以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る具体例を説明する。
<第1実施形態>
<全体構成例及びハードウェア構成例>
図1は、第1実施形態における全体構成例及びハードウェア構成例を示すブロック図である。例えば、電気施術装置10は、図示するような全体構成で使用される。具体的には、電気施術装置10は、発生器10H1と、調整回路10H2と、比較器10H3と、記憶装置10H4と、センサ10H5とを有する。これらのハードウェア資源は、例えば、ケーブル又はバス(bus)等で接続され、相互に信号又はデータ等を送受信できる。
発生器10H1は、入力されるパラメータに基づいて、電気11を発生させ、電気施術装置10に接続される人体12に電気11を出力する。なお、電気11は、電磁波等を含んでもよい。
具体的には、発生器10H1は、例えば、「メディックSR14000、[online]、[平成30年6月12日検索]、インターネット〈URL:http://www.e-medical.co.jp/product/medic01_trait.html>」等である。
なお、発生器10H1は、上記の機器に限られない。つまり、発生器10H1は、電気を発生させる機器であればよい。
望ましくは、発生器10H1は、電流をマイクロアンペア(μA)オーダーで出力できるのがよい。
また、発生器10H1は、電圧を120 ボルト(V)以下とすることができるのが望ましい。
さらに、発生器10H1は、周波数が可変であるのが望ましい。より望ましくは、周波数は、0乃至10000 ヘルツ(Hz)内を変更可能であって、中心周波数を1000 ヘルツ程度とし、1乃至40 ヘルツ程度の変更幅であるのが望ましい。
ほかにも、発生器10H1は、あらかじめ周波数等のパターンを設定できるのが望ましい。すなわち、発生器10H1は、例えば、設定されたパターンに基づいて、周期的に周波数等を変更できるのが望ましい。
また、発生器10H1は、交流及び直流のどちらかを出力できればよいが、両方出力可能であって、交流及び直流を切り替えられるのが望ましい。
調整回路10H2は、有線又は無線等で、発生器10H1に対して信号等を発信することで、発生器10H1が出力する電気11を調整する電子回路等である。そして、調整は、電気11のパラメータPARを変更することで実現される。
例えば、パラメータPARは、電気11を直流で出力するか若しくは電気11を交流で出力するかの切替、電圧値、電流値、パルス数、周波数、周期又はこれらの組み合わせ等である。具体的には、調整回路10H2が調整によりパラメータPARを変更すると、電気11が直流であったのが、交流に切り替わったり、又は、電気11の電圧が上昇したりする。
また、調整回路10H2は、入力端子等を有し、比較器10H3等の外部装置から、比較結果V3等を示すデータを受け取ることができる。そして、受け取ったデータに基づいて、調整回路10H2は、パラメータPARを変更することができる。
比較器10H3は、2つ以上の入力端子を有し、それぞれの入力端子によって、記憶装置10H4及びセンサ10H5等の外部装置から、計測値V1及び基準値V2等を示すデータを受け取る。そして、比較器10H3は、複数の値を比較することができる電子回路等である。次に、比較器10H3は、例えば、計測値V1及び基準値V2の差等の比較結果V3を示すデータを調整回路10H2に出力する。
比較結果V3は、計測値V1及び基準値V2の差があらかじめ設定される閾値等と比較して、大きな値であるか否か等を示す。つまり、比較結果V3は、計測値V1及び基準値V2の値を比較して一定値以上の違いがあるか否かを判断した結果である。
記憶装置10H4は、基準値V2を示すデータ等を記憶する装置である。例えば、基準値V2は、ユーザがボタン等の入力装置を操作することで、記憶装置10H4に入力される。なお、基準値V2は、ファイル等の形式で記憶装置10H4に入力されてもよい。
センサ10H5は、対象の電気特性を計測する。例えば、センサ10H5は、「人体電位測定器、[online]、[平成30年6月12日検索]、インターネット〈URL:https://www.ekasuga.co.jp/product/30137/000075.shtml>」等である。すなわち、センサ10H5は、対象が人間である場合には、表面電位及び深層電位等といった、人体における電位等の電気特性を計測できる計測器であるのが望ましい。
そして、センサ10H5は、対象の電気特性を計測した計測値V1を示すデータを比較器10H3に出力する。
なお、ハードウェア構成は、図示する構成に限られない。すなわち、図示する装置は、複数であってもよい。一方で、各装置は、1台の装置が機能を兼ねてもよい。
また、例えば、調整回路10H2、比較器10H3及び記憶装置10H4は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置で実現されてもよい。すなわち、調整等の処理は、情報処理装置が有するCPU(Central Processing Unit)等の演算装置及び主記憶装置等がプログラム等に基づいて協働して処理及び制御を行うことで実現されてもよい。
さらに、電気施術装置10は、図示するハードウェア構成に加えて内部又は外部に更に装置を有してもよい。
以下、対象13が人間である場合を例に説明する。例えば、人体12となる人物が医師であり、かつ、対象13となる人物が患者である例で説明する。なお、電気施術装置10を用いる治療行為でなければ、人体12となる人物は、医師でなくともよい。この場合には、まず、医師に対して発生器10H1からケーブル等によって電気11が流される。そして、医師は、患者を手で触れる等の状態であるとする。このような体制であると、電気11は、医師を介して患者まで電気11出力する。
一方で、患者には、センサ10H5が取り付けられるため、患者の電気特性が計測対象となる。
<第1実施形態における全体処理例>
図2は、第1実施形態における電気施術装置による全体処理例を示すフローチャートである。図示するように、まず、「準備」となる処理が、あらかじめ行われる。そして、「準備」が行われた後、「実行」となる処理が行われる。
なお、「準備」となる処理の後、すぐに「実行」が行われなくともよい。すなわち、「準備」となる処理と、「実行」となる処理との間で時間がかなりあいてもよい。また、一度「準備」となる処理が行われた場合には、その後、「準備」による設定が使い回されてもよい。すなわち、「準備」となる処理は、「実行」となる処理が行われるごとに、すべて行われる必要はない。
<基準値の入力例>(図2 ステップS01)
ステップS01では、電気施術装置10は、基準値を入力する。例えば、基準値は、以下のような値である。
