JP7273490B2 - 荷電粒子顕微鏡等のための極低温サンプルの改良された調製 - Google Patents

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Description

本発明は、サンプルが凍結剤を用いた急冷に供される、極低温サンプルを調製する方法であって、以下の、
- 極低温流体を輸送するための2つの導管を用意することであって、導管のそれぞれは、マウスピース内に開通しており、マウスピースは、介在ギャップを介して互いに対面するよう配置される、用意するステップと、
- サンプルを当該ギャップ内に置くステップと、
- 極低温流体を当該導管を介してくみ上げて、当該マウスピースから同時に流出させ、これにより、サンプルを2つの対向する側からの極低温流体中に急速浸漬させるステップと、を含む方法に関する。
本発明はさらに、かかる方法を実施するための機器に関する。
本発明はまた、
- サンプルを保持するためのサンプルホルダと、
- 少なくとも当該サンプルホルダにある間、サンプルを極低温に維持するための冷却装置と、
- 荷電粒子のビームを生み出すためのソースと、
- 当該ビームを配向してサンプルを照射するための照明器と、
- 当該照射に応じてサンプルから放射される放射線の流束を検出するための、検出器と、を含む荷電粒子顕微鏡におけるかかるサンプルの使用に関する。
用語「凍結剤」は、極低温、すなわち、-150℃以下の液体を指すものと解されるべきである。かかる凍結剤の例は、液体エタン、液体プロパン、液体酸素、およびこれらの混合物を含む。
荷電粒子顕微鏡は、周知であり、特に、電子顕微鏡の形態において、顕微鏡対象物の画像化のため次第に重要な技術になってきている。歴史的に、電子顕微鏡の基本種類は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、および走査透過型電子顕微鏡(STEM)のような、多数の周知の機器類に進化し、またいわゆる「デュアルビーム」ツール(例えば、FIB-SEM)のような、様々なサブの種類に進化しており、それらはさらに、例えば、イオンビームミリングまたはイオンビーム誘起堆積(IBID)のような支援動作を可能にする、「機械加工」収束イオンビーム(FIB)を利用する。より具体的には、
- SEMでは、走査電子ビームによるサンプルの照射により、サンプルから、例えば、二次電子、後方散乱電子、X線ならびにフォトルミネッセンス(赤外光子、可視光および/または紫外光子)の形態での「予備」放射線の放出が促進され、次に、放出放射線のこの流束の1つまたは複数の成分が検出され、画像蓄積目的に使用される。
- TEMでは、サンプルを照射するために使用される電子ビームとして、サンプルに進入する(この目的のため、サンプルは、一般にSEMサンプルの場合より薄い)のに十分に高いエネルギーのものが選ばれ、次に、サンプルから放出する透過電子の流束を使用して、画像を作製することができる。かかるTEMが、走査モードで操作される(したがって、STEMとなる)とき、照射電子ビームの走査動作の間、対象の画像が蓄積される。
照射ビームとして電子を使用する代わりに、他の種類の荷電粒子を使用して荷電粒子顕微鏡をまた実行することができる。この点において、語句「荷電粒子」は、例えば、電子、陽イオン(例えば、GaまたはHeイオン)、陰イオン、プロトンおよびポジトロンを包含すると広く解されるべきである。非電子系の荷電粒子顕微鏡に関して、幾つかのさらなる情報を、例えば、以下のようなソースから集めることができる:
https://en.wikipedia.org/wiki/Focused_ion_beam
http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_Helium_Ion_Microscope
- W.H.Escovitz,T.R.Fox and R.Levi-Setti,Scanning Transmission Ion Microscope with a Field Ion Source,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 72(5),pp 1826-1828(1975).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22472444。
画像化、および(局所的)表面修飾(例えば、ミリング、エッチング、堆積など)の実行に加えて、荷電粒子顕微鏡はまた、分光法の実行、ディフラクトグラムの検討などのような、他の機能を有し得ることは、注意されるべきである。
いずれの場合でも、荷電粒子顕微鏡(CPM)は、少なくとも以下の部材を含む:
- ショットキー電子源またはイオン銃のような、放射線源。
- ソースから「生の」放射線ビームを操作し、それに、集束、収差軽減、クロッピング(開口部での)、フィルタ処理などのようなある種の操作を実行するよう働く、照明器。それは一般に、1つまたは複数の(荷電粒子)レンズを含み、他の種類の(粒子)光学部材をまた含んでもよい。所望なら、出力ビームが評価されるサンプルに渡り走査動作を実行するようにさせ得る偏向器システムを有する照明器が、提供され得る。
-評価下のサンプルが保持され、位置決めされる(例えば、傾けられる、回転される)、サンプルホルダ。所望なら、このホルダを動かして、サンプルに関してビームの走査動作を果たすことができる。一般に、かかるサンプルホルダは、メカニカルステージのような位置決めシステムに接続される。ホルダは、サンプルを所定の(高いまたは低い)温度範囲に維持する手段を含んでもよく;本発明の特定の状況では、それは、典型的には、サンプルを極低温にて維持する手段を含む。
- 事実上、一体型または複合/分散型であり得、検出される放射線に応じて、多くの異なる形態を取ることができる、検出器(照射されたサンプルから放出される放射線を検出するため)。例は、フォトダイオード、CMOS検出器、CCD検出器、光電池、X線検出器(例えば、シリコンドリフト検出器およびSi(Li)検出器)などを含む。一般に、CPMは、幾つかの異なる種類の検出器を含み、その選択は、異なる状況下で行われ得る。
