JP7276605B2 - 固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電池に関する。
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の電源として電池の需要が大幅に拡大している。このような用途に用いられる電池においては、イオンを移動させるための媒体として、有機溶媒等の電解質(電解液)が従来から使用されている。しかし、上記の構成の電池では、電解液が漏出するという危険性がある。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質である。このため、電池の安全性を高めることが求められている。そこで、電池の安全性を高めるために、電解質として、電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池の研究が進められている。
例えば、特許文献1には、固体電解質を介して積層された複数の電極層を有する固体電池において、電極層の中心部側に位置する領域の厚さを、電極層の端部側に位置する領域の厚さよりも薄くすることで、電極面内の温度分布のバラツキを抑制できることが記載されている。
特開2008-78109号公報
固体電池の実用化のためには、出力密度を向上させるために、内部抵抗の低減が必要とされている。内部抵抗低減の一つの方法として、電極層の間隔を小さくすることが考えられる。例えば、特許文献1の方法では、電極層の中心部側に位置する領域の厚さを、電極層の端部側に位置する領域の厚さよりも薄くしているので、端部では電極層の間隔が小さくなり、内部抵抗を低減することが可能である。しかしながら、端部での電極層間の短絡が起きやすくなるという問題がある。
そこで、本発明は、内部抵抗低減と短絡防止の可能な固体電池を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の固体電池は、固体電解質層を介して積層された正極層と負極層を含む電池構成単位を1つ以上備えた固体電池であって、前記正極層と前記負極層は、平面視で、中央部と、前記中央部を囲む外縁部とを有し、前記正極層と前記負極層の少なくとも一方は、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34
であり、
(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)>0.35
である、ことを特徴とする。
本発明によれば、内部抵抗低減と短絡防止の可能な固体電池を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る固体電池の構造の一例を示す模式斜視図である。 図1の固体電池のII-II‘線に沿った模式縦断面図である。 図1の固体電池の正極層の構造の一例を示す模式断面図と模式平面図である。 本発明の実施の形態2に係る固体電池の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態3に係る固体電池の構造の一例を示す模式断面図である。
本発明でいう「固体電池」とは、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指す。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼成体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様では「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、「蓄電デバイス」などの電気化学デバイスも包含し得る。
本明細書でいう「平面視」とは、固体電池を構成する電極積層体の積層方向に基づく厚み方向に沿って対象物を上側または下側からみたときの状態(上面図または下面図)のことである。また、本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する電極積層体の積層方向に基づく厚み方向に対して略垂直な方向からみたときの断面状態(断面図)のことである。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。
(実施の形態1)
本発明の一態様に係る固体電池Aの構成について、図1~3を参照して説明する。固体電池Aは、対向する第1端面1Aと第2端面1Bと、第1端面1Aと第2端面1Bとの間に配置される周面1Cとを有し、概ね矩形体状の電池素子1と、第1端面1Aと周面1Cの第1端面1A側を覆う第1外部電極2と、第2端面1Bと周面1Cの第2端面1B側を覆う第2外部電極3と、を有する。
[固体電池の構成]
固体電池は、正極層と負極層という極性の異なる2つの電極層を固体電解質層を介して交互に積層された複数の電極層からなる電極積層体であって、正極層/固体電解質層/負極層からなる電池構成単位を1つ以上と、必要に応じて中間層や外装材を備える(以下、1つ以上の電池構成単位を電池素子といい、中間層と外装材を備える電池素子を外装電池素子という)。図2に示すように、正極層4と負極層5は互いに逆方向に引き出されて、それぞれ第1端面1Aと第2端面1Bに露出して、それぞれ、第1外部電極2(正極端子)と第2外部電極3(負極端子)に接続されている。また、正極層4の底面には集電体層7が設けられている。さらに、電池構成単位U1の最上層の負極層5の上面には中間層8が設けられ、電池構成単位の最下層の正極層4の集電体層7の底面には中間層9が設けられている。さらに、中間層8の上面には外装材10Aが設けられ、中間層9の底面には外装材10Bが設けられている。さらに、負極層5の上面を覆う中間層8のせり出し部分と固体電解質層6との間には外装材10Dが設けられ、負極層5の端面を保護している。また、集電体層7の底面を覆う中間層9のせり出し部分と固体電解質6との間には外装材10Cが設けられ、正極層4の第2端面1B側の端面と集電体層7の端面を保護している。また、集電体層7の第1端面1A側のせり出し部分と固体電解質6との間には外装材10Cが設けられ、正極層4の第1端面1A側の端面を保護している。なお、図2では、電池素子1が電池構成単位を1つ含む例を示しているが、電池構成単位の数はこれに限定されない。
(電極層)
電極層を構成する正極層と負極層は、上面および/または底面に、平面視で、中央部と、中央部を囲む外縁部とを有する。図3は、電極層の構造の一例を示す模式断面図と模式平面図であり、図2の正極層4の例を示している。
固体電池は、後述するように、スクリーン印刷等の印刷法を用いて製造することができる。本発明者らは、基材の両端部にスクリーン等を用いて非塗布部を設ける印刷法では塗布層の端部(耳部)が盛り上がる現象(耳高)に着目し、この端部の厚さを制御することで、内部抵抗の低減や短絡防止が可能となることを見出したものである。電極層、例えば、一例を示す正極層4は、上面に、中央部4Aと、中央部4Aを囲む、盛り上がった領域である外縁部4Bとを有している。言い換えると、正極層4の外縁部4Bは、中央部4Aに対して、固体電解質層6側に向けて突出している(盛り上がっている)。ここで、中央部とは、電池構成単位の積層方向に直交する方向に引かれた仮想の中心線CLを含む領域であって外縁部に囲まれている領域である。塗布層の耳部は、塗布直後は角状の断面形状を有するが、積層時に加圧されることにより、変形し、図3のように潰された断面形状となる。外縁部4Bの幅aは、正極層4の長さをLとすると、a/Lが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。また、正極層4の幅をWとすると、a/Wが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。例えば、電極層の主面が平面視で8mm×4mmの大きさを有する場合、外縁部4Bの幅aは1mm程度である。また、外縁部4Bは最大膜厚bを有し、中央部4Aは平均膜厚cを有する。