図3は、第1実施形態における基準値の例を示す図である。なお、図は、「WHO 環境保健クライテリア 238 超低周波電磁界(環境省版:日本語訳)3.3.4 計算値と測定値との比較 P.79、[online]、[平成30年6月12日検索]、インターネット〈URL:https://www.env.go.jp/chemi/electric/material/ehc238_j/pdf/006.pdf>」を引用している。
基準値は、健常者の電気特性を示す値である。すなわち、電気特性が基準値の値であると、対象は、「正常」と判断される。このように、基準値は、対象の状態を「正常」と判断するための基準となる値である。具体的には、図示する例は、電気特性の単位系が、人体における1センチメートル平方(cm2)平均における電流密度(A/m2)である例となる。すなわち、図示する例では、電気特性は、体内における単位体積あたりの電流量とする例である。
また、図では、縦軸が対象の高さとなる。すなわち、縦軸において「1.8 m」の方(図では上側となる。)が人体における頭部の方になり、「0 m」の方がつま先の方(図では下側となる。)となる。さらに、図示する例は、大人用(図において左側に示すデータである。)と、子供用(図において右側に示すデータである。)とで異なる2種類の基準値を電気施術装置10が記憶する例である。すなわち、この構成例は、患者が大人であるか子供であるかによって、後段の比較において用いる基準値を切り替える構成である。
例えば、図示するように、基準値は、縦軸、すなわち、人間の高さにおいて、所定の間隔で値が入力される。なお、基準値は、例えば、体の部位ごと等といった単位で入力されてもよい。
なお、基準値は、図示するような種類でなくともよい。例えば、他の種別ごとに基準値が記憶されてもよい。例えば、性別に基づいて、男性用及び女性用で基準値が異なってもよいし、年齢等によって異なる基準値でもよい。さらに、人ごとに基準値が異なってもよい。したがって、基準値は、複数あってもよい。また、電気特性は、1センチメートル平方平均における電流密度以外の単位であってもよい。すなわち、基準値は、後段で計測値又は計測値を単位変換された値と比較できる単位系であればよい。なお、基準値と、計測値とを比較するため、少なくともどちらか一方の値の単位系を変換する場合には、変換に用いる値は、「準備」の処理において、電気施術装置10に設定される。
以下、基準値の単位系が、図示するように(μA/m2)である例で説明する。
以上のように、ステップS01等によって、「準備」となる処理が行われる。そして、ステップS01等が少なくとも実行され、「準備」となる処理が完了すると、例えば、以下のように「実行」となる処理が行われる。
<対象へ電気を出力する例>(図2 ステップS02)
ステップS02では、電気施術装置10は、医師の人体を介して対象となる患者へ電気を出力する。図1に示すように、電気施術装置10は、まず、接続されている医師の人体に対して電気11を出力する。そして、医師が患者に触れると、電気11は、医師の人体を通り、結果的に患者まで電気11を送る。
<対象の電気特性を示す計測値の生成例>(図2 ステップS03)
ステップS03では、電気施術装置10は、対象の電気特性を示す計測値V1を生成する。すなわち、図1に示す構成例では、電気施術装置10は、センサ10H5等によって、患者の電気特性をセンシングし、計測結果を示すデータを生成する。
なお、計測値V1の生成には、単位系の換算等があってもよい。
また、計測値V1は、表面電位及び深層電位を計測した結果を示す値であるのが望ましい。まず、表面電位は、例えば、以下のように計測される。
例えば、表面電位は、「誘電体層の表面電位の測定、三浦顕一著、[online]、[平成30年6月12日検索]、インターネット〈URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/16/2/16_2_305/_pdf>」に記載されている方法等で計測される。なお、表面電位は、上記の方法で計測されるに限られない。すなわち、図1に示す構成例において、センサ10H5が体表に近い位置で電位を計測できる機器である場合には、センサ10H5による計測結果が表面電位の計測値となる。
また、深層電位は、人体の深部、すなわち、内蔵又は骨等があるような位置における電位である。まず、オーム則に基づいて、電位、すなわち、電圧を算出するには、電流値と抵抗値が必要となる。
抵抗値は、いわゆるテスター等の機器であらかじめ計測できる。なお、人体における抵抗値は、動的に変動する場合も多い。そこで、抵抗値は、リアルタイムに計測されてもよい。
次に、深部に電気を送り、電流値を計測すると、抵抗値及び電流値に基づいて、深層電位を算出することで計測ができる。例えば、深部へ電気を送るためには、直流の電気を用い、かつ、人体のイオン化を利用すると、人体の伝導率を調整できるため、深部へ電気を送ることができる。すなわち、人体のイオン化は、電解させた状態等をいう。そして、このようなイオン化は、例えば、電気の放電と、電気の帯電とを繰り返すことで実現できる。
又は、例えば、「ハイブリッド電気刺激治療器、[online]、[平成30年6月12日検索]、インターネット〈URL:http://tama-seikotsuin.com/rutina.html>」に記載されているように、中周波を用いても深部に電気を送ることができる。なお、深部で電気を送る方法は、上記の方法でなくともよい。
以上のように、抵抗値が分かる部位において、深部に電気を送り、電流値を計測すると、深層電位が計算できる。なお、電流値は、例えば、超音波振動電位法等で計測できる。具体的には、「ζ電位測定法の原理と応用例、[online]、[平成30年6月26日検索]、インターネット〈URL:http://www.toagosei.co.jp/develop/theses/detail/pdf/no14_07.pdf>」に記載されている方法等である。
以上のように、表面電位と、深層電位とを計測できると、人体における平均的な電位を算出できる。すなわち、体表等の部分と、深部の部分では、電位が異なる場合がある。例えば、電気を出力する先を深部、すなわち、内蔵等とする場合には、まず、電気施術装置10は、深部の基準値をあらかじめ記憶する。このように、「準備」した上で、深層電位を計測し、後段の比較等では、深層電位を比較対象とすると、より施術効果が発揮できる。
<計測値と基準値の比較例>(図2 ステップS04)
ステップS04では、電気施術装置10は、計測値と基準値を比較する。例えば、図3に示す基準値と、基準値と同様の部分に対してステップS03の処理を行うことで得られる計測値とを比較する場合、以下のように比較される。
図4は、第1実施形態における電気施術装置による基準値と計測値の比較例を示す図である。なお、各図において縦軸及び横軸は、図3と同様である。まず、「準備」となる処理で、図示するような基準値V2(図では、上図である。)、すなわち、図3と同様の形式で基準値が入力されるとする。
