と比較して上げる(この手続きは、パワーランピング(power ramping)と呼称される)。
<本実施形態に係るNRのランダムアクセス応答の詳細>
NRのランダムアクセス応答は、NR-PDSCHによって送られる。
ランダムアクセス応答を含むNR-PDSCHは、RA-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。そのNR-PDCCHは、共通制御サブバンドで送信される。そのNR-PDCCHは、CSS(共通サーチスペース)に配置される。なお、そのRA-RNTIの値は、そのランダムアクセス応答に対応するNR-PRACHの送信リソース(時間リソース(スロット又はサブフレーム)、及び、周波数リソース(リソースブロック))に基づいて決定される。なお、そのNR-PDCCHは、ランダムアクセス応答に紐づくNR-PRACHに対応付けられたサーチスペースに配置されてもよい。具体的には、そのNR-PDCCHが配置されるサーチスペースは、NR-PRACHのプリアンブル及び/又はNR-PRACHが送信された物理リソースに関連付けられて設定される。そのNR-PDCCHが配置されるサーチスペースは、そのプリアンブルインデックス、及び/又は、その物理リソースのインデックスに関連付けられて設定される。
そのNR-PDCCHは、NR-SSとQCLである。
NRのランダムアクセス応答は、MACの情報である。NRのランダムアクセス応答は、少なくとも、NRのメッセージ3を送信するための上りリンクグラント、上りリンクのフレーム同期を調整するために用いられるタイミングアドバンスの値、一時的C-RNTIの値、が含まれる。また、NRのランダムアクセス応答は、そのランダムアクセス応答に対応するNR-PRACH送信に用いられたPRACHインデックスが含まれる。また、NRのランダムアクセス応答は、PRACHの送信の待機に用いられるバックオフに関する情報が含まれる。基地局装置100は、これらの情報を含めて、NR-PDSCHによって送信する。端末装置200は、これらの情報から、ランダムアクセスプリアンブルの送信の成功可否の判断を行う。この情報により、ランダムアクセスプリアンブルの送信が失敗したと判断した場合、端末装置200は、ランダムアクセス応答に含まれる情報に従ってNRのメッセージ3の送信処理を行う。一方で、ランダムアクセスプリアンブルの送信が失敗したと判断した場合、端末装置200は、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、NR-PRACHの再送処理を行う。
なお、NRのランダムアクセス応答に、NRのメッセージ3を送信するための上りリンクグラントが複数含まれても良い。端末装置200は、その複数の上りリンクグラントからメッセージ3を送信するリソースを1つ選択することができる。これにより、異なる端末装置200で、同じNRのランダムアクセス応答を受信した場合における、NRのメッセージ3送信の衝突を緩和することができ、より安定的なランダムアクセス手続きが提供することができる。
<本実施形態に係るNRのメッセージ3の詳細>
NRのメッセージ3は、NR-PUSCHによって送られる。そのNR-PUSCHは、ランダムアクセス応答によって指示されたリソースを用いて送信される。
NRのメッセージ3は、RRC接続要求メッセージを含む。
NRのメッセージ3を含んで送信されるNR-PUSCHのWaveformは、システム情報に含まれるパラメータによって指示される。具体的には、そのパラメータの指示によって、OFDMもしくはDFT-s-OFDMが決定される。
基地局装置100は、NRのメッセージ3を正常に受信した場合には、衝突解決の送信処理に移行する。一方で、基地局装置100は、NRのメッセージ3を正常に受信できなかった場合には、少なくとも所定の期間、再度NRのメッセージ3の受信を試みることができる。
NRのメッセージ3を正常に受信できなかった後の処理の具体的な一例として、基地局装置100は、端末装置200に対してメッセージ3の再送の指示を行う。基地局装置100は、メッセージ3の送信を指示したリソースから所定数のスロット(もしくはサブフレーム、無線フレーム)後の下りリンクリソースを用いて、メッセージ3の再送の指示を送信する。
メッセージ3の再送及び送信リソースの指示の一例として、ランダムアクセス応答の再送による指示が挙げられる。
その再送されるランダムアクセス応答を含むNR-PDSCHは、RA-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。そのRA-RNTIの値は、初送で用いられたRA-RNTIの値と同じ値が用いられる。すなわち、そのランダムアクセス応答に対応するNR-PRACHの送信リソースに基づいて決定される。もしくは、RA-RNTIの値は、NR-PRACHの送信リソースに加えて初送と再送を識別する情報に基づいて決定されてもよい。そのNR-PDCCHは、CSS(共通サーチスペース)に配置される。
又は、その再送されるランダムアクセス応答を含むNR-PDSCHは、初送で送信されたランダムアクセス応答に含まれる一時的C-RNTI又はC-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。
メッセージ3の再送の指示及び送信リソースの別の一例として、メッセージ3の再送の指示に用いられるNR-PDCCHによる指示が挙げられる。そのNR-PDCCHは、上りリンクグラントである。そのNR-PDCCHのDCIによって、メッセージ3の再送のリソースが指示される。端末装置200は、その上りリンクグラントの指示に基づいて、メッセージ3の再送を行う。
NRのメッセージ3を正常に受信できなかった後の処理の具体的な一例として、基地局装置100は、事前に指示した再送用リソースにおいてメッセージ3の受信を試みる。
端末装置200は、所定期間内にメッセージ3の送信後に基地局装置100から衝突解決が送信されなかった場合、その事前に指示された再送用リソースを用いてメッセージ3を含んだNR-PUSCHを送信する。
又は、端末装置200は、メッセージ3に対するNACKを受信した場合、そのNACKに対応する事前に指示された再送用リソースを用いてメッセージ3を含んだNR-PUSCHを送信する。
その事前に指示する再送用リソースは、例えば、システム情報、又は、ランダムアクセス応答に含まれる。
なお、NRのメッセージ3の再送回数が所定回を超えた場合、又は、所定の期間内にNRの衝突解決の受信が成功しなかった場合、端末装置200は、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、NR-PRACHの再送処理を行う。
なお、NRのメッセージ3の再送に用いられる端末装置200の送信ビームは、そのメッセージ3の初送に用いられた端末装置200の送信ビームと異なってもよい。
なお、所定期間のうちに、NRの衝突解決及びメッセージ3の再送の指示のいずれも受信できなかった場合、端末装置200は、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、NR-PRACHの再送処理を行う。その所定期間は、例えば、システム情報によって設定される。
<本実施形態に係るNRの衝突解決の詳細>
NRの衝突解決は、NR-PDSCHによって送られる。
衝突解決を含むNR-PDSCHは、一時的C-RNTI又はC-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。そのNR-PDCCHは、共通制御サブバンドで送信される。そのNR-PDCCHは、USS(端末固有サーチスペース)に配置される。なお、そのNR-PDCCHは、CSSに配置されてもよい。
端末装置200は、衝突解決を含むNR-PDSCHを正常に受信した場合、基地局装置100に対してACKを応答する。以降、このランダムアクセス手続きが成功したとみなし、端末装置200は接続状態となる。一方で、端末装置200から衝突解決を含むNR-PDSCHに対するNACKを受信した、又は、無応答であった場合には、基地局装置100は、その衝突解決を含むNR-PDSCHを再送する。更に、所定期間のうちに、NRの衝突解決が受信できなかった場合、端末装置200は、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、NR-PRACHの再送処理を行う。
<本実施形態に係る上りリンク同期調整>
複数の端末装置200からの上りリンク信号は、基地局装置100において同一のタイミングで受信されることが望ましい。そのためには、基地局装置100までの距離の差に起因する伝搬遅延差を考慮した、上りリンク信号の送信タイミングの調整が行われる。この点について、図10を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る上りリンク同期調整の一例を説明するための図である。図10に示す例では、基地局装置100が提供するセル90内の、基地局装置100の近傍に端末装置200Aが位置し、基地局装置100から遠方に端末装置200Bが位置している。これらの端末装置200が同時に上りリンク通信を行う場合を想定する。端末装置200A及び200Bが下りリンク同期タイミングに基づく送信タイミングで上りリンク信号を送信した場合、異なる伝搬遅延及び端末装置200に固有の処理遅延などに起因して、各々の上りリンク信号は、基地局装置100により異なる受信タイミングで受信される。各々の上りリンク信号の受信タイミングが異なる場合、シンボル間干渉が生じ、特性が劣化し得る。
そこで、端末装置200の上りリンク信号の送信タイミングは、基地局装置100の下りリンク信号の送信タイミング及び上りリンク信号の受信タイミングが揃うように前倒して調整される。
図11は、本実施形態に係る上りリンク同期調整の一例を説明するための図である。図11では、上から1段目に基地局装置100の下りリンク送信タイミングが示され、上から2段目に端末装置200の下りリンク受信タイミングが示されている。また、上から3段目に端末装置200の上りリンク送信タイミングが示され、上から4段目に基地局装置100の上りリンク受信タイミングが示されている。各段は複数の矩形から成り、ひとつの矩形はひとつの無線フレームを示している。1段目及び2段目に示すように、基地局装置100からの下りリンク信号は、伝搬遅延及び端末装置200の処理遅延などの影響により、所定時間遅れて端末装置200に受信される。端末装置200は、下りリンク信号が受信されたタイミングを基準とし、基地局装置100から指示されたタイミングアドバンス値を用いて上りリンク送信タイミングを調整する。詳しくは、3段目に示すように、端末装置200は、対応する下りリンク信号の受信タイミングよりも、タイミングアドバンス値分前倒しして上りリンク物理信号を送信する。これにより、4段目に示すように、調整された端末装置200の上りリンク信号は、下りリンク送信タイミングと同一のタイミングで基地局装置100に受信される。
なお、タイミングアドバンス値は片道の遅延時間のおおよそ2倍として計算される。
タイミングアドバンス値は、端末装置200に固有である。タイミングアドバンス値は、端末装置200に固有に通知される。
タイミングアドバンス値の計算には、PRACHが用いられる。タイミングアドバンス値の通知には、ランダムアクセス応答(RAR)が用いられる。以下、図12を参照して、基地局装置100よるタイミングアドバンス値の計算、及び端末装置200によるタイミングアドバンス値の適用に関するプロシージャの一例を説明する。
