以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による燃料電池システム100の筐体内部を示す図であり、筐体1の底面方向から見た図である。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック2に対して発電に必要となる燃料ガス(アノードガス)及び酸化剤ガス(カソードガス)を供給し、燃料電池スタック2を車両走行用の電動モータ等の電気負荷に応じて発電させるシステムである。
燃料電池システム100の筐体1内には、燃料電池スタック2と、燃料を改質して燃料電池スタック2にアノードガスを供給する改質器3とが配置されている。燃料電池スタック2と改質器3とは、改質された燃料ガスを改質器3から燃料電池スタック2に供給するアノードガス供給管4(配管)と、燃料電池スタック2から排出される排出ガスが流れる第1排気管5とにより連結されている。また、改質器3は、それぞれ改質器3に燃料を供給する燃料供給管6、空気を供給する吸気管7、及び改質器3から排出ガスを排出する第2排気管8を介して外部の補機類と連結されている。なお、この他に燃料電池システム100には、カソードガス供給管が配設されるが、本発明の効果の説明においては、アノードガス供給管と同様なので省略する。
筐体1は金属等からなり、燃料電池スタック2及び改質器3を収納する。筐体1の内側には、反応温度の高い燃料電池スタック2や改質器3の熱が放熱されることによる熱損失を抑制するために断熱材11が設けられている。断熱材11は、燃料電池スタック2及び改質器3を収容可能な状態で筐体1内に設けられている。
燃料電池スタック2は高温で稼働する高温部品であり、アノードガスとカソードガスの供給を受けて発電する。燃料電池スタック2は複数の燃料電池又は燃料電池単位セルを積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。
改質器3は高温で稼働する高温部品であり、改質前燃料を燃料電池スタック2に供給するために適切な状態とすべく改質する。例えば、改質器3は、燃料供給管6から供給される燃料を触媒反応により水素を包含する燃料ガス(アノードガス)に改質する。
また、改質器3には図示しない排気燃焼器が備えられている。排気燃焼器は、燃料電池スタック2から排出された排出ガスを触媒燃焼させて燃焼ガスを生成する。排気燃焼器で生成された燃焼ガスは、熱交換により改質器3を加熱する。
アノードガス供給管4は、改質器3で改質されたアノードガスを燃料電池スタック2に供給する配管であり、改質器3と燃料電池スタック2とを連結する。アノードガス供給管4は、一端が改質器3に、他端が燃料電池スタック2に、溶接等によって接合されている。また、アノードガス供給管4は、配管の一部または全部に柔軟性を有するフレキシブル部41を備えるフレキシブル配管である。
第1排気管5は、燃料電池スタック2から排出される排出ガスを改質器3内の排気燃焼器へ送る配管であり、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する。第1排気管5は、一端が改質器3に、他端が燃料電池スタック2に、溶接等によって接合されている。また、第1排気管5は、配管の一部または全部に柔軟性を有するフレキシブル部51を備えるフレキシブル配管である。
燃料供給管6は改質器3と筐体1外部の補機とを連結する連結部材であり、改質器3に改質前燃料を供給する配管である。燃料供給管6は溶接等によって一端が改質器3に接合され、他端は例えばバルブ等の補機に連接している。
吸気管7は改質器3と筐体1外部の補機とを連結する連結部材であり、例えばシステム起動時に改質器3を暖機する際、燃料を燃焼させるための空気を供給するなど、必要に応じて改質器3に空気を供給する配管である。吸気管7は溶接等によって一端が改質器3に接合され、他端は例えばバルブ等の補機に連接している。
第2排気管8は改質器3と筐体1外部の補機とを連結する連結部材であり、排気燃焼器により生成された燃焼ガスを筐体1外部に排出する配管である。第2排気管8は溶接等によって一端が改質器3に接合され、他端は例えばバルブ等の補機に連接している。
このように構成された燃料電池システム100では、燃料供給管6から供給される燃料が改質器3によりアノードガスに改質され、改質されたアノードガスがアノードガス供給管4から燃料電池スタック2に供給される。なお、燃料電池スタック2には、図示しないカソードガス供給管を介して、筐体1外部からカソードガスが供給される。