一方で、ステップS03の処理によって、図示するような計測値V1(図では、下図である。)が計測されるとする。すなわち、ステップS03では、基準値V2と同じ部位について、同様の電気特性が計測されるとする。
なお、図示する例では、電気特性の単位系が、図示するように(μA/m2)である。一方で、ステップS03で計測される電気特性が深層電位である場合には、あらかじめ部位ごとに、計測及び入力される抵抗値及び面積値等に基づいて、単位系を揃えるように変換されてもよい。以下、単位系を揃える変換等が終了し、基準値V2と、計測値V1とのそれぞれの単位系が一致している状態であるとする。
また、以下の例は、人体における所定の部位PTを比較する場合を例にする。すなわち、基準値V2及び計測値V1は、いずれも部位PTについて、計測及び入力された値である。このように、比較は、同一の部位について行い、部位ごとに比較結果V3を出力する。
図示する例は、部位PTにおいて、基準値V2及び計測値V1に差がある場合である。図示するように、基準値V2及び計測値V1は、部位PTにおいて値が異なる。このような場合には、比較結果V3として、基準値V2及び計測値V1の差が算出される。
<計測値と基準値に差があるか否かの判断例>(図2 ステップS05)
ステップS05では、電気施術装置10は、計測値と基準値に差があるか否かを判断する。具体的には、ステップS04による比較で、比較結果V3が閾値を超える値であると、電気施術装置10は、計測値と基準値に差があると判断する。なお、閾値は、あらかじめ設定される。
次に、計測値と基準値に差があると電気施術装置10が判断すると(ステップS05でYES)、電気施術装置10は、ステップS06に進む。一方で、計測値と基準値に差がないと電気施術装置10が判断すると(ステップS05でNO)、電気施術装置10は、処理を終了する。なお、計測値と基準値に差がないと電気施術装置10が判断する場合(ステップS05でNO)、電気施術装置10は、パラメータを維持して、電気を出力し続けてもよい。
<パラメータを変更しての調整例>(図2 ステップS06)
ステップS06では、電気施術装置10は、パラメータを変更して調整を行う。具体的には、以下のようになるように、電気施術装置10は、パラメータを変更する調整を行う。
図5は、第1実施形態における電気施術装置による調整例を示す図である。以下、図4に示すような比較結果である場合を例に説明する。
調整は、図示するように、計測値が示す値(以下「調整前値V1A」という。)が、基準値が示す値(以下「目標値V1B」という。)に向かうように行われる。この例では、電気施術装置10は、調整前値V1Aを下げて、目標値V1Bに近づけるように調整する。
例えば、調整は、電気11を直流で出力している場合には、電気11を交流で出力するように切り替える等である。ほかにも、調整は、電気11の電圧、電流、パルス数、周波数又は周期等の値を変更する。なお、調整では、複数のパラメータを変更してもよい。
また、調整は、複数回行われてもよい。つまり、調整は、ある程度、様々なパラメータ変更を行って、最終的に調整前値V1Aを目標値V1Bに近づけるような処理であってもよい。
ほかにも、調整には、設定が行われてもよい。具体的には、まず、ステップS03が行われると、電気施術装置10は、計測値V1又は比較処理の内容等を示す、図4に示すような人体のグラフィックグラフ等を医師等に表示してもよい。
なお、表示は、例えば、電気施術装置10がディスプレイ等の出力装置を有する、又は、電気施術装置10にケーブル等で接続される出力装置等によって実現される。
例えば、計測結果、施術状態、学習状態又は設定状態等が、出力装置によって表示されるのが望ましい。
このように、計測値V1等が表示されると、図4に示すような形式で表示される計測結果(図4における下図である。)又は図4に示す各図を重ねた比較結果等が把握できる。そして、電気施術装置10には、調整対象とする部位の指定、ステップS06で変更の対象とするパラメータの指定、調整によって変更されるパラメータの変更量の入力又はこれらの組み合わせ等の操作が入力されてもよい。つまり、電気施術装置10には、計測結果に基づいた調整における設定が行われてもよい。このように、調整には、一部、手動設定があってもよい。
以上のように、対象に出力される電気11を電気施術装置10が調整すると、調整前値V1Aを目標値V1Bに近づくようになる。すなわち、調整された電気11が対象に流されることによって、対象の状態(つまり、計測値V1である。)が、「正常」な状態である基準値V2に近づく。このようにすると、対象の電気特性を整える施術効果が得られる。
例えば、対象が人間である場合には、体内の電気特性が乱れると、体調不良等の症状が現れやすい。したがって、電気施術装置10により、体内における電位を周辺環境より高電位にすると、発生する電場等によって治療効果が期待できる。また、電気施術装置10により、血液電解質を変化させる効果等が期待できる(具体的には、"「交流高圧静電位負荷の血液電解質に及ぼす影響について」原平助著、新潟医誌、75、pp.265,1961"等に記載されている効果等である)。
以上のように、計測値V1等を計測すると、施術対象の状態等が把握できる。また、計測値V1と、基準値V2とを比較すると、施術対象にすべき部位及び電気特性を変更する目安が分かりやすい。そして、パラメータを変更することで調整された電気を与えると、対象に一定の施術効果を与えることができる。
<比較例>
第1実施形態に示す電気施術装置10等と同様の施術効果を得るには、例えば、以下のような全体構成等が考えられる。
図6は、比較例における全体構成例及びハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、図1と同様の構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図示するように、第1実施形態と比較すると、計測を行う構成がない。そのため、調整器14が、計測結果に基づく調整でなく、図示する構成は、人体12、すなわち、医師等が自己に流れる電気11の程度を体感に基づいて操作CNTされる構成である。
調整器14は、操作CNTに基づいて、電気11を調整する機器である。すなわち、調整器14は、スイッチ等の入力装置を有する。そして、調整器14が有する入力装置に、操作CNTが入力されると、電気11が変更される。なお、電気11のどのような種類の要素を変更するか、及び、変更量等は、操作CNT及び調整器14が有する入力装置等によって定まる。
