JP7274743B2 - 最終到達身長算出装置及び筋肉・内臓年齢評価装置 - Google Patents

最終到達身長算出装置及び筋肉・内臓年齢評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、最終到達身長算出装置及び筋肉・内臓年齢評価装置に関する。
身長は国民にとって興味深い事項で有り、特にアスリートにとって身長の大きさは重大な関心事項である。
男子の場合、10歳頃にいったん身長の伸びる速度が低下するがその後は急激に身長の伸びる速度が高まり、12~13歳頃にはピークに達して身長が伸びやすい時期となる。
一方、女子の場合、10~12歳の間に成長ホルモンの分泌が活発になり、身長が伸びるピークを迎える。小学校の高学年(9~11歳)の頃は、成長ホルモンが活発に分泌されるため、身長が伸びやすい時期である。
日本人女性の身長推定においては藤井の推定式が広く用いられているが、非特許文献1には、統計学的手法による信頼度の高い日本人女性の身長推定方法が記載されている。
しかしながら女性の場合はダイエット指向があるため、成長期において順調な身長の増大が阻害される場合がある。そのため成長期女子の身長を正確に算出する要請がある。
男子の場合にせよ女子の場合にせよ身長は関心事項であるため、簡易な手法による測定が望まれる。特許文献1には簡易且つ小型の構造の身長算出装置が記載されている。
ところで、成長期における体格の判断には以前はローレル指数、近年は肥満度が用いられているが、海外では体格の判定は除脂肪体重(以下、LBM(Lean Body Mass)と略することがある。)を用いて判断されるようになってきてる。除脂肪体重とは、体脂肪を除いたそれ以外の筋肉、骨、体液などの重量である。この除脂肪体重と身長との関係は正確には把握されていない。更には除脂肪体重と年齢との関係も正確には把握されていない。
特開2017-156333号公報
Anthropological Science (Japanese Series) 106(1), 55-66, 1998
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、成長期にある被検者が成長することで最終的に到達する身長である最終到達身長を算出する最終到達身長算出装置を提供することを目的とする。また、成長期にある被検者の筋肉・内臓年齢を評価する筋肉・内臓年齢評価装置を提供することを目的とする。
本実施形態にかかる最終到達身長算出装置は、成長期にある被検者が成長することで最終的に到達する身長である最終到達身長を算出する最終到達身長算出装置であって、前記被検者の身体に導電接触させることの可能な複数の電極と、前記複数の電極を通じて前記被検者の身体に測定電流を供給して前記被検者の身体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、前記インピーダンス測定手段によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の現在の除脂肪体重yを算出する除脂肪体重算出手段と、前記被検者の現在の身長である現在身長を入力する現在身長入力手段と、前記被検者が女子の場合は、x=1.45~2.25y+80.13~100.13の式より、前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合は、x=0.85~1.65y+93.3~113.3の式より、前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合は、x=1.45~2.25y+74.0~94.0の式より、除脂肪体重yから予測される身長である除脂肪体重予測身長xを算出する除脂肪体重予測身長算出手段130と、前記被検者の現在身長と前記被検者の除脂肪体重予測身長との差を、前記被検者の現在の除脂肪体重における身長の標準偏差SDにて除することでTスコアを算出するTスコア算出手段150と、前記被検者の父の身長及び母の身長をそれぞれ入力する両親身長入力手段142と、前記被検者が男子の場合は、x’=[父の身長+母の身長+13]÷2から、前記被検者が女子の場合は、x’=[父の身長+母の身長-13]÷2から、前記被検者の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’を算出する到達予測身長算出手段160と、前記被検者が女子の場合は、x=1.45~2.25y+80.13~100.13の式より、前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合は、x=0.85~1.65y+93.3~113.3の式より、前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合は、x=1.45~2.25y+74.0~94.0の式より、前記到達予測身長x’から到達が予測される除脂肪体重である到達予測除脂肪体重y’を算出する到達予測除脂肪体重算出手段と、前記被検者の現在身長が前記除脂肪体重予測身長よりも小さい場合は、X=到達予測身長x’-[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、前記被検者の現在身長が前記除脂肪体重予測身長よりも大きい場合は、X=到達予測身長x’+[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、前記被検者の到達予測身長x’を補正して前記被検者の最終到達身長Xを算出する補正手段180と、を有することを特徴とする。