透過型顕微鏡(例えば、(S)TEMのような)の場合、CPMはまた:
- 本質的には、サンプル(面)を通過する荷電粒子を取り込み、それらを、検出/画像化装置、分光装置(例えば、EELSモジュール;EELS=電子エネルギー損失分光法)などのような、解析機器に配向する(集束する)、画像化システムを含む。上で言及された照明器と同様に、画像化システムはまた、収差軽減、クロッピング、フィルタ処理などのような、他の機能を実行してもよく、一般に、1つもしくは複数の荷電粒子レンズ、および/または他の種類の粒子-光学部材を含む。
以下、本発明は、例示の目的で、電子顕微鏡の特定の状況でしばしば説明される。しかしながら、かかる単純化は、単に明確化/説明の目的のため意図され、制限と解されるべきではない。
多数の水性液体(例えば、水、電解液、細胞液、血漿など)において保存され、研究される必要がある生物学的標本(例えば、細胞、細胞成分、単細胞生物など)は、
- CPMの(準)真空環境に導入された水性液体は、アウトガス/沸騰し始め、したがって、標本を劣化させる傾向にあり、
- これを防ぐために、サンプル(標本+水性液体)は、当該真空に導入される前に、まず凍結され得、
- しかしながら、(鋭い)氷晶の形成により引き起こされる標本への損傷を防ぐために、かかる凍結は、一般に、著しい氷晶化なくサンプルのガラス化(無定形のガラス様相への固化)を達成することを目的として、非常に迅速に実行されなければならないので、CPMにおけるそれらの調査に関する有意な課題を提示し得る。
かかるガラス化を促進し、だがまたサンプルがTEMのような透過型CPMにおいて研究されることを可能にするために、サンプルは、比較的薄く(シート様)であるべきだが、依然として、(用いられる手段のサポートが、ビームの進入に対して有意な作用を有しないように)それをその端までサポートすることができるべきである。この目的を達成するため、典型的には、有孔膜(例えば、いわゆる、「孔あき炭素膜」)がかけられ、その有孔において少量のサンプルが保持され得る(表面張力効果により)、グリッド様ホルダ(例えば、いわゆるTEM Autogrid(登録商標))が成り立っているなら、使用する。例えば、図1を参照。
上の初めの段落において説明された方法は、米国公開第2017/0169991A1号より公知であり、それは、本出願と同一の発明者/譲受人を有し、参照により本明細書に取り込まれる。当該書類において説明された技術は、それ以前の従来技術と比べて有意な改善を生み出したが、本発明者は、なおさらにそれを改善することを模索した。この試みの結果が、本発明の主題である。
ガラス化により極低温サンプルを調製する改善された方法を提供することが、本発明の目的である。特に、かかる方法が、従来技術と比較してより一貫した結果を生み出すべきであることが、本発明の目的である。具体的には、新規方法は、ガラス化プロセスにおいて(部分的に)損傷されたサンプルの発生を低減すべきことが、本発明の目的である。
これらのおよび他の目的は、上の初めの段落において説明された方法において達成され、その方法は、請求項1において定義される通り特徴付けられる。方法によると、第1の当該マウスピースから適用される極低温流体の流出は、当該第1の当該マウスピースからの極低温流体の流出が、第2の当該マウスピースから適用されるものと異なるように、所定の時間間隔の後、低減される。
この新規技術は、サンプルの後側(当該マウスピースの一方に対面する)および前側(当該マウスピースの他方に対面する)の冷却に関して、計画的な非対称/不同を生み出す米国公開第2017/0169991A1号における技術と異なる。本発明において、それぞれのマウスピースからの凍結剤の流出は、例えば、凍結剤の種類、相、温度、流断面、流速、流出の持続時間などの1つまたは複数に関して異なり得る。この意図的な相違は、発明者の研究から、グリッドに取り付けられた有孔膜に配置された水性サンプルのガラス化に注がれ、これにより、彼は、米国公開第2017/0169991A1号において記載された技術を使用したとき、膜のいくつかのセル/四角形が、(ある種の状況下で)グリッドから取り外されやすいことを観察した:例えば、図2を参照。この現象をより徹底的に調べることで、本発明者は、かかる膜のセル/四角形が、特定の方向性/非等長を有する膜の残りから、すなわち、後側(グリッドに対して対面している膜の側)から前側(グリッドから離れて対面する膜の側)の方向で、切り離され/取り外されるように思われることを観察した。多くの研究の後、本発明者は、膜の一方の側(後側)にはあるが、他方の側(前側)にはないグリッドの存在が異なる条件を本質的に作り出し、それは、個々に合わせられ/最適化されるべき後側および前側のガラス化をしばしば必要とすると結論付けた。より具体的には、本発明者は、後側と前側の両方に適用される同じ流出で、過剰に流出される後ろ側という可能性が存在し、それは、その側からの損傷/破損の付随するリスクの上昇を伴うと結論付けた。したがって、本発明者は、後側が、例えば、流出圧を変えること、流出分布を修飾すること(異なるマウスピースを使用した)、前側と比べて後側の流出の持続時間を変えること、および/または後側の空間を取り除くことにより、前側より「小さい強さの」流出を受けて、そこから凍結剤を排除し、結果として、前側と比較して圧を低くした実験を計画した。これは、損傷され/取り外されたセル/四角形の発生の実質的な低減を伴った、励みになる結果を生じた。
前の段落において説明された現象を説明する1つの方法は、膜の一方の側(後側)のグリッドの存在が、膜の他方の側(前側)と比べてその側に異なる流動挙動(および関連する温度効果)を生み出すという認識から発生する。本質的に、グリッドは、膜の後側の空間を「区分し」、凍結剤の側面の流動を(膜に沿って)妨げ、付随するじょう乱効果を引き起こす傾向にある。ある意味では、グリッドは、後側流出と関連する機械力/温度効果を(グリッドセル内で)「集束させ」/集中させる傾向にあり、それは、軽減する手段が取られないなら、膜を局所的に圧し得る。