このような構成では、どのような電気11を対象13に与えたらよいかは、人体12となる医師等の経験及び勘等に大きく依存することになる。つまり、例えば、電気11の電圧を上昇させた方がよいか、下降させた方が、又は、現状の値を維持した方がよいかは、センサ等で定量的に計測されないため、人体12が感じた程度で判断することになる。また、対象13の個人差及び施術効果の影響等を加味した変更量の加減も、操作を行う医師等の経験及び勘等に大きく依存する可能性が高い。
一方で、第1実施形態等のような構成であると、人体12となり、かつ、操作を行う医師等の経験及び勘に頼らなくとも、一定の施術効果を得ることができる。
<第2実施形態>
第1実施形態と比較すると、第1実施形態における電気施術装置10の構成に、導電物21の構成が更に追加された全体構成及びハードウェア構成である点が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図7は、第2実施形態における全体構成例及びハードウェア構成例を示すブロック図である。図示するように、電気施術システム20は、第1実施形態における人体12に代えて、導電物21を有するハードウェア構成である。
導電物21は、発生器10H1から出力される電気11を通過させ、対象13へ導電させる物体である。なお、導電物21は、ミネラル成分を含む水分等である。
電気施術システム20のように、電気11が導電物21を介して対象13へ流れると、導電物21を調整することで、電気11の電位等を調整することができる。つまり、導電物21がない構成であると、電気11の電気特性が対象13にとって望ましくない状態であっても、調整するのが難しい場合がある。そこで、電気施術システム20は、導電物21のように、フィルタ等の役割を果たす構成を有するのが望ましい。また、導電物21は、インピーダンス値、抵抗値又は電流値等を可変させる設定が可能である物体であるのが望ましい。ゆえに、導電物21は、電気回路等を含んでもよい。
具体的には、対象13に有害な成分が電気11にある場合には、導電物21に、フィルタリング成分となる物質を含ませる。例えば、急激な電圧上昇は、対象13によっては、害となる場合がある。このような場合等に、導電物21があると、いわゆるローパス(Low pass)効果が発揮できる。つまり、導電物21等には、抵抗成分及びコンデンサ成分があるため、電気特性上、ローパスフィルタのような効果を発揮する。そのため、急激な電圧等の電気特性の変化を減衰させる効果が得られる。
なお、導電物21は、複数あってもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態と比較すると、学習器10H6が加わる点が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8は、第3実施形態における全体構成例及びハードウェア構成例を示すブロック図である。
学習器10H6は、例えば、CPU等の演算装置及びメモリ等の記憶装置である。
また、学習器10H6は、調整回路10H2から発生器10H1に出力されるデータと同様の内容を示すデータ等を取得することができる入力端子等を有する。
さらに、学習器10H6は、センサ10H5から比較器10H3に出力されるデータと同様の内容を示すデータ等を取得することができる入力端子等を有する。
例えば、電気施術装置10は、以下のような全体処理を行う。
<第3実施形態における全体処理例>
第1実施形態における全体処理例と比較すると、第3実施形態における全体処理例は、ステップS21乃至ステップS23等の処理が更に行われることで、学習処理がされる点が異なる。なお、図2と同様の処理は、同一の符号を付し、説明を省略する。
図9は、第3実施形態における電気施術装置による全体処理例を示すフローチャートである。
<変更対象とするパラメータの種類、変更前のパラメータ及び計測値を記憶する例>(図9 ステップS21)
ステップS21では、電気施術装置10は、変更対象とするパラメータの種類、変更前のパラメータ及び計測値を記憶する。
具体的には、ステップS21では、電気施術装置10は、後段のステップS06で変更されるパラメータの項目等を記憶する。つまり、ステップS21では、電気施術装置10は、電圧を変更するか、又は、周波数を変更するか等の種類を記憶する。
また、ステップS21では、電気施術装置10は、後段のステップS06でパラメータが変更される前の値等を記憶する。つまり、ステップS21では、電気施術装置10は、後段のステップS23でパラメータの変更量を計算するため、変更前の値を記憶する。
そして、電気施術装置10は、上記のような種類及び調整前の値等と、調整が行われる前の計測値とを紐付けて記憶する。
<調整後の計測値の取得例>(図9 ステップS22)
ステップS22では、電気施術装置10は、調整後の計測値を取得する。例えば、ステップS22は、ステップS06の後にステップS03と同様の処理を行うことで実現される。
<パラメータの種類、パラメータの変更量及び計測値の変化量等の関係を計算する例>(図9 ステップS23)
ステップS23では、電気施術装置10は、パラメータの種類、パラメータの変更量及び計測値の変化量等の関係を計算する。
具体的には、複数のパラメータが変更可能な場合において、いずれかのパラメータの値を上昇させるように変更すると、調整前値V1Aが下降するか等を計算する。すなわち、電気施術装置10は、パラメータの変更量及び計測値の変化量の比例関係等を計算する。
ほかにも、電気施術装置10は、各パラメータと、計測値との相関係数を計算してもよい。
なお、学習処理は、図示する方法に限られない。例えば、学習処理は、ディープラーニング又は機械学習等で実現されてもよい。つまり、学習処理として、まず、学習用データであらかじめ学習させる処理が行われてもよい。
このように、電気施術装置10は、いわゆるAI(Artificial Intelligence、人工知能)等を利用してもよい。
このような学習が行われると、どのパラメータを変更すると、電気特性がどのように変化するかといった傾向を予測できる。なお、学習用データは、他の対象で計測されたデータ等が用いられてもよい。また、このような学習が行われると、電気施術装置10は、精度良く変更量を決定できる。
さらに、様々な対象の区分等が学習に用いられると、区分ごとに、各区分での傾向が分かる。電気施術装置10は、例えば、年齢による区分がデータとしてあると、高齢ほど、変化量に対して電気特性がどのように変化するかといった感度が学習できる。
また、上記のように学習処理を行う構成では、対象について、以前に計測されたデータ(以下「個人データ」という。)が利用されるのが望ましい。
具体的には、個人データは、例えば、いわゆるPDS(Personal Data Service又はPersonal Data Store)、VRM(ベンダー関係管理、Vendor Relationship Management)又はPLR(個人生活録、Personal Life Repository)等の情報処理システムで管理されるデータ等である。特に、個人データは、例えば、ライフスタイル(衣食住)における歩行データ、血圧、心拍、血糖値、家庭で取れるデータ、健康診断等で取得されるデータ、人間ドックデータ又はこれらの組み合わせ等のデータを含むデータであるのが望ましい。
