JP7276958B2 - 冷凍撹拌装置 - Google Patents
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Description
そこで、食品の混合時に効率よく冷却し、温度コントロールを行う方法として、例えば特許文献1に開示されるように、液体窒素等の極低温の冷却媒体を冷凍撹拌装置の底部から供給する装置がある。
また、温水を使用する場合には、温水を常時流していないと液化ガスによる低温で温水が凍り、再稼働時に温水が流れないという問題がある。冷凍撹拌装置では、被冷却物を投入する工程、投入された被冷却物を冷却する工程、冷却された被冷却物を取り出す工程が順に繰り返されている。冷却媒体は冷却を行う工程のみで使用されるが、注入ノズルには冷却媒体を使用していないときも冷却媒体が封入されている状態となる。そのため、注入ノズルは冷却を行う工程以外の工程を実施する間も極低温の状態となり、注入ノズル周辺を循環する温媒体が凍結してしまうのである。温媒体が凍結していると、冷却を行う工程を開始できず、製造プロセスにダウンタイムが発生する。
冷凍槽と、冷却媒体を注入する冷却媒体注入機構と、を有する冷凍撹拌装置であって、
前記冷却媒体注入機構は、冷却媒体導入経路を備える注入ノズルと、前記注入ノズルの開口部周囲の前記冷凍槽の壁面を加温する加温ケースとを備え、
前記開口部の外周と前記加温ケースとが所定の間隔で離間して配置されることを特徴とする。
なお、被冷却物を冷却している間は、注入ノズルの開口部から冷却媒体が噴射されていることから、開口部及びその直近で被冷却物が一時的に凍結したとしても冷却媒体に同伴されて冷凍撹拌装置内部へと噴射されるため、凍結物で開口部が閉塞することはない。
図1に示す冷凍撹拌装置100は、冷凍槽10と、冷却媒体を注入する冷却媒体注入機構20と、を有する。冷凍撹拌装置100内において、被冷却物11は冷凍槽10に保持され、冷却媒体により冷却されながら撹拌される。
本発明では、冷凍槽10内の、被冷却物11が保持される高さ(図1にAで示す位置)より下方、すなわち冷凍槽10の中部から下部に冷却媒体注入機構20が配置される。
図2および図3は、加温ケース23を冷凍槽10の内側方向から、冷凍槽10壁面を透視して見た図である。開口部24の周囲には断熱部40が形成され、温媒体またはヒータは加温ケース23の外周32と内周31に囲まれた部分に収納される。
加温ケース23は、温媒体またはヒーターを収納することができる構造であればよく、図2に示すように中空部を有する四角形状でもよく、図3に示すようにドーナツ形状であってもよい。
冷却媒体は、注入ノズル21の開口部24から冷凍槽10の内部に向けて噴射される。したがって、冷凍槽10の内部では、開口部24およびその周辺が特に温度の低い部分となる。
加温ケース23内にはヒーターを配置してもよく、温媒体流体を循環させる温媒体循環経路を設けてもよい。中空部を有する四角形上の加温ケース23に温媒体流体循環経路を設ける場合には、図4に斜視図で示すように、温媒体流体を加温ケース23に導入する導入ライン50と、加温ケース23から導出する導出ライン51を設け、加温ケース23の内部全体を温媒体流体循環経路としてもよい。
図5は、図4に示す加温ケース23を裏側(すなわち、加温ケース23を冷凍槽10に取り付けた時に、冷凍槽10の壁面側となる方向)から見た図である。加温ケース23の外周32と内周31に囲まれた部分に導入ライン50から流入する温媒体を流通させることができ、導出ライン51から排出させることができる。
開口部の外周25から加温される部分の内周31および外周32までの距離は、熱媒体の熱量、温度、流量等に応じて定めることができる。
図4ないし図7に示す形状の冷却媒体注入機構20を取り付けた冷凍撹拌装置を製作し、注入ノズル21付近の凍結状況等を確認した。
冷凍撹拌装置は厚さ5mmのステンレススチール製壁面を有し、容量550Lの冷凍槽を有するミキサーである。ここにひき肉100kgと調味液200Lを導入し、冷却および撹拌を行った。ひき肉と調味液の撹拌が完了し、出来上がった混合物の全体の温度が-4℃まで低下した段階で冷凍工程は終了し、混合物を取り出す取り出し工程を実施した。
冷却媒体としては、送液圧力0.5MPa、温度-195.8℃の液体窒素を使用した。