一方、燃料電池スタック2から排出された排出ガスは第1排気管5を介して改質器3内の排気燃焼器に送られ、排気燃焼器は排出ガスを触媒燃焼させて燃焼ガスを生成する。排気燃焼器で生成された燃焼ガスは、熱交換により改質器3を加熱した後、第2排気管8を介して筐体1外部に排出される。
なお、改質器3とともに、液体燃料を加熱して改質前燃料ガスを生成する蒸発器や、排気燃焼器で生成された燃焼ガスと改質前燃料ガスを熱交換させて改質前燃料ガスを過熱する過熱器などを筐体1内に配置する構成にしてもよい。
また、燃費の観点から、燃料電池スタック2と改質器3とを排気管で連結してオフガスを利用することが好ましいが、必ずしもこれに限られず、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する排気管を設けない構成にしてもよい。
次に、燃料電池スタック2及び改質器3の支持構造について説明する。
図1に示すように、燃料電池スタック2及び改質器3は、それぞれ複数の一軸性マウント9を介して筐体1に固定されている。
一軸性マウント9は、一方向(マウント軸線方向)のみに変位可能に構成されている。一軸性マウント9は、筐体1と燃料電池スタック2及び改質器3とが一軸性マウント9の変位方向に相対移動可能なように、下面が筐体1に固定され、上面が燃料電池スタック2及び改質器3に固定されている。このようにして、複数の一軸性マウント9は燃料電池スタック2及び改質器3を筐体1に固定している。なお、一軸性マウント9の構造の詳細は後述する。
燃料電池スタック2を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、各一軸性マウント9の変位可能な方向に伸ばしたマウント軸線どうしが一点で交わるように、即ち、各マウント軸線が少なくとも異なる2種類以上の方向になるように配置されている。例えば、図1に示すように、燃料電池スタック2を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、マウント軸線どうしが一点Xで交わるように放射状に6個配置される。
同様に、改質器3を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、各一軸性マウント9の変位可能な方向に伸ばしたマウント軸線どうしが一点で交わるように、即ち、各マウント軸線が少なくとも異なる2種類以上の方向になるように配置されている。例えば、図1に示すように、改質器3を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、マウント軸線どうしが一点Yで交わるように放射状に4個配置される。
複数の一軸性マウント9の軸線が交わる点は、筐体内部の高温部品が熱膨張した場合にも筐体1に対して相対変位しない点、即ち膨張中心を形成する。
このように各マウント軸線が一点(膨張中心)で交わるように複数の一軸性マウント9を配置すると、高温部品は熱膨張する際、膨張中心から放射状に膨張変位する。従って、膨張変位の方向と一軸性マウント9の変位可能な方向(マウント軸線方向)とが一致し、筐体1内部の高温部品の熱膨張を許容することができる。
また、筐体1内部の高温部品を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、各マウント軸線が少なくとも異なる2種類以上の方向になるように配置されるため、筐体1内部の高温部品が水平方向に移動することが規制される。従って、筐体1に収納される高温部品が筐体1に対して水平方向に揺動することが抑制される。
次に、図2及び図3を用いて、一軸性マウント9の構造を説明する。
図2a及び図2bは一軸性マウント9の模式図であり、図2aは一軸性マウント9を正面から見た模式図、図2bは一軸性マウント9を側面から見た模式図である。
図2a及び図2bに示すように、一軸性マウント9は、シャフト91、軸受(可動軸受)92、部品固定部材93、筐体固定部材94から構成される。
シャフト91は耐熱性の金属材料から成り、円柱状に構成される。シャフト91は、筐体1に収納される高温部品の底面に平行な方向に延びる平行部911と、平行部911の両端から平行部911に対して垂直な方向に屈曲して延びる垂直部912を有する。平行部911は軸受92により支持され、シャフト91の両端(垂直部912の端部)は、溶接等により高温部品を支持する部品固定部材93に接合される。なお、垂直部912の端部をフランジ状にして、ボルト等の締結部材により部品固定部材93に締結してもよい。