図12は、本実施形態に係る上りリンク同期調整プロシージャの流れの一例を示すシーケンス図である。図12に示すように、基地局装置100は、下りリンク同期信号(PSS(primary synchronization signal)及びSSS(secondary synchronization signal))を端末装置200に送信する(ステップS402)。次いで、端末装置200は、基地局装置100から送信された下りリンク同期信号に基づいて、下りリンク同期を行う(ステップS404)。次に、基地局装置100は、システム情報(MIB及びSIB)を送信する(ステップS406)。次いで、端末装置200は、システム情報を受信し、受信したシステム情報からRACH設定を取得する(ステップS408)。次に、端末装置200は、下りリンク同期信号によって同期されたフレームタイミングを基準としてPRACHを送信する(ステップS410)。基地局装置100は、PRACHの受信タイミングと基地局装置100の上りリンクフレームのタイミングとの差分に基づいて、伝搬遅延及びタイミングアドバンス値を計算する(ステップS412)。そして、基地局装置100はランダムアクセスレスポンス(RAR)にタイミングアドバンス値を含めて端末装置200に送信する(ステップS414)。次いで、端末装置200は、受信したRARからタイミングアドバンス値を取得し、上りリンク送信タイミングを前倒しするように調整する(ステップS416)。以降、端末装置200は、ステップS416において調整された上りリンク送信タイミングで、PUSCH、PUCCH及びSRSなどの上りリンク物理チャネル/信号を送信する(ステップS418)。
<本実施形態に係る非地上波ネットワーク>
セルラー移動通信では、地上に設置された基地局装置又はリレー装置(以下、地上局装置と呼称する)からセル(マクロセル、マイクロセル、フェムトセル、又はスモールセル)を構成し、無線ネットワークを構成する。この地上局から提供される無線ネットワークは、地上波ネットワーク(Terrestrial Network)と呼称される。一方で、基地局装置のコスト削減や基地局装置から電波が届き辛い地域へのカバレッジの提供などの要求から、地球を周回する衛星局装置(衛星基地局装置、衛星リレー局装置、宇宙局)、航空機(aerial vehicle)、又はドローン等の空中を浮遊する装置等の、地上局装置以外からの無線ネットワークの提供が検討されている。この地上局装置以外から提供される無線ネットワークを非地上波ネットワーク(Non-Terrestrial Network)と呼称される。
非地上局装置としては、衛星局装置及び航空局装置が挙げられる。衛星局装置は、人工衛星など大気圏外を浮遊する装置として構成された、無線通信の機能を有する装置である。本実施形態に係る衛星局装置は、低軌道(LEO、Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO、Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO、Geostationary Earth Orbiting)衛星、又は高楕円軌道(HEO、Highly Elliptical Orbiting)衛星等により構成され得る。航空局装置は、航空機又は気球など大気圏内を浮遊する装置として構成された、無線通信の機能を有する装置である。本実施形態に係る航空局装置は、無人航空システム(UAS、Unmanned Aircraft Systems)、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)、軽無人航空システム(Lighter than Air UAS、LTA)、重無人航空システム(Heavier than Air UAS、HTA)、又は高高度無人航空システムプラットフォーム(High Altitude UAS Platforms、HAPs)等により構成され得る。
図13は、本実施形態に係る非地上波ネットワークの一例を示す図である。図13に示したシステム1は、静止衛星として構成された衛星局装置10A、低軌道衛星として構成された衛星局装置10B~10D、無人航空システムとして構成された航空局装置20を含む、非地上波ネットワークである。これらの衛星局装置10及び航空局装置20は、リレー局30を介して地上に設けられた装置に接続される。例えば、衛星局装置10及び航空局装置20は、リレー局30Aを介してコアネットワーク31に接続され、コアネットワーク31を介してインターネット32及び地上波ネットワーク33に接続される。また、衛星局装置10A及び10Bは、リレー局30Bを介して、フェムトセルを提供するフェムトセル基地局40Aに接続される。リレー局30は、地球局(Very Small Aperture Terminal:VSAT)とも称され、さらに他にも制御地球局、又はHUB局とも称され得る。衛星局装置10及び航空局装置20は、VSAT30を介さずに、地上に設けられた装置と直接的に接続されてもよい。例えば、衛星局装置10B及び航空局装置20は、マクロセル基地局40Bに直接的に接続される。
衛星局装置10及び航空局装置20は、非地上波ネットワークに対応する端末装置(地球端末装置とも称される)40と通信する。地球端末装置40は、携帯電話、スマートフォン、自動車、バス、電車、航空機、M2M(Machine to Machine)デバイス、IoT(Internet of Things)デバイス、衛星通信をリレーするリレー局、衛星通信を送受信する基地局装置を含む。図13に示した例では、マクロセル基地局40B、UE40Cが、地球端末装置40に相当する。VSAT30Bによるリレーを介して非地上波ネットワークに接続するフェムトセル基地局40A、及びUE40Cによるリレーを介して非地上波ネットワークに接続するUE40Dも、非地上波ネットワークに対応する地球端末装置40として捉えられてもよい。
衛星局装置10及び航空局装置20は、地球端末装置40との間で、上りリンクトラフィック及び下りリンクトラフィックを送受信し得る。例えば、衛星局装置10A及び10B並びに航空局装置20は、UE40Cとの間で上りリンクトラフィック及びダウンリンクトラフィックを送受信する。
衛星局装置10及び航空局装置20は、地球端末装置40との間でバックホールトラフィック(換言すると、バックホール信号)を送受信し得る。例えば、衛星局装置10A及び10Bは、フェムトセル基地局40AとUE40Cとの間で行われる通信のためのバックホールトラフィックを、VSAT30Bを介してフェムトセル基地局40Aとの間で送受信する。また、衛星局装置10B及び航空局装置20は、マクロセル基地局40BとUE40Cとの間で行われる通信のためのバックホールトラフィックを、マクロセル基地局40Bとの間で直接的に送受信する。
<本実施形態に係る衛星通信>
本実施形態に係る衛星通信とは、衛星局装置10と地球端末装置40との通信を指す。
衛星局装置10は、主に静止衛星により構成される静止衛星局装置と低軌道衛星により構成される低軌道衛星局装置とに分けられる。静止衛星局装置は、高度およそ35786kmに位置し、地球の自転速度と同じ速度で地球を公転する。静止衛星局装置は地球端末装置40との相対速度がほぼ0であり、地球端末装置40からは静止しているかのように観測される衛星局装置である。低軌道衛星局装置は、一般的には高度500kmから2000kmまでの間に位置し、静止衛星局装置に比べて低い高度で地球を公転する。低軌道衛星局装置は、静止衛星局装置とは異なり、地球端末装置40との相対速度があり、地球端末装置40からは移動しているかのように観測される。
衛星局装置10は、高度に応じた広さのセルを提供することができる。この点について、図14を参照して説明する。
図14は、本実施形態に係る衛星局装置10が提供するセルの一例を説明するための図である。図14に示す衛星局装置10Aは静止衛星局装置であり、衛星局装置10B及び10Cは低軌道衛星局装置である。図14に示すように、低軌道衛星局装置10B及び10Cは、地上のマクロセル基地局40Bが提供するセル90Dよりも、大きなセル90B及び10Cを提供する。さらに、静止衛星局装置10Aは、低軌道衛星局装置10B及び10Cが提供するセル90B及び10Cよりも、大きなセル90Aを提供する。
セルが大きくなるほど、セル内に位置する複数の地球端末装置40間での、衛星局装置10までの距離の差が大きくなり、その結果、伝搬遅延の差が大きくなる。さらに、高度が高いほど、衛星局装置10と地球端末装置40との距離が長くなるので、伝搬遅延が大きくなる。
図15は、本実施形態に係る低軌道衛星局装置が提供するセルの一例を説明するための図である。図15に示すように、低軌道衛星局装置10B、10C及び10Dが、低軌道上を公転している。これらの低軌道衛星局装置10は、地上に向けて所定の指向性を構築して、地球端末装置40に衛星通信を提供する。図15に示す例では、低軌道衛星局装置10は、ビーム幅の角度を40度として信号を送受信しており、その結果、セル90は半径1000kmの円形となる。なお、ビーム幅の角度とは、最大指向性利得が得られる方向(図15に示す例では鉛直線91)を基準にした、指向性利得がその最大指向性利得の1/2になる方向の角度と定義される。なお、これらの数値はあくまで一例である。低軌道衛星局装置10は、地上に対し所定の相対速度で移動する。そのため、低軌道衛星局装置10が提供するセル90は、地上を所定の速度で移動する。地球端末装置40への衛星通信の提供が困難になった場合には、後続する低軌道衛星(neighbor satellite station)から衛星通信が提供される。
非地上波ネットワークでは、以下の要求が満たされることが期待される。
・地上波ネットワークではカバーできないエリアに位置する端末装置(主に、IoT/MTCデバイス、及びパブリックセーフティ/クリティカル通信)へのサービス拡張
・物理攻撃又は自然災害に対するサービス脆弱性を軽減するためのサービス信頼性及び復帰性
・飛行機の乗客又はドローンなどの航空端末装置へのサービス接続及び提供
・船又は電車などの移動体端末装置へのサービス接続及び提供
・A/V(audio/visual)コンテンツ、グループ通信、IoTブロードキャストサービス、ソフトウェアダウンロード、及び緊急メッセージなどの高効率マルチキャスト/ブロードキャストサービスの提供
・地上波ネットワークと非地上波ネットワークとの間のトラフィックオフロード
これらの要求条件を満たすために、非地上波ネットワークは、上位層での運用統合、及びNR又はLTEなどの無線アクセス技術との間での無線インタフェースの共通性が、実現されることが望ましい。
<<2.技術的課題>>
LTEでは、上りリンクの同期の調整は、フィルタリング、タイミングアドバンス及びCP(Cyclic Prefix)を用いて行われてきた。しかし、LTEで用いられてきたフィルタリング、タイミングアドバンス及びCPは、地上局装置を想定して設計されたものであるから、LTEよりも遥かに大きな伝搬遅延が生じ得る衛星通信にとっては適切ではない。以下、タイミングアドバンスに関し、この点について詳しく説明する。
タイミングアドバンス値は以下の数式(1)により導出される。
TA=(NTA+NTAoffset)TS…(1)
ここで、TAは、タイミングアドバンス値である。NTAは、タイミングアドバンス値を調整するための可変数である。NTAは、0以上20512以下の値をとり得る(即ち、0≦NTA≦20512)。NTAoffsetは、タイミングアドバンス値を調整するためのオフセットである。NTAoffsetは、複信方式がFDDであれば0であり(即ち、NTAoffset=0)、TDD方式では624である(即ち、NTAoffset=624)。Tsは、調整粒度を示す所定値である。詳しくは、Tsは、FFTのサンプリング間隔であり、Ts=1/(サブキャリア間隔×2048)秒として定義される。一例として、サブキャリア間隔が15kHzの場合、Tsは1/(15000×2048)秒となる。
説明の簡易のためにNTAoffsetについては考慮を省略すると、TAは、20512×Ts以下の値をとり得る(即ち、0≦TA≦20512×Ts)。換言すると、TAは、0ms以上0.67msの値をとり得る(即ち、0ms≦TA≦0.67ms)。