本発明では、正極層と負極層の少なくとも一方の電極層は、外縁部の膜厚の最大値と中央部の平均膜厚が、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34、
の関係を満たし、かつ、
固体電解質層の平均膜厚と電極層の中央部の平均膜厚が、
(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)>0.35、
の関係を満たす。
上記の通り、印刷法では、塗布層の端部が盛り上がるため、電極層の外縁部の最大膜厚は中央部の平均膜厚よりも大きくなり、電極層間の短絡(以下、ショートともいう)が発生し易い構造となっている。そのため、短絡を防止する観点からは、外縁部の盛り上がりを減らすことが考えられる。しかし、外縁部の盛り上がりを減らすことは内部抵抗の増加をもたらす可能性がある。そこで、本発明では、内部抵抗低減と短絡防止を両立させるという観点から、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34、
とすることで、電極層の間隔を小さくして内部抵抗を低減する一方、
(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)>0.35、
とすることで、短絡を防止するのに必要な固体電解質の膜厚を確保し、短絡を防止している。
さらに、固体電解質層の平均膜厚と電極層の中央部の平均膜厚と電極層の外縁部の膜厚の最大値が、
(固体電解質層の平均膜厚)―{(外縁部の膜厚の最大値)―(中央部の平均膜厚)}>0
の関係を満たすことが好ましい。
さらに、正極層と負極層が、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34、
の関係を満たすことが好ましい。
さらに好ましくは、正極層および負極層が、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.2、
の関係を満たすことである。
なお、本発明における、中央部の平均膜厚とは、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ製 ArBlade)により電極をミリングし、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S-4700、加速電圧3kV、1000倍)により、電極の中央部の連結画像を撮影し、中央部の面方向の端から端までを等間隔に20点とり、その20点の厚みの平均値を算出したものをいう。
(正極層)
正極層は、正極活物質と固体電解質とを含む。固体電解質が、バインダとしての機能を有していてもよい。正極層は、必要に応じて導電性材料をさらに含んでいてもよい。
正極活物質は、例えば、電極反応物質であるリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極材料を含む。この正極材料は、高いエネルギー密度が得られる観点から、リチウム含有化合物またはナトリウム含有化合物等であることが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、およびスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物として、例えば、Li(POを挙げることができる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、例えば、LiFe(PO、LiFePO、および/またはLiMnPO等を挙げることができる。リチウム含有層状酸化物としては、例えば、LiCoO、および/またはLiCo1/3Ni1/3Mn1/3等を挙げることができる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等としては、例えば、LiMn、および/またはLiNi0.5Mn1.5等を挙げることができる。
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
この他、正極活物質は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子等でもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガン等である。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデン等である。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブ等である。導電性高分子は、例えば、ジスルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラスチレン、ポリアセチレンまたはポリアセン等である。
正極層に含まれる固体電解質は、酸化物系無機固体電解質としてリチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスを含むことが好ましい。リチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスは、固体電解質層に含まれるリチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスと同様のものであることが好ましい。但し、正極層と固体電解質層とに含まれるリチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスの成分または組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
導電性材料は、例えば、炭素材料、金属、金属酸化物および導電性高分子等のうちの少なくとも1種である。炭素材料としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブ等のうちの少なくとも1種を用いることができる。炭素繊維、カーボンブラック、カーボンナノチューブとしては、例えば、後述する正極層用集電体層と同様の材料を用いることができる。金属としては、例えば、Ni粉末等を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、SnO2等を用いることができる。導電性高分子としては、例えば、置換または無置換のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらから選ばれる1種または2種からなる(共)重合体等のうちの少なくとも1種を用いることができる。なお、導電性材料は、導電性を有する材料であればよく、上述の例に限定されるものではない。
正極層の膜厚は、5μm以上60μm以下、好ましくは8μm以上50μm以下であってよい。また、5μm以上30μm以下であってもよい。
また、正極活物質粒子の粒子径は、特に限定されないが、短絡防止の観点からは、粒子径が小さいことが好ましい。しかし、小さすぎると正極層の電気抵抗が増加する。特に、正極層に固体電解質が含まれる場合、固体電解質が正極活物質粒子を覆うことで電子伝導パスが減少し、正極層の電気抵抗が増加する。そのため、正極活物質粒子の最大粒子径が、5μm以上30μm以下であることが好ましい。なお、最大粒子径は、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ製 AirBlade)により正極をミリングし、走査型電子顕微鏡によりセルの断面を観察(日立製作所製 S-4700、加速電圧3kV)し、各粒子のもっとも長い箇所を粒子径とし、粒子径でもっとも大きかった値を最大粒子径とした。