軸受92は耐熱性の金属材料から成り、底面においてボルト等の締結部材により筐体固定部材94に固定される。軸受92は、シャフト91の平行部911において、筐体1に収納される高温部品の底面に平行な方向に変位可能な状態でシャフト91を支持する。このように軸受92は、高温部品の底面に平行な方向に変位可能な状態でシャフト91を支持するとともに、一軸性マウント9を介して筐体1に固定される高温部品が筐体1に対して底面に平行な方向以外の方向に相対変位することを規制する。
部品固定部材93は、例えばステンレス系の耐熱性材料等から成る板状の部材で、シャフト91の両端(垂直部912の端部)においてシャフト91に接合される。部品固定部材93はシャフト91の平行部911に平行な載置面931を有し、載置面931上には筐体1に収納される高温部品が載置され、高温部品はボルト等の締結部材により載置面931に固定される。
筐体固定部材94は、例えばステンレス系の耐熱性材料等から成る板状の部材で、上面においてボルト等の締結部材により軸受92が締結される。なお、後述するとおり、筐体固定部材94の底面はボルト等の締結部材により筐体1に締結される。
このように、一軸性マウント9は、部品固定部材93を介して筐体1内の高温部品に固定されるシャフト91と、シャフト91を一方向に変位可能な状態で支持する軸受92と、から構成される。また、軸受92は、筐体固定部材94を介して筐体1に固定される。これにより、一軸性マウント9は一方向にのみ変位可能な状態で筐体1内の高温部品を筐体1に固定する。
なお、一方向にのみ変位可能な状態で筐体1内の高温部品を固定できれば一軸性マウント9は上記の構成に限らない。例えば図3(a)に示すように、シャフト91の平行部911は一端のみに垂直部912を有する構成としてもよい。この場合、シャフト91が軸受92から脱落しないように、平行部911の長さを高温部品の膨張による変位の最大量よりも長めにとればよい。また、平行部911の他端に例えばフランジ状のストッパを設けてもよい。このような構成にすることで、図3(b)に示すように、シャフト91及び部品固定部材93と、軸受92及び筐体固定部材94とをそれぞれ分離して製造して組み立てることが可能となり、一軸性マウント9をより容易に構成できる。
また、例えば図4(a)のように、一軸性マウント9をシャフト91の平行部911に対して垂直な方向に延びる第2部品固定部材93bと、シャフト91の平行部911に対し平行な載置面931を有する第1部品固定部材93aとを備える構造にしてもよい。この場合、まず、第2部品固定部材93bの上端において第2部品固定部材93bと第1部品固定部材93aとをボルト等の締結部材により締結する。次に、第2部品固定部材93bに貫通孔を設けて貫通孔にシャフト91を貫通させてからシャフト91と第2部品固定部材93bを接合する。このような構成にすることで、図4(b)に示すように、シャフト91と、部品固定部材93と、軸受92及び筐体固定部材94とをそれぞれ分離して製造して組み立てることが可能となり、一軸性マウント9をより容易に構成できる。
図5は一軸性マウント9を設置した際の筐体内部を示す図であり、筐体1の側面方向から見た図である。
図5に示すように、一軸性マウント9は、断熱材11を介して筐体固定部材94が筐体1にボルト等により締結されることで筐体1に固定される。なお、断熱材11に貫通孔を設け、一軸性マウント9を、貫通孔を通して直接筐体1に固定してもよい。部品固定部材93には、載置面931においてボルト等により筐体1内の高温部品(燃料電池スタック2及び改質器3)が固定される。
このような構成により、一軸性マウント9は、高温部品の底面と平行な方向に変位可能に高温部品を筐体1に固定する。また、軸受92によって、シャフト91に固定される高温部品が軸受92の可動方向以外の方向に変位することが規制される。これにより、例えば高温部品の底面に対し垂直な方向等、軸受92の可動方向以外の方向に筐体1が加振された場合に、筐体1に収納される高温部品が揺動することを抑制できる。
なお、高温部品の底面と平行な方向に変位可能に高温部品を筐体1に固定できれば、一軸性マウント9は上記のようなシャフト91と軸受92を備える構成にしなくてもよい。例えば図6(a)に示すように、一軸性マウント9を高温部品の底面に固定されるガイド95と、筐体1に固定されるレール96とによる構成とし、ガイド95をレール96に嵌合してレール方向に自由変位可能な構造にしてもよい。この場合、図6(b)及び図6(c)に示すようにガイド95でレール96を抱え込むような構造にすることで、垂直方向の振動に対してガイド95がレール96から外れないように構成することができる。このように、ガイド95及びレール96を用いて一軸性マウント9を構成することで、より簡易な構成で、高温部品の底面と平行な方向に変位可能に高温部品を筐体1に固定することができる。