タイミングアドバンス値のレンジは、セル内で生じ得る伝搬遅延差の最小値及び最大値に対応可能に設定される。LTEでは、地上に基地局装置が設けられるので、端末装置と基地局装置との伝搬遅延差は、端末装置が基地局装置と同一の地点に存在する場合に最小値となり、端末装置がセルエッジに存在する場合に最大値となる。
LTEでは、基地局装置が提供するカバッレジは0~100kmの範囲にあり、基地局装置と端末装置との距離は0~100kmの範囲にあった。そのため、上りリンク送信に関するタイミングアドバンス値のレンジは、上述したレンジ(0≦TA≦20512×Ts、即ち0ms≦TA≦0.67ms)で足りていた。
一方で、衛星通信の場合、衛星局装置と地球端末装置との距離は、LTEの場合と比較して大幅に増加する。従って、衛星局装置と地球端末装置との通信に係る最小伝搬遅延及び最大伝搬遅延は、LTEの場合と比較して大幅に増加する。
最小伝搬遅延とは、衛星局装置の直下(即ち、鉛直線上)に地球端末装置が位置する場合の伝搬遅延である。例えば、衛星局装置が低軌道衛星である場合、衛星局装置の高度は500km~2000kmであり、各高度における最小伝搬遅延は、3.3ms~13.3msの範囲にある。
最大伝搬遅延とは、衛星局装置のセルエッジに地球端末装置が位置する場合の伝搬遅延である。例えば、衛星局装置が低軌道衛星である場合、衛星局装置の高度は500km~2000kmであり、各高度かつ図15のパラメータを用いた低軌道衛星セルにおける最大伝搬遅延は、4.35ms~17.4msの範囲にある。なお、ビーム幅の角度が与えられる場合、最大伝搬距離は、下記の数式(2)により求められる。
(最大伝搬距離)=(衛星局装置の高度)÷cos(ビーム幅の角度) …(2)
一方で、セル半径が与えられる場合、最大伝搬距離は、下記の数式(3)により求められる。
(最大伝搬距離)=√(衛星局の高度^2+セル半径^2) …(3)
一例として、衛星局装置10の高度が500km~2000kmであり、ビーム幅の角度が40度である場合、各高度における最大伝搬距離は、約652.7~2610.8kmである。
従って、図15のセルのパラメータを用いた低軌道衛星セルに関して言えば、3.3ms~17.4msの伝搬遅延が、タイミングアドバンスにより補償されることが望ましい。さらに、静止衛星であれば高度が35786kmとさらに高くなり、伝搬遅延が大きくなるので、より大きな伝搬遅延がタイミングアドバンスにより補償されることが望ましい。
LTEにおけるタイミングアドバンス値のレンジでは、衛星通信における伝搬遅延を十分に補償することができなかった。そのため、衛星通信における地球端末装置から衛星局装置への送信に関する同期をとることが困難であった。
CPに関しても、上記と同様のことが言える。即ち、LTEにおけるCP長のレンジでは、衛星通信における伝搬遅延を十分に補償することができなかった。そのため、衛星通信における地球端末装置から衛星局装置への送信に関するシンボル同期をとること、即ちシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去することが困難であった。
フィルタリングに関しても、上記と同様のことが言える。即ち、LTEにおけるフィルタ構成では、衛星通信における同期ずれによるシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去することが困難であった。
そこで、本開示では、衛星通信における伝搬遅延を十分に補償することが可能な仕組みを提供する。
<<3.機能構成例>>
以下、図16及び図17を参照して、本実施形態に係る衛星局装置10及び地球端末装置40の機能構成の一例を説明する。
(1)衛星局装置10の機能構成
図16は、本実施形態に係る衛星局装置10の機能構成の一例を説明するための図である。図16に示すように、本実施形態に係る衛星局装置10は、設定部11、及びメッセージ送受信部13を含む。なお、図16に示した各構成要素は、図5に示した上位層処理部101又は制御部103等の任意の構成要素において実装され得る。即ち、本実施形態では、図5に示した基地局装置100が、衛星局装置10として構成されるものとする。
設定部11は、地球端末装置40から衛星局装置10へのチャネル/信号の送信に用いられる送信パラメータに関する設定情報を生成する機能を有する。具体的には、設定部11は、後述する衛星局装置関連情報を生成する。衛星局装置関連情報の少なくとも一部(例えば、後述する軌道情報)は、衛星局装置10に予め設定又は記憶される。設定部11は、生成した衛星局装置関連情報を地球端末装置40へ送信する。
メッセージ送受信部13は、設定部11による設定に基づいて、地球端末装置40との間でメッセージを送受信する機能を有する。具体的には、メッセージ送受信部13は、上記衛星局装置関連情報に基づく送信パラメータを用いて地球端末装置40により送信されたチャネル/信号を受信する。その際、メッセージ送受信部13は、地球端末装置40に用いられる送信パラメータに対応する受信パラメータを用いて受信する。例えば、メッセージ送受信部13は、地球端末装置40により用いられたタイミングアドバンスの設定及び/又はCPの設定に応じた受信処理を行う。
(2)地球端末装置40の機能構成
図17は、本実施形態に係る地球端末装置40の機能構成の一例を説明するための図である。図17に示すように、本実施形態に係る地球端末装置40は、設定部41及びメッセージ送受信部43を含む。なお、図17に示した各構成要素は、図6に示した上位層処理部201又は制御部203等の任意の構成要素において実装され得る。即ち、本実施形態では、図6に示した端末装置200が、地球端末装置40として構成されるものとする。
設定部41は、衛星局装置10から受信した設定情報に基づいて、地球端末装置40から衛星局装置10へのチャネル/信号の送信に用いられる送信パラメータを設定する機能を有する。具体的には、設定部41は、衛星局装置関連情報に基づいて、タイミングアドバンスの設定及び/又はCPの設定を行う。
メッセージ送受信部43は、設定部41による設定に基づいて、衛星局装置10との間でメッセージを送受信する機能を有する。具体的には、メッセージ送受信部43は、設定された送信パラメータを用いて、衛星局装置10にチャネル/信号を送信する。
(3)補足
なお、衛星局装置10から地球端末装置40へ送信されるチャネル/信号は、下りリンク信号(下りリンク物理チャネル又は下りリンク物理信号)であってもよいし、バックホールトラフィックであってもよい。同様に、地球端末装置40から衛星局装置10へ送信されるチャネル/信号は、上りリンク信号(上りリンク物理チャネル又は上りリンク物理信号)であってもよいし、バックホールトラフィックであってもよい。以下では、説明の簡易のため、衛星局装置10から地球端末装置40へ送信されるチャネル/信号は、下りリンク信号であり、地球端末装置40から衛星局装置10へ送信されるチャネル/信号は、上りリンク信号であるものとする。
<<4.技術的特徴>>
<4.1.基本的な特徴>
衛星局装置10は、衛星局装置10の種別に関する情報を地球端末装置40に送信又は通知する。そして、地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に関する情報を取得し、地球端末装置40の種別に関する情報に基づいて地球端末装置40への信号の送信タイミングを制御する。その結果、地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に基づく送信タイミングで上りリンク信号を送信することができる。そのため、衛星通信における伝搬遅延を十分に補償することが可能となる。以下では、衛星局装置10の種別に関する情報を、衛星局装置関連情報とも称する。
(1)衛星局装置関連情報
・衛星局装置関連情報の内容
衛星局装置関連情報は、衛星局装置10の高度に関する情報を含み得る。衛星局装置10の高度は、衛星局装置10とセル内の地球端末装置40との伝搬遅延に大きな影響を与える。そのため、衛星局装置10の高度に関する情報が地球端末装置40に通知されることで、地球端末装置40は、衛星局装置10との通信に生じる伝搬遅延を補償するための送信タイミングの制御を行うことが可能となる。
衛星局装置10の高度に関する情報は、多様な形式で提供され得る。例えば、衛星局装置10の高度に関する情報は、衛星局装置10が位置し得る高度の範囲を示す情報として提供されてもよい。また、衛星局装置10の高度に関する情報は、衛星局装置10の高度を示す情報として提供されてもよい。例えば、衛星局装置10の高度を示す情報は、軌道情報として提供され得る。軌道情報は、少なくとも衛星局装置10の高度を示す情報を含む。一例として、低軌道衛星局装置の軌道情報を、下記の表1に示す。
表1では、軌道の数、衛星局装置の数、高度、及び角度が示されている。表1における軌道の数は、同一の高度及び角度の軌道の数を示す。表1における衛星局装置の数は、同一の高度及び角度で公転する衛星局装置10の数を示す。表1における高度は、軌道の高度である。ただし、楕円軌道の場合には、軌道情報は、高度の変化を示す情報を含む。ここで、衛星局装置10は、高度に応じた速度で軌道上を公転する。即ち、軌道情報に含まれる高度は、衛星局装置10の移動速度を示す情報であると言える。もちろん、軌道情報は、高度の他に、衛星局装置10の移動速度そのものを別途含んでいてもよい。表1における角度は、緯度又は経度に対する軌道の角度である。即ち、軌道情報に含まれる角度は、衛星局装置10の移動方向を示す情報であると言える。
衛星局装置関連情報は、他にも多様な情報を含み得る。以下、その一例を説明する。以下の説明する情報は、衛星局装置10の高度に関する情報としても捉えることができる。
衛星局装置関連情報は、衛星セルであるか否かを示す情報を含んでいてもよい。この情報は、衛星局装置10が衛星セルを提供するか否かを示す1ビットの情報であってもよい。
衛星局装置関連情報は、衛星局装置10の種別を示す情報を含んでいてもよい。かかる情報は、地上局、低軌道衛星、中軌道衛星、高軌道衛星、又は静止衛星等を示す情報である。
衛星局装置関連情報は、衛星局装置10の最大カバレッジ(例えば、セル半径、衛星局で用いられるビームのビーム幅またはビーム角度)を示す情報を含んでいてもよい。
衛星局装置関連情報は、送信タイミングの制御方法を示す情報(例えば、後述するタイミングアドバンス値のレンジ、調整粒度、読み替えルール、TAsatelite等)を含んでいてもよい。
衛星局装置関連情報は、CP長の制御方法を示す情報(例えば、CPの長さ等)を含んでいてもよい。
衛星局装置関連情報は、フィルタリングに関する情報(例えば、所定のwaveformを示す情報、フィルタ情報(フィルタリング関数やロールオフ値など)等)を含んでいてもよい。
・シグナリング
初期アクセス(初期接続)の場合、衛星局装置関連情報は、例えばシステム情報(MIB及び/又はSIB)を用いて、衛星局装置10からセル内の地球端末装置40へ報知される。なお、システム情報のうち、SIBが用いられることが望ましい。SIBの方が、MIBと比較して拡張容易なためである。
デュアルコネクティビティの場合について述べる。MgNBが地上局装置であり、SgNBが衛星局装置10である場合を想定する。その場合、衛星局装置関連情報は、例えば、システム情報又はRRCシグナリングを用いてマクロセル(PCell又はMgNBのセル)から地球端末装置40へ通知される。とりわけ、専用(dedicated)RRCシグナリングで、衛星局装置関連情報が通知されることが望ましい。
ハンドオーバの場合について述べる。ソース基地局が地上局装置であり、ターゲット基地局が衛星局装置10である場合を想定する。その場合、衛星局装置関連情報は、例えば、システム情報又はRRCシグナリングを用いてソース基地局装置から地球端末装置40へ通知され得る。とりわけ、専用(dedicated)RRCシグナリングで、衛星局装置関連情報が通知されることが望ましい。他にも、衛星局装置関連情報は、例えばL1シグナリング(ハンドオーバコマンド)を用いてソース基地局装置から地球端末装置40へ通知され得る。具体的には、PDCCHオーダーに含まれるDCI、又はハンドオーバコマンドを含むPDSCHによって、衛星局装置関連情報が通知される。
