JP7271288B2 - 通信装置、制御方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のネットワークに接続が可能な通信装置等に関する。
第4世代(以下、「4G」という)の公衆無線通信回線に接続される通信装置(User Equipment:UE)は、複数の状態の間で遷移する。具体的には、通信装置は、通信帯域を確保済み、かつユニキャストデータ通信中の状態であるRRC_CONNECTEDと、通信帯域の確保なし、かつユニキャストデータ通信なしの状態であるRRC_IDLEとの2つの状態の間で遷移する。後者のRRC_IDLEの状態では、通信装置は、ブロードキャストデータの受信のみが可能である。
また、第5世代(以下、「5G」という)のNR(New Radio)の公衆無線回線に接続される通信装置では、上記の2つの状態に、RRC_INACTIVEが追加されている。このRRC_INACTIVEの状態では、通信帯域を確保済み、かつユニキャストデータ通信なし、すなわちブロードキャストデータの受信のみが可能である。これら複数のRRC(Radio Resource Control)状態遷移を利用することで、省電力と無線通信リソースの有効利用を図ることができる。
特許文献1は、キャリアアグリゲーションにおける複数のキャリア帯域が連続的か間欠的かを特定し、プライマリセル及びセカンダリセルに対して設置する間欠受信用のタイマを共通とするか単独とするかを切り替え可能な移動局を開示する。基地局からの制御信号の送信周期に合わせた間欠受信制御をキャリアアグリゲーションにおいて実行することによって、移動局の高電力消費が節約できる。
特開2014-161076号公報
ところで、5G(NR)では、通信装置は、複数の基地局(Base Station:BS)に公衆無線通信回線を介して接続し、同時に通信サービスを提供するDual Connectivity(DC)を利用できる。複数の基地局間で複数のキャリアを束ねることで、広帯域のデータ通信が可能となる。
しかしながら、DCで2つの基地局を利用中の通信装置において、RRC_INACTIVEへ遷移した場合の動作の詳細は、3GPP規格において規定されていない。
具体的には、3GPP規格では、RRC_INACTIVEの間、通信装置は、利用中の基地局からセル内の全通信装置に送信される制御信号を受信する制御チャネルであるページングチャネル(以下、「PCH」という)を監視しなければならないことを定める。
しかしながら、DC実行中の通信装置が、RRC_INACTIVEの間、マスタセルグループの基地局のPCHとセカンダリセルグループの基地局のPCHのいずれを監視しなければならないかは規定されていない。
ここで、RRC_INACTIVEの間、通信装置に、マスタセルグループの基地局とセカンダリセルグループの基地局の双方のPCHの監視を継続させると、待機電力が増大する。
一方、RRC_INACTIVEの間、通信装置に、例えば、マスタセルグループの基地局のPCHのみ監視させると、セカンダリセルグループの基地局の無線回線品質の変化を検知できない。このため、2つの基地局を利用するDCでRRC_CONNECTEDに復帰できるか否かが、RRC_CONNECTEDに復帰するまで判定できず、通信装置で実行待機中のサービスを再開する際のレスポンスが低下してしまう。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の基地局と同時接続する通信装置において、消費電力を低減しつつ、ネットワーク上のサービスの提供における遅延を回避することにある。
上記課題の少なくとも1つを解決するために、本発明の1つの側面としての通信装置は、通信装置であって、第1の基地局および第2の基地局との無線通信路が確立された後に3GPP(3rd Generation Partnership Project standard)規格に準拠したRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態へ遷移する遷移手段と、前記遷移手段によって前記RRC_INACTIVE状態へ遷移した後に、前記第1の基地局および前記第2の基地局の双方からの報知信号を待ち受ける第1のモードで動作するか、前記第1の基地局および前記第2の基地局のいずれか一方からの報知信号を待ち受ける第2のモードで動作するかを、前記通信装置の状態に基づいて選択的に実行するよう制御する制御手段と、有する。
本発明によれば、複数の基地局と同時接続する通信装置において、消費電力を低減しつつ、ネットワーク上のサービスの提供における遅延を回避することができる。
実施形態1に係る通信装置のハードウエアおよび機能構成の一例を示すブロック図。 3GPPに規定される通信装置(UE)の状態遷移を示す図。 DC実行中のRRC_CONNECTEDおよびRRC_INACTIVEにおけるページングチャネルの監視状態をそれぞれ示す図。 実施形態1に係るセル間を移動するキャプチャデバイス(UE)での撮像画像をアップロードするシステムのネットワーク構成の一例を示す図。 実施形態1に係る通信装置が移動速度を監視する際に実行される監視制御処理の処理手順の一例を示すフローチャート。 実施形態1に係る通信装置がRRC_INACTIVEの間にPCHから受信されるPCH信号を確認する処理の処理手順の一例を示すフローチャート。 実施形態1に係る通信装置がRRC_CONNECTEDに遷移した際にPCHから受信されるPCH信号を確認する処理の処理手順の一例を示すフローチャート。 実施形態1に係る通信装置が複数の無線セル間を移動する際の、通信装置と複数のセルグループの間の処理シーケンスの一例を示す図。 実施形態1に係る通信装置が複数の無線セル間を移動する際の、通信装置と複数のセルグループの間の処理シーケンスの一例を示す図。 実施形態1に係る通信装置が複数の無線セル間を移動する際の、通信装置と複数のセルグループの間の処理シーケンスの一例を示す図。 実施形態1に係る通信装置が複数の無線セル間を移動する際の、通信装置と複数のセルグループの間の処理シーケンスの一例を示す図。 実施形態1に係るキャプチャデバイス(UE)での撮像画像をアップロードするシステムにおけるアップロード画像の種別の一例を説明する図。 実施形態2に係る通信装置のハードウエアおよび機能構成の一例を示すブロック図。 実施形態2に係る通信装置が待機中サービスを監視する際に実行される監視制御処理の処理手順の一例を示すフローチャート。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
以下、通信装置が、3GPP規格に準拠するDual Connectivity(以下、「DC」という)で公衆無線通信可能な通信装置である例を説明するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、通信装置は、複数の基地局(Base Station:BS)に接続し、同時に通信サービスを提供可能な他の方式を使用してもよい。
また、以下では、通信装置が、撮像中の動画像を自装置内に記録するとともに、必要に応じ、公衆無線通信回線を介して動画をストリーミング配信したり静止画を配信したりすることが可能な撮像装置である例を説明するが、本実施形態はこれに限定されない。通信装置は、DCで公衆無線通信を実行する機能を有するあらゆる通信装置であってよく、例えば、デジタルビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン、PC(PersonalComputer)、ノートPC、サーバ等を含むがこれらに限定されない。また、通信装置は、移動体でも静止体でもよく、移動体に搭載されてもよい。