(正極層用集電体層)
正極層用集電体層は、箔の形態を有していてもよいが、一体焼成による固体電池の製造コスト低減および固体電池の内部抵抗などの観点から、焼成体の形態を有していてよい。正極層用集電体層は、導電性粒子粉末と無機バインダとを含んでよい。導電粒子は、例えば、炭素粒子および金属粒子のうちの少なくとも1種を含んでよい。炭素粒子としては、例えば、グラファイト(黒鉛)、炭素繊維、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブ等のうちの少なくとも1種を用いることができる。炭素繊維としては、例えば、気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Growth Carbon Fiber)等を用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラック等のうちの少なくとも1種を用いることができる。カーボンナノチューブとしては、例えば、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、ダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT)等のマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)等を用いることができる。金属粒子としては、例えば、Ni粒子等を用いることができる。但し、導電性粒子は、上述のものに特に限定されるわけではない。なお、正極層用集電体層は、電極層の必須要素ではない。
無機バインダは、リチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスを含むことが好ましい。リチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスは、焼成していることが好ましい。リチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスは、固体電解質層に含まれるリチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスと同様のものであることが好ましい。但し、集電体層と固体電解質層とに含まれるリチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスの成分または組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
集電体層は、例えば、Al、Niまたはステンレス鋼等を含む金属層であってもよい。上記金属層の形状は、例えば、箔状、板状またはメッシュ状等であってよい。
(負極層)
負極層は、負極活物質と固体電解質とを含む。固体電解質が、バインダとしての機能を有していてもよい。負極層は、必要に応じて導電性材料をさらに含んでいてもよい。また、負極層には必要に応じて集電体層を設けてもよい。
負極活物質は、例えば、電極反応物質であるリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料を含んでよい。この負極材料は、高いエネルギー密度が得られる観点から、炭素材料および金属系材料のうちの少なくとも1種を含むことが好ましいが、これに限定されるものではない。負極活物質は電気伝導度を有することが好ましい。このような機能を有する負極活物質は、炭素材料を含むことが好ましい。炭素材料は、高いエネルギー密度および高い電気伝導度が得られる観点から、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよび炭素繊維のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、これらの炭素材料のうちでもグラファイトを含むことが特に好ましい。負極層が、導電性材料として金属系材料をさらに含んでいてもよい。金属系材料の負極活物質は、例えば、リチウムまたはナトリウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素を構成元素として含む材料でよい。より具体的には、例えば、金属系材料は、Ti(チタン)、Si(ケイ素)、Sn(スズ)、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、Mg(マグネシウム)、B(ホウ素)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Cd(カドミウム)、Ag(銀)、Zn(亜鉛)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Y(イットリウム)、Pd(パラジウム)またはPt(白金)などの単体、合金または化合物のいずれか1種または2類以上としてよい。但し、単体は、純度100%に限らず、微量の不純物を含んでいてもよい。合金または化合物としては、例えば、SiB、TiSi、SiC、Si、SiOv(0<v≦2)、LiSiO、SnOw(0<w≦2)、SnSiO、LiSnO、MgSnなどが挙げられる。また、負極層に含まれる負極活物質としては、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ならびに、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO、および/またはLiTi(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO、および/またはLiCuPO等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiTi12等が挙げられる。
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
負極層に含まれる固体電解質は、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスを含むことが好ましい。リチウム含有酸化物ガラスは、固体電解質層に含まれるリチウム含有酸化物ガラスと同様のものであることが好ましい。但し、負極層と固体電解質層とに含まれるリチウム含有酸化物ガラスの成分または組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
導電性材料としては、上述の正極層に含まれる導電性材料と同様のものを用いることができる。
負極層の膜厚は、5μm以上60μm以下、好ましくは8μm以上50μm以下であってよい。また、5μm以上30μm以下であってよい。
(固体電解質層)
固体電解質層は、酸化物系無機固体電解質を含む。固体電解質層が酸化物系無機固体電解質を含むことで、大気(水分)に対する固体電解質層の安定性を向上することができる。酸化物系無機固体電解質は、リチウムまたはナトリウム含有酸化物ガラスを含むことが好ましい。ここで、ガラスとは、X線回折や電子線回折等においてハローが観測される等、結晶学的に非晶質であるものをいう。酸化物系無機固体電解質は、焼成していることが好ましい。固体電解質層の強度およびリチウムイオン伝導度またはナトリウムイオン伝導度を向上することができるからである。
