JP7274692B2 - 刃先交換式ドリル - Google Patents

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Description

本発明は、切れ刃を有するヘッド部品とシャンクを備えたボディ部品を互いに締結することで一体化されているドリルに関する。
切れ刃部品とシャンク部品が物理的に一体化した通常のドリル(ソリッドドリル)とは異なり、切れ刃部品シャンク部品が別個の部品として形成されて、各部品同士を締結することで一体化された、いわゆる刃先交換式ドリルは、切れ刃の摩耗度合い等に応じて切れ刃部品のみを交換できる。
刃先交換式ドリルは、ヘッド部品とボディ部品の締結形態は、ねじなどの締結部品を用いてヘッド部品をボディ部品に固定する形態(ねじ止め締結式)および締結部品を用いないでヘッド部品とボディ部品の嵌め合いのみで両部品を締結する形態(自己締結式)の2種類が存在する。例えば、ねじ止め締結式のドリルは特許文献1、自己締結式のドリルは特許文献2にそれぞれ開示されている。
特許文献1に開示されているヘッド部品(図中の切削ヘッド12)の端部には軸(または突起)を設けており、この軸がボディ部品に設けられた座面の孔部(または陥没部)に嵌まり込む構造になっている。この軸には平滑な面が施されており、その面をボディ部品の外周からねじ止めすることでヘッド部品が固定される。
これに対して、特許文献2に開示されている自己締結式のドリルは、ヘッド部品とボディ部品の締結が両部品の弾性変形による弾性力によって維持されている。そのため、自己締結式のドリルにはボディ部品に対してヘッド部品を嵌めこむ際に大きな抵抗が発生し、ヘッド部品の着脱がねじ止め締結式のドリルの場合に比べて多大な回転力(トルク)を要するものの、特許文献1に開示されているねじ止め締結式のドリルと異なり、ねじ等の締結部品を有しないので部品の点数が少ない点が特徴である。
特許第6399389号公報 特許第5519694号公報
しかし、特許文献1および2に開示されているドリルは、いずれもヘッド部品の下部に軸が設けられているので、ボディ部品に軸を挿入する穴を設ける必要がある。そのためにヘッド部品とボディ部品の締結部(ドリルの中心部)における肉厚が十分に確保できないという問題がある。特に、特許文献2に開示されているドリルではボディ部品の中央部にヘッド部品の軸を挿入する穴があるので、ヘッド部品をボディ部品に取り付ける際に設置する領域(平滑な面)が十分に確保できない。
その結果、ヘッド部品をボディ部品へ取り付ける場合にヘッド部品が不安定な姿勢の状態のままでヘッド部品を回転してボディ部品に締結する恐れがある。同時に、ヘッド部品とボディ部品の締結が完了されているか否かの最終的な判断は作業者の技量に頼る部分が大きい。もし、ヘッド部品とボディ部品が完全に締結されていなければ、ドリルの使用中にヘッド部品がボディ部品から外れる恐れもある。
そこで、本発明はヘッド部品とボディ部品の締結において、ヘッド部品には締結の際に必要な軸を設けることなく、また作業者の技量によらずにヘッド部品をボディ部品に対して正確に締結できる刃先交換式ドリルを提供することを課題とする。
本発明の刃先交換式ドリルは、切れ刃を有するヘッド部品と、シャンクを備えるボディ部品を最小限の構成要素とする。そのヘッド部品には、ボディ部品の軸方向に垂直な座面、切れ刃に隣接する逃げ面よりも当該ドリルの回転方向後方側に位置する垂直壁面部、その垂直壁面部に隣接して当該ドリルの回転方向後方側かつ中心側に位置する曲面部、をそれぞれ設ける。その曲面部は、ヘッド部品の先端側に傾斜している前方曲面部,その前方曲面部よりもヘッド部品の後方側に位置して2以上の曲面から形成する後方曲面部に分かれている。