このように、まず、個人のそれぞれのライフログ及び医療情報等を管理する情報処理システムから、個人データを取得する。そして、取得した個人データに対して、学習が行われると、電気施術装置10は、より施術効果を高めることができる。
<機能構成例>
図10は、電気施術装置の機能構成例を示すブロック図である。例えば、電気施術装置10は、出力部10F1と、調整部10F2と、比較部10F3と、記憶部10F4と、計測部10F5とを含む機能構成である。また、図示するように、電気施術装置10は、学習部10F6を更に含む機能構成であるのが望ましい。以下、図示する機能構成を例に説明する。
出力部10F1は、人体12に電気11を出力する出力手順を行う。そして、人体12が対象13に接触していると、電気11は、人体12を介して対象13へ流れる。例えば、出力部10F1は、発生器10H1等によって実現される。
調整部10F2は、比較部10F3による比較結果V3に基づいて、パラメータPARを変更して、計測値V1が基準値V2に近づくように調整する調整手順を行う。例えば、調整部10F2は、調整回路10H2等によって実現される。
比較部10F3は、計測値V1及び基準値V2を比較し、調整部10F2に比較結果V3を出力する比較手順を行う。例えば、比較部10F3は、比較器10H3等によって実現される。
記憶部10F4は、基準値V2を記憶する記憶手順を行う。なお、基準値V2は、例えば、図3に示すようなデータ等である。すなわち、記憶部10F4は、対象が人間である場合には、健常者と判断するためのデータを記憶する。例えば、記憶部10F4は、記憶装置10H4等によって実現される。
計測部10F5は、計測値V1を計測する計測手順を行う。そして、計測値V1は、対象13の電気特性を示すデータである。例えば、計測部10F5は、センサ10H5等によって実現される。
学習部10F6は、計測値V1と、基準値V2との差が少なくなる傾向となるパラメータPARの変更を学習する学習手順を行う。例えば、学習部10F6は、演算装置等によって実現される。
図示するように、出力部10F1が出力した電気11は、人体12を介して、対象13に施術効果に与える。そして、電気11は、健常でない状態の部位に対して与えられると、高い施術効果が得られやすい。そこで、計測部10F5は、計測値V1を計測する。一方で、健常の状態を把握するため、基準値V2があらかじめ記憶部10F4に記憶される。このように、計測値V1及び基準値V2が把握できると、計測値V1及び基準値V2を比較部10F3によって比較し、比較結果V3を得ることで、健常でない状態の部位を特定できる。
そして、調整部10F2は、このように比較結果V3に基づいて特定された部位の電気特性が健常な状態に近づくようにパラメータPARを調整する。このようにして、調整された電気11が対象13に流されると、一定の施術効果を得ることができる。
<第4実施形態>
第4実施形態は、第1実施形態と比較すると、全体処理が異なる。したがって、第4実施形態では、ハードウェア構成等は、例えば、第1実施形態と同様の構成等である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。また、第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。さらに、以下の説明は、第1実施形態と同様に、対象が人間、すなわち、人体である例で説明する。
<全体処理例>
図11は、第4実施形態における電気施術装置による全体処理例を示すフローチャートである。第1実施形態と比較すると、ステップS30乃至ステップS35を行う点が異なる。
<人体を区分してマトリクスを生成する例>(図11 ステップS30)
ステップS30では、電気施術装置10は、人体を区分してマトリクスを生成する。例えば、マトリクスは、以下のように設定されて生成される。
図12は、第4実施形態における対象を複数の領域に区分してマトリクスを生成する例を示す図である。この例は、図示するように対象13を2×2の領域に区分する例である。このようにマトリクスは、対象を複数の領域に区分して生成される。
具体的には、図示するように、対象13の上半身が、第1領域E1及び第2領域E2に区分される。同様に、図示するように、対象13の下半身が、第3領域E3及び第4領域E4に区分される。このように、まず、対象13は、上半身及び下半身の2つに区分される。そして、上半身及び下半身は、更に左側と右側の2つに区分される。このようにして、対象13は、例えば、合計4つに区分される。
なお、各領域がどこからどこまでの範囲となるかは、あらかじめGUI(Graphical User Interface)等で、部位名を入力する等により、設定できるとする。以下、図示するように、区分したマトリクスMXを例に説明する。
ステップS30における設定で生成されるマトリクスMXは、後述する第1マトリクス及び第2マトリクスと領域の数及び区分の範囲等が一致する。すなわち、マトリクスMXが定まると、第1マトリクス及び第2マトリクスが定まる。
なお、マトリクスMX、すなわち、第1マトリクス及び第2マトリクスは、いずれも9×9以上に区分されるのが望ましい。領域の数は、多い方が望ましい。特に、人体には、様々な臓器があるため、領域は、細かく設定される方が望ましい。ゆえに、第1マトリクス及び第2マトリクスは、少なくとも9×9の領域、すなわち、合計81の領域程度に細かく区分されると、より精度よく施術ができる。
例えば、以上のようにマトリクスを用意する設定等が「準備」となる処理で行われる。なお、「準備」となる処理で、ステップS01及びステップS30の処理が行われる順序は、図示する順序でなくともよい。すなわち、ステップS01及びステップS30は、図示する順序とは異なる順序又は並列であってもよい。
<対象の電気特性を示す複数の計測値を生成する例>(図11 ステップS31)
ステップS31では、電気施術装置10は、対象の電気特性を示す複数の計測値を生成する。すなわち、対象となる任意のある1点について、電気特性が計測されると、1つの計測値が生成される。したがって、2点以上の点について、対象の電気特性が計測されると、電気施術装置10は、複数の計測値を生成することができる。
なお、計測値は、多いほど望ましい。また、同一の点を複数回計測して平均値等が生成されてもよい。以下、計測値が2つ、すなわち、対象となる人体の2箇所が計測される例で説明する。ただし、計測は、2箇所以上で行うのであればよく、3箇所以上であってもよい。
<基準値に基づく第1マトリクスの生成例>(図11 ステップS32)