リチウム含有酸化物ガラスとしては、Ge、Si、BおよびPのうちの少なくとも1種と、Liと、O(酸素)とを含むものが好ましく、Si、B、LiおよびOを含むものがより好ましい。具体的には、酸化ゲルマニウム(GeO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ホウ素(B23)および酸化リン(P25)のうちの少なくとも1種と、酸化リチウム(Li2O)とを含むものが好ましく、SiO2、B23およびLi2Oを含むものがより好ましい。また、ナトリウム含有酸化物ガラスも同様のことが云える。
また、具体的な固体電解質として、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等としてもよい。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、Li(PO)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれる少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、LiLaZr12等が挙げられる。
なお、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、Na(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
なお、上記各酸化物の含有量は、リチウム含有酸化物ガラス中における各酸化物の含有量であり、具体的には、上記の各酸化物の含有量の合計量(mol)に対する各酸化物の含有量(mol)の割合を百分率(mol%)で示している。各酸化物の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)等を用いて測定することが可能である。
固体電解質層の膜厚は、1.8μm以上21.0μm以下、好ましくは2.0μm以上21.0μm以下としてよい。また、1μm以上5μm以下としてもよい。
(外装材)
外装材は、一般に固体電池の最外側に形成され得るもので、電気的、物理的および/または化学的に保護するためのものである。外装材は絶縁性、耐久性および/または耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。外装材は、セラミックス粉末と無機バインダとを含んでよい。
セラミックスは、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物のうちの少なくとも1種を含んでよい。ここで、金属には、半金属が含まれるものと定義する。より具体的には、粒子は、Al23(酸化アルミニウム:アルミナ)、SiO2(酸化ケイ素:石英)、SiN(窒化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)およびSiC(炭化ケイ素)のうちの少なくとも1種を含む。粒子粉末が1種の粒子を含んでいてもよいし、2種以上の粒子を含んでいてもよい。
無機バインダは、リチウム含有酸化物ガラスを含むことが好ましい。リチウム含有酸化物ガラスは、焼成していることが好ましい。リチウム含有酸化物ガラスは、固体電解質層に含まれるリチウム含有酸化物ガラスと同様のものであることが好ましい。但し、外装材と固体電解質層とに含まれるリチウム含有酸化物ガラスの成分または組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(正極端子および負極端子)
正極端子および負極端子は、例えば、導電性粒子粉末を含んでよい。導電性粒子は焼成されていてもよい。正極端子および負極端子は、必要に応じて、無機バインダとしてガラスをさらに含んでいてもよい。ガラスは焼成されていてもよい。
導電性粒子の形状としては、例えば、球状、楕円体状、針状、板状、鱗片状、チューブ状、ワイヤー状、棒状(ロッド状)または不定形状等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。なお、上記形状の粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
導電性粒子は、金属粒子、金属酸化物粒子または炭素粒子であってよい。ここで、金属には、半金属が含まれるものと定義する。金属粒子としては、例えば、Ag、Pt、Au、Ni、Cu、Pd、AlおよびFeのうちの少なくとも1種を含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
金属酸化物粒子としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛-酸化錫系、酸化インジウム-酸化錫系または酸化亜鉛-酸化インジウム-酸化マグネシウム系等を含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
炭素粒子としては、例えば、カーボンブラック、ポーラスカーボン、炭素繊維、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルまたはナノホーン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ガラスは、例えば、酸化物ガラスを含む。酸化物ガラスは、固体電解質層に含まれる酸化物ガラスと同様のものであることが好ましい。但し、正極端子および負極端子と集電体層に含まれる酸化物ガラスの成分または組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(中間層)
中間層は、固体電解質を含んでよい。固体電解質は、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスを含むことが好ましい。リチウム含有酸化物ガラスは、固体電解質層に含まれるリチウム含有酸化物ガラスと同様のものであることが好ましい。但し、中間層と固体電解質層とに含まれるリチウム含有酸化物ガラスの成分または組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[固体電池の製造方法]
以下、本実施の形態に係る固体電池の製造方法の一例について説明する。なお、一例としてリチウムイオンを吸蔵放出可能な固体電池について説明するが、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な固体電池としてもよい。
(固体電解質層作製用グリーンシートの作製工程)
まず、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスと、有機バインダとを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、固体電解質層作製用ペーストを作製する。
有機バインダとしては、例えば、アクリル樹脂等の高分子バインダを用いることができる。溶媒としては、合剤粉末を分散できるものであれば特に限定されないが、固体電解質層作製用ペーストに含まれるリチウム含有酸化物ガラスのガラス転移温度よりも低い温度領域で焼失するものが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールまたはt-ブタノール等の炭素数が4以下の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオールまたは2-メチル-1,3-プロパンジオール等の脂肪族グリコール、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエチルアミン等のアミン類、テルピネオール等の脂環族アルコールおよび/または酢酸ブチル等を単独または2種以上混合して用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。分散方法としては、例えば、攪拌処理、超音波分散処理、ビーズ分散処理、混錬処理、ホモジナイザー処理等が挙げられる。以下に説明する各ペーストの作製工程において用いられる有機バインダおよび溶媒としては、固体電解質層作製用ペーストと同様の材料を例示することができる。
