以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る監視装置10を含む配信システム1の構成例を示す図である。図1に示す配信システム1は、演奏所1aと、テレビ放送所1bとを備える。演奏所1aは、PTP(Precision Time Protocol)サーバ2と、再多重化装置3とを備える。テレビ放送所1bは、送信装置4と、監視装置10とを備える。演奏所1aとテレビ放送所1bとは、商用IP回線5を介して接続されている。本実施形態に係る配信システム1においては、再多重化装置3で生成されたパケットが、商用IP回線5を介して、テレビ放送所1bに、より具体的には、送信装置4および監視装置10に配信される。テレビ放送所1bは、配信されたパケットに応じた放送波を、送信装置4により送信する。
PTPサーバ2は、システム内の各ノードの時刻を同期させるためのプロトコルであるPTPに従い、再多重化装置3の内部時計と監視装置10の内部時計とを同期させる。PTPサーバ2は、時刻同期用のパケットであるPTPパケットを再多重化装置3および監視装置10との間で往復させ、再多重化装置3の内部時計と監視装置10の内部時計とを同期させる。
再多重化装置3は、階層伝送の階層ごとに設けられた多重化装置(不図示)から、各階層の映像・音声信号と字幕信号とが多重され、所定の形式にパケット化されたパケット(例えば、MMTP(MPEG Media Transport Protocol)パケット)が入力される。また、再多重化装置3は、各階層のデータよりも低遅延で伝送すべきチャネル(Lch)に対応して設けられた多重化装置から、Lchで伝送される映像・音声信号と字幕信号とが多重化され、所定の形式にパケット化されたパケット(MMTPパケット)が入力される。多重化装置と再多重化装置3との間の伝送路はIP回線であり、多重化装置からは、MMTPパケットを格納したIPパケット(MMTP/IPパケット)が、再多重化装置3に出力される。
再多重化装置3は、各多重化装置から出力されたMMTP/IPパケットを1系統に再多重化する。具体的には、再多重化装置3は、各多重化装置から出力されたMMTP/IPパケットからXMIパケットを生成し、1系統に多重化して、商用IP回線5を介して送信装置4および監視装置10に送信する。なお、図1においては、送信装置4を1つだけ示しているが、実際には、再多重化装置3は、複数の送信装置4に対して、XMIパケットを送信する。そして、SFNを実現するために、複数の送信装置4はそれぞれ、再多重化装置3からの出力に応じた遅延時間および変調パラメータで放送波を送信する。上記の遅延時間および変調パラメータなどの制御情報が送信されることで、複数の送信装置4からの放送波が重複する領域でも、安定して受信することができる。
図2は、再多重化装置3の構成例を示す図である。なお、以下では、A階層、B階層、C階層の3つの階層の階層伝送が行われ、また、Lchのデータが、A階層、B階層およびC階層のデータと同じ1つのチャネルで伝送されるものとする。
図2に示す再多重化装置3は、パケットフィルタ301a,301b,301c,301dと、IPヘッダ圧縮部302a,302b,302c,302d,302eと、TLV(Type Length Value)パケット化部303a,303b,303c,303d,303eと、FIFO(First in, First Out)バッファ304a,304b,304c,304d,304eと、FEC(Forward Error Correction)ブロック構成部305a,305b,305cと、階層別フレーム構成部306a,306b,306cと、XMIパケット化部307a,307b,307cと、L0シンボル構成部308と、L1シンボル構成部309と、同期制御XMIパケット構成部310と、スタッフXMIパケット構成部311と、XMIパケット送出スケジューラ部312とを備える。
パケットフィルタ301a、IPヘッダ圧縮部302a、TLVパケット化部303a、FIFOバッファ304a、FECブロック構成部305a、階層別フレーム構成部306aおよびXMIパケット化部307aは、A階層に対応して設けられている。
パケットフィルタ301aは、A階層に対応して設けられた多重化装置からA階層のMMTPパケット(MMTP/IPパケット)が入力される。パケットフィルタ301aは、入力されたMMTP/IPパケットのIPヘッダの送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、プロトコル種別、UDP(User Datagram Protocol)ヘッダの送信元ポート番号、宛先ポート番号などに基づき、伝送するパケットを選択(パケットフィルタリング)し、選択したMMTPパケットをIPヘッダ圧縮部302aに出力する。