完全性のため、マウスピースから流出される極低温流体は、液体または(乾性)ガス/蒸気であってもよく、それぞれのマウスピースについて同一であっても、または異なっていてもよく;一般に、液体は、とりわけ、液体のより大きな熱容量、およびそれらが保存され、くみ上げられ得る比較的容易さのため、ガス相の流体より好ましい傾向にあることは、認識されるべきである。所望なら、マウスピースは、メッシュ(ふるい)または動力伝達路の細分化の他の形態を含んで、例えば、層流および/または特定の流動パターンを達成してもよく;上で言及された通り、このメッシュは、両方のマウスピースについて同じである必要はないこともまた、注意されるべきである。
実施形態において、低減することは、当該所定の時間間隔の後に、当該第1のマウスピースからの流出を終結させるステップを含む。故に、一方の側は、対向する側と比較して、より長期間冷却される。
本発明による構成において、極低温流体は、例えば、1つまたは複数の(電気)ポンプを使用して用いられた導管を介してくみ上げられてもよく;これらは、必要に応じてスイッチを入れられ/切られてもよく、および/またはバルブシステムを使用して、導管中の流動を任意に開き/閉じることができる。かかる構成により、例えば、導管の1つの中の流速および/または流動の持続時間が、本発明(の実施形態)に従い、他の導管中のものと異なることが可能になる。しかしながら、代替の実施形態において、使用は、「手動のくみ上げ」構成からなり、ここで、
- 当該導管は、プランジャ内に配置され、それにより、それぞれの導管が、プランジャの下側に入口の開口部を有し、当該ギャップが、プランジャの上側の溝として提供され、
- 極低温流体のバスは、当該プランジャの下に提供され、
- 当該サンプルは、下降圧力を当該プランジャに適用するツールを使用して、当該溝に挿入され、それにより、プランジャを少なくとも部分的に沈ませ、当該バス中の極低温流体を当該入口の開口部内に流し、当該マウスピースを出現させる。
かかる構成は、ピストンにおいて使用されるものと類似の流体の置換機構を有効に使用する(それにより、プランジャは、[オーバーフロー導管を有する]ピストンヘッドの役割を果たし、極低温バスは、ピストンチューブに含まれる)。それは、前述の米国公開第2017/0169991A1号において記載された構成と類似するが、本発明により修飾されて、マウスピースのそれぞれから極低温流体の異なる流出を生み出すことができる。これを達成する1つの方法は、所定の時間間隔の後の、当該第1のマウスピースに接続された、第1の当該導管を塞ぐためのシャッターの使用である。かかる後にシャッターで閉じる1つの好都合な方法は、構造物を使用することであり、ここで、プランジャが当該バスに沈められるので、当該第1の導管に接続された第1の当該開口部は、当該バスの表面下の選択された距離dで配置されたふた(カバー;打抜き膜)と係合し、次に、そのふたが、プランジャと共に動いて、閉じられた当該第1の開口部を維持する。かかる概要は、例えば、図3A~3Cに描かれる。プランジャが垂直速度vで沈められるなら、次に、流出/プランジャの沈下が始まった後に、所定の時間t=d/v(例えば、例を挙げると、40~60ミリ秒のような、範囲10~100ミリ秒(ms)内)でシャッターと係合するように、dを選択することができる。シャッター自体は、例えば、以下であってもよい。
- 用いられる凍結剤バスにおいて本質的に浮力があるように具体化され、および/または例えば、それを、例えば、バネ機構を使用して上方に偏らせることにより、人工的に「浮力がある」ようにされてもよい。この方法では、プランジャが、(その上方/戻り「行程」にて)そこから離れるとき、シャッターは、(デフォルト/開始位置まで)上方に戻る/元に緩める。
- その挙動を垂直の経路に強いる誘導装置/レールに結び付けられてもよい。
- 調節可能な停止を使用して、ある種のレベルより上に(深さdにて)上昇することを省略されてもよい。
前の段落において記載された実施形態において、以下は、注意されるべきである。
- 問題の「ツール」は、例えば、ピンセットまたはプライヤであってもよく、それを使用して、標本をその端によりしっかりとつかむことができる。かかるツールは、例えば、突出したもの、バール、またはツールの挿入挙動(溝内)をプランジャの(下方への)同時挙動に置き換えるために、プランジャ(またはそれ上のいくつかの構造物)の上部と係合する局所的な拡大物のような特徴部を含む。
- プランジャは、初めのうちは、凍結剤バス内に(浅く)浮いていてもよいか、または代わりに、バスにつり下げられていてもよい。
- 図3A~3Cにおける説明は、サンプル面が垂直に合わせられ、極低温流体が、マウスピースから水平に流出する概要を描くが、これは、必ずしも、そうである必要はない。代わりに、例えば、サンプル面が水平に合わされ、マウスピースがそれより上と下に配置され、極低温流体が、マウスピースから垂直に流出する、構成を構成することができる。両方の概要において、実質的に等しい両方の導管の(累積的)長さを有して、プランジャが適当に沈んだとき、両方のマウスピースからの極低温流体の実質的に同時の配給を確かにすることが、望まれる。
- プランジャは、それらが、極低温での使用と適合する(例えば、もろさの点)限り、様々な材料から作られてもよい。例は、例えば、ステンレススチール、チタンおよび(ある種の)セラミックを含む。
例えば、上で言及されたグリッド/膜、または薄片/薄紙片のような、対向して位置する主な面を有する実質的に平面のサンプルについて、以下の考慮すべき事柄が、本発明を適用するときの(拘束力のない)指針をもたらす。
- 1つは、末端/外周/円周の周囲をマウスピースのそれぞれと関連付けることができる。これは、必ずしもそうである必要はないが、典型的には円形である。
- これらの周囲は、理想的には、共通の軸に中心を置く。
- この共通の軸は、(平面の)サンプルの面を(およそ)通常の/垂直の角度にて交差させる。共通の軸はまた、理想的には、サンプルの幾何学的中心/図心/重心を通る。