(実施形態1)
<通信装置のハードウエアおよび機能構成>
図1は、本実施形態に係る通信装置のハードウエアおよび機能構成の一例を示す図である。
図1の通信装置(User Equipment(以下、「UE」という)1は、CPU101、RAM102、ROM103、5G通信部104、4G通信部105、GPS受信部106、表示部107、操作部108、および撮像部109を備える。
UE1はさらに、不揮発記憶部110、移動検知部111、チャネル選択部112、電源供給元判定部113、および電源部114を備える。
図1のUE1の各部は、システムバスにより、通信可能に相互接続される。なお、UE1は、上記のモジュール全てを備えなくともよく、図1の構成に加えて追加のモジュール等を備えてもよい。
CPU(Central Processing Unit)101は、UE1における動作を統括的に制御するものであり、システムバスを介して、各構成部(102~114)を制御する。すなわち、CPU101は、各種処理の実行に際してROM103や、不揮発記憶部110等の記憶媒体から必要なプログラム等をRAM102にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。
RAM(Random Access Memory)102は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等として機能し、プログラムやデータを一時的に記憶する。
ROM(Read Only Memory)103は、CPU101が各種処理を実行するために必要となる、変更を必要としない制御プログラムやパラメータ等を記憶する不揮発性メモリである。なお、これら制御プログラム等は、不揮発記憶部110、外部メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)に記憶されていてもよい。
5G通信部104は、UE1が第5世代(5G)公衆無線通信ネットワークへ接続するための通信モジュールである。
4G通信部105は、UE1が第4世代(4G)公衆無線通信ネットワークへ接続するための通信モジュールである。
GPS(Global Positioning Systeym)受信部106は、GPSからの信号を受信する。
表示部107は、例えば撮像部109により撮像され不揮発記憶部110等に記憶された画像を表示出力したり、操作部108の操作結果等、各種処理の処理結果を表示出力する。
操作部108は、撮像ボタン、およびネットワーク設定ボタン等を有し、CPU101や各部へのユーザインタフェースを提供する。
撮像部109は、光学レンズ、CCD等で構成され、静止画や動画等の画像を撮像する。
不揮発記憶部110は、不揮発性メモリで構成され、撮像部109により撮像された動画像や静止画像を記憶する。不揮発記憶部110はまた、各種プログラムやパラメータを記憶してもよい。
移動検知部111は、UE1の移動を検知する。
チャネル選択部112は、移動検知部111による移動の検知結果に基づいて、UE1が接続する複数の基地局(BS)のうち、いずれの基地局に対応するページングチャネルからのページング信号を監視対象とするかを選択する。なお、ページングチャネル(Paging Channel:以下、「PCH」という)とは、基地局からセル内のすべてのUEに送信することの可能な制御チャネルである。また、ページング信号(以下、「PCH信号」という)とは、基地局からPCHを介してすべてのUEに送信される制御用の報知信号である。
電源供給元判定部113は、UE1またはUE1を搭載する装置へ給電中の電源の種別を判定する。
電源部114は、UE1またはUE1を搭載する装置の各部へ電源を供給する。
<通信装置の状態遷移>
図2は、3GPP規格に規定される5G公衆無線通信規格に準拠するUE1の状態遷移を示す図である。
UE1は、3つの状態間で遷移する。RRC_CONNECTEDは、基地局(BS)とのユニキャスト用無線通信路が接続され、データ通信用の無線通信資源(リソース)が割当済みであってユニキャストデータ通信が可能な状態(モード)である。
基地局(BS)からRRC(Radio Resource Control)のリリース(Release)信号21を受信すると、UE1は、RRC_CONNECTEDへ遷移する。
RRC_IDLEは、基地局(BS)とのユニキャスト用無線通信路が接続されておらず、データ通信用の無線通信資源も開放されてユニキャストデータ通信が不可能な状態(モード)である。RRC_IDLEでは、基地局(BS)からブロードキャストされる制御信号の受信のみが可能となる。
基地局(BS)からRRCの接続(Connection)信号22を受信すると、UE1は、RRC_CONNECTED状態へ復帰する。
一方、RRC_CONNECTEDにおいて、基地局(BS)からRRCの非アクティブ化(Inactivation)信号23を受信すると、UE1は、RRC_INACTIVEへ遷移する。
RRC_INACTIVEは、基地局(BS)とのユニキャスト通信路が非接続であるが、データ通信用の無線通信資源が割当済みのままであるモードである。RRC_INACTIVEでは、ユニキャストデータ通信は不可能であるが基地局(BS)からブロードキャストされる制御信号の受信のみが可能となる。
基地局(BS)からRRCの接続(Connection)信号24を受信すると、UE1は、RRC_CONNECTEDへ復帰する。
図3は、DC(Dual Connectivity)実行中のUE1が、複数の基地局(BS)との公衆無線通信回線を介した無線通信路の利用状態を示す模式図である。図3(a)は、RRC_CONNECTEDにおける無線通信路の利用状態を示し、図3(b)および図3(c)は、RRC_INACTIVEにおける無線通信路の利用状態を示す。
図3(a)のRRC_CONNECTEDにおいて、マスタセルのグループを統括する基地局(MCG_BS)31から非アクティブ化(Inactivation)信号23を受信すると、UE1は、RRC_INACTIVEへ遷移する。なお、マスタセル(プライマリセル)とは、UE1と無線ネットワークとの間の接続を担保するセルである。マスタセルのグループを統括する基地局(MCG_BS)を、以下、マスタセル基地局という。
一方、図3(b)および図3(c)のRRC_INACTIVEにおいて、マスタセル基地局(MCG_BS)から接続(Connection)信号24を受信すると、UE1は、RRC_CONNECTEDへ復帰する。
図3(a)を参照して、RRC_CONNECTEDでは、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS)31がPCH信号を送信するPCH31aを監視する。同時に、UE1は、セカンダリセルのグループを統括する基地局(SCG_BS)32がPCH信号を送信するPCH32aを監視する。なお、セカンダリセルとは、マスタセルに加えて無線通信資源を提供するセルである。セカンダリセルのグループを統括する基地局(SCG_BS)を、以下、セカンダリセル基地局という。
また、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS)31とデータ送受信を行うためのユーザチャネル(UCH)31bと、セカンダリセル基地局(SCG_BS)32とデータ送受信を行うためのUCH32bとを保持する。