本実施形態にかかる筋肉・内臓年齢評価装置は、成長期にある被検者の筋肉・内臓年齢を評価する筋肉・内臓年齢評価装置であって、前記筋肉・内臓年齢は、前記被検者の除脂肪体重に対応する年齢であり且つ前記被検者の筋肉及び内臓の成熟度の指標となる年齢であり、前記被検者の身体に導電接触させることの可能な複数の電極と、前記複数の電極を通じて前記被検者の身体に測定電流を供給して前記被検者の身体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、前記インピーダンス測定手段によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の現在の除脂肪体重yを算出する除脂肪体重算出手段と、前記被検者の現在の年齢である現在年齢を入力する現在年齢入力手段と、y=1.07~1.87z+14.92~34.92の式より、除脂肪体重yに対応する年齢である前記筋肉・内臓年齢zを算出する筋肉・内臓年齢算出手段と、算出された筋肉・内臓年齢と前記被検者の現在年齢とを比較し、前記現在年齢が測定された前記筋肉・内臓年齢zよりも大きいと判定された場合は前記被検者に成長促進についての警告指示を出す評価手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な手法により正確に成長期女子又は男子の最終的に到達する身長を算出できる。算出できた身長により成長期女子の成長度合いを検討することができ、特に女性アスリートの育成に有効である。また、本発明によれば、被検者の除脂肪体重に対応する年齢であり且つ被検者の筋肉及び内臓の成熟度の指標となる年齢である筋肉・内臓年齢を適切に評価することができる。
本実施形態にかかる最終到達身長算出装置の機能ブロック図である。 除脂肪体重と身長との関係を示す図であり、現在の除脂肪体重及び現在の身長を入力した状態を示す図である。 除脂肪体重と身長との関係を示す図であり、現在の除脂肪体重から予測される身長を算出した状態を示す図である。 除脂肪体重と身長との関係を示す図であり、現在の身長と被検者の除脂肪体重から予測される身長との差を、標準偏差SDにて除することでTスコアを算出した状態を示す図である。 除脂肪体重と身長との関係を示す図であり、両親の身長から到達が予測される身長及びその到達が予測される身長から予測される除脂肪体重を算出した状態を示す図である。 除脂肪体重と身長との関係を示す図であり、到達が予測される除脂肪体重における身長の標準偏差SD×Tスコアを算出した状態を示す図である。 除脂肪体重と身長との関係を示す図であり、到達が予測さえる身長を補正して被検者の最終到達身長を算出した状態を示す図である。 本実施形態にかかる筋肉・内臓年齢評価装置の機能ブロック図である。 年齢と除脂肪体重との関係を示す図であり、現在の年齢及び現在の除脂肪体重を入力した状態を示す図である。 年齢と除脂肪体重との関係を示す図であり、除脂肪体重に対応する年齢である筋肉・内臓年齢を算出した状態を示す図である。 成長期女子の身長と除脂肪体重との相関関係を示す図である。 初経の前後で分けた場合における、成長期女子の身長と除脂肪体重との相関関係を示す図である。 テストステロンの量で分けた場合における、成長期男子の身長と除脂肪体重との相関関係を示す図である。 初経の前後で分けた場合における、成長期女子の年齢と除脂肪体重との相関関係を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
(1)最終到達身長算出装置
図1は、本実施形態にかかる最終到達身長算出装置900の機能ブロック図である。
成長期にある被検者が、最終的に到達する身長である最終到達身長を算出する最終到達身長算出装置900は、図1に示されるように、電極100と、インピーダンス測定手段110と、除脂肪体重算出手段120と、除脂肪体重予測身長算出手段130と、Tスコア算出手段150と、データ入力手段140と、到達予測身長算出手段160と、到達予測除脂肪体重算出手段170と、補正手段180と、を有する。データ入力手段140は、被検者の性別、年齢、初経(女子の場合)の有無等の個人情報や、測定年月日等の測定条件を入力することができる。更には、データ入力手段140は、被検者の現在の身長である現在身長を入力する現在身長入力手段141と、被検者の父の身長及び母の身長をそれぞれ入力する両親身長入力手段142と、を有する(図2)。