- 名目上、サンプルは、マウスピースから等距離であるように(またはグリッドにかけられた膜を含むサンプルの場合では、膜がマウスピースから等距離であるように)、位置づけられる。サンプル/膜が特定のマウスピースの近くにあれば、次に、サンプルの前側および後側の流出の同時開始を、例えば:
- 凍結剤の、その特定のマウスピースに接続された導管へのくみ上げを若干遅延させること;または/および
- その特定のマウスピースに接続された導管が、他のマウスピースに接続されたものより若干長いことを具体化すること
により、依然として確かにする。
サンプルが押し込まれる凍結剤バスに関して、使用される凍結剤に関する様々な可能性のある選択が存在する。例えば、様々な実行者が、液体エタン/プロパン混合物を使用することを報告している。本発明の特定の実施形態において、バス中の凍結剤は、範囲-160℃~-183℃内の温度の液体エタンを含む(実質的な量の他の構成物質を含まない)。サンプルを、それを押し込んで、冷却することにより、ガラス化するとき、人は「低いほど良い」という規則を忠実に実行する傾向にあり得る。しかしながら、約-183℃未満の温度にて、本発明者は、液体エタンが、例えば、サンプルホルダにくっつけることにより、押し込みプロセスを恐らく妨げる粘性になる傾向があり得ることを観察した。それ故、このレベルより上の温度(例えば、-175℃)が、一般に好ましい。
サンプルの満足のいくガラス化を達成するために、本発明のマウスピースからの極低温流体へのその曝露は、比較的急激であるべきであり、故に、用語「流出」である。マウスピースからの極低温流体への曝露が、より段階的であり/延長されるなら、次に、サンプルが、無定形に固めることよりむしろ結晶の形態に(少なくとも部分的に)凍結させるというリスクが存在し、それは、本発明の状況下では望ましくない。発明の流出のタイミングおよび持続時間は、サンプル(のグリッド/膜)の厚さ、用いられる極低温流体の温度、マウスピースにより生み出される圧力/流動パターンなどのような、様々な要因に依存して、調整され/最適化され得る。拘束力のない例として、第2のマウスピースからの途切れない流出は、5~200ミリ秒の範囲内の名目上の持続時間を有してもよく、例えば;グリッド上に孔あき膜を含むサンプルの場合では、幾分長い持続時間が、一般に、孔あき膜内の水性膜のガラス化を生み出すことに加えて、余熱をグリッド(および任意の付随する支持膜)から満足のいく程度まで取り除いて、グリッドからの熱放散による膜の望ましくない「再加熱」を防ぐことを確かにすることを助ける。ガラス化が生じた後、水性膜の温度は、好ましくは、望ましくない結晶氷の形成を防ぐため、約-145℃未満のままである。当業者は、本発明の所定の実施形態に関する構成およびパラメーターに合わせて、流出の持続時間を選択することができる。
本発明は、グリッドに取り付けられたサンプルに関して上で説明されたが、それは、かかるサンプルに限定すると解されるべきではない。原理上、本発明は、任意のサンプルで使用するものであり得、ここで、第1の側と対向して配置される第2の側との間に非対称/区別が存在する。例えば、
- 一方の側は厚い基板を含んでもよく、他方の側は薄いラミネーション/膜を含んでもよく、
- 一方の側は無定形の材料を含んでもよく、他方の側は結晶であってもよく、
- 一方の側は、第1の特異的な熱容量を有する材料を含んでもよく、他方の側は、実質的に異なる熱容量を有する材料を含んでもよい、など。かかる差は、本発明の適用を正当化することができ、それにより、第1の側の流出が、第2の側の流出と異なるよう構成される。
本発明は、ここで、典型的な実施形態および添付の略図に基づき、より詳細に説明される。
ガラス化方法において使用される共通のサンプル構造(の特定の実施形態)を説明する。 従来技術のガラス化方法の適用から生じ得るサンプル損傷を示す。 (発明の方法を成立するため)本発明による機器の実施形態の態様の縦の断面図を提供する。 同上。 同上。 それ自体が本発明での使用に役立つ荷電粒子顕微鏡の縦の断面図を提供する。
図において、適切な場合、対応する部分は、対応する参照記号を使用して示され得る。一般に、図は一定の縮尺ではないことは、注意されるべきである。
背景例
図1は、本発明と合わせて使用され得るサンプルSの特定の実施形態の態様の詳細な(拡大された)断面を提供する。この特定の種類のサンプルSは、「グリッド」または「Autgrid」Gとしてしばしば言及されるものを含む。それは、ワイヤ(例えば、CuまたはNiなどを含む)の円環21aを含み、環の直径は、典型的には、約3mmの等級のものであり、ワイヤの直径は、典型的には、約20~100μmの等級のものである。環21a内に直線状のワイヤ部分21bが結び付けられ、それは、(この場合では)直交グリッドパターンを形成するよう配置され、故に、(実質的に四角形の)開口部(口/孔/窓)23のマトリクス様アレイを定義する。図1の中央部分は、直径B-B’に沿って取得された、図の上方部分の横の断面図を示す。それは、グリッドGが、互いに実質的に平行の、対向する第1(S1)および第2(S2)の「表面」を有する、実質的に平面(平板様)の形態を有することを示す。そこに描かれる通り、膜25は、第1の表面S1に広げられている(および、場合により、例えば、接着剤を使用して、または溶融結合により、ワイヤ21bに取り付けられる)。この膜25は、例えば、ナイロンまたはグラフェンのような炭素質材料を含んでもよく、典型的には、約0.3nm~数百nmの範囲にある厚さ(Y方向で)を有する。膜25は、図の底部の詳細図において明確に視認できる、穿孔27の分布を含む。これらの穿孔27は、典型的には、約1.2~3.5μm(例えば、約2μm)の範囲内の直径(XZ面に平行)を有する。本質的に、グリッドGは、膜25用の足場として機能し、膜25は、順に、穿孔27用の支持構造として機能する(その結果、それはときに、「孔あき炭素サポート」と言及される)。穿孔27内では、最終的な「標本」が、それぞれの所定の穿孔27に渡り広げられ、(とりわけ)表面張力効果のおかげでその場に留まる、水性液体(そこに懸濁された1つまたは複数の研究標本を含む)の薄膜29の形態で、提供され、支持されるべきである。図1に描かれ(グリッドG+有孔膜25、27)、上記された構造は、例えば、米国、カリフォルニア、レディングのTed Pella,Inc.のような会社から市販されていることに注意されるべきである。また、例えば、ドイツ、イエナ、Quantifoil Micro Tools GmbHのような会社から、(様々な)予め製造された孔あき炭素膜(有孔膜25、27に対応する)を購入することが可能である。とりわけ、本発明の状況下で、説明される構造は、「後側」Sbおよび「前側」Sfを有するとみなされ得る。