次に、支持基材の表面に電解質ペーストを均一に塗布することにより、ペースト層を形成する。支持基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の高分子樹脂フィルムを用いることができる。ここで、塗布には、印刷が含まれるものと定義する。塗布方法としては、例えば、ダイコート法、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、リバースロールコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、ディップ法、スピンコート法、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法またはスクリーン印刷法等を用いることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
後工程にて固体電解質層作製用グリーンシートを支持基材の表面から剥がしやすくするために、支持基材の表面に剥離処理を予め施しておくことが好ましい。剥離処理としては、例えば、剥離性を付与する組成物を支持基材の表面に予め塗布または印刷する方法が挙げられる。剥離性を付与する組成物としては、例えば、バインダを主成分とし、ワックスまたはフッ素等が添加された塗料、またはシリコーン樹脂等が挙げられる。
次に、ペースト層を乾燥することにより、支持基材上に固体電解質層前駆体としての固体電解質層作製用グリーンシートを作製する。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、熱風等による送風乾燥、赤外線または遠赤外線等による加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。これらの乾燥方法を単独で用いてもよいし、2以上組み合わせて用いてもよい。
(正極層作製用ペーストの作製工程)
まず、正極活物質と、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスと、有機バインダと、必要に応じて導電性材料とを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、正極層作製用ペーストを作製する。
(負極層作製用ペーストの作製工程)
まず、負極活物質と、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスと、有機バインダと、必要に応じて導電性材料とを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、負極層作製用ペーストを作製する。
(正極集電体層作製用ペーストの作製工程)
まず、導電粒子と、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスと、有機バインダとを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、正極集電体層作製用ペーストを作製する。
(外装材作製用ペーストの作製)
まず、アルミナと、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスと、有機バインダとを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、外装材作製用ペーストを作製する。
(正極層作製用グリーンシートの作製)
中間層作製用グリーンシートの主面に、正極集電体層作製用ペーストを印刷し、正極集電体層ペースト層を形成した後、正極集電体層ペースト層の周りの未塗布部に外装材作製用ペーストを印刷した。
次に、正極集電ペースト層上に、正極層作製用ペーストを印刷し、正極ペースト層の周りに外装材作製用ペーストを印刷し、正極層作製用グリーンシートを作製する。
(負極層作製用グリーンシートの作製)
固体電解質層作製用グリーンシートの主面に、負極層作製用ペーストを印刷し、負極ペースト層を形成した後、負極ペースト層の周りの未塗布部に外装材作製用ペーストを印刷し、負極層作製用グリーンシートを作製する。
(外装材作製用グリーンシートの作製工程)
まず、セラミックス粉末と、有機バインダと、必要に応じて粒子粉末とを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、外装材作製用ペーストを作製する。
次に、外装材作製用ペーストを用いる以外は、上述の“固体電解質層作製用グリーンシートの作製工程”と同様にして、支持基材上に外装材前駆体としての外装材作製用グリーンシートを作製する。
(中間層形成用グリーンシートの作製工程)
まず、酸化物系無機固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスと、有機バインダとを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、中間層作製用ペーストを作製する。
次に、中間層作製用ペーストを用いる以外は、上述の“固体電解質層作製用グリーンシートの作製工程”と同様にして、支持基材上に中間層前駆体としての中間層作製用グリーンシートを作製する。
(導電性ペーストの作製工程)
導電性粒子粉末と、有機バインダと、必要に応じて無機バインダとして酸化物ガラスとを混合して、合剤粉末を調製したのち、この合剤粉末を溶媒に分散させて、正極端子、負極端子作製用の導電性ペーストを作製する。
(電池素子の作製工程)
まず、正極層作製用グリーンシートと負極層作製用グリーンシートの支持基材を剥がし、正極層作製用グリーンシートの正極層の面と、負極層作製用グリーンシートの電解質層の面が接するように積層し、その外側に中間層作製用グリーンシートを積層し、中間層作製用グリーンシート上にそれぞれ外装材作製用グリーンシートを配置した。
次に、積層体を構成する各グリーンシートを圧着する。圧着の方法としては、例えば、CIP(Cold Isostatic Press)、ホットプレス法または温間等方圧プレス(WIP:Warm Isostatic Press)法等が挙げられる。続いて、積層体を加熱することにより、積層体を構成する各グリーンシートに含まれるバインダを燃焼(脱脂)させる。その後、積層体を焼成することにより、積層体を構成する各グリーンシートに含まれる酸化物ガラスを加熱焼成させる。これにより、外装電池素子が得られる。
積層体を構成する各グリーンシートに含まれる酸化物ガラスは、同一またはほぼ同一のガラス転移温度を有していることが好ましい。この場合、積層体を構成する各グリーンシートに含まれる酸化物ガラスを同一温度またはほぼ同一温度で焼成可能となるので、積層体を構成する各グリーンシートに含まれる酸化物ガラスを同時またはほぼ同時に焼成することができる。したがって、電池の作製工程を簡略化することができる。
(端子の作製工程)
まず、外装電池素子の第1端面と第2端面にそれぞれ導電性ペーストをディップする。その後、外装電池素子を焼成することにより、導電性ペーストに含まれる導電性粒子を焼成させる。以上により、目的とする電池が得られる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、正極層が中央部と外縁部を有する例について説明したが、本発明においては、負極層が中央部と外縁部を有することもできる。