複数の電極100は、被検者の身体に導電接触させるための電極である。複数の電極100は、例えば2点式電極であり、給電側電極及び検出側電極とから構成される。複数の電極は例えば被検者である成長期女子又は男子の右手及び左手に取り付けることが可能である。
インピーダンス測定手段110は、複数の電極100を通じて被検者の身体に測定電流を供給して被検者の身体のインピーダンスを測定する。インピーダンス測定手段110は、給電側電極に所定の電圧(例えば50kHzの正弦波交流電圧)を印加し、検出側電極から検出電圧を取り出すことによって、例えば両手間のインピーダンスを測定する手段である。
除脂肪体重算出手段120は、インピーダンス測定手段110によって測定されたインピーダンスに基づいて被検者の現在の除脂肪体重yを算出する(図2)。除脂肪体重算出手段120は、インピーダンス測定手段110によって測定されたインピーダンスに基づいて被検者の体脂肪率を算出する体脂肪率算出手段と、被検者の体重を測定する体重測定手段と、を備えている。体脂肪率は計測したインピーダンスから例えばBI法(Bioelectrical Impedance法)により算出される。脂肪は電気をほとんど通さないが、筋肉や血管など水分の多い組織は電気を通しやすいという性質を利用し、脂肪とそれ以外の組織の割合を推定して体脂肪率を算出する。そして、除脂肪体重算出手段120は、体重測定手段によって測定された体重と、体脂肪率算出手段によって算出された体脂肪率と、から除脂肪体重を算出する。
なお、除脂肪体重算出手段120は、インピーダンス測定手段110によって測定されたインピーダンスに基づいて被検者の体水分量を算出する体水分量算出手段を有することも可能である。即ち、除脂肪体重算出手段120は、体水分量算出手段により算出された体水分量を0.73で除することにより除脂肪体重を算出することができる。
除脂肪体重予測身長算出手段130は、後述の実施例に示されるように、女子の場合は、例えば、x=1.85y+90.13の式より、除脂肪体重yから予測される身長である除脂肪体重予測身長xを算出する(図3)。
Tスコア算出手段150は、被検者の現在身長と被検者の除脂肪体重予測身長xとの差を、被検者の現在の除脂肪体重における身長の標準偏差SDにて除することでTスコアを算出する(図4)。
到達予測身長算出手段160は、被検者の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’を算出する。具体的には、到達予測身長算出手段160は、被検者が男子の場合は、x’=[父の身長+母の身長+13]÷2により、被検者の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’を算出する(図5)。被検者が女子の場合は、x’=[父の身長+母の身長-13]÷2により、被検者の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’を算出する(図5)。
到達予測除脂肪体重算出手段170は、女子の場合は、例えば、x=1.85y+90.13により、到達予測身長x’から到達が予測される除脂肪体重である到達予測除脂肪体重y’を算出する(図5)。なお到達予測除脂肪体重を到達推定除脂肪体重を呼ぶことも可能である。
補正手段180は、被検者の到達予測身長x’を補正して被検者の最終到達身長Xを算出する。具体的には、まず、補正手段180は、到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコアを求める(図6)。つぎに、補正手段180は、被検者の現在身長が除脂肪体重予測身長よりも小さい場合は、X=到達予測身長x’-[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、被検者の到達予測身長x’を補正して被検者の最終到達身長Xを算出する(図7)。補正手段180は、被検者の現在身長が除脂肪体重予測身長よりも大きい場合は、X=到達予測身長x’+[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、被検者の到達予測身長x’を補正して前記被検者の最終到達身長Xを算出する(図7)。データ入力手段140により入力された個人情報等は、補正手段180により補正された身長とともに表示部150により表示される。
上記の実施形態では、被検者が女子の場合は、除脂肪体重yと身長xとの関係はx=1.85y+90.13の式にて示されているが、本発明ではこのような実施形態に限定されるものではなく、例えば、除脂肪体重yと身長xとの関係はx=1.45~2.25y+80.13~100.13とすることができ、好ましくは、x=1.65~2.05y+85.13~95.13とすることが可能である。