5G公衆無線通信規格では、RRC_INACTIVEにおいて、PCHの監視を継続するとともにUCHの無線接続を開放するが、基地局への無線通信資源を保持することで、同一基地局への再接続時の手順が簡略化されている。
しかしながら、5G公衆無線通信規格では、DC実行中のUE1がRRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEへ遷移した際にどのPCHを監視すべきかの挙動については規定されていない。
このため、図3(b)および図3(c)の2つの手法が考えられ得る。
図3(b)は、マスタセル基地局(MCG_BS)31のPCH31aとセカンダリセル基地局(SCG_BS)31のPCH32aの双方からのPCH信号の監視を継続するケースである。
図3(c)は、マスタセル基地局(MCG_BS)31のPCH31aからのPCH信号の監視は継続する一方、セカンダリセル基地局(SCG_BS)32のPCH32aからのPCH信号の監視は中断するケースである。
図3(b)の手法では、RRC_INACTIVEの間でも、マスタセル基地局(MCG_BS)31およびセカンダリセル基地局(SCG_BS)32双方のPCHの監視を継続する。このため、RRC_CONNECTEDへ復帰した際に、DC用のユニキャスト無線通信路を設定可能か否かを事前に判定でき、UE1で待機中のサービス再開のレスポンスが向上するが、UE1の消費電力は極小とならない。
一方、図3(c)の手法では、マスタセル基地局(MCG_BS)31のPCHの監視のみに移行するので、UE1の消費電力がRRC_IDLE状態と同等に極小化できる。しかしながら、RRC_CONNECTEDへ復帰するまで、DC用のユニキャスト無線通信路を設定可能か否かを判定することができず、待機中のサービス再開のレスポンスは低下する。
このように、DCを利用するサービスの特性やUE1の状態に応じて消費電力とサービス再開のレスポンス向上のいずれを重視すべきかは異なる。このため、RRC_INACTIVEにおいて、図3(b)と図3(c)のいずれの手法に拠るべきかを一意に決定することは困難である。
そこで、本実施形態は、UE1の状態やサービス特性に応じて、いずれのPCHからのPCH信号を監視対象とすべきかを選択する。本実施形態におけるこのチャネル選択処理の詳細は、図5~図11を参照して後述する。
図4は、本実施形態に係るUE1のユースケースの一例であり、UE1が車載カメラであるキャプチャデバイスとして車輌移動中や停止中の画像を撮像しサーバへアップロードするネットワークシステムの一例を示す。
図4の車輌2は、車載カメラであるUE1を搭載し、図4中破線で示されるマスタセルエリア1の圏内から一点鎖線で示されるマスタセルエリア2の圏内へと走行移動するものとする。マスタセルエリア1において、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311がマスタセルを統括し、マスタセルエリア2において、マスタセル基地局(MCG_BS_2)312がマスタセルを統括する。セカンダリセル基地局(SCG_BS_1~SCG_BS_3)321~323が、それぞれのセカンダリセルを統括する。
UE1は、広帯域通信を確保可能なDCを利用して、マスタセル基地局(MCG_BS_1~2)311または312、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1~3)321~323のそれぞれに対して、ユニキャスト無線通信路を確保する。UE1は、これらマスタセル基地局およびセカンダリセル基地局を収容するコアネットワーク4を介して、サーバのデータベース5に撮像画像をアップロードする。アップロードされた撮像画像は、データベース5において、例えば、3次元地理空間情報上に、車輌の自動走行をサポートするために必要な各種付加情報を付加したダイナミックマップとして構成されてよい。このダイナミックマップの構成の詳細は図12を参照して後述する。
車輌2に搭載されたUE1は、撮像画像のアップロードが必要な期間はRRC_CONNECTEDにあり、撮像画像のアップロードが不要な期間はRRC_INACTIVEへ状態遷移する。
また、車輌2の移動に伴い、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1~2)311および312の間、およびセカンダリセル基地局(SCG_BS_1~3)321~323の間のハンドオーバ制御を実行する。
以下、キャプチャデバイスであるUE1が、撮像画像のアップロードサービスの開始待機中に、セル切換が発生した場合を例として、本実施形態に係るUE1の監視対象PCHの選択制御を説明する。
<UE1の移動速度監視によるPCHの自動選択処理>
図5は、実施形態1に係るUE1が移動速度を監視する際に実行される監視制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
UE1は、一定周期で自装置の内部制御状態として自装置の移動状態を監視しており、移動速度の監視タイミングが到来するごとに図5の処理を起動する。
S51で、UE1の5G通信部104は、自装置がDC接続中、かつRRC_INACTIVEであるか否かを判定する。
自装置がDC接続中でないか、RRC_INACTIVEにない場合(S51:N)、自装置宛のPCHを介したPCH信号の監視手順は、5G公衆無線通信規格で一意に確定するため、処理を終了する。
一方、自装置がDC接続中、かつRRC_INACTIVEである場合(S51:Y)、S52で、UE1の移動検知部111は、自装置の移動状況を検知してCPU101に移動検知の結果を供給し、S53へ進む。
S53で、UE1のCPU101は、移動検知部111からの移動検知の結果に基づいて、UE1が移動中であるか否かを判定し、移動中でない場合(S53:N)、S55に進む。
S55で、UE1のチャネル選択部112は、UE1のセカンダリセルのグループ(SCG)用のセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信するPCH信号の監視を中止して処理を終了する。
一方、S53で、UE1が移動中である場合(S53:Y)、S54に進む。
S54で、UE1のチャネル選択部112は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信するPCH信号の監視を開始してS56に進む。
S56で、UE1のCPU101は、DCを実行することができないステータス(以下、「DC実行不可ステータス」という)が規定されて一定期間継続したか否かを判定する。なお、S56で参照されるDC実行不可ステータスは、図6を参照して後述される処理を実行することにより設定される。
DC実行不可ステータスとなってから規定された一定期間内であると判定された場合(S56:N)、S58に進む。S58で、UE1のCPU101は、RRC_INACTIVEの状態を継続させて移動監視タイミング到来に伴い実行された1処理単位の処理を終了する。
一方、DC実行不可ステータスが一定期間を超えて継続すると判定された場合(S56:Y)、S57に進み、UE1の5G通信部104は、RRC_CONNECTEDへ遷移させて処理を終了する。
なお、UE1は、RRC_CONNECTEDへの復帰が完了した後、5G公衆無線通信規格に規定される制御に従って、DC用の無線通信路を再設定する。
<UE1のDC実行不可ステータス監視処理>
図6は、UE1が上記PCH監視タイミングが到来する毎に実行される、DCの実行を維持できるか否かを判定してDC実行不可ステータスのステータス情報を設定する処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