図4は、本実施の形態に係る固体電池Bの電極層の構造の一例を示す模式断面図であり、負極層が中央部と外縁部を有する以外は、実施の形態1と同様の構造を有している。一例を示す負極層5は、上面に、中央部5Aと、中央部5Aを囲む、盛り上がった領域である外縁部5Bとを有している。ここで、(固体電解質層の平均膜厚)と(中央部の平均膜厚)は、略等しいことが好ましい。言い換えると、(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)≒1であってよい。なお、本明細書に記載された「等しい」とは、±10%の誤差を包含することを意図しており、本実施の形態では、0.9≦(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)≦1.1を包含してよい。外縁部5Bの幅aは、負極層5の長さをLとすると、a/Lが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。また、負極層5の幅をWとすると、a/Wが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。例えば、電極層の主面が平面視で8mm×4mmの大きさを有する場合、外縁部5Bの幅aは1mm程度である。また、外縁部5Bは最大膜厚bを有し、中央部5Aは平均膜厚cを有する。
本実施の形態でも、実施の形態1の場合と同様に、負極層の作製に関しても、塗布層の耳部は、塗布直後は角状の断面形状を有するが、積層時に加圧されることにより、変形し、潰された断面形状となり、外縁部が形成される。
本実施の形態においても、
負極層は、外縁部の膜厚の最大値と中央部の平均膜厚が、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34、
の関係を満たし、かつ、
固体電解質層の平均膜厚と負極層の中央部の平均膜厚が、
(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)>0.35、
の関係を満たし、内部抵抗低減と短絡防止を両立させることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1では、正極層が中央部と外縁部を有する例について説明したが、本発明においては、正極層と負極層の両方が中央部と外縁部を有することもできる。
図5は、本実施の形態に係る固体電池Cの電極層の構造の一例を示す模式断面図であり、正極層と負極層の両方が中央部と外縁部を有する以外は、実施の形態1と同様の構造を有している。一例を示す負極層5は、上面に、中央部5Aと、中央部5Aを囲む、盛り上がった領域である外縁部5Bとを有するとともに、底面にも、中央部5Cと、中央部5Cを囲む、盛り上がった領域である外縁部5Dとを有する。言い換えると、負極層5の外縁部5Bは、中央部5Aに対して、固体電解質層6に向けて突出しており(盛り上がっており)、負極層5の外縁部5Dは、中央部5Aに対して、固体電解質層6とは反対側に向けて突出している(盛り上がっている)。また、一例を示す正極層4は、上面に、中央部4Aと、中央部4Aを囲む、盛り上がった領域である外縁部4Bとを有するとともに、底面にも、中央部4Cと、中央部4Cを囲む、盛り上がった領域である外縁部4Dとを有する。言い換えると、正極層4の外縁部4Bは、中央部4Aに対して、固体電解質層6に向けて突出しており(盛り上がっており)、正極層4の外縁部4Dは、正極層の中央部4Aに対して、積層方向における固体電解質層6とは反対側に向けて突出している(盛り上がっている)。また、正極層4の外縁部4Bに押されることで、集電体層7でも、外縁部4Bの直下の部分に、中間層9に突き出た凸部7Dが形成される。なお、中間層が固体電解質層と同じガラス電解質であると、焼成時に固体電解質層と中間層は同程度軟化するため、正極層と負極層は上面と底面の両方の外縁部が盛り上がった凸形状となる。したがって、正極層4および負極層5の外縁部同士(4B,D)の距離が外縁部の突出する分だけ近くなり、内部抵抗が低減される。
負極層5の外縁部5B,5Dの幅aは、負極層5の長さをLとすると、a/Lが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。また、負極層5の幅をWとすると、a/Wが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。例えば、電極層の主面が平面視で8mm×4mmの大きさを有する場合、外縁部5B,5Dの幅aは1mm程度である。また、外縁部5Bと外縁部5Dは共通する最大膜厚bを有し、中央部5Aと中央部5Cは共通する平均膜厚cを有する。また、正極層4も同様に、外縁部4B,4Dの幅aは、正極層4の長さをLとすると、a/Lが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。また、正極層4の幅をWとすると、a/Wが0.03以上0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下の範囲である。
本実施の形態でも、実施の形態1の場合と同様に、塗布層の耳部は、塗布直後は角状の断面形状を有するが、積層時に加圧されることにより、変形し、潰された断面形状となり、正極層と負極層の各層の上面および底面の両端部に外縁部が形成される。
本実施の形態においても、
正極層と負極層は、外縁部の膜厚の最大値と中央部の平均膜厚が、
1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34、
の関係を満たし、かつ、
固体電解質層の平均膜厚と、正極層と負極層の中央部の平均膜厚が、
(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)>0.35、
の関係を満たし、内部抵抗低減と短絡防止を両立させることができる。
以下の実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例では、図5に示す構成を有する電池を以下のようにして作製した。
(固体電解質層作製用グリーンシートの作製)
まず、固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスとアクリルバインダとを、リチウム含有酸化物ガラス:アクリルバインダ=70:30の質量比で混合した。次に、得られた混合物を酢酸ブチルに固形分が30質量%になるように混合したのち、これを5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、固体電解質層作製用ペーストを得た。続いて、このペーストを離形フィルム上に塗布し、80℃で10分乾燥させることにより、固体電解質層前駆体として固体電解質層作製用グリーンシートを作製した。次に、このグリーンシートを離形フィルムと共に矩形状に切断したのち、離形フィルムから剥離した。これにより、矩形状の固体電解質層作製用グリーンシートを得た。
(正極層作製用ペーストの作製)
まず、正極活物質として粒度分布のDmaxが10μmであるコバルト酸リチウム(LiCoO)と、固体電解質(および無機バインダ)としてリチウム含有酸化物ガラスとを、コバルト酸リチウム:リチウム含有酸化物ガラス=75:25の質量比で混合した。ここで、粒度分布計(マイクロトラック社製MT3300EXII-SDC)で粒度分布を測定し、この粒度分布の最大粒子径をDmaxとした。次に、得られた混合物とアクリルバインダとを、混合物(コバルト酸リチウム+リチウム含有酸化物ガラス):アクリルバインダ=70:30の質量比で混合したのち、これを酢酸ブチルに固形分が30質量%になるように混合した。そして、得られた混合物を5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、正極層作製用ペーストを得た。
(負極層作製用ペーストの作製)