水性液体の膜29は、技術文献に十分に記載され、当業者に公知の方法を使用して、膜25の様々な穿孔27において提供することができる。1つのかかる公知の方法において、吸い取り紙のシート(描かれていない)が、膜25の外側/下側表面に対して押し付けられ、次に、問題の水性液体で湿らされ、続いて、膜25が取り除かれ(例えば、剥離され)、これにより、開口部27(の大部分)が、水性液体の(ミニ)膜29を備え、水性液体は、これらの内部に表面張力効果により広げられる。この種の方法は、例えば、Marc Adrianらにより、Micron 29(2-3)、Elsevier Science Limited、1998、pp.145~160中の記事「Cryo-negative Staining」において記載されており、ここでは、これ以上注目しない。米国特許第9,772,265号(本出願と同じ発明者/譲受人を有し、参照により本明細書に取り込まれる)において説明される代替方法もまた参照される。
ここで図2に目を向けると、これは、前述の米国公開第2017/0169991A1号において説明された方法を使用したガラス化(サンプルの後側および前側に適用されるのと同じ流出)の後、図1において説明されるもののような種類の特定のサンプルを示す。黒い/まだらの四角形/セルは、損傷されていないか、または幾分のみ損傷され(良好なガラス化方法)、一方、白色の四角形/セルは、膜破損/脱ラミネーションが(より高いかまたは低い程度まで)生じた位置に対応する。本状況において、四角形/セルの約50%の等級のものが、準最適であると見られる。上で説明された通り、サンプルのより緻密な調査(本図において明白ではない)により、損傷された四角形/セルが、一般的な後側から前側への方向性で取り外される。
実施形態1
図3A~3Cは、本発明による方法および機器の実施形態の態様を示す。図3Aから始めると、これは、極低温流体を輸送するための一対の導管31a、31bを示す。これらの導管31a、31bのそれぞれは、2つの外部オリフィスを有し、これらは(それぞれ)、
- (下側)入口オリフィス37a、37bであり、これを介して、極低温流体が導管31a、31bに進入することができ、
- (上側)マウスピース(出口オリフィス)33a、33bであり、これを介して、極低温流体が導管31a、31bから出現する。これらのマウスピース33a、33bは、介在ギャップ35を介して互いに対面する。
以下が注意されるべきである:
- 利便性のため、様々な部材31a、31b、33a、33b、35、37a、37bは、ここで、本体Pにあるとして描かれ、この本体Pは、それらをその場に維持するためのマトリクス/構造として機能し得;例えば、本体Pは、金属、セラミックまたはエポキシの栓/ブロックであってもよく、ここで、これらの様々な部材は、例えば、鋳造、成型、機械加工または3Dプリントにより作製された。しかしながら、これは、必ずしも、そうである必要はなく、様々な部材は、代わりに(準)自立構造であることもできる。
- オリフィス37a、37b;33a、33bは、ここで、フレア状であると描かれるが、必ずしも、そうである必要はない。
- ギャップ35は、均一の幅であると描かれるが、代わりに、例えば、先細であることもできる。それは、理想的には、比較的狭く(Y方向に)、最初の流出同期化および対称性を改善すべきである。
- ここで描かれる通り、メッシュ/ふるい/発泡膜39a、39bは、サンプルSの(名目上の)挿入された位置に近接近して配置された、それぞれのマウスピース33a、33bにおいて提供され、これにより、サンプルSに近い「壁」が作られ、可能性のある流出待ち時間を減らし、サンプルSの両側での流出における任意の最初の非対称/相違を低減するが、依然として、凍結剤の「結合」を防ぐのにサンプルSから十分に遠い。
また図3Aにおいて、例えば、端に沿ってつかむことにより、サンプルSをしっかりとつかみ、操作するため使用することができるツールT(例えば、ピンセット、はさみ、プライヤ、クランプ、ロボットアームなど)が描かれる。このツールTを使用して、ギャップ35中、マウスピース33a、33bの間にサンプルSを位置づけることができる。
既に上で説明された通り、入口オリフィス37a、37bに極低温流体を供給する1つの方法は、適当な管/パイプを使用して、それらを(電気)凍結剤ポンプ(および関連の凍結剤リザーバ)に簡単に接続することであり;次に、人は、凍結剤を導管31a、31bを介して、マウスピース33a、33bの外側にくみ上げ、ギャップ35(に位置するサンプルS)を極低温流体で流出/シャワーすることができる。しかしながら、本実施形態において、代わりに、(手動の)ピストン動作を使用して、極低温流体を導管31a、31bを介して動かす。この目的のため、本体Pは、プランジャとして具体化され、これは、下側Pu(ここに、入口オリフィス37a、37bが位置する)および上側Pt(これを介して、ギャップ35にアクセスすることが可能である)を有する。次に、このプランジャPは、例えば、凍結剤7の容器(管、入れ物)5に(部分的に)押し込まれ/浸漬され;プランジャの下側Puが表面9を下に動くと、凍結剤7は、入口オリフィス37a、37b、さらに導管31a、31bを通り、マウスピース33a、33bの外側に(徐々に)押される(図3Aから3B、さらに3Cへの進行を参照、これらは、この動きの一部を説明する)。図3Aにおいて、ツールTの挿入/押し込み方法の開始に先立ち、導管31a、31bは、例えば、前の押し込みの相互作用由来の事前サイホンエおよび/または毛管作用の結果として、凍結剤7と接し/事前に充填されることに注意のこと。この方法において、凍結剤の供給が、サンプルSの挿入された位置に近接近して待機し、ほぼ瞬時に流れ出る用意ができており、したがって、サンプルSの両側からの非同期流出のリスクを減らすことを確かにする。これに関して、メッシュ39a、39bが、導管31a、31b内の位置に準備された凍結剤のこの「ヘッド」を維持するのを助けることは、注意されるべきである。