UE1は、DCの実行を維持できるか否かを、一定周期でPCHを監視することにより判定しており、PCHの監視タイミングが到来するごとに図6の処理を起動する。図6の処理を実行する際に、UE1は、RRC_INACTIVEの状態にある。
S61で、UE1の5G通信部104は、自装置がDC実行中か否かを判定する。
自装置がDC実行中でない場合(S61:N)、自装置宛のPCHを介したPCH信号の監視手順は、5G公衆無線通信規格で一意に確定するため、処理を終了する。
一方、自装置がDC実行中である場合(S61:Y)、S62で、UE1の5G通信部104は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信するPCH信号の監視が休止中か否かを判定する。
セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321用のPCH32aの監視が休止中でない場合(S62:N)、S63に分岐する。
S63で、UE1の5G通信部104は、直近でセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信したPCH信号の受信に成功したか否かを判定する。
直近でセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信したPCH信号の受信に成功した場合(S63:Y)、S67に進み、PCH信号の受信に成功しない場合、S64に進む。
S67で、UE1のCPU101は、記憶部に保持するDC実行不可ステータスをクリアして、処理を終了する。
一方、S62に戻り、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321用のPCH32aの監視が休止中である場合、S64で、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311がPCH31aを介して送信するPCH信号の内容を確認する。
具体的には、UE1のCPU101は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311から送信されるPCH信号を利用してブロードキャストされる報知情報であるRAN-based Notification areaの内容を確認する。
S65で、UE1のCPU101は、S64で確認されたRAN-based Notification areaの内容がマスタセル以外のセルの情報を含むか否かを判定する。
RAN-based Notification areaにマスタセル以外のセル、例えばセカンダリセルの情報が含まれない場合(S65:N)、S66に進み、UE1のCPU101は、DC実行不可ステータスをオンにセットして処理を終了する。
一方、RAN-based Notification areaにマスタセル以外のセル、例えばセカンダリセルの情報が含まれる場合(S65:Y)、S67に進み、UE1のCPU101は、DC実行不可ステータスをクリアして処理を終了する。
このように、本実施形態では、UE1は、RRC_INACTIVEの状態にある間に、無線再接続に先だってDC実行不可ステータスを更新し、このDC実行不可ステータスが一定期間継続したことを契機にRRC_CONNECTEDへ遷移する。
<UE1のRRC_CONNECTEDへ遷移時に実行されるDC接続判定処理>
図7は、UE1がRRC_CONNECTEDに遷移した際に実行されるDC接続判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
UE1は、RRC_CONNECTEDに遷移する毎に、図7に示す処理を起動する。
S71で、UE1の5G通信部104は、UE1がDC実行中であるか否かを判定する。UE1がDC実行中でない場合(S71:N)、S77に進み、直ちにRRC_CONNECTEDに遷移して処理を終了する。
一方、UE1がDC実行中である場合(S71:Y)、S72に進み、UE1の5G通信部104は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信するPCH信号の監視が休止中であるか否かを判定する。
セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321用のPCH32aからのPCH信号の監視が休止中でない場合(S72:N)、S77に進んで直ちにRRC_CONNECTEDに遷移する。一方、PCH32aからのPCH信号の監視が休止中の場合(S72:Y)、S73に進む。
S73で、UE1の5G通信部104は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321がUE1宛てにPCH32aを介して送信するPCH信号の監視を再開する。
S74で、UE1の5G通信部104は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321から、PCH32aを介してPCH信号の受信に成功したか否かを判定する。
セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321から、PCH32aを介してPCH信号の受信に成功した場合(S74:Y)、S77に進んで直ちにRRC_CONNECTEDに遷移する。一方、PCH32aからのPCH信号の受信に成功しない場合(S74:N)、S75に進む。
S75で、UE1の5G通信部104は、マスタセル用のマスタセル基地局(MCG_BS_1)311経由で、新規のセカンダリセル用のセカンダリセル基地局を経由する無線通信路の確保を要求する。
S76で、UE1の5G通信部104は、S75で要求された新規のセカンダリセル基地局経由の無線通信路の確保に成功しない場合(S76:N)、DC実行を中断して、S77に進み、マスタセル基地局のみとのRRC_CONNECTED状態へ遷移する。
一方、新規のセカンダリセル基地局経由の無線通信路の確保に成功した場合(S76:Y)、S74に戻って、S76で確保された新規のセカンダリセル基地局からのPCH信号の受信を待ち受ける。
<UE1の移動に伴う監視制御処理の状態遷移シーケンス>
以下、図8~図11を参照して、本実施形態に係るUE1が実行する監視制御処理の状態遷移シーケンスを時系列で順に説明する。
キャプチャデバイスであるUE1は、図4に示すように車輌2に搭載され、UE1内、または車輌2内等のUE1近傍に設置されたセンサの情報を用いて、自装置の移動状況を判定する。そして、UE1は、RRC_INACTIVEにある際に、判定された自装置の移動状況に基づいて、UE1が監視すべきPCHを自動選択する。
図4を参照して、キャプチャデバイスであるUE1を搭載する車輌2は、マスタセル基地局311が統括するマスタセルエリア1内に位置するものとする。ここで、当初、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311およびセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321の間で、DCを実行して無線通信サービスを享受しているものとする。UE1は、例えば、ダイナミックマップのサーバのデータベース5に、撮像画像をアップロード中であるとする。