・周波数帯域
衛星局装置関連情報は、所定の帯域(バンド、中心周波数)と関連付けられてもよい。例えば、低軌道衛星通信に用いられる所定の帯域で通信を行う場合、地球端末装置40には、予め定義された衛星局装置関連情報のセットの中から、低軌道衛星通信に関連付けられた衛星局装置関連情報が設定される。例えば、静止衛星通信に用いられる所定の帯域で通信を行う場合、地球端末装置40には、予め定義された衛星局装置関連情報のセットの中から、静止衛星通信に関連付けられた衛星局装置関連情報が設定される。
(2)送信タイミングの制御
地球端末装置40は、地上局装置との通信を想定した(例えば、LTEにおける)送信タイミングの設定と、衛星局装置10との通信を想定した送信タイミングの設定とを、所定の基準で切り替えることにより、送信タイミングの制御を行う。例えば、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報を受信して衛星通信を行うことを認識した場合に、衛星局装置10との通信を想定した送信タイミングの設定に切り替えてもよい。また、地球端末装置40は、衛星通信をサポートする場合に、衛星局装置10との通信を想定した送信タイミングの設定に切り替えてもよい。衛星通信をサポートするか否かは、対応する周波数帯域に紐付けられてもよい。例えば、地球端末装置40は、衛星通信に非対応な周波数帯域では地上局装置との通信を想定した送信タイミングの設定を行い、衛星通信に対応する周波数帯域では衛星局装置10との通信を想定した送信タイミングの設定を行う。
送信タイミングの制御は、タイミングアドバンスの設定の切り替えを含み得る。地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に応じた伝搬遅延を補償可能なタイミングアドバンス値を設定する。これにより、地球端末装置40は、衛星通信を行う場合でも、上りリンク送信に関する同期をとることが可能となる。
送信タイミングの制御は、CPの設定の切り替えを含み得る。地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に応じた伝搬遅延を補償可能なCP長を設定する。これにより、衛星通信を行う場合でも、上りリンク送信に関するシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去し、シンボル同期をとることが可能となる。
送信タイミングの制御は、フィルタリングの切り替えを含み得る。地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に応じた伝搬遅延を補償可能なフィルタリングを設定する。これにより、衛星通信を行う場合でも、上りリンク送信に関するシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去し、シンボル同期をとることが可能となる。
ここで、タイミングアドバンス値の設定の切り替え、CPの設定の切り替え、及び、フィルタリングの切り替えは、いずれか一方のみが実行されてもよいし、組み合わされて実行されてもよい。組み合わされて実行される場合には、タイミングアドバンス値及びCP長により、伝搬遅延の補償が分担されてもよい。即ち、伝搬遅延の補償量が、タイミングアドバンス値及びCP長により分割されてもよい。例えば、タイミングアドバンス値は、衛星局装置10との通信に係る伝搬遅延の一部を補償可能(即ち、吸収可能)な値に設定され、CP長は、残りの部分を補償可能(即ち、吸収可能)な値に設定される。また、例えば、タイミングアドバンス値は、衛星局装置10との通信に係る伝搬遅延の一部を補償可能(即ち、吸収可能)な値に設定され、フィルタリングは残りの部分を補償可能(即ち、吸収可能)にするために設定される。これにより、伝搬遅延を過度に補償することが防止されるので、伝送効率を向上させることが可能となる。
・プロシージャ
以下、図18を参照しながら、本実施形態に係る送信タイミング制御のためのプロシージャの一例を説明する。図18は、本実施形態に係る地球端末装置40により実行される送信タイミング制御のためのプロシージャの一例を示すフローチャートである。本フローの前提として、地球端末装置40は、地上局装置との通信を想定した(例えば、LTEにおける)タイミングアドバンスの設定及びCPの設定を行っているものとする。
図18に示すように、まず、地球端末装置40は、システム情報(MIB及び/又はSIB)を取得する(ステップS502)。次いで、地球端末装置40は、システム情報に衛星局装置関連情報が含まれているか否かを判定する(ステップS504)。含まれていると判定された場合(ステップS504/YES)、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に基づいて、タイミングアドバンスの設定及び/又はCPの設定を切り替える(ステップS506)。一方で、含まれていないと判定された場合(ステップS504/NO)、地球端末装置40は、地上局装置との通信を想定した(例えば、LTEにおける)タイミングアドバンスの設定及びCPの設定を引き続き用いる。
<4.2.タイミングアドバンスの拡張>
以下では、タイミングアドバンス設定の切り替えに関して説明する。
<4.2.1.レンジの切り替え>
本節では、衛星通信への対応のために、タイミングアドバンス値のレンジを切り替える技術を説明する。タイミングアドバンス値のレンジとは、タイミングアドバンス値を設定可能な範囲である。なお、タイミングアドバンス値を計算又は決定するのは衛星局装置10である。地球端末装置40は、衛星局装置10により計算又は決定されたタイミングアドバンス値を設定可能にするために、タイミングアドバンス値のレンジの切り替えを行う。
タイミングアドバンス値のレンジは、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延に基づいて切り替えられる。詳しくは、タイミングアドバンス値のレンジの最大値は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延を補償可能(即ち、吸収可能)な値に設定される。即ち、タイミングアドバンス値のレンジの最大値は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延と同一又はそれ以上の値に設定される。これにより、衛星局装置10の種別に応じて想定される最大伝搬遅延が生じたとしても、地球端末装置40は、上りリンク送信に関する同期をとることができるタイミングアドバンス値を設定することができる。
さらに、タイミングアドバンス値のレンジは、衛星局装置10の種別に応じた最小伝搬遅延に基づいて切り替えられてもよい。詳しくは、タイミングアドバンス値のレンジの最小値は、衛星局装置10の種別に応じた最小伝搬遅延を補償可能(即ち、吸収可能)な値に設定されてもよい。即ち、タイミングアドバンス値のレンジの最小値は、衛星局装置10の種別に応じた最小伝搬遅延と同一又はそれ以下の値に設定される。これにより、衛星局装置10の種別に応じて想定される最小伝搬遅延が生じたとしても、地球端末装置40は、上りリンク送信に関する同期をとることができるタイミングアドバンス値を設定することができる。
衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延とは、当該種別の最高高度に衛星局装置10が位置し、当該衛星局装置10のセルエッジに地球端末装置40が位置する場合の伝搬遅延である。例えば、衛星局装置10が低軌道衛星である場合の最大伝搬遅延は、衛星局装置10が高度2000kmに位置し、地球端末装置40がセルエッジに位置する場合の伝搬遅延である。図15の低軌道衛星セルの場合の最大伝搬遅延は、17.4msである。
衛星局装置10の種別に応じた最小伝搬遅延とは、当該種別の最低高度に衛星局装置10が位置し、当該衛星局装置10の直下(即ち、鉛直線上)に地球端末装置40が位置する場合の伝搬遅延である。例えば、衛星局装置10が低軌道衛星である場合の最小伝搬遅延は、衛星局装置10が高度500kmに位置し、地球端末装置40が衛星局装置10の直下に位置する場合の伝搬遅延である。この場合の伝搬遅延は3.3msである。
タイミングアドバンス値のレンジの切り替えの具体例を以下に説明する。
-第1の例
タイミングアドバンス値のレンジは、タイミングアドバンス値の最大値の切り替えにより切り替えられてもよい。タイミングアドバンス値の最大値は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延を補償可能な値に切り替えられる。例えば、タイミングアドバンス値の最大値は衛星局装置10の高度に応じてX倍に拡張される。即ち、タイミングアドバンス値のレンジは、X倍に拡張される(0≦TA≦X×20512×Ts、即ち0ms≦TA≦X×0.67ms)。例えば、図15の低軌道衛星セルの場合には、X=26である。
第1の例においては、衛星局装置関連情報は、上記Xを示す情報を含んでいてもよい。若しくは、上記Xは固定的に地球端末装置40に設定されてもよい。衛星通信をサポートしている地球端末装置40は、衛星通信する場合に、タイミングアドバンス値のレンジをX倍に拡張する。RARにおけるタイミングアドバンス値を格納するための領域も、上記タイミングアドバンス値のレンジの拡張に応じて拡張されることが望ましい。例えば、5ビット分拡張(即ち、追加)されることが望ましい。
-第2の例
タイミングアドバンス値のレンジは、タイミングアドバンス値の調整粒度の切り替えにより切り替えられてもよい。タイミングアドバンス値の調整粒度は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延を補償可能な大きさに切り替えられる。LTEにおいて、タイミングアドバンス値の調整は、上述した数式(1)における調整粒度Tsの16倍の粒度(即ち、16×Ts)で行われていた。この調整粒度が、衛星局装置10の高度に応じてX倍に拡張される(即ち、X×16×Ts)。
第2の例においては、衛星局装置関連情報は、上記Xを示す情報を含んでいてもよい。若しくは、上記Xは固定的に地球端末装置40に設定されてもよい。衛星通信をサポートしている地球端末装置40は、衛星通信する場合に、タイミングアドバンス値の調整粒度をX倍に拡張する。
-第3の例
タイミングアドバンス値のレンジを、衛星局装置10の高度に応じたレンジに読み替えることで、タイミングアドバンス値のレンジの切り替えが疑似的に実現されてもよい。その場合、地球端末装置40は、タイミングアドバンス値のレンジの最小値及び最大値を、衛星局装置10の種別に応じた最小伝搬遅延及び最大伝搬遅延を補償可能な値にそれぞれ読み替える。例えば、低軌道衛星であり、ビーム幅の角度が40度である場合、タイミングアドバンス値のレンジの最小値は、最小伝搬遅延3.3msを補償可能な値に読み替えられる。また、低軌道衛星であり、ビーム幅の角度が40度である場合、タイミングアドバンス値のレンジの最大値は、最大伝搬遅延17.4msを補償可能な値に読み替えられる。即ち、低軌道衛星であり、ビーム幅の角度が40度である場合、タイミングアドバンス値は、3.3ms~17.4msの伝搬遅延を補償可能な値に読み替えられる(101376×Ts≦TA≦535530×Ts、即ち3.3ms≦TA≦17.4ms)。
第3の例においては、衛星局装置関連情報は、読み替えの有無を示す情報を含んでいてもよい。また、衛星局装置関連情報は、タイミングアドバンス値のレンジの最小値及び最大値を含む読み替えルールを含んでいてもよい。若しくは、上記読み替えルールは固定的に地球端末装置40に設定されてもよい。衛星通信をサポートしている地球端末装置40は、衛星通信する場合に、読み替えルールを適用する。