また、被検者が女子の場合は、初経の前後にて、除脂肪体重yと身長xとの関係式を分けることが可能である。成長期女子が初経前である場合は、x=1.90~2.10y+80.24~90.24とすることができ、好ましくはx=2.00y+85.24とすることができる。一方で、成長期女子が初経後である場合は、x=1.72~1.92y+84.20~94.20とすることができ、好ましくはx=1.82y+89.20とすることができる。
本発明においては、成長期女子は身体の発育途上にある女子であるならば特に限定されるものではないが、9歳以上15歳以下の女子であることが好ましい。
上記の実施形態では、被検者が女子の場合は、除脂肪体重yと身長xとの関係はx=1.85y+90.13の式にて示されているが、本発明ではこのような実施形態に限定されるものではなく、被検者が男子の場合にも適用できる。具体的には、男子のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合、除脂肪体重yと身長xとの関係は、x=0.85~1.65y+93.3~113.3とすることができ、好ましくはx=1.05~1.45y+98.3~108.3とすることができ、より好ましくはx=1.25y+103.3とすることができる。一方で男子のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合、除脂肪体重yと身長xとの関係は、x=1.45~2.25y+74.0~94.0とすることができ、好ましくはx=1.65~2.05y+79.0~89.0とすることができ、より好ましくはx=1.85y+84.0とすることができる。
テストステロンは、被検者である成長期男子の血液試料あるいは採取した唾液中に存在するテストステロン量から測定される。テストステロン量は、例えば免疫学的測定用キットにより測定される。測定においてLC/MSを用いると、例えばテストステロンは79、81、97、109、121及び123に特徴的な生成イオンを示し、これらの特徴的な生成イオンに着目し、内部標準物質と対比することにより算出可能である。
本発明においては、成長期男子は身体の発育途上にある男子であるならば特に限定されるものではないが、11歳以上17歳以下の男子であることが好ましい。
(2)筋肉・内臓年齢評価装置
図8は、本実施形態にかかる筋肉・内臓年齢評価装置800の機能ブロック図である。
筋肉・内臓年齢評価装置800は、図8に示されるように、電極100と、インピーダンス測定手段110と、除脂肪体重算出手段120と、データ入力手段140と、筋肉・内臓年齢算出手段250と、評価手段260と、を有する。データ入力手段140は、被検者の性別、年齢、初経(女子の場合)の有無等の個人情報や、測定年月日等の測定条件を入力することができる。更には、データ入力手段140は、被検者の現在の年齢である現在年齢を入力する現在年齢入力手段143と、を有する(図8)。
ここで、筋肉・内臓年齢は、被検者の除脂肪体重に対応する年齢であり且つ前記被検者の筋肉及び内臓の成熟度の指標となる年齢である。なお、筋肉・内臓年齢を簡単に筋肉年齢と表記することも可能である。
除脂肪体重算出手段120は、インピーダンス測定手段110によって測定されたインピーダンスに基づいて被検者の現在の除脂肪体重yを算出する(図9)。
筋肉・内臓年齢算出手段250は、後述の実施例に示されるように、女子の場合は、例えば、y=1.07~1.87z+14.92~34.92、好ましくはy=1.27~1.67z+19.92~29.92、更に好ましくはy=1.47z+24.92の式より、除脂肪体重yに対応する年齢である筋肉・内臓年齢zを算出する(図10)。
そして、評価手段260は、算出された筋肉・内臓年齢と被検者の現在年齢とを比較し、現在年齢が測定された前記筋肉・内臓年齢zよりも大きいと判定された場合は、被検者に成長促進についての警告指示を出す。データ入力手段140により入力された個人情報等は、評価手段260により示された警告指示とともに表示部150により表示される。
被検者が女子の場合は、初経の前後にて、除脂肪体重yと筋肉・内臓年齢zとの関係式を分けることが可能である。成長期女子が初経前である場合は、y=2.783~2.983z-0.3556~6.6556とすることができ、好ましくはy=2.883z-3.3556とすることができる。一方で、成長期女子が初経後である場合は、y=0.5081~0.7081z+25.274~31.274とすることができ、好ましくはy=0.6081z+28.274とすることができる。
本発明においては、成長期女子は身体の発育途上にある女子であるならば特に限定されるものではないが、9歳以上15歳以下の女子であることが好ましい。
(1)女子の場合における身長と除脂肪体重との関係