上記した第1実施形態の燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
燃料電池システム100においては、高温部品(燃料電池スタック2及び改質器3の少なくとも一方)を収納する筐体1に一方向のみに変位可能な複数の一軸性マウント9が固定され、筐体1に収納される高温部品は、複数の一軸性マウント9を介して筐体1に固定される。そして複数の一軸性マウント9は、各一軸性マウント9の変位可能な方向に伸ばしたマウント軸線どうしが一点(膨張中心)で交わるように配置される。高温部品は膨張中心から放射状に熱膨張するため、膨張変位の方向と一軸性マウント9の変位可能な方向(マウント軸線方向)とが一致し、筐体1内部の高温部品の熱膨張を許容することができる。このように、一軸性マウント9の配置によって高温部品の熱膨張による変位方向を制御できるため、予期しない部位に膨張応力がかかることを防止できる。その結果、システム構成部品の劣化を抑制し、部品の変形や破損を回避することができる。
また、一軸性マウント9の配置のみによって筐体1内部の高温部品の熱膨張を許容することができるため、特許文献1のようにゴム材等の弾性マウントを用いる必要が無い。ゴム材等の容易に入手可能な材料からなる弾性マウントでは、マウントの耐熱性を確保できないため、システムに熱交換器等を設けて、ゴム材等の弾性マウントを冷却する必要がある。このように熱交換器を追加すると、システム構成が大型化してしまうという問題がある。しかし燃料電池システム100においては、一軸性マウント9を冷却する必要が無いため、熱交換器を用いる必要が無く、システムの小型化、低コスト化を実現できる。
また、筐体1に収納される高温部品の熱膨張を許容することができるため、筐体1に断熱材11等を設けることにより筐体1と高温部品との間に温度差が生じ、高温部品との間の熱膨張に膨張差が生じても、筐体1及び高温部品に熱応力が発生しない。これにより、筐体1や高温部品の変形、筐体1と高温部品の締結部の緩みを抑制することができる。
また、筐体1に収納される高温部品は、複数の一軸性マウント9を介して筐体1に固定され、各一軸性マウント9は、各マウント軸線が少なくとも異なる2種類以上の方向になるように配置される。これにより、筐体1内部の高温部品が水平方向に移動することが規制されるため、高温部品が筐体1に対して水平方向に揺動することを抑制できる。
燃料電池システム100においては、筐体1に収容される高温部品としての燃料電池スタック2と改質器3とが、改質器3から燃料電池スタック2へ燃料を供給するためのアノードガス供給管4(配管)により連結される。そして、それぞれ各マウント軸線が少なくとも異なる2種類以上の方向になるように配置された複数の一軸性マウント9を介して筐体1に固定される。従って、燃料電池スタック2及び改質器3のそれぞれが、水平方向に移動することが規制されるため、燃料電池スタック2及び改質器3が筐体1に対して水平方向に揺動することを抑制できる。
燃料電池システム100においては、燃料電池スタック2を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9の軸線どうしと、改質器3を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9の軸線どうしとが、異なる一点で交わる。従って、燃料電池スタック2と改質器3とは、それぞれ膨張中心を形成する。これにより、燃料電池スタック2と改質器3とは、個々に熱膨張が許容され、筐体1と燃料電池スタック2及び改質器3との間の熱膨張に膨張差が生じても熱応力が発生しない。これにより、筐体1や燃料電池スタック2及び改質器3の変形、筐体1と燃料電池スタック2及び改質器3の締結部の緩みを抑制することができる。
燃料電池システム100においては、筐体1に収納される燃料電池スタック2と改質器3とを連結する改質器3から燃料電池スタック2へ燃料を供給するためのアノードガス供給管4(配管)が、柔軟性を有するフレキシブル部41を備えるフレキシブル配管により構成される。これにより、配管にかかる燃料電池スタック2及び改質器3の熱膨張による膨張応力を緩和することができ、配管の変形や破損、もしくは亀裂発生による気密性の劣化等を防止できる。