IPヘッダ圧縮部302aは、必要に応じて、パケットフィルタ301aから出力されたMMTP/IPパケットのIPヘッダの圧縮を行い、TLVパケット化部303aに出力する。
TLVパケット化部303aは、IPヘッダ圧縮部302aから出力されたMMTP/IPパケットをTLVパケットにカプセル化してTLVパケットを生成する。
図3は、TLVパケットの構成例を示す図である。なお、以下では、各フィールドに付された数字は、各フィールドのビット数の一例を示す。
図3に示すように、TLVパケットは、予約領域と、パケット種別と、データ長と、データ領域とを含む。パケット種別は、TLVパケットの種別を示す。データ長は、データ領域に格納されるデータのサイズを示す。TLVパケット化部303aは、IPヘッダ圧縮部302aから出力されたIPパケットをデータ領域に格納する。なお、予約領域については全ビットを“1”とする。
図2を再び参照すると、TLVパケット化部303aは、生成したTLVパケットをFIFOバッファ304aに出力する。
FIFOバッファ304aは、TLVパケット化部303aから出力されたTLVパケットを格納し、格納したTLVパケットを格納順にFECブロック構成部305aに出力する。
FECブロック構成部305aは、FIFOバッファ304aから出力されたTLVパケットから、一定の周期でFECブロックを構成する。
図4は、FECブロックの構成例を示す図である。
図4に示すように、FECブロックは、FECブロックヘッダと、主信号領域と、BCHパリティ領域と、スタッフビット領域を含むLDPCパリティ領域とを含む。なお、図4では、主信号領域とBCHパリティ領域とを1つずつ図示しているが、それぞれが複数に別れている場合もある。
主信号領域には、FIFOバッファ304aから出力されたTLVパケットが格納される。FECブロックヘッダは、FECブロックの主信号領域に格納される最初のTLVパケットの先頭の位置、具体的には、FECブロックに格納される最初のTLVパケットの先頭バイトの位置を、FECブロックヘッダを除いたFECブロックの先頭からのバイト数で示す情報である。BCHパリティ領域、スタッフビット領域、およびLDPCパリティ領域にはすべて、ビット“1”が格納される。
なお、FECブロックのサイズは、送信装置4で行われるLDPC(Low Density Parity Check)符号化の符号長(Short, Middle, Long)に応じて、三種類のサイズが設定される。また、主信号領域、BCHパリティ領域、スタッフビット領域、およびLDPCパリティ領域のサイズは、符号化率に応じて定まる。
FECブロック構成部305aは、FIFOバッファ304aから出力されたTLVパケットを出力順に連結して主信号領域に格納し、FECブロックごとに、FECブロックヘッダの値を設定する。なお、FECブロック構成部305aは、主信号領域に格納するTLVパケットがFIFOバッファ304aに存在しない場合には、ヌルタイプのTLVパケットを主信号領域に格納する。
図2を再び参照すると、FECブロック構成部305aは、構成したFECブロックを階層別フレーム構成部306aに出力する。
階層別フレーム構成部306aは、FECブロック構成部305aから出力されたFECブロックから階層別フレームを構成する。図5は、階層別フレームの構成例を示す図である。
図5に示すように、階層別フレームは、FECブロック領域で構成される。FECブロック領域には、FECブロック構成部305aから出力されたFECブロックを連結したものや、FECブロックの断片が格納される。FECブロック領域にはFECブロックポインタが含まれる。FECブロックポインタは、FECブロック領域の開始位置から、当該フレームに格納するFECブロックの先頭を含む最初のFECブロックの先頭ビットの位置をビット単位で示す。FECブロックの先頭が階層別フレームに存在しない場合、FECブロックポインタの値は0x7FFFとする。
階層別フレーム構成部306aは、FECブロック構成部305aから出力されたFECブロックを出力順に連結し、FECブロック領域に格納するとともに、FECブロック領域に格納したFECブロックの位置からFECブロックポインタを算出し、フレームヘッダに格納する。