RARによるタイミングアドバンス値の通知は、既存のレンジ(0≦TA≦20512×Ts、即ち0ms≦TA≦0.67ms)で行われる。地球端末装置40は、RARに含まれるタイミングアドバンス値を、疑似的に拡張したタイミングアドバンス値のレンジ(101376×Ts≦TA≦535530×Ts、即ち3.3ms≦TA≦17.4ms)にマッピングして読み替えることで、衛星通信に適したタイミングアドバンス値を取得する。例えば、RARにおいて、タイミングアドバンス値が最小値0として通知された場合、地球端末装置40は、既存のレンジにおける0を拡張したタイミングアドバンス値のレンジにマッピングすることで、タイミングアドバンス値に最小値101376×Ts(即ち、3.3ms)を設定する。
以上、タイミングアドバンス値のレンジの切り替えの具体例を説明した。これらいずれの場合も、タイミングアドバンス値のレンジの最大値が、最大伝搬遅延に対応する値になるので、衛星通信における伝搬遅延を十分に補償することが可能となる。
-プロシージャ
以下、図19を参照しながら、上述したタイミングアドバンス値のレンジの切り替えを含む同期調整プロシージャの一例を説明する。図19は、本実施形態に係るシステム1において実行されるタイミングアドバンス値のレンジの切り替えを含む同期調整プロシージャの流れの一例を示すシーケンス図である。図19に示すように、本シーケンスには、衛星局装置10及び地球端末装置40が関与する。本シーケンスでは、図12に示したステップS402及びS404に対応する処理は、省略されている。本シーケンスの前提として、地球端末装置40は、地上局装置との通信を想定した(例えば、LTEにおける)タイミングアドバンスの設定を行っているものとする。
まず、衛星局装置10は、衛星局装置関連情報及びRACH設定を含むシステム情報(MIB及びSIB)を、地球端末装置40へ送信する(ステップS602)。次いで、地球端末装置40は、システム情報を受信し、システム情報から衛星局装置関連情報及びRACH設定を取得する(ステップS604)。そして、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に基づいて、タイミングアドバンスの設定を切り替える(ステップS606)。詳しくは、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に含まれる衛星局装置10の種別に応じて、タイミングアドバンス値のレンジを切り替える。
次に、地球端末装置40は、下りリンク同期信号によって同期されたフレームタイミングを基準としてPRACHを送信する(ステップS608)。衛星局装置10は、PRACHの受信タイミングと衛星局装置10の上りリンクフレームのタイミングとの差分に基づいて、伝搬遅延及びタイミングアドバンス値を計算する(ステップS610)。そして、衛星局装置10はランダムアクセスレスポンス(RAR)にタイミングアドバンス値を含めて地球端末装置40に送信する(ステップS612)。次いで、地球端末装置40は、受信したRARからタイミングアドバンス値を取得し、上りリンク送信タイミングを前倒しするように調整する(ステップS614)。ここで、地球端末装置40は、予めステップS606においてタイミングアドバンス値のレンジを、衛星局装置10の種別に応じて切り替えているので、衛星局装置10との間の伝搬遅延を十分に補償することが可能なタイミングアドバンス値を設定することができる。以降、地球端末装置40は、ステップS614において調整された上りリンク送信タイミングで、PUSCHを送信する(ステップS616)。
<4.2.2.衛星局装置の高度に起因するオフセットの考慮>
本節では、衛星通信への対応のために、衛星局装置の高度に起因するオフセットの考慮の有無を切り替えることで、タイミングアドバンス値の切り替えを行う技術を説明する。
・基本原理
図20は、本実施形態に係るタイミングアドバンス値の計算方法の一例を説明するための図である。図20に示すように、衛星局装置10のセル90内の、衛星局装置10の直下に地球端末装置40Aが位置しており、衛星局装置10の直下から離れた位置に地球端末装置40Bが位置している。衛星局装置10は、低軌道衛星局装置であるものとする。衛星局装置10と衛星局装置10のセル90内の地球端末装置40との伝搬遅延には、少なくとも衛星局装置10の高度分の伝搬遅延が含まれる。
そこで、地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に基づく第1の値に、衛星局装置10が提供するセルにおける地球端末装置40の位置に基づく第2の値を加算することで、タイミングアドバンス値を計算する。第1の値は、衛星局装置10の種別に対応する値であり、より詳しくは、衛星局装置10の高度92に対応するオフセットである。第1の値は、図20におけるTAsateliteに相当する。第1の値により、衛星局装置10の高度に起因する伝搬遅延を補償(即ち、吸収)することができる。第2の値は、衛星局装置10が提供するセルにおける地球端末装置40の位置に基づく値であり、より詳しくは、セル内の地球端末装置40間の伝搬遅延差に対応する値である。第2の値は、図20におけるTAnormalに相当する。第2の値により、セル内の地球端末装置40間の伝搬遅延差を補償(即ち、吸収)することができる。以上説明したように、地球端末装置40は、下記数式(4)によりタイミングアドバンス値を計算する。
TA=TAsatelite+TAnormal …(4)
図20に示した地球端末装置40Aは、衛星局装置10の直下に位置するから、TA=TAsateliteであり、TAsatelite分前倒して上りリンク送信を行う。一方で、図20に示した地球端末装置40Bは、衛星局装置10の直下から離れて位置するから、TA=TAsatelite+TAnormalであり、TAsatelite+TAnormal分前倒して上りリンク送信を行う。地球端末装置40Aと地球端末装置40Bとの間の伝搬遅延差は、TAnormalにより吸収されるので、地球端末装置40A及び40Bの各々から送信された上りリンク信号は、同一のタイミングで衛星局装置10により受信される。また、衛星局装置10の高度に起因する伝搬遅延は、TAsateliteにより吸収されるので、地球端末装置40A及び40Bの各々から送信された上りリンク信号は、各々の下りリンク信号と同一のタイミングで衛星局装置10により受信される。このように、第1の値と第2の値との和によりタイミングアドバンス値が計算されることにより、地球端末装置40間の伝搬遅延差だけでなく、衛星局装置10の高度に起因する伝搬遅延をも補償することが可能となる。
なお、地上局装置との通信に関しては、第2の値のみに基づいてタイミングアドバンス値が計算される。
・レンジ
TAsateliteは、TAnormalの調整粒度(16×Ts)と比較して荒い(即ち、大きい)調整粒度で調整される。
TAnormalのレンジは、衛星局装置10のカバレッジ(例えば、低軌道衛星基地局であれば半径1000km)に対応するように拡張される。TAnormalのレンジは、衛星局装置10の高度に基づいて、中央部からエッジまでがカバーされるように計算される。図20に示すように、TAnormalのレンジの最大値(TAnormalMAX)は、衛星局装置10と衛星局装置10が提供するセル90のエッジ93との距離から、衛星局装置10の高度92を減算した距離に対応する。即ち、TAnormalのレンジの最大値(TAnormalMAX)は、衛星局装置10のセル内の最大伝搬距離から衛星局装置10の高度を減算した距離に対応する。最大伝搬距離は、上記数式(2)又は数式(3)により計算される。一方で、TAnormalのレンジの最小値は、衛星局装置10のセル内の最小伝搬距離から衛星局装置10の高度を減算した距離に対応する。衛星局装置10のセル内の最小伝搬距離は衛星局装置10の高度と等しいので、TAnormalのレンジの最小値は0である。
TAnormalのレンジの計算は、地球端末装置40により行われてもよいし、衛星局装置10により行われてもよい。地球端末装置40により計算される場合、衛星局装置関連情報に、レンジ計算のための情報が含まれる。例えば、衛星局装置関連情報は、衛星局装置10の高度及びビーム幅の角度を含んでいてもよく、その場合、地球端末装置40は、上記数式(2)を用いて最大伝搬距離を計算し、最大伝搬距離に基づいて最大伝搬遅延を計算する。また、衛星局装置関連情報は、衛星局装置10の高度及びセル半径を含んでいてもよく、その場合、地球端末装置40は、上記数式(3)を用いて最大伝搬距離を計算し、最大伝搬距離に基づいて最大伝搬遅延を計算する。
TAnormalのレンジの計算に代えて、地球端末装置40は、衛星局装置10の高度に対応するレンジを用いてもよい。例えば、地球端末装置40は、予め衛星局装置10の高度の候補に応じたTAnormalのレンジを記憶しておき、衛星局装置10の高度に応じたレンジを選択して用いる。
・シグナリング
TAsateliteは、準静的に決まり、TAnormalはダイナミックに決まる。
TAsateliteは、衛星局装置10の種別を示す情報、より詳しくは高度に基づいて計算される。TAsateliteは、例えばシステム情報(MIB及び/又はSIB)を用いて、衛星局装置10からセル内の地球端末装置40へ報知される。
地球端末装置40は、TAsateliteに基づく送信タイミングでPRACHを衛星局装置10へ送信する。より詳しくは、地球端末装置40は、TAsatelite分前倒ししてPRACHを衛星局装置10へ送信する。これにより、衛星局装置10は、セル内の地球端末装置40の位置に応じた伝搬遅延が生じたPRACHを受信することとなる。従って、衛星局装置10は、衛星局装置10の高度に起因する伝搬遅延の影響を除外して、伝搬遅延差を補償するためのタイミングアドバンス値TAnormalを計算することができる。
衛星局装置10は、地球端末装置40からのPRACHの受信タイミングに基づいて、伝搬遅延差を補償するためのタイミングアドバンス値TAnormalを計算する。詳しくは、衛星局装置10は、PRACHの受信タイミングに基づいて、セル内の地球端末装置40の位置に応じた伝搬遅延を認識し、認識した伝搬遅延を補償するためのタイミングアドバンス値TAnormalを計算する。そして、衛星局装置10は、計算した伝搬遅延差を補償するためのタイミングアドバンス値TAnormalをRARに含めて、地球端末装置40へ送信する。このようにして、地球端末装置40は、TAnormalを衛星局装置10から取得する。そして、地球端末装置40は、TAsateliteとTAnormalとを加算した値をタイミングアドバンス値として用いて、PUSCH、PUCCH及びSRSなどの上りリンク物理チャネル/信号を送信する。
・プロシージャ
以下、図21を参照しながら、上述した衛星局装置10の高度に起因するオフセットの考慮を含む同期調整プロシージャの一例を説明する。図21は、本実施形態に係るシステム1において実行される衛星局装置10の高度に起因するオフセットの考慮を含む同期調整プロシージャの流れの一例を示すシーケンス図である。図21に示すように、本シーケンスには、衛星局装置10及び地球端末装置40が関与する。本シーケンスでは、図12に示したステップS402及びS404に対応する処理は、省略されている。本シーケンスの前提として、地球端末装置40は、地上局装置との通信を想定した(例えば、LTEにおける)タイミングアドバンスの設定を行っているものとする。