ステップS32では、電気施術装置10は、基準値に基づいて、第1マトリクスを生成する。例えば、第1マトリクスは、以下のように生成される。
図13は、第4実施形態における第1マトリクスの生成例を示す図である。まず、ステップS01で基準値V2があらかじめ入力される。さらに、あらかじめステップS30によって、マトリクスが生成されるため、この例では、第1マトリクスMX1は、図示するように、第1領域E1、第2領域E2、第3領域E3及び第4領域E4を有する。すなわち、ステップS30で設定されたとおりの領域となるように、第1マトリクスMX1は、生成される。
例えば、第1マトリクスMX1におけるそれぞれの領域には、図示するように、各領域と同一の箇所を指す基準値V2の値が入力される。具体的には、各領域が設定された対象における高さ(図示する例は、「hight(m)」、すなわち、人体における足元からの高さとする例である。)が一致すると、第1マトリクスMX1に、基準値V2の値が入力される。図示する例は、第1領域E1及び第2領域E2が同じ高さであるとし、基準値V2から同一の値が取り出される。そして、第1マトリクスMX1において、第1領域E1に第1基準値B1が入力され、かつ、第2領域E2に第2基準値B2が入力されるが、どちらも基準値V2が示す同一の高さの基準値である。
一方で、図示するように、第3領域E3及び第4領域E4のように同じような高さであっても、基準値V2から異なる基準値が取り出されてもよい。図示する例は、基準値V2から異なる値が取り出される。そして、第1マトリクスMX1において、第3領域E3に第3基準値B3が入力され、かつ、第4領域E4に第4基準値B4が入力されるが、どちらも同一の高さである。例えば、各領域が示す箇所に特定の臓器又は部位等がある場合には、高さでなく、部位又は臓器等に合わせて基準値が第1マトリクスMX1に入力されてもよい。したがって、第1マトリクスMX1において、各領域に、どの基準値を配置するかは、管理者等があらかじめ設定できてもよい。
なお、領域は、図12に示すように、幅がある場合が多い。この場合には、領域が設定された対象における高さは、例えば、領域の上限(領域において最も高さがある箇所である。)と下限(領域において最も高さがない箇所である。)の平均値又は中央値等でもよいし、基準値V2にある同じ高さの値を代表値としてもよい。
<計測値に基づく第2マトリクスの生成例>(図11 ステップS33)
ステップS33では、電気施術装置10は、計測値に基づいて、第2マトリクスを生成する。例えば、第2マトリクスは、以下のように生成される。
図14は、第4実施形態における第2マトリクスの生成例を示す図である。まず、ステップS30で設定されたとおりの領域となるように、第2マトリクスMX2は、生成される。具体的には、この例では、第2マトリクスMX2は、図12で設定されたように、対象が2×2の4つの領域となるように生成される。したがって、第2マトリクスMX2は、第1マトリクスMX1と同様に、第1領域E1、第2領域E2、第3領域E3及び第4領域E4を有する。
そして、対象の電気特性が計測されると、それぞれの計測結果が計測値となる。図示する例では、1点目として、右腕の箇所が計測される。以下、1点目の計測結果を示す計測値を「第1計測値C1」という。さらに、図示する例では、2点目として、左腕の箇所が計測される。以下、2点目の計測結果を示す計測値を「第2計測値C2」という。
図示するように、第1計測値C1は、第1領域E1に配置される計測値である。さらに、第2計測値C2は、第2領域E2に配置される計測値である。なお、どの計測値がどの領域に配置されるかは、各計測値がどこを計測するかを設定する際等に対応付けする設定がされるとする。例えば、対応付けは、計測する箇所の部位等に基づいて設定される。
<第1マトリクスと第2マトリクスが異なるか否かの判断例>(図11 ステップS34)
ステップS34では、電気施術装置10は、第1マトリクスと第2マトリクスが異なるか否かを判断する。例えば、ステップS34は、以下のように行われる。
図15は、第4実施形態における第1マトリクス及び第2マトリクスの比較例並びに調整例を示す図である。
まず、ステップS32が行われると、例えば、図15(A)に示すような第1マトリクスが生成されるとする。具体的には、第1マトリクスにおける第1領域に「1」という値の第1基準値B1が配置される。次に、第1マトリクスにおける第2領域に「2」という値の第2基準値B2が配置される。さらに、第1マトリクスにおける第3領域に「3」という値の第3基準値B3が配置される。また、第1マトリクスにおける第4領域に「4」という値の第4基準値B4が配置される。このように、第1マトリクスにおけるそれぞれの領域に、ステップS01で入力される基準値に基づいて、基準値が配置されると、図15(A)に示すような第1マトリクスが生成される。
一方で、ステップS33が行われると、図15(B)に示すような第2マトリクスがまず生成されるとする。すなわち、図14のように2箇所の計測が行われると、第1計測値及び第2計測値が配置される。
なお、第1マトリクスと第2マトリクスが異なると判断されると(ステップS34でYES)、図11に示すように、電気施術装置10は、計測、マトリクスの比較及び調整等を繰り返す。このような繰り返しは、第1マトリクスと第2マトリクスが一致する(ステップS34でNO)まで行われる。以下、3回繰り返され、3回目で、第1マトリクスと第2マトリクスが一致する(ステップS34でNO)例で説明する。
この例では、1回目のステップS32による計測で生成される計測値を「第11計測値C11」及び「第12計測値C12」とする。したがって、1回目のステップS33が行われると、図15(B)に示すような第2マトリクスが生成される。
次に、2回目のステップS32による計測で生成される計測値を「第21計測値C21」及び「第22計測値C22」とする。したがって、2回目のステップS33が行われると、図15(C)に示すような第2マトリクスが生成される。
続いて、3回目のステップS32による計測で生成される計測値を「第31計測値C31」及び「第32計測値C32」とする。したがって、3回目のステップS33が行われると、図15(D)に示すような第2マトリクスが生成される。
図示するように、この例では、第1マトリクスは、例えば、基準値の順序及び数値等が3回とも一定である。このように、第1マトリクスを一定とするため、ステップS32は、2回目以降は、行われなくともよい。ただし、第1マトリクスが1回ごとに変更されてもよい。
一方で、各回で電流値が調整されると、対象に出力される電気が変化するため、第2マトリクスは、変化する場合が多い。具体的には、図15(B)に示すように、1回目は、第11計測値C11が「2」であり、第12計測値C12が「1」である。
1回目の調整(ステップS35)が行われた結果、図15(C)に示すように、2回目は、第21計測値C21が「1」であり、第22計測値C22が「4」である。