図2を再び参照すると、階層別フレーム構成部306aは、構成した階層別フレームをXMIパケット化部307aに出力する。
XMIパケット化部307aは、階層別フレーム構成部306aから出力された階層別フレームからXMIパケットを構成する。具体的には、XMIパケット化部307aは、図6に示すように、階層別フレームを所定のサイズ(図6では、10448ビット)に分割し、データユニットを構成する。詳細は後述するが、XMIパケットは、ヘッダと、データユニット領域とを含んでいる。XMIパケット化部307aは、データユニット領域にデータユニットを格納する。なお、図6に示すように、最後のデータユニットが所定のサイズ未満(図6では、10448ビット未満)となることがある。この場合、XMIパケット化部307aは、所定のサイズに満たないデータユニットに所定のビット(スタッフビット)を付加して所定のサイズにして、データユニット領域に格納する。
図2を再び参照すると、XMIパケット化部307aは、生成したXMIパケット(A階層XMIパケット)をXMIパケット送出スケジューラ部312に出力する。なお、XMIパケットの構成の詳細については、後述する。
パケットフィルタ301b、IPヘッダ圧縮部302b、TLVパケット化部303b、FIFOバッファ304b、FECブロック構成部305b、階層別フレーム構成部306bおよびXMIパケット化部307bは、B階層に対応して設けられている。パケットフィルタ301c、IPヘッダ圧縮部302c、TLVパケット化部303c、FIFOバッファ304c、FECブロック構成部305c、階層別フレーム構成部306cおよびXMIパケット化部307cは、C階層に対応して設けられている。A階層に対応する構成と、B,C階層に対応する構成とは同じであるため、B,C階層に対応する構成については説明を省略する。
パケットフィルタ301d、IPヘッダ圧縮部302d,302e、TLVパケット化部303d,303e、FIFOバッファ304d,304e、L0シンボル構成部308およびL1シンボル構成部309は、Lchに対応して設けられている。
パケットフィルタ301dは、Lchに対応して設けられた多重化装置からLchのMMTP/IPパケットが入力される。パケットフィルタ301dは、入力されたIPパケットのIPヘッダの送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、プロトコル種別、UDPヘッダの送信元ポート番号、宛先ポート番号などに基づき、伝送するパケットを選択(パケットフィルタリング)し、選択したMMTP/IPパケットをIPヘッダ圧縮部302dまたはIPヘッダ圧縮部302eに出力する。
IPヘッダ圧縮部302dは、必要に応じて、パケットフィルタ301dから出力されたMMTP/IPパケットのIPヘッダの圧縮を行い、TLVパケット化部303dに出力する。IPヘッダ圧縮部302eは、必要に応じて、パケットフィルタ301dから出力されたMMTP/IPパケットのIPヘッダの圧縮を行い、TLVパケット化部303eに出力する。
TLVパケット化部303dは、IPヘッダ圧縮部302dから出力されたMMTP/IPパケットをTLVパケットにカプセル化してTLVパケットを生成し、FIFOバッファ304dに出力する。TLVパケット化部303eは、IPヘッダ圧縮部302eから出力されたMMTP/IPパケットをTLVパケットにカプセル化してTLVパケットを生成し、FIFOバッファ304eに出力する。
FIFOバッファ304dは、TLVパケット化部303dから出力されたTLVパケットを格納し、格納したTLVパケットを格納順にL0シンボル構成部308に出力する。FIFOバッファ304eは、TLVパケット化部303eから出力されたTLVパケットを格納し、格納したTLVパケットを格納順にL1シンボル構成部309に出力する。
L0シンボル構成部308は、FIFOバッファ304dから出力されたTLVパケットからシンボル(L0シンボル)を構成し、XMIパケット送出スケジューラ部312に出力する。L1シンボル構成部309は、FIFOバッファ304eから出力されたTLVパケットからシンボル(L1シンボル)を構成し、XMIパケット送出スケジューラ部312に出力する。