9歳~15歳の成長期にある女子1000人のLBM及び身長のデータから、「身長」を説明変数とし「除脂肪体重」を被説明変数として両者の関係を線形回帰分析により調べた。結果を図11に示す。図11に示されるように、成長期女子の身長と除脂肪体重とには高い相関関係があり、相関係数は、R2=0.932と非常に高い相関が認められた。
(2)初経前後で分けた身長と除脂肪体重との関係
次に9歳~15歳の成長期にある女子1000人において初経の前後で分け、LBM及び身長のデータから、「身長」を説明変数とし「除脂肪体重」を被説明変数として両者の関係を線形回帰分析により調べた。結果を図12に示す。図12に示されるように、初経前では、成長期女子の身長と除脂肪体重とには高い相関関係があり、相関係数は、R2=0.930と非常に高い相関が認められた。そして、初経後でも、成長期女子の身長と除脂肪体重とには高い相関関係があり、相関係数は、R2=0.735と非常に高い相関が認められた。
(3)女子の場合における被検者の最終到達身長の算出
被検者Y1(10歳,初経前)の左手及び右手に各々電極を取り付けて50kHzの正弦波交流電圧を印加してインピーダンスを測定したところ500Ωであった。測定されたインピーダンスから体脂肪率は20%であった。被検者Y1の体重を測定すると35kgであり、現在の身長は135.0cmであり、除脂肪体重は28kgであった。初経前においては身長xと除脂肪体重yとの関係は、x=2.00y+85.24であるから、ここから除脂肪体重yから予測される身長である除脂肪体重予測身長xは141.2cmと算出できた。
Tスコア算出手段により、被検者Y1の現在身長135.0cmと被検者Y1の除脂肪体重予測身長141.2cmとの差6.2cmを、被検者Y1の現在の除脂肪体重28kgにおける身長の標準偏差1SD(具体的には8.0cm)にて除することでTスコア0.775を算出した。
到達予測身長算出手段により、被検者Y1の父の身長175cm及び母の身長160cmから、被検者Y1の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’は161cmと算出された。x=2.00y+85.24の式から、到達予測身長x’161cmから到達が予測される除脂肪体重である到達予測除脂肪体重y’37.88kgと算出された。
そして、被検者Y1の現在身長135.0cmが除脂肪体重予測身長141.2cmよりも小さい場合であるため、X=到達予測身長x’161cm-[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD(具体的には10.0cm)×前記Tスコア0.775]にて、被検者Y1の到達予測身長x’を補正して被検者Y1の最終到達身長Xは153.25cmであると算出できた。
(4)男子の場合における身長と除脂肪体重との関係
11歳~17歳の成長期にある男子1000人のLBM及び身長のデータから、「身長」を説明変数とし「除脂肪体重」を被説明変数として両者の関係を線形回帰分析により調べた。結果を図13に示す。図13に示されるように、成長期男子の身長と除脂肪体重とには高い相関関係があり、成長期男子のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合、相関係数は、R2=0.877と非常に高い相関が認められた。成長期男子のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合、相関係数は、R2=0.815と非常に高い相関が認められた。
(5)男子の場合における被検者の最終到達身長の算出
被検者Y3(11歳,テストステロン量88ng/dL)の左手及び右手に各々電極を取り付けて50kHzの正弦波交流電圧を印加してインピーダンスを測定したところ490Ωであった。測定されたインピーダンスから体脂肪率は18%であった。被検者Y3の体重を測定すると39kgであり、現在の身長は137.0cmであり、除脂肪体重は32kgであった。身長xと除脂肪体重yとの関係は、テストステロン量が100(ng/dL)より低い場合はx=1.85y+84.0であるから、ここから除脂肪体重yから予測される身長である除脂肪体重予測身長xは143.2cmと算出できた。
Tスコア算出手段により、被検者Y3の現在身長137.0cmと被検者Y3の除脂肪体重予測身長143.2cmとの差6.2cmを、被検者Y3の現在の除脂肪体重32kgにおける身長の標準偏差1SD(具体的には9.0cm)にて除することでTスコア0.689を算出した。
到達予測身長算出手段により、被検者Y3の父の身長169cm及び母の身長163cmから、被検者Y3の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’は172.5cmと算出された。x=1.85y+84.0の式から、到達予測身長x’172.5cmから到達が予測される除脂肪体重である到達予測除脂肪体重y’47.84kgと算出された。