望ましい押し込み動作を生み出すために、描かれた構成では、ツールTを使用して、プランジャPに下方向の力を適用するが、これは、必ずしも、そうである必要はなく、代わりに、他の手段により、プランジャPを下方向に押すこともできる。図3Bおよび3Cにおいて示される通り、ツールTは、プランジャPの上側Ptの逆領域/部分P’と係合する突出したもの/ラグT’を有し、これにより、ツールT状の下方向の力が、プランジャPの下方向のモーメントに伝わることを可能にする:図3B、3Cにおける説明の下向きの矢印T”を参照。さらに、突出したものT’を(必要なら)利用して、サンプルSが、ギャップ35において最適な深さまで挿入される(理想的には、マウスピース33a、33bの間で実質的に対称に)ことを確かにし、またそれを使用して、ギャップ35においてサンプルSの正しい側面の位置決定をもたらし得る(理想的には、再度、マウスピース33a、33bから等距離でサンプル(のガラス膜)を有する)。
ここで描かれるもののような構成の非限定的な例において、以下の一例(およびおよその)値が適用されてもよい:
- サンプルSは、直径3mmかつ厚さ0.4mmの平面グリッドを含む。
- マウスピース33a、33bの直径:3~4mm。
- 導管31a、31bの直径:2.5mm。
- マウスピース31a、31bの分離/ギャップ35の幅:1mm。
- マウスピース31a、31bからの流速:約5~15m/s。
当業者は、彼ら自身の値を所定の状況の要件に合わせることができる。
本発明の特定の状況において、描かれる機器は、(左)マウスピース33aから適用される極低温流体の流出が、(右)マウスピース33bから適用されるものと異なるように、より具体的には、マウスピース33aからの流出が、マウスピース33bからのものより短い持続時間にするように構成される。この目的のため、所定の時間間隔の経過の後、(左)導管31a(当該(左)マウスピース33aに接続される)を塞ぐために遮断機構(41、43、45)が使用される。より具体的には、この遮断機構は、以下を含む。
- 凍結剤バスの表面9より下の選択された名目上の距離dで配置された、ふた(カバー/ブランカ)41。
- Z軸に実質的に平行のふた41の動作を可能にし、誘導する、レール/誘導装置43。この目的のため、ふた43は、レール43と共に作動して、2つのものの代替の動作を可能にする開口部43’(または例えば、クラスプまたはランナのような他の適当な構造)を含んでもよい。
- (深さdでの)ある種のポイントを超えたふた41の上方向の動作を防ぐ調節可能な停止(例えば、スクリューロックされたカラー摺動のような)。
上で説明された通り、ふた41は、凍結剤7中で自然に浮いてもよいか(例えば、それが中空であるため)、および/または例えば、スプリング、ピストンまたは磁気駆動装置を使用して、上方向にバイアスをかけられてもよい。この方法では、ふた41は、プランジャPと係合するとき、下方向に共に動くことができるが、プランジャPがそこから離れたとき、上方向に戻り/元に緩める。特に、個々の図に関して、以下の通りである。
- 図3Bにおいて、かかる係合は、まだ生じていない。プランジャPは、凍結剤7を介して下方向に動いており、これにより、(さらなる)凍結剤を導管31a、31bに強力に導入する。関連の圧力ヘッドが、凍結剤を両方のマウスピース31a、31bから流出させ、これは、図3Aにおいて、マウスピース31a、31bの間の空間を埋める斜線部により説明される。
- 図3Cにおいて、プランジャPは、ふた41と係合し、プランジャPおよびふた41は、下方向に共に動いている(矢印47を参照)。そのサイズ/位置付けのため、ふた41は、左入口オリフィス37aのみと係合し、これにより、それをブロックし/取り付け、そこに凍結剤が流れるのを防ぎ;他方、右入口オリフィス37bは、この方法で妨げられない。結果として、左マウスピース33aからの凍結剤の流出がやみ、一方、右マウスピース33bからの流出は継続する。このとき、斜線部(流出)は、右マウスピース33bから来るのみである。
上で説明された通り、当業者は、プランジャPのdおよび/または下方速度を選択して、流出開始後、事前に選択された時間間隔で左マウスピース33aからの流出のこの終結を引き起こすことができる。この時間間隔は、例えば、10~200ミリ秒の等級のものであってもよい。
実施形態2
図4は、本発明に従って調製されたサンプルを調べるために使用することができるCPMの実施形態の非常に略した図であり;より具体的には、それは、透過型顕微鏡Mの実施形態を示し、この場合では、TEM/STEMである(しかし、本発明の状況下で、同程度に有効なのは、例えば、イオンベースの顕微鏡である)。図において、真空外被V内で、電子源2(例えば、ショットキーエミッタのような)は、電子光学照明器4を横切る電子のビームCを生み出し、それを、標本Sの選択された部分(例えば、(局所的に)薄くされ/平面にされていてもよい)に配向し/集束させるのに役立つ。この照明器4は、電子光学軸C’を有し、一般に、様々な電気/磁気レンズ、(スキャン)偏向器(複数を含む)D、補正器(例えば、スティグメータ)などを含み;典型的には、それはまた、コンデンサシステム(部材4の全体が、ときに「コンデンサシステム」として言及される)を含むことができる。