現行のISDB-T方式では、信号帯域幅が13のセグメントに分割されている。一方、次世代の地上デジタル放送では、信号帯域幅を33あるいは35のセグメントに分割することが検討されている。セグメント数を増やすことで、各階層のビットレートを細かく調整することが可能となり、柔軟性を向上させることができる。L0シンボルは、例えば、部分受信用の9セグメントで伝送され、L1シンボルは、それ以外の非部分受信用の24あるいは26セグメントで伝送される。したがって、パケットフィルタ301dによるパケットフィルタリングも、このような割り振りに応じて行われる。
同期制御XMIパケット構成部310は、送信装置4がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレームを構成するための伝送パラメータ、OFDMフレームを送信するタイミング、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)情報といった伝送制御に関する情報を示す同期制御情報をデータユニット領域に格納したXMIパケット(同期制御XMIパケット)を構成し、XMIパケット送出スケジューラ部312に出力する。なお、同期制御XMIパケット構成部310は、階層別フレームを分割する所定のサイズに同期制御情報が満たない場合には、スタッフビットを同期制御情報に付加して所定のサイズにしてデータユニット領域に格納する。
スタッフXMIパケット構成部311は、データユニットと同じサイズのスタッフビットのみがデータユニット領域に格納されたXMIパケット(スタッフXMIパケット)を構成し、XMIパケット送出スケジューラ部312に出力する。スタッフXMIパケットは、変調方式や符号化率が異なる場合にも、再多重化装置3が毎秒出力するXMIパケットの数を一定とするために用いられる。
XMIパケット送出スケジューラ部312は、XMIパケット化部307aから出力されたA階層XMIパケット、XMIパケット化部307bから出力されたB階層XMIパケット、XMIパケット化部307cから出力されたC階層XMIパケット、L0シンボル構成部308から出力されたL0シンボル、L1シンボル構成部309から出力されたL1シンボル、同期制御XMIパケット構成部310から出力された同期制御XMIパケットおよびスタッフXMIパケット構成部311から出力されたスタッフXMIパケットを、商用IP回線5を介して送信装置4に送信する。
XMIパケット送出スケジューラ部312は、OFDMフレームの先頭で、同期制御XMIパケットを1個出力する。続いて、XMIパケット送出スケジューラ部312は、各階層のXMIパケット(A階層XMIパケット、B階層XMIパケットおよびC階層XMIパケット)を出力する。各階層のXMIパケットを全て出力すると、XMIパケット送出スケジューラ部312は、OFDMフレームを構成するXMIパケットの数が一定数となるように、スタッフXMIパケットを出力する。なお、XMIパケット送出スケジューラ部312は、OFDMフレーム内のXMIパケットの出力の終了を示すために、例えば、少なくとも1つのスタッフXMIパケットを出力してもよい。
ここで、A階層XMIパケット、B階層XMIパケットおよびC階層XMIパケット(データユニットを伝送するXMIパケット)のデータユニット領域には、L0シンボルおよびL1シンボルを格納するために、所定のバイト数(例えば、4バイト)のチャンネル情報領域(L0シンボル格納用領域およびL1シンボル格納用領域)が設けられる。XMIパケット送出スケジューラ部312は、L0シンボル構成部308からL0シンボルが出力されると、データユニットを伝送するXMIパケットのL0シンボル格納用領域に、入力されたL0シンボルを速やかに(低遅延で)割り当て、送信装置4に出力する。また、XMIパケット送出スケジューラ部312は、L1シンボル構成部309からL1シンボルが出力されると、データユニットを伝送するXMIパケットのL1シンボル格納用領域に、入力されたL1シンボルを速やかに(低遅延で)割り当て、送信装置4に出力する。こうすることで、Lchのデータを低遅延で送信装置4に出力することができる。なお、LchのTLVパケットが無い場合には、XMIパケット送出スケジューラ部312は、Lchデータ用ヌルTLVパケットをチャンネル情報領域に格納する。
次に、再多重化装置3が生成するXMIパケットの構成について、図7を参照して説明する。