また、ボディ部品の一端側(シャンクの反対側)には、ボディ部品の軸方向かつ円周方向の全周にわたり形成された座面,軸方向に延出されて互いに対向している2本のコラムをそれぞれ設ける。また、それらの各コラムにはボディ部品の円周方向を向いた外周壁面部とボディ部品の中心軸を向いた内周壁面部を有する。
そして、ヘッド部品の垂直壁面部とボディ部品の外周壁面部が接触し、ヘッド部品の後方曲面部とボディ部品の内周壁面部が接触し、かつヘッド部品の座面とボディ部品の座面が互いに接触することヘッド部品とボディ部品が互いに締結されている刃先交換式ドリルとする。
さらに、ヘッド部品の前方曲面部とボディ部品の各コラムにおける内周壁面部は互いに離間し、ヘッド部品の後方曲面部とボディ部品の内周壁面部が接触した状態でヘッド部品とボディ部品を互いに締結する刃先交換式ドリルでも構わない。また、ボディ部品の座面は、その中心軸の全周にわたって形成される内周座面、その内周座面とは円環状の溝を隔てて外周側に配置される2ヶ所の外周座面から構成してもよい。
本発明の刃先交換式ドリルは、ヘッド部品とボディ部品の締結時にこれまで必要であったヘッド部品の軸を設けることなく、かつ作業者の技量に依らないでヘッド部品をボディ部品に対して正確に回転し、締結できるという効果を奏する。
刃先交換式ドリル100の正面図である。 刃先交換式ドリル100の右側面図である。 刃先交換式ドリル100の平面図である。 図1に示す刃先交換式ドリル100先端部の拡大図である。 図2に示す刃先交換式ドリル100先端部の拡大図である。 刃先交換式ドリル100先端部の上方側からの斜視図である。 刃先交換式ドリル100先端部の下方側からの斜視図である。 ヘッド部品10の右側面図である。 ヘッド部品10の平面図である。 ヘッド部品10の底面図である。 ヘッド部品10の先端側からの斜視図である。 ヘッド部品10の後端側からの斜視図である。 ボディ部品50の平面図である。 ボディ部品50の上方側からの斜視図である。
本発明の刃先交換式ドリルの実施形態について、図面を用いて説明する。本発明の一実施形態である刃先交換式ドリル100の正面図を図1、右側面図を図2、平面図を図3に示す。また、図1の刃先交換式ドリル100の先端部における拡大正面図を図4、図2の刃先交換式ドリル100の先端部における拡大右側面図を図5、刃先交換式ドリル100の上方側(先端側)からの斜視図を図6、刃先交換式ドリル100の下方側(シャンク側)からの斜視図を図7にそれぞれ示す。
本発明の刃先交換式ドリル(以下、「ドリル」という)100は、図1ないし図3に示す様に切れ刃を有するヘッド部品10と軸状のボディ部品50のみで互いに締結することで形成される、いわゆる自己締結式のドリルである。つまり、ドリル100はねじなどの部品を用いることなく、図4ないし図7に示すようにヘッド部品10とボディ部品50の各形態同士が互いに嵌まり合うことで締結される。以下、ドリルを構成するヘッド部品およびボディ部品の構造について説明する。
本発明の実施形態に係るドリル100を構成するヘッド部品10の右側面図を図8、平面図を図9、底面図を図10にそれぞれ示す。また、ヘッド部品10の先端側からの斜視図を図11、ヘッド部品10の後端側からの斜視図を図12に示す。本発明のドリルの一部を形成し、実質的に切削加工を担うヘッド部品10は、図8ないし図11に示すように2枚の切れ刃11,11を有して、後述するボディ部品の一端側(シャンクの反対側)に着脱可能な形態で取り付けられる。
図9などに示すヘッド部品10には、通常のドリルのように2枚の切れ刃11,11の他に、それに連なる逃げ面12,12およびすくい面13,13がそれぞれ連続して形成されている。各切れ刃11,11の回転後方側(図9に示す矢印の逆方向:時計周り)には図9および図11に示す様にシンニング面15,15とそれに連なる溝14,14が形成されている。