図8を参照して、例えば、UE1からサーバのデータベース5への撮像画像のアップロードが中断したものとする。この場合、S81で、コアネットワーク4および無線エリアネットワーク(RAN)のマスタセル基地局(MCB_BS_1)311およびセカンダリセル基地局(SCB_BS_1)321は、UE1からのペイロードデータ通信の中断を検知する。このペイロードデータ通信の中断の検知により、コアネットワーク4および基地局(マスタセル基地局311およびセカンダリセル基地局321)は、UE1にRRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEへの遷移を促す条件を認識する。
S82で、RRC_INACTIVEへの遷移条件を認識したことを契機に、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、UE1へ、RRCコネクションのリリースを指示するメッセージを送信する。
S83で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321へ、UE1向けに確保された通信路を維持するよう、通信のサスペンドを指示するメッセージを送信する。
その後、S84で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、RRC_INACTIVEに遷移する。UE1およびセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321も、S82およびS83でそれぞれメッセージを受信したことを契機に、RRC_INACTIVEに遷移する。
RRC_INACTIVEへ遷移したUE1は、周期的に、図6を参照して上記で説明したPCH(ページングチャネル)確認処理を実行する。
具体的には、UE1は、S85でマスタセル基地局(MCG_BS_1)311が、およびS86でセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321が、それぞれのPCHを介してUE1宛てにPCH信号を送信するタイミングで、PCH確認処理を実行する。
ここで、UE1を搭載する車輌2が移動したものとする。この段階で、S87で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311からのPCH信号はUE1に受信されているが、S88で、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321からのPCH信号の受信に失敗したものとする。この場合、UE1宛てに送信されるPCH信号の受信失敗を契機に、S89で、UE1は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321からのPCH32aを介して報知されるPCH信号の消失を検知する。
セカンダリセル基地局からのPCHを介したPCH信号の消失を検知したUE1は、図6のS64で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311がPCH信号で報知するRAN_Based Notification Areaの情報を確認する。
ここでは、RAN_Based Notification Areaには、有効なセカンダリセルの情報がない場合の例を説明する。S6のS65で、マスタセル以外の有効なセカンダリセルがないと判定され(S65:N)、S66で、UE1は、無線再接続時のDC実行不可ステータスをセットする。
UE1を搭載する車輌が移動する場合、特定方向への継続的な移動に起因して、DC実行不可状態がセットされている。このため、UE1が、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321から報知されるPCH信号の待ち受けを継続しても、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321から報知されるPCH信号の受信は復帰しない。
図5を参照して説明したように、UE1は、DC実行不可ステータスが一定期間以上継続したことを契機に、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311との間でRRC_CONNECTEDへ遷移する。そして、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311との間でRRC_CONNECTEDへ遷移する際、S75で、新たなセカンダリセル基地局の割当を、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311経由でコアネットワーク4に要求する。
図9を参照して、新たなセカンダリセル基地局の割当要求に伴う、UE1における制御シーケンスの一例を説明する。
S91で、UE1は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321からのPCHを介して報知されるPCH信号が消失してから一定期間、信号消失が継続したことを検知する。このセカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321から報知されるPCH信号消失を契機に、図7に示すように、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311との間で、RRC_CONNECTEDに遷移する。
図9に戻り、S92で、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311に対して、RRCコネクションを再開する再接続要求(Redume Request)を送信する。
S93で、RRCコネクションの再接続要求を受信したマスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、UE1へ、RRCコネクションの再接続メッセージ(Resume)を返信し、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311への再接続を指示する。
S94で、RRCコネクションの再接続メッセージ(Redume)を受信したUE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311との無線接続を復帰させる。その後、UE1は、RRCコネクションの再接続完了メッセージ(Resume Complete)をマスタセル基地局(MCG_BS_1)311に返信し、再接続完了を通知する。
S95で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、UE1からRRCコネクションの再接続完了メッセージを受信すると、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321に、再接続メッセージ(Resume)を送信する。
セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321は、S96で、車輌2の移動に伴う無線回線品質の低下により、UE1との無線接続に失敗している。このため、S97で、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311へ、無線接続失敗の旨を再接続応答メッセージ(Resume Response)により通知する。
S98で、UE1は、DC実行不可ステータスが一定期間継続したことを契機に、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311との間で、ユニキャスト無線通信路を確保し、図7の処理を実行してRRC_CONNECTEDに遷移する。