図7に示すように、XMIパケットは、IPv4ヘッダ、UDPヘッダ、MMTPヘッダ、およびMMTPペイロードを含む。MMTPペイロードには、XMIヘッダおよびデータユニット領域が含まれる。データユニット領域には、(スタッフビットが付加された)同期制御情報、所定のビット数のデータユニット、スタッフビットが付加されて所定のビット数となったデータユニット、あるいは、所定のビット数のスタッフビットが格納される。なお、上述したように、データユニット領域に(スタッフビットが付加された)同期制御情報以外が格納されるXMIパケットについては、データユニット領域にL0シンボルおよびL1シンボルを格納するためのチャンネル情報領域が設けられるが、図7においては記載を省略している。
IPv4ヘッダは、ARIB STD-B32 第3部に規定されるIPv4ヘッダ部と同様の構成を有する。UDPヘッダは、ARIB STD-B32 第3部に規定されるUDPヘッダ部と同様の構成を有する。MMTPパケットは、ARIB STD-B60に規定されるMMTPパケットと同様の構成を有するが、そのペイロードにXMIパケットを格納している点が異なる。すなわち、MMTPパケットのペイロード(MMTPペイロード)にXMIヘッダ以下が格納される。
図8は、XMIパケットに含まれるMMTPパケットの構成例を示す図である。
図8に示すように、MMTPパケットは、バージョンと、パケットカウンタフラグと、FECフラグと、リザーブ領域と、拡張ヘッダフラグと、RAPフラグと、ペイロードタイプと、パケット識別子と、配信タイムスタンプと、パケットシーケンス番号と、パケットカウンタと、拡張領域と、データ部分領域とを含む。
バージョンは、MMTプロトコルのバージョンを示す。パケットカウンタフラグは、パケットカウンタが存在するか否かを示す。FECフラグは、MMTPパケットのAL-FEC(Application Layer-Forward Error Correction)に関する情報を示す。AL-FECとは、送信側において、映像や音声などデータを含むパケット(ソースパケット)に基づき、誤り訂正符号を用いてリペアパケットを生成し、生成したリペアパケットをソースパケットとともに送信することにより、伝送中に一部のパケットがロスした場合でも、受信側では、受信したソースパケットおよびリペアパケットに基づき、ロスしたパケットを生成することを可能とする技術である。FECフラグは、MMTPパケットが、AL-FECで保護しないパケットであるか、AL-FECで保護するパケットのうち、ソースパケットであるか、AL-FECで保護するパケットのうち、リペアパケットであるかなどを示す。
拡張ヘッダフラグは、パケットのヘッダの拡張を行うか否かを示す。RAPフラグは、MMTPパケットのペイロード(MMTPペイロード)がランダムアクセスポイントの先頭を含むか否かを示す。ペイロードタイプは、MMTPペイロードのタイプを示す。パケット識別子は、ペイロードのデータの種類を示す。配信タイムスタンプは、MMTPパケットの先頭バイトが送信エンティティ(再多重化装置3)から出力される時刻を示す。パケットシーケンス番号は、同じパケット識別子を有するMMTPパケットの順序を示す。パケットカウンタは、パケット識別子の値に関わらず、同一のIPデータフローにおけるMMTPパケットの順序を示す。パケットカウンタフラグが、パケットカウンタが存在しないことを示す場合、パケットカウンタはMMTPパケットに含まれない。
データ部分領域は、図7に示すMMTPペイロードに相当する。XMIパケットが同期制御XMIパケットである場合、そのXMIパケットに含まれるMMTPパケットのMMTPペイロードには、図7に示すように、同期制御情報が含まれる。同期制御情報には、次のOFDMフレームの同期制御情報である次フレーム同期制御情報が含まれる。
図9は、次フレーム同期情報の構成例を示す図である。
図9に示すように、次フレーム同期情報は、リザーブ領域と、切り替えタイミング指標と、ガードインターバル比と、伝送モードと、非部分受信帯域のTMCC情報と、部分受信帯域のTMCC情報と、ネットワーク同期情報とを含む。
切り替えタイミング指標は、伝送モードおよびガードインターバル比の切り替えタイミングを示す。ガードインターバル比は、ガードインターバル比に応じた値が設定される。伝送モードは、伝送モード(モード1~モード4)に応じた値が設定される。非部分受信帯域のTMCC情報は、非部分受信用のセグメントにおける伝送パラメータを示すTMCC情報である。部分受信帯域のTMCC情報は、部分受信用のセグメントにおける伝送パラメータを示すTMCC情報である。
ネットワーク同期情報は、複数の送信装置4が放送波を送信するタイミングを同期させるために必要な情報である。ネットワーク同期情報には、例えば、最大遅延時間および時間オフセットなどの遅延制御に関する情報が含まれる。