標本Sは、位置決めシステム/ステージAにより、複数の程度の自由で位置付けられ得る標本ホルダHに保持され;例えば、標本ホルダHは、(とりわけ)XY面で動かされ得る指針を含んでもよい(描かれたデカルト座標系を参照;典型的には、Zに平行で、かつ(少なくとも)傾斜約X/Yの動作も可能である)。かかる動作により、標本Sの異なる部分が、軸C’(Z方向)に沿って動く電子ビームにより照射され/画像化され/調査されることを可能にする(および/または走査動作が、ビーム走査の代替として行われることを可能にする)。冷却装置H’は、標本ホルダHと緻密な温度で接触しており、例えば、所望の低温を達成し、維持するための極低温クーラントのバットを使用して、後者を極低温にて維持する能力がある。
軸C’に沿って動く(集束された)電子ビームCは、様々な種類の「刺激された」放射線が、(例えば)二次電子、後方散乱電子、X線および光学放射線(陰極ルミネセンス)を含む、標本Sから発散させるような方法で、標本Sと接触する。所望なら、これらの放射線種類の1つまたは複数は、解析装置6の助けで検出することができ、例えば、複合シンチレーター/光電子増倍管またはEDX(エネルギー分散型X線分光法)モジュールであってもよく;かかる場合では、画像は、基本的には、SEM中と同じ原理を使用して構築され得る。しかしながら、代わりに、または補助的に、標本Sを動き(それを通過し)、それから出現し(発散し)、(実質的には、だが一般に、幾分かの偏向/散乱を伴い)軸C’に沿って継続して伝わる電子を研究することができる。かかる伝達された電子流束は、画像化システム(複合対物/映写レンズ)8に進入し、一般に、様々な電気/磁気レンズ、偏向器、補正器(例えば、スティグメータ)などを含む。通常の(非走査)TEMモードにおいて、この画像化システム8は、伝達された電子流束を蛍光スクリーン10に集束することができ、所望なら、引込め/撤収し(矢印10’により概略的に示される)て、軸C’を離れてそれを取得することができる。標本S(の部分)の画像(またはディフラクトグラム)は、画像化システム8によりスクリーン10上に形成され、これは、囲いVの壁の適当な部分に位置するビューイングポート12を介して視認されてもよい。スクリーン10の取消機構は、例えば、事実上機械的および/または電気的であってもよく、ここでは描かれていない。
スクリーン10の画像を視認する代替として、画像化システム8から発散する電子流束の集束の深さが、一般に非常に大きい(例えば、1メーターの等級のもの)という事実を代わりに利用することができる。結果として、以下のような様々な他の種類の解析機器を、スクリーン10の下流で使用することができる。
- TEMカメラ14。カメラ14で、電子流束は、コントローラーEにより処理され、例えば、フラットパネルディスプレイのようなディスプレイ装置(描かれていない)に提示され得る静止画像(またはディフラクトグラム)を形成することができる。不要なときは、カメラ14を引込め/撤収して(図式的に、矢印14’により示される)、軸C’を離れてそれを取得することができる。
- STEM撮像装置(カメラ)16。撮像装置16からの出力は、標本S上のビームCの(X,Y)走査位置の関数として記録され、X、Yの関数として、撮像装置16からの出力の「マップ」である画像が構築され得る。撮像装置16は、例えば、カメラ14に特徴的に存在する画素のマトリクスと対照的に、例えば、20mmの直径を有する単一の画素を含み得る。さらに、撮像装置16は、一般に、カメラ14(例えば、1秒当たり10画像)より、ずっと高い取得速度(例えば、1秒当たり10ポイント)を有する。再度、不要なときは、撮像装置16を引込め/撤収して(図式的に、矢印16’により示される)、軸C’を離れてそれを取得することができる(しかし、かかる取り外しは、例えば、ドーナツ状暗視野撮像装置16の場合、必要ではなく;かかる撮像装置において、撮像装置が使用されないときは、中央孔により、ビームが通過することが可能になる)。
- カメラ14または撮像装置16を使用した画像化の代替として、分光装置18も起動することができ、それは、EELSモジュール、例えば、(EELS=電子エネルギー損失分光法)であり得る。
部材14、16および18の順番/位置は、厳密ではなく、多くの可能性のあるバリエーションが考えられることに注意されるべきである。例えば、分光装置18はまた、画像化システム8に統合され得る。
コントローラー(コンピュータープロセッサー)Eが、制御ライン(バス)E’を介して、様々な説明された部材に接続されることに注意されたい。このコントローラーEは、同期動作、設定点の提供、信号の処理、計算の実行、およびディスプレイ装置(描かれていない)上でのメッセージ/情報の提示のような、様々な機能を提供することができる。言う必要もないが、(図式的に描かれた)コントローラーEは、囲いVの部分的に内側または外側にあってもよく、必要であれば、単一構造または複合構造を有してもよい。当業者は、囲いVの内側は、厳密な真空で維持される必要はないことを理解し;例えば、いわゆる「環境TEM/STEM」において、所定のガスのバックグラウンド雰囲気が、囲いV内に計画的に導入され/維持される。当業者はまた、実際に、可能であれば、用いられる電子ビームが通過する小さな管(例えば、直径1cmの等級)の形態を取るが、ソース2、標本ホルダH、スクリーン10、カメラ14、撮像装置16、分光装置18などのような構造を収容するよう広げて、軸C’を密接に利用するように、囲いVの体積を制限するのも有利であることを理解する。
図4において示される標本Sは、例えば、本発明によるガラス化方法を受けた標本であることができる。かかる標本を、極低温の温度で維持することができる一方、それは、冷却装置H’のおかげで、(それが輸送され/保存される間も)CPM M内にある。この目的のため、例えば、以下のような実施形態を利用することができる。
- 冷却装置H’は、ホルダHに(例えば、銅ロッドおよび/またはひもを介して)熱で強く接続され、凍結剤で充填され得るデュワー/フラスコを含む。
- 複合構造H+H’は、CPM Mに挿入され/CPM Mから取り除かれ得、これにより、位置決めシステムAの受容部により、設置され/クランプ留めされ得る。