2回目の調整(ステップS35)が行われた結果、図15(D)に示すように、2回目は、第31計測値C31が「1」であり、第32計測値C32が「2」である。
1回目では、第1基準値B1及び第2基準値B2と、第11計測値C11及び第12計測値C12が比較される。図示するように、値の並び順が基準値と計測値では異なるため、第1マトリクスと第2マトリクスが異なると判断される(ステップS34でYES)。
2回目では、第1基準値B1及び第2基準値B2と、第21計測値C21及び第22計測値C22が比較される。図示するように、第1基準値B1及び第21計測値C21は、いずれも「1」であるため、同じと判断される。一方で、第2基準値B2及び第22計測値C22は、「2」及び「4」と値が異なるため、第1マトリクスと第2マトリクスが異なると判断される(ステップS34でYES)。
3回目では、第1基準値B1及び第2基準値B2と、第31計測値C31及び第32計測値C32が比較される。図示するように、第1基準値B1及び第31計測値C31は、いずれも「1」であるため、同じと判断される。同様に、第2基準値B2及び第32計測値C32は、「2」であるため、同じと判断される。そして、計測値の「1」及び「2」という並び順も、基準値の並び順と同一である。そのため、第1マトリクスと第2マトリクスが異ならないと判断される(ステップS34でNO)。
次に、第1マトリクスと第2マトリクスが異なると判断されると(ステップS34でYES)、電気施術装置10は、ステップS35に進む。一方で、第1マトリクスと第2マトリクスが異ならないと判断されると(ステップS34でNO)、電気施術装置10は、処理を終了する。なお、終了する場合には、電気を一定時間出力した後、電気施術装置10は、処理を終了してもよい。すなわち、調整が完了した後、しばらくの間、電気施術装置10は、施術となる電気を出力してもよい。
なお、電気施術装置10は、計測値及び基準値の値が完全に同じでなくとも、同じと判断してもよい。すなわち、判断は、いわゆる誤差及び許容範囲等が考慮されてもよい。例えば、基準値が複数のサンプリングで生成される場合には、標準偏差等が計算できる。したがって、標準偏差等を参考にして、誤差及び許容範囲等が考慮されてもよい。なお、誤差及び許容範囲は、カテゴリごとに設定できるのが望ましい。
また、3点以上の計測値が用いられる場合には、上記のような処理が3点について行われる。したがって、計測値、すなわち、計測する箇所が多いほど、基準値が示す理想的な電気特性に、対象の状態を精度よく近づけることができる。
<電流の調整例>(図11 ステップS35)
ステップS35では、電気施術装置10は、電流を調整する。すなわち、電気施術装置10は、計測値が基準値に近づくように電流値を調整する。例えば、計測値の電気特性が基準値よりも低い値である場合には、電気施術装置10は、電気特性の値が上がるように調整する。どの程度、電流値を調整するかは、基準値と計測値との差等に基づいて定める。
単位あたりの調整量は、例えば、あらかじめ設定又は学習処理等によって取得される。なお、調整量は、カテゴリを考慮するのが望ましい。つまり、身長等が大きく異なる対象、すなわち、カテゴリが異なる対象は、調整量に対する感度が異なる。したがって、カテゴリごとに調整量を計算するための値があらかじめ設定されて、調整は、カテゴリごとに異なる値に基づいて、調整量が計算されて行われるのが望ましい。
なお、電流値は、対象の安全を確保するため、上限値等が設定されるのが望ましい。
また、電気施術装置10は、図示するように学習処理を行うのが望ましい。例えば、学習処理は、ディープラーニング又は機械学習等で実現される。
例えば、調整を行うと、電気施術装置10は、調整前の電気特性と、調整後の電気特性を把握できる。したがって、変更した電流量と、調整前後の電気特性の差とに基づいて、電気施術装置10は、単位あたりの電流量の変化(例えば、調整によって1 mA上昇させる場合等である。)に対して、対象の電位又は電流密度等がどれだけ変化するかという調整量に対する感度を把握できる。
このような感度は、カテゴリごとに分けて学習されるのが望ましい。つまり、まず、身長、体重、性別、年齢、体脂肪率又は性別等のカテゴリがあらかじめ設定される。そして、施術を開始する際には、対象がどのカテゴリに属するかが設定される。このように、カテゴリごとに分けて、学習されて感度等の値が上書きされたり、学習処理のための学習データがカテゴリごとに分けて蓄積されたりするのが望ましい。
電気特性の基準値及び感度等は、身長、体重、性別、年齢、体脂肪率又は性別が異なると、値が大きく異なる。そのため、カテゴリごとに分けて、学習がされるのが望ましい。
また、電気施術装置10は、電流値以外のパラメータを更に調整してもよい。例えば、調整の対象となるパラメータは、電気の直流を出力するか若しくは交流を出力するかの切替、電流値、電圧値、周波数、周期、パルス数又はこれらの組み合わせ等である。カテゴリ又は部位によっては、電流値と一緒に変化させると、より効果の生じるパラメータがある。したがって、電気施術装置10は、電流値以外のパラメータを更に調整して施術効果がより生じるように調整してもよい。
<マトリクスの変形例>
マトリクスは、例えば、以下のように生成されてもよい。
図16は、第4実施形態におけるマトリクスの変形例を示す図である。すなわち、領域は、例えば、図示するような数又は範囲を示すように設定されてもよい。
図16(A)は、マトリクスMXを3×3の合計9つに区分する例である。このように、マトリクスMXは、より細かく区分される方が望ましい。
図16(B)は、マトリクスMXを合計11つに区分する例である。例えば、マトリクスMXは、部位ごとに区分されてもよい。また、図示する区分が内蔵等に分けて更に詳細に区分されてもよい。
図16(C)は、マトリクスMXを高さ方向に合計6つに区分する例である。例えば、マトリクスMXは、このように、左右対称でなく、基準値の入力形式等に揃えて区分されてもよい。
図16(D)は、マトリクスMXを深さ方向に更に3つに区分する例である。図示するように、マトリクスMXは、表面部(対象が人体の場合には、皮膚に近い方になる。)から深層部(対象が人体の場合には、骨に近い方になる。)にかけて、所定の深さごとに区分される。具体的には、マトリクスMXは、最も表面部に近い範囲となる上層領域と、最も深層部に近い範囲となる下層領域と、上層領域と下層領域の中間となる中層領域との3つに区分される。
そして、上層領域、中層領域又は下層領域のいずれかの位置で電位が複数計測されるのが望ましい。つまり、施術は、上層領域で計測される表面電位と、下層領域で計測される深層電位とが別々に計測、比較及び調整されるのが望ましい。表面部で計測される表面電位と、深層部で計測される深層電位とのいずれか一方が施術対象となって調整されても、対象にとって施術効果の体感が薄い場合がある。