最大遅延時間は、再多重化装置3からテレビ放送所1b(送信装置4)への信号の出力時刻に対し、SFNにおける各テレビ放送所1bの送信アンテナから放送波を発射するまでの時間間隔である。すなわち、最大遅延時間は、再多重化装置3からパケット(XMIパケット)が出力され、そのパケットに応じた放送波が送信されるまでに許容される時間である。また、時間オフセットは、送信装置4が設けれたテレビ放送所1bに対して予め設定された、最大遅延時間の調整量を示す。なお、ネットワーク同期情報には、テレビ放送所1bを識別するための送信所IDが含まれる。送信所IDを用いて、テレビ放送所1bに設けられた送信装置4それぞれに対して、時間オフセットを調整することができる。送信装置4はそれぞれ、最大遅延時間と、自装置に設定された時間オフセットとに応じた遅延時間で放送波を送信することで、SFNを実現することができる。
次に、監視装置10の構成について、図10を参照して説明する。
図10に示すように、監視装置10は、設定部11と、設定情報記憶部12と、XMI受信部13と、XMI解析部14と、TLV抽出部15(TLV抽出部15a,15b,15c,15d,15e)と、MMTP送信部16(MMTP送信部16a,16b,16c,16d,16e)と、表示情報バッファ17と、表示情報出力部18と、表示部19とを備える。XMI受信部13は受信部の一例であり、XMI解析部14は解析部の一例であり、表示部19は通知部の一例である。
TLV抽出部15aおよびMMTP送信部16aは、A階層に対応して設けられている。TLV抽出部15bおよびMMTP送信部16bは、B階層に対応して設けられている。TLV抽出部15cおよびMMTP送信部16cは、C階層に対応して設けられている。TLV抽出部15dおよびMMTP送信部16dは、L0シンボルに対応して設けられている。TLV抽出部15eおよびMMTP送信部16eは、L1シンボルに対応して設けられている。なお、図10においては、記載を省略しているが、PTPサーバ2との間のPTPパケットの往復により、再多重化装置3の内部時計と監視装置10の内部時計とは同期しているものとする。
設定部11は、システムの管理者により設定された、監視装置10の各種設定に関する設定ファイルが外部から入力される。設定部11は、入力された設定ファイルに示される設定情報を設定情報記憶部12に記憶させる。設定情報記憶部12に記憶された設定情報を参照することで、監視装置10の各部は動作する。
XMI受信部13は、再多重化装置3から商用IP回線5を介して送信されてきたXMIパケット(XMI/IPパケット)を受信する。XMI受信部13は、受信したXMIパケットをXMI解析部14に出力する。また、XMI受信部13は、受信パケット数、パケットロス数、入力ビットレートなどの情報を、表示情報バッファ17に出力する。図8を参照して説明したように、XMIパケットには、パケットシーケンス番号が含まれている。XMI受信部13は、受信したXMIパケットのパケットシーケンス番号を参照し、パケットシーケンス番号が不連続である場合(パケットシーケンス番号の欠落、および、入れ替わりが発生した場合)、パケットロスが発生したと判定する。XMI受信部13は、例えば、順次に受信したXMIパケットのパケットシーケンス番号が1,2,3,5,6である場合(欠落が発生した場合)、パケットロス数は1であると判定する。また、XMI受信部13は、例えば、順次に受信したXMIパケットのパケットシーケンス番号が1,2,4,3,5,6である場合(パケットの入れ替わりが発生した場合)、パケットロス数は1であると判定する。
XMI解析部14は、XMI受信部13から出力されたXMIパケットに含まれるTMCC情報および伝送パラメータ情報などを取得し、表示情報バッファ17に出力する。
また、XMI解析部14は、XMI受信部13でXMIパケットを受信した後、次にXMIパケットを受信するまでの経過時間(XMIパケットの受信間隔)と、最大遅延時間および時間オフセットの和に応じた閾値時間との比較を行う。そして、XMI解析部14は、比較の結果、XMIパケットの受信間隔が閾値時間を超えた場合、表示情報出力部18に警報を表示するように指示する。上述したように、送信装置4はそれぞれ、最大遅延時間と、自装置に設定された時間オフセットとに応じた遅延時間で放送波を送信することで、SFNを実現することができる。したがって、XMIパケットの受信間隔が最大遅延時間および時間オフセットの和よりも大きくなると、送信装置4は、最大遅延時間と時間オフセットとに応じた遅延時間で放送波を送信することができなくなる。その結果、SFNを実現することができなくなってしまう。