まず、衛星局装置10は、衛星局装置関連情報及びRACH設定を含むシステム情報(MIB及びSIB)を、地球端末装置40へ送信する(ステップS702)。次いで、地球端末装置40は、システム情報を受信し、システム情報から衛星局装置関連情報及びRACH設定を取得する(ステップS704)。そして、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に基づいて、タイミングアドバンスの設定を切り替え、第1の上りリンク同期調整を行う(ステップS706)。詳しくは、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に含まれる衛星局装置10の種別に応じて、伝搬遅延差を補償するためのタイミングアドバンス値(TAnormal)のレンジを切り替える。さらに、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に含まれる衛星局装置10の種別に応じて、衛星局装置10の高度に起因するオフセットTAsateliteを設定する。
次に、地球端末装置40は、下りリンク同期信号によって同期されたフレームタイミング及び衛星局装置10の高度に起因するオフセットTAsateliteに基づく送信タイミングでPRACHを衛星局装置10へ送信する(ステップS708)。衛星局装置10は、PRACHの受信タイミングと衛星局装置10の上りリンクフレームのタイミングとの差分に基づいて、伝搬遅延及びタイミングアドバンス値を計算する(ステップS710)。ここで計算されるタイミングアドバンス値は、セル内の伝搬遅延差を補償するためのタイミングアドバンス値TAnormalである。そして、衛星局装置10はランダムアクセスレスポンス(RAR)にタイミングアドバンス値TAnormalを含めて地球端末装置40に送信する(ステップS712)。次いで、地球端末装置40は、受信したRARからタイミングアドバンス値TAnormalを取得し、第2の上りリンク同期調整を行う(ステップS714)。詳しくは、地球端末装置40は、TAnormalにTAsateliteを加算した値を、上りリンク送信に用いるタイミングアドバンス値として設定する。ここで、地球端末装置40は、予めステップS706において伝搬遅延差を補償するためのタイミングアドバンス値(TAnormal)のレンジを、衛星局装置10の種別に応じて切り替えている。そのため、地球端末装置40は、衛星局装置10との間の伝搬遅延を十分に補償することが可能なタイミングアドバンス値を設定することができる。以降、地球端末装置40は、ステップS714において調整された上りリンク送信タイミングで、PUSCHを送信する(ステップS716)。
<4.2.3.衛星局装置の高度に起因するオフセットのみの考慮>
本節では、衛星局装置10の高度に起因するオフセットのみを考慮する場合におけるタイミングアドバンス設定について説明する。
CP長の拡張やフィルタリングの適用によってセル内の伝搬遅延差を補償が可能である場合、RACHプロシージャによる伝搬遅延差の補償の必要性は軽減される。
そこで、地球端末装置40は、タイミングアドバンス値に所定値を用いる。ここでの所定値は、衛星局装置10の高度に起因する伝搬遅延に基づく値である。即ち、ここでの所定値は、衛星局装置10の種別又は高度に応じた値である。これにより、地球端末装置40は、上りリンク送信に関する同期をとることが可能となる。
セル内の伝搬遅延差を補償しないので、地球端末装置40は、PRACHを送信しなくてもよい。これにより、衛星局装置10及び地球端末装置40の通信負荷及び処理負荷が軽減される。
以下、図22を参照しながら、上述した衛星局装置10の高度に起因するオフセットのみを考慮する場合の同期調整プロシージャの一例を説明する。図22は、本実施形態に係るシステム1において実行される衛星局装置10の高度に起因するオフセットのみを考慮する場合の同期調整プロシージャの流れの一例を示すシーケンス図である。図22に示すように、本シーケンスには、衛星局装置10及び地球端末装置40が関与する。本シーケンスでは、図12に示したステップS402及びS404に対応する処理は、省略されている。本シーケンスの前提として、地球端末装置40は、地上局装置との通信を想定した(例えば、LTEにおける)タイミングアドバンスの設定を行っているものとする。
まず、衛星局装置10は、衛星局装置関連情報及びRACH設定を含むシステム情報(MIB及びSIB)を、地球端末装置40へ送信する(ステップS802)。ここで、衛星局装置関連情報には、衛星局装置10の種別を示す情報が含まれる。次いで、地球端末装置40は、システム情報を受信し、システム情報から衛星局装置関連情報及びRACH設定を取得する(ステップS804)。そして、地球端末装置40は、衛星局装置関連情報に基づいて、タイミングアドバンスの設定を切り替え、上りリンク同期調整を行う(ステップS806)。詳しくは、地球端末装置40は、タイミングアドバンス値に所定値を設定する。以降、地球端末装置40は、ステップS806において調整された上りリンク送信タイミングで、PUSCHを送信する(ステップS808)。
<4.3.CPの拡張>
以下では、CP設定の切り替えに関して説明する。
地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に応じてCP長を制御する。地球端末装置40から衛星局装置10へ送信される物理チャネルのCP長は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延に基づいて設定される。詳しくは、CP長は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延を補償可能(即ち、吸収可能)な値に設定される。即ち、CP長は、衛星局装置10の種別に応じた最大伝搬遅延と同一又はそれ以上の値に設定される。これにより、衛星局装置10の種別に応じて想定される最大伝搬遅延が生じたとしても、上りリンク送信に関するシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去し、シンボル同期をとることが可能となる。
衛星通信では、衛星局装置10の高度が高く、且つセルが大きいので、最大伝搬遅延は、地上局装置について想定される最大伝搬遅延よりも大きい。そのため、地球端末装置40は、衛星通信を行う場合、地上局装置と通信する場合と比較して、CP長を長くする。CP長を長くすることは、シンボル長を長くすることと捉えられてもよい。
シンボル長を長くする第1の方法は、FFTサイズを変えることである。例えば、地球端末装置40は、サブキャリア間隔を狭める及び/又はサンプル周期を変えることにより、シンボル長を長くしてもよい。
シンボル長を長くする第2の方法は、FFTサイズを変えずに、シンボルを繰り返し連結することである。地球端末装置40は、シンボルを繰り返し連結することで、シンボル長を長くしてもよい。
<4.4.フィルタリングの切り替え>
以下では、フィルタ構成の切り替えに関して説明する。
地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に応じてフィルタ構成を制御する。地球端末装置40から衛星局装置10へ送信される物理チャネルのフィルタは、地上局へ送信される物理チャネルのフィルタとは異なるフィルタが設定される。これにより、衛星局装置10の種別に応じて想定される伝搬遅延が生じたとしても、同期ずれによる上りリンク送信に関するシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去することが可能となる。
フィルタリングは、waveformを含む。衛星通信に対応するフィルタリングは、例えば、フィルタバンクである。衛星通信に対応するwaveformは、例えば、FBMC(Filter Bank Multi-Carrier)である。
<<5.変形例>>
上記では、基地局装置100が衛星局装置10として構成され、端末装置200が非地上波ネットワークに対応する地球端末装置40として構成されるものとして説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、基地局装置100は、地球端末装置40として構成されてもよい。その場合、地球端末装置40は、他の地球端末装置(例えば、UE)に対して無線通信サービスを提供し、衛星局装置10との間でバックホールトラフィックを送受信する。
地球端末装置40として構成される基地局装置100から衛星局装置10へ送信されるバックホールトラフィックのための送信パラメータの制御は、上述した上りリンク信号のための送信パラメータの制御と同様にして行われる。具体的には、タイミングアドバンスの設定及び/又はCPの設定が、衛星局装置関連情報に基づいて切り替えられる。
<<6.応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。
例えば、地球端末装置40は、マクロeNB又はスモールeNBなどのいずれかの種類のeNB(evolved Node B)として実現されてもよい。スモールeNBは、ピコeNB、マイクロeNB又はホーム(フェムト)eNBなどの、マクロセルよりも小さいセルをカバーするeNBであってよい。その代わりに、地球端末装置40は、NodeB又はBTS(Base Transceiver Station)などの他の種類の基地局として実現されてもよい。地球端末装置40は、無線通信を制御する本体(基地局装置ともいう)と、本体とは別の場所に配置される1つ以上のRRH(Remote Radio Head)とを含んでもよい。また、後述する様々な種類の端末が一時的に又は半永続的に基地局機能を実行することにより、地球端末装置40として動作してもよい。
例えば、地球端末装置40は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末、携帯型/ドングル型のモバイルルータ若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、地球端末装置40は、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、地球端末装置40は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
<6.1.基地局に関する応用例>
(第1の応用例)
図23は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。eNB800は、1つ以上のアンテナ810、及び基地局装置820を有する。各アンテナ810及び基地局装置820は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。
アンテナ810の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、基地局装置820による無線信号の送受信のために使用される。eNB800は、図23に示したように複数のアンテナ810を有し、複数のアンテナ810は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図23にはeNB800が複数のアンテナ810を有する例を示したが、eNB800は単一のアンテナ810を有してもよい。
基地局装置820は、コントローラ821、メモリ822、ネットワークインタフェース823及び無線通信インタフェース825を備える。
コントローラ821は、例えばCPU又はDSPであってよく、基地局装置820の上位レイヤの様々な機能を動作させる。例えば、コントローラ821は、無線通信インタフェース825により処理された信号内のデータからデータパケットを生成し、生成したパケットをネットワークインタフェース823を介して転送する。コントローラ821は、複数のベースバンドプロセッサからのデータをバンドリングすることによりバンドルドパケットを生成し、生成したバンドルドパケットを転送してもよい。また、コントローラ821は、無線リソース管理(Radio Resource Control)、無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、移動性管理(Mobility Management)、流入制御(Admission Control)又はスケジューリング(Scheduling)などの制御を実行する論理的な機能を有してもよい。また、当該制御は、周辺のeNB又はコアネットワークノードと連携して実行されてもよい。メモリ822は、RAM及びROMを含み、コントローラ821により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、送信電力データ及びスケジューリングデータなど)を記憶する。