S99で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、新たなセカンダリセル基地局の通信路を確保してセカンダリセル基地局用の通信路を変更する。具体的には、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、セカンダリセル基地局用の通信路を、新たなセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322への通信路に変更する。これは、車輌2の移動により、UE1の至近のセカンダリセル基地局が、セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321からセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322に変更したことに伴い実行される処理である。
S100で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、旧セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321へ、UE1用に確保していた通信コンテキストの開放を指示するUE Context Releaseメッセージを送信する。
S101で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311は、UE1へ、RRCコネクションの開放メッセージ(Release)を送信する。S100およびS101の実行により、UE1は、旧セカンダリセル基地局(SCG_BS_1)321から新たなセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322へ、通信コンテキストの割当が変更された旨を認識する(図7のS76、S74)。
図7のS74で、新たなセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322からのPCHを介したPCH信号の受信に成功すると(S74:Y)、S77に進む。S77で、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311と新たなセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322との間でDCを用いるRRC_CONNECTEDへ一旦遷移する。
ここで、UE1から、サーバのデータベース5への撮像画像のアップロードが中断されて以降、ペイロードデータ通信の再開がこの時点では検知されないものとする。この場合、S102で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311、セカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322、およびコアネットワーク4は、UE1にRRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEへの遷移を促す条件として認識する。
図10を参照して、S102でRRC_INACTIVEへ遷移したUE1は、周期的に、図6を参照して上記で説明したPCH確認処理を実行する。
具体的には、UE1は、S103でマスタセル基地局(MCG_BS_1)311が、およびS104でセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322が、それぞれUE1宛てにPCH信号を送信するタイミングで、PCH確認処理を実行する。
ここで、UE1を搭載する車輌2がさらに移動したものとする。この段階で、S105で、マスタセル基地局(MCG_BS_1)321からのPCH31aを介したPCH信号の受信に失敗したものとする。なお、S106で、セカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322からのPCH32aを介したPCH信号は、この段階でもUE1に受信されている。この場合、UE1宛てに送信されるPCH信号の受信失敗を契機に、S107で、UE1は、車輌2のさらなる移動に伴う、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311からのPCH31aを介したPCH信号の品質劣化を検知する。
UE1を搭載する車輌が移動する場合、特定方向への継続的な移動に起因して、マスタセル基地局(MSG_BS_1)311からのPCH信号の品質が劣化している。このため、UE1が、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311からのPCH31aを介したPCH信号の待ち受けを継続しても、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311からのPCH信号の受信は復帰しない。
S108~S113で、UE1は、マスタセル基地局(MCG_BS_1)311から送信されるPCH31aを介したPCH信号の品質劣化を契機に、マスタセル基地局との間でRRC_CONNECTEDに遷移する。その後、UE1は、コアネットワーク4側で実行される、新たなマスタセル基地局の割り当てを待ち受ける。
図11を参照して、S114で、コアネットワーク4側で、旧マスタセル基地局(MCG_BS_1)311から新たなマスタセル基地局(MCG_BS_2)312へのハンドオーバ処理が必要と判定し、ハンドオーバ処理を実行する。
ここで、UE1から、サーバのデータベース5への撮像画像のアップロードが中断されて以降、ペイロードデータ通信の再開がこの時点では検知されないものとする。このため、ハンドオーバ先のマスタセル基地局(MCG_BS_2)312、およびコアネットワーク4は、UE1にRRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEへの遷移を促す条件として認識する。
S115で、RRC_INACTIVEへの遷移条件を認識したことを契機に、マスタセル基地局(MCG_BS_2)312は、UE1へ、RRCコネクションのリリースを指示するメッセージを送信する。
S116で、マスタセル基地局(MCG_BS_2)312は、セカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322へ、UE1向けの通信のサスペンドを指示するメッセージを送信する。
その後、S117で、マスタセル基地局(MCG_BS_2)312は、RRC_INACTIVEへ遷移する。UE1およびセカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322も、S115およびS116でそれぞれメッセージを受信したことを契機に、RRC_INACTIVEへ遷移する。
RRC_INACTIVEへ遷移したUE1は、周期的に、図6を参照して上記で説明したPCH確認処理を実行する。
UE1を搭載する車輌2が移動を停止した後は、S118で、マスタセル基地局(MCG_BS_2)312が、S119で、セカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322が、それぞれUE1にPCHを介して送信するPCH信号の品質に変化は生じない。
図5を参照して、車輌2の停止を認識したUE1は、車輌2の移動が開始されるまで、セカンダリセル基地局(SCG_BS_2)322からPCHを介して報知されるPCH信号の監視を停止する(S53:N、S55)。