例えば、米国特許公開第2012/0112064A1号において考察された構成、および同様のかかる構成を参照のこと。

Claims (14)

  1. サンプルが凍結剤を用いた急冷に供される、極低温サンプルを調製する方法であって、以下の、
    - 極低温流体を輸送するための2つの導管を用意することであって、導管のそれぞれは、マウスピース内に開通しており、マウスピースは、介在ギャップを介して互いに対面するよう配置される、用意するステップと、
    - 前記サンプルを前記ギャップ内に置くステップと、
    - 極低温流体を前記導管を介してくみ上げて、前記マウスピースから同時に流出させ、これにより、前記サンプルを2つの対向する側からの極低温流体の中に急速浸漬させるステップと、を含み、
    第1の前記マウスピースからの極低温流体の前記流出が、第2の前記マウスピースから適用されるものと異なるように、所定の時間間隔の後に第1の前記マウスピースから適用される極低温流体の前記流出を低減することにより特徴付けられる、方法。
  2. 前記第1のマウスピースから適用される極低温流体の前記流出の持続時間が、前記第2のマウスピースから適用されるものと比較して短い、請求項1に記載の方法。
  3. 両方のマウスピースからの前記流出が、実質的に同時に開始する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1のマウスピースからの前記流出が、前記所定の時間間隔の後に終結される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. シャッターを使用して、前記第1のマウスピースから適用される極低温流体の前記流出が低減される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. - 前記導管がプランジャに配置され、これにより、それぞれの導管が、前記プランジャの下側に入口の開口部を有し、前記ギャップが、前記プランジャの上側において溝として提供され、
    - 極低温流体のバスが、前記プランジャの下に提供され、
    - 前記サンプルが、前記プランジャに下降圧力を適用するツールを使用して、前記溝に挿入され、これにより、前記プランジャを少なくとも部分的に沈ませ、前記バス中の極低温流体を前記入口の開口部内に流し、前記マウスピースを介して出現させる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記プランジャが前記バスに沈むにつれ、第1の前記導管に接続された、第1の前記開口部が、前記バスの表面より下の選択された距離で配置されたふたと係合し、次に、ふたが前記プランジャと共に動いて、前記第1の開口部を閉じたままにする、請求項に記載の方法。
  8. - 前記サンプルが実質的に平面であり、対向して位置する主な表面を備え、
    - 前記サンプルが、前記主な表面が前記マウスピースに対面するように、前記ギャップに配置される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
  9. - 前記サンプルが、有孔膜を有する平面のグリッドを含み、これにより、前記膜の後側が、前記グリッドの表面に置かれ、
    - 前記サンプルが、前記後側が前記第1のマウスピースに対面するように、前記マウスピースの間に位置付けられる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記極低温流体が、範囲-160℃~-183℃内の温度の液体エタンを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
  11. サンプルが凍結剤を用いた急冷に供される、極低温サンプルを調製するための機器であって、
    - 極低温流体を輸送するための1対の導管であって、導管のそれぞれは、マウスピース内に開通しており、マウスピースは、前記サンプルが配置され得る介在ギャップを介して互いに対面するよう配置される、1対の導管と、
    - 極低温流体を前記導管を介して汲み上げ、前記マウスピースから同時に流出させ、前記サンプルを2つの対向する側からの極低温流体に急速浸漬させるための、くみ上げ機構と、を含み、
    所定の時間間隔の後に第1の前記マウスピースから適用される極低温流体の前記流出が、前記第2の前記マウスピースから適用されるものと異なるように、第1の前記マウスピースから適用される極低温流体の前記流出が低減され得るように構成される、機器。
  12. - 前記導管がプランジャに配置され、これにより、それぞれの導管が、前記プランジャの下側に入口の開口部を有し、前記ギャップが、前記プランジャの上側に溝として提供され、
    - 前記極低温流体が、前記プランジャの下のバスに提供させることができ、
    - 前記溝が、サンプルを前記溝に挿入し、前記プランジャに下降圧力を同時に適用して、前記バス中に前記プランジャを少なくとも部分的に沈ませ、極低温流体を前記入口の開口部内に流れさせ、前記マウスピースを介して出現させるツールと係合するように構成される、請求項11に記載の機器。
  13. 前記プランジャが前記バス内で所定の深さに達したとき、前記第1のマウスピースに接続された、第1の前記導管を塞ぐように配置されたシャッターを含む、請求項12に記載の機器。
  14. - サンプルを保持するためのサンプルホルダと、
    - 少なくとも前記サンプルホルダにある間、前記サンプルを極低温に維持するための冷却装置と、
    - 荷電粒子のビームを生み出すためのソースと、
    - 前記ビームを配向して前記サンプルを照射するための照明器と、
    - 前記照射に応じて前記サンプルから放射される放射線の流束を検出するための検出器と、を含む、荷電粒子顕微鏡における請求項1~9のいずれかに記載の方法を使用して調製されたサンプルの使用。
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