ネットワークインタフェース823は、基地局装置820をコアネットワーク824に接続するための通信インタフェースである。コントローラ821は、ネットワークインタフェース823を介して、コアネットワークノード又は他のeNBと通信してもよい。その場合に、eNB800と、コアネットワークノード又は他のeNBとは、論理的なインタフェース(例えば、S1インタフェース又はX2インタフェース)により互いに接続されてもよい。ネットワークインタフェース823は、有線通信インタフェースであってもよく、又は無線バックホールのための無線通信インタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース823が無線通信インタフェースである場合、ネットワークインタフェース823は、無線通信インタフェース825により使用される周波数帯域よりもより高い周波数帯域を無線通信に使用してもよい。
無線通信インタフェース825は、LTE(Long Term Evolution)又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、アンテナ810を介して、eNB800のセル内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース825は、典型的には、ベースバンド(BB)プロセッサ826及びRF回路827などを含み得る。BBプロセッサ826は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、各レイヤ(例えば、L1、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol))の様々な信号処理を実行する。BBプロセッサ826は、コントローラ821の代わりに、上述した論理的な機能の一部又は全部を有してもよい。BBプロセッサ826は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を含むモジュールであってもよく、BBプロセッサ826の機能は、上記プログラムのアップデートにより変更可能であってもよい。また、上記モジュールは、基地局装置820のスロットに挿入されるカード若しくはブレードであってもよく、又は上記カード若しくは上記ブレードに搭載されるチップであってもよい。一方、RF回路827は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ810を介して無線信号を送受信する。
無線通信インタフェース825は、図23に示したように複数のBBプロセッサ826を含み、複数のBBプロセッサ826は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。また、無線通信インタフェース825は、図23に示したように複数のRF回路827を含み、複数のRF回路827は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図23には無線通信インタフェース825が複数のBBプロセッサ826及び複数のRF回路827を含む例を示したが、無線通信インタフェース825は単一のBBプロセッサ826又は単一のRF回路827を含んでもよい。
図23に示したeNB800において、図17を参照して説明した設定部41及び/又はメッセージ送受信部43は、無線通信インタフェース825(例えば、BBプロセッサ826及び/又はRF回路827)、コントローラ821及び/又はネットワークインタフェース823において実装されてもよい。例えば、無線通信インタフェース825、コントローラ821及び/又はネットワークインタフェース823は、衛星局装置10から設定情報を取得して、設定情報に応じた送信パラメータを用いて衛星局装置10へのチャネル/信号の送信を行う。例えば、無線通信インタフェース825に含まれるプロセッサにおいて、これらの動作を行うための機能が実装されてもよい。このような動作を行う装置として、eNB800、基地局装置820又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサに上記動作を行わせるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
(第2の応用例)
図24は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。eNB830は、1つ以上のアンテナ840、基地局装置850、及びRRH860を有する。各アンテナ840及びRRH860は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。また、基地局装置850及びRRH860は、光ファイバケーブルなどの高速回線で互いに接続され得る。
アンテナ840の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、RRH860による無線信号の送受信のために使用される。eNB830は、図24に示したように複数のアンテナ840を有し、複数のアンテナ840は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図24にはeNB830が複数のアンテナ840を有する例を示したが、eNB830は単一のアンテナ840を有してもよい。
基地局装置850は、コントローラ851、メモリ852、ネットワークインタフェース853、無線通信インタフェース855及び接続インタフェース857を備える。コントローラ851、メモリ852及びネットワークインタフェース853は、図23を参照して説明したコントローラ821、メモリ822及びネットワークインタフェース823と同様のものである。
無線通信インタフェース855は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、RRH860及びアンテナ840を介して、RRH860に対応するセクタ内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース855は、典型的には、BBプロセッサ856などを含み得る。BBプロセッサ856は、接続インタフェース857を介してRRH860のRF回路864と接続されることを除き、図23を参照して説明したBBプロセッサ826と同様のものである。無線通信インタフェース855は、図24に示したように複数のBBプロセッサ856を含み、複数のBBプロセッサ856は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図24には無線通信インタフェース855が複数のBBプロセッサ856を含む例を示したが、無線通信インタフェース855は単一のBBプロセッサ856を含んでもよい。
接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)をRRH860と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)とRRH860とを接続する上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
また、RRH860は、接続インタフェース861及び無線通信インタフェース863を備える。
接続インタフェース861は、RRH860(無線通信インタフェース863)を基地局装置850と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース861は、上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
無線通信インタフェース863は、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、典型的には、RF回路864などを含み得る。RF回路864は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、図24に示したように複数のRF回路864を含み、複数のRF回路864は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図24には無線通信インタフェース863が複数のRF回路864を含む例を示したが、無線通信インタフェース863は単一のRF回路864を含んでもよい。
図24に示したeNB830において、図17を参照して説明した設定部41及び/又はメッセージ送受信部43は、無線通信インタフェース855、無線通信インタフェース863(例えば、BBプロセッサ856及び/又はRF回路864)、コントローラ851及び/又はネットワークインタフェース853において実装されてもよい。例えば、無線通信インタフェース855、無線通信インタフェース863、コントローラ851及び/又はネットワークインタフェース853は、衛星局装置10から設定情報を取得して、設定情報に応じた送信パラメータを用いて衛星局装置10へのチャネル/信号の送信を行う。例えば、無線通信インタフェース855及び/又は無線通信インタフェース863に含まれるプロセッサにおいて、これらの動作を行うための機能が実装されてもよい。このような動作を行う装置として、eNB830、基地局装置850又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサに上記動作を行わせるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
<6.2.端末装置に関する応用例>
(第1の応用例)
図25は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912、1つ以上のアンテナスイッチ915、1つ以上のアンテナ916、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM及びROMを含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース912は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース912は、典型的には、BBプロセッサ913及びRF回路914などを含み得る。BBプロセッサ913は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路914は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ916を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース912は、BBプロセッサ913及びRF回路914を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース912は、図25に示したように複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含んでもよい。なお、図25には無線通信インタフェース912が複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含む例を示したが、無線通信インタフェース912は単一のBBプロセッサ913又は単一のRF回路914を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース912は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ913及びRF回路914を含んでもよい。