図12は、車輌2に搭載されるキャプチャデバイスであるUE1が、ダイナミックマップ作成サーバであるマップサーバのデータベース5へアップロードする情報の種別と、これら情報の種別にそれぞれ対応する通信サービスの種別を一例として示す。図12に示す複数の通信サービスは、キャプチャデバイスであるUE1が、RRC_INACTIVEである間、待機状態であり、RRC_CONNECTEDに復帰後に実行が予定される通信サービスである。
図12に示すダイナミックマップ122は、異なる更新頻度の情報に区分される。
具体的には、ダイナミックマップ122は、1秒程度で更新される動的情報、1分程度で更新される准動的情報、1時間程度で更新される准静的情報、および1ヶ月程度で更新される静的情報を含む。
通信サービス121の複数の種別のうち、例えば、路上の歩行者や信号の変化状況を捉えることが可能な一般道での低速走行中時の撮像動画は、動的情報に1秒程度毎にアップロードされる。例えば、渋滞や事故の画像検知を契機に、検知された渋滞や事故の発生を捉えることが可能な走行中の撮像動画あるいは静止画は、准動的情報に1分程度毎にアップロードされる。
例えば、工事や規制の画像検知を契機に、検知された工事や規制の発生を捉えることが可能な走行中の撮像静止画は、准静的情報に1時間程度毎にアップロードされる。例えば、利用中のマップ情報にない建物や車線の画像検知を契機に、検知された建物や車線の増加を捉えることが可能な走行中の撮影動画或いは静止画は、静的情報に1ヶ月程度毎にアップロードされる。
上記のダイナミックマップ作成サーバのユースケースにおいて、本実施形態では、UE1は、撮像画像のアップロードが必要な期間は、RRC_CONNECTEDに遷移し、撮像画像のアップロードが不要な期間はRRC_INACTIVEへ遷移する。そして、キャプチャデバイスであるUE1を搭載する車輌2が走行中には、UE1は、RRC_INACTIVEの状態において、マスタセル基地局およびセカンダリセル基地局の双方へのPCHを監視して、双方からPCH信号を受信する。
なお、本実施形態における車輌2に搭載されるキャプチャデバイスであるUE1の移動を検知するには、例えば、加速度センサ等を利用して、UE1の移動検知部111が移動を検知してよい。あるいは、UE1のGPS受信部106が、GPSから送信されるGPS信号を更新することにより検知してもよい。
あるいは、UE1の電源供給元判定部113が、UE1を搭載する車輌2の給電ラインの状況をモニタし、車輌2への給電ラインの変化を検知することにより移動を検知してもよい。例えば、イグニション(IG)電源からの給電がある間は車輌2が移動中と検知してもよく、アクセサリ(ACC)電源からの給電がある間は車輌2が停止中と検知してもよい。
また、UE1の電源供給元判定部113は、基地局から間欠的に報知されるPCH信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)の値の変化に応じて移動を検知してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、通信装置1は、DCを利用してマスタセル基地局経由とセカンダリセル基地局経由のユニキャスト通信路を確保した状態で、RRC_CONNECTEDとRRC_INACTIVEの間で状態遷移する。通信装置1は、例えば、撮像画像のアップロードが必要な期間はRRC_CONNECTED、撮像画像のアップロードが不要な期間はRRC_INACTIVEに遷移する。
そして、通信装置1は、自装置の移動状態を検出し、移動を検出中は、マスタセル基地局およびセカンダリセル基地局双方が送信するPCH信号を、それぞれのPCHを介して監視する。一方、移動を未検出中は、通信装置1は、マスタセル基地局が送信するPCH信号のみをPCHを介して監視するように、監視対象チャネルを切替える。
これにより、広帯域通信を可能とするDCを利用する通信装置において、装置の移動に起因するサービスレスポンスの低下を回避しながら、消費電力低減の実現が可能になる。
(実施形態2)
以下、図13および図14を参照して、上記の実施形態1と異なる点についてのみ詳細に説明する。実施形態1は、通信装置1の移動状態に応じて、RRC_INACTIVEの間に監視すべきPCH(ページングチャネル)を選択した。これに対して、実施形態2は、内部制御状態として、RRC_CONNECTEDに復帰した際に実行させるべき待機中のサービスが必要とするレスポンス特性に応じて、RRC_INACTIVEの間に監視すべきPCHを選択する。
図13は、実施形態2に係るUE1のハードウエア構成および機能構成の一例を示す。図13に示すように、本実施形態に係るUE1は、図1に示される実施形態1と同様の構成に、さらにサービス情報記憶部115が追加されている。図13に示すUE1において、移動検知部111は省略されてもよい。
サービス情報記憶部115は、UE1に搭載されるサービスごとに、UE1がRRC_CONNECTEDに復帰後に必要とされるレスポンス、例えば、高レスポンス、低レスポンス等をサービス情報として記憶する。サービス情報は、再開されるべきサービスに要求されるリアルタイム性、送信すべきデータ容量、およびUE1の移動状態等に応じて定義されてよい。
例えば、キャプチャデバイスであるUE1を車輌2に搭載するユースケースにおいて、車輌2が走行中に、車輌2の操舵操作時に撮像された交差点周辺の歩行者の動画をストリーミング配信するサービスは、高レスポンスが必要となる。一方、車輌2が非走行中に、車輌2に搭載されたセンサが異常を検知したことを契機に防犯用の撮像画像を配信するサービスは、通常は高レスポンスが必要とされない。このように、本実施形態では、サービス情報記憶部115は、UE1で実行待機中のサービスについて、それぞれのレスポンス特性を記憶する。
<UE1の実行予定サービス監視によるPCHの自動選択処理>
図14は、実施形態2に係るUE1がRRC_CONNECTEDに復帰後に稼動予定のサービスを監視する際に実行される監視制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
UE1は、一定周期で自装置での実行予定サービスの状態を監視しており、その監視タイミングが到来するごとに図14の処理を起動する。
S51の処理は、図5のS51に示す実施形態1と同様である。
S51でUE1がRRC_INACTIVEである場合(S51:Y)、S141に進む。S141で、UE1のサービス情報記憶部115は、記憶されるサービス情報を参照して、RRC_CONNECTEDに復帰後に実行予定の待機中のサービスに要求されるレスポンスを判定する。
S142で、RRC_CONNECTEDに復帰後に実行予定のサービスが、高レスポンスでの再開が必要でないと判定された場合(S142:N)、S55に進む。S55で、UE1は、セカンダリセル基地局がUE1宛てにPCH32aを介して送信するPCH信号の受信処理を中止する。
一方、RRC_CONNECTED復帰後に実行予定のサービスが、高レスポンスでの再開が必要であると判定された場合(S142:Y)、S54に進む。S54で、UE1は、セカンダリセル用の基地局がUE1宛てにセカンダリセル用PCHを介して送信するPCH信号の受信処理を開始する。
S56~S58までの処理は、図5に示すS56~S58までの処理と同様である。
なお、UE1は、RRC_CONNECTEDへ復帰完了後、5G公衆無線規格に規定される制御に従って、DC用無線通信路の再設定を実行する。