まず、負極活物質として炭素粉末と、固体電解質(および無機バインダ)としてリチウム含有酸化物ガラスとを、炭素粉末:リチウム含有酸化物ガラス=70:30の質量比で混合した。次に、得られた混合物とアクリルバインダとを、混合物(炭素粉末+リチウム含有酸化物ガラス):アクリルバインダ=70:30の質量比で混合したのち、これを酢酸ブチルに固形分が30質量%になるように混合した。そして、得られた混合物を5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、負極層作製用ペーストを得た。
(正極集電体層作製用ペーストの作製)
まず、導電材料として炭素粉末と、固体電解質(および無機バインダ)としてリチウム含有酸化物ガラスとを、炭素粉末:リチウム含有酸化物ガラス=70:30の質量比で混合した。次に、得られた混合物とアクリルバインダとを、混合物(炭素粉末+リチウム含有酸化物ガラス):アクリルバインダ=70:30の質量比で混合したのち、これを酢酸ブチルに固形分が30質量%になるように混合した。そして、得られた混合物を5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、正極集電体層作製用ペーストを得た。
(外装材作製用ペーストの作製)
まず、リチウム含有酸化物ガラスと、粒子粉末としてアルミナ粒子粉末とを、リチウム含有酸化物ガラス:アルミナ粒子粉末=50:50の質量比で混合した。次に、得られた混合物とアクリルバインダとを混合物(リチウム含有酸化物ガラス+アルミナ粒子粉末):アクリルバインダ=70:30の質量比で混合したのち、これを酢酸ブチルに固形分が30質量%になるように混合した。そして、得られた混合物を5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、外装材作製用ペーストを得た。
(外装材作製用グリーンシートの作製)
まず、“外装材作製用ペーストの作製工程”と同様にして外装材作製用ペーストを得た。続いて、このペーストを離形フィルム上に塗布し、80℃で10分乾燥させることにより、外装材前駆体として外装材作製用グリーンシートを作製した。次に、このグリーンシートを離形フィルムと共に矩形状に切断したのち、離形フィルムから剥離した。これにより、矩形状の外装材作製用グリーンシートを得た。
(中間層作製用グリーンシートの作製)
まず、固体電解質としてリチウム含有酸化物ガラスとアクリルバインダとを、リチウム含有酸化物ガラス:アクリルバインダ=70:30の質量比で混合した。次に、得られた混合物を酢酸ブチルに固形分が30質量%になるように混合したのち、これを5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、中間層作製用ペーストを得た。続いて、このペーストを離形フィルム上に塗布し、80℃で10分乾燥させることにより、中間層前駆体として中間層作製用グリーンシートを作製した。
(電池素子の作製)
中間層作製用グリーンシートの主面に、集電ペースト層を印刷する。このとき、集電ペースト層は、正極の端子を引き出す方向に対して正極ペースト層よりも長めに印刷した。集電ペースト層を囲うように外装材作製用ペーストを印刷した。次に集電ペースト層の上に、正極ペースト層を印刷する。この表面の4辺に沿ったロ字状の未塗布部が形成されるように正極層作製用ペーストを正極ペースト層が13.5μmとなるようにスクリーン印刷した。このとき、樹脂厚3μmのスクリーン印刷版を使用した。ロ字状の未塗布部に外装材作製用ペーストを印刷し、正極印刷膜とした。
次に、固体電解質層作製用グリーンシートの主面に、この表面の3辺に沿ったコ字状の未塗布部が形成されるように負極層作製用ペーストを印刷し、負極ペースト層を形成した。このとき、樹脂厚3μmのスクリーン印刷版を使用した。コ字状の未塗布部に外装材作製用ペーストを印刷し、負極層作製用グリーンシートとした。
正極層作製用グリーンシートと負極層作製用グリーンシートの支持基材を剥がし、正極層作製用グリーンシートの正極層の面と、負極層作製用グリーンシートの電解質層の面が接するように積層した。次に、中間層作製用グリーンシートを配置したのち、これらの中間層作製用グリーンシート上にそれぞれ外装材作製用グリーンシートを配置した。その後、積層体を50℃以上で仮圧着したのち、アクリル系樹脂バインダを250℃以上で燃焼させ、積層体に含まれるリチウム含有酸化物ガラスおよびセラミックス粉末を500℃以下で焼成した。これにより、電池素子が得られた。
(端子の作製)
まず、導電性粒子粉末としてAg粉末(大研化学工業社製)と酸化物ガラス(Bi-B系ガラス、旭硝子社製、ASF1096)とを所定の質量比で混合した。次に、得られた混合物とアクリルバインダとを混合物(Ag粉末+酸化物ガラス):アクリルバインダ=70:30の質量比で混合したのち、これをテルピネオールに固形分が50質量%になるように混合した。そして、得られた混合物を5mmφのジルコニアボールとともに、4時間攪拌することにより、導電性ペーストを得た。次に、この導電性ペーストを離形フィルム上に塗布したのち、電池素子の第1端面と第2の端面に導電性ペーストを付着させ、400℃で1時間焼成することにより、正極端子と負極端子を形成した。これにより、目的とする固体電池が得られた。
(電極層外縁部の膜厚の評価)
電池特性評価を行わなかった1個の電池について、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ製 AirBlade)により電極をミリングし、正極層と負極層の外縁部の断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S-4700、加速電圧3kV、1000倍)により、外縁部の連結画像を撮影し、膜のもっとも厚い箇所を外縁部の最大膜厚とした。
(電極層中央部の膜厚の評価)
電池特性評価を行わなかった1個の電池について、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ製 AirBlade)により電極をミリングし、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S-4700、加速電圧3kV、1000倍)により、正極層と負極層の中央部の断面の連結画像を撮影し、中央部の面方向の端から端までを等間隔に20点とり、その20点の厚みを平均し、平均厚みとした。
(固体電解質層の膜厚の評価)
電池セル評価を行わなかった1個の電池について、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ製 AirBlade)により固体電解質層をミリングし、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S-4700、加速電圧3kV、1000倍)により、電解質層の断面の連結画像を撮影し、電解質層の面方向の端から端までを等間隔に20点とり、その20点の厚みを平均し、平均厚みとした。
(正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径の評価)
電池特性評価を行わなかった1個の電池について、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ製 AirBlade)により正極層をミリングし、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S-4700、加速電圧3kV)により、正極外縁部の断面の連結画像を撮影し、各粒子のもっとも長い箇所を粒子径とし、粒子径で最も大きかった値を正極活物質粒子の最大粒子径とした。正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径は10μmであった。