燃料電池システム100においては、一軸性マウント9は、筐体1に収納される燃料電池スタック2及び改質器3に固定されるシャフト91と、シャフト91を一方向に変位可能な状態で支持する軸受92とから構成され、軸受92は筐体1に固定される。このように、軸受92はシャフト91を一方向に変位可能な状態で支持するため、シャフト91に固定される燃料電池スタック2及び改質器3が筐体1に対し軸受92の可動方向以外に相対変位することを規制できる。また、筐体1に収納される燃料電池スタック2及び改質器3は、各マウント軸線が少なくとも異なる2種類以上の方向になるように配置された複数の一軸性マウント9を介して筐体1に固定されるため、燃料電池スタック2及び改質器3が水平方向に移動することも規制される。このため、水平方向や垂直方向を含むすべての方向への燃料電池スタック2及び改質器3の揺動を防止できる。従って、燃料電池スタック2及び改質器3の周囲に、揺動を許容するための空隙を設ける必要がなく、システムを小型化することができる。
なお、本実施形態では、燃料電池スタック2を筐体1に固定する一軸性マウント9を6個、改質器3を筐体1に固定する一軸性マウント9を4個配置する構成としたがこれに限らない。筐体1に対する高温部品の揺動をより確実に防止する観点から、一軸性マウント9は放射状に4個以上設けることが好ましいが、軸線方向の異なる一軸性マウント9が少なくとも2個以上あれば膨張中心が形成され、筐体1内部の高温部品の熱膨張を許容することができる。
(第1実施形態の変形例)
図7を参照して、第1実施形態の変形例による燃料電池システム100を説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7は、第1実施形態の変形例による燃料電池システム100の筐体内部を示す図であり、筐体1の底面方向から見た図である。本変形例においては、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管の構成及び複数の一軸性マウント9の軸線により形成される膨張中心の位置が第1実施形態と異なる。
図7に示すように、燃料電池スタック2と改質器3とは、改質器3から燃料電池スタック2にアノードガスを供給するアノードガス供給管4’及び燃料電池スタック2から排出される排出ガスを改質器3内の排気燃焼器へ送る第1排気管5’により連結される。
アノードガス供給管4’及び第1排気管5’は、第1実施形態と異なり、フレキシブル部を備えていない金属製の配管であり、例えば一端が燃料電池スタック2に溶接され、他端が改質器3に溶接されることで燃料電池スタック2と改質器3とを連結している。
図7に示すように、燃料電池スタック2を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、マウント軸線どうしがアノードガス供給管4’及び第1排気管5’と燃料電池スタック2との接合部分近傍の一点X’で交わるように配置される。即ち、燃料電池スタック2の膨張中心が、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管近傍に形成されるように一軸性マウント9が配置される。
同様に、改質器3を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9は、マウント軸線どうしがアノードガス供給管4’及び第1排気管5’と改質器3との接合部分近傍の一点Y’で交わるように配置される。即ち、改質器3の膨張中心が、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管近傍に形成されるように一軸性マウント9が配置される。
このように、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが、いずれも燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管の近傍に形成されるように一軸性マウント9が配置される。これにより、燃料電池スタック2と改質器3との連結部位における膨張変位が抑制され、配管に高温部品の膨張応力がかかることが抑制される。このため、高温部品を連結する配管にフレキシブル部を設ける必要がない。
上記した第1実施形態の変形例による燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
燃料電池システム100においては、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが、いずれも燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管の近傍に形成されるように一軸性マウント9が配置される。従って、燃料電池スタック2と改質器3との連結部位における膨張変位が抑制され、配管に高温部品の膨張応力がかかることが抑制される。このため、高温部品を連結する配管にフレキシブル部を設ける必要がなく、連結配管を短くすることができ、燃料電池システム100をより小型化、低コスト化できる。