そして、被検者Y3の現在身長137.0cmが除脂肪体重予測身長143.2cmよりも小さい場合であるため、X=到達予測身長x’172.5cm-[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD(具体的には12.0cm)×前記Tスコア0.689]にて、被検者Y3の到達予測身長x’を補正して被検者Y3の最終到達身長Xは164.2cmであると算出できた。
(6)女子の場合における年齢と除脂肪体重との関係
9歳~15歳の成長期にある女子1000人のLBM及び年齢のデータから、「年齢」を説明変数とし「除脂肪体重」を被説明変数として両者の関係を線形回帰分析により調べた。成長期女子の年齢と除脂肪体重とには高い相関関係があり、相関係数は、R2=0.532と非常に高い相関が認められた。
(7)初経前後で分けた年齢と除脂肪体重との関係
次に9歳~15歳の成長期にある女子1000人において初経の前後で分け、LBM及び年齢のデータから、「年齢」を説明変数とし「除脂肪体重」を被説明変数として両者の関係を線形回帰分析により調べた。結果を図14に示す。図14に示されるように、初経前では、成長期女子の身長と除脂肪体重とには高い相関関係があり、相関係数は、R2=0.5188と非常に高い相関が認められた。そして、初経後でも、成長期女子の身長と除脂肪体重とには高い相関関係があり、相関係数は、R2=0.0491と非常に高い相関が認められた。
(8)女子の場合における被検者の筋肉・内臓年齢評価
被検者Y5(10歳,初経前)の左手及び右手に各々電極を取り付けて50kHzの正弦波交流電圧を印加してインピーダンスを測定したところ480Ωであった。測定されたインピーダンスから体脂肪率は19%であった。被検者Y5の体重を測定すると30kgであり、除脂肪体重は24kgであった。初経前においては除脂肪体重yと筋肉・内臓年齢zとの関係式はy=2.883z-3.3556であるから、ここから除脂肪体重y24kgに対応する年齢である前記筋肉・内臓年齢zは9.49歳と算出できた。算出された筋肉・内臓年齢9.49歳と被検者Y5の現在年齢10歳とを比較し、現在年齢10歳が測定された筋肉・内臓年齢z9.49歳よりも大きいと判定されたため、評価手段により成長促進させるための栄養改善についての警告指示が出された。
女性又は男子アスリートの育成検討に利用できる。
100:電極
110:インピーダンス測定手段
120:除脂肪体重算出手段
130:身長算出手段
140:データ入力手段
150:Tスコア算出手段
160:到達予測身長算出手段
170:到達予測除脂肪体重算出手段
180:補正手段
190:表示部
250:筋肉・内臓年齢算出手段
260:評価手段
800:筋肉・内臓年齢評価装置
900:最終到達身長算出装置

Claims (13)

  1. 成長期にある被検者が成長することで最終的に到達する身長である最終到達身長を算出する最終到達身長算出装置(900)であって、
    前記被検者の身体に導電接触させることの可能な複数の電極(100)と、
    前記複数の電極(100)を通じて前記被検者の身体に測定電流を供給して前記被検者の身体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段(110)と、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の現在の除脂肪体重yを算出する除脂肪体重算出手段(120)と、
    前記被検者の現在の身長である現在身長を入力する現在身長入力手段(141)と、
    前記被検者が女子の場合は、x=1.45~2.25y+80.13~100.13の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合は、x=0.85~1.65y+93.3~113.3の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合は、x=1.45~2.25y+74.0~94.0の式より、
    除脂肪体重yから予測される身長である除脂肪体重予測身長xを算出する除脂肪体重予測身長算出手段(130)と、
    前記被検者の現在身長と前記被検者の除脂肪体重予測身長との差を、前記被検者の現在の除脂肪体重における身長の標準偏差SDにて除することでTスコアを算出するTスコア算出手段(150)と、
    前記被検者の父の身長及び母の身長をそれぞれ入力する両親身長入力手段(142)と、
    前記被検者が男子の場合は、x’=[父の身長+母の身長+13]÷2から、
    前記被検者が女子の場合は、x’=[父の身長+母の身長-13]÷2から、
    前記被検者の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’を算出する到達予測身長算出手段(160)と、