(電池の内部抵抗の評価)
以下の充電条件にて充電を行い、以下の放電条件にて放電を開始した直後の電圧変化ΔVから以下の式にて内部抵抗を算出した。
(内部抵抗)=ΔV/A
測定環境条件:23℃
充電条件:CCCV 4.35V、0.05C/0.01Ccut
放電条件:CC 0.1C、2.0Vcut
次に、実施例1~7、比較例2、3の内部抵抗を、比較例1の内部抵抗を100%とした相対値に変換した。結果を表1に示す。
(ショート発生率の評価)
以下の充電条件にて充電を開始してから30時間経過してもCV充電が終了しない電池をショートセルとし、以下の式にてショート発生率を算出した。結果を表1に示す。
(ショート発生率)=(ショートセル数)/(総セル数)
測定環境条件:23℃
充電条件:CCCV 4.35V、0.05C/0.01Ccut
実施例2
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を6μmに変更し、負極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を6μmに変更し、粒度分布のDmaxが25μmであるコバルト酸リチウムを用いて正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径を25μmに変更した以外は、実施例1の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を14μmに変更し、負極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を14μmに変更し、正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径を23μmに変更した以外は、実施例2の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
負極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を1μmに変更し、正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径を24μmに変更した以外は、実施例3の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を1μmに変更し、正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径を25μmに変更した以外は、実施例4の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
負極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を16μmに変更し、正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径を25μmに変更した以外は、実施例4の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例7
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を16μmに変更し、正極層外縁部に含まれる正極活物質粒子の最大粒子径を24μmに変更した以外は、実施例5の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を0μmに変更し、負極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を0μmに変更した以外は、実施例1の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を15μmに変更し、負極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の樹脂厚を16μmに変更した以外は、実施例1の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
正極層作製用ペースト塗布時のスクリーン印刷版の総厚みを実施例1の印刷版に対して2倍に変更し、正極層作製用ペーストを正極層が18.5μmとなるようにスクリーン印刷した以外は、実施例1の同様の方法で電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007276605000001
実施例1~7によれば、比較例1~3に比し、内部抵抗が低く、ショート発生率の低い固体電池が得られた。
本発明の固体電池は、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。
1 電池素子
1A 第1端面
1B 第2端面
1C 周面
2 第1外部電極
3 第2外部電極
4 正極層
4A 中央部
4B 外縁部
4C 中央部
4D 外縁部
5 負極層
5A 中央部
5B 外縁部
5C 中央部
5D 外縁部
6 固体電解質
7 集電体層
7D 集電体層の凸部
8 中間層
9 中間層
10A 外装材
10B 外装材
10C 外装材
10D 外装材
11 電池素子
21 電池素子
U1 電池構成単位

Claims (8)

  1. 固体電解質層を介して積層された正極層と負極層を含む電池構成単位を1つ以上備えた固体電池であって、
    前記正極層と前記負極層は、平面視で、中央部と、前記中央部を囲む外縁部とを有し、
    前記正極層と前記負極層の少なくとも一方は、
    1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34
    であり、
    (固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)>0.35
    である固体電池。
  2. 前記正極層と前記負極層の少なくとも一方は、
    (固体電解質層の平均膜厚)―{(外縁部の膜厚の最大値)―(中央部の平均膜厚)}>0である、請求項1記載の固体電池。
  3. 前記正極層および前記負極層は、
    1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34
    である、請求項1または2に記載の固体電池。
  4. 前記正極層および前記負極層は、
    1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.20
    である、請求項1または2に記載の固体電池。
  5. 前記正極層は、
    1.05≦(外縁部の膜厚の最大値)/(中央部の平均膜厚)<1.34
    である、請求項1または2に記載の固体電池。
  6. 前記固体電解質層の膜厚は、
    0.9≦(固体電解質層の平均膜厚)/(中央部の平均膜厚)≦1.1
    である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電池。
  7. 前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の前記外縁部は、前記中央部に対して、前記固体電解質層側に向けて突出している、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電池。
  8. 前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の前記外縁部は、前記中央部に対して、前記固体電解質層とは反対側に向けて突出している、請求項7に記載の固体電池。
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