なお、本実施形態では、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管の近傍に形成されるように一軸性マウント9を配置しているが、各膨張中心が配管上に形成されるように一軸性マウント9を配置してもよい。
(第2実施形態)
図8を参照して、第2実施形態による燃料電池システム100を説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8は、第2実施形態による燃料電池システム100の筐体内部を示す図であり、筐体1の底面方向から見た図である。本実施形態においては、複数の一軸性マウント9の軸線により形成される膨張中心の数及び位置が第1実施形態と異なる。
図8に示すように、複数の一軸性マウント9は、燃料電池スタック2を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9のマウント軸線どうしと、改質器3を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9のマウント軸線どうしとが、同一の一点X’’で交わるように配置される。即ち、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが一致するように一軸性マウント9が配置される。
また、複数の一軸性マウント9は、マウント軸線どうしが交わる点X’’が燃料供給管6、吸気管7及び第2排気管8と改質器3との接合部近傍に位置するように配置される。
このように、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが、改質器3と筐体1外部の補機類とを連結する連結部材近傍における同一の一点X’’に形成されるように、一軸性マウント9が配置される。
筐体1内部の高温部品と筐体1外部の補機類とを連結する連結部材に膨張応力がかかる場合、例えば連結部材にホース類を介在させるなどして応力を吸収する必要がある。しかし、本実施形態においては、筐体1内部の高温部品と外部の補機類とを連結する連結部材近傍に膨張中心が形成されるため、高温部品の熱膨張による連結部材の変位が抑制される。従って、連結部材に吸収機構を設けることを省略できる。
なお、本実施形態のように燃料電池スタック2と改質器3とを連結し、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが同一の一点X’’に形成されるように一軸性マウント9を配置することで、燃料電池スタック2、改質器3及び燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管を一つの剛体と見なすことができる。従って、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管にかかる膨張応力が抑制されるため、アノードガス供給管4’及び第1排気管5’にフレキシブル部を設ける必要が無い。従って、図8に示すように、燃料電池スタック2と改質器3とを連結するアノードガス供給管4’及び第1排気管5’は、第1実施形態の変形例と同様に、フレキシブル部を備えていない。
上記した第2実施形態による燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
燃料電池システム100においては、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが、筐体1内部の高温部品と外部の補機類とを連結する連結部材近傍における同一の一点X’’に形成されるように一軸性マウント9が配置される。このように膨張中心が筐体1内部の改質器3と筐体1外部の補機類とを連結する連結部材近傍に形成されるため、高温部品の熱膨張による連結部材の変位が抑制される。従って、補機類に連結される連結部材に吸収機構を設けることが不要になり、システムの小型化、低コスト化が可能となる。
また、燃料電池スタック2と改質器3とが連結され、燃料電池スタック2の膨張中心と改質器3の膨張中心とが同一の一点X’’に形成されるため、燃料電池スタック2及び改質器3を一つの剛体と見なすことができる。従って、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管にかかる膨張応力が抑制される。これにより、燃料電池スタック2と改質器3とを連結する配管にフレキシブル部を設ける必要がなく、連結配管を短くすることができるため、燃料電池システム100をより小型化、低コスト化できる。