図12を参照して、例えば、UE1のチャネル選択部112は、高レスポンスが要求される、「一般道での低速走行時の撮影動画」のアップロードの待機を検出中は、マスタセル基地局、セカンダリセル基地局双方が送信するPCH信号を監視してよい。一方、UE1は、高レスポンスが要求されない自動車専用道路上の工事や規制の発生を捉えるための「走行中の撮影動画或いは静止画」のアップロードの待機検出中は、マスタセル基地局が送信するPCH信号のみを監視するよう監視対象チャネルを切替えてよい。
UE1のチャネル選択部112は、例えば、要求されるレスポンス時間が1秒以内であるサービスを再開する場合に、マスタセル基地局、セカンダリセル基地局双方からのPCH信号を監視してよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、通信装置1は、DCを利用してマスタセル基地局経由とセカンダリセル基地局経由のユニキャスト通信路をそれぞれ確保した状態で、RRC_CONNECTEDとRRC_INACTIVEの間を状態遷移する。
そして、通信装置1は、自装置で待機中のサービスの状態を検出し、高レスポンスが要求されるサービスが待機中であることを検出中は、マスタセル基地局およびセカンダリセル基地局双方が送信するPCH信号をそれぞれのPCHを介して監視する。一方、高レスポンスが要求されるサービスが待機中であることを未検出中は、通信装置1は、マスタセル基地局が送信するPCH信号のみをPCHを介して監視するように、監視対象チャネルを切替える。
これにより、広帯域通信を可能とするDCを利用する通信装置において、装置の移動に起因するサービスレスポンスの低下を回避しながら、消費電力低減の実現が可能になる。
また、本発明は、上述の実施形態の一部または1以上の機能を実現するプログラムによっても実現可能である。すなわち、そのプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)における1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理により実現可能である。また、そのプログラムをコンピュータ可読な記録媒体に記録して提供してもよい。
また、コンピュータが読みだしたプログラムを実行することにより、実施形態の機能が実現されるものに限定されない。例えば、プログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記した実施形態の機能が実現されてもよい。
1…通信装置(UE)、2…車輌、4…コアネットワーク、5…データベース、31、311、312…マスタセル基地局、32、321、322…セカンダリセル基地局、101…CPU、102…RAM、103…ROM、104…5G通信部、105…4G通信部、106…GPS受信部、107…表示部、108…操作部、109…撮像部、110…不揮発性記憶部、111…移動検知部、112…チャネル選択部、113…電源供給元判定部、114…電源部、115…サービス情報記憶部

Claims (12)

  1. 通信装置であって、
    第1の基地局および第2の基地局との無線通信路が確立された後に、3GPP(3rd Generation Partnership Project standard)(登録商標)規格に準拠したRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態へ遷移する遷移手段と、
    前記遷移手段によって前記RRC_INACTIVE状態へ遷移した後に、前記第1の基地局および前記第2の基地局の双方からの報知信号を待ち受ける第1のモードで動作するか、前記第1の基地局および前記第2の基地局のいずれか一方からの報知信号を待ち受ける第2のモードで動作するかを、前記通信装置の状態に基づいて選択的に実行するよう制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする通信装置。
  2. 前記第1の基地局は前記3GPP規格に準拠したマスタセル用の基地局であり、前記第2の基地局はセカンダリセル用の基地局であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記制御手段は、前記通信装置の移動状態に基づいて前記第1のモードで動作するか前記第2のモードで動作するかを選択的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
  4. 前記通信装置が移動中であるかを判定する判定手段を更に有し、
    前記判定手段により前記通信装置が移動中であると判定された場合、前記制御手段は、前記第1のモードで動作するように制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  5. 前記制御手段は、前記通信装置に対する電源供給状態に基づいて前記第1のモードで動作するか前記第2のモードで動作するかを選択的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
  6. 前記制御手段は、前記通信装置が提供しているサービスに基づいて前記第1のモードで動作するか前記第2のモードで動作するかを選択的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
  7. 前記制御手段は、前記通信装置が提供しているサービスに基づいて前記第1のモードで動作するか前記第2のモードで動作するかを選択的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
  8. 前記制御手段は、前記第1のモードで動作するか前記第2のモードで動作するかの選択を周期的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
  9. 前記通信装置は、前記第1の基地局および前記第2の基地局と、前記3GPP規格に準拠したDC(Dual Connectivity)機能を用いて無線通信を確立することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の通信装置。
  10. 前記報知信号は、前記3GPP規格に準拠したPaging Channel信号であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の通信装置。
  11. 通信装置の制御方法であって、
    第1の基地局および第2の基地局との無線通信路が確立された後に、3GPP(3rd Generation Partnership Project standard)規格に準拠したRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態へ前記通信装置を遷移させるステップと、
    前記RRC_INACTIVE状態へ遷移した後に、前記第1の基地局および前記第2の基地局の双方からの報知信号を待ち受ける第1のモードで動作するか、前記第1の基地局および前記第2の基地局のいずれか一方からの報知信号を待ち受ける第2のモードで動作するかを、前記通信装置の状態に基づいて選択的に実行するステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  12. コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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