ヘッド部品10には図9ないし11に示す様に曲面部30と垂直壁面部20が形成されている。曲面部30はシンニング面15および溝14の両面に隣接した曲面であり、垂直壁面部20は曲面部30よりも回転前方側(図9に示す矢印の方向:反時計周り)にある面である。これらの曲面部30および垂直壁面部20は、図5および図6に示す様にヘッド部品10が後述するボディ部品50と締結する際にボディ部品50の一部と接触する部位となる。
曲面部30は、図8および図11に示す様にヘッド部品10の先端側(ドリルの進行側)に位置して傾斜した形状を呈した前方曲面部31と、ヘッド部品10の後端側(ドリルのシャンク側)に位置して座面16に隣接した後方曲面部32から形成されている。また、後方曲面部32は、図8ないし図11に示す様に複数の曲面、すなわちドリルの回転前方側に位置する第1後方曲面部32A、その第1後方曲面部32Aよりもドリルの回転後方側に位置する第2後方曲面部32Bに分割されている。後方曲面部32(第1後方曲面部32A,第2後方曲面部32B)は、後述するボディ部品のコラムの面と接触することでヘッド部品10とボディ部品が緊密に締結される。
垂直壁面部20は、図8ないし図10に示す様にヘッド部品10の中心軸O1と平行に形成されており、ボディ部品を構成するコラムの面と接触することでドリルが回転することにより発生するトルクを受ける(回転する力をヘッド部品10に伝達する)面である。また、座面16は、後述のボディ部品の座面に接触する面であり、ドリルの軸方向に対して垂直になるよう形成されている。座面16の中央位置にはボディ部品の座面の凹部に嵌まり込むための凸部17を備えている。
次に、ボディ部品について説明する。ドリル100を構成するボディ部品50の平面図を図13、ボディ部品50の先端側からの斜視図を図14にそれぞれ示す。ボディ部品50の一端側には工作機械に取り付けるシャンク、他端側(シャンクの反対側)には軸方向に延びる2本のコラム52,53、切削加工時に発生する切り屑を排出する溝54を有している。この溝54は、図6および図7に示す様にボディ部品とヘッド部品を互いに締結した際に、ヘッド部品の溝14とつながって1条の溝となるように形成されている。2本のコラム52,53はボディ部品50の径方向において最も外周側に位置しており、かつ互いに対向して配置されている。
また、各コラム52,53の間にはボディ部品50の軸方向に垂直な座面が設けられている。この座面の中央には凹部57があり、ヘッド部品との締結時にヘッド部品の座面がボディ部品50の座面に接触し(着座し)、ヘッド部品の凸部がこの凹部57に嵌まり込むことで各部品の中心位置を決定する。これにより、ヘッド部品をボディ部品へ取り付ける場合にヘッド部品が安定な姿勢のままでヘッド部品を(刃先交換式ドリルの逆回転方向側へ)回転してボディ部品に締結できる。
ボディ部品50の座面は、図13および図14に示すように円環溝58を介して内周座面56Aと2ヶ所の外周座面56B,56Bに分かれている。円環溝58は、2本の線状溝59,59と連結しており、それらの線状溝59,59は外周座面56B2の径方向に横断するように形成されている。
ボディ部品50の各コラム52,53には、ヘッド部品と締結する際にヘッド部品と互いに接触する2組(2種類)の面が存在する。図13および図14に示すように、1組目の面はボディ部品50の中心軸O2に平行であり、ボディ部品50の円周方向を向いて各々の面が異なる向きに形成された外周壁面部62,63である。2組目の面は、ボディ部品50の中心軸O2に向いて互いに対向して形成された曲面状の内周壁面部72,73である。この内周壁面部72,73には、ヘッド部品とボディ部品を締結した際にヘッド部品の前方曲面部に沿った傾斜面が一部に形成されている。