そこで、表面電位及び深層電位のいずれもが計測及び施術対象となるのが望ましい。
<機能構成例>
図17は、第4実施形態における電気施術装置の機能構成例を示すブロック図である。例えば、電気施術装置10は、出力部10F1、調整部10F2、マトリクス生成部10F41、第1生成部10F42、第2生成部10F43、記憶部10F4及び計測部10F5を含む機能構成である。なお、電気施術装置10は、学習部10F6を更に含む機能構成であるのが望ましい。以下、図示するような機能構成である場合を例に説明する。また、第1実施形態等と同一の要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
出力部10F1は、人体12に電気11を出力する出力手順を行う。そして、人体12が対象13に接触していると、電気11は、人体12を介して対象13へ流れる。例えば、出力部10F1は、発生器10H1等によって実現される。なお、図7と同様に、導電物21等を途中に有する構成でもよい。
調整部10F2は、第1マトリクスと、第2マトリクスが異なると、電気の電流値を調整する調整手順を行う。例えば、調整部10F2は、調整回路10H2等によって実現される。
マトリクス生成部10F41は、対象13を複数の領域に区分したマトリクスを生成するマトリクス生成手順を行う。例えば、マトリクス生成部10F41は、演算装置、インタフェース及び記憶装置10H4等によって実現される。
第1生成部10F42は、記憶部10F4に記憶される基準値V2をマトリクス生成部10F41が設定する領域に配置した第1マトリクスを生成する第1生成手順を行う。例えば、第1生成部10F42は、演算装置及び記憶装置10H4等によって実現される。
第2生成部10F43は、計測部10F5が計測する複数の計測値V1をマトリクス生成部10F41が設定する領域に配置した第2マトリクスを生成する第2生成手順を行う。例えば、第2生成部10F43は、演算装置及び記憶装置10H4等によって実現される。
計測部10F5は、電位等の電気特性を計測した結果を示す計測値V1を複数計測する計測手順を行う。そして、計測値V1は、対象13の電気特性を示すデータである。例えば、計測部10F5は、センサ10H5等によって実現される。
学習部10F6は、調整部10F2による調整をカテゴリごとに分けて学習する学習手順を行う。例えば、学習部10F6は、演算装置等によって実現される。
人体等の対象は、部位等の領域に分けて計測及び電気11を出力する施術が行われると施術効果が確保できる。このように効果的な施術を行うため、電気施術装置10は、理想的な電気特性の配置及び値を示す第1マトリクスを用いる。すなわち、第1マトリクスがあると、人体等における電気特性の理想的なバランス及び値等が把握できる。
そして、電気施術装置10は、人体等の電気特性を計測して第2マトリクスを生成する。このようにすると、第1マトリクスと比較して、第2マトリクスに基づいて、対象のどの箇所がどれだけ理想からずれた状態となっているかが分かる。そして、電気特性は、周囲の領域等と比較して調整等が行われるのが望ましい。そのため、マトリクスに区分して、人体等における電気特性がどのように分布しているか等が把握できるのが望ましい。したがって、第1マトリクスと、第2マトリクスは、第1マトリクスに配置される基準値の順序と、第2マトリクスに配置される計測値の順序とが異なると、電気特性の傾向が異なるので異なるマトリクスと判断されるのが望ましい。
<変形例>
調整によって変更される範囲又は装置が出力できる範囲は、法律、ガイドライン又は規格等で定まる範囲であるのが望ましい。例えば、調整によって変更される範囲又は装置が出力できる範囲は、「JIS T 2003:2011(家庭用電気治療器)、[online]、[平成30年6月12日検索]、インターネット〈URL:http://kikakurui.com/t2/T2003-2011-01.html>」又は一般社団法人 日本ホームヘルス機器協会等の団体が定める規格等で安全と認められている範囲等である。具体的には、「JIS T 2003:2011(家庭用電気治療器)」を採用した場合には、出力電圧の最大瞬時値の絶対値は「14000 ボルト」未満であるのが望ましい。
なお、比較対象、基準値及び計測値は、上記のような電流密度に限られない。例えば、電気特性に基づいて、所定の区間を流れる電流、対象の硬さ、血流量又はこれらの変動等が計算されて、比較対象、基準値及び計測値となってもよい。ほかにも、比較対象、基準値及び計測値は、例えば、電位、電場、電荷、反射波及び磁場等に関する値であってもよい。一方で、上記のように、個人データを取得する場合等では、個人データ等に基づいて調整が行われてもよい。
また、センサは、電気特性を計測するに限られない。例えば、センサは、計測される電流値を示す波形の形状、電流値、周波数、体温、光の透過度又はこれらの組み合わせを計測してもよい。
<その他の実施形態>
なお、各装置は、1台の装置で実現されなくともよい。すなわち、各装置は、複数の装置で構成されてもよい。例えば、各装置は、複数の情報処理装置を有し、各処理を分散、並列又は冗長して行ってもよい。
なお、本発明に係る各処理の全部又は一部は、アセンブラ等の低水準言語又はオブジェクト指向言語等の高水準言語で記述され、コンピュータに情報処理方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。すなわち、プログラムは、情報処理装置又は情報処理システム等のコンピュータに各処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
したがって、プログラムに基づいて情報処理方法が実行されると、コンピュータが有する演算装置及び制御装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて演算及び制御を行う。また、コンピュータが有する記憶装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて、処理に用いられるデータを記憶する。
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布することができる。なお、記録媒体は、磁気テープ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気ディスク等のメディアである。さらに、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上記に説明した実施形態等に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、実施形態は、種々の変形又は変更が可能である。