そこで、XMI解析部14は、例えば、XMIパケットの受信間隔が、最大遅延時間および時間オフセットの和よりも小さい第1の閾値時間(例えば、最大遅延時間および時間オフセットの和の70-80%程度の時間)を超えた場合、XMIパケットの伝送遅延によりSFNが困難になる可能性があることを示す表示(第1の通知)を表示情報出力部18に表示させる。また、XMI解析部14は、例えば、XMIパケットの受信間隔が、最大遅延時間および時間オフセットの和である第2の閾値時間を超えた場合、XMIパケットの伝送遅延によりSFNが成り立たなくなったことを示す通知(第2の通知)を表示情報出力部18に表示させる。このように、再多重化装置3からのXMIパケットの伝送遅延を監視し、XMIパケットの受信間隔と、最大遅延時間および時間オフセットの和に応じた閾値時間との比較結果に応じて通知を行うことで、伝送遅延によりSFNが成り立たなくなる可能性を低減し、放送の安定化を図ることができる。
XMI解析部14は、XMI受信部13から出力されたXMIパケットからデータユニットを抽出し、そのXMIパケットがA階層XMIパケットである場合には、抽出したデータユニットを、A階層に対応して設けられたTLV抽出部15aに出力する。また、XMI解析部14は、XMIパケットがB階層XMIパケットである場合には、抽出したデータユニットを、B階層に対応して設けられたTLV抽出部15bに出力する。また、XMI解析部14は、XMIパケットがC階層XMIパケットである場合には、抽出したデータユニットを、C階層に対応して設けられたTLV抽出部15cに出力する。なお、XMIパケットのXMIヘッダには、XMIパケットのデータユニット領域に格納されるのが、同期制御情報であるか、A階層、B階層あるいはC階層のデータユニットであるか、スタッフビットであるかを示す情報(データユニット種別)が含まれる。XMI解析部14は、XMIパケットのデータユニット種別を参照することで、XMIパケットに含まれるデータユニットの出力先を決定する。
また、XMI解析部14は、A階層、B階層およびC階層のXMIパケットに含まれるデータユニットを、L0シンボルに対応するTLV抽出部15dおよびL1シンボルに対応するTLV抽出部15eに出力する。
TLV抽出部15aは、XMI解析部14から出力されたデータユニットを連結してA階層のフレームを構成し、構成したA階層のフレームからA階層のTLVパケットを抽出する。TLV抽出部15aは、抽出したA階層のTLVパケットをMMTP送信部16aに出力する。TLV抽出部15bは、TLV抽出部15aと同様にして、XMI解析部14から出力されたデータユニットからB階層のTLVパケットを抽出し、MMTP送信部16bに出力する。TLV抽出部15cは、TLV抽出部15aと同様にして、XMI解析部14から出力されたデータユニットからC階層のTLVパケットを抽出し、MMTP送信部16cに出力する。
TLV抽出部15dは、XMI解析部14から出力されたデータユニットに含まれるL0シンボルを連結してTLVパケットを抽出し、MMTP送信部16dに出力する。TLV抽出部15eは、XMI解析部14から出力されたデータユニットに含まれるL1シンボルを連結してTLVパケットを抽出し、MMTP送信部16eに出力する。
MMTP送信部16aは、TLV抽出部15aから出力されたTLVパケットに含まれるA階層のMMTPパケット(MMTP/IPパケット)を抽出し、不図示のMMTデコーダ(受信機)に出力する。MMTP送信部16bは、MMTP送信部16aと同様にして、B階層のMMTPパケット(MMTP/IPパケット)をMMTデコーダに出力する。MMTP送信部16cは、MMTP送信部16aと同様にして、C階層のMMTPパケット(MMTP/IPパケット)をMMTデコーダに出力する。MMTP送信部16dは、MMTP送信部16aと同様にして、Lch(L0ch)のMMTPパケット(MMTP/IPパケット)をMMTデコーダに出力する。MMTP送信部16eは、MMTP送信部16aと同様にして、Lch(L1ch)のMMTPパケット(MMTP/IPパケット)をMMTデコーダに出力する。MMTデコーダは、各階層のMMTP/IPパケットをデコードしてテレビモニタに映像および音声を再生させる。
MMTP送信部16a,16b,16c,16d,16eはそれぞれ、MMTPパケットの出力ビットレートの情報を表示情報バッファ17に記憶させる。