    前記被検者が女子の場合は、x=1.45~2.25y+80.13~100.13の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合は、x=0.85~1.65y+93.3~113.3の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合は、x=1.45~2.25y+74.0~94.0の式より、
    前記到達予測身長x’から到達が予測される除脂肪体重である到達予測除脂肪体重y’を算出する到達予測除脂肪体重算出手段(170)と、
    前記被検者の現在身長が前記除脂肪体重予測身長よりも小さい場合は、
    X=到達予測身長x’-[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、
    前記被検者の現在身長が前記除脂肪体重予測身長よりも大きい場合は、
    X=到達予測身長x’+[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、
    前記被検者の到達予測身長x’を補正して前記被検者の最終到達身長Xを算出する補正手段(180)と、
    を有することを特徴とする最終到達身長算出装置(900)。
  2. 成長期にある被検者が成長することで最終的に到達する身長である最終到達身長を算出する最終到達身長算出装置(900)であって、
    前記被検者の身体に導電接触させることの可能な複数の電極(100)と、
    前記複数の電極(100)を通じて前記被検者の身体に測定電流を供給して前記被検者の身体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段(110)と、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の現在の除脂肪体重yを算出する除脂肪体重算出手段(120)と、
    前記被検者の現在の身長である現在身長を入力する現在身長入力手段(141)と、
    前記被検者が女子の場合は、x=1.85y+90.13の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合は、x=1.25y+103.3の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合は、x=1.85y+84.0の式より、
    除脂肪体重yから予測される身長である除脂肪体重予測身長xを算出する除脂肪体重予測身長算出手段(130)と、
    前記被検者の現在身長と前記被検者の除脂肪体重予測身長との差を、前記被検者の現在の除脂肪体重における身長の標準偏差SDにて除することでTスコアを算出するTスコア算出手段(150)と、
    前記被検者の父の身長及び母の身長をそれぞれ入力する両親身長入力手段(142)と、
    前記被検者が男子の場合は、x’=[父の身長+母の身長+13]÷2から、
    前記被検者が女子の場合は、x’=[父の身長+母の身長-13]÷2から、
    前記被検者の両親の身長から到達が予測される身長である到達予測身長x’を算出する到達予測身長算出手段(160)と、
    前記被検者が女子の場合は、x=1.85y+90.13の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)以上の場合は、x=1.25y+103.3の式より、
    前記被検者が男子で血中のテストステロン量が100(ng/dL)より低い場合は、x=1.85y+84.0の式より、
    前記到達予測身長x’から到達が予測される除脂肪体重である到達予測除脂肪体重y’を算出する到達予測除脂肪体重算出手段(170)と、
    前記被検者の現在身長が前記除脂肪体重予測身長よりも小さい場合は、
    X=到達予測身長x’-[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、
    前記被検者の現在身長が前記除脂肪体重予測身長よりも大きい場合は、
    X=到達予測身長x’+[到達予測除脂肪体重y’における身長の標準偏差SD×前記Tスコア]にて、
    前記被検者の到達予測身長x’を補正して前記被検者の最終到達身長Xを算出する補正手段(180)と、
    を有することを特徴とする最終到達身長算出装置(900)。
  3. 前記除脂肪体重算出手段(120)は、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の体脂肪率を算出する体脂肪率算出手段と、
    前記被検者の体重を測定する体重測定手段と、
    前記体重測定手段によって測定された体重と、前記体脂肪率算出手段によって算出された体脂肪率と、から除脂肪体重を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の最終到達身長算出装置(900)。