アンテナスイッチ915の各々は、無線通信インタフェース912に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ916の接続先を切り替える。
アンテナ916の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース912による無線信号の送受信のために使用される。スマートフォン900は、図25に示したように複数のアンテナ916を有してもよい。なお、図25にはスマートフォン900が複数のアンテナ916を有する例を示したが、スマートフォン900は単一のアンテナ916を有してもよい。
さらに、スマートフォン900は、無線通信方式ごとにアンテナ916を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ915は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図25に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図25に示したスマートフォン900において、図17を参照して説明した設定部41及び/又はメッセージ送受信部43は、無線通信インタフェース912(例えば、RF回路914及び/又はBBプロセッサ913)、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919において実装されてもよい。例えば、無線通信インタフェース912、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919は、衛星局装置10から設定情報を取得して、設定情報に応じた送信パラメータを用いて衛星局装置10へのチャネル/信号の送信を行う。例えば、無線通信インタフェース912に含まれるプロセッサにおいて、これらの動作を行うための機能が実装されてもよい。このような動作を行う装置として、スマートフォン900又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサに上記動作を行わせるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
(第2の応用例)
図26は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、1つ以上のアンテナスイッチ936、1つ以上のアンテナ937及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、典型的には、BBプロセッサ934及びRF回路935などを含み得る。BBプロセッサ934は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路935は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ937を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース933は、BBプロセッサ934及びRF回路935を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、図26に示したように複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含んでもよい。なお、図26には無線通信インタフェース933が複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含む例を示したが、無線通信インタフェース933は単一のBBプロセッサ934又は単一のRF回路935を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース933は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ934及びRF回路935を含んでもよい。
アンテナスイッチ936の各々は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ937の接続先を切り替える。
アンテナ937の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送受信のために使用される。カーナビゲーション装置920は、図26に示したように複数のアンテナ937を有してもよい。なお、図26にはカーナビゲーション装置920が複数のアンテナ937を有する例を示したが、カーナビゲーション装置920は単一のアンテナ937を有してもよい。
さらに、カーナビゲーション装置920は、無線通信方式ごとにアンテナ937を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ936は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図26に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図26に示したカーナビゲーション装置920において、図17を参照して説明した設定部41及び/又はメッセージ送受信部43は、無線通信インタフェース933(例えば、RF回路935及び/又はBBプロセッサ934)及び/又はプロセッサ921において実装されてもよい。例えば、無線通信インタフェース933及び/又はプロセッサ921は、衛星局装置10から設定情報を取得して、設定情報に応じた送信パラメータを用いて衛星局装置10へのチャネル/信号の送信を行う。例えば、無線通信インタフェース933に含まれるプロセッサにおいて、これらの動作を行うための機能が実装されてもよい。このような動作を行う装置として、カーナビゲーション装置920又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサに上記動作を行わせるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
<<7.まとめ>>
以上、図1~図26を参照して、本開示の一実施形態について詳しく説明した。上記説明したように、本実施形態に係る地球端末装置40は、衛星局装置10の種別に関する情報を取得し、衛星局装置10の種別に関する情報に基づいて衛星局装置10への信号の送信タイミングを制御する。地球端末装置40は、衛星局装置10の種別、とりわけ高度に基づいて送信タイミングを制御することで、衛星局装置10の高度に起因する伝搬遅延を補償することが可能となる。例えば、地球端末装置40は、タイミングアドバンス値を制御することで、地球端末装置40から衛星局装置10への信号の送信に係る同期をとることが可能となる。また、地球端末装置40は、CP長を制御することで、端末装置40から衛星局装置10への信号の送信に係るシンボル間干渉及びサブキャリア間干渉を十分に除去し、シンボル同期をとることが可能となる。このようにして、地球端末装置40から衛星局装置10への信号の送信に係る同期が得られるので、地球端末装置40から衛星局装置10への送信に関する無線リンク品質を向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、衛星局装置10が衛星局装置関連情報を生成すると説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、衛星局装置関連情報は、他の装置(例えば、コアネットワーク21内の制御エンティティ又はVSAT30等)により生成されてもよい。
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
基地局装置の種別に関する情報を取得し、前記基地局装置の種別に関する情報に基づいて前記基地局装置への信号の送信タイミングを制御する制御部、
を備える端末装置。
(2)
前記基地局装置の種別に関する情報は、前記基地局装置の高度に関する情報を含む、前記(1)に記載の端末装置。
(3)
前記制御部は、前記基地局装置の種別に基づく第1の値に、前記基地局装置が提供するセルにおける前記端末装置の位置に基づく第2の値を加算することで、タイミングアドバンス値を計算する、前記(1)又は(2)に記載の端末装置。
(4)
前記制御部は、前記第1の値に基づく送信タイミングでPRACH(Physical Random Access Channel)を前記基地局装置へ送信し、前記第2の値を前記基地局装置から取得する、前記(3)に記載の端末装置。
(5)
前記第2の値のレンジの最大値は、前記基地局装置と前記基地局装置が提供するセルのエッジとの距離から前記基地局装置の高度を減算した距離に対応する、前記(3)又は(4)に記載の端末装置。
(6)
前記制御部は、タイミングアドバンス値のレンジを、前記基地局装置の高度に応じた最大伝搬遅延に応じて切り替える、前記(1)又は(2)に記載の端末装置。
(7)
タイミングアドバンス値のレンジは、タイミングアドバンス値の最大値の切り替えにより切り替えられる、前記(6)に記載の端末装置。
(8)
タイミングアドバンス値のレンジは、タイミングアドバンス値の調整粒度の切り替えにより切り替えられる、前記(6)に記載の端末装置。
(9)
前記制御部は、タイミングアドバンス値のレンジを、前記基地局装置の高度に応じた最小伝搬遅延に応じて切り替える、前記(6)に記載の端末装置。
(10)
前記制御部は、タイミングアドバンス値のレンジを、前記基地局装置の高度に応じたレンジに読み替える、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の端末装置。
(11)
前記制御部は、タイミングアドバンス値に、前記基地局装置の高度に応じた所定値を用いる、前記(1)~(10)のいずれか一項に記載の端末装置。
(12)
前記制御部は、前記基地局装置の種別に応じてCP(Cyclic Prefix)長を制御する、前記(1)~(11)のいずれか一項に記載の端末装置。
(13)
前記基地局装置の種別に関する情報は、システム情報を用いて通知される、前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の端末装置。
(14)
端末装置と通信する基地局装置であって、
前記基地局装置の種別に関する情報を前記端末装置に送信する制御部、
を備える基地局装置。
(15)
前記制御部は、前記端末装置からのPRACHを受信タイミングに基づいて、前記端末装置に用いられるタイミングアドバンス値の計算のための、前記基地局装置が提供するセルにおける前記端末装置の位置に基づく第2の値を計算し、前記第2の値を前記端末装置に送信する、前記(14)に記載の基地局装置。
(16)
基地局装置の種別に関する情報を取得し、前記基地局装置の種別に関する情報に基づいて前記基地局装置への信号の送信タイミングを制御すること、
を含む、プロセッサにより実行される方法。
(17)
端末装置と通信する基地局装置により実行される方法であって、
前記基地局装置の種別に関する情報を前記端末装置に送信すること、
を含む方法。
(18)
コンピュータを、
基地局装置の種別に関する情報を取得し、前記基地局装置の種別に関する情報に基づいて前記基地局装置への信号の送信タイミングを制御する制御部、
として機能させるためのプログラムが記録された記録媒体。
(19)
コンピュータを、
端末装置と通信する基地局装置の種別に関する情報を前記端末装置に送信する制御部、
として機能させるためのプログラムが記録された記録媒体。