ヘッド部品とボディ部品が互いに締結する際には、ボディ部品50の外周壁面部62,63はヘッド部品の垂直壁面部と接触し、ボディ部品50の内周壁面部72,73はヘッド部品の後方曲面部と接触する。なお、ヘッド部品とボディ部品を互いに締結した状態においては、ヘッド部品の前方曲面部31,31とボディ部品50の内周壁面部72,73は互いに離間していることが好ましい。つまり、ヘッド部品とボディ部品を一体にした刃先交換式ドリルでは、ヘッド部品の前方曲面部とボディ部品の内周壁面部に隙間を設ける。
これは、ヘッド部品を回転させてボディ部品に取り付ける際の部品間の接触抵抗を低減するためである。また、高速回転しているドリルの使用時において、ヘッド部品には軸方向の慣性力(推進力)が発生する。ヘッド部品の前方曲面部とボディ部品の内周壁面部の一部は互いに傾斜形状であるので、ヘッド部品がボディ部品から離れるほど前方曲面部と内周壁面部は一層密着して、両面間に摩擦力が働く。その結果、ヘッド部品がボディ部品から抜け出
ることを防止する。
なお、本発明のドリルには潤滑剤を吐出する油孔(オイルホール)を任意に設けることもできる。例えば、図13および図14に示す様にボディ部品50のコラム52,53において、ヘッド部品10を締結した際に切れ刃の方向に潤滑剤が吐出するように油孔99,99を設けてもよい。
10 ヘッド部品
11 切れ刃
12 逃げ面
13 すくい面
14,54 溝
15 シンニング面
16 座面
17 凸部
20 垂直壁面部
30 曲面部
31 前方曲面部
32(32A,32B) 後方曲面部
50 ボディ部品
52,53 コラム
56A 内周座面
56B 外周座面
57 凹部
58 環状溝
59 線状溝
62,63 外周壁面部
72,73 内周壁面部
99 油孔(オイルホール)
100 刃先交換式ドリル
O1,O2 中心軸

Claims (1)

  1. 少なくとも2枚の切れ刃を有するヘッド部品と、シャンクを備えるボディ部品と、を有する刃先交換式ドリルにおいて、
    前記ヘッド部品には、前記ボディ部品の軸方向に垂直な座面と、前記切れ刃に隣接する逃げ面よりも前記刃先交換式ドリルの回転方向後方側に位置して前記座面に垂直な壁面部である垂直壁面部と、前記垂直壁面部よりも前記刃先交換式ドリルの回転方向後方側かつ中心側に位置する曲面部と、が設けられていて、
    前記曲面部は、前記ヘッド部品の先端側に傾斜している前方曲面部と、前記前方曲面部よりも前記ヘッド部品の後方側に位置して2以上の曲面が前記ヘッド部品の軸方向と平行になるよう形成される後方曲面部と、を有しており、
    前記ボディ部品の一端側には、前記ボディ部品の軸方向に垂直かつ前記ボディ部品の中心軸に対して全周にわたって形成された座面と、軸方向に延出されて互いに対向している2本のコラムと、が設けれており、前記各コラムには前記ボディ部品の円周方向を向いた外周壁面部と前記ボディ部品の中心軸を向いた内周壁面部を有していて、
    前記ヘッド部品の垂直壁面部と前記ボディ部品の外周壁面部が接触し、前記ヘッド部品の後方曲面部と前記ボディ部品の内周壁面部が接触し、かつ前記ヘッド部品の座面と前記ボディ部品の座面が互いに接触することで前記ヘッド部品と前記ボディ部品が互いに締結されており、さらに前記ヘッド部品の前方曲面部と前記ボディ部品の内周壁面部は離間した状態であることを特徴とする刃先交換式ドリル。
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