  4. 前記除脂肪体重算出手段(120)は、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の体水分量を算出する体水分量算出手段を有し、
    前記体水分量算出手段により算出された体水分量から除脂肪体重を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の最終到達身長算出装置(900)。
  5. 前記被検者は、9歳以上15歳以下の女子であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の最終到達身長算出装置(900)。
  6. 前記被検者は、11歳以上17歳以下の男子であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の最終到達身長算出装置(900)。
  7. 前記被検者は初経前女子であり、
    身長xと除脂肪体重yとの関係を示す式はx=1.90~2.10y+80.24~90.24であることを特徴とする請求項に記載の最終到達身長算出装置(900)。
  8. 前記被検者は初経後女子であり、
    身長xと除脂肪体重yとの関係を示す式はx=1.72~1.92y+84.20~94.20であることを特徴とする請求項に記載の最終到達身長算出装置(900)。
  9. 成長期にある被検者の筋肉・内臓年齢を評価する筋肉・内臓年齢評価装置(800)であって、
    前記筋肉・内臓年齢は、前記被検者の除脂肪体重に対応する年齢であり且つ前記被検者の筋肉及び内臓の成熟度の指標となる年齢であり、
    前記被検者の身体に導電接触させることの可能な複数の電極(100)と、
    前記複数の電極(100)を通じて前記被検者の身体に測定電流を供給して前記被検者の身体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段(110)と、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の現在の除脂肪体重yを算出する除脂肪体重算出手段(120)と、
    前記被検者の現在の年齢である現在年齢を入力する現在年齢入力手段(143)と、
    y=1.47z+24.92の式より、除脂肪体重yに対応する年齢である前記筋肉・内臓年齢zを算出する筋肉・内臓年齢算出手段(250)と、
    算出された筋肉・内臓年齢と前記被検者の現在年齢とを比較し、
    前記現在年齢が測定された前記筋肉・内臓年齢zよりも大きいと判定された場合は前記被検者に成長促進についての警告指示を出す評価手段(260)と、
    を有することを特徴とする筋肉・内臓年齢評価装置(800)。
  10. 前記除脂肪体重算出手段(120)は、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の体脂肪率を算出する体脂肪率算出手段と、
    前記被検者の体重を測定する体重測定手段と、
    前記体重測定手段によって測定された体重と、前記体脂肪率算出手段によって算出された体脂肪率と、から除脂肪体重を算出することを特徴とする請求項に記載の筋肉・内臓年齢評価装置(800)。
  11. 前記除脂肪体重算出手段(120)は、
    前記インピーダンス測定手段(110)によって測定されたインピーダンスに基づいて前記被検者の体水分量を算出する体水分量算出手段を有し、
    前記体水分量算出手段により算出された体水分量から除脂肪体重を算出することを特徴とする請求項に記載の筋肉・内臓年齢評価装置(800)。
  12. 前記被検者は、9歳以上15歳以下の女子であることを特徴とする請求項乃至11の何れか1項に記載の筋肉・内臓年齢評価装置(800)。
  13. 前記被検者は、11歳以上17歳以下の男子であることを特徴とする請求項乃至11の何れか1項に記載の筋肉・内臓年齢評価装置(800)。
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Title
KOURY, Josely Correa et al.,Fat-free mass in adolescent athletes: Accuracy of bioimpedance equations and identification of new predictive equations,Nutrition,Vol.60,2019年04月,pp.59-65,DOI:10.1016/j.nut.2018.09.029
伊藤 千夏、外3名,成長期における骨量の年齢別推移および身体組成との関連,日本栄養・食糧学会誌,Vol.59, No.4,2006年,pp.221-227,DOI:10.4327/jsnfs.59.221

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