実施例1では、注入ノズル21の開口部24の外周25から加温ケース23の内周31までの距離を10mmとし、開口部24中心から加温ケース23の外周32までの距離を60mmとし、温媒体流体として温度60℃の温水を流速2SLMで加温ケース内に導入した。実施例1では、冷凍槽10の内側壁面の内、加温ケース23の内周31と外周32に囲まれる部分に接する部分の平均温度は40℃となり、当該部分への被冷却物(ひき肉および調味液)の凍結は確認されなかった。また、冷凍工程が完了するまでの時間は10分であった。
冷凍工程完了後、被冷却物を冷凍槽10から取り出すための取り出し工程がある。取り出し工程の間は冷却媒体の供給は停止されており、冷却媒体が注入ノズル21の内部に滞留する状態となる。しかし、取り出し工程終了後にも加温ケース23内の温媒体流体は凍結せず、そのまま次の冷凍工程を実施することが可能であった。
比較例1では、注入ノズル21の開口部24に直接加温ケース23が接する形状(開口部24の外周25から加温ケース23の内周31までの距離が0mmである)とした。そのほかの条件は実施例1と同様である。比較例1では、冷凍槽10の内側壁面の内、加温ケース23の内周31と外周32に囲まれる部分に接する部分の平均温度は20℃となり、当該部分への被冷却物の凍結は確認されなかった。しかし、冷凍槽10に噴射されるときの冷却媒体の温度が、温媒体流体による加熱で上昇していたため、冷凍工程が完了するまでの時間は実施例1よりも長い15分であり、使用した液体窒素の量は実施例1よりも多かった。
また、冷凍工程完了後に実施される取り出し工程の間に加温ケース23内の温水が凍結したため、次の冷凍工程を開始するまでに、温水を溶解させるための20分のダウンタイムが発生した。
比較例2では、加温ケース23を設置せず、冷却媒体を実施例1と同様の条件で冷凍槽10に噴射した。比較例2では、冷凍槽10の内側壁面の内、実施例1において温度測定を行った部分と同じ部分の平均温度は-50℃となり、当該部分へ多量の被冷却物の凍結が発生した。これは冷却媒体の冷熱がそのまま冷凍槽10の壁面に伝達され、過度に冷却されたためである。凍結の発生により注入ノズル21の閉塞が発生し、冷却媒体の噴射が停止する現象が発生した。凍結した食品は品質が低下することから、製品として使用することができず、歩留まりが低下する結果となった。
10.冷凍槽
11.被冷却物
20.冷却媒体注入機構
21.注入ノズル
22.冷却媒体導入経路
23.加温ケース
24.開口部
25.開口部の外周
31.加温ケースの内周
32.加温ケースの外周
40.断熱部
50.導入ライン
51.導出ライン
52.流通ライン
61.開閉弁
62.スプリング
Claims (7)
- 冷凍槽と、冷却媒体を注入する冷却媒体注入機構と、を有する冷凍撹拌装置であって、
前記冷却媒体注入機構は、冷却媒体導入経路を備える注入ノズルと、前記注入ノズルの開口部周囲の前記冷凍槽の壁面を加温する加温ケースとを備え、
前記開口部の外周と前記加温ケースとが所定の間隔で離間して配置され、
前記注入ノズルは、開閉弁を備え、
前記開閉弁は、前記注入ノズルから前記冷却媒体が噴射されないときには前記注入ノズルの開口部を閉鎖するように閉弁する、
ることを特徴とする、冷凍撹拌装置。 - 前記所定の間隔は、5mm以上50mm以下である、請求項1に記載の冷凍撹拌装置。
- 前記開口部の外周と、前記加温ケースとの間に、断熱部を有する、請求項1または請求項2に記載の冷凍撹拌装置。
- 前記断熱部は、固体断熱材料で充填され、前記固体断熱材料はシリコン樹脂、フッ素樹脂、有機樹脂、織布材料、不織繊維材料、および多孔性マトリクス材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の冷凍撹拌装置。
- 前記加温ケースは、温媒体流体が循環する温媒体循環経路またはヒーターを有する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の冷凍撹拌装置。
- 前記温媒体流体は温度30℃以上100℃未満の温水または温度30℃以上200℃未満のオイルであることを特徴とする、請求項5に記載の冷凍撹拌装置。
- 前記冷却媒体は液体窒素または液化炭酸である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の冷凍撹拌装置。
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