なお、本実施形態では、燃料電池スタック2及び改質器3の膨張中心が、筐体1内部の改質器3と筐体1外部の補機類とを連結する連結部材近傍の一点X’’に形成されるように一軸性マウント9を配置しているが、膨張中心が連結部材上の一点に形成されるように一軸性マウント9を配置してもよい。
(第2実施形態の変形例)
図9を参照して、第2実施形態の変形例による燃料電池システム100を説明する。なお、他の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9は、第2実施形態の変形例による燃料電池システム100の筐体内部を示す図であり、筐体1の底面方向から見た図である。本変形例においては、連結部材の配置が第2実施形態と異なる。
図9に示すように、燃料供給管6、吸気管7及び第2排気管8は一箇所に集中的に配置され、複数の一軸性マウント9は、これらの連結部材が集中的に配置される箇所の近傍に膨張中心X’’が形成されるように配置される。
上記した第2実施形態の変形例による燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
燃料電池システム100においては、筐体1内部の高温部品と外部の補機類とを連結する複数の連結部材が一箇所に集中的に配置され、複数の一軸性マウント9は、連結部材が集中的に配置される箇所の近傍に膨張中心が形成されるように配置される。これにより、各連結部材と膨張中心との距離が近くなり、連結部材にかかる筐体1内部の高温部品の熱膨張による応力がより抑制される。
また、複数の連結部材が一箇所に集中的に配置されるため、連結部材が貫通する断熱材11の貫通孔を一箇所のみに設ければよく、断熱材11の加工が容易になる。
また、一箇所に集中的に配置される連結部材の管径が小さい場合、各連結部材と膨張中心との距離がより近くなり、連結部材にかかる筐体1内部の高温部品の熱膨張による応力がさらに抑制される。
(第3実施形態)
図10及び図11を参照して、第3実施形態による燃料電池システム100を説明する。なお、他の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図10は、第3実施形態による燃料電池システム100における一軸性マウント9’の模式図である。本実施形態においては、一軸性マウントの変位方向が他の実施形態と異なる。
図10に示すように、一軸性マウント9’は、シャフト91’、軸受92’、部品固定部材93’及び筐体固定部材94’から構成される。
シャフト91’は、筐体1に収納される高温部品の底面に対して傾斜した方向に延びる第1傾斜部913と、第1傾斜部913の両端から第1傾斜部913に対して垂直な方向に屈曲して延びる第2傾斜部914とを有する。シャフト91’は、第1傾斜部913において軸受92’により支持され、シャフト91’の両端(第2傾斜部914の端部)は、溶接等により高温部品を支持する部品固定部材93’に接合される。
軸受92’は、筐体1に収納される高温部品の底面に対して垂直な方向に延びる垂直部921と、垂直部921の上部からシャフト91’の第1傾斜部913に対して垂直な方向に屈曲して延びる傾斜部922を有している。
軸受92’は、底面においてボルト等の締結部材により筐体固定部材94’に固定される。軸受92’は、シャフト91’の第1傾斜部913において、筐体1に収納される高温部品の底面に対し傾斜した方向に変位可能な状態でシャフト91’を支持する。
このように軸受92’は、高温部品の底面に対し傾斜した方向に変位可能な状態でシャフト91’を支持するとともに、部品固定部材93を介してシャフト91’に固定される高温部品が、シャフト91’の第1傾斜部913に平行な方向以外の方向に変位することを規制する。
部品固定部材93’は、耐熱性材料から成る部材であり、筐体1に収納される高温部品を載置する面であって高温部品の底面に平行な平面としての載置面932、載置面932と垂直な方向に延びる側面933及びシャフト91’の第1傾斜部913に平行な傾斜面934を有する。部品固定部材93’の傾斜面934には、シャフト91’の端部が接合される。部品固定部材93’の載置面932上には筐体1に収納される高温部品が載置され、高温部品はボルト等の締結部材により部品固定部材93’に固定される。
筐体固定部材94’は、耐熱性材料から成る板状の部材で、上面において軸受92’が締結され、底面はボルト等により筐体1に締結される。
このように、一軸性マウント9’は、部品固定部材93’を介して筐体1内の高温部品に固定されるシャフト91’と、シャフト91’を高温部品の底面に対して傾斜した一方向に変位可能な状態で支持する軸受92’と、から構成される。また、軸受92’は、筐体固定部材94’を介して筐体1に固定される。これにより、一軸性マウント9’は、筐体1に収納される高温部品の底面に対して傾斜した一方向にのみ変位可能に構成される。