表示情報バッファ17は、所定時間分の、XMI受信部13から出力された受信パケット数、パケットロス数、入力ビットレートなどの情報、XMI解析部14から出力されたTMCC情報および伝送パラメータ情報、および、MMTP送信部16から出力された出力ビットレートの情報を記憶する。
表示情報出力部18は、表示情報バッファ17に記憶された所定時間分の情報を記録したログファイルを生成する。また、表示情報出力部18は、表示情報バッファ17に記憶された情報に応じた画面を表示部19に表示させる。また、表示情報出力部18は、XMI解析部14から、XMIパケットの受信間隔と、最大遅延時間および時間オフセットの和に応じた閾値時間との比較に基づき、所定の通知を表示するように指示されると、その指示に応じた通知を表示部19に表示させる。
図11は、表示情報出力部18が表示部19に表示させる表示画面6の一例を示す図である。
図11に示すように、表示情報出力部18が表示部19に表示させる表示画面6には、例えば、設定表示領域61、情報表示領域62、回線品質表示領域63および出力ビットレート表示領域64が含まれる。
設定表示領域61には、例えば、監視装置10へのXMIパケットの入力元のアドレス、MMTPパケットの出力先のアドレス、ログファイルの出力の有無、後述するグラフの表示周期などの設定に関する情報などが表示される。
情報表示領域62には、例えば、PTPによる同期状態、回線品質情報(入力ビットレート)、XMIパケットに含まれるTMCC情報および伝送パラメータ情報などが表示される。
回線品質表示領域63には、XMIパケットの伝送遅延時間の平均値および最大値を示すグラフ631、および、所定時間内に受信されたXMIパケットのジッタの分布を示すグラフ632などが表示される。なお、XMIパケットのジッタは、そのXMIパケットの伝送遅延時間と、所定時間内に受信されたXMIパケットの伝送遅延時間の平均値との差異である。グラフ632では、所定時間内に受信されたXMIパケットのジッタの分布(伝送遅延時間の平均値に対するばらつき)を、各ジッタに対応する矩形の濃淡で示している。
出力ビットレート表示領域64には、A階層、B階層、C階層、L0chおよびL1chそれぞれの出力ビットレートを示すグラフが表示される。
なお、図10においては、監視装置10が表示部19を備える例を用いて説明したが、これに限られるものではない。監視装置10は、外部に設けられた表示装置に、表示情報バッファ17に記憶された情報に応じた画面などを表示させてもよい。
また、本実施形態においては、XMIパケットの受信間隔と閾値時間との比較結果に応じた通知として、表示部19への表示を行う例を用いて説明したが、これに限られるものではない。例えば、アラーム音を発生させるなどして通知が行われてもよい。
このように本実施形態においては、監視装置10は、IP回線(商用IP回線5)を介して再多重化装置3から送信されたパケット(XMIパケット)を受信するXMI受信部13と、XMI受信部13にてパケットを受信した後、次にパケットを受信するまでの経過時間と、最大遅延時間および時間オフセットの和に応じた閾値時間との比較結果に応じて、通知部に通知を行わせる(表示部19に表示を行わせる)XMI解析部14とを備える。
このように、再多重化装置3からのXMIパケットの伝送遅延を監視し、XMIパケットの受信間隔と、最大遅延時間および時間オフセットの和に応じた閾値時間との比較結果に応じた通知を行うことで、伝送遅延によりSFNが成り立たなくなる可能性を低減し、放送の安定化を図ることができる。
なお、本実施形態では、監視装置10の構成および動作について説明したが、本発明はこれに限られず、多重化された複数の階層それぞれのデータを再多重化する再多重化装置3により生成されたパケットを監視する監視方法として構成されてもよい。
また、実施形態では特に触れていないが、監視装置10が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
あるいは、監視装置が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、および、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成され、監視装置10に搭載されるチップが提供されてもよい。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。