図11は一軸性マウント9’を設置した際の筐体1内部を示す図であり、筐体1の側面方向から見た図である。
図11に示すように、一軸性マウント9’は、筐体固定部材94’が断熱材11を介して筐体1にボルト等により締結されることで筐体1に固定される。なお、断熱材11に貫通孔を設け、貫通孔を通して一軸性マウント9’を直接筐体1に固定してもよい。部品固定部材93’には、載置面932においてボルト等により高温部品が固定される。
燃料電池スタック2を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9’は、各マウント軸線どうしが一点X’’’で交わるように配置される。一軸性マウント9’は、筐体1に収納される高温部品の底面に対して傾斜した一方向にのみ変位可能に構成されているため、各マウント軸線どうしが交わる点(膨張中心)X’’’は、燃料電池スタック2の底面よりも上方に形成される。
同様に、改質器3を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9’は、各マウント軸線どうしが一点Y’’’で交わるように配置され、各マウント軸線どうしが交わる点(膨張中心)Y’’’は、改質器3の底面よりも上方に形成される。
このように、本実施形態においては、一軸性マウント9’の変位方向と配置を設定することによって、高さ方向にも任意の位置に膨張中心を形成させることができる。
上記した第3実施形態の燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
燃料電池システム100においては、一軸性マウント9’が筐体1に収納される高温部品の底面に対して傾斜した方向に変位可能に構成される。従って、高温部品を筐体1に固定する複数の一軸性マウント9’の各マウント軸線どうしが交わる点(膨張中心)を高温部品の底面よりも上方に形成させることができる。即ち、高さ方向にも任意の位置に膨張中心を形成させることができる。従って、高温部品を連結する配管や高温部品と補機類とを連結する連結部材を設置する位置と同一の高さに膨張中心を形成させることで、配管や連結部材が筐体1に対して高さ方向に変位することを抑制するできる。従って、配管や連結部材、さらには連結部材に連結する補機類の変位を許容する空隙を設ける必要がなく、システムの小型化が可能となる。
また、高さ方向にも任意の位置に膨張中心を形成させることができるため、補機類を任意の位置に配置して連結部材により補機類と高温部品とを連結し、連結部材を設置する位置と同一の高さに膨張中心を形成させることができる。即ち、補機類を自由な位置に配置することができ、システム全体のレイアウト自由度が増す。
なお、第1実施形態、第1実施形態の変形例及び第3実施形態においては、燃料電池スタック2の膨張中心及び改質器3の膨張中心がそれぞれ異なる点に形成されるように一軸性マウント9を配置しているが、これに限られない。即ち、燃料電池スタック2及び改質器3の膨張中心が同一の一点に形成されるように一軸性マウント9を配置する構成としてもよい。
また、第2実施形態及び第2実施形態の変形例においては、燃料電池スタック2及び改質器3の膨張中心が同一の一点に形成されるように一軸性マウント9を配置することが好ましいが、必ずしもこれに限られない。即ち、燃料電池スタック2及び改質器3の膨張中心がそれぞれ連結部材近傍の異なる点に形成されるように一軸性マウント9を配置する構成としてもよい。
また、いずれの実施形態においても、高温部品を筐体に固定する一軸性マウント9のマウント軸線どうしが一点(膨張中心)で交わる構成としたが、必ずしもこれに限られず、マウント軸性どうしが所望の位置近傍で交わる構成としてもよい。例えば、図12に示すように、各マウント軸性どうしが所望の位置XやYの近傍の複数箇所に交点を有するような構成にしてもよい。このような構成であっても、膨張変位の方向と一軸性マウント9の変位可能な方向(マウント軸線方向)とがほぼ一致し、筐体1内部の高温部品の熱膨張を許容することができる。従って、一軸性マウント9の配置によって高温部品の熱膨張による変位方向を制御できるため、予期しない部位に膨張応力がかかることを防止でき、システム構成部品の劣化を抑制し、部品の破損を回避することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
また、上述した各実施形態は、それぞれ単独の実施形態として説明したが、適宜組み合わせてもよい。